JP2754796B2 - 竪型粉砕機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は回転テーブルと粉砕ローラとの協働によりセ
メント原料や石炭，化学品などを粉砕する竪型粉砕機に
関するものである。

［従来の技術］ セメント原料や石炭，化学品などの粒体を細かく粉砕
し粉体とする粉砕機の一種として回転テーブルと粉砕ロ
ーラとを備えた竪型粉砕機が広く用いられている。この
種の粉砕機は、円筒状ケーシングの下部において減速機
付きモータで駆動されて低速回転する円盤状の回転テー
ブルと、その上面外周部を円周方向へ等分する箇所に油
圧等で圧接されて従動回転する複数個の粉砕ローラとを
備えている。

例えば、従来の竪型粉砕機を示す第４図において、全
体を符号１で示す粉砕機は外観上一つの塔体として形成
され、その基部には電動機（モータ）２によって回転さ
れる回転テーブル３が配置されている。そして、この回
転テーブル３に摺接して回転するように複数個の円錐状
の粉砕ローラ４が配置されており、この粉砕ローラ４は
支持アーム５に回転自在に軸承されている。支持アーム
５はその中央で粉砕機側に回転自在に軸承された支持軸
６に固定されており、さらにこの支持アーム５は回転テ
ーブル３を囲んでいるケーシング８の側方を通って下方
に延び、粉砕機の下部空間に臨んでいる。そして、この
支持アーム５の下端は粉砕機１のベースにその下端を回
動自在に軸承された圧力シリンダ９のロッドの先端に回
転自在に軸承されている。符号10はカップリングを示
す。

そして原料供給装置（図示せず）から回転テーブル３
の中心部へ供給管11で供給された原料としての粒体は、
テーブルの回転により従動するローラ４と回転テーブル
３との間へ噛込まれ粉砕される。一方、ケーシング８内
にはダクト（図示せず）によって熱風が導かれており、
この熱風が回転テーブル３の外周面とケーシング８の内
周面との間の環状空間部12から吹き上がることにより、
微粉体は乾燥されながら粉砕機１内を上昇し、熱風との
混合体として排出口13から排出され次の工程へ送られ
る。

なお、粒度の粗い粒子も、一部は粉砕機１内を上昇す
るが、上方のセパレータ14にて分級され、回転テーブル
３上へ戻される。

なお、回転テーブル３は鉛直下方に延在する回転軸
（図示せず）を有しており、符号2Aで示す減速機のケー
シング内には、モータ２の回転力を減速してこの回転テ
ーブル３の回転軸に伝達する減速機のほか、回転テーブ
ル３を、その回転軸を介して支えるためのスラスト軸受
機構とラジアル軸受機構とが設けられている（いずれも
図示せず）。

［発明が解決しようとする課題］ 竪型粉砕機においては、前記のごとくローラがテーブ
ル面との間に原料を噛込んでその粉砕を行なうものであ
るが、回転テーブルと粉砕ローラとの間に介在する原料
層厚が適当でなかったり、原料供給が過大もしくは過小
であり適当量でないと、ローラが空転してしまい、粉砕
効率が著しく低下することになる。

そのため、第５図に示すように、回転テーブル３の最
外周に回転テーブル３のテーブルライナ3aより高い円環
状のダムリング70を設け、粉砕される原料層の堰の役目
をさせていた。このため、運転中原料層は適切な高さに
保持され、良好な粉砕が確保される。しかし、粉砕の進
行に伴なってテーブルライナ3aや粉砕ローラ４のローラ
本体4aは摩耗の進行が進んで実質的な原料層厚が変化し
たり、あるいは粉砕原料の変更による被粉砕性の変化に
伴なって好適な原料層厚Ｈへの変更を余儀なくされ、こ
れに伴なってダムリング70の高さｈの変更を迫られるこ
とになると同時に、ダムリング内端面とローラ本体4a外
径との距離（隙間）ｌも変化するため最適な値に補正す
る必要に迫られる。

このため、上述の粉砕条件の変化に伴ない最適のダム
リング高さh,最適な隙間ｌに変更するためには、運転を
休止し、ミル内部の冷却を待って人が中へ入り、ダムリ
ングを形成している複数枚の鋼板の厚みや回転テーブル
中心からダムリング内径端までの位置を最適のものに人
手により変更する煩雑な労務作業が必要であった。ま
た、運転中止むなく原料の被粉砕性が変化してもこれに
追随して短時間にダムリング高さｈや隙間ｌを変更する
ことができなかった。

［課題を解決するための手段］ 以上の問題点のうち、本発明の竪型粉砕機は、前記の
隙間ｌを運転中自由に変更できるようにしたもので、 上面が略水平となるよう枢支され、駆動装置によって
鉛直軸心回りに回転駆動される回転テーブルと、該回転
テーブル上に摺動配置される粉砕ローラを備えた竪型粉
砕機において、 該回転テーブル最外周上面に多角形円環状のダムリン
グを半径方向摺動自在に配設し、該多角形円環状のダム
リングは直管を該直管の両側に隣接する屈曲管内に摺動
自在に嵌装されるとともに、嵌装された直管ならびに屈
曲管のそれぞれに該両管を離間付勢する圧縮コイルばね
が弾装された拡縮管で形成され、 該ダムリングの半径方向摺動手段として油圧シリン
ダ、空気圧シリンダ、電動シリンダのいずれかを該ダム
リングの下方に複数個配設して該ダムリングと連結する
とともに、 該半径方向摺動手段として油圧シリンダ、空気圧シリ
ンダを使用する場合においては、該半径方向摺動手段へ
の動力供給配管を前記回転テーブルの軸心線上方または
下方の固定配管に回転継手を介して連結するものとし、 該半径方向摺動手段として電動シリンダを使用する場
合においては、該半径方向摺動手段への電力配線を前記
回転テーブルの軸心線上方または下方の固定配線に摺動
子（スリップリング）を介して連結した構成とした。

［作用］ 本発明の竪型粉砕機は、回転テーブル最外周上面に多
角形円環状のダムリングを半径方向摺動自在に配設し、
該多角形円環状のダムリングは直管を該直管の両側に隣
接する屈曲管内に摺動自在に嵌装されるとともに、嵌装
された直管ならびに屈曲管のそれぞれに該両管を離間付
勢する圧縮コイルばねが弾装された拡縮管で形成され、
該ダムリングの半径方向摺動手段として油圧シリンダ，
空気圧シリンダ，電動シリンダのいずれかによってダム
リングを拡縮することによって、ダムリング内径端と粉
砕ローラのローラ本体外径との隙間を任意に変更でき
る。すなわち、前記の隙間を小さくしたいときには、複
数個の半径方向摺動手段へ動力を供給して、ダムリング
の半径を縮小すると同時にダムリングの周長を短縮す
る。ダムリングの周長を短縮するには、たとえば、二重
管をスライドさせるなどの方法を採用しうる。

［実施例］ 以下図面に基づいて本発明の実施例について詳細に説
明する。

第１図〜第３図は本発明の１実施例を示し、第１図は
要部拡大縦断面図、第２図はダムリングの概略平面図、
第３図は要部拡大平面断面図である。

図において、３は回転テーブル、3aはテーブルライ
ナ、3bはライナ押え、3dはカバー、４は粉砕ローラ、4a
はローラ本体、4bは回転軸、50は油圧シリンダ、50aは
ピストンロッド、50bは油圧配管、50cはヘッダー、50d
はクイックカップリング（回転継手）、50eは油圧配
管、52は連結金具、60は油圧配管（固定）、60aは油圧
配管の保護管、60bは被覆カバー、70はダムリング、70a
は屈曲管、70bは拡縮管、70cは圧縮コイルばねである。

ダムリング70は全体として略円環状の多角形をなして
おり、拡縮管70bが圧縮コイルばね70cを真中の堰板を境
として両側に封入されつつ両側の屈曲管70a,70aの間に
摺動自在に嵌装されている。そして、ダムリング70の全
周４個所または６個所均等分配した位置に、第１図に示
すように、回転テーブル内に設けられた空洞に固設した
油圧シリンダ50のピストンロッド50aと拡縮管70bの中央
部とが連結金具52で接続されている。

さらに、油圧シリンダ50のロッド側およびヘッド側の
油圧配管50bは回転テーブル３の軸心方向へ延在し、ヘ
ッダー50cと連結される。ヘッダー50cからさらに鉛直上
方へ伸びた油圧配管50eがクイックカップリング（回転
継手）50dを経由して固定の油圧配管60と連結されてい
る。油圧配管60の外側には保護管60および被覆カバーが
取りつけられ、原料との接触，原料の侵入を防止してい
る。油圧配管60はミル外へ導かれ、図示しない油圧ユニ
ットに接続され、ピストンロッドの前進後退を制御でき
るようになっている。

また、ダムリング70の半径方向の位置を検知するため
に、図示しないポテンショメータやその他の非接触型の
位置センサ（たとえば、磁気スケール）を竪型粉砕機内
に配設し、遠隔の操作室でモニタリングすることができ
るようになっている。

以上のように構成することによって、運転負荷や原料
性状（特に、被粉砕性）の変動やローラタイヤ，テーブ
ルライナ等の摩耗，粉砕原料の変更等粉砕条件の変動に
伴なって、隙間ｌを適正な値に変更したいときには、運
転中必要に応じて速やかに油圧ユニットを操作すること
によって、ダムリング70を半径方向へ移動、かつ、拡縮
して任意の位置にすることができる。

本実施例では、ダムリング70を屈曲管70aと拡縮管70b
の組み合わせによる多角形状としたが、可撓性のある曲
管の組み合わせによって円環状のダムリングとすること
もできる。

また、油圧シリンダの代りに、空気圧シリンダや電動
シリンダを用いることもでき、各々空気圧配管や電気配
管の接続によってダムリングを上下動できることは油圧
シリンダの場合と同様である。電気配線の回転部分と固
定部分の接続には摺動子（スリップリング）を用いるこ
とができる。

なお、本実施例では油圧配管50eは回転テーブル軸心
を上方へ延長して、クイックカップリング50bはライナ
押え3bの頂部に配設したが、逆に回転テーブル軸心を下
方へ延長してミル外からの油圧配管とクイックカップリ
ングで連結してもよい。この場合には、回転テーブル３
を回転駆動する減速機2Aの出力軸を中空とし、この中を
貫通させるとよい。

［発明の効果］ 以上説明したとおり、本発明においては、回転テーブ
ル最外周上面に半径方向へ移動でき、拡縮自在な多角形
円環状のダムリングを設けたので粉砕条件の変動に応じ
て、遠隔操作で任意にその位置を変更できるので、ダム
リング内径端と粉砕ローラのローラ本体外径端との距
離、すなわち、隙間を任意に適正な値に変更できる。し
たがって、運転休止もなく、ダムリング取替作業も不要
で、最適の運転状態を保持できるので、粉砕効率が向上
するほか、メインテナンス性が優れ、生産効率が上昇す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本発明の１実施例を示し、第１図は要
部拡大縦断面図、第２図はダムリングの概略平面図、第
３図は要部拡大平面断面図である。第４図〜第５図は従
来の竪型粉砕機の実施例を示し、第４図は全体縦断面
図、第５図は要部拡大縦断面図である。 １……竪型粉砕機、３……回転テーブル、 3a……テーブルライナ、3b……ライナ押え、 3d……カバー、４……粉砕ローラ、 4a……ローラ本体、4b……回転軸、 50……油圧シリンダ、 50a……ピストンロッド、 50b……油圧配管、50c……ヘッダー、 50d……クイックカップリング（回転継手）、 50e……油圧配管、52……連結金具、 60……油圧配管（固定）、 60a……保護管、60b……被覆カバー、 70……ダムリング、70a……屈曲管、 70b……拡縮管、 70c……圧縮コイルばね、Ｈ……原料層厚、 ｈ……ダムリング高さ、ｌ……隙間。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上面が略水平となるよう枢支され、駆動装
   置によって鉛直軸心回りに回転駆動される回転テーブル
   と、該回転テーブル上に摺動配置される粉砕ローラを備
   えた竪型粉砕機において、 該回転テーブル最外周上面に多角形円環状のダムリング
   を半径方向摺動自在に配設し、該多角形円環状のダムリ
   ングは直管を該直管の両側に隣接する屈曲管内に摺動自
   在に嵌装されるとともに、嵌装された直管ならびに屈曲
   管のそれぞれに該両管を離間付勢する圧縮コイルばねが
   弾装された拡縮管で形成され、 該ダムリングの半径方向摺動手段として油圧シリンダ、
   空気圧シリンダ、電動シリンダのいずれかを該ダムリン
   グの下方に複数個配設して該ダムリングと連結するとと
   もに、 該半径方向摺動手段として油圧シリンダ、空気圧シリン
   ダを使用する場合においては、該半径方向摺動手段への
   動力供給配管を前記回転テーブルの軸心線上方または下
   方の固定配管に回転継手を介して連結するものとし、 該半径方向摺動手段として電動シリンダを使用する場合
   においては、該半径方向摺動手段への電力配線を前記回
   転テーブルの軸心線上方または下方の固定配線に摺動子
   （スリップリング）を介して連結したことを特徴とする
   竪型粉砕機。