JP2762286B2 - 磁気記録再生方法 - Google Patents

磁気記録再生方法

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JP2762286B2 JP63329843A JP32984388A JP2762286B2 JP 2762286 B2 JP2762286 B2 JP 2762286B2 JP 63329843 A JP63329843 A JP 63329843A JP 32984388 A JP32984388 A JP 32984388A JP 2762286 B2 JP2762286 B2 JP 2762286B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、磁気記録再生方法に関する。
<従来の技術> 磁気記録媒体の表面や磁気ヘッドのフロント面には、
従来、種々の潤滑膜が形成されている。
例えば、特開昭63−117379号公報には、コンタクト・
スタート・ストップ(CSS)を行なういわゆるハードデ
ィスク装置において、磁気ディスクおよび磁気ヘッドの
互いに対向する面の一方を疎水性とし、他方を親水性と
したものが開示されている。このものでは、疎水性ある
いは親水性を付与するためにラングミュア・ブロジェッ
ト(以下、LBと略称する)膜を形成している。そして、
その効果として、ディスクとヘッドとの吸着の防止を挙
げている。
<発明が解決しようとする課題> しかし、本発明者らの研究によれば、一方の表面が疎
水性で他方の表面が親水性であるヘッドおよび媒体を用
いた場合、媒体とヘッドとの連続長時間に亘る摺接によ
り、あるいは浮上型ヘッドを用いるときには、特に磁気
ヘッドのフライングハイトを下げてきたときに、吸着し
やすいということがわかった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたも
のであり、耐久摩擦にすぐれた磁気ヘッドおよび磁気記
録媒体を用いた磁気記録再生方法を提供することを目的
とする。
<課題を解決するための手段> このような目的は下記(1),(2)の本発明によっ
て達成される。
(1)磁気ヘッドにより磁気記録媒体に記録および再生
を行なう方法であって、 前記磁気ヘッドの少なくともフロント面および前記磁
気記録媒体の少なくとも磁気ヘッド側表面に、厚さ4〜
300Åの水との接触角が95〜135゜の疎水性の潤滑膜が形
成されており、 前記磁気ヘッドのフロント面の表面粗さ(Rmax)が20
0Å以下であり、磁気記録媒体の磁気ヘッド側表面のRma
xが200Å以下であり、 前記磁気ヘッドのフロント面のビッカース硬度が1000
以上であることを特徴とする磁気記録再生方法。
(2)前記磁気ヘッドが、薄膜型の浮上型磁気ヘッドで
ある上記(1)に記載の磁気記録再生方法。
以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
本発明では、磁気ヘッドの少なくともフロント面およ
び磁気記録媒体の少なくとも磁気ヘッド側表面に、疎水
性の潤滑膜が形成される。
本発明において疎水性の潤滑膜とは、少なくとも表面
が疎水性である膜を意味するが、潤滑膜全体が疎水性化
合物から構成されていてもよい。
また、疎水性の潤滑膜の水との接触角は、95〜135゜
である。
潤滑膜を構成する化合物に特に制限はないが、フッ素
系化合物が含有されることが好ましい。
本発明において潤滑膜の膜厚は、4〜300Å程度、更
に好ましくは4〜100Å程度、特に好ましくは4〜80Å
程度である。
潤滑膜の成膜方法に特に制限はなく、公知のLB法、塗
布法、気相成膜法などから適当な方法を選択することが
できるが、膜の配列性を制御することが容易で、より疎
水性の表面を得ることができることから、LB法を用いる
ことが好ましい。
このような潤滑膜が形成される磁気記憶媒体として
は、剛性の基板上に磁性層を有するいわゆるハードディ
スクが好適である。
このようなハードディスクのうち、酸化鉄を主成分と
する連続薄膜型の磁性層を有するものが特に好ましい。
剛性基板の材質に特に制限はないが、下地層などを設
層する必要がなく製造工程が簡素になること、また、研
磨が容易で表面粗さの制御が簡単であることから、本発
明ではガラスを用いることが好ましい。
ガラスとしては、強化ガラスがを用いることが好まし
い。このようなガラスとしては、特開昭62−43819号公
報に記載されているような表面強化ガラスが挙げられ
る。
剛性基板の表面粗さ(Rmax)は200Å以下であること
が好ましく、特に100Å以下であることが好ましい。こ
のような表面粗さは、例えば特開昭62−43819号公報に
記載されているようなメカノケミカルポリッシングなど
により得ることができる。なお、Rmaxは50Å以下である
ことがさらに好ましい。本発明では薄膜磁性層をこの基
板上に直接設層するため、磁性層の表面粗さは、基板の
表面粗さとほぼ等しくなる。基板の表面粗さを上記範囲
内とすれば、磁性層表面と浮上型磁気ヘッドの浮揚面と
の距離を0.1μm以下に保って記録および再生を行なう
ことができ、高密度記録が可能となる。
ガラス基板の材質に特に制限はなく、ホウケイ酸ガラ
ス、アルミノケイ酸ガラス、石英ガラス、チタンケイ酸
ガラス等のガラスから適当に選択することができる。た
だし、特開昭62−43819号公報に記載されているような
メカノケミカルポリッシングにより表面平滑化を行なう
場合、結晶質を含まないガラスを用いることが好まし
い。これは、メカノケミカルポリッシングにより結晶粒
界が比較的早く研磨されてしまい、上記のようなRmaxが
達成できないからである。
剛性基板の形状および寸法に特に制限はないが、通
常、ディスク状とされ、厚さは0.5〜5mm程度、直径は25
〜300mm程度である。
剛性基板上には、酸化鉄を主成分とする連続薄膜型の
磁性薄膜が成膜され、磁性層とされる。
磁性層の層厚は、生産性、磁気特性等を考慮して、50
0〜3000Å程度とすることが好ましい。
磁性層の成膜は公知の気相成膜法等により行なえばよ
いが、スパッタ法、特に反応性スパッタ法を用いること
が好ましい。
なお、磁性層中には、成膜雰囲気中に含まれるAr等が
含有されていてもよい。
このようにして得られる磁性層の表面粗さは、剛性基
板の表面粗さとほぼ等しいものである。
このようにして設層される磁性層は、特開昭62−4381
9号公報に記載されている。
このような方法の他、本発明では、蒸着法、めっき法
により酸化鉄を主成分とする薄膜を形成する方法、ある
いは薄膜形成後に熱処理を施す方法等によって磁性層を
設層してもよい。
このような磁性層上に、前述した潤滑膜が成膜され
る。
なお、潤滑膜成膜後、潤滑膜表面を研磨してもよい。
他方、磁気ヘッドとしては、このようなハードディス
クと組み合わせて使用される各種浮上型の磁気ヘッドが
好適である。
浮上型磁気ヘッドのうちでは、特に薄膜型のヘッドが
好適である。
次に、薄膜型の浮上型磁気ヘッドについて説明する。
第1図に、薄膜型の浮上型磁気ヘッドの好適例を示
す。
第1図に示される浮上型磁気ヘッド1は、基体2上、
絶縁層31、下部磁極層41、ギャップ層5、絶縁層33、コ
イル層6、絶縁層35、上部磁極層45および保護層7を順
次有する。
本発明では、このような浮上型磁気ヘッド1の少なく
ともフロント面、すなわち浮揚面に、前述した潤滑膜11
を有する。
また、本発明では、フロント面の表面粗さ(Rmax)
は、200Å以下であることが好ましい。このようなRmax
を有する磁気ヘッドと上記したようなRmaxを有する磁気
記録媒体とを組み合せて使用することにより、本発明の
効果はより向上する。
コイル層6の材質には特に制限はなく、通常用いられ
るAl、Cu等の金属を用いればよい。
コイルの巻回パターンや巻回密度についても制限はな
く、公知のものを適宜選択使用すればよい。例えば巻回
パターンについては、図示のスパイラル型の他、積層
型、ジグザグ型等いずれであってもよい。
また、コイル層6の形成にはスパッタ法、めっき法等
の各種気相被着法を用いればよい。
基体2は、ビッカース硬度1000以上のセラミックス材
料から構成される。
このようなセラミックス材料としては、Al2O3−TiCを
主成分とするセラミックス、ZrO2を主成分とするセラミ
ックス、SiCを主成分とするセラミックスまたはAlNを主
成分とするセラミックスが好適である。また、これらに
は、添加物としてMg、Y、ZrO2、TiO2等が含有されてい
てもよい。
これらのうち、本発明に特に好適なものは、Al2O3−T
iCを主成分とするセラミックス、SiCを主成分とするセ
ラミックスまたはAlNを主成分とするセラミックスであ
り、これらのうち最も好適なものは、酸化鉄を主成分と
する薄膜磁性層の硬度との関係が最適であることから、
Al2O3−TiCを主成分とするセラミックスである。
下部および上部磁極層41、45の材料としては、従来公
知のものはいずれも使用可能であり、例えばパーマロ
イ、センダスト、Co系非晶質磁性合金等を用いることが
できる。
磁極は通常、図示のように下部磁極層41および上部磁
極層45として設けられ、下部磁極層41および上部磁極層
45の間にはギャップ層5が形成される。
ギャップ層5は、Al2O3、SiO2等公知の種々の材料で
あってよい。
これら磁極層41、45およびギャップ層5のパターン、
膜厚等は公知のいずれのものであってもよい。
さらに、図示例ではコイル層6はいわゆるスパイラル
型としてスパイラル状に上部および下部磁極層41、45間
に配設されており、コイル層6と上部および下部磁極層
41、45間には絶縁層33、35が設層されている。
また下部磁極層41と基体2間には絶縁層31が設層され
ている。
絶縁層の材料としては従来公知のものはいずれも使用
可能であり、例えば、薄膜作製をスパッタ法により行な
うときには、SiO2、ガラス、Al2O3等を用いることがで
きる。
また、上部磁極45上には保護層7が設層されている。
保護層の材料としては従来公知のものはいずれも使用可
能であり、例えばAl2O3等を用いることができる。ま
た、これらに各種樹脂コート層等を積層してもよい。
このような浮上型磁気ヘッドの製造工程は、通常、薄
膜作成とパターン形成とによって行なわれる。
各層の薄膜作成には、上記したように、従来公知の技
術である気相被着法、例えば真空蒸着法、スパッタ法、
あるいはメッキ法等を用いればよい。
浮上型磁気ヘッドの各層のパターン形成は、従来公知
の技術である選択エッチングあるいは選択デポジション
により行なうことができる。
エッチングとしてはウェットエッチングやドライエッ
チングにより行なうことができる。
また、潤滑膜11は、前述した公知の成膜法により成膜
すればよい。
潤滑膜が成膜された浮上型磁気ヘッドは、アーム等の
従来公知のアセンブリーと組み合わせて使用される。
<実施例> 以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
[実施例1] スパッタ法によりAl2O3−TiC基体上に薄膜を形成し、
ドライエッチングによってパターンを形成した後、少な
くとも浮揚面(フロント面)に潤滑膜を成膜し、次いで
スライダ構造として磁気ヘッドを得た。
なお、このAl2O3−TiC基体のビッカース硬度は2200で
あり、浮揚面の表面粗さ(Rmax)は200Å以下であっ
た。
潤滑膜を構成する化合物ならびに潤滑膜の成膜方法、
膜厚および水との接触角を、表1に示す。
なお、接触角は、接触角測定器により水をたらし、30
秒後に接触角を測定した。
表1に示す化合物は、下記に示すとおりである。
また、表1に示す潤滑膜成膜方法の詳細は、下記の通
りである。
(LB法) 表1に示す化合物のフロン溶液を調製し、展開溶液と
した。
この展開溶液を水相表面に均一に落し、単分子膜を展
開した。
次に、表面圧が所定圧となるまで界面を圧縮し、水相
中に浸漬した被処理体(浮上型磁気ヘッド)を一定の速
度でほぼ垂直に上昇させ、上記被処理体上に単分子膜を
移し取り、さらに被処理体の下降および上昇を繰り返し
て単分子膜を累積し、潤滑膜とした。
なお、水相の温度は20℃とし、被処理体の上昇および
下降速度は2mm/minとした。そして、気液界面の表面圧
は、組み合せNo.1〜5では30dyn/cmとし、組み合わせN
o.6および7では18dyn/cmとした。
(塗布法) 塗布溶液として表1に示す化合物の0.1wt%フロン溶
液を調製し、ディッピング法により成膜した。
このようにして作製された磁気ヘッドをアームと組合
わせて、空気ベアリング型の浮上型磁気ヘッドを作製し
た。
次に磁気ディスクを作製した。
外径130mm、内径40mm、厚さ1.9mmのアルミノホウケイ
酸ガラス板に化学強化処理を施した。化学強化処理は、
450℃の溶融硝酸カリウムに10時間浸漬することにより
行なった。
次いで、このガラス板表面をメカノケミカルポリッシ
ングにより平滑化し、磁気ディスク基板とした。メカノ
ケミカルポリッシングには、コロイダルシリカを含む研
磨液を用いた。
磁気ディスク基板の表面粗さ(Rmax)は90Åであっ
た。
次いで、Feをターゲットとし、Ar:O2=50:50で10-3To
rrの雰囲気中で反応性スパッタを行ない、2000Åのα−
Fe2O3膜を成膜した。次に、水素気流中で360℃にて2時
間還元処理を行なって、Fe3O4膜とした後、空気中で310
℃にて1時間酸化を行ない、γ−Fe2O3の磁性層とし
た。この磁性層のRmaxは100Åであった。
さらに、この磁性層上に潤滑膜を前記に準じ成膜し
た。潤滑膜を構成する化合物ならびに潤滑膜の成膜方
法、膜圧および水との接触角を表1に示す。表1に示す
成膜方法の詳細は、上記磁気ヘッドと同様である。ま
た、LB法における表面圧も、上記磁気ヘッドの場合と同
様である。
以上のようにして得られた浮上型磁気ヘッドと磁気デ
ィスクとを表1に示す組み合せで走行させ、磁気ディス
クと浮上型磁気ヘッドとの間の初期摩擦および耐久走行
後の摩擦と、吸着を測定した。
耐久走行は、20℃、60%RHの条件下、100rpmにて30分
間接触走行させることにより行い、摩擦は、1rpm回転時
の動摩擦係数で表わした。結果を、表1に示す。
表1の結果より、磁気ヘッドおよび磁気ディスクのい
ずれの表面にも疎水性の潤滑膜が形成されている場合、
摩擦の変化が小さく、吸着も発生せず、耐久性に優れる
ことがかる。
<発明の効果> 本発明では、磁気ヘッドおよび磁気記録媒体のいずれ
の表面も疎水性であるので、耐久走行後においてもヘッ
ドおよび媒体の摩擦変動が少なく、また、吸着が発生せ
ず、信頼性の高い磁気記録再生方法が実現する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に用いる磁気ヘッドの好適例である薄
膜型の浮上型磁気ヘッドを示す部分断面図である。 符号の説明 1……浮上型磁気ヘッド 2……基体 31、33、35……絶縁層 41……下部磁極層 45……上部磁極層 5……ギャップ層 6……コイル層 7……保護層 11……潤滑膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 一正 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 小林 由縁 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−271601(JP,A) 特開 昭62−291724(JP,A) 特開 昭61−87209(JP,A) 特開 昭63−91815(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気ヘッドにより磁気記録媒体に記録およ
    び再生を行なう方法であって、 前記磁気ヘッドの少なくともフロント面および前記磁気
    記録媒体の少なくとも磁気ヘッド側表面に、厚さ4〜30
    0Åの水との接触角が95〜135゜の疎水性の潤滑膜が形成
    されており、 前記磁気ヘッドのフロント面の表面粗さ(Rmax)が200
    Å以下であり、磁気記録媒体の磁気ヘッド側表面のRmax
    が200Å以下であり、 前記磁気ヘッドのフロント面のビッカース硬度が1000以
    上であることを特徴とする磁気記録再生方法。
  2. 【請求項2】前記磁気ヘッドが、薄膜型の浮上型磁気ヘ
    ッドである請求項1に記載の磁気記録再生方法。
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