JP2764757B2 - モルタル充填式鉄筋継手スリーブ - Google Patents

モルタル充填式鉄筋継手スリーブ

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JP2764757B2 JP2037206A JP3720690A JP2764757B2 JP 2764757 B2 JP2764757 B2 JP 2764757B2 JP 2037206 A JP2037206 A JP 2037206A JP 3720690 A JP3720690 A JP 3720690A JP 2764757 B2 JP2764757 B2 JP 2764757B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はモルタル充填式鉄筋継手スリーブの改良に関
するものであり、その改良点は上記スリーブの一端に鉄
筋を仮止めするための保持部を設けた点にあるが、さら
に、これにより仮止めできる鉄筋の選択幅が広いことを
特徴とするものである (従来の技術) 従来使用されているモルタル充填式鉄筋継手スリーブ
(以下モルタルスリーブと記す)を第4図に例示する。
モルタルスリーブ13は両端が開口している中空筒状体で
あって、その内壁面には長手方向に対して横方向に連な
る突条または溝5が多数設けられており、側壁には必要
に応じて注入口6および/または排出口7が設けられて
いる。接合しようとする一対の鉄筋9および9′の端部
をスリーブ内に対向方向に挿入し長手方向ほぼ中央にお
いて突き合わせ状に相会させ、ついでスリーブ内に流動
性のモルタル11を注入充填する。モルタルの硬化により
鉄筋端部がスリーブ内に固着され一対の鉄筋の接合が完
成する。硬化モルタルによる固着力は条件を適当に選べ
ば鉄筋自体の引張耐力以上とすることができる。
モルタルスリーブはプレキャストコンクリート部材
(以下PC部材と記す。)中に、その一方の開口からは部
材主鉄筋の端部が挿入され他方の開口が部材端面に開口
しているような態様で埋設された態様で使用されると
き、PC部材間鉄筋接合に特に有利である。(第3図参
照)このようなPC部材を製作するに当っては、鉄筋の端
部にこの端部を挿入したモルタルスリーブを固定した鉄
筋を型枠内に配置しなければならない。ところが、スリ
ーブと鉄筋とは遊挿関係にあって両者間には固定力がな
いので固定するための補助手段を講ずる必要がある。現
在、この補助手段として特製のラバープラグが用いられ
ているが、このためPC部材製作に余分な材料費と工数と
を必要とする問題点がある。
これに対処するため、スリーブの一端にメスネジを設
けた孔を有するら着部を結合させた継手金物が提案され
ている。この金物のら着部に一方の鉄筋(その表面のは
オスネジが設けられている)をら着して固着しもう一方
の鉄筋をスリーブに挿入してモルタル充填により固着し
て一対の鉄筋の接合をなす。すなわちこの金物による接
合の機構は一方はら着、もう一方はモルタル固着であ
る。従って両固着機構による固着力は同程度である。
このネジモルタル方式継手を用いると、PC部材製作に
当っての上記の鉄筋端部への継手固定の問題はなくなる
が、ら着部にら着できる鉄筋はら着部のメスネジに厳密
にら着できるオスネジを備えたものでなければならず選
択の幅がきわめて狭く限定される問題点がある。
(問題点を解決するための手段) 本発明のモルタル充填式鉄筋継手スリーブは第1図に
例示するように、両端が開口している細長い中空筒状体
であるスリーブ部1と軸心に透孔3が設けられた筒状体
である保持部2が共軸かつ一体的に結合した構造のもの
であって、 (イ)上記スリーブ部1の内壁面には長手方向に対して
横方向に連なる突条または溝5が複数個設けられている
と共に、必要に応じて注入口6および/または排出口7
が設けられており (ロ)上記保持部2はスリーブ部1に連通していると共
に、その内壁面にはらせん溝4がほぼ一周分もうけられ
ている ことを特徴とするモルタル充填式鉄筋継手スリーブであ
る。
本発明のモルタルスリーブによる鉄筋接合の態様を第
2図に例示する。接合しようとする一対の鉄筋9および
9′の一方の鉄筋9(その表面には上記らせん溝4にら
合しうるらせん状突条10が設けられている)の端部を透
孔3の開口かららせん溝4にら合させながらスリーブ部
1内に挿入しその末端をスリーブ部長手方向にほぼ中央
に達せしめる。ついで、鉄筋9にあらかじめ装着してあ
ったロックナット8をこれが保持部2の開口端面に密着
するまで締付ける。次に、もう一方の鉄筋9′の端部を
スリーブ部1の開口からスリーブ部内に挿入し鉄筋9と
突き合わせ状に相会せしめ、スリーブ部内に流動性のモ
ルタル11を注入充填する。このモルタルの硬化により鉄
筋の接合が完成する。この場合、鉄筋9と保持部との固
定は僅か一周分のら合のみであるからモルタル固着によ
る固着力には到底及ばす単なる仮止めに過ぎない。鉄筋
接合の機構は、あくまでスリーブ部におけるモルタル固
着によっている。この点が上に述べたネジモルタル方式
の継手金物と根本的に異なっている。
本発明のモルタルスリーブをPC部材内に埋設して使用
する場合の態様例を第3図に示す。図において、上方PC
部材Aの下端部には本発明のモルタルスリーブがつぎの
態様で埋設されている。すなわち、スリーブ部1の開口
端は部材下端面に面一に開口しており、部材主鉄筋12−
aの下端部は第2図に示したような態様で保持部2にら
合しつつスリーブ部内に挿入されその下端部はスリーブ
部の長手方向ほぼ中央に達している。この鉄筋はロック
ナット8によって保持部に緊締されている。下方PC部材
Bの部材主鉄筋12−bの下端部は部材上端面から上方に
突き出て露出している。この鉄筋突出端部が上方PC部材
内に埋設されているスリーブ部内に収容されるように上
方PC部材を建て入れる。ついで、スリーブ部内に部材外
部から注入口6を通じて流動性のモルタル11をそれが排
出口7から溢れ出るまで注入充填する。
本発明のモルタルスリーブを用いた場合、鉄筋の接合
がPC部材内部で行なわれるので他の接合方式のように接
合のための作業空間を必要としない。これにより後打ち
コンクリートの打設が不要となるほか、接合すべき上下
部材鉄筋対の軸心が厳密に一致していなくてもスリーブ
部開口から挿入できる程度のずれならば接合できる利点
がある。また、一つの接合端面に多数の接合すべき上下
部材鉄筋対があっても一動作で全部接合できる利点もあ
る。これらはモルタルスリーブ全般に通ずる利点であ
る。
なお、第4図の場合とは逆に、下方PC部材の上端部に
スリーブを埋設し上方PC部材の下端面から下方に突き出
て露出している上方部材鉄筋端部を埋設スリーブ内に挿
入するように上方PC部材を建て入れて接合するやりかた
もある。この場合には注入口および排出口のいずれかま
たは全部を省略できる。
本発明のモルタルスリーブにおけるスリーブ部の形
状、構造、突条または溝の構成等は従来公知のモルタル
スリーブのそれであってよい。
また、スリーブ部に充填されるモルタルは高強度、高
流動性かつ無収縮性のグラウトの使用が好ましいが、注
入時流動性で注入後硬化する材料であれば無機系、有機
系を問わず使用できる。
(発明の効果) 本発明のモルタルスリーブはこれをPC部材の接合に用
いた場合の上記のモルタルスリーブ特有の利点を全く損
なうことなく、その問題点であった部材製作時のスリー
ブの鉄筋端部への固定がきわめて容易に実施できる利点
がある。
しこうして、上に述べたようなネジモルタル方式の継
手では使用できる鉄筋が限定されてしまうのに対して、
本発明のモルタルスリーブにおいては、ら合が僅かに一
周分なので鉄筋表面に設けられたらせん状突条のらせん
特性が保持部に設けられたらせん溝のそれと厳密に一致
していなくても両者のら合が可能である。かくて本発明
のモルタルスリーブ使用できる鉄筋の選択の幅が広い。
(そのかわり、鉄筋と保持部との結合力は弱く仮止め程
度の結合力に過ぎないが本発明の目的にはそれで充分で
ある) なお、従来のモルタルスリーブにおいては、スリーブ
の開口と挿入鉄筋との間にはかなり広い隙間があって型
枠内にコンクリートを打設する場合この隙間からコンク
リートのペースト部またはモルタル部が侵入してくるト
ラブルを防ぐたためにこの隙間をシールする必要があっ
た。本発明の場合には、保持部と鉄筋との間の隙間はも
ともと狭く上記のトラブル発生の可能性は小さいがロッ
クナットの緊締によりこの隙間がロックナットで塞がれ
るので上記のシールは完全である。
ところで、近時、異形鉄筋の一種として製造時に鉄筋
表面にらせん状突条を設けたねじふし鉄筋なる鉄筋が市
販され容易に入手できる。このらせん状突条のらせん特
性は市販の銘柄により多少の相違があるが概ね近似して
いる。よって、この市販のねじふし鉄筋のらせん特性の
平均的ならせん特性のらせん溝を設けた保持部を有する
本発明のモルタルスリーブを用意しておけば市販のねじ
ふし鉄筋はすべて使用できる。このように、本発明のモ
ルタルスリーブはねじふし鉄筋使用の場合に特に有利な
実用性を示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のモルタルスリーブの一例を示す縦断面
図、第2図は本発明のモルタルスリーブを用いて鉄筋を
接合した場合の態様例を示す縦断面図、第3図は本発明
のモルタルスリーブを用いたPC部材の接合態様例を示す
縦断面図、第4図は従来のモルタルスリーブの一例を示
す縦断面図である。 図面における記号はつぎのとおりである。 1:スリーブ部、2:保持部 3:透孔、4:らせん溝 5:突条または溝、6:注入口 7:排出口、8:ロックナット 9,9′:鉄筋、10:らせん状突条 11:モルタル、12−a,12−b:部材鉄筋 13:従来のモルタルスリーブ A:上方PC部材、B:下方PC部材

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両端が開口している細長い中空筒状体であ
    るスリーブ部と、軸心に透孔が設けられた筒状体である
    保持部とが共軸かつ一体的に結合した構造のものであっ
    て、 (イ)上記スリーブ部の内壁面には長手方向に対して横
    方向に連らなる突条または溝が複数個設けられていると
    共に、必要に応じて注入口および/または排出口が設け
    られており (ロ)上記保持部はスリーブ部に連通していると共に、
    その内壁面にはらせん溝がほぼ一周分設けられている ことを特徴とするモルタル充填式鉄筋継手スリーブ
JP2037206A 1990-02-20 1990-02-20 モルタル充填式鉄筋継手スリーブ Expired - Fee Related JP2764757B2 (ja)

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