JP2730422B2 - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JP2730422B2
JP2730422B2 JP4241055A JP24105592A JP2730422B2 JP 2730422 B2 JP2730422 B2 JP 2730422B2 JP 4241055 A JP4241055 A JP 4241055A JP 24105592 A JP24105592 A JP 24105592A JP 2730422 B2 JP2730422 B2 JP 2730422B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は演奏者によって指定さ
れた音色の楽音を発音し得る電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】自然楽器の発音メカニズムをシミュレー
トしたモデルを動作させ、楽音を合成する楽音合成装置
が知られている。この種の楽音合成装置のうち、管楽器
の楽音を合成する楽音合成装置は、マウスピース部の動
作をシミュレートした非線形部と、共鳴管の共鳴特性を
シミュレートしたウェーブガイド(双方向伝送回路)あ
るいはループ回路とを接続することによって構成され
る。なお、このような楽音合成装置は、例えば特開昭6
3−40199号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする問題】一般に、自然楽器が発
する楽音はその楽器特有の倍音系列を含んでいる。そし
て、この倍音系列の構成が自然楽器音の音色を決定する
1つの要因となっている。例えば、クラリネットなどの
暗い印象の音は主に奇数倍音系列からなり、管の長さに
よって決定される最低次周波数(基本周波数)Fに対
し、各スペクトルの周波数は(2n−1)F(ただし、
n=1,2,・・・)となる。また、オーボエなどの明る
い印象の音は主に偶数倍音系列からなり、各スペクトル
の周波数は2nF(ただし、n=1,2,・・・)とな
る。このように倍音系列の構成は楽音の音色を大きく左
右するものである。しかしながら、従来、倍音系列の構
成を変化させ、所望の音色を発音する物理モデルに基づ
電子楽器はなかった。この発明は上述した事情に鑑み
てなされたものであり、所望の倍音構造を有する楽音を
発音することができる電子楽器を提供することを目的と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
遅延回路および乗算器を含むループ回路によって構成さ
れ、入力信号を循環させて楽音信号として出力する楽音
合成手段と、発音すべき楽音の音高を指定する音高指定
手段と、発音すべき楽音の音色を指定する音色指定手段
と、指定された音高および指定された音色に応じて前記
遅延回路の遅延時間を制御する遅延制御手段と、指定さ
れた音色に応じて前記乗算器の乗算係数の符号を制御す
る音色制御手段とを具備することを特徴としている
【0005】
【作用】請求項1に係る発明によれば、音高指定手段に
より音高が指定され、音色指定手段により音色が指定さ
れる。そして、指定された音高と音色に応じて遅延制御
手段により遅延回路の遅延時間が制御されるとともに、
指定された音色に応じて音色制御手段により乗算器の乗
算係数の符号が制御され、これらの制御された遅延時間
および乗算係数の符号に応じた楽音の合成が楽音合成手
段によって行われる。
【0006】
【実施例】以下、図面を参照し、本発明の実施例を説明
する。 <第1実施例> 図1はこの発明の第1実施例による電子楽器の構成を示
すブロック図である。図1において、1は通常の管楽器
を模して作製された管型操作子である。図2に管型操作
子1の構成を示す。図2(a)に示すように、管型操作
子1の管部にはキーコード指定のための多くのキーが配
備されている。また、各キーに対応し、各々の押下操作
を検知するためのキースイッチ(図示せず)が設けられ
ている。また、管型操作子1におけるマウスピース部の
内部には、図2(b)に示すように、ブレスセンサSE
N−PおよびリードセンサSEN−Lが設けられてい
る。そして、演奏者がマウスピースをくわえて息を吹込
むと、その息圧がブレスセンサSEN−Pによって検知
され、演奏者の口の状態によってリードに与えられる圧
力(以下、アンブシュアという)がリードセンサSEN
−Lによって検知される。管型操作子1における各キー
スイッチの状態、ブレスセンサSEN−Pおよびリード
センサSEN−Lの各出力は図1における操作子インタ
ーフェイス2によって取り込まれる。そして、インター
フェイス2から、各キースイッチの状態に対応した情報
であって発音すべき音高を指定するキーコードKC、息
圧を示す息圧情報PRESおよびアンブシュアを示すア
ンブシュア情報EMBが出力される。
【0007】3はこの電子楽器を構成する各部を制御す
るCPU(中央処理ユニット)である。また、4はRO
Mであり、CPU3が実行する各種制御プログラムの
他、制御に必要な制御情報が記憶されている。また、5
はRAM(ランダムアクセスメモリ)であり、その各記
憶領域はCPU3によって制御用のレジスタ、フラグあ
るいはテーブルとして使用される。7は操作パネルであ
り、図示しない各種演奏制御操作子が配備されている。
これらの演奏制御操作子には、トランペット、クラリネ
ット等、発音すべき管楽器音の種類を指定する音色指定
スイッチが含まれている。操作パネル7の各演奏制御操
作子の操作状態はインターフェイス8によって取り込ま
れ、制御パラメータとして出力される。この制御パラメ
ータには、音色指定スイッチによって指定された楽器の
音色コードTCと、カットオフ周波数情報fCAと、選択
度情報QAとが含まれる。ここで、カットオフ周波数情
報fCAおよび選択度情報QAは、音色指定スイッチによ
って指定された管楽器のリードの応答特性を指定する制
御パラメータであり、上述した息圧情報PRESおよび
アンブシュア情報EMBと共に後述する非線形部110
の動作を制御するのに用いられる。なお、カットオフ周
波数情報fCAおよび選択度情報QAは、音色コードTC
によって一義的に決定されるようにしてもよいし、操作
子の操作により、任意の値を設定し得るようにしてもよ
い。9は楽音を合成する楽音合成回路、10はサウンド
システム、11はスピーカである。以上説明した要素
2、3、4、5、8および9はバスBUSを介して相互
接続されている。
【0008】図3は楽音合成回路9の構成を示すブロッ
ク図である。この図に示すように、楽音合成回路9は、
楽音を合成する合成部100と、合成部100に制御パ
ラメータを供給する制御部200とからなる。制御部2
00は、バスBUSから音色コードTC、キーコードK
C、選択度情報QA、カットオフ周波数情報fCA、息圧
情報PRESおよびアンブシュア情報EMBを取り込ん
で合成部100へ出力するインターフェイス201と、
パラメータ変換部202および203とからなる。パラ
メータ変換部202は、音色コードTCに対応した乗算
係数γ、カットオフ周波数情報fCBおよび選択度情報Q
Bを合成部100へ出力する。ここで、パラメータ変換
部202は、音色コードTCに対応した乗算係数γを合
成部100へ出力する。パラメータ変換部203は、キ
ーコードKCおよび音色コードTCの組合せに基づき、
発音すべき楽音の基本周波数Fを決定する遅延指定情報
Lを合成部100へ出力する。ここで、遅延指定情報L
が一定であるとき、QB、fCBを適当に設定すると、乗
算係数γの値が正の値から負の値に変わるとき、合成部
100が出力する楽音はほぼ奇数倍音構造からほぼ自然
数倍音構造に移行する。そして、これに伴って高音が1
オクターブ高くなってしまう。この不都合を解消するた
め、音色コードTCに対応した音が自然数倍音系列の音
である場合には、奇数倍音系列の音である場合の2倍の
大きさの遅延指定情報Lがパラメータ変換部203によ
って出力されるようにしている。従って、この電子楽器
によれば、音色指定に拘らず、常にキーコードKCに対
応した音高の楽音が発音される。
【0009】次に合成部100について説明する。合成
部100は、管楽器のマウスピース部をシミュレートし
た非線形部110と、管楽器の共鳴管をシミュレートし
たループ回路120と、非線形部110およびループ1
20を接続するジャンクション130からなる。ループ
回路120は、遅延回路121、バンドパスフィルタ1
22および乗算器123がカスケード接続されてなる。
ここで、遅延回路121は、入力信号を遅延指定情報L
に対応した時間だけ遅延させて出力する。このような遅
延時間可変の遅延回路は、例えば一定周波数fのサンプ
リングクロックに従って入力信号を順次シフトするシフ
トレジスタ(図示略)と、このシフトレジスタの各ステ
ージ出力のうち遅延指定情報Lによって指定されるステ
ージ出力を選択して出力するセレクタ(図示略)とによ
って構成することができる。また、このような遅延回路
はRAM(ランダムアクセスメモリ)を用いて構成する
こともできる。バンドパスフィルタ122は、カットオ
フ周波数指定情報fCBおよび選択度指定情報QBによっ
て帯域通過特性が制御される。また、乗算器123はバ
ンドパスフィルタ122の出力信号に対し、パラメータ
変換部202が出力する乗算係数γを乗算して出力す
る。
【0010】ジャンクション130は加算器131およ
び132からなる。ジャンクション130における加算
器131は非線形部110の出力信号と乗算器123の
出力信号を加算する。この加算器131の出力信号は遅
延回路121へ入力される一方、楽音信号MSとしてサ
ウンドシステム10(図1)へ供給される。また、ジャ
ンクション130における加算器132は乗算器123
の出力信号と加算器131の出力信号を加算して非線形
部110へ出力する。この加算器132の出力信号は、
管楽器の共鳴管からマウスピース内に帰還される空気振
動波の圧力に相当する。
【0011】非線形部110は、管楽器のマウスピース
部の挙動をシミュレートした回路であり、加算器132
の出力信号、プレッシャ情報PRESおよびアンブシュ
ア情報EMBに基づき、マウスピース内のリードの挙動
をシミュレートし、リードによってマウスピースから共
鳴管へと出力される空気振動波の圧力に相当する信号を
加算器131へ出力する。非線形部110は、リードの
挙動をシミュレートするものであり、リードの弾性特性
に対応した非線形増幅動作を行う非線形変換部および圧
力変化に対するリードの応答特性をシミュレートしたロ
ーパスフィルタ(図示略)等を含んでいる。ここで、ロ
ーパスフィルタのカットオフ周波数および選択度は、イ
ンターフェイス部201を介して供給されるカットオフ
周波数情報fCAおよび選択度情報QAによって決定され
る。
【0012】次にこの電子楽器の動作について説明す
る。操作パネル7における音色操作子により、ある管楽
器が指定されると、パネルインターフェイス8からCP
U3にその操作イベントが取り込まれ、指定された管楽
器の音色コードTCが楽音合成回路9に供給される。楽
音合成回路9においては、パラメータ変換部202によ
り、音色コードTCに応じたカットオフ周波数情報
CB、選択度情報QBおよび乗算係数γが出力される。
【0013】次いで演奏者が管型操作子1を用いて吹奏
すると、操作子インターフェイス2により、管型操作子
1におけるキースイッチの状態と、ブレスセンサSEN
−PおよびリードセンサSEN−Lの各出力信号が取り
込まれ、発音すべき音高を指定するキーコード情報K
C、息圧を示す息圧情報PRESおよびアンブシュアを
示すアンブシュア情報EMBが出力される。これらの情
報は一旦CPU3に取り込まれた後、楽音合成回路9に
供給される。楽音合成回路9においては、パラメータ変
換部203により、キーコードKCおよび音色コードT
Cの組合せに応じた遅延指定情報Lが出力される。ま
た、インターフェイス201を介して非線形部110に
カットオフ周波数情報fCA、選択度情報QA、プレッシ
ャ情報PRESおよびアンブシュア情報EMBが供給さ
れる。
【0014】以上のようにして各制御情報が合成部10
0の各部に設定されると、非線形部110の出力信号が
遅延回路121へと出力される。そして、以後、非線形
部110→遅延回路121→バンドパスフィルタ122
→乗算器123→加算器132→非線形部110からな
る閉ループにおいて信号の循環が行われ、閉ループが共
振状態となる。そして、加算器131の出力信号が楽音
信号MSとしてサウンドシステム10に供給され、楽音
が発音される。
【0015】ここで、音色コードTCに対応した奇数倍
音系の楽器に対応する乗算係数γが乗算器123に与え
られる。この結果、遅延回路121を駆動するクロック
の周期をTとし、ループ回路120における他の要素の
遅延時間を無視すると、図4に示すように、基本周波数
f=1/2LTおよびその奇数倍の倍音周波数3f、5
f、〜(2n−1)f、〜付近でループ回路120の伝
送利得|H|がピークとなる。また、上記閉ループを循
環する信号の各スペクトルは、バンドパスフィルタ12
2によって各スペクトルの周波数に応じた減衰量(破線
K)が付与される。この結果、破線Kによって決定され
るスペクトルエンベロープを有する奇数倍音系列を含ん
だ楽音が発生される。
【0016】一方、音色コードTCに対応した自然数倍
音系の楽器に対応する乗算係数γが乗算器123に与え
られと、図5に示すように、基本周波数f’=1/LT
およびその自然数倍の倍音周波数2f’、3f’、〜n
f’、〜付近でループ回路120の伝送利得|H|がピ
ークとなる。従って、バンドパスフィルタ122の減衰
量の周波数特性(破線K)によって決定されるスペクト
ルエンベロープを有する偶数倍音系列を含んだ楽音が発
生される。
【0017】さて、ループフィルタがローパスフィルタ
のみで乗算係数γが正である場合、低周波領域において
上記閉ループの伝送利得が1以上となってオーバフロー
が起ることがある。よって、このループ内にハイパスフ
ィルタを入れるか、バンドパスフィルタのみを入れれ
ば、DC=0となって好ましい。図3に示す構成では、
ループ回路120内にバンドパスフィルタ122が介挿
されており、これにより低周波領域の信号が充分に減衰
されるため、バンドパスフィルタ122がない場合に起
り得るオーバフローが防止され、終端の反射係数は正で
も負でも許されることになる。
【0018】<第2実施例>図6はこの発明の第2実施
例による電子楽器の楽音合成回路の構成を示すブロック
図である。本実施例は、サキソホン等のような円錐管を
有する管楽器の音からクラリネット等のような円筒管を
有する管楽器の音へと合成音を時間的に遷移させ得るよ
うにしたものである。本実施例では、円錐管をシミュレ
ートするために2本のウェーブガイドW1およびW2を
使用する。以下、その理由について説明する。
【0019】まず、円錐管の入力音響インピーダンスZ
は下記式(1)のように表すことができる。 Z=j・ρ・c・k・X・sin(k・L)/{S(sin(k・L)+k・X・cos(k・L))} =1/[{S/(j・ρ・c・k・X)}+{S/(j・ρ・c・tan(k・L))}] ……(1) ただし、ρは媒質密度(g/cm3)、cは音速(cm
/sec)、Xはのどの長さ(cm)、Lは円錐管の長
さ(cm)である。また、kは波定数(rad/cm)
であり、音の波長をλ(cm)とした場合、k=2π/
λとなる。また、Sは円錐管の初期面積である。そし
て、上記式(1)は、 Zx=j・ρ・c・k・X/S ……(2) ZL=j・ρ・c・tan(k・L)/S ……(3) によって与えられるZxおよびZLを用いることにより、
上記式(4)のように変形することができる。 (1/Z)=(1/Zx)+(1/ZL) ……(4) 上記式(4)は、入力インピーダンスが各々Zxおよび
Lであるものを並列接続したものによって円錐管をシ
ミュレートし得ることを示している。
【0020】さて、上記式(3)によって与えられるイ
ンピーダンスZLは、断面積がS、長さがLであり受側
の短絡された円筒管の送側から見た入力インピーダンス
と等しい。従って、このような円筒管によって上記式
(4)におけるZLに対応したものとして用いることが
できる。また、のどの長さXが小さい場合、上記式
(2)によって示したインピーダンスZxを下記式
(5)により近似することが可能である。 Zx≒j・ρ・c・tan(k・X)/S ……(5) また、Xがそれ程小さくない場合には、X/S=X1
1(ただし、X1<X)を満足するX1およびS1を用い
ることにより、上記式(2)を、 Zx=j・ρ・c・k・X/S =j・ρ・c・k・X1/S1……(6) と変形し、分子のk・X1を小さくする。このようにす
ることで、上記式(6)を下記式(7)のように近似す
ることができる。 Zx≒j・ρ・c・tan(k・X1)/S1 ……(7) すなわち、上記式(4)におけるインピーダンスZL
相当するものとして、断面積がSであり、長さがXであ
る円筒管、あるいは断面積がS1であり、長さがX1であ
る円筒管を用いることができる。このように、円錐管は
2本の円筒管を並列接続したものによってシミュレート
することができる。また、円筒管はウェーブガイドによ
ってシミュレートすることができる。
【0021】図6における合成部100aは、以上の事
実に基づいて構成されたものであり、ウェーブガイドW
1およびW2をジャンクションJUによって並列接続し
たものが、ジャンクション130を介し非線形部110
に接続されている。かかる構成によれば、円錐管から得
られるような基本周波数の自然数倍の倍音周波数の倍音
を含んだ楽音を合成することができる。
【0022】また、本実施例においては、ジャンクショ
ンJUを介したウェーブガイドW1およびW2の結合度
を調整し得るようになっており、この調整によりウェー
ブガイドW1およびW2の両方が楽音合成に寄与してい
る状態からウェーブガイドW1のみが楽音合成に寄与し
ている状態へと時間的に移行させることができる。従っ
て、円錐管から得られるような自然数次倍音を含む楽音
を合成している状態から円筒管から得られるような奇数
次倍音のみを含む楽音を合成する状態へと連続的に遷移
させることができる。なお、その詳細な動作については
後述する。また、本実施例では、第1実施例における制
御部200に代えて制御部200aが設けられている。
また、上記第1実施例と同様、加算器131の出力信号
が楽音信号MSとしてサウンドシステムに送られる。
【0023】ウェーブガイドW1は、円錐管をシミュレ
ートする2本の円筒管のうちの1本をシミュレートした
ものであり、遅延段数可変の遅延回路301および30
2と、ローパスフィルタ303と、乗算器304とが直
列接続されてなる。遅延回路301および302は、制
御部200aが出力する遅延指定情報により、発音すべ
き楽音の周波数に適合するように全体の遅延時間が設定
される。ここで、遅延指定情報は整数部Lおよび小数部
aからなる実数である。遅延回路301は入力信号を所
定の基本遅延時間TのL倍相当遅らせて出力する。ま
た、遅延回路302は、基本遅延時間Tに相当する遅延
を施す遅延回路311と、乗算器312および313
と、減算器314と、加算器315とからなり、遅延回
路301の出力信号をさらにaTだけ遅らせた信号を出
力する。
【0024】ウェーブガイドW2は、円錐管をシミュレ
ートする2本の円筒管のうちの他の1本をシミュレート
したものであり、遅延段数可変の遅延回路321と、ロ
ーパスフィルタ322と、乗算器323とが直列接続さ
れてなる。遅延回路321の遅延時間は、制御部200
aが出力する遅延指定情報Sによって設定される。ジャ
ンクションJUは、乗算器401〜403、減算器40
4〜406および加算器407によって構成されてい
る。乗算器401〜403は、制御部200aから各々
時変の乗算係数αI(t)、αL(t)およびαS(t)
が各々供給される。これらの乗算係数αI(t)、α
L(t)およびαS(t)により、上述したウェーブガイ
ドW1およびW2の結合度が決定される。乗算器401
は、非線形部110によって出力され、加算器131お
よびユニット遅延回路133を介した信号に対し、乗算
係数αI(t)を乗算して出力する。また、乗算器40
2および403は、乗算器304および323の各出力
信号に対し、乗算係数αL(t)およびαS(t)を各々
乗算して出力する。乗算器401〜403の各出力信号
は加算器407によって加算される。減算器404は加
算器407における加算結果からユニット遅延回路13
3の出力信号を減算して加算器131および132へ出
力する。減算器405は加算器407における加算結果
から乗算器304の出力信号を減算して遅延回路301
へ出力する。また、減算器405は加算器407におけ
る加算結果から乗算器304の出力信号を減算して遅延
回路301へ出力する。
【0025】次に制御部200aについて説明する。2
11は基本ディレイ発生部であり、キーコードKCに対
応した遅延指定情報L0およびSを出力する。これらの
うち遅延指定情報L0は遅延回路302の遅延時間の初
期値として使用され、遅延指定情報Sは上述した遅延回
路321の遅延時間を設定するのに使用される。212
はピッチ情報発生部であり、キーコードKCおよび遷移
度信号tが入力される。遷移度信号tはCPU3によっ
て発生される信号であり、0〜1の範囲で時間的に変化
する。この遷移度信号tは、操作子の操作量に応じてC
PU3が変化させるようにしてもよいし、発音指示等を
トリガとして関数発生器等を起動し発生するようにして
もよい。ピッチ情報発生部212は、キーコードKCお
よび遷移度信号tに基づいて、時間経過に伴って変化す
るピッチ情報PTCHを発生する。213は結合係数発
生部であり、αI(t)+αL(t)+αS(t)=2を
満足する所定の数式、例えば下記式(8)〜(10)に
従い、遷移度信号tに応じた乗算係数αI(t)、α
L(t)およびαS(t)を発生する。 αI(t)=1.231−0.231t ……(8) αL(t)=0.615+0.385t ……(9) αS(t)=0.154−0.154t ……(10)
【0026】214はPLL制御部であり、ピッチ情報
PTCHに対応した楽音の周波数と、楽音信号MSの周
波数とが一致するように、遅延指定情報Lおよびaを制
御する。また、PLL制御部214には上述した遅延指
定情報L0が遅延指定情報の初期値として供給される。
215は変換部であり、音色コードTCに応じ、ローパ
スフィルタ303および322のカットオフ周波数fCL
およびfCSと、乗算器304および323の乗算係数γ
LおよびγSを制御する。
【0027】以下、本実施例の動作を説明する。発音開
始に際し、ピッチ情報発生部212により、キーコード
KCに対応したピッチ情報PTCHが発生される。ま
た、基本ディレイ発生部211により、キーコードKC
に対応した遅延指定情報L0およびSが発生される。こ
れらのうち遅延指定情報Sにより遅延回路321の遅延
時間が決定される。また、PLL制御部214により、
遅延指定情報L0の整数部が遅延指定情報Lとして遅延
回路301に送られ、小数部が遅延指定情報aとして遅
延回路302に送られる。このようにして遅延回路30
1および302の遅延時間の初期設定がなされる。ま
た、カットオフ周波数fCL等、楽音合成に必要な他のパ
ラメータも各々発生され、対応する各部に供給される。
この結果、図6に示す装置において楽音の合成が開始さ
れ、楽音信号MSが出力される。そして、PLL制御部
214により、ピッチ情報PTCHに対応した楽音の周
波数と、楽音信号MSの周波数とが比較され、前者の方
が高い場合には遅延指定情報L+aが減少され、後者の
方が高い場合には一致するように、遅延指定情報L+a
が増加される。このようなPLL制御が行われることに
より、楽音信号MSの周波数がピッチ情報PTCHに対
応した周波数へと収束する。
【0028】次に楽音合成中に遷移度信号tが変化する
場合の動作を説明する。各乗算係数αI(t)、α
L(t)およびαS(t)が上記式(1)〜(3)により
決定されるものとすると、t=0の場合はαI(t)=
1.231、αL(t)=0.615、αS(t)=0.
154となる。このような乗算係数の設定がなされるこ
とにより、ウェーブガイドW1およびW2が共に非線形
部110と接続され、自然数次倍音を含んだ楽音が合成
される。また、この楽音合成において、上記PLL制御
が行われるため、楽音信号MSの周波数はピッチ情報P
TCHに対応した周波数に収束する。この状態からtが
徐々に増加すると、αI(t)は1へ向って減少し、αL
(t)は1に向って増加し、αS(t)は0に向って減
少する。このように各乗算係数αI(t)、αL(t)お
よびαS(t)が変化することにより、ウェーブガイド
W1の非線形部110に対する結合度が徐々に増加し、
逆にウェーブガイドW2の結合度が徐々に減少する。そ
して、自然数次倍音を含む楽音を合成していた状態から
徐々に奇数次倍音のみを含む楽音を合成する状態へと遷
移する。この遷移期間中においても、上記PLL制御が
行われるため、楽音信号MSの周波数はピッチ情報PT
CHに対応した値に維持される。そして、t=1になる
と、αI(t)=1、αL(t)=1、αS(t)=0と
なり、ウェーブガイドW1のみが楽音合成に使用され、
奇数次倍音のみを含んだ楽音が合成される。
【0029】なお、上記実施例において、ジャンクショ
ン130およびJUの構成を図7に示すように変更して
もよい。図7に示す構成では、乗算器402および40
3の各出力信号と非線形部110の出力信号とを加算す
る加算器801、加算器801出力信号に乗算係数1
/(αL(t)+αS(t))を乗算する乗算器802、
減算器404の出力信号を2倍する乗算器803、およ
び乗算器803の出力信号と非線形部110の出力信号
を加算して非線形部110へ帰還する加算器804が追
加され、これに伴ってジャンクション130およびユニ
ット遅延回路133が省略されている。このような変更
を行ったとしても、変更前の回路の全く等価な信号処理
が行われるため、上記実施例と全く同様な効果が得られ
る。
【0030】<第3実施例>図8はこの発明の第3実施
例による電子楽器の楽音合成回路の構成を示すブロック
図である。上記第2実施例における楽音合成回路は、音
高制御にPLLを使用しており、音高を一定値に収束さ
せるのにある程度の時間を要する。これに対し、本実施
例において使用する楽音合成回路は、PLLによる音高
制御を行うものでなく、各種遷移度tについて、キーコ
ードKCに対応した周波数の楽音信号MSを得るのに適
した遅延指定情報Lおよびaを予め求めておき、キーコ
ードKCおよび遷移度tに対して適切な遅延指定情報L
およびaをディレイ発生部211bによって発生し、遅
延回路301および302に各々供給するようにしたも
のである。
【0031】また、上記第2実施例ではジャンクション
JUに供給する各乗算係数αI、αLおよびαSを遷移度
信号tに応じて変化させた。しかし、本実施例において
はこれらの乗算係数を所定値に固定し、ウェーブガイド
W1およびW2が同時に使用されることにより円錐管か
ら得られるような自然数次倍音を含んだ楽音が合成され
るようにした。
【0032】また、本実施例では、上記のように乗算係
数αI、αLおよびαSを固定化したのに伴い、第3のウ
ェーブガイドW3および混合部700を設けた。ここ
で、ウェーブガイドW3は、キーコードKCに対応した
遅延指定情報Nが設定される遅延回路601およびバン
ドパスフィルタ602からなり、楽音信号MSが入力さ
れる。また、混合部700は、乗算器701および70
2と加算器703とからなり、ウェーブガイドW3の出
力信号と減算器404の出力信号とを遷移度tに応じた
混合比率で混合し加算器132へ出力する。
【0033】遅延指定情報Lおよびaは、例えば、遷移
度tとキーコードKCを各種設定して上記第2実施例の
構成のものにおいて乗算係数αI、αLおよびαSを上記
所定値に固定してPLL動作させ、キーコードKCに対
応した楽音周波数の得られる遅延指定情報Lおよびaを
求める、といった方法により得ることができる。そし
て、このようにして得られたLおよびaをキーコードK
Cおよび遷移度tの組み合わせに対応させてディレイ発
生部211bに記憶させておく。
【0034】本実施例によれば、遷移度tおよびキーコ
ードKCが与えられることにより、遅延回路301およ
び302の遅延時間が即座に確定し、キーコードKCに
対応した周波数の楽音信号が得られる。また、遷移度t
に応じて混合部700における混合比率が変化し、ウェ
ーブガイドW1およびW2が楽音合成に使用される状態
からウェーブガイドW3が楽音合成に使用される状態へ
と連続的に遷移する。従って、上記第2実施例と同様な
効果が得られる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、この発明による電
子楽器によれば、指定された音色に応じて乗算器の乗算
係数の符号を制御することとしたので、これにより、楽
音合成手段で合成される楽音の倍音構造が制御され、指
定された音色に対応した倍音構造からなる楽音を合成す
ることができる。そして、この指定された音色の楽音の
合成においては、指定された音高と音色に応じて遅延回
路の遅延時間を制御することとしたので、これにより、
合成される楽音の倍音構造における基本周波が音高と音
色の双方に応じて制御される。従って、音色指定手段で
の音色指定によらず、常に、音高指定手段で指定された
音高に対応する音高の楽音を発音することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1実施例による電子楽器の構成
を示すブロック図である。
【図2】 同実施例における管型操作子1を示す図であ
る。
【図3】 同実施例における楽音合成回路9の構成を示
すブロック図である。
【図4】 同実施例におけるループ回路120の入力イ
ンピーダンスの周波数特性を示す図である。
【図5】 同実施例におけるループ回路120の入力イ
ンピーダンスの周波数特性を示す図である。
【図6】 この発明の第2実施例における楽音合成回路
の構成を示すブロック図である。
【図7】 同実施例の変形例の構成を示すブロック図で
ある。
【図8】 この発明の第3実施例における楽音合成回路
の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
202および203……パラメータ変換部、120……
ループ回路、121…遅延回路、123……乗算器。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遅延回路および乗算器を含むループ回路
    によって構成され、 入力信号を循環させて楽音信号として出力する楽音合成
    手段と、発音すべき楽音の音高を指定する音高指定手段と、 発音すべき楽音の音色を指定する音色指定手段と、 指定された音高および指定された音色に応じて前記遅延
    回路の遅延時間を制御する遅延制御手段と、 指定された 音色に応じて前記乗算器の乗算係数の符号を
    制御する音色制御手段とを具備することを特徴とする電
    子楽器。
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