JP2873702B2 - 磁気記録媒体および磁気記録再生方法 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記録再生方法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、剛性基板上に磁性層を有する所謂ハードタ
イプの磁気記録媒体、特にγ−Fe2O3を主成分とする連
続薄膜型の磁性層を有するハードタイプの磁気記録媒体
と、浮上型磁気ヘッドを用いてこの磁気記憶媒体に記録
再生を行なう磁気記録再生方法とに関する。
<従来の技術> 計算機等に用いられる磁気ディスク駆動装置には、剛
性基板上に磁性層を設層したハードタイプの磁気ディス
クと浮上型磁気ヘッドとが用いられている。
このような磁気ディスク駆動装置においては従来、塗
布型の磁気ディスクが用いられていたが、磁気ディスク
の大容量化に伴い、磁気特性、記録密度等の点で有利な
ことから、スパッタ法等の気相成膜法等により設層され
る連続薄膜型の磁性層を有する薄膜型磁気ディスクが用
いられるようになっている。
薄膜型磁気ディスクとしては、Al系のディスク状金属
板にNi−P下地層をめっきにより設層するか、あるいは
この金属板表面を酸化してアルマイトを形成したものを
基板とし、この基板上にCr層、Co−Ni等の金属磁性層、
さらにC等の保護潤滑膜をスパッタ法により順次設層し
て構成されるものが一般的である。
しかし、Co−Ni等の金属磁性層は耐食性が低く、さら
に硬度が低く、信頼性に問題が生じる。これに対し、特
開昭62−43819号公報、同63−175219号公報に記載され
ているような酸化鉄を主成分とする磁性薄膜は化学的に
安定なため腐食の心配がなく、また、充分な硬度を有し
ている。
一方、浮上型磁気ヘッドは浮力を発生するスライダを
有する磁気ヘッドであり、コアがスライダと一体化され
たコンポジットタイプのもの、あるいはコアがスライダ
を兼ねるモノリシックタイプのものが通常用いられる。
さらに、これらの他、高密度記録が可能であることか
ら、いわゆる浮上型薄膜磁気ヘッドが注目されている。
浮上型薄膜磁気ヘッドは、基体上に磁極層、ギャップ
層、コイル層などを気相成膜法等により形成したもので
ある。このような浮上型薄膜磁気ヘッドでは、基体がス
ライダとしてはたらく。
<発明が解決しようとする課題> 浮上型磁気ヘッドを用いる磁気ディスク装置では、コ
ンタクト・スタート・ストップ(CSS)時に浮上型磁気
ヘッドの浮揚面(スライダの磁気ディスク側表面)と磁
気ディスクとが接触し、磁性層は衝撃を受ける。
特に、浮上型薄膜磁気ヘッドを用いる場合、高密度記
録が可能であることから磁気ディスクと磁気ヘッドとの
間隔(フライングハイト)を極めて小さく設定するの
で、CSS時に磁性層が受ける衝撃がより大きくなる。
また、フライングハイトが小さい場合、磁気ディスク
の振動あるいは駆動装置外部からの衝撃などにより磁気
ディスクと浮上型磁気ヘッドとの接触事故が生じること
がある。
特開昭62−43819号公報、同63−175219号公報に記載
されているような酸化鉄を主成分とする磁性薄膜を有す
る磁気ディスクは、表面が鏡面化されたガラス基板を使
用してあり、磁性層の表面粗さR maxが100Å以下と非常
に小さなものとなっている。このような磁気ディスクで
はフライングハイトを極めて小さく設定できるため、CS
S時あるいはヘッドの接触事故の際に磁性層の被害が大
きくなってしまう。
しかし、特開昭62−43819号公報、同63−175219号公
報では、磁性層の耐久性に関しては何ら言及されておら
ず、他にも酸化鉄を主成分とする連続薄膜型の磁性層に
ついて、耐久性を高める有効な提案はなされていない。
本発明は、このような事情からなされたものであり、
浮上型磁気ヘッドにより記録再生が行なわれる磁気記録
媒体において、高い耐久性を実現することを目的とす
る。
<課題を解決するための手段> このような目的は、下記(1)〜(7)の本発明によ
り達成される。
(1)基板上に少なくとも磁性層を有する磁気記録媒体
であって、 基板の厚さ方向中央付近から媒体表面までの各層のビ
ッカース硬度Hvが、それぞれ500〜1200kgf/mm2であるこ
とを特徴とする磁気記録媒体。
(2)前記磁性層がγ−Fe2O3を主成分とする連続薄膜
型の磁性層である上記(1)に記載の磁気記録媒体。
(3)前記基板がガラスから構成される上記(1)また
は(2)に記載の磁気記録媒体。
(4)媒体の表面粗さR maxが50〜200Åである上記
(1)ないし(3)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(5)前記基板の表面粗さR maxが10〜100Åである上記
(1)ないし(4)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(6)上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の磁気
記録媒体を回転させ、この磁気記録媒体上に浮上型磁気
ヘッドを浮上させて記録再生を行なう磁気記録再生方法
であって、 前記磁気記録媒体がディスク状であり、前記浮上型磁
気ヘッドの少なくとも浮揚面が1000kgf/mm2以上のビッ
カース硬度Hvを有するセラミックスから構成されている
ことを特徴とする磁気記録再生方法。
(7)前記浮上型磁気ヘッドの浮揚面の表面粗さR max
が200Å以下である上記(6)に記載の磁気記録再生方
法。
<作用> 本発明の磁気記録媒体は、基板中央付近から媒体表面
までのビッカース硬度Hvが上記範囲とされ、硬度の片寄
りがないため、高い耐久性が実現する。
特に、浮揚面のHvが1000kgf/mm2以上である浮上型磁
気ヘッドにより記録再生を行なう場合、本発明の効果は
顕著である。
また、磁性層側表面のR maxと磁気ヘッド浮揚面のR m
axとが上記範囲である場合、すなわち媒体用表面および
磁気ヘッド表面の平滑性が良好である場合、本発明の効
果はさらに顕著である。
なお、基板中央付近から媒体表面までの間に上記範囲
を外れるHvを有する部分が存在する場合、例えば、基板
および/または磁性層のHvが上記範囲を外れる場合、耐
久性は臨界的に低下する。
この場合、具体的には、金属薄膜磁性層のようにHvが
上記範囲未満となると磁性層の耐久性が低下し、上記範
囲を超えると磁気ヘッドがダメージを受け易くなり良好
な記録再生が困難となる。
また、例えば、基板と磁性層との間に上記範囲外のHv
を有する層が存在する場合でも、耐久性は臨界的に低下
する。
なお、特開昭60−107728号公報には、実施例2とし
て、非磁性基板の上に、コバルトをドープしたフェライ
ト(γ−Fe2O3)磁性膜をスパッタ法により被覆し、そ
の上からイオン注入法によりホウ酸イオンを表面から50
〜500Åの深さまで注入することにより、フェライト磁
性層の摩擦係数を減少させ、硬度を増加させて、機械的
耐久性を大幅に改善する旨の発明が記載されている。本
発明では、基板中央付近から媒体表面までの硬度を500k
gf/mm2以上と高くすることにより、著しい耐久性向上を
実現しているのに対し、同公報記載の発明は、磁性膜表
面付近の硬度だけを向上させる点で本発明とは異なる。
同公報の実施例2で用いている非磁性基板は、アルミニ
ウム素板にメッキされ、研磨された非磁性ニッケル合金
からなるものであり、この非磁性基板では、アルミニウ
ム素板の表面付近でビッカース硬度Hvが小さくなり、本
発明で限定するHv範囲(500〜1200kgf/mm2)を下回って
しまう。したがって、同公報記載の発明では本発明の効
果は実現しない。
<具体的構成> 以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
第1図に示される本発明の磁気記録媒体1は、剛性基
板2上に連続薄膜型の磁性層3を有する。
本発明の磁気記録媒体1において、基板2のビッカー
ス硬度Hvは、500〜1200kgf/mm2、好ましくは600〜800kg
f/mm2とされる。本発明では、少なくとも基板厚さ方向
中央付近から磁性層側の基板表面までが上記範囲のHvを
有していればよい。
なお、本発明は、片面記録型および両面記録型のいず
れかの磁気記録媒体にも適用することができる。
基板内部のHvは、基板を研削等して測定すればよい。
また、Hvは、JIS Z 2244に従って測定すればよい。
なお、磁性層等の薄膜のHvは、薄膜用の微小押し込み
硬度計により求めることができる(日経メカニカル 198
8.5.16号 p.95)。
本発明で用いる基板2は、上記範囲のHvが容易に得ら
れること、下地層などを設層する必要がなく製造工程が
簡素になること、また、研磨が容易で表面粗さの制御が
簡単であること、磁性層の形成時およびその表面粗さ制
御のための熱処理に耐えることなどから、ガラスを用い
ることが好ましい。
ガラスとしては、強化ガラス、特に、化学強化法によ
る表面強化ガラスを用いることが好ましい。
一般的に、表面強化ガラスは、ガラス転移温度以下の
温度にて、ガラス表面付近のアルカリイオンを外部から
供給される他種アルカリイオンに置換し、これらのイオ
ンの占有容積の差によりガラス表面に圧縮応力が発生す
ることを利用したものである。
イオンの置換は、アルカリイオンの溶融塩中にガラス
を浸漬することにより行なわれる。塩としては硝酸塩、
硫酸塩等が用いられ、溶融塩の温度は350〜650℃程度、
浸漬時間は1〜24時間程度である。
より詳細には、アルカリ溶融塩としてKNO3を用い、K
イオンとガラス中のNaイオンと交換する方法や、NaNO3
を用い、ガラス中のLiイオンと交換する方法等が挙げら
れる。また、ガラス中のNaイオンおよびLiイオンを同時
に交換してもよい。
このようにして得られる強化層、すなわち圧縮応力層
はガラス基板の表面付近だけに存在するため、表面強化
ガラスとなる。圧縮応力層の厚さは、10〜200μm、特
に50〜150μmとすることが好ましい。
なお、このような表面強化ガラスは、特開昭62−4381
9号公報、同63−175219号公報に記載されている。
また、このような表面強化がなされた場合でも、ガラ
ス基板のHvに殆ど変化はみられない。
基板の表面粗さR maxは、好ましくは10〜100Å、より
好ましくは40〜80Å、さらに好ましくは40〜60Åとされ
る。剛性基板のR maxをこの範囲とすることにより、磁
気記録媒体の耐久性が向上し、また、後述するような媒
体磁性層側表面のR maxが容易に得られる。
なお、R maxは、JIS B 0601に従い測定すればよい。
このような表面粗さは、例えば、特開昭62−43819号
公報、同63−175219号公報に記載されているようなメカ
ノケミカルポリッシングなどにより得ることができる。
ガラス基板の材質に特に制限はなく、ホウケイ酸ガラ
ス、アルミノケイ酸ガラス、石英ガラス、チタンケイ酸
ガラス等のガラスから上記範囲のHvとなるものを適当に
選択することができるが、機械的強度が高いことから、
特にアルミノケイ酸ガラスを用いることが好ましい。
なお、ガラス基板の表面平滑化を、特開昭62−43819
号公報等に記載されているようなメカノケミカルポリッ
シングにより行なう場合、結晶質を含まないガラスを用
いることが好ましい。これは、メカノケミカルポリッシ
ングにより結晶粒界が比較的早く研磨されてしまい、上
記のようなR maxが達成できないからである。
ガラス基板の形状および寸法に特に制限はないが、通
常、ディスク状とされ、厚さは0.5〜5mm程度、直径は25
〜300mm程度である。
基板上には、磁性層が設けられる。
本発明において、磁性層は500〜1200kgf/mm2のHvを有
する。
磁性層の構成に特に制限はないが、上記範囲のHvが容
易に得られること、化学的安定性が高いこと、高密度記
録可能なことなどから、γ−Fe2O3を主成分とする連続
薄膜型の磁性層であることが好ましい。
γ−Fe2O3を主成分とする連続薄膜型の磁性層は、ま
ずFe3O4を形成し、このFe3O4を酸化してγ−Fe2O3とす
ることにより形成されることが好ましい。
Fe3O4を形成する方法は、直接法であっても間接法で
あってもよいが、工程が簡素になることなどから、直接
法を用いることが好ましい。
直接法は、反応性スパッタ法を用いて基板上にFe3O4
を直接形成する方法である。直接法には、ターゲットに
Feを用いて酸化性雰囲気にて行なう酸化法、ターゲット
にα−Fe2O3を用いて還元性雰囲気にて行なう還元法、
ターゲットにFe3O4を用いる中性法が挙げられるが、ス
パッタ制御が容易であること、成膜速度が高いことなど
から、本発明では酸化法を用いることが好ましい。
酸化法では、Arガス雰囲気中に反応ガスとしてO2ガス
を加えてスパッタを行なう。
スパッタ法としてはRFスパッタを用いることが好まし
い。
直接法によるFe3O4薄膜形成の詳細は、電子通信学会
論文誌‘80/9Vol.J63−C No.9 p.609〜616に記載されて
おり、本発明ではこれに準じて磁性層の形成を行なうこ
とが好ましい。
なお、間接法は、ターゲットにFeを用いて酸化性雰囲
気にてα−Fe2O3を形成した後、還元してFe3O4を得る方
法である。
スパッタ法により成膜されたFe3O4は、γ−Fe2O3にま
で酸化される。
この酸化は、酸素を含有する雰囲気中での熱処理によ
って行なわれ、通常、大気中熱処理によって行なわれ
る。
なお、磁性層中には必要に応じてCo、Ti、Cu等を添加
させてもよく、また、成膜雰囲気中に含まれるAr等が含
有されていてもよい。
Coは、保磁力を制御するために有用である。Coの含有
量は、Feを10wt%以下置換する程度とすることが好まし
い。また、磁性層にCoを含有させる場合、Coを含有する
Feターゲットを用いればよい。
磁性層の層厚は、生産性、磁気特性等を考慮して、50
0〜3000Å程度とすることが好ましい。
なお、磁性層上には、α−Fe2O3等の各種無機保護層
を設けてもよい。この保護層のHvも、500〜1200kgf/mm2
とする。
このような磁性層上には、潤滑膜4が設けられること
が好ましい。
潤滑膜4は有機化合物を含有することが好ましく、特
に極性基ないし親水性基、あるいは親水性部分を有する
有機化合物を含有することが好ましい。
用いる有機化合物に特に制限はなく、フッ素系有機化
合物、例えば欧州特許公開第0165650号およびその対応
日本出願である特開昭61−4727号公報、欧州特許公開01
65649号およびその対応日本出願である特開昭61−15534
5号公報等に記載されているようなパーフルオロポリエ
ーテル、あるいは公知の各種脂肪酸、各種エステル、各
種アルコール等から適当なものを選択すればよい。
なお、潤滑膜材料にこれらの有機化合物を用いた場
合、潤滑膜の成膜前後で媒体表面のビッカース硬度Hvに
変化はない。
潤滑膜の成膜方法に特に制限はなく、塗布法等を用い
ればよい。
潤滑膜の表面は、水との接触角が70゜以上、特に90゜
以上であることが好ましい。このような接触角を有する
ことにより、磁気ヘッドと磁気記録媒体との吸着が防止
される。
潤滑膜の厚さは、成膜方法および使用化合物によって
も異なるが、4〜300Å程度であることが好ましい。
4Å以上とすると耐久性が向上し、300Å以下とする
と吸着や磁気ヘッドのクラッシュが減少する。なお、よ
り好ましい膜厚は4〜100Åであり、さらに好ましい膜
厚は4〜80Åである。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層側の表面粗さR max
が50〜200Åであると、耐久性向上効果が顕著である。
この場合、R maxのより好ましい範囲は80〜150Åであ
り、さらに好ましい範囲は80〜120Å、特に好ましくは9
0〜120Åである。
磁性層側のR maxを上記範囲内とすれば、耐久性の向
上が顕著である他、媒体表面の浮上型磁気ヘッドの浮揚
面との距離を0.1μm以下に保って記録および再生を行
なうことができ、しかも浮上型磁気ヘッドと磁気記録媒
体との吸着が発生せず、高密度記録が可能となる。
なお、磁性層側のこのようなR maxを得るためには、
前記したFe3O4からγ−Fe2O3への酸化を行なう際に、熱
処理温度と時間を制御すればよい。
本発明の磁気記録媒体は、公知のコンポジット型の浮
上型磁気ヘッド、モノリシック型の浮上型磁気ヘッド等
により記録再生を行なった場合に効果を発揮するが、特
に、浮上型薄膜磁気ヘッドと組合せて使用された場合
に、極めて高い効果を示す。
第2図に、本発明に用いる磁気ヘッドの好適実施例で
ある薄膜型の浮上型磁気ヘッドの1例を示す。
第2図に示される浮上型磁気ヘッド10は、基体20上
に、絶縁層31、下部磁極層41、ギャップ層50、絶縁層3
3、コイル層60、絶縁層35、上部磁極層45および保護層7
0を順次有する。また、このような浮上型磁気ヘッド10
の少なくともフロント面、すなわち浮揚面には、必要に
応じ、前記と同様の潤滑膜を設けてもよい。
なお、本発明では、フロント面のR maxは、200Å以
下、特に50〜150Åであることが好ましい。このようなR
maxを有する磁気ヘッドと上記したR maxを有する磁気
記録媒体とを組み合わせて使用することにより、本発明
の効果はより一層向上する。
コイル層60の材質には特に制限はなく、通常用いられ
るAl、Cu等の金属を用いればよい。
コイルの巻回パターンや巻回密度についても制限はな
く、公知のものを適宜選択使用すればよい。例えば巻回
パターンについては図示のスパイラル型の他、積層型、
ジグザグ型等いずれであってもよい。
また、コイル層60の形成にはスパッタ法等の各種気相
被着法を用いればよい。
基体20はMn−Znフェライト等の公知の材料から構成さ
れてもよいが、本発明の磁気記録媒体に対して用いる場
合、基体20は、ビッカース硬度1000kgf/mm2以上、特に1
000〜3000kgf/mm2程度のセラミックスから構成されるこ
とが好ましい。このように構成することにより、本発明
の効果はさらに顕著となる。
ビッカース硬度1000kgf/mm2以上のセラミックスとし
ては、Al2O3−TiCを主成分とするセラミックス、ZrO2
主成分とするセラミックス、SiCを主成分とするセラミ
ックスまたはAlNを主成分とするセラミックスが好適で
ある。また、これらには、添加物としてMg、Y、ZrO2
TiO2等が含有されていてもよい。
これらのうち、本発明に特に好適なものは、Al2O3−T
iCを主成分とするセラミックス、SiCを主成分とするセ
ラミックスまたはAlNを主成分とするセラミックスであ
り、これらのうち最も好適なものは、酸化鉄を主成分と
する薄膜磁性層の硬度との関係が最適であることから、
Al2O3−TiCを主成分とするセラミックスである。
下部および上部磁極層41、45の材料としては、従来公
知のものはいずれも使用可能であり、例えばパーマロ
イ、センダスト、Co系非晶質磁性合金等を用いることが
できる。
磁極は通常、図示のように下部磁極層41および上部磁
極層45として設けられ、下部磁極層41および上部磁極層
45の間にはギャップ層50が形成される。
ギャップ層50は、Al2O3、SiO2等公知の材料であって
よい。
これら磁極層41、45およびギャップ層50のパターン、
膜厚等は公知のいずれのものであってもよい。
さらに、図示例ではコイル層60は、いわゆるスパイラ
ル型として、スパイラル状に上部および下部磁極層41、
45間に配設されており、コイル層60と上部および下部磁
極層41、45間には絶縁層33、35が設層されている。
また下部磁極層41と基体20間には絶縁層31が設層され
ている。
絶縁層の材料としては従来公知のものはいずれも使用
可能であり、例えば、薄膜作製をスパッタ法により行な
うときには、SiO2、ガラス、Al2O3等を用いることがで
きる。
また、上部磁極45上には保護層70が設層されている。
保護層の材料としては従来公知のものはいずれも使用可
能であり、例えばAl2O3等を用いることができる。ま
た、これらに各種樹脂コート層等を積層してもよい。
このような薄膜型の浮上型磁気ヘッドの製造工程は、
通常、薄膜作成とパターン形成とから構成される。
上記各層を構成する薄膜の作成には、上記したよう
に、従来公知の気相被着法、例えば真空蒸着法、スパッ
タ法、あるいはメッキ法等を用いればよい。
浮上型磁気ヘッドの各層のパターン形成は、従来公知
の選択エッチグあるいは選択デポジションにより行なう
ことができる。エッチングとしてはウェットエッチング
やドライエッチングを用いることができる。
このような浮上型磁気ヘッドは、アーム等の従来公知
のアセンブリーと組み合わせて使用される。
本発明の磁気記録媒体、特に磁気ディスクを用いて記
録再生を行なうには、ディスクを回転させながら、磁気
ヘッドを浮上させて記録再生を行う。
ディスク回転数は2000〜6000rpm程度、特に2000〜400
0rpmとする。
また、浮上量は0.2μm以下、特に0.15μm以下、さ
らには0.1μm以下、例えば0.01〜0.09μmとすること
ができ、このとき良好な浮上特性およびCSS耐久性を得
ることができる。
浮上量の調整は、スライダ巾や、磁気ヘッドへの荷重
を変えることによって行なう。
<実施例> 以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
表2に示す各種磁気ディスクを作製した。各磁気ディ
スクの構成の詳細を以下に示す。
[ガラス基板] 外径130mm、内径40mm、厚さ1.905mmのアルミノケイ酸
ガラス基板を研磨し、さらに化学強化処理を施した。化
学強化処理は、450℃の溶融硝酸カリウムに10時間浸漬
することにより行なった。
次いで、ガラス基板表面をメカノケミカルポリッシン
グにより平滑化した。メカノケミカルポリッシングに
は、コロイダルシリカを含む研磨液を用いた。
研磨後のガラス基板の表面粗さR maxは50Åであっ
た。
なお、R maxは、触針型表面粗さ計により測定した。
平滑化後、ガラス基板を洗浄した。
[アルミニウム基板] 表面にアルマイト処理を施したディスク状アルミニウ
ム板を用いた。直径および厚さは上記ガラス基板と同じ
とした。また、ポリッシング後のR maxは1000Åであっ
た。
[アルミナ基板] 直径および厚さが上記ガラス基板と等しいディスク状
アルミナ板を用いた。ポリッシング後のR maxは200Åで
あった。
[γ−Fe2O3磁性層] まず、Arガス雰囲気中にて予備スパッタを行ない、1w
t% Co−Fe合金ターゲット表面の酸化膜を除去した。次
いで、O2ガスを導入して反応性スパッタを行ない、上記
基板上にFe3O4膜を成膜した。
Fe3O4膜形成後、大気中熱処理により酸化を行ない、
γ−Fe2O3磁性層とした。
なお、磁性層の厚さは、2000Åとし、磁性層のR max
は熱処理条件を変えることにより変更した。
[Cr下地層およびCo−Ni−Cr磁性層] まず、厚さ2000ÅのCr下地層をスパッタ法により基板
上に形成し、このCr下地層上に厚さ500ÅのCo−Ni−Cr
磁性層をスパッタ法により形成した。
[保護層] スパッタ法により200Åの厚さに形成した。
なお、表2に示される磁気ディスクは、その最上層
(磁性層または保護層)表面に潤滑膜を有するものであ
る。
潤滑膜は、下記式で表わされる分子量2000の化合物の
0.1wt%溶液を用いて、スピンコート法により厚さ20Å
に成膜して形成した。
(式) HOCH2−CF2−OC2F4−OCF2−OmCF2−CH2−OH 潤滑膜形成後の磁性層側表面のR maxを、表2に示
す。
上記各基板、下地層、磁性層および保護層のHvを前記
した微小押し込み硬度計を用いて測定した。
なお、Hvは層形成後に測定した。
結果を下記表1に示す。
なお、基板中央のHvは、基板を研削して測定した。
また、磁気ディスク最上層(磁性層または保護層)の
Hvを潤滑膜成膜前および成膜後に測定したが、同じ値が
得られた。
表2に示す各磁気ディスクに対し、下記薄膜磁気ヘッ
ドおよびモノリシック磁気ヘッドを用いて、CSS耐久性
および磁気ヘッド浮揚面のダメージを測定した。
薄膜磁気ヘッド HVが2200kgf/mm2のAl2O3−TiC基体上に薄膜磁気ヘッ
ド素子を形成した後、磁気ヘッド形状に加工し、支持バ
ネ(ジンバル)に取りつけ、空気ベアリング型の浮上型
磁気ヘッドを作製した。
磁気ヘッド浮揚面のR maxは130Åであった。
浮上量は、スライダ幅、ジンバル荷重を調整し、0.1
μmになるようにした。
モノリシック磁気ヘッド Hvが800kgf/mm2のMn−Znフェライト基板を使用し、モ
ノリシック磁気ヘッドを作製した。
磁気ヘッド浮揚面のR maxは250Åであった。
浮上量は、スライダ幅、ジンバル荷重を調整し、0.3
μmになるようにした。
CSS耐久性 上記各磁気ヘッドを使用し、25℃、相対湿度50%にて
CSS試験を行なった。
CSSは第3図に示すサイクルの繰り返しで行なった。C
SS耐久性の評価は、記録再生出力が初期の半分以下にな
るまでのCSS回数を測定し、下記の5段階評価を行なっ
た。
◎:10万回以上 ○:5万回以上10万回未満 △:2万回以上5万回未満 ×:1万回以上2万回未満 ××:1万回未満 磁気ヘッド浮揚面のダメージ 上記CSS耐久性試験を実施した後の各磁気ヘッド浮揚
面のダメージを、下記3段階で評価した。
◎:全く傷がない ○:わずかに傷がある ×:激しく傷がある これらの測定の結果を表2に示す。
以上の実施例の結果から、本発明の効果が明らかであ
る。
<発明の効果> 本発明によれば、耐久性、特にCSS耐久性が高い磁気
記録媒体および磁気記録再生方法が実現する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の磁気記録媒体の好適実施例を示す部
分断面図である。 第2図は、本発明に用いる磁気ヘッドの部分断面図であ
る。 第3図は、CSS耐久性試験の1サイクルを表わすグラフ
である。 符号の説明 1……磁気記録媒体 2……基板 3……磁性層 4……潤滑膜 10……磁気ヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 5/66 G11B 5/72 G11B 5/82

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも磁性層を有する磁気記
    録媒体であって、 基板の厚さ方向中央付近から媒体表面までの各層のビッ
    カース硬度Hvが、それぞれ500〜1200kgf/mm2であること
    を特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】前記磁性層がγ−Fe2O3を主成分とする連
    続薄膜型の磁性層である請求項1に記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】前記基板がガラスから構成される請求項1
    または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】媒体の表面粗さR maxが50〜200Åである請
    求項1ないし3のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】前記基板の表面粗さR maxが10〜100Åであ
    る請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5のいずれかに記載の磁気
    記録媒体を回転させ、この磁気記録媒体上に浮上型磁気
    ヘッドを浮上させて記録再生を行なう磁気記録再生方法
    であって、 前記磁気記録媒体がディスク状であり、前記浮上磁気ヘ
    ッドの少なくとも浮揚面が1000kgf/mm2以上のビッカー
    ス硬度Hvを有するセラミックスから構成されていること
    を特徴とする磁気記録再生方法。
  7. 【請求項7】前記浮上型磁気ヘッドの浮揚面の表面粗さ
    R maxが200Å以下である請求項6に記載の磁気記録再生
    方法。
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