JP2751071B2 - 変性エポキシ組成物の製造方法 - Google Patents

変性エポキシ組成物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、変性エポキシ組成物の製造方法に関し、詳
しくは接着強度、耐衝撃性、耐熱性などに優れ、接着
剤、コーティング剤、封止剤、その他各種成形材料など
に適した変性エポキシ組成物の製造方法に関する。
(従来の技術) 一般に、エポキシ樹脂は、硬化収縮が小さく、寸法安
定性に優れ、機械的強度が強く、絶縁物としての電気特
性が優れ、さらに耐熱性、耐水性、耐薬品性などの多く
の点で優れ、特に接着剤、コーティング剤などとして用
いた場合、金属、磁器、コンクリートなどに対する接着
力、密着力および機械的強度が強く、剪断強度、引張強
度などに優れるという特徴を有している。しかしなが
ら、エポキシ樹脂は可撓性が不十分なため、接着剤、コ
ーティング剤などとして用いる場合には、剥離強度や衝
撃強度が非常に低く、亀裂、剥離などが発生し易いとい
う問題を有する。また、エポキシ樹脂を成形材料として
用いる場合には、成形品が脆く、各種衝撃などにより破
壊され易いという問題を有する。
上記問題を解決する方法の一つとして、分子中にエポ
キシ樹脂と反応し得る官能基を有する液状のアクリロニ
トリル−ブタジエンゴムなどをエポキシ樹脂に混合する
ことが提案されている(例えば、Clayton A.May,Epoxy
Resins,Marcel Dekker Inc.(1988))。また、特開昭5
8−83014、同59−138254号公報には、エポキシ樹脂中で
アクリレートとアクリル酸などのエポキシ樹脂と反応し
うる官能基含有モノマーの重合を行い(in situ重
合)、ゴム状粒子をエポキシ樹脂中に分散させることが
提案されている。
しかしながら、上記液状のアクリロニトリル−ブタジ
エンゴムなどをエポキシ樹脂に混合する方法では、該液
状のゴム粒子の分散がエポキシ樹脂の種類や硬化条件に
左右され、再現性のよい物性が得られない。変性エポキ
シ樹脂の安定性が劣るなどの問題があった。また、液状
のゴムはエポキシ樹脂と相溶する必要があるため、変性
に使用できる液状のゴムはほぼアクリロニトリル−ブタ
ジエンゴムに限られ、種々の特性を持ったゴムを変性に
用いることができず、また変性エポキシ樹脂の極度の粘
度上昇を避けることができないなどの問題があった。
また、上記特開昭58−83014、同59−138254号公報に
記載の方法においては、分散されたゴム状粒子自体がエ
ポキシ樹脂と相溶性を持つことから、ゴム状粒子の凝
集、凝固などの問題、および分散系の極度の粘度上昇の
問題を避けることができない。
このように、エポキシ樹脂をゴムで変性する従来の方
法では、エポキシ樹脂と相溶性を有するゴムのみが使用
され、相溶性を持たないゴム、なかでも特に固形ゴムは
変性に使用できないのが現状であった。
このような事情に鑑み、本特許出願人は、上記のよう
な従来のゴム状粒子を分散させたエポキシ樹脂が有して
いる問題を克服し、エポキシ樹脂の種類や硬化条件に左
右されることなく、エポキシ樹脂と相溶性を持たないゴ
ム状粒子が安定に分散され、接着性、耐衝撃性、耐熱性
などに優れ、更にはアルカリ金属、塩素イオンなどのイ
オン性不純物を実質的に含まないゴム状粒子を分散し、
耐衝撃性に優れ、成形収縮性が小さく、金属腐食が小さ
く、更に電気絶縁性に優れ、特に半導体の封止剤として
好適な変性エポキシ組成物を提案した(特願昭63−3153
94)。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、上記のようなゴム状粒子がエポキシ
化合物中に粒子状に極めて均一に分散された変性エポキ
シ組成物を効率よく製造する方法を提供することであ
る。
本発明の他の目的は、アルカリ金属、塩素イオンなど
のイオン性不純物の含量が著しく減少された変性エポキ
シ組成物の製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、接着性、耐熱性、保存安定性な
どが著しく改良された変性エポキシ組成物の製造方法を
提供することである。
本発明の他の目的は、耐衝撃性、成形収縮性、金属腐
食性、電気絶縁性などの性質が著しく改良され、特に半
導体の封止剤として好適な変性エポキシ組成物の製造方
法を提供することである。
本発明者らの研究によれば、部分架橋ゴム状ランダム
共重合体をエポキシ化合物に配合、分散する際、先ず該
共重合体のラテックスを凝固し、得られた共重合体凝縮
物の残存揮発分を特定範囲に調整し、次いで該共重合体
凝固物をエポキシ化合物に配合、分散した後、残存揮発
分を除去すれば上記目的が達成できることを知り、この
知見の基づいて本発明を完成するに至った。
(課題を解決するための手段) すなわち、本発明は、 (i)部分架橋ゴム状ランダム共重合体(成分(a))
のラテックスを凝固して残存揮発分が5〜60重量%の共
重合体凝固物を得、 (ii)該共重合体凝固物をエポキシ基を有する化合物
(成分(b))に配合、分散し、 (iii)次いで、上記残存揮発分を除去することを特徴
とする上記成分(a)、(b)を含有し、成分(a)が
成分(b)中に粒子状に均一に分散された変性エポキシ
組成物の製造方法に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる成分(b)のエポキシ基を有する
化合物としては、変性エポキシ組成物の用途に応じて適
宜選択され、種々のものを使用することができる。例え
ばエピクロルヒドリンと多価アルコールまたは多価フェ
ノールとの縮合生成物、エピクロルヒドリンとフェノー
ルノボラック、クレゾールノボラックなどのノボラック
との縮合生成物、環状脂肪族エポキシ化合物、グリシジ
ルエステル系エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポ
キシ化合物、複素環式エポキシ化合物、ポリオレフィン
の重合体または共重合体より誘導されるエポキシ化合
物、グリシジルメタクリレートの(共)重合によって得
られるエポキシ化合物、高度不飽和脂肪酸のグリセライ
ドより得られるエポキシ化合物、ポリアルキレンエーテ
ル型エポキシ化合物、含炭素または含フッ素エポキシ化
合物などのエポキシ当量が6000以下程度、好ましくは90
〜6000の化合物を挙げることができる。
成分(b)のエポキシ基を有する化合物は、必要に応
じて、その硬化剤および/または硬化促進剤と組み合わ
せて使用することができる。この硬化剤および/または
硬化促進剤は、変性エポキシ組成物の硬化タイプ、例え
ば二液型、一液型、熱硬化型、光硬化型などのタイプに
応じて選択され、種々のものを使用することができる。
かかる硬化剤および/または硬化促進剤としては、エチ
レンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテ
トラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジ
アミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレ
ンジアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、
ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタ
ン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメ
チル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、
3,9−ジス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオ
キサスピロ(5,5)ウンデカン、m−キシリレンジアミ
ンなどの脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミン、
ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホ
ン、ジアミノジエチルジフェニルメタンなどの芳香族ポ
リアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルア
ミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルア
ミノメチル)フェノール、テトラメチルグアニジン、N,
N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、1,8−
ジアザビスシクロ(5、4、0)ウンデセン、トリエタ
ノールアミン、ピペラジン、ピロリジン、ポリアミドア
ミン、フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体などの第二級
または第三級アミン、無水メチルナジック酸、ドデセニ
ル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒ
ドロ無水フタル酸、メチルコンドメチレンテトラヒドロ
無水フタル酸、無水クロレンド酸、エチレングリコール
無水トリメリット酸エステル、メチルテトラヒドロ無水
フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無
水物、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エ
チル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾ
ール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシル
イミタゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾー
ル、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−
シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノ
エチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シ
アノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ
エチル−2−メチルイミダゾールトリメリテート、1−
シアノエチル−2−フェニルイミダゾールトリメリテー
ト、2,4−ジアミノ−6−{2′−メチルイミダゾリル
−(1′)}−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミ
ノ−6−{2′−ウンデシルイミダゾリル−(1′)}
−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−
{2′−エチル−4′−メチルイミダゾリル−
(1′)}−エチル−S−トリアジン、1−シアノエチ
ル−2−エチル−4−メチルイミダゾールトリメリテー
ト、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールト
リメリテート、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンゾ
イミダゾリウムクロライド、1,3−ジベンジル−2−メ
チルイミダゾリウムクロライドなどのイミダゾール誘導
体、ジシアンジアミンまたはその誘導体、アジピン酸ジ
ヒドラジドなどの有機酸ジヒドラジド、3−(p−クロ
ロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロ
ロフェニル)−1,1−ジメチル尿素などの尿素誘導体、
ポリメルカプタン系硬化剤、フェノール樹脂、ユリア樹
脂、メラミン樹脂などのメチロール基含有化合物、ポリ
イソシアネート、さらに紫外線硬化触媒である芳香族ジ
アゾニウム塩、スルホニウム塩などを使用することがで
きる。
上記のような硬化剤を使用する場合、その使用量は通
常、これらの硬化剤が有する活性水素基が、成分(b)
のエポキシ化合物が有するエポキシ基とほぼ等量となる
量である。また、エポキシ基を有する化合物の硬化促進
剤は、その種類、硬化条件などに応じ適正量が使用され
る。
次に、成分(a)としての部分架橋ゴム状ランダム共
重合体(以下、単に「共重合体(a)」という)につい
て説明する。
共重合体(a)は部分架橋化されていることが必要で
あり、この目的のために架橋性モノマー(以下、「モノ
マー(I)という)が共重合体(a)の必須成分として
共重合される。なお、部分架橋化の程度はゲル含量によ
って表示することができるが、後記するようにゲル含量
が20重量%未満では成分(a)の成分(b)への分散性
が不十分となることから、共重合体(a)は部分架橋化
されていることが必要である。
モノマー(I)の例としては、ジビニルベンゼン、ジ
アリルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レートなどの分子内に重合性二重結合を複数個有する化
合物を挙げることができる。
ここで、共重合体(a)中のモノマー(I)の共重合
量は、通常0.1〜20重量%で、好ましくは0.5〜10重量%
である。
このようなモノマー(I)を共重合することにより、
共重合体(b)のゲル含量を通常20重量%以上、好まし
くは40重量%以上、特に好ましくは40〜95重量%とす
る。
なお、ここでいうゲル含量とは、重合体約1gをメチル
エチルケトン100ml中に入れ、室温で24時間靜置後、不
溶分の重量を測定して求めたものである。
このゲル含量が20重量%未満では、成分(a)の成分
(b)への分散性が不十分となって、本発明の目的を達
成することができない。
共重合体の他の成分は、モノマー(I)と共重合可能
なものであれば特に制限はなく、目的とする物性に応じ
て適宜選択することができる。例えば、次のようなモノ
マーを挙げることができる(以下、これらモノマーを
「モノマー(II)と総称する)。
共役ジエン:ブタジエン、ジメチルブタジエン、イソ
プレン、クロロプレンおよびこれらの誘導体。
(メタ)アクリル酸エステル:(メタ)アクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸
プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリ
ル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸ラウリル、ポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メ
タ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエ
ーテル、グリコールのジグリシジルエーテルなどと(メ
タ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ートなどとの反応によって得られるエポキシ(メタ)ア
クリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
とポリイソシアナートとの反応によって得られるウレタ
ン(メタ)アクリレート。
前記以外の不飽和炭化水素:エチレン、プロピレン、
1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテンな
どのオレフィン、スチレン、メチルスチレンなどの芳香
族ビニル。
これらモノマーは単独でもあるいは2種以上組み合わ
せて使用することができる。
ここで、共重合体(a)中のモノマー(II)の共重合
量は、通常60〜99.9重量%、好ましくは75〜99.5重量%
である。
また、必要に応じて官能基を有する不飽和化合物(以
下、これらモノマーを「モノマー(III)」と総称す
る)を共重合させることができる。本発明の方法によれ
ば、このモノマー(III)を特に共重合体成分として共
重合させなくても、成分(a)が成分(b)中に粒子状
に均一に分散された変性エポキシ組成物を得ることがで
きる。
モノマー(III)の有する官能基は、カルボキシル
基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、ヒ
ドロキシル基、イソシアネート基、リン酸基およびメル
カプト基から選ばれるが、成分(b)と適度の反応性を
有する点から、カルボキシル基、酸無水物基およびエポ
キシ基が好ましい。かかるモノマー(III)の例として
は、例えば官能基がカルボキシル基の場合は、(メタ)
アクリル酸、イタコン酸、コハク酸β−(メタ)アクリ
ロキシエチル、マレイン酸β−(メタ)アクリロキシエ
チル、ヘキサヒドロフタル酸β−(メタ)アクリロキシ
エチルなどの不飽和酸を、官能基が酸無水物基の場合
は、無水マレイン酸、無水コハク酸などの不飽和酸無水
物を、官能基がエポキシ基の場合はグリシジル(メタ)
アクリレート、(メタ)アクリルグリシジルエーテルな
どを、官能基がアミノ基の場合はジメチルアミノ(メ
タ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレートなどを、官能基がアミド基の場合は、(メタ)
アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなど
を、官能基がヒドロキシル基の場合はヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレートなどを、官能基がイソシアネート基の場合は
ビニルイソシアネート、イソシアネートエチル(メタ)
アクリレート、p−スチリルイソシアネートなどを、官
能基がリン酸基の場合は(メタ)アクリロキシエチルホ
スフェートなどを挙げることができる。
また、共重合体(a)中に導入される官能基は、高分
子反応により目的の官能基に変換されてもよい。例え
ば、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルウレタンなど
のユニットを含む共重合体の加水分解やニトロスチレン
などのユニットを含む共重合体のニトロ基の還元によっ
て一級アミノ基を導入したり、 などのユニットを含む共重合体の加水分解やp−クロロ
スチレンなどのユニットを含む共重合体に対する次式の
ような高分子反応 によってメルカプト基を導入することもできる。
なお、モノマー(III)の共重合体(a)中における
共重合量は、好ましくは0〜20重量%であり、特に好ま
しくは3〜15重量%である。
共重合体(a)は、モノマー(I)を必須成分とし、
このモノマー(I)とモノマー(II)および/またはモ
ノマー(III)とをランダムに共重合して得られるが、
ここで、モノマー(I)、(II)および(III)の組合
せとしては、例えば下記(i)〜(iv)を挙げることが
できる。
(i)モノマー(I)0.2〜10重量%、モノマー(II)
としてのアクリロニトリルおよび/またはスチレン13〜
50重量%、ブタジエンおよび/またはイソプレン40〜80
重量%、およびモノマー(III)0〜20重量%。
(ii)モノマー(I)0.2〜10重量%、モノマー(II)
としてのアルキル(メタ)アクリレートおよび/または
アルコキシ(メタ)アクリレート10〜99重量%、好まし
くは40〜99重量%および上記単量体と共重合可能な他の
単量体0〜80重量%、ならびにモノマー(III)0〜20
重量%。
(iii)モノマー(I)0.2〜10重量%、モノマー(II)
としてのアクリロニトリルおよび/またはスチレン5〜
50重量%、好ましくは15〜50重量%、ブタジエンおよび
/またはイソプレン2〜60重量%、好ましくは20〜60重
量%、アルキル(メタ)アクリレートおよび/またはア
ルコキシ(メタ)アクリレート5〜65重量%、およびモ
ノマー(III)0〜20重量%。
(iv)モノマー(I)0.2〜10重量%、モノマー(II)
としてのブタジエンおよび/またはイソプレン70〜98.8
重量%、およびモノマー(III)0〜20重量%。
また、本発明における共重合体(a)のムーニー粘度
ML1+4(100℃)は、通常、20〜120である。
さらにまた、本発明における共重合体(a)は、ガラ
ス転移温度(Tg)が通常0℃以下、好ましくは−20℃以
下である。
本発明において、共重合体(a)は、例えば乳化重合
により製造することができる。
ここで、乳化重合法とは、例えば前記モノマー(I)
およびモノマー(II)および必要に応じてモノマー(II
I)を、重合開始剤として過酸化物触媒、レドックス系
触媒などのラジカル重合開始剤を用い、乳化剤としてア
ニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性の界面活
性剤のいずれかを、またはその混合系を用い、メルカプ
タン、ハロゲン化炭化水素などの分子量調整剤の存在下
において、0〜50℃で乳化重合を行い、所定の重合転化
率に達した後、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンなど
の反応停止剤を添加して重合反応を停止させ、次いで重
合系の未反応モノマーを水蒸気蒸留などで除去すること
によって共重合体(a)のラテックスを得る方法であ
る。
ここで、重合開始剤である過酸化物触媒としては、ベ
ンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、p
−メンテンハイドロパーオキサイド、ラウリルパーオキ
サイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパー
オキサイド、コハク酸パーオキサイドなどの有機過酸化
物、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム
などの無機過酸化物を、レドックス系触媒としては、上
記の過酸化物に還元状態にある金属、例えば1価の銅や
2価の鉄またはアミン化合物を組み合わせたものを挙げ
ることができる。
また、乳化剤のうち、アニオン系界面活性剤として
は、例えば石鹸、ロート脂、乳化脂、アルキルナフタレ
ンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、オレ
イン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジ
フェニルエーテルジスルホン酸、ジアルキルスルホコハ
ク酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルコールエトキシサ
ルフェート、第2級アルカンスルホネート、α−オレフ
ィンスルホン酸、タモールなどを、カチオン系界面活性
剤としては、例えばアルキルトリメチルアンモニウム
塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリ
ジニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩
などを、ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
アリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、アル
キルスルフィニルアルコール、脂肪酸モノグリセリドな
どを、両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、ア
ルキルジエチルトリアミノ酢酸などを挙げることができ
る。
これらの乳化剤のなかで、ノニオン系界面活性剤を用
いると、ラテックス状態の共重合体(a)を凝固させる
際に金属を含む凝固剤を使用する必要がなくなるため、
得られる共重合体(a)中の金属イオン含量を極めて少
なくすることが可能である。なお、ノニオン系界面活性
剤を用いる場合は、未反応モノマーを回収するための水
蒸気蒸留を行う温度以上の高曇点を有するノニオン系界
面活性剤を予め選択することが好ましい。低曇点を有す
るノニオン系界面活性剤を用いると水蒸気蒸留の際にラ
テックスが凝固する恐れがある。
また、共重合体(a)の製造において、このようなノ
ニオン系界面活性剤を乳化重合時および/または凝固時
に用いる方法としては、例えば下記(イ)、(ロ)また
は(ハ)の方法を採用することができる。
(イ)乳化剤としてノニオン系界面活性剤を用いてノニ
オン系界面活性剤の曇点以下の温度で重合を行った後、
得られたラテックスを曇点以上に加熱し、または乳化剤
として用いたノニオン系界面活性剤よりも低曇点のノニ
オン系界面活性剤もしくは金属を含まない電解質アルコ
ール、脂肪酸などを添加した後、加熱して凝固する方
法。
(ロ)乳化剤としてアニオン系および/またはカチオン
系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤を用いて乳化
重合を行った後、金属を含まない電解質あるいは乳化剤
として用いたノニオン系界面活性剤よりも低曇点のノニ
オン系界面活性剤を添加し、次いで加熱して凝固する方
法。
(ハ)乳化剤としてアニオン系および/またはノニオン
系界面活性剤を用いて乳化重合を行った後、ノニオン系
界面活性剤および金属を含まない電解質を添加し、次い
で加熱する方法。
なお、ここで低曇点を有するノニオン系界面活性剤と
は、曇点が、通常80℃以下、好ましくは70℃以下のノニ
オン系界面活性剤であり、具体的には例えばポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。こ
れらの低曇点を有するノニオン系界面活性剤のHLB値が1
2以下であることが好ましい。
上記のおいて低曇点を有するノニオン系界面活性剤の
使用量は、通常、共重合体(a)100重量部に対して0.1
〜20重量部、好ましくは1〜15重量部である。
本発明における共重合体(a)は、上記乳化重合の他
に、懸濁重合、溶液重合などにより製造することもでき
る。例えば、溶液重合の場合、(1)モノマー(I)以
外のモノマーまたはモノマー(I)を含まないモノマー
混合物を用いて溶液重合を行い、得られた重合体または
共重合体溶液を乳化剤を含む水中に分散させてラテック
ス状とした後、モノマー(I)、ラジカル重合開始剤な
どを添加して上記重合体または共重合体を架橋させる方
法、(2)溶液重合によって得られる重合体または共重
合体が官能基を有する場合には、該官能基と反応可能な
反応基を分子中に2個以上含有する化合物を添加、反応
させて上記重合体または共重合体を架橋させる方法など
によって製造することができる。
本発明の方法によれば、上記成分(a)を次の3工程
をへて成分(b)に配合、分散して目的とする変性エポ
キシ組成物を製造する。
第1工程: 成分(a)のラテックスを凝固した後、必要に応じて
洗浄して、残存揮発分が5〜60重量%の共重合体凝固物
を得る。
第2工程: 第1工程で得られた共重合体凝固物を成分(b)に配
合、分散する。
第3工程: 第2工程で得られた分散体から上記残存揮発分を除去
する。
以下、これら工程を順次説明する。
第1工程における成分(a)のラテックスとしては、
共重合体(a)を水性媒体中で乳化重合して製造する場
合には、得られる共重合体(a)の水性ラテックスをそ
のまま使用することができる。また、共重合体(a)を
溶液重合によって製造する場合には、得られる共重合体
溶液に水性媒体、乳化剤などを添加した後撹拌などによ
って転相させ、得られた水性ラテックスを使用すればよ
い。そのほか、共重合体(a)をそのラテックス、分散
液または溶液から凝固または脱溶剤により事前に分離し
た場合、あるいは市販の共重合体を使用する場合、その
共重合体(a)を適当な溶剤に溶解または分散した後、
上記溶液重合の場合と同様にして、転相させて得られる
水性ラテックスを使用することもできる。
上記水性ラテックスの凝固方法には、特に制限はな
く、通常の方法、例えば(1)凝固剤を添加する方法、
(2)有機溶剤を添加する方法などによって行うことが
できる。
凝固剤を添加する方法(1)において使用できる凝固
剤の例としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、
硫酸アルミニウムなどの多価金属塩、塩化ナトリウム、
硫酸などを挙げることができる。有機溶剤を添加する方
法(2)において使用できる有機溶剤の例としては、メ
タノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、
メチルエチルケトンなどの水溶性有機溶剤などを挙げる
ことができる。
そのほか、ノニオン系界面活性剤を乳化重合時および
/または凝固時に用いる方法として例示した、前記
(イ)、(ロ)または(ハ)の方法によって凝固させて
もよい。この場合の加熱の一方法として、スチームを吹
き込むこともできる。
このようにして得られる共重合体凝固物は、必要に応
じて水などで洗浄した後、揮発分を5〜60重量%に調整
する。
共重合体凝固物を、例えば水性媒体中の乳化重合によ
って得られるラテックスの凝固によって得る場合、この
共重合体凝固物にはラテックス中の乳化剤、イオン性不
純物などが含有されているため、そのまま使用するとエ
ポキシ組成物中に混入して、組成物の接着性、金属腐食
性、保存安定性などに悪影響をおよぼすことから、水な
どで洗浄してこれら不純物を除去するのが好ましい。
すなわち、本発明の特徴の一つは、洗浄工程を設けて
共重合体凝固物を水などで洗浄すれば、乳化剤、イオン
性不純物などが著しく減少された、ひいては接着性、金
属腐食性、保存安定性のほか耐衝撃性、耐熱性、電気絶
縁性などの性質に優れたエポキシ組成物を得ることがで
きることである。
なお、特に変性エポキシ組成物の貯蔵安定性を向上さ
せ、金属腐食性および電気絶縁性を小さくする目的でア
ルカリ金属、塩素イオンなどのイオン性不純物を低減さ
せるためには、共重合体(a)のラテックスの製造を少
なくとも1種の非イオン性界面活性剤を乳化剤として用
い、かつ得られる共重合体(a)のラテックスを加温に
よって凝固させる方法を用いるのが好ましい。
本発明における残存揮発分とは、例えば乳化重合に使
用した水性媒体(通常、水)、凝固の際の加熱に使用し
たスチームからの水、凝固の際に使用した有機溶剤など
共重合体凝固物に残存するものを総称する。本発明にお
いては、この残存揮発分が共重合体凝固物の5〜60重量
%、好ましくは10〜50重量%の範囲になるように調整す
る。
上記残存揮発分が5重量%未満では、例えば共重合体
成分(a)のラテックスを真空乾燥して残存揮発分を5
重量%未満にしてしまうと、第2工程における共重合体
凝固物の成分(b)への分散が良好でなく、成分(a)
が成分(b)中に粒子状に均一に分散された変性エポキ
シ組成物を得ることができない。一方、残存揮発分が60
重量%を超えると第3工程における揮発分の除去が煩雑
になって好ましくない。
すなわち、本発明の他の特徴は、上記共重合体凝固物
中の残存揮発分を上記の特定な範囲に調整することによ
って、成分(a)が成分(b)中に粒子状に極めて均一
に分散された変性エポキシ組成物を得ることができるこ
とである。
残存揮発分の上記範囲内への調整方法には特に制限は
なく、通常の方法、例えば遠心脱水などによって調整す
ることができる。
第2工程においては、上記第1工程で得られた、残存
揮発分が5〜60重量%の共重合体凝固物を必要により粉
砕した後、成分(b)に配合して、分散させる。
上記共重合体凝固物を成分(b)に分散させるには、
例えばホモミキサー、ラインホモミキサー、コロイドミ
ル、カットルーダーなどを用い共重合体凝固物と成分
(b)とを剪断力下に強制撹拌する方法を用いることが
できる。
ここで、本発明における共重合体(a)の成分(b)
への分散時の粒径は、通常0.02〜5μm、好ましくは0.
03〜3μm、特に好ましくは0.05〜2μmである。この
粒径が0.02μm未満では、得られる組成物の硬化物の耐
衝撃性が低下しやすく、一方5μmを超えると、得られ
る組成物の硬化物の強靭性が低下しやすいという問題が
生じやすい。
本発明において、成分(b)に対する成分(a)の配
合量は、成分(b)100重量部に対して、通常1〜100重
量部、好ましくは1〜50重量部、特に好ましくは2〜30
重量部である。成分(a)の配合量が1重量部未満で
は、耐衝撃性、成形収縮性などの効果が発揮されにく
く、100重量部を超えると成分(b)の特性である体積
抵抗率が損なわれやすい。
第3工程では、上記第2工程で得られた組成物から残
存揮発分を除去して目的とする変性エポキシ組成物を製
造する。最終の変性エポキシ組成物の残存揮発分は0.3
重量%以下、好ましくは0.1重量%以下にするのがよ
い。
上記残存揮発分の除去方法については、特に制限はな
く、通常の真空乾燥などによって除去することができ
る。
本発明の方法によって得られる変性エポキシ組成物に
おいて、分散している共重合体(a)中の官能基がカル
ボキシル基である場合には、通常、硬化剤などによる硬
化に先立ち、該分散粒子表面のカルボキシル基をエポキ
シ化合物と予め反応させておく予備反応を行うことが好
ましい。この予備反応は、無触媒またはトリフェニルホ
スフィン、ホスホニウムハライド、トリエタノールアミ
ン、アセチルアセトナートのクロム錯体、ジイロプロピ
ルサリチル酸クロム、テトラエチルアンモニウムクロラ
イド、トリイソアミルアミン、トリブチルアミン、トリ
スジメチルアミノメチルフェノールなどの触媒の存在下
に、室温〜200℃程度の加熱による数時間程度の反応に
よって行うことができる。
本発明による変性エポキシ組成物には、必要に応じて
添加剤、例えばシリカ、クレー、石コウ、炭酸カルシウ
ム、石英粉、カオリン、マイカ、ケイ酸ナトリウム、タ
ルク、ケイ酸カルシウム、チタン化合物、アンチモン化
合物などの充填剤、顔料および老化防止剤を配合するこ
とが可能である。
(実施例) 以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明す
る。なお、「部」および「%」は重量基準である。
実施例1 (1)共重合体ラテックスの製造 下記に示す処方によりオートクレーブ中で20℃にて重
合を行い共重合体(1)〜(6)を得た。
モノマー(注) 100 部 水 250 部 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.1〜1.8 部 第三級ドデシルメルカプタン 0.45部 過硫酸カリウム 0.15部 シアノエチル化ジエタノールアミン 0.15部 水酸化カリウム 0.10部 (注) このモノマー量は、重合後に表1に示す組成と
なるようなモノマー(I)、(II)および(III)の総
量を表す。
次いで、重合転化率が70%に達した後、モノマー総量
の100部当り0.2部のヒドロキシルアミン硫酸塩を添加し
重合を停止させた。続いて、水蒸気蒸留により、未反応
モノマーを除去し、共重合体(1)〜(5)のラテック
スを得た。
(2)変性エポキシ組成物の製造 [第1工程] 上記(1)で得られた共重合体(1)のラテックス
に、共重合体100部当り老化防止剤としてアルキル化フ
ェノール1部を添加し、塩化カルシウム水溶液で凝固し
た。得られた共重合体凝固物に遠心脱水処理を施し、水
含量(残存揮発分)約40%まで脱水した。
なお、表1中のゲル含量は、上記の凝固後の共重合体
を水洗した後、50℃で真空乾燥により得られた共重合体
凝固物1gをメチルエチルケトン100ml中に入れ室温で24
時間靜置後不溶分の重量を測定したものである。
[第2工程] この共重合体凝固物を表2に示す割合でエピコート82
8(商品名、油化シェルエポキシ(株)製エポキシ樹
脂)に投入し、60℃に加温下、特殊機化工業(株)製の
剪断撹拌混合機「ホモディスパー」にて20分間混合し
て、共重合体凝固物をエポキシ樹脂に分散した。
[第3工程] 上記混合物を70℃で真空乾燥を行い水分(残存揮発
分)を除去して目的とする変性エポキシ組成物を得た。
この組成物は、半透明で、液状であり、200メッシュの
金網でろ過したが、未分散の共重合体凝固物は全く認め
られなかった。
(3)変性エポキシ組成物の硬化物に関する特性試験 上記(2)で得られた変性エポキシ組成物にさらに、
表2に示す配合にしたがい、硬化剤および充填剤を混合
した。
(3−1)接着性試験 (3)で得られた変性エポキシ組成物を接着剤として
用い、以下の接着性に関する特性試験を行った。なお、
この試験において用いた被接着材は、厚さ1.6mmの冷間
圧延鋼板を#240サンドペーパーで研磨し、トリクロル
エチレンで洗浄脱脂したものであり、また接着剤の硬化
は、140℃で1時間にわたる加熱により行った。
(イ)引張剪断強度 JIS−K6850の方法に準ずる。なお、この試験における
引張強度は5mm/分である。
(ロ)T型剥離強度 JIS−K5854の方法に準ずる。なお、この試験における
引張速度は50mm/分である。
なお、(イ)および(ロ)の強度の測定は23℃で行っ
た。但し、(イ)の引張剪断強度については80℃でも測
定した。結果を表2に示す。
(3−2)衝撃試験 (3)で得られた変性エポキシ組成物を接着剤として
用いタテ100mm×ヨコ25mm×3.2mmの冷間圧延鋼板を#24
0サンドペーパーで研磨し、トリクロロエチレンで洗浄
脱脂したものを被接着剤として25mm×25mmの接着面積で
(3−1)と同様に接着し硬化した。得られた接着試験
片はデュポン式衝撃試験機を用い、23℃にて500g重りを
80cmの高さから落下させ接着部が破壊に到るまでの回数
を測定した。結果を表2に示す。
(3−3)共重合体の粒径の測定 上記(2)で得られた、共重合体(1)のラテックス
を用いて調製した変性エポキシ組成物100部とトリエチ
レンテトラミン10部とを混合し、(i)室温にて7日
間、(ii)140℃にて1時間の2条件で硬化を行った。
硬化物をミクロトームを用い超薄切片を作成し、オスミ
ウムで染色後、透過型電子顕微鏡にて共重合体の分散状
態を観察した。
また、共重合体(1)のラテックスの粒径を日科機
(株)製のコールターサブミクロ粒子アナライザー(モ
デルN−4)にて観察した。その結果、(i)室温×7
日間の硬化物、(ii)140℃×1時間の硬化物、および
(iii)共重合体(1)のラテックスの粒径ともすべて
0.05μmで一致していた。
上記結果から、上記(i)および(ii)の硬化物とも
共重合体粒子間の距離にもばらつきがなく、共重合体粒
子は良好な分散状態にあることが判明した。
実施例2〜6 実施例1で得られた共重合体(1)〜(5)のラテッ
クスを用い、実施例1と同様にして表2に示す処方の変
性エポキシ組成物を製造し、その硬化物の性能を評価し
た。結果を表2に示す。
比較例1 共重合体凝固物を分散することなくエポキシ樹脂のみ
を使用した以外は実施例1と同様にして硬化物の性能を
評価した。結果を表2に示す。
比較例2 共重合体成分(a)として両末端カルボキシ液状アク
リロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)を表2に示す割
合で配合した以外は実施例1と同様にして硬化物の性能
を評価した。結果を表2に示す。
比較例3 実施例1で得られた部分架橋していない線状の共重合
体(6)を表2に示す割合で配合して、分散を試みたが
全く分散せず、ゲル状となってしまった。
比較例4 実施例1(2)の第1工程において、共重合体(1)
を凝固した後、50℃にて真空乾燥し水含量(残存揮発
分)を0.3重量%とした共重合体凝固物を実施例1と同
様にしてエポキシ樹脂への分散を試みたが、1時間以上
撹拌しても大きな塊が残っており、ろ過すると200メッ
シュの金網上に未分散のゴム状塊が大量に残っていた。
結果を表4に示す。
この結果から、共重合体凝固物中の残存揮発分が少な
すぎると良好な分散を達成できないことが理解される。
実施例7 (1)共重合体の製造下記組成: ブタジエン 61 部 アクリロニトリル 30 部 メタクリロニトリル 3 部 ジビニルベンゼン 1.5部 の共重合体になるようにモノマーを使用し、下記処方に
よりオートクレーブ中で50℃で乳化重合を行った。
水 220 部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(花王
(株)製エマルゲン120) 5 部 ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸カリウム0.5
部 過硫酸アンモニウム 0.25部 重合転化率が60%に達した時点でメタクリル酸3部、
ジビニルベンゼン1.5部を添加して重合反応を継続し、
重合添加率が90%に達した後ヒドロキシルアミン硫酸塩
0.2部を添加し、重合を停止した。重合停止後、70℃に
て水蒸気蒸留を行い未反応モノマーを回収した。次に、
老化防止剤としてアルキル化フェノール2部を添加し、
次いで硫酸アンモニウム15部を10%水溶液として添加し
た後、スチームをラテックス中に吹き込み90℃以上に加
温してラテックスを凝固した。
得られた共重合体(共重合体(7))凝固物を水洗
し、水含量(残存揮発分)30%の共重合体凝固物を得
た。
(2)変性エポキシ組成物の製造 上記(1)で得られた共重合体凝固物20部をエポキシ
化合物ELA−128(商品名、住友化学工業(株)製エポキ
シ樹脂)100部に配合し、以下実施例1と同様に分散処
理して変性エポキシ組成物を製造した。
この変性エポキシ組成物に、エポキシ化合物100部当
り100部の充填剤としてのシリカ粉末と15部の硬化剤と
してのジエチレントリアミンとを配合して変性エポキシ
組成物を調製した。
(3)エポキシ組成物の硬化物に関する特性試験 上記(2)で得られた変性エポキシ組成物について、
接着性試験、衝撃試験および金属腐食性試験を行った。
なお、接着性試験と衝撃試験とは実施例1と同様に行
い、金属腐食性試験は次のようにして行った。
エポキシ組成物を140℃で1時間加熱、硬化して成形
板を得た。一方、厚さ2mmの鋼板(JIS−H3100)を30mm
×30mmに切取り、100メッシュの研磨紙で十分みがいた
後脱脂した。この鋼板を上記成形板上にのせ300mlの標
本ビンの中にいれ、24時間放置した。その後、鋼板を取
り出し、腐食の度合を目視で観察した。結果を表3に示
す。
実施例8 共重合体として表1に示す共重合体(1)を用いた以
外は実施例7と同様にして変性エポキシ組成物を調製
し、その性能を評価した。結果を第3表に示す。
実施例9 (1)ラテックスの製造 エチレン−プロピレンゴム(EPR)JSREP11(商品名、
日本合成ゴム(株)製、ムーニー粘度ML1+4(100℃)=
40)と、このEPR100部当り1.2部の無水マレイン酸と0.0
5部のクメンハイドロパーオキサイドとを予め120〜140
℃に予熱した密閉型バンバリーミキサー中に移し、180
℃で5分間混練した。
得られた無水マレイン酸変性EPRをトルエンに溶解し
て10%トルエン溶液とした。このトルエン溶液100部に
過酸化ベンゾイル0.15部およびポリオキシエチレンデシ
ルエーテル(花王(株)製エマルゲン120)1部とを溶
解し、この溶液にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ムの0.5%水溶液100部を徐々に添加しながら、50℃にて
特殊機化工業(株)製剪断撹拌混合機「ホモディスパ
ー」を用いて撹拌を行い、転相により無水マレイン酸変
性EPRのラテックスを得た。次いで、常圧下に水蒸気蒸
留を行い、トルエンを除去した。さらに、90℃にて8時
間保持して架橋反応を完結させた。
(2)変性エポキシ組成物の製造 [第1工程] 架橋反応の完結後、ラテックスをメタノール中に投入
して凝固させ、得られた共重合体凝固物に遠心脱水処理
を施し残存揮発分(水+メタノール)30%まで脱水し
た。
[第2工程] この共重合体凝固物を実施例1で使用したと同じエポ
キシ化合物(エピコート828)100部当り5部の割合で配
合し、実施例1と同様にして分散した。
[第3工程」 分散体を減圧下70℃で乾燥して水とメタノールとを除
去し、変性エポキシ組成物を得た。
(3)接着剤組成物の製造 上記(2)で得られた変性エポキシ組成物を用い、下
記処方の接着剤組成物を製造した。
エポキシ化合物 100部 変性EPR 5部 硬化剤ジシアンジアミド 5部 3−(p−クロロフェニル)−1,1−ジメチル 3部 充填剤無水ケイ酸「エアロジル」(塩野義製薬(株)
製) 80部 (4)接着剤組成物の評価 上記(3)で得られた接着剤組成物を用いて圧延鋼板
(厚さ1.6mm、トリクレンで洗浄脱脂したもの)同士を
接着し、引張剪断接着強度をJIS−K6850(引張速度5mm/
分)に準じて、またT型剥離接着強度をJIS−K6854(引
張速度50mm/分)に準じて測定した。
なお、接着剤の硬化条件は150℃×30分間とした。
体積固有抵抗値は16008Aセル(横河ヒュレット・パッ
カード(株)製)に試料をはさみ、TR−84M電気抵抗試
験機(タケダ理研(株)製)により測定した。
結果を表4に示す。
実施例1と同様に透過型電子顕微鏡にて分散状態を観
察したところ、粒径が約2μmの均一な分散が確認され
た。
比較例5 変性EPRを使用しなかった以外は実施例9と同様にし
て接着剤組成物を調製し、その性能を評価した。結果を
表4に示す。
表4の結果から、共重合体(b)で変性すると剥離強
度が著しく大きくなることが理解される。
(発明の効果) 本発明の主たる効果を挙げれば次の通りである。
(1) 本発明の方法によればゴム状共重合体をエポキ
シ化合物中に粒子状に極めて均一に分散することができ
る。
(2) 本発明の方法において、ゴム状共重合体の凝固
物を洗浄する工程を設けることによって、ゴム状共重合
体の製造に付随するアルカリ金属、塩素イオンなどのイ
オン性不純物を効率よく除去できるので、本発明の方法
によれば、これら不純物を実質的に含まない変性エポキ
シ組成物を製造することができる。
(3) 本発明の方法によって得られる変性エポキシ組
成物においては、ゴム状共重合体がエポキシ樹脂中に粒
子状に均一に分散され、イオン性不純物などを実質的に
含まれていないことから、この変性エポキシ組成物の硬
化物は、機械的強度、耐熱性などのエポキシ樹脂の優れ
た特徴のほか、剥離強度、耐衝撃性などの強靭性を有し
ている。
従って、本発明の方法によって得られる変性エポキシ
組成物は、半導体の封止剤、電子部品の被覆剤、接着
剤、電着塗装剤、ライニング剤、シーリング剤、その他
各種成形材料として有効に使用することができる。
(4) 本発明の方法によれば、特に、エポキシ基を有
する化合物に非相溶性のゴム状共重合体粒子をエポキシ
化合物中に再現性よく分散させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮村 敏男 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−103647(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)部分架橋ゴム状ランダム共重合体
    (成分(a))のラテックスを凝固して残存揮発分が5
    〜60重量%の共重合体凝固物を得、 (ii)該共重合体凝固物をエポキシ基を有する化合物
    (成分(b))に配合、分散し、 (iii)次いで、上記残存揮発分を除去することを特徴
    とする上記成分(a)、(b)を含有し、成分(a)が
    成分(b)中に粒子状に均一に分散された変性エポキシ
    組成物の製造方法。
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