JPH04341922A - 磁気記録媒体および磁気記録再生方法 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記録再生方法

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JPH04341922A
JPH04341922A JP14118791A JP14118791A JPH04341922A JP H04341922 A JPH04341922 A JP H04341922A JP 14118791 A JP14118791 A JP 14118791A JP 14118791 A JP14118791 A JP 14118791A JP H04341922 A JPH04341922 A JP H04341922A
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JP
Japan
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magnetic
magnetic layer
magnetic recording
recording medium
layer
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Withdrawn
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JP14118791A
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English (en)
Inventor
Haruyuki Morita
治幸 森田
Munehito Goto
後藤 宗人
Yoshiyori Kobayashi
小林 由縁
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、剛性基板上に磁性層を
有する所謂ハードタイプの磁気記録媒体と、浮上型磁気
ヘッドを用いてこの磁気記録媒体に記録再生を行なう磁
気記録再生方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】計算機等に用いられる磁気ディスク駆動
装置には、剛性基板上に磁性層を設層したハードタイプ
の磁気ディスクと浮上型磁気ヘッドとが用いられている
【0003】このような磁気ディスク駆動装置において
は従来、塗布型の磁気ディスクが用いられていたが、磁
気ディスクの大容量化に伴い、磁気特性、記録密度等の
点で有利なことから、スパッタ法等の気相成膜法等によ
り設層される連続薄膜型の磁性層を有する薄膜型磁気デ
ィスクが用いられるようになっている。
【0004】薄膜型磁気ディスクとしては、Al系のデ
ィスク状金属板にNi−P下地層をめっきにより設層す
るか、あるいはこの金属板表面を酸化してアルマイトを
形成したものを基板とし、この基板上にCr層、Co−
Ni等の金属磁性層、さらにC等の保護潤滑膜をスパッ
タ法により順次設層して構成されるものがある。
【0005】さらに、Co−Ni等の金属磁性層より、
耐食性を高め、硬度を高め、信頼性を向上したものとし
て、特開昭62−43819号公報、同63−1752
19号公報等に記載された酸化鉄を主成分とする磁性薄
膜があり、このものは化学的に安定なため腐食の心配が
なく、また、充分な硬度を有している。
【0006】一方、浮上型磁気ヘッドは浮力を発生する
スライダを有する磁気ヘッドであり、コアがスライダと
一体化されたコンポジットタイプのもの、あるいはコア
がスライダを兼ねるモノリシックタイプのものが通常用
いられる。
【0007】さらに、これらの他、高密度記録が可能で
あることから、いわゆる浮上型薄膜磁気ヘッドが注目さ
れている。浮上型薄膜磁気ヘッドは、基体上に磁極層、
ギャップ層、コイル層などを気相成膜法等により形成し
たものである。このような浮上型薄膜磁気ヘッドでは、
基体がスライダとしてはたらく。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】浮上型磁気ヘッドを用
いる磁気ディスク装置では、コンタクト・スタート・ス
トップ(CSS)時に浮上型磁気ヘッドの浮揚面(スラ
イダの磁気ディスク側表面)と磁気ディスクとが接触し
、磁性層は衝撃を受ける。
【0009】特に、浮上型薄膜磁気ヘッドを用いる場合
、高密度記録を可能とするためには、磁気ディスクと磁
気ヘッドとの間隔(フライングハイト)を極めて小さく
設定するので、CSS時に磁性層が受ける衝撃がより大
きくなる。
【0010】また、フライングハイトが小さい場合、磁
気ディスクの振動あるいは駆動装置外部からの衝撃など
により磁気ディスクと浮上型磁気ヘッドとの接触事故が
生じることがある。
【0011】そこで、CSS耐久性を向上させるために
、例えばパーフルオロアルキレン基を有するポリエーテ
ルの塗膜のトップコート潤滑膜を形成している。
【0012】この場合、塗膜形成時の溶媒としては、沸
点48℃のフロン113等が用いられている。
【0013】しかし、高密度記録を達成するためにフラ
イングハイトはますます低くなる傾向にあり、CSS耐
久性の点で不十分であり、特に、CSS時、摺動抵抗や
摩擦係数が経時的に増大して、吸着やスティックスリッ
プを生じてしまう。
【0014】本発明の主たる目的は、剛性基板上に連続
薄膜型の磁性層を有する磁気記録媒体のCSS耐久性を
向上させることにある。
【0015】また、磁気記録媒体に対し、浮上型磁気ヘ
ッドを用いて信頼性の高い記録再生を行なうことができ
る磁気記録再生方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るため、潤滑膜塗布方法について検討した結果、潤滑膜
塗布時の乾燥速度を調整することにより、摩擦性能が改
良され、CSS耐久性が向上すること、また、乾燥速度
は潤滑剤を溶解する溶媒の沸点を変更することにより容
易に変えられることを見出し本発明をなすに至ったもの
である。
【0017】すなわち、本発明は、下記(1)〜(7)
の構成をもつ。
【0018】(1)連続薄膜型の磁性層を剛性基板上に
有し、この磁性層上に、パーフルオロアルキレンを有す
るポリエーテルおよび/またはその誘導体を、C2 F
5 CH2 OHに溶解した溶液から形成した潤滑膜を
有することを特徴とする磁気記録媒体。
【0019】(2)前記磁性層が、γ−Fe2O3を主
成分とする連続薄膜型の磁性層である上記(1)に記載
の磁気記録媒体。
【0020】(3)前記磁性層の比抵抗ρが0.03〜
3Ω・cmである上記(2)に記載の磁気記録媒体。
【0021】(4)前記剛性基板の表面粗さ(Rmax
 )が10〜100A であり、前記磁気記録媒体の磁
性層側表面粗さ(Rmax )が50〜200A であ
る上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の磁気記録
媒体。
【0022】(5)ディスク状の磁気記録媒体を回転し
、この磁気記録媒体上に磁気ヘッドを浮上させて記録再
生を行なう磁気記録再生方法であって、前記磁気記録媒
体が、連続薄膜型の磁性層を剛性基板上に有し、前記磁
性層上および/または前記磁気ヘッドのフロント面上に
、パーフルオロアルキレンを有するポリエーテルおよび
/またはその誘導体を、C2 F5 CH2OHに溶解
した溶液から形成した潤滑膜を有することを特徴とする
磁気記録再生方法。
【0023】(6)前記磁気ヘッドの浮上量が0.2μ
m 以下である上記(5)に記載の磁気記録再生方法。
【0024】(7)前記磁性層が、γ−Fe2O3を主
成分とする連続薄膜型の磁性層である上記(5)または
(6)に記載の磁気記録再生方法。
【0025】
【作用】本発明の磁気記録媒体の潤滑膜形成では、潤滑
剤を溶かす溶媒を沸点70℃未満のフロン113等から
、沸点80℃のペンタフルオロプロピルアルコールCF
3 CF2 CH2 OHに変更している。
【0026】この結果、摩擦性能が飛躍的に向上する。
【0027】これは、潤滑膜塗布時の乾燥速度によりデ
ィスクへの潤滑剤の付着の仕方が異なってくるためと考
えられる。すなわち、沸点の高い溶媒を使用して乾燥速
度が遅くなるにつれて、潤滑膜はディスク表面上により
均一に形成されるようになり、その結果、摩擦が低下し
、摩擦の耐久性も向上すると考えられる。
【0028】例えば、溶媒としてCCl2 FCClF
2 (フロン113、沸点48℃)を使用して潤滑剤塗
布を行なった場合、潤滑膜には、潤滑剤の大きな島がデ
ィスク表面上に点在するような形になりやすい。
【0029】これに対し、本発明の沸点80℃の溶媒C
2 F5CH2 OHを使用して塗布を行なった場合、
潤滑膜はより均一な膜に近い状態で形成される。
【0030】表面性がRmax 50〜200A と非
常に良い磁気記録媒体の場合にはこのような効果は特に
顕著になる。
【0031】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0032】第1図に示される本発明の磁気記録媒体1
は、剛性基板2上に連続薄膜型の磁性層3を有する。
【0033】本発明で用いる基板2は、下地層などを設
層する必要がなく製造工程が簡素になること、また、研
磨が容易で表面粗さの制御が簡単であること、磁性層の
形成時およびその表面粗さ制御のための熱処理に耐える
ことなどから、ガラスを用いることが好ましい。
【0034】ガラスとしては、強化ガラス、特に、化学
強化法による表面強化ガラスを用いることが好ましい。
【0035】一般的に、表面強化ガラスは、ガラス転移
温度以下の温度にて、ガラス表面付近のアルカリイオン
を外部から供給される他種アルカリイオンに置換し、こ
れらのイオンの占有容積の差によりガラス表面に圧縮応
力が発生することを利用したものである。
【0036】イオンの置換は、アルカリイオンの溶融塩
中にガラスを浸漬することにより行なわれる。塩として
は硝酸塩、硫酸塩等が用いられ、溶融塩の温度は350
〜650℃程度、浸漬時間は1〜24時間程度である。
【0037】より詳細には、アルカリ溶融塩としてKN
O3 を用い、Kイオンとガラス中のNaイオンとを交
換する方法や、NaNO3 を用い、ガラス中のLiイ
オンと交換する方法等が挙げられる。また、ガラス中の
NaイオンおよびLiイオンを同時に交換してもよい。
【0038】このようにして得られる強化層、すなわち
圧縮応力層はガラス基板の表面付近だけに存在するため
、表面強化ガラスとなる。圧縮応力層の厚さは、10〜
200μm 、特に50〜150μm とすることが好
ましい。
【0039】なお、このような表面強化ガラスは、特開
昭62−43819号公報、同63−175219号公
報に記載されている。
【0040】剛性基板の表面粗さ(Rmax )は、好
ましくは10〜100A 、より好ましくは40〜80
A 、さらに好ましくは40〜60A とされる。剛性
基板のRmax をこの範囲とすることにより、磁気記
録媒体の耐久性が向上し、また、後述するような媒体磁
性層側表面のRmax が容易に得られる。
【0041】なお、Rmax は、JIS B 060
1に従い測定すればよい。
【0042】このような表面粗さは、例えば、特開昭6
2−43819号公報、同63−175219号公報に
記載されているようなメカノケミカルポリッシングなど
により得ることができる。
【0043】ガラス基板の材質に特に制限はなく、ホウ
ケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、石英ガラス、チ
タンケイ酸ガラス等のガラスから適当に選択することが
できるが、機械的強度が高いことから、特にアルミノケ
イ酸ガラスを用いることが好ましい。
【0044】ガラス基板の形状および寸法に特に制限は
ないが、通常、ディスク状とされ、厚さは0.5〜5m
m程度、直径は25〜300mm程度である。
【0045】剛性基板上には、連続薄膜型の磁性層が成
膜される。
【0046】連続薄膜型の磁性層の材質としては特に制
限はなく、公知の種々のものを用いることができるが、
耐食性や硬度が高い点で、γ−Fe2O3を主成分とす
るものが好ましい。
【0047】そして、γ−Fe2O3磁性層の比抵抗ρ
は、0.03〜3Ω・cmとされることが好ましい。
【0048】なお、磁性層の比抵抗ρが0.1〜0.9
Ω・cmであると、さらに好ましい結果が得られる。
【0049】比抵抗ρは、通常の四端針法などにより測
定すればよい。
【0050】比抵抗ρが0.03〜3Ω・cmとなる磁
性層は、X線回折チャートにおいてγ−Fe2O3の面
指数(311)のピークが、通常、35.43〜35.
80°、好ましくは35.52〜35.71°に現われ
る。
【0051】このような比抵抗ρとγ−Fe2O3の面
指数(311)のピーク位置とは相関関係を有し、上記
した比抵抗ρを有する磁性層のγ−Fe2O3面指数(
311)のピーク位置は、通常、上記範囲に存在する。
【0052】また、磁性層の比抵抗ρと保磁力Hc と
の間にも相関関係が存在し、保磁力Hc は比抵抗ρの
増加に伴って増加する。
【0053】そして、上記範囲の比抵抗ρを有する磁性
層は、保磁力が従来のγ−Fe2O3、あるいは同等の
Coを含有する従来のCo含有γ−Fe2O3の6倍程
度にまで向上可能であり、このため再生出力が70%ま
で低下する記録密度D70が従来に比べ2.5倍程度に
まで向上可能である。
【0054】従って、本発明の磁気記録媒体は高密度記
録が可能であり、しかも、そのときに問題となるCSS
耐久性も極めて良好である。
【0055】なお、γ−Fe2O3を主成分とする連続
薄膜型の磁性層において、従来報告されている比抵抗ρ
の範囲は、例えば電子通信学会論文誌’82/1 Vo
l.J65−C No.1 p.24−31によれば、
後述する直接法を用いた場合102 〜103 Ω・c
m程度であり、上記本発明における比抵抗ρよりも極端
に大きい。これは本発明におけるγ−Fe2O3の酸化
度が、従来よりも低いためと考えられる。
【0056】本発明では、このような磁性層のX線回折
を行なったとき、X線回折チャートにおいて、γ−Fe
2O3の面指数(311)、面指数(400)および面
指数(222)のそれぞれのピーク面積をP(311)
、P(400)およびP(222)としたとき、
【0057】0≦P(400)/P(311)≦1.0
0≦P(222)/P(311)≦0.5であることが
好ましく、
【0058】0≦P(400)/P(311)≦0.6
0≦P(222)/P(311)≦0.3であることが
より好ましい。
【0059】磁性層がこのようなピーク面積比を有する
ことにより、耐久性はいっそう向上する。
【0060】より詳細に説明すると、P(222)が増
加するということは、磁性層面と平行に(222)面お
よび(111)面が存在する割合が増えることを示して
いる。γ−Fe2O3はスピネル構造を有するものであ
り、スピネル構造では(111)面が最も滑り易い面と
なっている。
【0061】従って、(111)面と平行な(222)
面のピーク面積が大きい場合、すなわちP(222)/
P(311)の値が大きい場合、磁気ヘッドとの摺動に
より磁性層を構成するγ−Fe2O3に滑りが生じ易く
なり、耐久性が低下すると考えられる。そして、P(2
22)/P(311)が上記範囲を超えると臨界的に耐
久性が低下する。
【0062】(400)面と平行に存在する(100)
面は、(111)面に次いで滑りが生じ易いと考えられ
るため、P(400)/P(311)が上記範囲を超え
ると耐久性が臨界的に低下する。
【0063】本発明では、磁性層にα−Fe2O3が含
有されることが好ましい。磁性層がα−Fe2O3を含
有することにより、耐久性が向上する。
【0064】そして、磁性層のX線回折チャートにおい
て、α−Fe2O3の面指数(104)のピーク面積を
P(104)としたとき、
【0065】0.02≦P(104)/P(311)≦
0.200≦P(400)/P(311)≦1.00≦
P(222)/P(311)≦0.5であることが好ま
しく、
【0066】0.05≦P(104)/P(311)≦
0.150≦P(400)/P(311)≦0.60≦
P(222)/P(311)≦0.3であることがより
好ましい。
【0067】磁性層がこのようなピーク面積比を有する
ことにより、耐久性はさらに向上する。
【0068】より詳細に説明すると、P(104)/P
(311)が上記範囲未満であると耐久性向上効果が比
較的低く、上記範囲を超えると記録再生出力が低下する
【0069】X線回折チャートは、例えば下記のように
して作成することが好ましい。
【0070】第2図にX線回折装置の1例を示す。
【0071】第2図において、X線源101から照射さ
れたX線は、ダイバージェンススリットDSを経て磁気
記録媒体102の磁性層に入射して回折し、スキャッタ
ースリットSSおよびレシービングスリットRS1を経
た後、モノクロメータMMで反射することにより単色光
とされ、さらにレシービングスリットRS2を経て計数
管103に入射し、X線強度のカウントが行なわれ、通
常、レートメータ等により記録される。
【0072】なお、測定時には、磁気記録媒体102が
走査速度dθ/dtで、スキャッタースリットSS以下
の光路を構成する部材が走査速度2dθ/dtで回転さ
れる。
【0073】得られたX線回折チャートの各ピークにつ
いて、バックグラウンドを除いた部分の積分を行なって
上記した面積比を算出する。
【0074】なお、CuKαをX線源とした第2図に示
す光学配置では、α−Fe2O3の面指数(104)の
ピークは33.3°付近に現われ、γ−Fe2O3の面
指数(400)および面指数(222)のピークは、そ
れぞれ43.5°および37.3°付近に現われる。そ
して、γ−Fe2O3の面指数(311)のピークは、
前記した範囲に現われる。ピーク位置は、バックグラウ
ンド除去後のピークの重心位置として求められる。
【0075】磁性層中においてα−Fe2O3は均一に
含有されていてもよいが、磁性層の表面側、すなわち基
板と反対側での含有率が高くなることが好ましい。
【0076】α−Fe2O3がこのように含有されるこ
とにより、磁気ヘッドの摺動によりダメージを受け易い
磁性層表面部をより強化することができ、しかも、表面
部において高い耐久性を得ながら磁性層全体のα−Fe
2O3の含有率を低く押えることができる。
【0077】この場合、α−Fe2O3は磁性層表面側
に向かって漸増していてもよく、また、基板側には存在
せずに表面側にだけ存在していてもよい。
【0078】磁性層表面付近のα−Fe2O3の含有率
の分析は、例えば、下記のようにして行なうことが好ま
しい。
【0079】第3図に、低入射角X線回折装置の1例を
示す。
【0080】第3図において、X線源101から照射さ
れたX線は、ソーラースリットS1を経て、磁気記録媒
体102の磁性層にその表面とβの角度をなすように入
射して回折する。
【0081】回折されたX線は、ソーラースリットS2
を経た後、モノクロメータMMで反射することにより単
色光とされ、さらにレシービングスリットRSを経て計
数管103に入射し、X線強度のカウントが行なわれる
【0082】この低入射角X線回折装置においては、第
2図に示す装置と異なり、測定時に磁気記録媒体102
は入射X線に対して固定され、ソーラースリットS2以
下の光路を構成する部材が走査速度2dθ/dtで回転
される。
【0083】この装置において、入射X線と磁性層表面
とがなす角度βを変更することにより、磁性層表面付近
におけるα−Fe2O3の分布を求めることができる。 具体的には、表面に近い部分の分析を行なうためにはβ
を小さくすればよく、βを大きくするにつれて磁性層の
より深部までの分析結果が得られる。
【0084】本発明では、このような低入射角X線回折
において、βが小さいほどP(104)/P(311)
が大きくなることが好ましく、例えば、β=0.5°と
して測定されたP(104)/P(311)が、β=2
.0°として測定されたP(104)/P(311)の
1.5〜10倍、特に1.5〜5倍であることが好まし
い。
【0085】なお、磁性層を構成するγ−Fe2O3の
平均結晶粒径は、通常100〜800A 程度、特に2
00〜500A 程度である。
【0086】平均結晶粒径は、走査型電子顕微鏡(SE
M)を使用し、表面観察することにより求めることがで
きる。
【0087】次に、磁性層の形成方法を説明する。
【0088】γ−Fe2O3を主成分とする連続薄膜型
の磁性層は、まずFe3O4 を形成し、このFe3O
4 を酸化してγ−Fe2O3とすることにより形成さ
れることが好ましい。
【0089】Fe3O4 を形成する方法は、直接法で
あっても間接法であってもよいが、上記したピーク面積
比が容易に得られること、工程が簡素になることなどか
ら、直接法を用いることが好ましい。
【0090】直接法は、反応性スパッタ法を用いて基板
上にFe3O4 を直接形成する方法である。直接法に
は、ターゲットにFeを用いて酸化性雰囲気にて行なう
酸化法、ターゲットにα−Fe2O3を用いて還元性雰
囲気にて行なう還元法、ターゲットにFe3O4 を用
いる中性法が挙げられるが、スパッタ制御が容易である
こと、成膜速度が高いことなどから、本発明では酸化法
を用いることが好ましい。
【0091】酸化法では、Arガス雰囲気中に反応ガス
としてO2 ガスを加えてスパッタを行なう。
【0092】X線回折におけるγ−Fe2O3の上記し
たようなピーク比を得るためには、O2 ガスの分圧P
(O2)と、ArガスとO2 ガスとの合計圧力P(A
r+O2)が、
【0093】 0.043≦Po2 /P(Ar+O2)≦0.073
であることが好ましく、特に、
【0094】 0.048≦Po2 /P(Ar+O2)≦0.069
であることが好ましい。
【0095】また、スパッタに際して、真空槽中へのO
2 ガスの導入は基板に吹きつけるようにして行なうこ
とが好ましい。
【0096】本発明における好ましいP(Ar+O2)
 の範囲は1×10−4〜1×10−2Torrであり
、特に5×10−4〜8×10−3Torrである。
【0097】そして、前記した範囲の比抵抗ρを得るた
めには、ArガスとO2 ガスとの合計の流量を、30
〜150sccm、特に70〜140sccmとするこ
とが好ましい。
【0098】なお、スパッタ法としてはRFスパッタ、
DCスパッタいずれであってもよい。
【0099】スパッタ投入電力に特に制限はないが、0
.2〜2kW、特に0.4〜1.5kWとすることが好
ましい。
【0100】直接法によるFe3O4 薄膜形成の詳細
は、電子通信学会論文誌’80/9 Vol.J63−
CNo.9 p.609−616に記載されており、本
発明ではこれに準じて磁性層の形成を行なうことが好ま
しいが、その際に上記のようなガス流量およびO2 分
圧にてスパッタを行なうことが好ましい。
【0101】なお、間接法は、ターゲットにFeを用い
て酸化性雰囲気にてα−Fe2O3を形成した後、還元
してFe3O4 を得る方法である。
【0102】スパッタ法により成膜されたFe3O4 
は、γ−Fe2O3にまで酸化される。
【0103】この酸化は、O2 ガス分圧0.05〜0
.8気圧程度、全圧0.5〜2気圧程度の雰囲気中での
熱処理によって行なわれればよく、通常、大気中熱処理
によって行なわれることが好ましい。
【0104】熱処理における保持温度は200〜400
℃、特に250〜350℃であることが好ましく、温度
保持時間は、10分〜10時間、特に1時間〜5時間で
あることが好ましい。
【0105】本発明では、この熱処理に際し、昇温速度
を3.5〜20℃/min、特に5.0〜12℃/mi
nとすることが好ましい。
【0106】このような昇温速度とすることにより、α
−Fe2O3の上記したようなピーク面積比が容易に得
られる。
【0107】なお、昇温速度は一定であってもよく、漸
増あるいは漸減させてもよく、また、複数の昇温速度を
組み合わせて保持温度まで昇温させてもよい。
【0108】このようにして形成される磁性層は、Co
の添加量および比抵抗ρの値によっても異なるが、保磁
力400〜2500 Oe 、残留磁化2000〜30
00G、角形比0.55〜0.85程度の磁気特性が得
られ、また、α−Fe2O3を含有する場合でも、磁気
特性の劣化は殆どない。
【0109】磁性層中には必要に応じてCo、Ti、C
u等を添加させてもよく、また、成膜雰囲気中に含まれ
るAr等が含有されていてもよい。
【0110】Coは、保磁力を制御するために有用であ
る。Coの含有量は、Feを10wt% 以下置換する
程度とすることが好ましい。また、磁性層にCoを含有
させる場合、Coを含有するFeターゲットを用いれば
よい。
【0111】磁性層の層厚は、生産性、磁気特性等を考
慮して、500〜3000A 程度とすることが好まし
い。
【0112】このような磁性層上には、潤滑膜4が形成
される。
【0113】潤滑膜は、パーフルオロアルキレンを有す
るポリエーテルおよび/またはその誘導体を含有する。
【0114】本発明において、パーフルオロアルキレン
を有するポリエーテルおよび/またはその誘導体に特に
制限はないが、下記式(I)で表わされるものが好まし
い。
【0115】式(I) A1 −B1 −(Lf1 −O)p−Lf2−B2 
−A2
【0116】上記式(I)において、A1 およ
びA2 は、−F、−H、−COOZ、−COORまた
は置換もしくは非置換の1価の芳香族基を表わす。ただ
し、Zは−Hまたは1価のカチオンを、Rはアルキル基
を表わす。
【0117】A1 とA2 とは、同一であっても異な
っていてもよい。
【0118】Zで表わされる1価のカチオンとしては、
Na+ 、K+ 、Li+ 、NH4 + などが挙げ
られるが、ZとしてはHが好ましい。
【0119】Rとしては、−CH3 、−C2 H5 
などが挙げられる。
【0120】芳香族基の置換基としては、アルキル基、
アルコキシ基等である。
【0121】B1 およびB2 は、−CH2 O−、
−CH2 OCH2 −または−CF2 O−、−CO
NH−あるいは単なる結合手を表わす。B1 とB2 
とは、同一であっても異なっていてもよい。
【0122】Lf1 およびLf2 は、パーフルオロ
アルキレン基を表わす。Lf1 およびLf2 として
は、−CF2 −、−CF2 CF2 −、−CF(C
F3)−、−CF(CF3 )CF2 −などが挙げら
れる。Lf1 とLf2 とは、同一であっても異なっ
ていてもよい。
【0123】pは正の整数を表わし、好ましくは1〜1
00、より好ましくは2〜80程度である。pが2以上
の場合、各Lf1 は同一であっても異なっていてもよ
い。 また、この場合(Lf1 −O)pはブロック縮合体で
あってもよくランダム縮合体であってもよい。
【0124】なお、A1 およびA2 のいずれにもZ
やRが存在する場合、それらは互いに同一であっても異
なっていてもよい。
【0125】上記式(I)で表わされる化合物のうち、
好ましいものを下記化1に示す。
【0126】
【化1】
【0127】これらの化合物において、nは1〜50で
あることが好ましく、n+mは2〜100程度であるこ
とが好ましい。
【0128】上記各式で表わされる化合物は、分子量1
00〜20000程度、動粘度10〜5000cSt(
20℃)程度であるが、特に、分子量1000〜100
00、動粘度10〜4000cSt(20℃)であるこ
とが好ましい。
【0129】なお、本発明では、上記式(I)で表わさ
れる化合物のうち、あるいはこれらに加え、欧州特許公
開0165649号公報、同0165650号公報、米
国特許第3274239号明細書、同第4267238
号明細書、同第4268556号明細書、特公昭60−
10368号公報に記載されているようなパーフルオロ
アルキレンを有するポリエーテルおよび/またはその誘
導体も、好ましく用いることができる。
【0130】これらの化合物は公知の方法に従い合成す
ればよいが、市販のものを用いることもできる。具体的
に、商品名を挙げると、ダイキン工業社製Demnum
  S−20、S−65、デュポン社製KRYTOX、
モンテフルオス社製Fomblinなどがある。
【0131】本発明において、上記式(I)で表わされ
る化合物は、有機膜中に2種以上含有されていてもよい
【0132】このような潤滑膜を成膜するには、塗布法
、ラングミュア・ブロジェット法等を用いればよい。 塗布法としては、ディップ法、スピンコート法、スプレ
ーコート法等が好ましい。
【0133】このような成膜に際しては、まずパーフル
オロアルキレン基を有するポリエーテルおよび/または
その誘導体の溶液を調製する。
【0134】そして、この溶液の溶媒として、沸点80
℃のCF3 CF2 CH2 OH(パーフルオロエチ
ルメチルアルコール、ペンタフルオロプロピルアルコー
ル)を用いる。これにより、膜質が均一となり、摩擦係
数の耐久性が格段と向上する。また、乾燥性も良好であ
る。
【0135】このような溶媒は単独で用いてもよく、ま
た相溶性のある溶媒を50重量%以下用いてもよい。
【0136】このような溶媒を用い、パーフルオロアル
キレン基を有するポリエーテルおよび/またはその誘導
体の0.001〜1wt% 溶液とし、上記の各種成膜
を行なえばよい。
【0137】潤滑膜の厚さは、成膜方法および使用化合
物によっても異なるが、4〜100A 程度であること
が好ましい。
【0138】4A 以上とすると耐久性が向上し、10
0A 以下とすると吸着や磁気ヘッドのクラッシュが減
少する。なお、より好ましい膜厚は4〜80A であり
、さらに好ましい膜厚は4〜50A である。
【0139】上記のような磁性層を有する本発明の磁気
記録媒体は、磁性層側の表面粗さ(Rmax )が50
〜200A であるとさらに耐久性が向上する。この場
合、Rmaxのより好ましい範囲は80〜150A で
あり、さらに好ましい範囲は80〜120A 、特に好
ましくは90〜120A である。
【0140】このように表面性の良い磁気記録媒体に対
しては、潤滑剤塗布時の溶媒として沸点80℃のCF3
 CF2 CH2 OHを用いる効果はより顕著となる
【0141】磁性層側のRmax を上記範囲内とすれ
ば、耐久性が向上する他、媒体表面と浮上型磁気ヘッド
の浮揚面との距離を0.1μm 以下に保って記録およ
び再生を行なうことができ、しかも浮上型磁気ヘッドと
磁気記録媒体との吸着が発生せず、高密度記録が可能と
なる。
【0142】なお、磁性層側のこのようなRmax を
得るためには、前記したFe3O4 からγ−Fe2O
3への酸化を行なう際に、熱処理温度と時間を制御すれ
ばよい。
【0143】本発明の磁気記録媒体は、公知のコンポジ
ット型の浮上型磁気ヘッド、モノリシック型の浮上型磁
気ヘッド等により記録再生を行なった場合に効果を発揮
するが、特に、浮上型薄膜磁気ヘッドと組合せて使用さ
れた場合に、極めて高い効果を示す。
【0144】そして、前記の潤滑膜は、媒体上および/
またはヘッドフロント面に形成される。
【0145】第4図に、本発明に用いる磁気ヘッドの好
適実施例である薄膜型の浮上型磁気ヘッドの1例を示す
【0146】第4図に示される浮上型磁気ヘッド10は
、基体20上に、絶縁層31、下部磁極層41、ギャッ
プ層50、絶縁層33、コイル層60、絶縁層35、上
部磁極層45および保護層70を順次有する。また、こ
のような浮上型磁気ヘッド10の少なくともフロント面
、すなわち浮揚面には、必要に応じ、前記と同様の潤滑
膜を設けることもできる。
【0147】なお、本発明では、フロント面のRmax
 は、200A 以下、特に50〜150A であるこ
とが好ましい。このようなRmax を有する磁気ヘッ
ドと上記したRmax を有する磁気記録媒体とを組み
合わせて使用することにより、本発明の効果はより一層
向上する。
【0148】コイル層60の材質には特に制限はなく、
通常用いられるAl、Cu等の金属を用いればよい。
【0149】コイルの巻回パターンや巻回密度について
も制限はなく、公知のものを適宜選択使用すればよい。 例えば巻回パターンについては図示のスパイラル型の他
、積層型、ジグザグ型等いずれであってもよい。
【0150】また、コイル層60の形成にはスパッタ法
等の各種気相被着法を用いればよい。
【0151】基体20はMn−Znフェライト等の公知
の材料から構成されてもよいが、本発明の磁気記録媒体
に対して用いる場合、基体20は、ビッカース硬度10
00kgf/mm2 以上、特に1000〜3000k
gf/mm2 程度のセラミックス材料から構成される
ことが好ましい。 このように構成することにより、本発明の効果はさらに
顕著となる。
【0152】ビッカース硬度1000kgf/mm2 
以上のセラミックス材料としては、Al2 O3 −T
iCを主成分とするセラミックス、ZrO2 を主成分
とするセラミックス、SiCを主成分とするセラミック
スまたはAlNを主成分とするセラミックスが好適であ
る。また、これらには、添加物としてMg、Y、ZrO
2 、TiO2等が含有されていてもよい。
【0153】これらのうち好適なものは、酸化鉄を主成
分とする薄膜磁性層の硬度との関係が最適であることか
ら、Al2 O3 −TiC、ZrO2 を主成分とす
るセラミックスである。
【0154】下部および上部磁極層41、45の材料と
しては、従来公知のものはいずれも使用可能であり、例
えばパーマロイ、センダスト、Co系非晶質磁性合金等
を用いることができる。
【0155】磁極は通常、図示のように下部磁極層41
および上部磁極層45として設けられ、下部磁極層41
および上部磁極層45の間にはギャップ層50が形成さ
れる。
【0156】ギャップ層50は、Al2 O3 、Si
O2 等公知の材料であってよい。
【0157】これら磁極層41、45およびギャップ層
50のパターン、膜厚等は公知のいずれのものであって
もよい。
【0158】さらに、図示例ではコイル層60は、いわ
ゆるスパイラル型として、スパイラル状に上部および下
部磁極層41、45間に配設されており、コイル層60
と上部および下部磁極層41、45間には絶縁層33、
35が設層されている。
【0159】また下部磁極層41と基体20間には絶縁
層31が設層されている。
【0160】絶縁層の材料としては従来公知のものはい
ずれも使用可能であり、例えば、薄膜作製をスパッタ法
により行なうときには、SiO2 、ガラス、Al2 
O3 等を用いることができる。
【0161】また、上部磁極45上には保護層70が設
層されている。保護層の材料としては従来公知のものは
いずれも使用可能であり、例えばAl2 O3 等を用
いることができる。また、これらに各種樹脂コート層等
を積層してもよい。
【0162】このような薄膜型の浮上型磁気ヘッドの製
造工程は、通常、薄膜作成とパターン形成とから構成さ
れる。
【0163】上記各層を構成する薄膜の作成には、上記
したように、従来公知の気相被着法、例えば真空蒸着法
、スパッタ法、あるいはメッキ法等を用いればよい。
【0164】浮上型磁気ヘッドの各層のパターン形成は
、従来公知の選択エッチングあるいは選択デポジション
により行なうことができる。エッチングとしてはウェッ
トエッチングやドライエッチングを用いることができる
【0165】このような浮上型磁気ヘッドは、アーム等
の従来公知のアセンブリーと組み合わせて使用される。
【0166】本発明の磁気記録媒体、特に磁気ディスク
を用いて記録再生を行なうには、ディスクを回転させな
がら、磁気ヘッドを浮上させて記録再生を行なう。
【0167】ディスク回転数は2000〜6000rp
m 程度、特に2000〜4000rpmとする。
【0168】また、浮上量は0.2μm 以下、特に0
.15μm 以下、さらには0.1μm以下、例えば0
.01〜0.09μm とすることができ、このとき良
好な浮上特性およびCSS耐久性を得ることができる。
【0169】浮上量の調整は、スライダ巾や、磁気ヘッ
ドへの荷重を変えることによって行なう。
【0170】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0171】実施例1 磁気ディスクサンプルの作製
【0172】外径130mm、内径40mm、厚さ1.
9mmのアルミノケイ酸ガラス基板を研磨し、さらに化
学強化処理を施した。化学強化処理は、450℃の溶融
硝酸カリウムに10時間浸漬することにより行なった。
【0173】次いで、ガラス基板表面をメカノケミカル
ポリッシングにより平滑化した。メカノケミカルポリッ
シングには、コロイダルシリカを含む研磨液を用いた。
【0174】各サンプルに用いたガラス基板の表面粗さ
(Rmax )は、50A であった。
【0175】なお、Rmax は、触針型表面粗さ計に
より測定した。
【0176】ガラス基板を洗浄後、その表面に下記のよ
うにして磁性層を形成した。
【0177】まず、Arガス雰囲気中にて予備スパッタ
を行ない、1.0wt% Co−Fe合金ターゲット表
面の酸化膜を除去した。次いで、O2ガスを導入して反
応性スパッタを行ない、Fe3O4 膜を成膜した。な
お、O2 ガスは、基板に吹きつけるように導入した。
【0178】各磁気ディスクサンプルのFe3O4 膜
形成時のP( Ar+O2)およびPO2/P( Ar
+O2)は、それぞれ1×10−3Torrおよび0.
052とした。
【0179】なお、Fe3O4 膜形成時のArガスと
O2ガスとの合計流量(Ar+O2) を、表1に示す
【0180】Fe3O4 膜形成後、下記条件で大気中
熱処理により酸化を行ない、γ−Fe2O3磁性層とし
た。
【0181】(熱処理条件) 昇温速度:8.0℃/min 処理温度:310℃ 処理時間:1hr
【0182】なお、磁性層の厚さは、2000A とし
た。
【0183】このようにして得られた各サンプルの磁性
層に対してX線回折を行ない、X線回折チャートを作成
した。
【0184】なお、X線回折は第2図に示される装置に
て行なった。
【0185】各サンプルのX線回折チャートの解析結果
を表1に示す。また、サンプルNo.4のX線回折チャ
ートを第5図に示す。
【0186】さらに、このサンプルの磁性層に対し、第
3図に示す低入射角X線回折装置を用いて、β=0.5
°およびβ=2.0°にてX線回折を行なった。
【0187】得られたX線回折チャートを第6図に示す
【0188】第6図に示されるように、β=0.5°に
おけるP(104)/P(311)はβ=2.0°にお
けるP(104)/P(311)の約2.6倍であり、
α−Fe2O3の含有率が磁性層表面側で高いことが確
認された。
【0189】なお、表1に示される他のサンプルについ
て同様な測定を行なったところ、ほぼ同様な結果が得ら
れた。
【0190】また、各サンプルの平均結晶粒径は、10
0〜800A であった。
【0191】さらに、各サンプルについて、下記の測定
を行なった。
【0192】(比抵抗ρ)四端針法により測定した。測
定条件を以下に示す。
【0193】探針材質:チタンカーバイド針間隔:1m
m 針先半径:40μm R 針圧:100g/本
【0194】(保磁力)振動試料型磁力計(VSM)に
より測定した。最大印加磁界は5kOe とした。
【0195】(再生出力)各サンプルの磁性層上に潤滑
膜を成膜し、下記薄膜磁気ヘッドを用いて、浮上量0.
1μm にて再生出力、D70を測定した。
【0196】再生出力は21kFCI(kilo Fl
ux change per Inch) での記録再
生出力で、以下の評価を行なった。
【0197】この結果、サンプルNo. 2〜7では、
実用上好ましい出力がえられたが、サンプルNo. 1
、8では実用上問題となる出力であった。
【0198】D70は、低記録密度における再生出力に
対し再生出力が70%まで低下したときの記録密度であ
り、kFCIで表わした。
【0199】潤滑膜は、下記の化合物を、下記溶媒に溶
解した0.1wt% 溶液を用いて、スピンコート法に
より厚さ20A に成膜して形成した。
【0200】化合物1 F(CF2 CF2 CF2 O)nCF2 CF3ダ
イキン工業(株)製DEMNUM  S−20平均分子
量  2700、 20℃における動粘度  53±10cSt 、流動点
  −75℃、 20℃における密度  1.86g/ml
【0201】
溶媒1 CF3 CF2 CH2 OH 沸点  80℃
【0202】なお、潤滑膜形成後の各サンプルの磁性層
側Rmax は、100A であった。
【0203】また、使用磁気ヘッドの構成は、下記のと
おりである。
【0204】使用磁気ヘッド ビッカース硬度2200kgf/mm2 のAl2O3
−TiC 基体上に薄膜磁気ヘッド素子を形成した後、
磁気ヘッド形状に加工し、支持バネ(ジンバル)に取り
つけ、空気ベアリング型の浮上型磁気ヘッドを作製した
【0205】この磁気ヘッド浮揚面のRmax は13
0A であった。
【0206】浮上量は、スライダ幅、ジンバル荷重を調
整し、0.1μm になるようにした。
【0207】これらの測定結果を表1に示す。
【0208】表1に示される結果から、比抵抗ρに対応
して保磁力Hc およびD70が増加することがわかる
【0209】そして、0.03≦ρ≦3.0の範囲にお
いて、高いD70が得られることが明らかである。
【0210】すなわち、ρが0.03Ω・cm以上にな
ると例えば通研実報第31巻第1号(1982)PP.
277−289に示されるような従来Co1wt% で
得られていた保磁力(約400 Oe )を超え、ρの
増加とともにHc 、D70が増加する。しかし、ρ>
3.0Ω・cmとなると再生出力が実用上問題となる大
きさまで減少してしまう。ρ=0.1〜0.9ではD7
0が30kFCI以上になり、再生出力も実用上好まし
い出力となる。
【0211】実施例2 潤滑膜に用いた溶媒を変えて磁気記録ディスクサンプル
を作製した。潤滑膜以外は実施例1で作製したサンプル
No. 5と同様とし、潤滑膜に用いた溶媒は、上記溶
媒1および下記比較溶媒Aである。塗布溶液は全て0.
1wt% の溶液であり、ディップ法を用い、膜厚は1
0A とした。
【0212】溶媒A CCl2 FCClF2 (フロン113)ダイキン工
業社製  ダイフロン  S3沸点  48℃
【0213】これらのサンプルについて、実施例1の磁
気ヘッド浮上量0.1μm で使用してCSS耐久性を
調べた。CSSサイクルは、停止から3600rpm 
までの立上り時間5秒、3600rpm 回転時間10
秒、3600rpm から停止までの立下り時間10秒
、停止5秒のサイクルで行なった。
【0214】溶媒1を使用した場合には鳴きの発生、再
生出力の低下等の問題無く10万回CSSを完了した。 これ対して比較溶媒Aを使用した場合には、5万回で鳴
きが発生し、7万回で20%の再生出力低下が認められ
た。
【0215】実施例3 実施例2において、潤滑膜が含有する下記化合物2を変
えた他は全く同様に、磁気記録ディスクサンプルを作製
し、CSS耐久性を評価したところ、同様に、本発明の
溶媒の優秀性が確認された。
【0216】化合物2 HOCH2−CF2O−(C2F4O)n−(CF2O
)m−CF2−CH2OHMontefluos社製 
 Fomblim Z−dol平均分子量  2200 動粘度(20℃)  81cSt 密度(20℃)  1.75g/ml
【0217】
【発明の効果】本発明によれば、耐久性、特にCSS耐
久性の高く、しかも記録密度の高い磁性層を有する磁気
記録媒体が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の好適実施例を示す部分
断面図である。
【図2】X線回折装置の概略図である。
【図3】低入射角X線回折装置の概略図である。
【図4】本発明に用いる磁気ヘッドの部分断面図である
【図5】γ−Fe2O3磁性層のX線回折チャートであ
る。
【図6】低入射角X線回折装置を用いて作成されたγ−
Fe2O3磁性層のX線回折チャートである。 1  磁気記録媒体 2  基板 3  磁性層 4  潤滑膜 101  X線源 102  磁気記録媒体 103  計数管 DS  ダイバージェンススリット SS  スキャッタースリット RS、RS1、RS2 レシービングスリット MM  モノクロメータ S1、S2  ソーラースリット 10  磁気ヘッド
【表1】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  連続薄膜型の磁性層を剛性基板上に有
    し、この磁性層上に、パーフルオロアルキレンを有する
    ポリエーテルおよび/またはその誘導体を、C2 F5
     CH2 OHに溶解した溶液から形成した潤滑膜を有
    することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】  前記磁性層が、γ−Fe2O3を主成
    分とする連続薄膜型の磁性層である請求項1に記載の磁
    気記録媒体。
  3. 【請求項3】  前記磁性層の比抵抗ρが0.03〜3
    Ω・cmである請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】  前記剛性基板の表面粗さ(Rmax 
    )が10〜100Aであり、前記磁気記録媒体の磁性層
    側表面粗さ(Rmax )が50〜200A である請
    求項1ないし3のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】  ディスク状の磁気記録媒体を回転し、
    この磁気記録媒体上に磁気ヘッドを浮上させて記録再生
    を行なう磁気記録再生方法であって、前記磁気記録媒体
    が、連続薄膜型の磁性層を剛性基板上に有し、前記磁性
    層上および/または前記磁気ヘッドのフロント面上に、
    パーフルオロアルキレンを有するポリエーテルおよび/
    またはその誘導体を、C2 F5 CH2OHに溶解し
    た溶液から形成した潤滑膜を有することを特徴とする磁
    気記録再生方法。
  6. 【請求項6】  前記磁気ヘッドの浮上量が0.2μm
     以下である請求項5に記載の磁気記録再生方法。
  7. 【請求項7】  前記磁性層が、γ−Fe2O3を主成
    分とする連続薄膜型の磁性層である請求項5または6に
    記載の磁気記録再生方法。
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