JP2762890B2 - 楽音合成装置 - Google Patents

楽音合成装置

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JP2762890B2
JP2762890B2 JP5056085A JP5608593A JP2762890B2 JP 2762890 B2 JP2762890 B2 JP 2762890B2 JP 5056085 A JP5056085 A JP 5056085A JP 5608593 A JP5608593 A JP 5608593A JP 2762890 B2 JP2762890 B2 JP 2762890B2
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    • G10H2250/315Sound category-dependent sound synthesis processes [Gensound] for musical use; Sound category-specific synthesis-controlling parameters or control means therefor
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    • G10H2250/471General musical sound synthesis principles, i.e. sound category-independent synthesis methods
    • G10H2250/511Physical modelling or real-time simulation of the acoustomechanical behaviour of acoustic musical instruments using, e.g. waveguides or looped delay lines
    • G10H2250/521Closed loop models therefor, e.g. with filter and delay line

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、入力される励振信号に
少なくとも遅延処理を施すループ手段を有し、楽音を合
成する楽音合成装置、および複数の信号を加算する加算
手段を有し、楽音を合成する楽音合成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図12は従来の楽音合成装置の第1の構
成例を示すブロック図であり、この図において、1は励
振信号発生回路であり、ノイズ成分を多く含み、特に音
高感のない励振信号を持続的に発生して出力する。2お
よび3は遅延回路やフィルタ等を有する同一構成のルー
プ回路であり、各ループ回路2および3のそれぞれのル
ープ1周の遅延時間は、発生すべき楽音の音高周期に等
しい時間にそれぞれ設定されている。また、各ループ回
路2および3のそれぞれの周波数特性は櫛形であり、0
Hzのポイントを除いた櫛形のピークの最低周波数が発
生すべき楽音の音高周波数に一致しているとともに、他
の櫛形のピークの周波数がこの発生すべき楽音の音高周
波数と略整数倍の関係にある音高周波数を有する楽音の
周波数に一致している。したがって、これらのループ回
路2および3を通過して出力される信号は、音高感を有
したものとなる。
【0003】ここで、ループ回路2とループ回路3とを
図12に示すように直列接続する理由について説明す
る。ループ回路2、あるいは3を単独で用いた場合、音
高感を高めるためには、そのループ回路内を循環する信
号に対するループ回路の櫛形の周波数特性の各ピークを
より急峻にする必要があるが、そのためにはループ回路
のループゲインを上げればよい。しかしながら、ループ
回路のループゲインを上げ過ぎると、過渡応答特性が長
くなり、楽音がすぐに減衰しなくなるばかりでなく、ル
ープ回路の動作の安定性に問題が生じ、最悪の場合、演
算エラーが発生してしまう。したがって、ループ回路
は、ある程度櫛形の周波数特性の各ピークを鈍らせた状
態で用いることが多く、このため、ループ回路を単独で
用いた場合には、音高感がはっきりしない。そこで、ル
ープ回路2および3を直列接続することにより、過渡応
答特性をさほど長くすることなく、直列接続されたルー
プ回路2および3全体の櫛形の周波数特性の各ピークを
より急峻にしているのである。このような構成のものに
持続的に音高感のない励振信号を入力すれば、音高感の
確かな品質の高い持続音系の楽音を合成することができ
る。
【0004】いっぽう、上述したループ回路単独でも音
高感が充分に得られるように構成し、ループ回路を単独
で用いたり、あるいは図13に示すように、ループ回路
2とループ回路3とを並列接続してそれぞれの出力信号
を加算器4によって加算して出力することもある。特
に、減衰音系の楽音を合成する場合には、各ループ回路
のループゲインを上げるとともに、励振信号発生回路1
から瞬間的に励振信号を発生して、単独のループ回路、
あるいは並列接続されたループ回路2および3にそれぞ
れ入力し、各ループ回路の長い過渡応答特性自体を利用
して楽音を合成する場合が多い。このように音高感のあ
る楽音を合成して出力する場合、図12に示す構成で
は、ループ回路3の出力信号をそのまま出力し、図13
に示す構成では、ループ回路2とループ回路3のそれぞ
れの出力信号を加算器4によって加算して出力してい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の楽音合成装置においては、音高感のある楽音を合成
することができるが、その楽音は逆に倍音が整然と配列
され過ぎており、自然楽器が発生する楽音に比べて物足
りないものとなるという欠点があった。ここで、バイオ
リンを例にとって自然楽器が発生する楽音の複雑性につ
いて考察する。バイオリンにおいては、演奏者が弦を弓
で擦って楽音を発生させているが、この時演奏者が弓を
操作することによって発生したエネルギが弦に伝えら
れ、このエネルギによって発生した波が弦の両端間で往
復伝搬される。そして、弦の両端間で往復伝搬された波
は、胴部がその波に共鳴することにより、音響的に拡大
されて空間に放射される。
【0006】また、バイオリンにおいては、上述した波
の弦の両端間における往復伝搬だけでなく、弓が弦と擦
れ合うことによって発生する摩擦音の一部もその擦れ合
うポイント、あるいは弓を通じて空間に放射されて、少
ないながら聴取者の耳にも伝えられている。この摩擦音
の一部が楽音にふくよかさを与えている。そして、この
摩擦音の一部が空間に放射される際の音響特性は、バイ
オリンの胴部が弦の両端間で往復伝搬された波に共鳴し
てその波が音響的に拡大され、空間に放射される際の音
響特性とはその周波数特性が異なっている。以上説明し
たように、自然楽器が発生する楽音は、単に音高感があ
るだけでなく、複雑性を有しており、ふくよかである。
【0007】これに対して、上述した従来の楽音合成装
置において、ループ回路2および3は、たとえば、上述
したバイオリンの弦の両端間の波の往復伝搬をシミュレ
ートしたものである。また、図12のループ回路3、ま
たは図13の加算器4から出力される信号をアンプ等に
よって増幅した後、スピーカ等の電気音響変換器によっ
て音に変換することは、バイオリンの胴部が弦の両端間
で往復伝搬された波に共鳴してその波が音響的に拡大さ
れ、空間に放射される現象に相当している。
【0008】しかしながら、上述した従来の楽音合成装
置においては、たとえば、上述したバイオリンの弓と弦
とが擦れ合って発生する摩擦音の一部などの、楽音の主
要成分以外のどちらかといえばノイズ成分に近い成分ま
では出力させてはいない。したがって、上述したよう
に、従来の楽音合成装置が発生する楽音は、自然楽器が
発生する楽音に比べて物足りないものとなってしまう。
【0009】また、上述した従来の楽音合成装置におい
ては、各構成要素は、通常、ディジタル回路によって構
成されているが、たとえば、図13に示すように、各構
成要素の出力信号を加算器によって加算する場合、各構
成要素に与えられる音色等の各種パラメータをそれぞれ
設定変更したりすると、各構成要素からそれぞれ出力さ
れる信号のレベルは、その毎に異なってくる。
【0010】したがって、加算器の出力信号の値、ある
いは場合によっては各構成要素からそれぞれ出力される
信号の値があらかじめ設定されたビット数を越えてオー
バーフローしてしまうことがある。そのような場合に
は、加算器から出力される楽音信号が歪んでしまい、所
望の楽音が得られない。もっとも、加算器などの各構成
要素をビット数に十分余裕をもって構成すればよいが、
その場合には、回路規模が大きくなってしまい、コスト
アップにつながるという欠点があった。
【0011】本発明は、このような背景の下になされた
もので、自然楽器が発生する楽音と同様、単に音高感が
あるだけでなく、複雑性を有したふくよかな楽音を合成
することができる楽音合成装置を提供することを第1の
目的とし、音色等の各種パラメータを設定変更しても歪
みのない高品質の楽音を合成することができる楽音合成
装置を提供することを第2の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
発生すべき楽音の音高を指示する音高情報を発生する音
高情報発生手段と、信号を出力する励起信号発生手段
と、前記励起信号発生手段から出力された信号を、前記
音高情報が指示する音高に対応する時間遅延しつつ、繰
り返し循環させる少なくとも1つのループ手段とを具備
する楽音合成装置において、前記励起信号発生手段およ
び前記少なくとも1つのループ手段から出力される信号
のうち少なくとも2つの信号を加算し、この加算された
信号を楽音信号として出力する加算手段と、前記加算手
段で加算される少なくとも2つの信号のうちの少なくと
も1つの信号のレベルを調整データに従って調整するレ
ベル調整手段と、前記音高情報発生手段から出力される
音高情報で指示されるすべての音高について、前記調整
データを予め自動的に決定する制御手段とを具備するこ
とを特徴としている。
【0013】請求項2記載の発明は、請求項1記載の楽
音合成装置において、さらに、前記加算手段によって加
算された信号のレベルに応じた表示を行う表示手段を具
備することを特徴としている。
【0014】請求項3記載の発明は、発生すべき楽音の
音高を指示する音高情報を発生する音高情報発生手段
と、信号を出力する励起信号発生手段と、前記励起信号
発生手段から出力された信号を各々入力するとともに、
該入力した信号を前記音高情報が指示する音高に対応す
る時間遅延しつつ、繰り返し循環させる、互いに並列接
続された複数のループ手段とを具備する楽音合成装置に
おいて、少なくとも前記複数のループ手段から出力され
た複数の信号を加算し、この加算された信号を楽音信号
として出力する加算手段と、前記複数のループ手段のう
ちの少なくとも1つのループ手段を循環する信号のレベ
ルを検出して、この検出結果に応じて各ループ手段に入
力される信号のレベルを全ループ手段について一律に調
整するレベル調整手段とを具備することを特徴としてい
る。
【0015】
【作用】請求項1記載の発明によれば、加算手段によっ
て、励起信号発生手段および少なくとも1つのループ手
段から出力される信号のうち少なくとも2つの信号が加
算され、この加算された信号が楽音信号として出力され
る。また、レベル調整手段によって、加算手段で加算さ
れる少なくとも2つの信号のうちの少なくとも1つの信
号のレベルが調整データに従って調整される。この調整
データは、制御手段によって、音高情報発生手段から出
力される音高情報で指示されるすべての音高について、
予め自動的に決定される。
【0016】したがって、加算手段による加算処理によ
って複雑性を有したふくよかな楽音を合成することがで
きるとともに、レベル調整手段によって加算処理におけ
るオバーフローを防止することが可能となる。さらに、
レベル調整手段が用いる調整データが制御手段によって
すべての音高について予め自動的に決定されているの
で、楽音の発生開始当初からレベルが安定した楽音信号
を発生することができる。
【0017】請求項2記載の発明によれば、上記作用効
果に加えて、調整すべき楽音信号の信号レベルが適性か
どうかを演奏者が視覚によって確認することができる。
【0018】請求項3記載の発明によれば、加算手段に
よって、複数のループ手段から出力された複数の信号が
加算され、この加算された信号が楽音信号として出力さ
れる。また、レベル調整手段によって、複数のループ手
段のうちの少なくとも1つのループ手段を循環する信号
のレベルが検出されて、この検出結果に応じて各ループ
手段に入力される信号のレベルが全ループ手段について
一律に調整される。したがって、加算手段による加算処
理によって複雑性を有したふくよかな楽音が合成される
とともに、レベル調整手段によって加算処理におけるオ
バーフローを防止することが可能となる。さらに、複数
のループ手段が並列接続されていた場合には、オーバー
フローした1つのループ手段のみレベル調整すると、そ
のループ手段の出力信号のみレベルが小さくなってしま
うため、結果として、各ループ手段の出力信号の混合比
率が変化してしまい、得られる楽音信号の音色が変化し
てしまうことになるが、上記構成では全てのループ手段
についてレベル調整することにより、オーバーフローを
防止しても楽音信号の音色が変化しない。
【0019】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例につ
いて説明する。図1は本発明の第1の実施例による楽音
合成装置の構成を示すブロック図であり、この図におい
て、図13の各部に対応する部分には同一の符号を付
け、その説明を省略する。加算器4は、励振信号と、ル
ープ回路2およびループ回路3のそれぞれから出力され
る信号とを所定の割合で加算する。
【0020】ループ回路2の出力信号は、励振信号に比
べて、楽音のふくよかさを作り出す信号としては劣る
が、励振信号よりノイズ成分が減少しているので、励振
信号とループ回路3の出力信号だけを加算器4によって
加算する構成よりも自然楽器音に近いふくよかな楽音を
合成できる場合がある。なお、励振信号と、ループ回路
2およびループ回路3のそれぞれから出力される信号と
を加算する割合は、所望の楽音が合成できるように、試
行錯誤により調整して決定すればよい。
【0021】ところで、上述した第1の実施例による楽
音合成装置においては、励振信号を加算する割合を多く
すると、楽音のふくよかさの点では従来の楽音合成装置
が合成する楽音に比べて改善されるが、励振信号にもと
もと含まれているノイズ成分のために、加算器4から出
力される最終的な楽音は、聴感上本来の楽音信号とノイ
ズ信号とが分離して聞こえ、S/Nが悪い楽音合成装置
が合成する楽音と同じになってしまう。逆に、励振信号
を加算する割合を少なくすると、聴取者のS/N感は改
善されるが、今度は楽音のふくよかさの点で従来の楽音
合成装置が合成する楽音とほとんど差がなくなってしま
う。したがって、上述した第1の実施例による楽音合成
装置は、励振信号を加算する割合を多くしても、ノイズ
成分が聴取者にとって気にならないような特定の特性を
有する励振信号を用いる場合だけに有用であり、楽音合
成の幅が狭い。
【0022】次に、楽音のふくよかさと聴取者のS/N
感の良さとを両立させることができる本発明の第2の実
施例について説明する。バイオリン等の自然楽器が発生
する楽音は、上述した第1の実施例による楽音合成装置
と異なり、楽音のふくよかさと聴取者のS/N感の良さ
とが両立している。以下、その理由を説明する。弓が弦
と擦れ合うことによって発生する摩擦音は、弦の両端間
で波の往復伝搬の源であると同時に、〔発明が解決しよ
うとする課題〕の項で既に説明したように、その一部が
その擦れ合うポイント、あるいは弓を通じて空間に放射
されて、少ないながら聴取者の耳にも伝えられている。
そして、摩擦音の一部が空間に放射される際の音響特性
は、バイオリンの胴部が弦の両端間で往復伝搬された波
に共鳴してその波が音響的に拡大され、空間に放射され
る際の音響特性とはその周波数特性が異なっており、一
般には、胴部から空間に放射される際の音響特性に比べ
て、電気回路的な表現からいうと、ほぼローパスフィル
タ(以下、LPFという)やバンドパスフィルタ(以
下、BPFという)を通過させたような特性が強い場合
が多い。
【0023】そこで、図2に示すように、励振信号発生
回路1、ループ回路2および3のそれぞれの後段にフィ
ルタ5〜7を設けることにより、楽音のふくよかさと聴
取者のS/N感の良さとを両立させることができる。図
2において、図1の各部に対応する部分には同一の符号
を付け、その説明を省略する。これらのフィルタ5〜7
としては、LPF,BPF,ハイパスフィルタ(以下、
HPFという)、あるいはバンドエルミネーションフィ
ルタ(以下、BEFという)など、通常楽音信号に所定
の特性を付与するために用いているものを用いることが
できる。そして、フィルタ5〜7の特性を、それぞれエ
ンベロープジェネレータなどの出力信号によって制御し
たり、あるいは音色パラメータやキースケールに応じて
制御することにより、より自由度の高い楽音を発生させ
ることができる。
【0024】次に、本発明の第3の実施例について説明
する。図3は本発明の第3の実施例による楽音合成装置
を適用した電子楽器の構成を示すブロック図である。こ
の図において、8は装置各部を制御するCPU(中央処
理装置)、9はCPU8にロードされる各種制御プログ
ラムやこれらプログラムで用いられる各種データなどが
記憶されるROM、10はワーキングバッファなどが設
けられたRAM、11は鍵盤等の演奏操作子、12は音
色を選択設定するための音色設定操作子である。
【0025】また、13は楽音発生回路であり、CPU
8より転送される音色パラメータTCなどの各種パラメ
ータに基づいて楽音発生を行うN個の楽音発生チャンネ
ル141,142,・・・,14Nを有し、この楽音発生
チャンネル141,142,・・・,14Nで形成される
L,R各1チャンネルずつの楽音信号D1L,R,D
L,R,・・・,DNL,Rを加算器15によって加算す
る。16は乗算器であり、加算器15から出力される
L,R各1チャンネルずつの楽音信号ML,Rと、CPU
8から転送される係数制御データVOLとを乗算し、乗
算結果をL,R各1チャンネルずつの楽音信号SDL,R
として出力する。17は乗算器、18は自動レベル制御
回路であり、自動レベル制御回路18は、乗算器17の
乗算結果であるL,R各1チャンネルずつのモニタ信号
MDL,Rのレベルを検出し、そのレベルがCPU8から
転送されるモニタレベルデータMLに等しくなるように
して、楽音が急に大音量で発生しないように乗算器17
の乗算係数を調整する。
【0026】さらに、19は信号レベルを表示するイン
ジケータであり、たとえば、多数の発光ダイオード(L
ED)が一列に並べられて構成されている。このインジ
ケータ19は、その時々の信号レベルに応じた個数のL
EDが点灯するが、信号レベルの最大値近傍に対応した
複数のLEDには他のLEDと異なる色のLEDが用い
られており、信号レベルが最大値に近づくと、これら異
なる色のLEDが点灯して演奏者に警告する。
【0027】次に、図4に楽音発生チャンネル14の構
成を示す。この図において、20は波形信号を出力する
波形発生部であり、CPU8から転送される、発生され
る波形信号の波形の指定、波形信号の発生タイミングの
指示および波形信号のピッチの指定等に関する波形制御
データWCに基づいて、所定波形の波形信号を出力す
る。なお、この波形発生部16の波形信号の発生の方式
は、どのようなものでもよいが、特にFM変調が可能な
構成が望ましく、波形信号を後述するノイズ信号によっ
て変調してゆらぎを与えるようにする。
【0028】21はホワイトノイズ等のノイズ信号を発
生するノイズ発生部であり、CPU8から転送されるノ
イズ制御データNCに基づいて、所定のノイズ信号を出
力する。22および23はフィルタであり、CPU8か
ら転送される係数制御データFACおよびFBCに基づ
いて、波形発生部20およびノイズ発生部21のそれぞ
れの出力信号に対して所定の特性を付与する。24はC
PU8から転送されるミキシング制御データMCに基づ
いて、フィルタ22および23の出力信号をミキシング
して出力するミキサである。以上説明した構成要素20
〜24は、励振信号発生回路ESCを構成している。こ
の励振信号発生回路ESCから出力される励振信号は、
演奏操作子11を構成する鍵盤のキーが押鍵されてから
離鍵されるまで、すなわち、キーオンからキーオフまで
持続的に発生されるものとする。
【0029】25および26はそれぞれ遅延フィードバ
ック型の楽音合成音源の主要部であるループ回路であ
る。また、27はスイッチであり、CPU8から転送さ
れるスイッチ制御データCSに基づいて、共通端子Tc
を端子Taに接続してループ回路25とループ回路26
とを並列接続したり、あるいは、共通端子Tcを端子Tb
に接続してループ回路25とループ回路26とを直列接
続するように切り換えることができる。
【0030】ループ回路25において、HPF28は、
CPU8から転送される係数制御データHC1に基づい
て、ミキサ24の出力信号に含まれている直流付近の超
低周波成分を阻止する。このHPF28が設けられてい
るのは、以下に示す理由による。すなわち、励振信号発
生部ESCにおいてノイズ信号を用いているため、励振
信号自体にノイズ信号中の超低周波成分がわずかながら
含まれてしまうが、この超低周波成分は、ループ回路2
5の中で繰り返し加算される間符号が変わらないので、
ループ回路25の中で値が大きくなってオーバーフロー
を起こす原因となりやすいからである。後述するループ
回路26のHPF35も同様の理由により設けられてい
る。
【0031】波形変換回路29は、非線形特性を有し、
CPU8から転送される波形変調制御データWMC1
基づいて、入力信号を歪ませて、倍音をより多く含ませ
るように変換する。加算器30は、波形変換回路29の
出力信号を第1の入力端から入力し、加算結果をループ
フィルタ31に供給する。ループフィルタ31は、CP
U8から転送される係数制御データLC11に基づいて、
加算器30の加算結果に所定の特性を付与し、その出力
信号を後述する出力フィルタ452、スイッチ27の端
子Tbおよびディレイ32に供給する。
【0032】ディレイ32は、CPU8から転送される
遅延制御データDC1に基づいて、ループフィルタ31
の出力信号を所定時間遅延して出力する。ループフィル
タ33は、CPU8から転送される係数制御データLC
12に基づいて、ディレイ32の出力信号に所定の特性を
付与し、その出力信号を乗算器34に供給する。乗算器
34は、ループフィルタ33の出力信号と、CPU8か
ら転送されるループゲイン制御データLG1とを乗算
し、その乗算結果を加算器30の第2の入力端に供給す
る。なお、ディレイ32の遅延時間は、その遅延時間
と、ループフィルタ31および33のそれぞれの遅延時
間とを合わせた全遅延時間が、発音が指示された楽音の
音高周期と一致するように、CPU8から転送される遅
延制御データDC1に基づいて、設定される。
【0033】次に、ループ回路26において、HPF3
1は、CPU8から転送される係数制御データHC2
基づいて、スイッチ27の共通端子Tcを介して入力さ
れるミキサ24の出力信号、あるいはループ回路25の
ループフィルタ31の出力信号に含まれている直流付近
の超低周波成分を阻止する。波形変換回路36は、非線
形特性を有し、CPU8から転送される波形変調制御デ
ータWMC2に基づいて、入力信号を歪ませて、倍音を
より多く含ませるように変換する。加算器37は、波形
変換回路36の出力信号を第1の入力端から入力し、加
算結果をループフィルタ38に供給する。
【0034】ループフィルタ38は、CPU8から転送
される係数制御データLC21に基づいて、加算器37の
加算結果に所定の特性を付与し、その出力信号をディレ
イ39および後述する出力フィルタ453に供給する。
ディレイ39は、CPU8から転送される遅延制御デー
タDC2に基づいて、ループフィルタ38の出力信号を
所定時間遅延して出力する。また、このディレイ39
は、遅延制御データDC2によって設定される遅延時間
よりも短い遅延時間遅延された補助出力信号(タップ出
力信号)を出力するタップ出力端を有している。ループ
フィルタ40は、CPU8から転送される係数制御デー
タLC22に基づいて、ディレイ39の出力信号に所定の
特性を付与し、その出力信号を乗算器41に供給する。
なお、ディレイ39の遅延時間も、ディレイ32の遅延
時間と同様、その全遅延時間と、ループフィルタ38お
よび40のそれぞれの遅延時間とを合わせた全遅延時間
が、発音が指示された楽音の音高周期と一致するよう
に、CPU8から転送される遅延制御データDC2に基
づいて、設定される。
【0035】乗算器41は、ループフィルタ40の出力
信号と、CPU8から転送されるタップバランス制御デ
ータTB1とを乗算し、その乗算結果を加算器42の第
1の入力端に供給する。乗算器41は、ディレイ39の
タップ出力端から出力されるタップ出力信号と、CPU
8から転送されるタップバランス制御データTB2とを
乗算し、その乗算結果を加算器42の第2の入力端に供
給する。加算器42は、乗算器41の出力信号および乗
算器43の出力信号とを加算し、加算結果を乗算器44
に供給する。乗算器44は、加算器42の出力信号と、
CPU8から転送されるループゲイン制御データLG2
とを乗算し、その乗算結果を加算器37の第2の入力端
に供給する。
【0036】以上説明したループ回路26は、基本的に
は、ループ回路25と同様の構成であるが、ディレイ3
9のタップ出力端から出力される、やや短い遅延時間遅
延されたタップ出力信号と、ループフィルタ40の出力
信号とを任意の割合で混合することができるので、ルー
プ回路26の特性をループ回路25よりも多様に制御す
ることができる。
【0037】また、451〜453はそれぞれ出力フィル
タであり、それぞれCPU8から転送される出力フィル
タ制御データOFC1〜OFC3に基づいて、ミキサ24
の出力信号、ループ回路25の出力信号およびループ回
路26の出力信号に対して所定の特性を付与する。ここ
で、図5に出力フィルタ45や、既に説明したフィルタ
5〜7、22および23、さらにはループフィルタ3
1、33、38および40として用いられるフィルタの
構成の一例を示す。このフィルタは、ボルテージコント
ロールドフィルタと呼ばれるアナログフィルタの特性式
における加算を加算器に、減算を減算器、または加算器
および反転器に、乗算を乗算器に、積分を累算器にそれ
ぞれ置換してディジタルコントロールできるようにした
ものである。
【0038】図5において、各種信号が入力端子46か
ら入力されると、入力信号にHPFの特性を付与した信
号HPが加算器47の出力端から得られ、入力信号にB
PFの特性を付与した信号BPが加算器48の出力端か
ら得られ、入力信号にLPFの特性を付与した信号LP
が加算器49の出力端から得られ、入力信号にBEFの
特性を付与した信号BEが加算器50の出力端から得ら
れる。なお、CPU8から転送される出力フィルタ制御
データOFC1〜OFC3(出力フィルタ45の場合)に
基づいて、乗算器51および52の乗算係数FQを変更
すると、カットオフ周波数が変化し、乗算器53の乗算
係数(1/Q)を変更すると、Qが変化し、乗算器54
の乗算係数kを変更すると、BEFの阻止レベルが変化
する。
【0039】また、図4において、55は出力ミキサで
あり、CPU8から転送される出力ミキシング制御デー
タMOC(ゲイン制御データGxx、パン制御データPA
LR)に基づいて、出力フィルタ451〜453のそれ
ぞれから転送される信号LP,BP,HP,BEをミキ
シングして、L,R各1チャンネルずつの楽音信号
L,DRを出力する。
【0040】なお、以上説明した各種制御データは、演
奏者が音色設定操作子12を操作することによって選択
設定した音色に対応した音色番号の音色データ(音色番
号毎にROM9やRAM10等にあらかじめ記憶されて
いる)に基づいて決定されるとともに、キーコードK
C、あるいはタッチデータTOUCHなどによっても決
定される。
【0041】次に、図6に出力ミキサ55の構成の一例
を示す。図6において、561〜563はそれぞれ入力さ
れる信号LP1〜LP3,BP1〜BP3,HP1〜HP3
BE1〜BE3を、音色に応じてCPU8から転送される
重付係数データG11〜G14,G21〜G24,G31〜G34
基づいて、重み付けして出力する重付器(乗算器)であ
る。57は各重付器561〜563からそれぞれ出力され
る計12チャンネルの信号を12個の入力端I11
14,I21〜I24,I31〜I34から入力して加算し、加
算結果を加算出力端MOから出力する全加算器である。
【0042】この全加算器57は、その加算結果の信号
レベルを表すレベル信号LVを出力するとともに、ビッ
トが最大値を越えた時には、オーバーフロー信号OFを
出力してCPU8に供給する。これにより、CPU8
は、重付器561〜563に、それぞれの重付係数データ
11〜G14,G21〜G24,G31〜G34に対応した乗算係
数を一律に下げるための調整データADJを供給する。
【0043】乗算器58および59は、それぞれCPU
8から転送されるパン制御データPANLRと、全加算
器57の出力信号とを乗算し、それぞれの乗算結果を
L,R各1チャンネルずつの楽音信号DL,DRとして出
力する。なお、以上説明した楽音発生チャンネル14
は、ハードウェアによって構成しても、ディジタル・シ
グナル・プロセッサ(DSP)によって構成してもよ
い。
【0044】このような構成において、CPU8の動作
について図7および図8に示すフローチャートを参照し
て説明する。図3に示す電子楽器に電源が投入される
と、CPU8は、まず、図5のメインルーチンのステッ
プSA1の処理へ進み、装置各部のイニシャライズを行
う。このイニシャライズは、各種レジスタのゼロリセッ
トおよび周辺回路の初期設定となる各種変数の初期設定
等である。そして、CPU8は、ステップSA2へ進
む。
【0045】ステップSA2では、演奏者によって操作
される演奏操作子11および音色操作子12をスキャン
して、鍵盤の押離鍵状態や各種操作子の操作状態を検出
した後、ステップSA3へ進む。ステップSA3では、
ステップSA2の操作子スキャン処理において検出され
た鍵盤の押離鍵状態や各種操作子の操作状態に応じて、
キーイベントフラグ、キーコードKCあるいは、タッチ
データTOUCHの設定や、選択設定された音色に対応
した各種パラメータの設定など、操作子に対応した処理
を行った後、ステップSA4へ進む。
【0046】ステップSA4では、レベル調整モードが
設定されているか否かを判断する。演奏者が演奏操作子
11のレベル調整スイッチをオンすると、レベル調整ス
イッチのオン状態が上述したステップSA2の操作子ス
キャン処理において検出され、レベル調整モードが設定
される。この際、上述したステップSA3の操作子対応
処理において、後述するレベル調整処理が終了した際に
1にセットされる処理終了フラグFLGが0にリセット
される。このステップSA4の判断結果が「NO」の場
合には、ステップSA5へ進む。
【0047】ステップSA5では、演奏者による鍵盤を
用いた演奏操作に応じた通常の演奏発音処理を行う。な
お、この演奏発音処理については、公知であるので、そ
の説明を省略する。そして、この演奏発音処理が終了す
ると、CPU8は、ステップSA7へ進む。いっぽう、
ステップSA4の判断結果が「YES」の場合、すなわ
ち、レベル調整モードが設定されている場合には、ステ
ップSA6へ進む。
【0048】ステップSA6では、出力ミキサ55の各
重付器561〜563に調整データADJを供給し、それ
ぞれの出力レベルを調整するレベル調整処理を行う。こ
のレベル調整処理の詳細については後述する。そして、
レベル調整処理が終了すると、CPU8は、ステップS
A7へ進む。
【0049】ステップSA7では、全加算器57(図6
参照)から供給されるレベル信号LVに応じて、インジ
ケータ19を構成するLEDを点灯させた後、ステップ
SA8へ進む。ステップSA8では、その他の処理が実
行され、こうした処理完了後に、上述したステップSA
2に戻り、電源が切断されるまでステップSA2〜SA
8の一連の処理が繰り返し実行される。
【0050】次に、CPU8のレベル調整処理について
図8に示すフローチャートを参照して説明する。CPU
8の処理が図7のステップSA6へ進むと、図8に示す
レベル調整処理ルーチンが起動される。CPU8は、ま
ず、ステップSB1の処理へ進み、処理終了フラグFL
Gが1にセットされているか否かを判断する。この判断
結果が「YES」の場合には、何もせず、図7に示すメ
インルーチンに戻り、ステップSA7へ進む。
【0051】いっぽう、ステップSB1の判断結果が
「NO」の場合、すなわち、処理終了フラグFLGが0
にリセットされている場合には、ステップSB2へ進
む。ステップSB2では、各種パラメータの設定を行
う。すなわち、調整データADJを最大値の1に設定
し、鍵盤の最低音の鍵からレベル調整するために、キー
コードKCを1に設定する。また、L,R各1チャンネ
ルずつの楽音信号SDL, Rを出力させないようにするた
めに、楽音発生回路13の乗算器16の係数制御データ
VOLを0に設定する。
【0052】いっぽう、L,R各1チャンネルずつのモ
ニタ信号MDL,Rを演奏者よって設定された所望のレベ
ルで出力するために、モニタレベルデータMLを所定値
に設定する。このモニタ信号MDL,Rは、たとえば、ヘ
ッドフォンなどにより演奏者が聴取する。さらに、最も
大きな音が発生された場合、すなわち、演奏者が該当す
る鍵を最も強く押鍵した場合でも楽音信号SDL,Rがオ
ーバーフローしないようにするために、タッチデータT
OUCHを最大値に設定する。そして、CPU8は、ス
テップSB3へ進む。
【0053】ステップSB3では、上述したステップS
B2の各種パラメータ設定処理において設定されたキー
コードKCの音高やタッチデータTOUCHなどに基づ
いて、音色パラメータTCを生成し、調整データAD
J、係数制御データVOLおよびモニタレベルデータM
Lとともに、楽音発生回路13に転送した後、ステップ
SB4へ進む。
【0054】これにより、楽音発生回路13の任意の楽
音発生チャンネル14は、転送された音色パラメータT
Cに基づいて、レベル調整されていない楽音信号を発生
するが、係数制御データVOLが0であるので、楽音発
生回路13の乗算器14からは楽音信号SDL,Rは出力
されない。また、自動レベル制御回路18が乗算器17
から出力されるモニタ信号MDL,Rのレベルを検出し、
そのレベルがモニタレベルデータMLに等しくなるよう
に、乗算器17の乗算係数を調整するので、乗算器17
からは演奏者が所望したレベルに調整されたモニタ信号
MDL,Rが出力される。
【0055】ステップSB4では、全加算器57(図6
参照)から供給されるレベル信号LVに応じて、インジ
ケータ19を構成するLEDを点灯させた後、ステップ
SB5へ進む。ステップSB5では、オーバーフローを
検出したか否かを判断する。この判断は、該当する楽音
発生チャンネル14の出力ミキサ55の全加算器57か
らオーバーフロー信号OFが出力されたか否かを判断し
て行う。この判断結果が「YES」の場合には、ステッ
プSB6へ進む。
【0056】ステップSB6では、調整データADJを
所定量(微小量が望ましい)減少させた後、ステップS
B3へ戻る。これにより、上述したステップSB3〜S
B6の処理ループが再び繰り返され、楽音発生チャンネ
ル14は、今度はレベル調整された楽音信号を発生す
る。このステップSB3〜SB6の処理ループが何回か
繰り返され、全加算器57からオーバーフロー信号OF
が出力されなくなると、ステップSB5の判断結果が
「NO」となり、CPU8は、ステップSB3〜SB6
の処理ループを抜けて、ステップSB7へ進む。
【0057】ステップSB7では、次の鍵についてレベ
ル調整するために、キーコードKCを1インクリメント
した後、ステップSB8へ進む。ステップSB8では、
鍵盤のすべての鍵についてレベル調整が終了したか否か
を判断する。この判断結果が「NO」の場合には、ステ
ップSB3へ戻り、新たな鍵について上述したステップ
SB3〜SB6の処理ループを繰り返す。
【0058】いっぽう、ステップSB8の判断結果が
「YES」の場合、すなわち、鍵盤のすべての鍵につい
てレベル調整が終了した場合には、ステップSB9へ進
む。ステップSB9では、係数制御データVOLを、こ
のレベル調整処理ルーチンが開始される前に設定されて
いた値に戻すとともに、処理終了フラグFLGを1にセ
ットした後、図7に示すメインルーチンへ戻り、ステッ
プSA7へ進む。これにより、演奏者が演奏操作子11
のレベル調整スイッチをオフにしてレベル調整モードを
解除するまでは、CPU8は何もしない。以上説明した
動作により、オーバーフローしない範囲内で最大ビット
数が利用可能な最適な音量に対応した調整データADJ
が自動的に決定される。
【0059】なお、上述した第3の実施例においては、
各キーコードKC毎に、すなわち、1音毎にレベル調整
処理を行う例を示したが、ポリフォニック、つまり複数
楽音を同時に発生させる場合において、各楽音発生チャ
ンネル14毎のオーバーフローを同時に検出できるよう
に構成し、同時に複数楽音発生させながらレベル調整す
るようにしてもよい。
【0060】また、上述した第3の実施例においては、
各楽音発生チャンネル14の出力ミキサ55のオーバー
フローを自動調整する例を示したが、これに限定されな
い。各楽音発生チャンネル14のループ回路25および
26をそれぞれ構成する加算器30、37および42や
乗算器34、41、43および44、あるいはループフ
ィルタ31、33、38および40などの演算器のそれ
ぞれのオーバーフローを検出し、上述した第3の実施例
と同様の手順で各ループ回路の入力レベルを適宜調整す
るようにしてもよい。
【0061】たとえば、図4に示す楽音発生チャンネル
14のスイッチ27の共通端子Tcを端子Tbに接続して
ループ回路25とループ回路26とを直列接続する場合
には、図9に示すように、ループ回路25および26の
それぞれから出力されるオーバーフロー信号OFをオー
バーフロー検出回路60および61によって検出し、オ
ーバーフロー検出回路60および61によってループ回
路25および26のそれぞれの前段に設けられた乗算器
62および63のそれぞれの乗算係数を調整して、それ
ぞれの入力レベルを制御してもよい。
【0062】また、図4に示す楽音発生チャンネル14
のスイッチ27の共通端子Tcを端子Taに接続してルー
プ回路25とループ回路26とを並列接続する場合に
は、図10に示すように、ループ回路25および26の
それぞれから出力されるオーバーフロー信号OFをオー
バーフロー検出回路60および61によって検出し、ル
ープ回路25および26のそれぞれの前段に設けられた
乗算器64および65の乗算係数を調整して、それぞれ
の入力レベルを一律に制御する。この場合、各乗算器6
4および65にCPU8から転送される係数制御データ
MIX1とMIX2との比率は変更しない。というのは、
この比率は音色よって決定されるからである。
【0063】さらに、本発明は、より一般的な楽音合成
装置にも適用することができる。たとえば、図11に示
すように、入力されるキーオン信号KON,タッチデー
タTOUCH,キーコードKCおよび音色パラメータT
Cに基づいて、楽音波形発生部66が所定の楽音波形を
有する楽音信号を発生し、音色フィルタ部67が発生さ
れた楽音信号に音色を付与し、エンベロープ付与部68
が音色が付与された楽音信号にエンベロープを付与する
とにより複数の楽音信号を発生し、チャンネルアキュム
レータ69によって入力される複数の楽音信号を時分割
で累算する楽音合成装置にも、本発明を適用することが
できる。
【0064】そして、楽音波形発生部66において、所
定の音色で、かつ鍵盤の最大タッチ全鍵域で楽音信号を
発生させることにより、フィルタ演算のオーバーフロー
に応じて音色フィルタ部67から出力されるオーバーフ
ロー信号OF1を入力レベルコントローラ70によって
監視し、入力レベルコントローラ70が、音色フィルタ
部67の前段に設けられた乗算器71の乗算係数LVL
1を、音色フィルタ部67においてオーバーフローが起
こらないような最大の値に設定する。
【0065】また、楽音波形発生部66において、所定
の音色、かつ任意のキーコードKCの組み合わせの複数
の楽音信号を最大のタッチデータTOUCHで発生させ
ることにより、演算のオーバーフローに応じてチャンネ
ルアキュムレータ69から出力されるオーバーフロー信
号OF2を入力レベルコントローラ72によって監視
し、入力レベルコントローラ72が、チャンネルアキュ
ムレータ69の前段に設けられた乗算器73の乗算係数
LVL2を、チャンネルアキュムレータ69においてオ
ーバーフローが起こらないような最大の値に設定する。
【0066】なお、チャンネル数をNとし、各チャンネ
ルの楽音信号のビット数をともにmとした場合、チャン
ネルアキュムレータ69のビット数が(m+log
2N)以上あれば、チャンネルアキュムレータ69にお
いてオーバーフローは発生しないが、ハードウェアのコ
ストダウンを図るために、チャンネルアキュムレータ6
9のビット数を(m+log2N)以上にすることがで
きない場合は、上述したオーバーフローを回避する構成
および処理が必要である。
【0067】
【発明の効果】上述したように各請求項記載の発明によ
れば、加算手段による加算処理によって複雑性を有した
ふくよかな楽音を合成することができるとともに、レベ
ル調整手段によって加算処理におけるオバーフローを防
止することが可能となる。さらに、請求項1記載の発明
によれば、レベル調整手段が用いる調整データが制御手
段によってすべての音高について予め自動的に決定され
ているので、楽音の発生開始当初からレベルが安定した
楽音信号を発生することができる。また、請求項2記載
の発明によれば、調整すべき楽音信号の信号レベルが適
性かどうかを演奏者が視覚によって確認することができ
る。また、請求項3記載の発明によれば、レベル調整手
段によって、各ループ手段に入力される信号のレベルが
全ループ手段について一律に調整されるので、複数のル
ープ手段が並列接続されている構成において、各ループ
手段の出力信号の混合比率を変化させずに、得られる楽
音信号の音色が変化させことなく、オーバーフローを防
止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例による楽音合成装置の
構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の第2の実施例による楽音合成装置の
構成を示すブロック図である。
【図3】 本発明の第3の実施例による楽音合成装置を
適用した電子楽器の構成を示すブロック図である。
【図4】 楽音発生チャンネル14の構成を示すブロッ
ク図である。
【図5】 出力フィルタ45等の構成を示すブロック図
である。
【図6】 出力ミキサ55の構成を示すブロック図であ
る。
【図7】 本発明の第3の実施例におけるCPU8のメ
インルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図8】 本発明の第3の実施例におけるCPU8のレ
ベル調整処理ルーチンの動作を示すフローチャートであ
る。
【図9】 本発明の他の実施例による楽音合成装置の構
成を示すブロック図である。
【図10】 本発明の他の実施例による楽音合成装置の
構成を示すブロック図である。
【図11】 本発明を一般的な楽音合成装置に適用した
場合の構成を示すブロック図である。
【図12】 従来の楽音合成装置の第1の構成例を示す
ブロック図である。
【図13】 従来の楽音合成装置の第2の構成例を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
1,ESC……励振信号発生回路、2,3,25,26
……ループ回路、4……加算器、5〜7……フィルタ、
8……CPU、14……楽音発生チャンネル、19……
インジケータ、55……出力ミキサ、561〜563……
重付器、57……全加算器。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発生すべき楽音の音高を指示する音高情
    報を発生する音高情報発生手段と、 信号を出力する励起信号発生手段と、 前記励起信号発生手段から出力された信号を、前記音高
    情報が指示する音高に対応する時間遅延しつつ、繰り返
    し循環させる少なくとも1つのループ手段とを具備する
    楽音合成装置において、 前記励起信号発生手段および前記少なくとも1つのルー
    プ手段から出力される信号のうち少なくとも2つの信号
    を加算し、この加算された信号を楽音信号として出力す
    る加算手段と、 前記加算手段で加算される少なくとも2つの信号のうち
    の少なくとも1つの信号のレベルを調整データに従って
    調整するレベル調整手段と、 前記音高情報発生手段から出力される音高情報で指示さ
    れるすべての音高について、前記調整データを予め自動
    的に決定する制御手段と を具備することを特徴とする楽
    音合成装置。
  2. 【請求項2】 さらに、前記加算手段によって加算され
    た信号のレベルに応じた表示を行う表示手段を具備する
    ことを特徴とする請求項1記載の楽音合成装置。
  3. 【請求項3】 発生すべき楽音の音高を指示する音高情
    報を発生する音高情報発生手段と、 信号を出力する励起信号発生手段と、 前記励起信号発生手段から出力された信号を各々入力す
    るとともに、該入力した信号を前記音高情報が指示する
    音高に対応する時間遅延しつつ、繰り返し循環させる、
    互いに並列接続された複数のループ手段とを具備する楽
    音合成装置において、 少なくとも前記複数のループ手段から出力された複数の
    信号を加算し、この加算された信号を楽音信号として出
    力する加算手段と、 前記複数のループ手段のうちの少なくとも1つのループ
    手段を循環する信号のレベルを検出して、この検出結果
    に応じて各ループ手段に入力される信号のレベ ルを全ル
    ープ手段について一律に調整するレベル調整手段と を具
    備することを特徴とする楽音合成装置。
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