JP2751446B2 - 磁気ヘッド位置制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 A. 産業上の利用分野 本発明は、光磁気ディスク記録装置に用いられる磁気
ヘッドを光磁気ディスクの記録面に対する遠近方向に駆
動変位させて、上記磁気ヘッドを上記光磁気ディスクか
ら一定の距離位置に保持する磁気ヘッド位置制御装置に
関する。

B. 発明の概要 本発明は、光磁気ディスクの記録面に対する遠近方向
に磁気ヘッドを駆動変位させ位置制御を行う磁気ヘッド
位置制御装置において、磁気ヘッドに取り付けられた容
量検出用電極と光磁気ディスクとの間の静電容量の変化
により上記磁気ヘッドと上記光磁気ディスクとの相対距
離の変化を検出し、上記静電容量の変化に応じて発振周
波数が変化する発振回路の発振出力を、上記発振回路の
発振特性に近似した発振特性を有する電圧制御型発振器
を備えたフェーズロックドループ型位相検波回路に送
り、このフェーズロックドループ型位相検波回路からの
検波出力を制御信号として上記磁気ヘッドを駆動変位さ
せることによって、上記磁気ヘッドを上記光磁気ディス
クから一定の距離位置に精度良く保持することができる
ようにしたものである。

C. 従来の技術 一般に、光磁気ディスク記録装置は、光学ヘッドと磁
気ヘッドとが光磁気ディスクを挟んで上記光磁気ディス
クと非接触に対向配設されており、磁界変調法を用いた
ものでは、記録信号に応じた磁界を上記磁気ヘッドから
上記光磁気ディスクに印加するとともに、同一領域を上
記光学ヘッドからのレーザビームで加熱することによっ
て記録動作を行うようになっている。

このとき、光学ヘッドは、光磁気ディスクの記録面に
照射したレーザビームの上記記録面からの反射光を利用
して上記レーザビームのフョーカス情報を得て、上記光
磁気ディスクの記録面に所定のビームスポットを結ぶよ
うにフォーカス制御されている。このため、上記光学ヘ
ッドは、光磁気ディスクに面振れや厚みのバラツキが生
じたり、ディスクテーブルが傾いたりして、上記光磁気
ディスクの位置が変動した場合にも、上記光磁気ディス
クに対する相対距離が常に一定に保たれて、上記光磁気
ディスクに接触することがない。これに対して、磁気ヘ
ッドは、光磁気ディスクとの相対距離を検出する簡易な
手段が無いために、前述のような理由で光磁気ディスク
の位置が変動した場合に上記光磁気ディスクに接触しな
いように、上記光磁気ディスクからやや離れた位置に配
されているものが多い。

ところが、上述のように磁気ヘッドを光磁気ディスク
から離れた位置に配すると、上記光磁気ディスクの記録
面に所定の記録磁界を与えるためには、上記磁気ヘッド
から強い磁界を発生させなければならないので、消費電
力が大きくなるという欠点がある。また、上記磁気ヘッ
ドが光磁気ディスクから離れすぎた場合には、上記光磁
気ディスクの記録面に印化される磁界が不充分となり、
エラーレイトの増大やC/N比の低下を招くばかりか、最
悪の場合には記録不能となる虞れもある。

このような問題を解決するためには、例えば、磁気ヘ
ッドに光磁気ディスクと対抗して電極を取り付けて上記
光磁気ディスクと上記電極との間の静電容量の変化によ
り上記磁気ヘッドと上記光磁気ディスクとの相対距離の
変化を検出し、その検出出力で上記磁気ヘッドの位置を
制御して、上記磁気ヘッドと上記光磁気ディスクとの相
対距離を一定に保持することによって、磁気ヘッドを光
磁気ディスクに近接配置できるようにすれば良い。この
ように静電容量を利用して磁気ヘッドの位置を制御する
技術としては、例えば、特開昭60-182572号公報に、垂
直磁気ヘッドを構成するスタイラスを垂直磁気記録方式
のディスク媒体からフローティングさせる制御に上記技
術を用いたものが開示されている。

D. 発明が解決しようとする課題 しかしながら、単に磁気ヘッドに取り付けた容量検出
用電極と光磁気ディスクとの間の静電容量の変化により
上記磁気ヘッドと上記光磁気ディスクとの相対距離の変
化を検出して、その検出出力で上記磁気ヘッドの位置を
制御したのでは、制御回路の温度特性や直線性の影響を
受けるために制御の精度が悪くなっていまい、上記磁気
ヘッドと上記光磁気ディスクとの相対距離を一定に保持
することができなかった。

本発明は、このような技術的な課題を解決するために
提案されたものであって、その目的とするところは、容
量検出用電極と光磁気ディスクとの間の静電容量の変化
により磁気ヘッドと光磁気ディスクとの相対距離の変化
を検出するように構成された磁気ヘッド位置制御装置に
おいて、回路の温度特性や直線性の影響を受けずに精度
良く磁気ヘッドを光磁気ディスクから一定の距離位置に
保持できるものを提供することにある。

E. 課題を解決するための手段 本発明に係る磁気ヘッド位置制御装置は、上述の目的
を達成するために、光磁気ディスクと対向して磁気ヘッ
ドに取り付けられた容量検出用電極と、この容量検出用
電極と上記光磁気ディスクとの間の静電容量の変化に応
じて発振周波数が変化する発振回路と、この発振回路の
発振特性に近似した発振特性を有する電圧制御型発振器
の発振出力と上記発振回路の発振出力との位相差を検出
し、この検出出力により上記電圧制御型発振器の発振位
相が帰還制御され、上記検出出力に基づく検波出力を形
成するフェーズロックドループ型位相検波回路と、この
フェーズロックドループ型位相検波回路による検波出力
を制御信号として、上記磁気ヘッドとともに上記容量検
出用電極を上記光磁気ディスクの記録面に対する遠近方
向に駆動変位させる駆動手段とを備えてなるものであ
る。

F. 作用 本発明に係る磁気ヘッド位置制御装置では、磁気ヘッ
ドと光磁気ディスクとの相対距離の変化を、磁気ヘッド
に取り付けられた容量検出用電極と光磁気ディスクとの
間の静電容量の変化として検出する。発振回路は、上記
静電容量の変化に応じて発振周波数が変化する。フェー
ズロックドループ型位相検波回路は、このフェーズロッ
クドループ型位相検波回路を構成する電圧制御型発振器
の発振出力と上記発振回路からの発振出力との位相差を
検出する。この検出出力により上記電圧制御型発振器の
発振出力が帰還制御される。ここで、上記電圧制御型発
振器は、上記発振回路の発振特性に近似した発振特性を
有し、このため、上記発振回路や上記電圧制御型発振器
の温度特性や直線性に起因する誤差が相殺される。上記
フェーズロックドループ型位相検波回路は、上記磁気ヘ
ッドと光磁気ディスクとの相対距離の変化に応じた検波
出力を制御信号として駆動手段に与える。上記駆動手段
は、上記制御信号により上記制御信号により上記相対距
離を一定に保つように磁気ヘッドを駆動変位させる。

G. 実施例 以下、本発明を光磁気ディスク記録装置に適用した実
施例について図面を参照しながら説明する。

第１図は、本実施例の磁気ヘッド位置制御装置の構成
を示すブロック図である。

まず、この第１図を参照しながら、本発明を適用した
光磁気ディスク記録装置について説明する。上記光磁気
ディスク記録装置は、スピンドルモータＭにより回転駆
動される光磁気ディスク１を挟んで上記光磁気ディスク
１と非接触に対向配置された磁気ヘッド２と光学ヘッド
３とを有している。上記磁気ヘッド２は、記録コイル４
に与えられる記録電流に応じた記録磁界を上記光磁気デ
ィスク１の記録面５に印加する。また、上記光学ヘッド
３は、内蔵するレーザダイオードから出力したレーザビ
ームを上記光磁気ディスク１の記録面５に照射する。こ
れら記録磁界とレーザビームにより、上記記録面５には
情報が記録される。ここで、上記磁気ヘッド２と光学ヘ
ッド３とは、図示しないスライダに取り付けられてお
り、両者が同時に上記光磁気ディスク１の半径方向（矢
印Ｘ方向）に駆動されるようになっている。また、これ
ら上記磁気ヘッド２と光学ヘッド３とは、上記光磁気デ
ィスク１の記録面５に対する遠近方向（矢印Ｙ方向）に
それぞれ変位自在となっている。上記光学ヘッド３は、
フォーカスサーボにより上記矢印Ｙ方向の制御がなされ
ている。

本実施例の磁気ヘッド位置制御装置は、上記磁気ヘッ
ド２の上記記録面５に対する遠近方向（矢印Ｙ方向）の
位置制御を行うものである。以下、この磁気ヘッド位置
制御装置について説明する。

上記磁気ヘッド２には、上記光磁気ディスク１と対向
するように容量検出用電極６が取り付けられている。こ
の容量検出用電極６は、上記磁気ヘッド２とともに上記
矢印Ｙ方向に変位するようになっている。このため、こ
の容量検出用電極６と上記光磁気ディスク１との間に
は、これら容量検出用電極６と光磁気ディスク１との相
対距離ｄに応じた容量が生じる。したがって、この容量
の変化を検出することによって、上記光磁気ディスク１
と上記磁気ヘッド２との相対距離の変化を検出すること
ができる。

第２図及び第３図は、上記容量検出用電極６が取り付
けられた磁気ヘッド２の具体的構成例を示している。す
なわち、両図に示すように上記磁気ヘッド２は、断面コ
字状のコア20の内面壁中央部に円柱状に磁気ヨーク21が
突設され、この磁気ヨーク21の周壁に記録コイル４が巻
装されてなる。また、上記容量検出用電極６は、上記磁
気ヨーク21の貫通する透孔が中央部に形成された正方形
状の金属板よりなる。そして、上記容量検出用電極６
は、上記磁気ヨーク21の先端が上記透孔を貫通した状態
で上記コア20のコ字状両端部に接着等により固着されて
いる。このような磁気ヘッド２は、上記磁気ヨーク21の
先端及び上記容量検出用電極６が上記光磁気ディスク１
に対向するように取り付けられて用いられる。

上記容量検出用電極６は、第１図に示すように発振回
路７に接続されている。この発振回路７は、上記容量検
出用電極６で検出される容量の変化に応じて発振周波数
が変化するものであって、例えば第４図に示すように構
成されている。すなわち、上記第４図に示した発振回路
７は、アンプ41の両端にコイル42と各コンデンサ43,44
を接続したLC発振回路であって、このうち上記コンデン
サ43は、上記容量検出用電極６と上記光磁気ディスク１
との間の容量を示す。したがって、この発振回路７で
は、上記コンデンサ43の容量の変化、すなわち上記容量
検出用電極６と上記光磁気ディスク１との間の容量の変
化に応じて発振周波数が変化する。この発振回路７の発
振出力は、上記アンプ41からバッファアンプ45を介して
出力される。

この発振回路７は、上記容量検出用電極６に近接して
設けられる。上記発振回路７を上記容量検出用電極５の
近くに設けることによって、浮遊容量の影響を少なくす
ることができる。また、この発振回路７のＱを高く設定
することにより、上記磁気ヘッド３からの電磁界の外乱
を受け難くして、制御動作を安定させることができる。

上記発振回路７からの発振出力は、フェーズロックド
ループ（PLL）型位相検波回路８に送られる。上記PLL型
位相検波回路８は、位相差検出回路10,電圧制御型発振
器11,ローパスフィルタ（LPF）13等からなり、上記発振
回路７からの発振出力が分周器９を介して上記位相差検
出回路10に与えられるとともに、上記電圧制御型発振器
11の発振出力が分周器12を介して上記位相差検出回路10
に与えられ、この位相差検出回路10の検出出力が上記LP
F13を介して上記電圧制御型発振器11に帰還するように
なっている。

上記電圧制御型発振器11は、上記発振回路７の発振特
性に近似した発振特性を有するもので、例えば第５図に
示すものが用いられる。すなわち、上記第５図に示した
電圧制御型発振器11は、上記第４図に示した発振回路７
と同様にアンプ51の両端にコイル52と各コンデンサ53,5
4が接続されてなり、さらに、上記コンデンサ53の一端
が可変容量ダイオード55を介して負電源−Ｂに接続され
ている。この電圧制御型発振器11では、上記コンデンサ
53と上記可変容量ダイオード55との接続点に、上記LPF1
3を介して上記位相差検出回路10から与えられる検出出
力が供給され、この検出出力に応じて上記可変容量ダイ
オード55の容量が変化する。したがって、この電圧制御
型発振器12は、上記アンプ51からバッファアンプ56を介
して取り出される発振出力の周波数が上記検出出力に応
じて変化する。

この発振出力が上記分周回路12を介して上記位相差検
出回路10に送られて、上記発振回路７から上記分周回路
９を介して上記移動差検出回路10に供給された発振出力
と位相が比較される。そして、これら発振出力に位相差
が生じると、その位相差に応じた検出出力が上記位相差
検出回路10から出力されて、上記位相差が減少するよう
に上記電圧制御型発振器11の発振位相が帰還制御され
る。また、上記PLL型位相検波回路８の位相差検出回路1
0から出力された検出出力は、上記LPF13を介して検波出
力として出力される。

すなわち、このPLL型位相検波回路８からは、上記容
量検出用電極６と上記光磁気ディスク１との相対距離ｄ
の変化、すなわち、上記磁気ヘッド２と上記光磁気ディ
スク１との相対距離の変化に応じた検出出力が得られ
る。

この検波出力は、位相補償回路14に送られて位相補償
が施され、この位相補償回路14から駆動手段15に供給さ
れる。この駆動手段15は、上記検波出力を制御信号とし
て、例えば電磁的な手段により上記磁気ヘッド２を上記
容量検出用電極６とともに上記遠近方向（上記Ｙ方向）
に駆動変位させ上記磁気ヘッド２と上記光磁気ディスク
１との相対距離を一定に保つようにする。

このように、この磁気ヘッド位置制御装置では、上記
発振回路７の発振特性に近似した発振特性を有する電圧
制御型発振器11を備えたPLL型位相検波回路８で上記駆
動手段15の制御信号を形成している。このため、例えば
上記各コイル42,53等の回路素子の温度特性による誤差
や、上記電圧制御発振器11等の非線型特性による誤差を
相殺することができ、精度の良い制御が実現できる。ま
た、上記発振回路７の発振出力をそのまま電圧に変換し
て上記磁気ヘッド２と駆動変位させる場合と比較して、
高いゲインがとれるので、レンジの広い高精度の制御が
実現できる。

H. 発明の効果 本発明に係る磁気ヘッド位置制御装置では、磁気ヘッ
ドを光磁気ディスクの記録面に対する遠近方向に駆動変
化させる駆動手段に与える制御信号が、上記磁気ヘッド
に取り付け容量検出用電極と上記光磁気ディスクとの間
の容量の変化、すなわち上記磁気ヘッドと上記光磁気デ
ィスクとの間の相対距離の変化に応じて発振特性の変化
する発振回路の発振特性に近似した発振特性を有する電
圧制御型発振器を備えたフェーズロックドループ型位相
検波回路によって形成される。このため、本発明に係る
磁気ヘッド位置制御装置は、回路素子の温度特性による
誤差や上記電圧制御発振器等の非線型特性による誤差を
相殺した制御信号で磁気ヘッドの位置制御を行うことが
できるので、上記磁気ヘッドを光磁気ディスクから一定
の距離位置に精度良く保持することができる。また、発
振回路の発振出力をそのまま電圧に変換して磁気ヘッド
を駆動変位させる場合と比較して、高いゲインがとれる
ので、レンジの広い高精度の制御が実現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る磁気ヘッド位置制御装置の構成を
示すブロック図、第２図は上記磁気ヘッド位置制御装置
に用いられる容量検出用電極が取り付けられた磁気ヘッ
ドの具体的構成例を示す斜視図、第３図は第２図に示し
た磁気ヘッドの断面図、第４図は上記磁気ヘッド位置制
御装置に用いられる発振回路の具体的構成例を示す回路
図、第５図は上記磁気ヘッド位置制御装置に用いられる
電圧制御型発振器の具体的構成例を示す回路図である。 １……光磁気ディスク ２……磁気ヘッド ６……容量検出用電極 ７……発振回路 ８……フェーズロックドループ型位相検波回路 10……位相差検出器 11……電圧制御型発振器 15……駆動手段

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横田 哲平 東京都品川区北品川６丁目７番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−214975（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】光磁気ディスクと対向して磁気ヘッドに取
   り付けられた容量検出用電極と、 この容量検出用電極と上記光磁気ディスクとの間の静電
   容量の変化に応じて発振周波数が変化する発振回路と、 この発振回路の発振特性に近似した発振特性を有する電
   圧制御型発振器の発振出力と上記発振回路の発振出力と
   の位相差を検出し、この検出出力により上記電圧制御型
   発振器の発振位相が帰還制御され、上記検出出力に基づ
   く検波出力を形成するフェーズロックドループ型位相検
   波回路と、 このフェーズロックドループ型位相検波回路による検波
   出力を制御信号として、上記磁気ヘッドとともに上記容
   量検出用電極を上記光磁気ディスクの記録面に対する遠
   近方向に駆動変位させる駆動手段とを備えてなる磁気ヘ
   ッド位置制御装置。