JP2758945B2 - ポリヒドロキシベンゾフェノン類の製造方法 - Google Patents

ポリヒドロキシベンゾフェノン類の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はポリヒドロキシベンゾフェノン類の製造方法
に関し、さらに詳細にはヒドロキシ安息香酸類とヒドロ
キシベンゼン類とを反応させて有利にポリヒドロキシベ
ンゾフェノン類を得る製造方法に関するものである。
[従来の技術] ポリヒドロキシベンゾフェノン類は、プラスチックに
混合することによって光による劣化を防ぐ効果が大きい
ほか、その紫外線吸収効果が勝れていることから、化粧
品に混合し皮膚を紫外線から守る用途に使用されてい
る。また合成繊維の染色時に共用し、繊維中に保持させ
ることによって製品の退色、劣化を少なくすることも知
られている。
ところで従来のポリヒドロキシベンゾフェノン類の製
造方法としては、o−ヒドロキシ安息香酸とヒドロキシ
ベンゼンを、大量の高濃度リン酸溶剤中、3塩化燐と塩
化亜鉛の存在で反応させる方法が公知である(米国特許
第2,854,485号明細書、同第2,921,962号明細書)。
またポリヒドロキシ安息香酸とレゾルチンを、不活性
溶剤中、三弗化硼素ガスを吹き込んで製造する方法(特
開昭59-190943号)、レゾルチンジメチルエーテルとフ
ォスゲンを、不活性溶剤中、塩化アルミニウム存在下で
反応させて、2,2,4,4′−テトラヒドロベンゾフェノン
を製造する方法(米国特許第2,694,729号)も公表され
ている。
特開昭61-293945号は、レゾルチンとフォスゲンとの
反応による得られるヒドロキシベンゾエートを、ハロゲ
ン化ジルコニウム、ハロゲン化鉄、ハロゲン化亜鉛、ハ
ロゲン化錫、ハロゲン化ビスマスから選ばれた少なくと
も1種を触媒としてフリース転移をさせる方法を提案し
ている。
[発明が解決しようとする課題] しかし米国特許第2,854,485号明細書及び同第2,921,9
62号明細書が開示する製造方法は、他の製法と比較すれ
ば好収量のポリヒドロキシベンゾフェノン類を得ること
ができるが、大量の高濃度のリン酸溶剤を使用するた
め、原料費でコストアップするばかりでなく、放流に際
し富栄養化を避けるため廃水よりリン酸を除去しなけれ
ばならない問題が生じる。すなわちリン酸を除去するた
め沈殿させて取り出すためのリン酸除去のプロセスを別
途必要とし、また多大の経費を必要とするもので、工業
化の点で問題が大きい。このためリン酸の使用量を減ら
す実験を繰り返し試みたが収率を維持することは困難で
あった。
また特開昭59-190943号の製造方法は、取扱いの面倒
な三弗化硼素を大量に使用しなければならないため、ま
た公害になる点をも含めて、工業的製法としては決して
好ましいものではない。
また米国特許第2,694,729号及び特開昭61-293945号
は、原料に使用するホスゲンが毒性の大きいものとして
知られており、フォスゲンガスの移動が難しく製造上問
題である。
この発明の目的は、製造上及び廃水処理上問題が少な
く、高収率で製造され、かつ工業化の点で良好であるポ
リヒドロキシベンゾフェノン類の製造方法を提供する点
にある。
[課題を解決するための手段] 上記問題点を解決するため本発明は、o−ヒドロキシ
安息香酸とヒドロキシベンゼンを、大量の高濃度リン酸
溶剤中、3塩化燐と塩化亜鉛の存在で反応させる方法
(米国特許第2,854,485号明細書、同第2,921,962号明細
書)について改良を試みた。
すなわち同製法でリン酸を減らすと収率が低下する原
因は、反応系が不均一となって反応が円滑に進まないた
めと考えられる。そこで本発明はリン酸にかわる溶剤を
探すことを試み、種々の不活性溶剤を検討した結果、ス
ルフォラン(テトラメチレンスルフォン)を溶剤とし、
塩化亜鉛、塩素含有燐化合物を反応触媒として、o−ヒ
ドロキシ安息香酸誘導体とヒドロキシベンゼンとを反応
させることにより、ポリヒドロキシベンゾフェノン類が
高収量で得られることを見出だし、本発明を完成させる
に至った。
すなわち本発明は、次の一般式で表されるo−ヒドロ
キシ安息香酸誘導体と、 (RおよびR1は水素、ヒドロキシ基、ハロゲン、C1
C4のアルキル基、アルコキシ基を表す。) 次の一般式で表されるヒドロキシベンゼンとを、 (R2およびR3は水素、ヒドロキシ基、ハロゲンC1〜C4
のアルキル基、アルコキシ基を表す。) スルフォラン溶剤中、無水塩化亜鉛、塩素化燐の存在
で反応させることを特徴とする (R、R1、R2、R3は上記と同じ。) で表されるポリヒドロキシベンゾフェノン類の製造方
法である。
本発明に用いられるo−ヒドロキシ安息香酸誘導体と
しては、例えばサリチル酸、3−メチルサリチル酸、3
−クロルサリチル酸、3−メトキシサリチル酸、2,4−
ジヒドロキシ安息香酸、4−メトキシサリチル酸、4−
エトキシサリチル酸、4−メチルサリチル酸、4−クロ
ロサリチル酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸が好適
なものとして使用できる。
ヒドロキシベンゼンとしては、例えばフェノール、レ
ゾルシノール、モノメチルエーテル、レゾルシノールモ
ノエチルエーテル、m−クレゾール、o−クレゾール、
o−クロロフェノール、カテコール、グアヤコール、m
−クロロフェノール、ピロガロールを挙げることができ
る。
溶剤として使用するスルフォランの使用量は、反応系
が均一になる程度の量であればよく、具体的には生成す
るポリヒドロキシベンゾフェノンと同重量程度使用すれ
ば差し支えない。なお大量に使用することもできるが、
コストと廃水対策上できる限り少なく使用するのが好ま
しい。
触媒として使用する塩素化燐化合物としては、例えば
三塩化燐、五塩化燐、オキシ塩化燐が使用できる。好ま
しいものとして三塩化燐、オキシ塩化燐を挙げることが
できる。使用量はポリヒドロキシ安息香酸と同モル程度
がよく、同モルより少なく使用することは好ましくな
い。
反応温度は40〜80℃の範囲で設定することができ、60
〜70℃が好ましい条件である。反応の進行状態は薄層ク
ロマトグラフィーによって原料の消失状況を観察するこ
とで判る。反応時間は反応条件の設定にもよるが、およ
そ5時間程度で目的を達することができる。
[作用] この発明はスルフォラン溶剤中でポリヒドロキシベン
ゾフェノン類を製造する方法であるため、従来の様に廃
水よりリン酸を除去する必要がなく、また取扱いも容易
で、毒性もなく、またスルフォランの使用量も反応系が
均一になる程度の量であればよく、大量使用しなくても
差し支えなく、しかも同時に使用する3塩化燐、無水塩
化亜鉛の使用量も減少することができる作用効果もある
ので、廃水対策上、さらには公害及びコスト面でも良好
である。しかも収率はリン酸溶剤中で反応させる従来の
ものより向上し、90%台に達する高収率で得られ、工業
的価値はきわめて大きい。
[実施例] 以下本発明の実施例を説明するが、本発明の製造方法
は特にこれらの実施例に限定されない。
なお文中、部とあるのは特に断らない限り重量部を示
す。
実施例1 300mlの四つ口フラスコに、2,4−ジヒドロキシ安息香
酸を30.8g、レゾルシン30.8g、無水塩化亜鉛62.6g、ス
ルフォラン50mlを仕込み、温度50℃に加熱攪拌した。内
容物は粥状になるので、均一になるように攪拌しなが
ら、この中にオキシ塩化燐33.7gを2時間かけて滴下
し、滴下終了後1時間保温攪拌した。
次に反応終了を薄層クロマトグラフィーで確認した
後、内容物を500mlの水に排出し、結晶を析出し、濾別
したところ、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフ
ェノン45.3g(収率92%)が得られた。この得られた2,
2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンはやや赤
みを帯びた淡黄色結晶で、精製することなくそのまま使
用することができる。
実施例2 実施例1と同じ条件で四つ口フラスコに仕込んんだ
後、60℃に加熱し、この中にオキシ塩化燐を使用するか
わりに三塩化燐28.0gを使用して反応させた。その後実
施例と同様に処理すると、淡黄色の2,2′,4,4′−テト
ラヒドロキシベンゾフェノン43.3g(収率88%)を得
た。
実施例3 2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸34.0g、レゾルシン2
6.4gに、無水塩化亜鉛60.0g、スルフォラン50mlを仕込
み、60℃に加熱した。その後この中に三塩化燐28gを2
時間かけて滴下し、滴下終了後1時間保温攪拌した。
その後実施例1と同様に処理したところ、2,2′,3,4,
4′−ペンタヒドロキシベンゾフェノンが46.6g(収率89
%)得られた。
実施例4 サリチル酸27.6g、レゾルシン26.4g、無水塩化亜鉛60
g、スルフォラン54mlを四つ口フラスコに仕込み、55℃
に加熱攪拌しておく。次にこの中にオキシ塩化燐33.3g
を2時間滴下後、2時間同温度で攪拌する。反応終了後
内容物を水500mlに排出すると、2,2′,4−トリヒドロキ
シベンゾフェノンの結晶が析出した。続いて5時間攪拌
後これを濾過し、充分水洗後、乾燥すると、2,2′,4−
トリヒドロキシベンゾフェノンが39.1g(収率85%)得
られた。
比較例1 比較のため、スルフォラン50mlを103%リン酸296gに
置き換え、その他は実施例1と同条件で、2,2′,4,4′
−テトラヒドロキシベンゾフェノンを製造した。その結
果収量40.3g(収率82%)であった。
比較例2 スルフォラン50mlを103%リン酸296gに置き換え、そ
の他は実施例3と同条件で、2,2′,3,4,4′−ペンタヒ
ドロキシベンゾフェノンを製造した。その結果収量37.7
g(収率72%)であった。
比較例3 スルフォラン50mlを103%リン酸290gに置き換え、そ
の他は実施例4と同条件で、2,2′,4−トリヒドロキシ
ベンゾフェノンを製造した。その結果収量29.9g(収率6
5%)であった。
上述の通り、スルフォランを溶剤として使用した実施
例は、少量の溶剤量であっても高収量のポリヒドロキシ
ベンゾフェノン類を製造することができる。
[発明の効果] 以上の通りこの発明は、毒性及び取扱いの点で良好で
あるスルフォラン溶剤を用いて、無水塩化亜鉛、塩素化
燐化合物の存在で、o−ヒドロキシ安息香酸誘導体とヒ
ドロキシベンゼンとを反応させる製造方法なので、従来
の各種の製法と比べて製造上及び廃水処理上問題が少な
く、しかもスルフォラン溶剤は従来のリン酸溶剤のごと
く大量に必要とせずにポリヒドロキシベンゾフェノン類
を高収率で製造できるので、工業的価値がきわめてすぐ
れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (RおよびR1は水素、ヒドロキシ基、ハロゲン、C1〜C4
    のアルキル基、アルコキシ基を表す。) で表されるo−ヒドロキシ安息香酸誘導体と、 一般式 (R2およびR3は水素、ヒドロキシ基、ハロゲン、C1〜C4
    のアルキル基、アルコキシ基を表す。) で表されるヒドロキシベンゼンを、スルフォラン溶剤
    中、無水塩化亜鉛、塩素化燐化合物の存在で反応させる
    ことを特徴とする (R、R1、R2、R3は上記と同じ。) で表されるポリヒドロキシベンゾフェノン類の製造方
    法。
  2. 【請求項2】生成物が で表される2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェ
    ノンである請求項1記載のポリヒドロキシベンゾフェノ
    ン類の製造方法。
  3. 【請求項3】生成物が、 で表される2,2′,4−トリヒドロベンゾフェノンである
    請求項1記載のポリヒドロキシベンゾフェノン類の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102311329A (zh) * 2011-09-23 2012-01-11 湖北美凯化工有限公司 一种2,2’,4,4’-四羟基二苯甲酮的制备方法
CN111320534A (zh) * 2020-01-15 2020-06-23 湖北美凯化工有限公司 一种紫外线吸收剂bp-2的生产方法

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