JP2759781B2 - ケーブルラックカバーの接続方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ケーブルラックカ
バーの接続方法に係り、ケーブルを纏めて配線支持する
ケーブルラックの上に被せてケーブルラック及びケーブ
ルを保護するのに使用されるケーブルラックカバーにお
いて、対候性、防錆性のための表面処理が施されたケー
ブルラックカバー相互を簡易迅速に電気的導通状態に接
続できるようにしたケーブルラックカバーの接続方法に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、ケーブルラック及びケーブル
ラックカバーは、合成樹脂塗装やメラミン焼付塗装等の
表面処理を施して、敷設場所の環境に対処できる対候
性、防錆性、耐塩性、耐湿性、耐薬品性をもたせたもの
が各種提供されている。

【０００３】ところが、こうした表面処理膜は、導電性
がないため、配線支持したケーブルに漏電が発生した場
合に、ケーブルラック及びケーブルラックカバーがその
漏洩電流を逃がすことができず、非常に不都合であっ
た。

【０００４】これを解決すべく、ケーブルラックについ
ては、電気的導通状態に接続する方法として、取付ボル
ト及びナットの座面にケーブルラックの表面処理膜を突
き破る突起や凹凸を設け、そのボルト及びナットをケー
ブルラックに開穿した挿通孔に取付ボルト及びナットを
締着するもの等が実施されている（実公昭５５−４３７
００号、実開昭５４−４８３９９号）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、ケーブルラ
ックカバーについては、電気的接続を簡単に行うための
有効な方法の提案がなく、従来は、前記ケーブルラック
の接続方法と同じように接続するケーブルラックカバー
の相互に挿通孔をあけ、アースボンド線の両端子を夫々
のケーブルラックカバーの孔にビス類で止めるという一
般的な方法で行われていた。

【０００６】こうした従来の接続方法では、接続するケ
ーブルラックカバーに前もって挿通孔を開穿しなければ
ならず、面倒であり、付設された後にケーブルラックカ
バーに孔を開穿することは困難なことから、既設のケー
ブルラックカバーを導電状態に接続することはほとんど
不可能であった。

【０００７】また、前述した従来のケーブルラックの電
気的接続方法も、ケーブルラック同士を連結する際に行
うものであり、既設のものに対して施工することはでき
なかった。

【０００８】そこで本発明は、上述の課題を解消すべく
創出されたもので、ケーブルラックカバー相互の電気的
接続を簡単に行うことができ、しかも、ケーブルラック
カバーを付設した後からでも施工可能なケーブルラック
カバーの接続方法の提供を目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本願発明のケーブルラックカバーの接続方法は、非
導電性の表面処理が施されたケーブルラックカバー相互
を端部を突き合わせた状態にして接続するに際し、該ケ
ーブルラックカバーの側片に挟装される側面略コ字形の
導電性を有する継ぎ金具と、該継ぎ金具の一方の側片か
ら貫挿されて前記ケーブルラックカバーに圧着自在とな
ると共に、先端に表面処理膜を破断する食込部を有する
締付ボルトとによる締結手段を介して行い、前記ケーブ
ルラックカバー相互を導電状態とするものである。

【００１０】また、前記継ぎ金具を前記ケーブルラック
カバー相互の継ぎ目部分に架かるように挟装し、該継ぎ
金具の一方の側片から貫挿されて前記夫々のケーブルラ
ックカバーに圧着自在となる２つの締付ボルトを介して
前記ケーブルラックカバー相互を導電状態としてもよ
い。

【００１１】更に、前記継ぎ金具を前記ケーブルラック
カバー相互に一つずつ挟装し、該継ぎ金具同士の間に介
在してこれらを接続する導電性部材と、前記夫々の継ぎ
金具の一方の側片から貫挿されて前記夫々のケーブルラ
ックカバーに圧着自在となる２つの締付ボルトとを介し
て前記ケーブルラックカバー相互を導電状態としてもよ
い。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。すなわち、図に示す符号１は、本発明方法によっ
て相互に接続されるケーブルラックカバー２が付設され
るケーブルラックであり、ケーブルラック１は、相対峙
する左右一対の親桁１ａの相互間に所定間隔毎に複数の
子桁１ｂを渡設して成り、全体形状はいわゆる梯子形を
呈する。そして、このケーブルラック１は、それを複数
接続して使用されるもので、ビル、工場、その他の適宜
建築構造物において、例えば所定の吊ボルトの如き吊部
材によって吊り下げるか、或いは、ブラケット上に載置
するかして取り付けられ、子桁１ｂの上に複数のケーブ
ル等を纏めて載置して配線支持するものである。

【００１３】ケーブルラックカバー２は、該ケーブルラ
ック１の上面側の間隙を閉塞する板状のもので、ケーブ
ルラック１幅員に比べやや幅広で、その両側縁部分を略
直角に折曲して左右側片２ａが形成され、その縦断面は
浅い溝形状に形成されている。このケーブルラックカバ
ー２は、ケーブルラック１の上面側の間隙をケーブルラ
ック１全体にわたって閉塞するように、複数を相互に端
部を突き合わせるように連ねて付設するもので、図５に
示すように、ケーブルラックカバー２の上に幅方向に掛
け渡される杆材３と、フック部４ａをケーブルラック１
親桁１ａの下側に掛けてボルト部４ｂを杆材３に貫挿す
るフックボルト４と、フックボルト４のボルト部４ｂに
螺合するナット５とから構成されるクランプ部材６によ
って締め付けるか、或いは、ケーブルラックカバー２上
面とケーブルラック１親桁１ａの下側とに掛止されるク
リップ金具（図示せず）によって上下から締め付けるか
して取付けられる。

【００１４】そして、このように相互に端部を突き合わ
せるように連ねて付設されるケーブルラックカバー２
は、相互の接続に際しては、以下のような締結手段を介
して行われる。すなわち、ケーブルラックカバー２相互
を端部を突き合わせた状態にして接続する時に、ケーブ
ルラックカバー２の側片２ａに挟装される側面略コ字形
の導電性を有する継ぎ金具７と、該継ぎ金具７の対峙す
る両側片の一方から貫挿されてケーブルラックカバー２
の側片２ａに圧着自在となると共に、先端に表面処理膜
２ｂを破断する食込部９を有する締付ボルト８とによる
締結手段１０を用いるもので、締付ボルト８と継ぎ金具
７とは、ケーブルラックカバー２の側片２ａを締め付け
ると共に、締付ボルト８の食込部９によりケーブルラッ
クカバー２の表面処理膜２ｂを破断することでケーブル
ラックカバー２の地金２ｃに接触し、ケーブルラックカ
バー２同士を電気的に接続するのである。

【００１５】締結手段によるケーブルラックカバー２同
士の電気的導通は、ケーブルラックカバー２同士の継ぎ
目部分に締結手段１０を架け渡す状態に取付けて、締結
手段１０によつて直接導通する方法と、接続されるケー
ブルラックカバー２夫々に別個の締結手段１０を取付け
てその締結手段１０同士を他の導電性部材によって接続
して間接的に導通する方法とが実施可能である。

【００１６】

【実施例】図１は、第１の実施例を示すものである。こ
の実施例の締結手段１０は、一方の側片７ａに２つのネ
ジ孔１１を設けた導電性のある側面略コ字形の継ぎ金具
７と、先端に表面処理膜２ｂを破断する食込部９を有す
ると共に、継ぎ金具７のネジ孔１１に螺合可能な導電性
のある２つの締付ボルト８とを一組として構成されてい
る。

【００１７】継ぎ金具７は、一方の側片７ａを外側きに
した状態で、端部を突き合わせ状にしたケーブルラック
カバー２の継ぎ目部分に架かるように両ケーブルラック
カバー２の側片２ａ同士に挟装され、夫々のネジ孔１１
に締付ボルト８をネジ込んで締付ボルト８をケーブルラ
ックカバー２に圧着することにより、ケーブルラックカ
バー２同士を緊締して固定される。締付ボルト８の食込
部９は、先端面の周縁のみを貫挿方向に環状に突出させ
て形成したもので、食込部９は、図２に示すように締付
ボルト８の圧着と同時にケーブルラックカバー２の表面
処理膜２ｂに食い込むようにしてこれを破断して地金２
ｃに接触する。これによって、両ケーブルラックカバー
２は、締結手段１０によって直接に電気的に導通される
ことになる。

【００１８】この実施例によると、継ぎ金具７をケーブ
ルラックカバー２の継ぎ目部分に架かるように挟装し
て、これを締付ボルト８で圧着固定しているので、ケー
ブルラックカバー２同士の電気的接続と同時に、これら
の機械的な連結もなされる。

【００１９】尚、締付ボルトの食込部９は、先端面の周
縁のみを貫挿方向に環状に突出させて形成したものとし
たが、何等これに限定されるものではなく、先端面に小
突起を適当数設けたもの等でもよく、ケーブルラックカ
バー２の表面処理膜２ｂに食い込むようにしてこれを破
断し、地金２ｃに接触できるものであればその形状は限
定されない。

【００２０】図３及び図４は、第２の実施例を示すもの
である。この実施例では、継ぎ金具７に締付ボルト８用
のネジ孔１１と導電性部材取付用の取付ネジ孔１２とを
設けて、これを両ケーブルラックカバー２に夫々一つず
つ挟装させ、前述した第１の実施例と同様の締付ボルト
８を各継ぎ金具７のネジ孔１１にネジ込んで固定するよ
うに形成している。そして、継ぎ金具７の取付ネジ孔１
２には導電性部材としてのアースボンド線１３を取付ネ
ジ１４によって取り付け、アースボンド線１３によって
継ぎ金具７同士を連繋し、電気的にも導通させている。
一方、第１の実施例と同様に締付ボルト８の食込部９が
表面処理膜２ｂを破断してケーブルラックカバー２の地
金２ｃに接触することにより、締結手段１０を構成する
継ぎ金具７と締付ボルト８とは、ケーブルラックカバー
２との電気的導通が得られるので、両ケーブルラックカ
バー２は、アースボンド線１３を挟んで締結手段１０に
よって間接的に電気的に導通されることになる。尚、こ
の実施例では、導電性部材としてアースボンド線１３を
用いたが、プレート状のものでもよく、また、その取付
手段もネジ１４による取付だけに限定されることはな
い。

【００２１】この実施例によると、締結手段１０の間に
導電性部材を介したので、ケーブルラック１及びケーブ
ルラックカバー２が適宜角度で屈曲して設置されている
場合やケーブルラックカバー２同士の間に隙間をあけざ
るを得ない場合等に、自在に対応してケーブルラックカ
バー２相互を電気的に接続することが可能になる。

【００２２】

【発明の効果】本発明は、上述の如く構成したことによ
り、当初の目的を達成する。

【００２３】すなわち、ケーブルラックカバー２相互を
端部を突き合わせた状態にして接続する際に、継ぎ金具
７を該ケーブルラックカバー２の側片２ａに挟装し、締
付ボルト８を前記継ぎ金具７の一方の側片７ａから貫挿
して前記ケーブルラックカバー２に圧着すると共に、前
記締付ボルト８の食込部９によって前記ケーブルラック
カバー２の表面処理膜２ｂを破断して地金２ｃに接触さ
せることで、前記ケーブルラックカバー２相互を導電状
態としたので、従来のようにケーブルラックカバー２に
孔を開穿することを必要とせず、ケーブルラックカバー
２を簡単に導電状態に接続することが可能になった。

【００２４】よって、高所や狭い場所に付設されていて
作業スペースが少なく、ドリル等で孔を開穿することが
困難な既設のケーブルラックカバーについても導電状態
に接続することができる。

【００２５】また、前記継ぎ金具７を前記ケーブルラッ
クカバー２相互の継ぎ目部分に架かるように挟装し、該
継ぎ金具７の一方の側片７ａから貫挿されて前記夫々の
ケーブルラックカバー２に圧着自在となる２つの締付ボ
ルト８を介して前記ケーブルラックカバー２相互を導電
状態としたので、ケーブルラックカバー２同士の電気的
接続と機械的連結とを同時に行うことができる。

【００２６】更に、前記継ぎ金具７を前記ケーブルラッ
クカバー２相互に一つずつ挟装し、該継ぎ金具７同士の
間に介在してこれらを接続する導電性部材と、前記夫々
の継ぎ金具７の一方の側片７ａから貫挿されて前記夫々
のケーブルラックカバー２に圧着自在となる２つの締付
ボルト８とを介して前記ケーブルラックカバー２相互を
導電状態としたので、ケーブルラックカバー２が直線状
ではなく屈曲した状態で接続されている場合にその屈曲
に自在に対応して接続可能であり、また、ケーブルラッ
クカバー２同士の間に隙間があいている場合にも接続可
能である。

【００２７】このように本発明によると、ケーブルラッ
クカバー２相互の電気的接続を簡易迅速に行うことがで
き、しかも、ケーブルラックカバー２をケーブルラック
１に付設した後からでも取付できるといった有益な種々
の効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例の使用状態を示す分解斜
視図。

【図２】第１の実施例における使用状態での断面図。

【図３】本発明の第２の実施例の使用状態を示す分解斜
視図。

【図４】第２の実施例における使用状態での断面図。

【図５】ケーブルラックカバーのケーブルラックへの付
設状態を示す斜視図。

【符号の説明】

１ ケーブルラック １ａ 親桁 １ｂ 子桁 ２ ケーブルラック
カバー ２ａ 側片 ２ｂ 表面処理膜 ２ｃ 地金 ３ 杆材 ４ フックボルト ４ａ フック部 ４ｂ ボルト部 ５ ナット ６ クランプ部材 ７ 継ぎ金具 ７ａ 側片 ８ 締付ボルト ９ 食込部 １０ 締結手段 １１ ネジ孔 １２ 取付ネジ孔 １３ アースボンド線 １４ 取付ネジ

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 非導電性の表面処理が施されたケーブル
   ラックカバー相互を端部を突き合わせた状態にして接続
   するに際し、該ケーブルラックカバーの側片に挟装され
   る側面略コ字形の導電性を有する継ぎ金具と、該継ぎ金
   具の一方の側片から貫挿されて前記ケーブルラックカバ
   ーに圧着自在となると共に、先端に表面処理膜を破断す
   る食込部を有する締付ボルトとによる締結手段を介して
   行い、前記ケーブルラックカバー相互を導電状態とする
   ことを特徴とするケーブルラックカバーの接続方法。
2. 【請求項２】 前記継ぎ金具を前記ケーブルラックカバ
   ー相互の継ぎ目部分に架かるように挟装し、該継ぎ金具
   の一方の側片から貫挿されて前記夫々のケーブルラック
   カバーに圧着自在となる２つの締付ボルトを介して前記
   ケーブルラックカバー相互を導電状態とする請求項１記
   載のケーブルラックカバーの接続方法。
3. 【請求項３】 前記継ぎ金具を前記ケーブルラックカバ
   ー相互に一つずつ挟装し、該継ぎ金具同士の間に介在し
   てこれらを接続する導電性部材と、前記夫々の継ぎ金具
   の一方の側片から貫挿されて前記夫々のケーブルラック
   カバーに圧着自在となる２つの締付ボルトとを介して前
   記ケーブルラックカバー相互を導電状態とする請求項１
   記載のケーブルラックカバーの接続方法。