JP2007099803A - 樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、低誘電率や低誘電損失を示し、かつ絶縁性にも優れた硬化物およびこのような硬化物が得られる樹脂組成物を提供することを課題としている。さらには、高いガラス転移温度を有し、耐熱衝撃性に硬化物およびこのような硬化物が得られる樹脂組成物を提供することも課題としている。
【解決手段】 (A)耐熱性樹脂および/またはその前駆体、(B)カルボキシル基、水酸基およびエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基を有するスチレン−ブタジエン系共重合体とを含む樹脂組成物を用いることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、低誘電率、低誘電損失等の電気特性に優れ、また電気絶縁性に優れ、かつ耐熱衝撃性に優れた硬化物、ならびにこのような硬化物が得られる樹脂組成物に関する。
電子機器、通信機などの精密機器に装備されている電気回路は、近年、ますます高速化、高密度化しており、使用する材料の高信頼性が求められている。そのため、回路基板の多層化、高精度化、微細化が図られている。
従来、このような回路基板は、ガラスクロスなどの補強基材に樹脂ワニスを含浸させ、その後、銅箔を張り合わせた後、加熱硬化させて製造されていた。これらの回路基板用樹脂材料としては、主にエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾシクロブテン樹脂などの耐熱性の樹脂が用いられていた。これらの樹脂を用いた材料は一般的に硬くて脆く、強靱化や、銅等の金属導体との密着性の改善のために、樹脂との相溶性が良好なアクリロニロリル−ブタジエン共重合体またはカルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体が樹脂材料に添加されていた(特許文献1〜4)。しかしながら、今後の電子回路の高速化、高密度化の観点から、アクリロニトリルを含む共重合体を含有する材料よりも、さらに低い誘電率や誘電損失を有する材料が求められている。
一般に、スチレン−ブタジエン系共重合体は、その構造から電気特性に優れていることが知られている。ところが、通常のスチレン−ブタジエン共重合体は前記樹脂との相溶性が悪く、混合時もしくは硬化反応時に各成分が分離し、均一な硬化膜を得ることは困難であった。
特許文献5〜7には、低誘電特性や低誘電損失特性の向上という観点で、スチレン−ブタジエン−イタコン酸共重合体からなるポリマー粒子にジビニルベンゼンを重合した中空架橋樹脂粒子を含有する樹脂組成物およびその硬化物が提案されている。そして、この硬化物は、スチレン−ブタジエン−イタコン酸共重合体からなるポリマー粒子にメチルメタクリレートを重合した球形の非架橋樹脂粒子を含有する硬化物に比べて、低誘電率や低誘電損失を示し、かつ絶縁性に優れることが開示されている。ところが、この硬化物は、アクリロニトリルを含む共重合体を含有する材料に比べて、低誘電率および低誘電損失は達成されるものの、絶縁抵抗値が低下する傾向にあった。また、上記中空架橋樹脂粒子は、スチレン−ブタジエン−イタコン酸共重合体を種ポリマーとしてジビニルベンゼンを共重合しているため、前記の樹脂との相溶性に問題があり、さらに、ガラス転移温度が高いため、この中空架橋樹脂粒子を含有する硬化物は熱衝撃性(耐クラック性)に劣る傾向にあった。
そこで、今後の電子回路の高速化、高密度化に対応するため、低誘電率や低誘電損失を示し、絶縁性にも優れ、かつ耐熱衝撃性にも優れた硬化物、およびこのような硬化物が得られる樹脂組成物が求められている。
特開2002−20454号公報 特開2002−60467号公報 特開2003−246849号公報 特開2003−318499号公報 特開2000−311518号公報 特開2000−313818号公報 特開2000−315845号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、低誘電率や低誘電損失を示し、かつ絶縁性にも優れた硬化物およびこのような硬化物が得られる樹脂組成物を提供することを課題としている。さらには、高いガラス転移温度を有し、耐熱衝撃性に硬化物およびこのような硬化物が得られる樹脂組成物を提供することも課題としている。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究し、特定の官能基を有するスチレン−ブタジエン系共重合体が耐熱性樹脂および/またはその前駆体と良好な相溶性を示し、この共重合体を含有する上記樹脂組成物の硬化物が、低誘電率や低誘電損失を示し、かつ絶縁性にも優れ、さらに、十分に高いガラス転移温度、耐熱衝撃性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る樹脂組成物は、(A)耐熱性樹脂および/またはその前駆体、(B)カルボキシル基、水酸基およびエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基を有するスチレン−ブタジエン系共重合体とを含むことを特徴とする。
前記スチレン−ブタジエン系共重合体(B)は1つ以上のガラス転移温度を有する共重合体であって、その少なくとも1つのガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。
また、前記スチレン−ブタジエン系共重合体(B)は架橋粒子であることが好ましい。
前記架橋粒子の粒子径は30〜500nmの範囲にあることが好ましい。
本発明に係る硬化物は、上記樹脂組成物から形成されたことを特徴とする。
本発明によると、相溶性に優れた樹脂組成物を得ることができる。また、低誘電率や低誘電損失を示し、かつ絶縁性にも優れ、さらに、十分に高いガラス転移温度、耐熱衝撃性を有する硬化物を得ることができる。
〔樹脂組成物〕
本発明に係る樹脂組成物は、(A)耐熱性樹脂および/またはその前駆体と(B)スチレン−ブタジエン系共重合体とを含有する。まず、本発明に用いられる各成分について説明する。
(A)耐熱性樹脂および/またはその前駆体:
(A1)耐熱性樹脂
本発明に用いる耐熱性樹脂としては、電気特性、耐熱性等の絶縁材料として要求される特性を有するものであれば特に限定されるものではない。これらの樹脂として例えば、ポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂の他、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル等の二重結合を有する化合物を単独または2種類以上共重合させた化合物、ゴム成分等が挙げられる。この中でも特に高耐熱性、低誘電率等の電気特性を考慮するとポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂が好ましい。
(A1−1)ポリイミド樹脂:
本発明に用いられるポリイミド樹脂(A−1)は、多層回路基板の層間絶縁膜あるいは平坦化膜、電子部品等の保護膜あるいは電気絶縁膜などに用いられるポリイミド樹脂であれば特に限定されないが、具体的には、ポリピロメリット酸二無水物−4,4’−オキシジアニリン共重合体(前駆体)およびその反応物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物−1,4−ジアミノベンゼン共重合体などが挙げられる。
これらのポリイミド樹脂は1種単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
(A1−2)ポリベンゾオキサゾール樹脂:
本発明に用いられるポリベンゾオキサゾール樹脂(A−2)は、多層回路基板の層間絶縁膜あるいは平坦化膜、電子部品等の保護膜あるいは電気絶縁膜などに用いられるポリベンゾオキサゾール樹脂であれば特に限定されないが、具体的には、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−イソフタル酸ジクロリド共重合体(前駆体)およびその反応物などが挙げられる。
(A1−3)ポリベンゾシクロブテン樹脂:
本発明に用いられるポリベンゾシクロブテン樹脂(A−3)は、多層回路基板の層間絶縁膜あるいは平坦化膜、電子部品等の保護膜あるいは電気絶縁膜などに用いられるポリベンゾシクロペンテン樹脂であれば特に限定されないが、具体的には、ポリベンゾシクロブテン樹脂溶液CYCLOTENE XU35134(ダウ・ケミカル製)などが挙げられる。
(A1−4)ポリフェニレンエーテル樹脂:
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル樹脂(A−4)は、多層回路基板の層間絶縁膜あるいは平坦化膜、電子部品等の保護膜あるいは電気絶縁膜などに用いられるポリベンゾシクロペンテン樹脂であれば特に限定されないが、具体的には、ポリ2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。
(A1−5)シアネートエステル樹脂(BTレジンを含む):
本発明に用いられるシアネートエステル樹脂(A−5)は、多層回路基板の層間絶縁膜あるいは平坦化膜、電子部品等の保護膜あるいは電気絶縁膜などに用いられるシアネート樹脂、およびBTレジンと呼ばれるシアネートエステル樹脂を主成分とし、ビスマレイミドにより改質された樹脂であれば特に限定されないが、具体的には、ポリ2,2’−ジ(4−シアナトフェニル)プロパン共重合体、ポリジ(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)メタン−ビスマレイミド反応物などが挙げられる。
(B)スチレン−ブタジエン系共重合体:
本発明に用いられるスチレン−ブタジエン系共重合体(B)(以下、単に「共重合体(B)」ともいう。)は、カルボキシル基、水酸基およびエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基を有するスチレン−ブタジエン系共重合体である。カルボキシル基、水酸基およびエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基を含有することによって、共重合体(B)は前記耐熱性樹脂および/またはその前駆体(A)との相溶性に優れる。
上記共重合体(B)のガラス転移温度(Tg)は、耐熱衝撃性改良の点から、通常0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下が好ましい。Tgが上記範囲にある共重合体(B)を用いることにより、樹脂組成物の硬化物(硬化膜)は優れた可とう性(耐クラック性)を示す。一方、Tgが上記上限を超えると、硬化物は耐クラック性に劣り、温度変化が大きい環境下では基板表面に多数のクラックが発生することがある。なお、本発明における共重合体(B)のTgは、共重合体(B)の分散液を凝固、乾燥した後、セイコーインスツルメンツ(株)製の示差走査熱量分析装置(SSC/5200H)を用いて−100℃〜150℃の範囲で昇温速度10℃/minで測定した値である(DSC法)。
本発明に用いられる共重合体(B)は、スチレンと、ブタジエンと、カルボキシル基、水酸基およびエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基を有する単量体(以下、「特定官能基含有単量体」ともいう。)とを共重合させることによって製造することができる。このとき、原料モノマー合計100重量部に対して、スチレンを通常5〜40重量部、好ましくは15〜25重量部と;ブタジエンを通常40〜90重量部、好ましくは50〜80重量部と;特定官能基含有単量体を通常1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部を共重合させることが望ましい。原料モノマーを上記割合で共重合することにより、前記耐熱性樹脂および/またはその前駆体との相溶性に優れ、低誘電率、低誘電損失等の電気特性に優れ、また電気絶縁性に優れ、かつ耐熱衝撃性に優れた硬化物を形成し得るスチレン−ブタジエン系共重合体(B)を得ることができる。
また、上記共重合体(B)が架橋粒子の場合には、スチレンと、ブタジエンと、特定官能基含有単量体と、少なくとも2つの重合性不飽和二重結合を有する単量体(以下、「架橋性単量体」ともいう。)とを共重合させることによって製造することができる。このとき、原料モノマー合計100重量部に対して、スチレンを通常5〜40重量部、好ましくは15〜25重量部と;ブタジエンを通常40〜90重量部、好ましくは50〜80重量部と;特定官能基含有単量体を通常1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部と;架橋性単量体を通常0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部共重合させることが望ましい。原料モノマーを上記割合で共重合することにより、前記耐熱性樹脂および/またはその前駆体との相溶性に優れ、低誘電率、低誘電損失等の電気特性に優れ、また電気絶縁性に優れ、かつ耐熱衝撃性に優れた硬化物を形成し得るスチレン−ブタジエン系共重合体(B)を得ることができる。
これらの共重合体(B)では、スチレン、ブタジエン、特定官能基含有単量体および架橋性単量体に加えて、その他の単量体(以下、単に「その他の単量体」ともいう。)を共重合させてもよい。
本発明では、スチレン、ブタジエン、特定官能基含有単量体、および必要に応じて架橋性単量体を同時に共重合することが好ましい。このようにして得られた共重合体(B)は、特に前記耐熱性樹脂および/またはその前駆体との相溶性に優れている。
このような共重合体(B)のうち、スチレン、ブタジエンおよび特定官能基含有単量体のみを共重合させた共重合体を用いると絶縁性に優れた硬化物が得られる。
上記特定官能基含有単量体としては、カルボキシル基含有単量体、水酸基含有単量体およびエポキシ基含有単量体が挙げられる。これらの単量体は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
カルボキシル基含有単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート等が挙げられる。
水酸基含有単量体として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基含有単量体として、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記共重合体(B)には、これらの特定官能基含有単量体から誘導された構成単位が、共重合体(B)を構成する全モノマー構成単位100mol%に対して、通常0.1mol%〜30mol%、好ましくは0.5mol%〜20mol%の割合で含まれることが望ましい。
また、架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を少なくとも2個有する化合物が挙げられる。
その他の単量体としては、たとえば、イソプレン、ジメチルブタジエン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン等のジエン系単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド、ケイ皮酸アミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類;α−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノールなどの芳香族ビニル化合物;ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、グリコールのジグリシジルエーテルなどと、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどとの反応によって得られるエポキシ(メタ)アクリレート類;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアナートとの反応によって得られるウレタン(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和化合物などが挙げられる。
(共重合体(B)の製造方法)
スチレン−ブタジエン系共重合体(B)の製造方法は、特に限定されず、たとえば、乳化重合法や懸濁重合法を用いることができる。
乳化重合により製造する場合、界面活性剤を用いて水中に単量体類を乳化し、重合開始剤として過酸化物触媒やレドックス系触媒などのラジカル重合開始剤を用い、さらに必要に応じてメルカプタン系化合物やハロゲン化炭化水素などの分子量調節剤を添加して、0〜50℃で重合を行う。次いで、所定の重合転化率に達した後、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンなどの反応停止剤を添加して重合反応を停止させる。その後、重合系内の未反応単量体を水蒸気蒸留などで除去することによって、共重合体エマルジョンを合成することができる。この共重合体エマルジョンを、所定の濃度の電解質水溶液中に加え、析出した共重合体を乾燥することにより、共重合体を単離することができる。
上記重合時に、架橋性単量体を添加して共重合することにより、架橋粒子を得ることができる。また、架橋性単量体を用いずに、架橋粒子を製造する方法として、過酸化物等の架橋剤をラテックスに添加してラテックス粒子を架橋させる方法、重合転化率を上げることによってラテックス粒子内をゲル化させる方法、カルボキシ基等の官能基を利用して金属塩等の架橋剤を添加して粒子内で架橋させる方法等を例示することができる。
共重合体の凝固方法としては、上記のような塩析による方法以外に、界面活性剤としてノニオン系界面活性剤を用いた場合には、ノニオン系の界面活性剤の曇点以上に加熱し、共重合体を凝固させることもできる。また、ノニオン系界面活性剤以外の界面活性剤を用いた場合には、重合後にノニオン系界面活性剤を添加し、曇点以上に加熱することにより、共重合体を凝固させることもできる。
共重合体(B)を乳化重合で製造する場合に用いる界面活性剤は、特に限定されないが、たとえば、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤;アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等のノニオン系界面活性剤および両性の界面活性剤;ならびに反応性乳化剤を用いることができる。これらの界面活性剤は1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、共重合体(B)を架橋粒子や非架橋粒子などの粒子状共重合体として使用する場合、架橋粒子の大きさは、通常30〜500nm、好ましくは40〜200nm、さらに好ましくは45〜100nmである。なお、本発明において粒子状共重合体の平均粒子径は、大塚電子製の光散乱流動分布測定装置(LPA−3000)を用い、粒子状共重合体の分散液を常法にしたがって希釈して測定した値である。
粒子状共重合体の粒径の制御方法は特に限定されず、たとえば、乳化重合により粒子状共重合体を合成する場合、使用する乳化剤の量により、乳化重合中のミセルの数を制御して粒径をコントロールすることができる。
本発明では、上記共重合体(B)は、前記耐熱性樹脂および/またはその前駆体(A)100重量部に対して、通常1〜150重量部、好ましくは5〜100重量部の量で配合される。配合量を上記下限以上にすると得られる硬化膜の強靱性が向上し、長期使用中に硬化膜にクラックが発生しにくくなる。また、配合量を上記上限以下にすると共重合体(B)と他成分との相溶性が向上するとともに、得られる硬化物の耐熱性が向上する。
(C)硬化剤および硬化触媒:
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて硬化剤および硬化触媒を用いることができる。本発明に用いられる硬化剤および硬化触媒は特に制限されないが、たとえば、脂肪族または芳香族のアミン類、ポリアミド樹脂、カルボン酸類、酸無水物類、フェノール樹脂類、ポリスルフィフィド樹脂、ポリビニルフェノール類、ジシアンジアミド、二塩基酸ジヒドラジド、イミダゾール類、有機ボロン、有機ホスフィン、グアニジン類およびこれらの塩などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、硬化反応を促進する目的で、硬化触媒とともに硬化促進剤を併用することもできる。ここで、「硬化剤」とは、自ら架橋構造を形成するものであり、「硬化触媒」とは、自らは架橋構造を形成しないが、架橋反応を促進するものであり、「硬化促進剤」とは、硬化触媒の触媒作用を増大させるものである。
前記(C)硬化剤および/または硬化触媒は、前記耐熱性樹脂および/またはその前駆体(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部の量で配合される。
その他添加剤:
本発明に係る樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤、密着助剤、レベリング剤、無機フィラー、高分子添加剤、反応性希釈剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、防カビ剤、調湿剤、難燃剤およびその他添加剤などを含有することもでき、これらの添加剤は本発明の効果を損なわない範囲の量を使用することができる。また、上記耐熱性樹脂および/またはその前駆体(A)以外の樹脂(以下、「その他の樹脂」ともいう)を添加してもよい。
(有機溶剤)
有機溶媒は、樹脂組成物の取り扱い性を向上させたり、粘度や保存安定性を調節するために添加される。このような有機溶媒は特に制限されないが、たとえば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ブチルカルビトール等のカルビトール類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル等の乳酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン溶剤;N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクン等のラクトン類を挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
(その他の樹脂)
本発明に係る樹脂組成物は、必要に応じて、上記耐熱性および/またはその前駆体以外のその他の樹脂を含有することもでき、これらの樹脂は本発明の効果を損なわない範囲の量を使用することができる。このような樹脂としては、フェノール性水酸基を有する樹脂、アクリルポリマー、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、スチレンブタジエンエラストマー、シリコンエラストマー、トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物やそのブロック化物、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、(変性)ポリカルボジイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、変性ポリフェニレンオキシド、オキセタン基を有する樹脂等の熱可塑性あるいは熱硬化性の樹脂等を挙げることができる。
<樹脂組成物およびその用途>
本発明に係る樹脂組成物の調製方法は特に限定されず、通常の樹脂組成物の調製方法を適用することができる。たとえば、ポリイミド樹脂(A−1)、ポリベンゾオキサゾール樹脂(A−2)及びポリベンゾシクロペンテン樹脂(A−3)から選択される少なくとも1種の樹脂を上記有機溶媒に溶解してワニスを調製し、このワニスに、共重合体(B)ならびに(C)硬化剤および/または硬化触媒を配合する方法が挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物は、各成分が良好な相溶性を示し、さらにその硬化物が低誘電率および低誘電損失を示し、かつ優れた絶縁性を示すとともに、高ガラス転移温度、耐熱衝撃性を有する。
従って、本発明に係る樹脂組成物は、特に、多層回路基板の層間絶縁膜あるいは平坦化膜、各種の電気機器や電子部品等の保護膜あるいは電気絶縁膜、各種電子材料用の接着剤、コンデンサーフィルムなどに極めて好適に用いることができる。また、半導体封止材料、アンダーフィル用材料あるいは液晶封止用材料などとしても好適に使用することができる。
また、液状の前記樹脂組成物をガラスクロスなどに含浸させたのち乾燥したプリプレグ、あるいは無溶媒の前記樹脂組成物をガラスクロスなどに含浸させたプリプレグを、銅張り積層板などの積層材などとして用いることもできる。
さらに、本発明に係る樹脂組成物は、たとえば、粉末、ペレット等の形態で、成形材料として用いることもできる。
本発明に係る樹脂組成物を予め表面処理した適当な支持体に塗布して薄膜を成形し、この薄膜を支持体とともにラミネーターを用いて基材に転写した後、硬化することにより硬化物層と支持体層を有する基板を得ることができる。また、支持体として表面離型処理したフィルムを用いると、基材に転写後、支持体のみを剥離することにより、樹脂層を形成することができる。得られたフィルムは、電気機器や電子部品等の低応力接着フィルムなどとして用いることができる。
さらに、前記支持体から剥離された薄膜を硬化させるか、または前記支持体から剥離する前に薄膜を加熱、硬化させたのち、得られた硬化薄膜を基体から剥離することによって、硬化フィルムを得ることもできる。
前記支持体は特に限定されるものではなく、たとえば、鉄、ニッケル、ステンレス、チタン、アルミニウム、銅、各種合金等の金属;窒化ケイ素、炭化ケイ素、サイアロン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、アルミナ、シリカや、これらの混合物等のセラミック;Si、Ge、SiC 、SiGe、GaAs
等の半導体;ガラス、陶磁器等の窯業材料;ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、全芳香族ポリエステル等の耐熱性樹脂等を挙げることができる。前記支持体には、所望により予め離型処理を施してもよく、また、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等による薬品処理や、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着など適宜の前処理を施すこともできる。
前記樹脂組成物は公知の塗布方法により前記支持体に塗布することができる。塗布方法としては、たとえば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、またはインクジェット法などの塗布方法を用いることができる。
また、塗布の厚さは、塗布手段、組成物溶液の固形分濃度や粘度を調節することにより、適宜制御することができる。
樹脂組成物の硬化条件は特に制限されるものではないが、硬化物の用途や、硬化剤および/または硬化触媒の種類に応じて、たとえば、50〜200℃の温度で10分〜48時間程度加熱することにより組成物を硬化させることができる。
また、硬化を十分に進行させたり、気泡の発生を防止するために、二段階で加熱してもよい。たとえば、第一段階では、50〜100℃の温度で10分〜10時間程度加熱し、さらに第二段階で、80〜200℃の温度で30分〜12時間程度加熱して硬化させることもできる。
上記のような硬化条件であれば、加熱設備として一般的なオーブンや、赤外線炉などを使用することができる。
このようにして得られた硬化物は、K7113(プラスチックの引張試験方法)に準じて測定された引張弾性率(以下、単に「弾性率」ともいう)が通常3.0GPa以下、好ましくは2.5GPa以下である。弾性率が上記範囲にある硬化物は、温度変化が大きい環境下においてもクラックが発生しにくく、耐熱衝撃性に優れている。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の合成例、実施例および比較例における「部」は特に断らない限り「重量部」を意味する。実施例および比較例で得られた硬化物は下記の方法により評価した。
1.電気特性
鏡面仕上げの板状SUSに樹脂組成物を塗布し、対流式オーブンで100℃×30分間加熱した。さらに300℃×1時間加熱して、板状SUS上に10ミクロン厚の硬化フィルムを形成した。この硬化フィルム上にアルミ電極を形成し、誘電率/誘電損失測定機(ヒューレットパッカード社製:LCRメーターHP4248)により、誘電率および誘電損失を周波数1MHzの条件で測定した。
2.ガラス転移温度
PETフィルムに樹脂組成物を塗布し、対流式オーブンで100℃×30分間加熱した。次に150℃×4時間加熱後、PETフィルムから剥がし、さらに300℃×1時間加熱することにより、50ミクロン厚の硬化フィルムを作製した。この硬化フィルムを3mm幅のダンベルで打ち抜き、試験片を作製した。セイコーインスツルメンツ(株)製の熱機械分析装置(TMA/SS6100)を用いて、TMA粘弾性法により、ガラス転移温度(Tg)を求めた。
3.弾性率
上記2.ガラス転移温度の測定方法と同様にして、50ミクロン厚の硬化フィルムを作製した後、この硬化フィルムを5mm幅のダンベルで打ち抜き、試験片を作製した。この試験片について、JIS K7113(プラスチックの引張試験方法)に準じて測定を実施し、引張弾性率を弾性率として記載した。なお、JIS K7113において、引張弾性率は、引張比例限度内(応力−ひずみ曲線の初期直線部)における引張応力とこれに対応するひずみの比として定義されており、これに準じて算出した。
4.無電解めっき〜ピール強度の測定
厚さ1mmのBT基板に樹脂溶液を塗布、100℃×30分間加熱した後、150℃×4時間加熱後、さらに300℃×1時間加熱することにより、基板上に30ミクロン厚の硬化膜を作製した。この後の各工程については、一般的な無電界めっき工程に使用している薬液類を使用することができる。実験の詳細については以下の通りである。
(1)粗面化処理工程
プリント基板の製造工程において、絶縁層の表面に形成される導体配線の密着性を向上させるため、まず最初に絶縁樹脂表面粗面化処理が実施されている。粗面化処理液としては過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムの水溶液を用いた。処理方法としては、50℃〜80℃に加温した処理溶液に5〜30分間、絶縁層付き基板を浸漬させた。浸漬後の基板は純水でよく水洗した後、シュウ酸等の弱酸性水溶液で十分に表面のアルカリを洗い流し、その後再び水洗することで,粗化基板を作製した。
(2)触媒化工程
粗化基板の表面に、次工程の無電解銅めっきの析出核となるめっき触媒を担持させる工程である。(1)で作製した粗化基板を室温(15〜25℃)でパラジウムコロイド溶液に、5〜10分浸漬する。水洗後、表面の不要物をアクチベータ水溶液でよく洗い流すことにより触媒化基板を作製した。
(3)無電解めっき工程
(2)で作製した触媒化基板を、無電解めっき溶液に浸漬したところ、樹脂表面に厚み0.1ミクロン程度の銅薄膜が形成された。処理条件としては、室温(15〜25℃)、処理時間5〜15分、空気撹拌法で実施した。
(4)電解銅めっき工程
無電解銅めっき膜を有する基板を陰極、含りん銅板を陽極とし、硫酸銅めっき液を用いて、厚み25ミクロンになるまで、めっきを実施した。処理条件としては、室温(15〜25℃)、処理時間10〜40分、電流密度としては2.0A/dm(基板100cmあたり2Aの電流値)に設定した。水洗後、余分な水分を除去し,熱風オーブン内で150℃、30分加熱した(アニール工程)。
(5)ピール試験
樹脂面と銅薄膜の密着性確認のため、90度ピール試験を実施した。(4)で作製した基板の銅側を1cm幅にカッターで切れ目を入れ、端部から引き剥がした時のピール強度を測定した。実際の試験についてはJIS C6481(プリント配線板用銅張積層板試験方法)に準拠した密着性試験器(山本鍍金試験器製)を用いて測定を実施した。
共重合体(B)については、以下の方法で合成を実施した。
[共重合体粒子(B−1)の合成]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部を溶解した水溶液、原料モノマーとしてブタジエン70部、スチレン18部、2−ヒドロキシブチルメタクリレート5部、メタクリル酸5部およびレドックス触媒をオートクレーブに仕込み、10℃に温度調整した後、重合開始剤としてクメンハイドロオキサイド0.01部を加え、重合転化率85%まで乳化重合を実施した。次いで、反応停止剤N,N−ジエチルヒドロキシルアミンを添加し、共重合エマルジョンを合成した。その後、この溶液中に水蒸気を吹き込み未反応の原料モノマーを除去した後、この溶液を5%塩化カルシウム水溶液中に添加し、析出した共重合体を80℃に設定した送風乾燥機で乾燥することによって、共重合体粒子(B−1)を単離した。共重合体(B−1)について、DSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ、−55℃であった。
[共重合体粒子(B−2)の合成]
原料モノマーとして、ブタジエン60部、スチレン20部、2−ヒドロキシブチルメタクリレート18部およびジビニルベンゼン2部を用いた以外は合成例1と同様にして、共重合体粒子(B−2)を合成、単離した。共重合体(B−2)について、DSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ、−45℃であった。
[共重合体粒子B−3]
原料モノマーとして、ブタジエン75部、スチレン20部、2−ヒドロキシブチルメタクリレート5部およびジビニルベンゼン2部を用いた以外は合成例1と同様にして、共重合体(B−3)を合成、単離した。共重合体(B−3)について、DSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ、−52℃であった。
[共重合体粒子(B−4)の合成]
原料モノマーとして、ブタジエン60部、アクリロニトリル20部、2−ヒドロキシブチルメタクリレート18部およびジビニルベンゼン2部を用いた以外は合成例1と同様にして、共重合体粒子(B−3)を合成、単離した。共重合体(B−3)について、DSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ、−42℃であった。
[配合物1の調製]
(ポリイミド前駆体と共重合体粒子の配合物の調製)
ポリピロメリット酸二無水物−4,4’−オキシジアニリン共重合体(アルドリッチ試薬)の15%NMP溶液中のポリマー成分100部に対して、共重合体粒子(B−1)を50重量部(ポリマー換算)添加して、均一溶液とした(配合物1)。
[配合物2の調製]
(ポリベンゾオキサゾール前駆体と共重合体粒子の配合物の調製)
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン46重量部(0.2モル)を十分に乾燥したジメチルアセトアミド200重量部に溶解した後、ピリジン40重量部(0.5モル)を加えた。続いて乾燥窒素気流下、−15℃まで溶液を冷却後、イソフタル酸ジクロリド45重量部をシクロヘキサン100重量部に溶解した溶液を、30分かけて滴下した。滴下終了後、液温を20℃まで戻して、さらに5時間乾燥窒素気流下で撹拌を続けた。反応終了後、反応溶液を蒸留水10リットルに滴下し、析出物をろ別後、減圧乾燥することにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。この前駆体をジメチルアセトアミドに再溶解することにより20%ジメチルアセトアミド溶液を調製し、この溶液中のポリマー成分100重量部に対して、共重合体粒子(B−2)を70重量部(ポリマー換算)を添加して、均一溶液とした(配合物2)。
[配合物3の調製]
(ポリベンゾシクロブテン樹脂と共重合体粒子の配合物の調製)
ポリベンゾシクロブテン樹脂溶液CYCLOTENE XU35134(ダウ・ケミカル製)のポリマー成分100部に対して、共重合体粒子(B−2)を30重量部添加して、均一溶液とした(配合物3)。
[配合物4の調製]
(ポリフェニレンエーテル樹脂と粒子状ゴム配合物の調製)
ポリフェニレンエーテル樹脂として、ポリ2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル樹脂100部をクロロホルムに溶解した後、粒子状ゴム(B−2)を50重量部添加して、均一溶液とした(配合物4)。
[配合物5の調製]
(シアネートエステル樹脂と粒子状ゴム配合物の調製)
シアネートエステル樹脂として、2,2’−ジ(4−シアナトフェニル)プロパン100部を1−メチル−2−ピロリドンに溶解した後、粒子状ゴム(B−3)を30重量部添加して、均一溶液とした(配合物5)。
表1に実施例として配合物1〜5をそれぞれ実施例1〜5とし、また、比較例として配合物1〜5で共重合体(B)を添加しなかったものをそれぞれ比較例1〜5とし、また、配合物1で共重合体(B−1)の代わりに共重合体(B−4)を配合したものを比較例6とし、これらの配合物を用いて作製した硬化フィルムの特性を示した。
Figure 2007099803
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物を用いて、たとえば、多層回路基板の層間絶縁膜などの硬化物を形成すると、信頼性の高い回路基板を作製することができる。

Claims (5)

  1. (A)耐熱性樹脂および/またはその前駆体、(B)カルボキシル基、水酸基およびエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基を有するスチレン−ブタジエン系共重合体、を含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記スチレン−ブタジエン系共重合体(B)が1つ以上のガラス転移温度を有する共重合体であって、その少なくとも1つのガラス転移温度が0℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記スチレン−ブタジエン系共重合体(B)が架橋粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記架橋粒子の粒子径が30〜500nmの範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された硬化物。
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