JP2730128B2 - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物

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JP2730128B2 JP1025536A JP2553689A JP2730128B2 JP 2730128 B2 JP2730128 B2 JP 2730128B2 JP 1025536 A JP1025536 A JP 1025536A JP 2553689 A JP2553689 A JP 2553689A JP 2730128 B2 JP2730128 B2 JP 2730128B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は耐衝撃性、電気特性、成形性などの性質に優
れた熱硬化性樹脂組成物に関する。
(従来の技術) 元来、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹
脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂
は、優れた機械的強度をもつが、比較的脆いため、この
脆さを補い耐衝撃性が高く可撓性をもった成形品を得る
ことは熱硬化性樹脂工業界の強い要望であった。
このような状況において、ゴムを混合して熱硬化性樹
脂に可撓性を付与することが提案されており、例えばゴ
ムと熱硬化性樹脂との混合物として、ブタジエン・アク
リロニトリル共重合体(以下、「NBR」という)とフェ
ノール樹脂との混合物が知られている。また、特公昭57
−30133号公報などでは、エポキシ樹脂との反応性を目
的とした官能基含有ゴムの利用が広く検討されている。
これらの系はいずれも熱硬化性樹脂とゴムの極性が近
く、一般に相溶し易いとされている系である。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、相溶し易いゴムを熱硬化性樹脂に混合
するとほぼ満足すべき機械的強度が得られるものの流動
性が低下し、熱硬化性樹脂本来の成形性が低下するとい
う問題がある。また、混合条件に充分留意をしないと分
散不良を起こし易いという問題がある。
更には、近年の電気・電子部品材料市場の拡大で当該
分野における熱硬化性樹脂の利用を増加しているが、こ
れら熱硬化性樹脂には電気・電子部品の小型・軽量化に
より高度な電気的特性が要求されるようになっている。
このため、従来のように一般に利用されているような、
乳化重合処方によるNBRを用いると、電気絶縁性が低下
し、金属腐食性、特に通電時の金属腐食性が増加すると
いう問題があり、このためNBRは信頼性が要求される電
気・電子部品には利用できないという問題がある。これ
に対し、溶液重合法によるゴム状共重合体は、ゴム中の
金属、ハロゲンなどが少ないという長所がある反面、NB
Rの場合低分子量ポリマー(多くの場合、液状ゴム)し
か得られず、またコストも高いという問題がある。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、上記のような従来のゴム−熱硬化性樹脂組
成物が有する問題点を解決し、分散が容易であり、かつ
良好な可撓性および機械的特性を有し、電気的特性、成
形性にも優れ、通電時の金属腐食の少ない熱硬化性樹脂
組成物を提供することを目的とするものである。
すなわち、本発明は (a)熱硬化性樹脂(以下、「(a)成分」という)
に (b)架橋性モノマー含量が0.1〜20重量%であるモ
ノマー混合物をノニオン系界面活性剤を用いて重合およ
び/または凝固して得られるゲル含量が20重量%以上の
ゴム状共重合体(以下、「(b)成分」という)を配合
し、粒子状に分散したことを特徴とする熱硬化性樹脂組
成物に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の(a)成分としては、種々の熱硬化性樹脂を
使用することができる。例えばフェノール樹脂、エポキ
シ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂などを使用することができる。
フェノール樹脂としては、例えばノボラック樹脂、レ
ゾール樹脂、あるいはこれらの変性物などを挙げること
ができる。更に、フェノール変性メラミン樹脂などの他
種材料との複合物も使用することができる。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノール型エポ
キシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪型エポキシ
樹脂などの各種エポキシ樹脂の他、ゴム変性エポキシ樹
脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂な
どの変性エポキシ樹脂などを挙げることができる。
ユリア樹脂としては、カチオン性、ノニオン性あるい
はアニオン性の各種ユリア樹脂を挙げることができる。
メラミン樹脂としては、メラミン樹脂単独の他に、ユ
リア樹脂変性物であるユリア・メラミン樹脂などを挙げ
ることができる。
ポリイミド樹脂としては、テトラカルボン酸またはそ
の無水物とジアミンとの反応によって得られるポリイミ
ド樹脂の他に、マレイミド変性エポキシ樹脂などを挙げ
ることができる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、ジアリルフタレー
ト、ジアリルマレート、ジビニルフタレートなどの不飽
和結合を1分子当り2個以上有するポリエステル樹脂を
挙げることができる。
これら熱硬化性樹脂は単独でもあるいは2種以上混合
して使用することもできる。
これらのうち、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および
不飽和ポリエステル樹脂は、ゴムと他材料との混練に一
般に用いられる密閉型混練機、押出機、ロールなどでの
加工が容易であり、(b)成分としてのゴム状共重合体
の微分散が容易であることから好ましく使用される。
本発明において、(b)成分は、乳化剤としてノニオ
ン系界面活性剤を用いて乳化重合によって製造された、
ゲル含量20重量%以上のゴム状共重合体である。
(b)成分を構成するモノマーとしては、官能基を有
さない不飽和化合物(以下、「モノマーI」という)、
官能基を有する不飽和化合物(以下、「モノマーII」と
いう)および架橋性モノマーを挙げることができる。
モノマーIとしては、 共役ジエン:ブタジエン、ジメチルブタジエン、イソ
プレン、クロロプレンおよびこれらの誘導体、 (メタ)アクリル酸エステル:(メタ)アクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸
プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリ
ル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シフロヘキシル、
(メタ)アクリル酸ラウリル、ポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メ
タ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエ
ーテル、グリコールのジグリシジルエーテルなどと(メ
タ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクレー
トなどとの反応によって得られるエポキシ(メタ)アク
リレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと
ポリイソシアナートとの反応によって得られるウレタン
(メタ)アクリレート、 前記以外の不飽和炭化水素:エチレン、プロピレン、
1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ベンテンな
どのオレフィン、スチレン、メチルスチレンなどの芳香
族ビニルなど を挙げることができる。
モノマーIIとしては、例えば官能基がカルボキシル基
の場合は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン
酸、フマル酸、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチ
ル、マレイン酸β−(メタ)アクリロキシエチル、フタ
ル酸β−(メタ)アクリロキシエチル、ヘキサヒドロフ
タル酸、β−(メタ)アクリロキシエチルなどの不飽和
酸を、官能基が酸無水物基の場合は、無水マレイン酸、
無水コハク酸などの不飽和酸無水物を、官能基がエポキ
シ基の場合は、グリシジル(メタ)アクリレート、アリ
ルグリシジルエーテルなどを、官能基がアミノ基の場合
は、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルア
ミノエチル(メタ)アクリレートなどを、官能基がアミ
ド基の場合は、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メ
タ)アクリルアミドなどを、官能基がヒドロキシル基の
場合は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレートなどを、官能基が
イソシアネート基の場合は、ビニルイソシアネート、イ
ソシアネートエチル(メタ)アクリレート、p−スチリ
ルイソシアネートなどを、官能基がリン酸基の場合は、
(メタ)アクリロキシエチルホスフェートなどを、官能
基がシアノ基の場合は、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリルなどを挙げることができる。
また、架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、
ジビニルエーテル、ジアリルフタレート、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレートなどの分子内に重合性二重
結合を複数個有する化合物を挙げることができる。
(b)成分を構成するモノマーは、通常、モノマーI
および/またはモノマーII、ならびに架橋性モノマーか
らなるが、モノマーIIを含むと(b)成分の(a)成分
との界面接着性が増大し、得られる組成物の機械的強度
および耐衝撃性がより良好となる。
ここで、モノマーI、モノマーIIおよび架橋性モノマ
ーの組合せとしては、例えば下記(i)〜(iv)が挙げ
られる。
(i)アクリロニトリルおよびスチレン以外のモノマ
ーII0〜20重量%、アクリロニトリルおよび/またはス
チレン13〜50重量%、ブタジエンおよび/またはイソプ
レン40〜80重量%、ならびに架橋性モノマー0.1〜20重
量%。
(ii)アルキル(メタ)アクリレートおよびアルコキ
シ(メタ)アクリレート以外のモノマーI0〜20重量%、
アルキル(メタ)アクリレートおよび/またはアルコキ
シ(メタ)アクリレート10〜99重量%、好ましくは40〜
99重量%、上記単量体と共重合可能な他の単量体0〜80
重量%、ならびに架橋性モノマー0.1〜20重量%。
(iii)アクリロニトリルおよびスチレン以外のモノ
マーI0〜20重量%、アクリロニトリルおよび/またはス
チレン5〜50重量%、好ましくは15〜50重量%、ブタジ
エンおよび/またはイソプレン2〜60重量%、好ましく
は20〜60重量%、アルキル(メタ)アクリレートおよび
/またはアルコキシ(メタ)アクリレート5〜65重量
%、ならびに架橋性モノマー0.1〜20重量%。
(iv)ブタジエンおよびイソプレン以外のモノマーI0
〜20重量%、ブタジエンおよび/またはイソプレン70〜
98.8重量%、ならびに架橋性モノマー0.1〜20重量%。
本発明の(b)成分は、上記のようなモノマーを重合
開始剤として過酸化物触媒、レドックス系触媒などのラ
ジカル重合開始剤を用い、また乳化剤としてノニオン系
界面活性剤を用い、メルカプタン、ハロゲン化炭化水素
などの分子量調整剤の存在下において、0〜50℃で乳化
重合を行い、所定の重合転化率、通常、50〜100%に達
した後、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンなどの反応
停止剤を添加して重合反応を停止させ、次いで重合系の
未反応モノマーを水蒸気蒸留などで除去することによっ
てラテックスとして得ることができる。
本発明の乳化重合に使用するノニオン系界面活性剤と
しては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチ
レン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブ
ロックポリマー、アルキルスルフィニルアルコール、脂
肪酸モノグリセリドなどを挙げることができる。
ノニオン系界面活性剤を使用すると、ゴム状共重合体
のラテックスから、金属を含む凝固剤を用いることな
く、ゴム状共重合体を凝固できることから、ゴム状共重
合体中の金属イオン含量を極めて少なくすることができ
る。
ノニオン系界面活性剤の内では、未反応モノマーを回
収するための水蒸気蒸留を行う温度以上の高曇点を有す
るノニオン系界面活性剤を予め選択することが好まし
い。低曇点を有するノニオン系界面活性剤を用いると水
蒸気蒸留の際にラテックスが凝固する恐れがある。
また、このようなノニオン系界面活性剤を乳化剤とし
たラテックスからゴム状共重合体を凝固する場合には、
例えば下記(イ)、(ロ)または(ハ)の方法を採用す
ることができる。
(イ)乳化剤としてノニオン系界面活性剤を用いてノニ
オン系界面活性剤の曇点以下の温度で重合を行った後、
得られたラテックスを曇点以上に加熱し、また乳化剤と
して用いたノニオン系界面活性剤よりも低曇点のノニオ
ン系界面活性剤もしくは電解質、アルコール、脂肪酸な
どを添加した後、加熱して凝固する方法。
(ロ)乳化剤としてアニオン系および/またはカチオン
系界面活性剤、ならびにノニオン系界面活性剤を用いて
乳化重合を行った後、乳化剤として用いたノニオン系界
面活性剤よりも低曇点のノニオン系界面活性剤を添加
し、次いで加熱して凝固する方法。
(ハ)乳化剤としてアニオン系および/またはカチオン
系界面活性剤を用いて乳化重合を行った後、ノニオン系
界面活性剤および電解質を添加し、次いで加熱する方
法。
なお、上記の低曇点を有するノニオン系界面活性剤と
は、曇点が、通常80℃以下、好ましくは70℃以下のノニ
オン系界面活性剤であり、具体的には例えばポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。こ
れらの低曇点を有するノニオン系界面活性剤のHLB値は1
2以下であることが好ましい。
上記において、ノニオン系界面活性剤の使用量は、通
常、(b)成分100重量部に対して0.1〜20重量%、好ま
しくは1〜15重量部である。
また、上記で必要に応じて用いることのできる乳化剤
のうち、アニオン系界面活性剤としては、例えば石鹸、
ロート油、乳化油、アルキルナフタレンスルホン酸塩、
ドデシルベンゼンスルホン酸塩、オレイン酸塩、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸
塩、リグニンスルホン酸塩、サルコールエトキシサルフ
ェート、第2級アルカンスルホネート、α−オレフィン
スルホン酸、タモールなどを、カチオン系界面活性剤と
しては、例えばアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ
アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウ
ム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩などを
挙げることができる。
これらのアニオン系界面活性剤またはカチオン系界面
活性剤の使用料は、(b)成分100重量部に対して、通
常、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
上記乳化重合において重合開始剤として使用する過酸
化物触媒としては、ベンゾイルパーオキサイド、アセチ
ルパーオキサイド、p−メンテンハイドロパーオキサイ
ド、ラウリルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイ
ド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、コハク酸バーオキ
サイドなどの有機過酸化物、過酸化水素、過硫酸カリウ
ム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物を、レドッ
クス系触媒としては、上記の過酸化物に還元状態にある
金属に、例えば1価の銅や2価の鉄またはアミン化合物
を組み合わせたものを挙げることができる。
これらの過酸化物触媒の使用量は、(b)成分100重
量部に対して、通常、0.001〜1重量部である。
また、上記乳化重合において、水の使用量は、(b)
成分100重量部に対して、通常、100〜500重量部であ
る。
本発明において、(b)成分のゲル含量は20重量%以
上、好ましくは50重量%以上である。
なお、本発明におけるゲル含量は、ゴム状共重合体約
1gを精秤し、メチルエチルケトン100ml中に入れ、室温
で24時間静置後、200メッシュ金網でろ過し、金網不通
過分を乾燥後秤量し、仕込み共重合体に対する不溶分の
重量割合(%)で示したものである。
(b)成分のゲル含量が20重量%未満では、(a)成
分への分散が不十分であり、かつ得られる組成物の粘度
が高くなり、流動性が低下する。
(b)成分の分子量には特に制限はないが、取扱い
性、成形加工性などの面から、ムーニー粘度(ML1+4(1
00℃))が20〜120の範囲にあるのことが好ましい。ま
た、(b)成分の好ましいガラス転移温度は0℃以下で
あり、特に−20℃以下が好ましい。
さらに、本発明の(b)成分の全金属含有量は、通
常、100ppm以下、好ましくは50ppm以下であり、アルカ
リ金属含有量は、通常、20ppm以下である。
(a)成分と(b)成分との組合せは特に制限がない
が、(a)成分がフェノール樹脂あるいはポリイミド樹
脂の場合には、(b)成分として極性の高い共重合体を
用いることが、良好な機械的強度が得られることより好
ましい。
(a)成分に対する(b)成分の混合割合は、通常、
(a)/(b)=5/95〜99/1(重量部)、好ましくは50
/50〜99/1(重量部)である。(b)成分が1重量部未
満では可撓性が乏しく、耐衝撃性が劣る。一方、95重量
部を越えると熱硬化性樹脂本来の特性である電気特性、
機械的特性などが発揮されない。
(a)成分と(b)成分との混合方法としては、通常
行われる密閉型混合機、押出機、ロールなどを用いた混
練りの他、例えば(b)成分のラテックスに(a)成分
あるいは予め(a)成分をノニオン系界面活性剤を用い
て乳化したラテックスを添加し、剪断力下に強制攪拌
し、その後(b)成分を凝固するのと同様の手順で水か
ら分離し、乾燥する方法を用いることができる。
なお、(b)成分のラテックスから(b)成分を凝固
または脱溶媒により事前に分離した場合は、再度、強制
攪拌下にメチルエチルケトン、トルエン、クロロホルム
などの有機溶媒に分散させ、これを(a)成分と混合し
後、溶媒を除去し乾燥することもできる。
これらの混合方法により、(a)成分中への(b)成
分の分散粒径を300〜5000Å程度にすることができる。
すなわち、(b)成分のラテックス状態の粒径をほぼそ
のままの状態でマトリックス樹脂中へ分散できるのが本
発明の特徴の一つである。
(b)成分のラテックス状態での粒径は、通常、300
〜5000Å、好ましくは500〜2000Åである。この粒径が3
00Å未満では、熱硬化性樹脂への可撓性付与硬化が低
く、組成物の耐衝撃性が劣る。一方、5000Åを越える
と、(b)成分の重合時の安定性に劣り、再現性よく
(b)成分を得ることが困難となる。
なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物の調製の際には、
必要に応じて、樹脂硬化剤、リターダー、シリカ、クレ
ー、石膏、炭酸カルシウム、石英粉、タルク、カオリ
ン、マイカ、チタン化合物、アンチモン化合物などの充
填剤、顔料、老化防止剤、紫外線吸収剤、ワックスなど
の各種添加剤を配合することができる。
(実施例) 以下実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
なお、「部」および「%」は、重量基準である。
実施例1 下記の乳化重合処方を用い、オートクレーブ中で30℃
で乳化重合を実施した。
ブタジエン 55部 アクリロニトリル 33.5部 メタクリル酸 10部 ジビニルベンゼン 1.5部 水 320部 ポリオキシエチレンノニル フェニルエーテル*1 5部 第3級ドデシルメルカプタン 0.2部 過硫酸アンモニウム 0.25部 ジエタノールアミン 0.10部 (*1 花王石鹸(株)製、エマルゲン920、曇点82
℃) 重合転化率90%に達した後、モノマー100部当り0.2部
のヒドロキシルアミン硫酸塩を添加し、重合を停止させ
た。続いて減圧下で約70℃にて水蒸気蒸留により残留モ
ノマーを回収した後、老化防止剤としてアルキル化フェ
ノールを2部添加し、次いで耐圧管に得られたラテック
スを入れ、110℃に加温し該ラテックスを凝固させた。
生成した凝固物を回収し、水洗した後、減圧下、50℃で
乾燥しゴム状共重合体を得た(試料1)。
得られたゴム状共重合体組成、ムーニー粘度、ゲル含
量、ナトリウム含有量、カリユム含有量およびラテック
ス粒径を表1に示す。
上記のゴム状共重合体を用いて、下記処方により、ロ
ールで130℃にて5分間混練した後、粉砕して熱硬化性
樹脂組成物を調製した。
ノボラック型フェノール樹脂 100部 資料1 10部 ヘキサメチレンテトラミン 10部 次いで、160℃にて10分間プレス成形することによ
り、厚さ4mmの成形板を得た。これをJIS−K6911に準じ
てフライス盤で加工し、試験片を作成した。この試験片
を用いて、その各種特性を下記の方法により測定した。
結果を表2に示す。
曲げ強度および曲げ弾性率 JIS K7203に準ずる。
アイゾット衝撃強度 JIS K7110に準ずる。
フロー特性 島津製作所(株)製CFT−500型フレテスターを用い、
ノズル直径1mm×1mm、予熱時間1分、荷重10kg、測定温
度100℃で測定した。
体積固有抵抗 横河電気(株)製電気抵抗試験機を用いて250℃、湿
度50%にて測定した。
銅電食性 熱硬化前の組成物を、ガラスエポキシ基板上にライン
/スペース=0.2/0.2(m)でくし型パターンを銅箔線
により形成した銅プリント基板上にのせ160℃にて10分
間プレス成形を行い、電食試験片を作成し、80℃、100
%湿度の条件下で50Vの印加電圧をくし型パターンに加
え、24時間後の状態を観察して評価した。
ゴムの分散粒径 熱硬化した成形板からウルトラミクロトームを用いて
超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡で観察して測定
した。
ラテックス粒径 共重合体ラテックスを蒸留水を用いて希釈し、コロジ
オン成膜処理を行ったメッシュシート上にのせ、1%四
酸化オスミウム水溶液で染色した後、透過型電子顕微鏡
を用いて観察、測定した。
実施例2〜6、比較例1〜8 実施例1と同様にして、表1に示す組成のゴム状共重
合耐(試料2〜12)を製造した。その特性を表1に示し
た。
試料13は、アニオン系界面活性剤であるドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムを用いて重合したゴム状共重
合体であり、下記方法により製造した。
下記の乳化重合処方を用い、オートクレーブ中で30℃
で乳化重合を行った。
ブタジエン 55部 アクリロニトリル 33.5部 メタクリル酸 10部 ジビニルベンゼン 1.5部 水 220部 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 3部 第3級ドデシルメルカプタン 0.2部 過硫酸アンモニウム 0.25部 ジエタノールアミン 0.10部 重合転化率が90%に達した後、モノマー100部当り0.2
部のヒドロキシルアミン硫酸塩を添加し、重合を停止さ
せた。続いて、減圧下で約70℃にて水蒸気蒸留により残
留モノマーを回収した後、老化防止剤としてアルキル化
フェノール2部を添加し、塩化カルシウムの1%水溶液
中に攪拌しながら添加し、ゴム状共重合体を析出させ
た。
上記試料2、3、4、7、8、9、10、12および13を
用いて、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を調
製し、その熱硬化物の各種特性を評価した。結果を表2
に示す。
実施例7 表1の試料5を用いて、下記処方により、小型ニーダ
ー中にて130℃で4分間混練して試料5を分散させ熱硬
化性樹脂組成物を調製した。
試料5 20部 4,4′−ビスマレイミドジフェニルメタン 80部 次いで、200℃で100分間プレス成形して均一な成形板
を得た。この成形板の曲げ強度を実施例1と同様にして
測定したところ8.1kg・f/mm2であった。
比較例9 試料1の代わりに表1の試料6を用いて、実施例7と
同様の混練を実施したが、ゴム状共重合体を均一に分散
することができず、得られた組成物を評価したところ、
曲げ強度は3.2kg・f/mm2であった。
実施例8 表1の試料1を用い、下記処方により密閉型小型ニー
ダーに入れ、70℃で5分間混練して試料1を分散させ、
熱硬化性樹脂組成物を調製した。
ジアリルフタレートプレポリマー (商品名DAPON、住友化学(株)製) 80部 試料1 20部 ジクミルパーオキサイド 3部 次いで、170℃にて5分間プレス成形して成形板を得
た。これをフライス盤で加工して試験片を作成し、その
曲げ強度を測定したところ4.8kg・f/mm2であった。
なお、混練後の未硬化状態にある組成物を実施例1で
用いたと同じモデル基板上に80℃でプレス圧着した後、
170℃のオーブン中で10分間硬化させ、その後実施例1
と同様にして耐電食性を評価したところ電食の発生は認
められなかった。
比較例10 試料1の代わりに表1の試料14を用いた以外は実施例
8と同様にして試験片を作成し、評価したところ、曲げ
強度は4.1kg・f/mm2であり、また耐電食性試験では6時
間では短絡現象(ショート)が認められた。
(発明の効果) 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、分散が容易であり、
可撓性、機械的特性、電気的特性および耐電食性、更に
成形性に優れていることから、電気・電子部品、自動車
部品など各種成形材、接着剤、塗料、被覆材などに広く
用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮林 敏男 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−69827(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)熱硬化性樹脂に、(b)架橋性モノ
    マー含量が0.1〜20重量%であるモノマー混合物をノニ
    オン系界面活性剤を用いて重合および/または凝固して
    得られるゲル含量が20重量%以上のゴム状共重合体を配
    合し、粒子状に分散したことを特徴とする熱硬化性樹脂
    組成物。
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