JP2022063605A - 積層体、多層プリント配線板、積層体の製造方法及び積層体作製キット - Google Patents

積層体、多層プリント配線板、積層体の製造方法及び積層体作製キット Download PDF

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悠子 川原
Yuko Kawahara
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Abstract

【課題】1)高温環境下での金属層のピール強度を高めることができ、2)ブリスターの発生を抑えることができ、3)樹脂材料の硬化物の誘電正接を小さくすることができ、4)伝送損失を小さくすることができる積層体を提供する。【解決手段】本発明に係る積層体は、金属層と、前記金属層の表面上に配置された有機皮膜と、前記有機皮膜の前記金属層とは反対側の表面上に配置された樹脂材料の硬化物層とを備え、前記樹脂材料が、ビスマレイミド・トリアジン樹脂とは異なりかつマレイミド骨格を有する化合物Xを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂材料の硬化物層と金属層とを備える積層体に関する。また、本発明は、上記積層体を用いた多層プリント配線板に関する。また、本発明は、上記積層体の製造方法及び上記積層体の作製キットに関する。
従来、半導体装置、積層板及びプリント配線板等の電子部品を得るために、様々な樹脂材料が用いられている。例えば、多層プリント配線板では、内部の層間を絶縁するための絶縁層を形成したり、表層部分に位置する絶縁層を形成したりするために、樹脂材料が用いられている。上記絶縁層の表面には、一般に金属である配線が積層される。また、上記絶縁層を形成するために、上記樹脂材料がフィルム化された樹脂フィルムが用いられることがある。上記樹脂材料及び上記樹脂フィルムは、ビルドアップフィルムを含む多層プリント配線板用の絶縁材料等として用いられている。
下記の特許文献1には、(A)熱硬化性官能基FAを有する樹脂と、(B)ラジカル重合性官能基FBを有する樹脂と、(C)熱硬化性官能基FAと反応する官能基FA’及びラジカル重合性官能基FBと反応する官能基FB’を有する樹脂とを含む樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物では、(A)成分の熱硬化性官能基FAの数を1とした場合の(C)成分の官能基FA’の数naと、(B)成分のラジカル重合性官能基FBの数を1とした場合の(C)成分の官能基FB’の数nbとが、0.01≦na≦200、及び、0.01≦nb≦400を満たす。特許文献1には、この樹脂組成物の硬化物を、プリント配線板等の絶縁層として用いることができることが記載されている。
下記の特許文献2には、金属表面に、樹脂との接着性向上用被膜を形成するための被膜形成用組成物であって、一分子中にアミノ基及び芳香環を有する芳香族化合物;ならびにチオ化合物又はその塩(pKaが-1.9以下である硫黄のオキソ酸及びその塩を除く)を含む被膜形成用組成物が開示されている。また、特許文献2には、金属部材の表面に上記被膜形成用組成物により被膜を形成した後、該被膜上に樹脂部材を接合する金属-樹脂複合体の製造方法が記載されており、この金属-樹脂複合体をプリント配線板等に使用可能なことが記載されている。
特開2019-156909号公報 特開2018-188715号公報
プリント配線板等の電子部品の製造方法では、金属層(例えば配線回路層)の表面上に樹脂フィルム等の樹脂材料を配置し、該樹脂材料を加熱して硬化することにより、絶縁層が形成される。また、リフロー工程時には、絶縁層が高温(例えば260℃以上)に晒される。さらに、多層プリント配線板の製造方法では、樹脂材料は繰り返し加熱される。
しかしながら、従来の樹脂材料と金属層との組み合わせでは、リフロー工程時において、絶縁層(樹脂材料の硬化物層)が軟化し、絶縁層と金属層とのアンカー効果が小さくなったり、絶縁層と金属層との非共有結合性の相互作用が低下したりして、絶縁層と金属層との密着性が低くなりやすい。
そこで、アンカー効果を高めることによって絶縁層と金属層との密着性を高めることを意図して、金属層の表面粗度を単に大きくした場合には、導体抵抗が大きくなり、伝送損失が大きくなることがある。また、絶縁層と金属層との相互作用を大きくすることによって絶縁層と金属層との密着性を高めることを意図して、極性の大きな樹脂を単に用いた場合には、伝送損失がより一層大きくなることがある。また、絶縁層の誘電正接が大きくなる場合にも、伝送損失がより一層大きくなることがある。
また、従来の樹脂材料と金属層との組み合わせでは、ブリスターが発生することがある。
一方、特許文献2に記載のような表面に有機皮膜が配置された金属層を用いると、絶縁層と金属層との密着性をある程度高めることができる。しかしながら、有機皮膜が配置された金属層を用いたとしても、樹脂材料の組成によっては、誘電正接が大きくなったり、伝送損失が大きくなったりすることがある。
本発明の目的は、1)高温環境下での金属層のピール強度を高めることができ、2)ブリスターの発生を抑えることができ、3)樹脂材料の硬化物の誘電正接を小さくすることができ、4)伝送損失を小さくすることができる積層体を提供することである。また、本発明は、上記積層体を用いた多層プリント配線板を提供することも目的とする。さらに、本発明は、上記積層体の製造方法及び上記積層体の作製キットを提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、金属層と、前記金属層の表面上に配置された有機皮膜と、前記有機皮膜の前記金属層とは反対側の表面上に配置された樹脂材料の硬化物層とを備え、前記樹脂材料が、ビスマレイミド・トリアジン樹脂とは異なりかつマレイミド骨格を有する化合物Xを含む、積層体が提供される。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記化合物Xが、マレイミド骨格を構成する窒素原子に直接結合した脂肪族鎖を有する。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記化合物Xが、イミド結合を有する構造単位を、繰り返し構造単位として有する。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記化合物Xの分子量が、3000を超える。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記樹脂材料が、エポキシ化合物を含む。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記樹脂材料が、硬化剤を含み、前記硬化剤が、活性エステル化合物を含む。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記樹脂材料が、エポキシ化合物と、ビニル化合物と、硬化剤とを含み、前記硬化剤が、活性エステル化合物を含む。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記樹脂材料が、充填材を含む。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記充填材が、絶縁性充填材である。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記充填材が、無機充填材である。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記有機皮膜の材料が、前記化合物Xと結合可能な官能基を有する化合物Yを含み、前記樹脂材料の硬化物層と前記有機皮膜との界面において、前記化合物Xと、前記化合物Yとが結合している。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記化合物Yが、アミノ基を有する。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記化合物Yが、シラノール基又はアルコキシシリル基を有する。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記化合物Yが、シラノール基を有し、前記有機皮膜において、前記シラノール基が部分的に脱水縮合し、シロキサン基を形成している。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記化合物Yが、トリアジン骨格を有する。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記有機皮膜の厚みが、1nm以上1μm以下である。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記金属層が、銅層である。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記金属層の前記有機皮膜側の表面の算術平均粗さが、0.15μm以下である。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記金属層の前記有機皮膜側の表面の算術平均粗さが、0.01μm以下である。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記樹脂材料の硬化物が、絶縁層として好適に用いられる。
本発明の広い局面によれば、上述した積層体を備える、多層プリント配線板が提供される。
本発明に係る多層プリント配線板のある特定の局面では、前記多層プリント配線板は、高速通信用多層プリント配線板である。
本発明の広い局面によれば、上述した積層体の製造方法であって、表面に有機皮膜が配置された金属層を得る工程と、前記有機皮膜の前記金属層とは反対側の表面上に樹脂材料を配置する配置工程と、前記樹脂材料を100℃以上200℃以下の温度で加熱して、樹脂材料の硬化物層を得る加熱工程とを備え、前記樹脂材料が、ビスマレイミド・トリアジン樹脂とは異なりかつマレイミド骨格を有する化合物Xを含む、積層体の製造方法が提供される。
本発明に係る積層体の製造方法のある特定の局面では、前記有機皮膜の材料が、前記化合物Xと結合可能な官能基を有する化合物Yを含み、前記加熱工程において、前記化合物Xと、前記化合物Yとが結合する。
本発明の広い局面によれば、上述した積層体を得るための積層体作製キットであって、表面に有機皮膜が配置された金属層と、樹脂材料とを備える、積層体作製キットが提供される。
本発明に係る積層体は、金属層と、上記金属層の表面上に配置された有機皮膜と、上記有機皮膜の上記金属層とは反対側の表面上に配置された樹脂材料の硬化物層とを備え、上記樹脂材料が、ビスマレイミド・トリアジン樹脂とは異なりかつマレイミド骨格を有する化合物Xを含む。本発明に係る積層体では、上記の構成が備えられているので、1)高温環境下での金属層のピール強度を高めることができ、2)ブリスターの発生を抑えることができ、3)樹脂材料の硬化物の誘電正接を小さくすることができ、4)伝送損失を小さくすることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層体の製造方法を説明するための断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る積層体を用いた多層プリント配線板を模式的に示す断面図である。 図3は、実施例及び比較例で作製された評価基板の信号層近傍を拡大して示す模式的部分断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る積層体は、金属層と、上記金属層の表面上に配置された有機皮膜と、上記有機皮膜の上記金属層とは反対側の表面上に配置された樹脂材料の硬化物層とを備え、上記樹脂材料が、ビスマレイミド・トリアジン樹脂とは異なりかつマレイミド骨格を有する化合物Xを含む。
本発明に係る積層体では、上記の構成が備えられているので、1)高温環境下での金属層のピール強度を高めることができ、2)ブリスターの発生を抑えることができ、3)樹脂材料の硬化物の誘電正接を小さくすることができ、4)伝送損失を小さくすることができる。本発明に係る積層体では、上記の1)-4)の効果を全て発揮することができる。
(樹脂材料)
上記積層体は、樹脂材料の硬化物層を備える。上記樹脂材料は、熱硬化性樹脂材料であることが好ましい。上記樹脂材料は、樹脂フィルムであることが好ましく、熱硬化性樹脂フィルムであることが好ましい。上記樹脂材料の硬化物層は、樹脂材料の熱硬化物層であることが好ましく、樹脂フィルムの熱硬化物層であることがより好ましい。
<ビスマレイミド・トリアジン樹脂とは異なりかつマレイミド骨格を有する化合物X> 上記樹脂材料は、ビスマレイミド・トリアジン樹脂とは異なりかつマレイミド骨格を有する化合物X(以下、「化合物X」と略記することがある)を含む。上記化合物Xは、ビスマレイミド・トリアジン樹脂とは異なる。上記化合物Xは、マレイミド骨格を有する。上記ビスマレイミド・トリアジン樹脂は、BT樹脂と呼ばれている。上記化合物Xは、硬化性化合物であることが好ましく、熱硬化性化合物であることが好ましく、200℃以下で硬化可能な熱硬化性化合物であることがより好ましい。なお、ビスマレイミド・トリアジン樹脂の硬化温度は、通常、200℃を超える。上記樹脂材料の硬化物は、上記化合物Xに由来する化合物を含むことが好ましい。上記樹脂材料の硬化物は、上記化合物Xと、上記化合物Xに由来する化合物とを含んでいてもよい。上記化合物Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化合物Xは、マレイミド骨格を、1個のみ有していてもよく、2個有していてもよく、2個以上有していてもよく、3個有していてもよく、3個以上有していてもよい。
上記化合物Xは、末端にマレイミド骨格を有することが好ましい。
上記化合物Xは、ビスマレイミド化合物であることが好ましい。この場合には、樹脂材料の硬化物のガラス転移温度を高めることができ、かつ該硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
上記化合物Xは、脂肪族マレイミド化合物であってもよく、芳香族マレイミド化合物であってもよい。また、上記化合物Xは、脂肪族マレイミド化合物と、芳香族マレイミド化合物との混合物であってもよい。
上記化合物Xは、マレイミド骨格を構成する窒素原子に直接結合した脂肪族鎖を有するマレイミド化合物であることが好ましく、マレイミド骨格を構成する窒素原子に直接結合した脂肪族鎖を有する脂肪族マレイミド化合物であることがより好ましい。この場合には、樹脂材料の硬化物の誘電正接をより一層小さくすることができ、また、伝送損失をより一層小さくすることができる。
上記化合物Xは、芳香族環を有していてもよい。この場合に、上記化合物Xは、マレイミド骨格を構成する窒素原子に直接結合した芳香族環を有することが好ましい。この場合には、樹脂材料の硬化物のガラス転移温度を高めることができ、該硬化物の熱寸法安定性を高めることができる。
上記化合物Xは、シクロヘキシル環を有するアミン化合物に由来する骨格を有することが好ましい。上記化合物Xは、上記シクロヘキシル環を有するアミン化合物に由来する骨格として、ダイマージアミンに由来する第2の骨格を有していてもよく、ダイマージアミンとは異なりかつシクロヘキシル環を有するアミン化合物に由来する第3の骨格を有していてもよく、上記第2の骨格と上記第3の骨格とを有していてもよい。
第2の骨格:
上記第2の骨格は、ダイマージアミンに由来する骨格である。上記化合物Xが、上記第2の骨格を有する場合には、樹脂材料の硬化物の誘電正接をより一層低くすることができ、また、樹脂材料(樹脂フィルム)の柔軟性及び伸びをより一層高めることができる。さらに、高周波での誘電正接及び高温での誘電正接を低くすることができる。
上記第2の骨格は、ダイマージアミンと酸二無水物との反応物に由来する骨格であることが好ましい。上記ダイマージアミンと酸二無水物との反応物に由来する骨格は、上記第2の骨格を有する。
上記ダイマージアミンとしては、例えば、バーサミン551(商品名、BASFジャパン社製、3,4-ビス(1-アミノヘプチル)-6-ヘキシル-5-(1-オクテニル)シクロヘキセン)、バーサミン552(商品名、コグニクスジャパン社製、バーサミン551の水添物)、並びにPriamine 1075、及びPriamine 1074(商品名、いずれもクローダジャパン社製)等が挙げられる。
上記酸二無水物としては、テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
上記テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、及びビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物等が挙げられる。
上記化合物Xが有するジアミン化合物に由来する構造単位100モル%中、上記第2の骨格の平均割合は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上、好ましくは90モル%以下、より好ましくは60モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下である。上記第2の骨格の平均割合が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂材料の硬化物の誘電正接をより一層低くし、かつ該硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
第3の骨格:
上記第3の骨格は、ダイマージアミンとは異なりかつシクロヘキシル環を有するアミン化合物(以下、アミン化合物Aと記載することがある)に由来する骨格である。アミン化合物Aは、ダイマージアミンとは異なる。アミン化合物Aは、シクロヘキシル環を有する。上記第3の骨格は、アミン化合物Aに由来する骨格である。上記化合物Xが、上記第3の骨格を有する場合には、樹脂材料の硬化物の熱寸法安定性を高めることができる。
アミン化合物Aは、ジアミン化合物であることが好ましい。ジアミン化合物であるアミン化合物Aが有する2つのアミノ基の窒素原子間をつなぐ最短の原子数は、ダイマージアミンが有する2つのアミノ基の窒素原子間をつなぐ最短の原子数よりも少ないことが好ましい。
上記第3の骨格は、シクロヘキシル環を有するジアミン化合物に由来する骨格であることが好ましい。
上記第3の骨格は、アミン化合物Aと酸二無水物との反応物に由来する骨格であることが好ましい。上記アミン化合物Aと酸二無水物との反応物に由来する骨格は、上記第3の骨格を有する。
上記アミン化合物Aとしては、トリシクロデカンジアミン、ノルボルネンジアミン、及び4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。上記アミン化合物Aは、芳香族ジアミン化合物であってもよい。また、上記アミン化合物Aは、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパンのように、熱硬化性官能基(フェノール)を有するアミン化合物であってもよい。
上記酸二無水物としては、上述した酸二無水物等が挙げられる。上記酸二無水物が、エステル結合を有する酸二無水物である場合又は非芳香族性の二重結合を有する酸二無水物である場合には、デスミア性を高めることができる。
また、上記第3の骨格と上記第2の骨格とは連なっていてもよい。すなわち、上記第3の骨格におけるシクロヘキシル環を有するアミン化合物のアミン構造を構成する窒素原子が、上記第2の骨格におけるダイマージアミンのアミン構造を構成する窒素原子であってもよい。
上記化合物Xが有するジアミン化合物に由来する構造単位100モル%中、上記第3の骨格の平均割合は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。上記第3の骨格の平均割合が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記化合物Xは、イミド結合を有する構造単位を有することが好ましい。上記化合物Xは、イミド結合を有する構造単位を、繰り返し構造単位として有することがより好ましい。この場合には、樹脂材料の硬化物の誘電正接をより一層低くし、かつ該硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
上記化合物Xの分子量は、好ましくは3000を超え、より好ましくは4000以上、さらに好ましくは4500以上、好ましくは20000以下、より好ましくは10000以下、さらに好ましくは6000以下である。上記化合物Xの分子量が上記の範囲内であると、樹脂材料の硬化物の熱寸法安定性を高めることができ、また、高温環境下での金属層のピール強度をより一層高めることができる。
上記化合物Xの分子量は、上記化合物Xが重合体ではない場合、及び上記化合物Xの構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記化合物Xの分子量は、上記化合物Xが重合体である場合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記脂肪族マレイミド化合物である化合物Xの市販品としては、例えば、Designer Molecules Inc.社製「BMI-3000」及び「BMI-1700」等が挙げられる。
上記芳香族マレイミド化合物である化合物Xの市販品としては、例えば、大和化成工業社製「BMI-4000」及び「BMI-5100」、並びに日本化薬社製「MIR-3000」が挙げられる。
上記樹脂材料中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記化合物Xの含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下である。上記化合物Xの含有量が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
<熱硬化性化合物>
上記樹脂材料は、上記化合物Xとは異なる化合物として、熱硬化性化合物を含むことが好ましい。上記樹脂材料の硬化物は、上記熱硬化性化合物に由来する化合物を含むことが好ましい。上記熱硬化性化合物としては、エポキシ化合物、及びビニル化合物等が挙げられる。
エポキシ化合物:
上記樹脂材料は、エポキシ化合物を含むことが好ましい。上記エポキシ化合物として、従来公知のエポキシ化合物を使用可能である。上記エポキシ化合物は、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物である。上記エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ化合物等が挙げられる。
上記エポキシ化合物は、グリシジルエーテル化合物であってもよい。上記グリシジルエーテル化合物とは、グリシジルエーテル基を少なくとも1個有する化合物である。
上記エポキシ化合物は、芳香族骨格を有するエポキシ化合物を含むことが好ましく、ナフタレン骨格又はフェニル骨格を有するエポキシ化合物を含むことが好ましく、芳香族骨格を有するエポキシ化合物であることがより好ましい。この場合には、樹脂材料の硬化物の誘電正接をより一層低くし、かつ該硬化物の熱寸法安定性及び難燃性を高めることができる。
上記エポキシ化合物は、25℃で液状のエポキシ化合物と、25℃で固形のエポキシ化合物とを含むことが好ましい。この場合には、樹脂材料の硬化物の誘電正接をより一層低くし、かつ該硬化物の線膨張係数(CTE)を良好にすることができる。
上記25℃で液状のエポキシ化合物の25℃での粘度は、1000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以下であることがより好ましい。
上記エポキシ化合物の粘度は、例えば動的粘弾性測定装置(レオロジカ・インスツルメンツ社製「VAR-100」)等を用いて測定することができる。
上記エポキシ化合物の分子量は1000以下であることがより好ましい。この場合には、樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、無機充填材の含有量が50重量%以上であっても、絶縁層の形成時に流動性が高い樹脂材料が得られる。このため、樹脂材料の未硬化物又はBステージ化物を回路基板上にラミネートした場合に、無機充填材を均一に存在させることができる。
上記エポキシ化合物の分子量は、上記エポキシ化合物が重合体ではない場合、及び上記エポキシ化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記エポキシ化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
上記樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、上記エポキシ化合物の含有量は、好ましくは4重量%以上、より好ましくは7重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。上記エポキシ化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂材料の硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
上記樹脂材料中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記エポキシ化合物の含有量は、好ましくは15重量%以上、より好ましくは25重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。上記エポキシ化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
上記エポキシ化合物の含有量の、上記化合物Xと後述する硬化剤との合計の含有量に対する重量比(エポキシ化合物の含有量/化合物Xと後述する硬化剤との合計の含有量)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上、好ましくは1.2以下、より好ましくは1以下である。上記重量比(エポキシ化合物の含有量/化合物Xと後述する硬化剤との合計の含有量)が上記下限以上及び上記上限以下であると、誘電正接をより一層低くし、熱寸法安定性をより一層高めることができる。
ビニル化合物:
上記樹脂材料は、ビニル化合物を含むことが好ましい。上記ビニル化合物として、従来公知のビニル化合物を使用可能である。上記ビニル化合物は、少なくとも1個のビニル基を有する有機化合物である。上記ビニル化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル化合物としては、ジビニル化合物等が挙げられる。上記ジビニル化合物としては、ジビニルベンジルエーテル化合物等が挙げられる。上記ビニル化合物は、芳香族環を有さないジビニル化合物であってもよい。
上記樹脂材料中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記ビニル化合物の含有量は、好ましくは2.5重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、好ましくは70重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。上記ビニル化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
<充填材>
上記樹脂材料は、充填材を含むことが好ましい。上記樹脂材料の硬化物は、充填材を含むことが好ましい。
上記充填材としては、有機充填材及び無機充填材等が挙げられる。上記充填材は、絶縁性充填材であることが好ましい。上記充填材は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記有機充填材としては、ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサゾール樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等からなる粒子状物が挙げられる。上記フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。上記有機充填材としてフッ素樹脂粒子を用いることにより、樹脂材料の硬化物の比誘電率及び誘電正接をより一層低くすることができる。
上記無機充填材としては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及びダイヤモンド等が挙げられる。
樹脂材料の硬化物の誘電正接をより一層小さくする観点及び樹脂材料の硬化物の熱による寸法変化をより一層小さくする観点からは、上記充填材は、無機充填材であることが好ましい。
上記無機充填材は、アルミナ及び窒化ホウ素等の熱伝導率が10W/mK以上である無機充填材であることが好ましい。この場合には、積層体の放熱性を高めることができる。
熱寸法安定性を高める観点からは、上記無機充填材は、異方性を有する無機充填材であることが好ましい。
上記無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましく、シリカであることがより好ましく、溶融シリカであることがさらに好ましい。この場合には、樹脂材料の硬化物の表面の表面粗さを小さくし、硬化物と金属層との接着強度をより一層高くし、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成し、かつ硬化物により良好な絶縁信頼性を付与することができる。特に、無機充填材としてシリカを用いることにより、硬化物の熱膨張率がより一層低くなり、また、硬化物の誘電正接がより一層低くなる。また、硬化物の誘電率を良好にすることができる。シリカの形状は球状であることが好ましい。
熱伝導率を高め、かつ絶縁性を高める観点からは、上記無機充填材はアルミナであることが好ましい。
上記無機充填材は、球状であることが好ましく、球状シリカであることがより好ましい。この場合には、硬化物の表面の表面粗さが効果的に小さくなり、更に硬化物と金属層との接着強度が効果的に高くなる。上記無機充填材が球状である場合には、上記無機充填材のアスペクト比は好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下である。
上記無機充填材は、表面処理されていることが好ましく、カップリング剤による表面処理物であることがより好ましく、シランカップリング剤による表面処理物であることが更に好ましい。上記無機充填材が表面処理されていることにより、粗化硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。また、上記無機充填材が表面処理されていることにより、硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができ、かつより一層良好な配線間絶縁信頼性及び層間絶縁信頼性を硬化物に付与することができる。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、メタクリルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン、ビニルシラン、及びエポキシシラン等が挙げられる。
上記充填材である有機充填材の平均粒径は1μm以下であることが好ましい。上記有機充填材の平均粒径が上記上限以下であると、エッチング後の表面粗度を小さくし、かつメッキピール強度を高めることができ、また、絶縁層と金属層との密着性をより一層高めることができる。上記有機充填材の平均粒径は、50nm以上であってもよい。
上記充填材である無機充填材の平均粒径は、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは500nm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。上記無機充填材の平均粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、エッチング後の表面粗度を小さくし、かつメッキピール強度を高めることができ、また、絶縁層と金属層との密着性をより一層高めることができる。
上記充填材の平均粒径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定可能である。
上記樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、上記充填材の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下、さらに好ましくは80重量%以下、特に好ましくは75重量%以下である。上記充填材の含有量が上記下限以上であると、誘電正接が効果的に低くなる。上記充填材の含有量が上記上限以下であると、熱寸法安定性を高め、硬化物の反りを効果的に抑えることができる。上記充填材の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができる。
上記樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、上記有機充填材の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、好ましくは75重量%以下、より好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。上記有機充填材の含有量が上記下限以上であると、誘電正接が効果的に低くなる。上記有機充填材の含有量が上記上限以下であると、熱寸法安定性を高め、硬化物の反りを効果的に抑えることができる。上記有機充填材の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができる。
上記樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、上記無機充填材の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは65重量%以上、特に好ましくは68重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下、さらに好ましくは80重量%以下、特に好ましくは75重量%以下である。上記無機充填材の含有量が上記下限以上であると、誘電正接が効果的に低くなる。上記無機充填材の含有量が上記上限以下であると、熱寸法安定性を高め、硬化物の反りを効果的に抑えることができる。上記無機充填材の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができる。さらに、この無機充填材の含有量であれば、硬化物の熱膨張率を低くすることと同時に、スミア除去性を良好にすることも可能である。
<硬化剤>
上記樹脂材料は、硬化剤を含むことが好ましい。上記硬化剤は特に限定されない。上記硬化剤として、従来公知の硬化剤を使用可能である。上記硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化剤としては、フェノール化合物(フェノール硬化剤)、活性エステル化合物、シアネートエステル化合物(シアネートエステル硬化剤)、ベンゾオキサジン化合物(ベンゾオキサジン硬化剤)、カルボジイミド化合物(カルボジイミド硬化剤)、アミン化合物(アミン硬化剤)、チオール化合物(チオール硬化剤)、ホスフィン化合物、ジシアンジアミド、及び酸無水物等が挙げられる。上記硬化剤は、上記エポキシ化合物のエポキシ基と反応可能な官能基を有することが好ましい。
上記硬化剤は、フェノール化合物、活性エステル化合物、シアネートエステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、カルボジイミド化合物及び酸無水物の内の少なくとも1種の成分を含むことが好ましい。この場合には、樹脂材料の硬化物の誘電正接を一層低くすることができ、また、該硬化物の熱寸法安定性を一層高めることができる。
上記硬化剤は、フェノール化合物、活性エステル化合物、シアネートエステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、及びカルボジイミド化合物の内の少なくとも1種の成分を含むことがより好ましく、活性エステル化合物を含むことがさらに好ましい。この場合には、樹脂材料の硬化物の誘電正接をより一層低くすることができ、また、該硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
上記樹脂材料がエポキシ化合物を含む場合に、上記硬化剤は、フェノール化合物と活性エステル化合物との双方を含むことが好ましい。この場合には、樹脂材料の硬化物の誘電正接を一層低くすることができ、また、該硬化物の熱寸法安定性を一層高めることができ、さらに、高温環境下での金属層のピール強度を一層高めることができる。
上記樹脂材料がエポキシ化合物とビニル化合物とを含む場合に、上記硬化剤は、活性エステル化合物を含むことが好ましく、フェノール化合物と活性エステル化合物との双方を含むことがより好ましい。この場合には、樹脂材料の硬化物の誘電正接を一層低くすることができ、また、該硬化物の熱寸法安定性を一層高めることができる。
上記フェノール化合物としては、ノボラック型フェノール、ビフェノール型フェノール、ナフタレン型フェノール、ジシクロペンタジエン型フェノール、アラルキル型フェノール及びジシクロペンタジエン型フェノール等が挙げられる。
上記フェノール化合物の市販品としては、ノボラック型フェノール(DIC社製「TD-2091」)、ビフェニルノボラック型フェノール(明和化成社製「MEH-7851」)、アラルキル型フェノール化合物(明和化成社製「MEH-7800」)、並びにアミノトリアジン骨格を有するフェノール(DIC社製「LA-1356」及び「LA-3018-50P」)等が挙げられる。
上記活性エステル化合物とは、構造体中にエステル結合を少なくとも1つ含み、かつ、エステル結合の両側に脂肪族鎖、脂肪族環又は芳香族環が結合している化合物をいう。活性エステル化合物は、例えばカルボン酸化合物又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物又はチオール化合物との縮合反応によって得られる。活性エステル化合物の例としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022063605000002
上記式(1)中、X1は、脂肪族鎖を含む基、脂肪族環を含む基又は芳香族環を含む基を表し、X2は、芳香族環を含む基を表す。上記芳香族環を含む基の好ましい例としては、置換基を有していてもよいベンゼン環、及び置換基を有していてもよいナフタレン環等が挙げられる。上記置換基としては、炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。
上記式(1)中、X1及びX2の組み合わせとしては、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいベンゼン環との組み合わせ、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせが挙げられる。さらに、上記式(1)中、X1及びX2の組み合わせとしては、置換基を有していてもよいナフタレン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせが挙げられる。
上記活性エステル化合物は特に限定されない。熱寸法安定性及び難燃性をより一層高める観点からは、上記活性エステル化合物は、2個以上の芳香族骨格を有する活性エステル化合物であることが好ましい。硬化物の誘電正接を低くし、かつ硬化物の熱寸法安定性を高める観点から、活性エステル化合物の主鎖骨格中にナフタレン環を有することがより好ましい。
上記活性エステル化合物の市販品としては、DIC社製「HPC-8000L」、「HPC-8000-65T」、「EXB-9416-70BK」、「EXB8100-65T」、「HPC-8150-62T」及び「EXB-8」等が挙げられる。
上記シアネートエステル化合物としては、ノボラック型シアネートエステル樹脂、ビスフェノール型シアネートエステル樹脂、並びにこれらが一部三量化されたプレポリマー等が挙げられる。上記ノボラック型シアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂及びアルキルフェノール型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。上記ビスフェノール型シアネートエステル樹脂としては、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールE型シアネートエステル樹脂及びテトラメチルビスフェノールF型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。
上記シアネートエステル化合物の市販品としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン社製「PT-30」及び「PT-60」)、並びにビスフェノール型シアネートエステル樹脂が三量化されたプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA-230S」、「BA-3000S」、「BTP-1000S」及び「BTP-6020S」)等が挙げられる。
上記樹脂材料中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記シアネートエステル化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上であり、好ましくは85重量%以下、より好ましくは75重量%以下である。上記シアネートエステル化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
上記ベンゾオキサジン化合物としては、P-d型ベンゾオキサジン、及びF-a型ベンゾオキサジン等が挙げられる。
上記ベンゾオキサジン化合物の市販品としては、四国化成工業社製「P-d型」等が挙げられる。
上記樹脂材料中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記ベンゾオキサジン化合物の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。上記ベンゾオキサジン化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
上記カルボジイミド化合物は、下記式(2)で表される構造単位を有する化合物である。下記式(2)において、右端部及び左端部は、他の基との結合部位である。上記カルボジイミド化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
Figure 2022063605000003
上記式(2)中、Xは、アルキレン基、アルキレン基に置換基が結合した基、シクロアルキレン基、シクロアルキレン基に置換基が結合した基、アリーレン基、又はアリーレン基に置換基が結合した基を表し、pは1~5の整数を表す。Xが複数存在する場合、複数のXは同一であってもよく、異なっていてもよい。
好適な一つの形態において、少なくとも1つのXは、アルキレン基、アルキレン基に置換基が結合した基、シクロアルキレン基、又はシクロアルキレン基に置換基が結合した基である。
上記カルボジイミド化合物の市販品としては、日清紡ケミカル社製「カルボジライト V-02B」、「カルボジライト V-03」、「カルボジライト V-04K」、「カルボジライト V-07」、「カルボジライト V-09」、「カルボジライト 10M-SP」、及び「カルボジライト 10M-SP(改)」、並びに、ラインケミー社製「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、及び「ハイカジル510」等が挙げられる。
上記酸無水物としては、テトラヒドロフタル酸無水物、及びアルキルスチレン-無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
上記酸無水物の市販品としては、新日本理化社製「リカシッド TDA-100」等が挙げられる。
上記エポキシ化合物100重量部に対する上記硬化剤の含有量は、好ましくは70重量部以上、より好ましくは85重量部以上であり、好ましくは150重量部以下、より好ましくは120重量部以下である。上記硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化性により一層優れ、熱寸法安定性をより一層高め、残存未反応成分の揮発をより一層抑制できる。
上記樹脂材料中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記化合物Xと上記エポキシ化合物と上記硬化剤との合計の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上であり、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。上記合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化性により一層優れ、熱寸法安定性をより一層高めることができる。
<硬化促進剤>
上記樹脂材料は、硬化促進剤を含むことが好ましい。上記硬化促進剤の使用により、樹脂材料の硬化速度がより一層速くなる。樹脂材料を速やかに硬化させることで、硬化物における架橋構造が均一になると共に、未反応の官能基数が減り、結果的に架橋密度が高くなる。上記硬化促進剤は特に限定されず、従来公知の硬化促進剤を使用可能である。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物等のアニオン性硬化促進剤、アミン化合物等のカチオン性硬化促進剤、リン化合物及び有機金属化合物等のアニオン性及びカチオン性硬化促進剤以外の硬化促進剤、並びに過酸化物等のラジカル性硬化促進剤等が挙げられる。
上記イミダゾール化合物としては、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2-フェニル-4-メチル-5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4-ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン化合物等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
上記過酸化物としてはジクミルペルオキシド、及びパーヘキシル25B等が挙げられる。
硬化温度をより一層低く抑え、硬化物の反りを効果的に抑える観点からは、上記硬化促進剤は、上記アニオン性硬化促進剤を含むことが好ましく、上記イミダゾール化合物を含むことがより好ましい。
過酸化物である硬化促進剤とアニオン性硬化促進剤とを併用していてもよい。特にビニル化合物とエポキシ化合物とが併用される場合に、上記の2種の硬化促進剤を用いることにより、より一層良好な硬化物が得られる場合がある。
上記硬化剤が上記活性エステル化合物を含む場合には、上記硬化促進剤はジメチルアミノピリジンを含むことが好ましい。
硬化温度をより一層低く抑え、硬化物の反りを効果的に抑える観点からは、上記硬化促進剤100重量%中、上記アニオン性硬化促進剤の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、最も好ましくは100重量%(全量)である。したがって、上記硬化促進剤は、上記アニオン性硬化促進剤であることが最も好ましい。
上記熱硬化性化合物として上記ビニル化合物を用いる場合、ラジカル硬化が進行するため、上記硬化促進剤は、上記ラジカル性硬化促進剤を含むことが好ましく、ジクミルペルオキシド、又は2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3であることが更に好ましい。樹脂材料をプレキュア後に効率的に硬化させる場合には、1分間半減期温度が170℃以上200℃以下であるラジカル性硬化促進剤がより好ましい。1分間半減期温度が170℃以上200℃以下であるラジカル性硬化促進剤の市販品としては、日油社製「パーへキシン25B」等が挙げられる。
上記硬化促進剤の含有量は特に限定されない。樹脂材料中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。上記硬化促進剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂材料が効率的に硬化する。上記硬化促進剤の含有量がより好ましい範囲であれば、樹脂材料の保存安定性がより一層高くなり、かつより一層良好な硬化物が得られる。
[熱可塑性樹脂]
上記樹脂材料は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂及びフェノキシ樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化環境によらず、誘電正接を効果的に低くし、かつ、金属配線の密着性を効果的に高める観点からは、上記熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂であることが好ましい。フェノキシ樹脂の使用により、樹脂材料の回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性の悪化及び無機充填材の不均一化が抑えられる。また、フェノキシ樹脂の使用により、溶融粘度を調整可能であるために無機充填材の分散性が良好になり、かつ硬化過程で、意図しない領域に樹脂組成物又はBステージ化物が濡れ拡がり難くなる。
上記樹脂材料に含まれているフェノキシ樹脂は特に限定されない。上記フェノキシ樹脂として、従来公知のフェノキシ樹脂を使用可能である。上記フェノキシ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型の骨格、ビスフェノールF型の骨格、ビスフェノールS型の骨格、ビフェニル骨格、ノボラック骨格、ナフタレン骨格及びイミド骨格などの骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、新日鉄住金化学社製の「YP50」、「YP55」及び「YP70」、並びに三菱化学社製の「1256B40」、「4250」、「4256H40」、「4275」、「YX6954BH30」及び「YX8100BH30」等が挙げられる。
ハンドリング性、低粗度でのメッキピール強度及び絶縁層と金属層との密着性を高める観点から、上記熱可塑性樹脂は、ポリイミド樹脂(ポリイミド化合物)であることが好ましい。
溶解性を良好にする観点からは、上記ポリイミド化合物は、テトラカルボン酸二無水物とダイマージアミンとを反応させる方法によって得られたポリイミド化合物であることが好ましい。
上記テトラカルボン酸二無水物としては、上記化合物Xの欄に記載したテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
上記ダイマージアミンとしては、上記化合物Xの欄に記載したダイマージアミン等が挙げられる。
保存安定性により一層優れた樹脂材料を得る観点からは、上記熱可塑性樹脂、上記ポリイミド樹脂及び上記フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000以上、より好ましくは10000以上、好ましくは100000以下、より好ましくは50000以下である。
上記熱可塑性樹脂、上記ポリイミド樹脂及び上記フェノキシ樹脂の上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記熱可塑性樹脂、上記ポリイミド樹脂及び上記フェノキシ樹脂の含有量は特に限定されない。上記樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量(熱可塑性樹脂がポリイミド樹脂又はフェノキシ樹脂である場合には、ポリイミド樹脂又はフェノキシ樹脂の含有量)は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂材料の回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性が良好になる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上であると、樹脂フィルムの形成がより一層容易になり、より一層良好な絶縁層が得られる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、硬化物の熱膨張率がより一層低くなる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。
<溶剤>
上記樹脂材料は、溶剤を含まないか又は含む。上記溶剤の使用により、樹脂材料の粘度を好適な範囲に制御でき、樹脂材料の塗工性を高めることができる。また、上記溶剤は、上記無機充填材を含むスラリーを得るために用いられてもよい。上記溶剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶剤としては、アセトン、メタノール、エタノール、ブタノール、2-プロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、2-アセトキシ-1-メトキシプロパン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、N-メチル-ピロリドン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン及び混合物であるナフサ等が挙げられる。
上記溶剤の多くは、上記樹脂組成物をフィルム状に成形するときに、除去されることが好ましい。従って、上記溶剤の沸点は好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。上記樹脂組成物中の上記溶剤の含有量は特に限定されない。上記樹脂組成物の塗工性などを考慮して、上記溶剤の含有量は適宜変更可能である。
上記樹脂材料がBステージフィルムである場合には、上記Bステージフィルム100重量%中、上記溶剤の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
<他の成分>
耐衝撃性、耐熱性、樹脂の相溶性及び作業性等の改善を目的として、上記樹脂材料及び樹脂材料の硬化物は、レベリング剤、難燃剤、カップリング剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、消泡剤、増粘剤、及び揺変性付与剤等を含んでいてもよい。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、ビニルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
<樹脂材料の他の詳細>
上述した樹脂材料をフィルム状に成形することにより樹脂フィルム(Bステージ化物/Bステージフィルム)が得られる。上記樹脂材料は、樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムは、Bステージフィルムであることが好ましい。
樹脂組成物をフィルム状に成形して、樹脂フィルムを得る方法としては、以下の方法が挙げられる。押出機を用いて、樹脂組成物を溶融混練し、押出した後、Tダイ又はサーキュラーダイ等により、フィルム状に成形する押出成形法。溶剤を含む樹脂組成物をキャスティングしてフィルム状に成形するキャスティング成形法。従来公知のその他のフィルム成形法。薄型化に対応可能であることから、押出成形法又はキャスティング成形法が好ましい。フィルムにはシートが含まれる。
樹脂組成物をフィルム状に成形し、熱による硬化が進行し過ぎない程度に、例えば50℃~150℃で1分間~10分間加熱乾燥させることにより、Bステージフィルムである樹脂フィルムを得ることができる。
上述のような乾燥工程により得ることができるフィルム状の樹脂組成物をBステージフィルムと称する。上記Bステージフィルムは、半硬化状態にある。半硬化物は、完全に硬化しておらず、硬化がさらに進行され得る。
上記樹脂フィルムは、プリプレグでなくてもよい。上記樹脂フィルムがプリプレグではない場合には、ガラスクロス等に沿ってマイグレーションが生じなくなる。また、樹脂フィルムをラミネート又はプレキュアする際に、表面にガラスクロスに起因する凹凸が生じなくなる。
(樹脂材料の硬化物)
本発明に係る積層体は、樹脂材料の硬化物層を備える。上記樹脂材料の硬化物層は、上述した樹脂材料を硬化させることにより得ることができる。上記樹脂材料の硬化物層は、樹脂フィルムの硬化物層であることが好ましい。
上記樹脂材料の硬化物層の厚さは、金属層の厚さ以上であることが好ましく、金属層の厚さよりも大きいことが好ましい。
上記樹脂材料の硬化物層の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。
上記樹脂材料の硬化物の23℃及び周波数5.8GHzでの誘電正接(Df)は、好ましくは3.0×10-3以下、より好ましくは2.8×10-3以下、さらに好ましくは2.5×10-3以下、さらに好ましくは2.3×10-3以下である。上記誘電正接(Df)は、3.1×10-3以上であってもよく、3.3×10-3以上であってもよい。
上記樹脂材料の硬化物の誘電正接(Df)は、より具体的には、以下のようにして測定される。
樹脂材料の硬化物を幅2mm、長さ80mmの大きさに裁断して10枚を重ね合わせる。関東電子応用開発社製「空洞共振摂動法誘電率測定装置CP521」及びキーサイトテクノロジー社製「ネットワークアナライザーN5224A PNA」を用いて、空洞共振法で常温(23℃)にて、周波数5.8GHzにて誘電正接を測定する。
上記樹脂材料の硬化物の引っ張り荷重33mNでの25℃~150℃までの平均線膨張係数(CTE)は、好ましくは33ppm/℃以下、より好ましくは30ppm/℃以下、さらに好ましくは27ppm/℃以下、さらに一層好ましくは26ppm/℃以下、特に好ましくは24ppm/℃以下、最も好ましくは22ppm/℃以下である。上記平均線膨張係数(CTE)は、34ppm/℃以上であってもよく、38ppm/℃以上であってもよい。
上記樹脂材料の硬化物の平均線膨張係数(CTE)は、より具体的には、以下のようにして測定される。
樹脂材料の硬化物を3mm×25mmの大きさに裁断する。熱機械的分析装置(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR TMA/SS6100」)を用いて、引っ張り荷重33mN及び昇温速度5℃/分の条件で、裁断された硬化物の25℃~150℃までの平均線膨張係数(ppm/℃)を算出する。
(有機皮膜)
本発明に係る積層体は、有機皮膜を備える。上記有機皮膜は、上記金属層の表面上に配置されている。上記有機皮膜は、上記金属層を覆う薄い膜である。上記有機皮膜は、上記金属層と上記樹脂材料の硬化物層との間に位置する。上記有機皮膜は、上記金属層の表面の一部のみを覆っていてもよく、表面全体を覆っていてもよい。上記有機皮膜は、上記金属層の上面のみを覆っていてもよく、金属層の上面及び側面を覆っていてもよい。上記有機皮膜は、上記金属層の一方の表面上に配置されていてもよく、双方の表面上に配置されていてもよい。
なお、上記有機皮膜は、金属層以外の部分にも配置されていてもよい。上記有機皮膜は、金属層以外の部分を覆っていてもよい。金属層を表面に有する基板において、上記有機皮膜は、金属層が配置されていない基板上にも配置されていてもよい。上記積層体は、金属層を表面に有する基板と、該金属層の表面上に配置された有機皮膜と、該有機皮膜の上記金属層とは反対側の表面上に配置された樹脂材料の硬化物層とを備えていてもよい。
<化合物Xと結合可能な官能基を有する化合物Y>
上記有機皮膜の材料は、上記化合物Xと結合可能な官能基を有する化合物Y(以下、「化合物Y」と略記することがある)を含むことが好ましい。上記有機皮膜は、上記化合物Yを含む材料により形成されていることが好ましい。上記化合物Yは、上記化合物Xのマレイミド骨格と結合可能な官能基を有する化合物であることが好ましい。上記有機皮膜は、上記化合物Yを含むことが好ましく、上記化合物Yに由来する化合物を含むことが好ましく、上記化合物Yと、上記化合物Yに由来する化合物とを含むことがより好ましい。上記化合物Yは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化合物Yは、上記化合物Xと結合可能な官能基を1個有していてもよく、2個有していてもよく、2個以上有していてもよい。
上記化合物Xと結合可能な官能基としては、アミノ基、ビニル基、及びマレイミド構造を有する基(マレイミド基及びシトラコンイミド基等)等が挙げられる。
上記化合物Yは、アミノ基を有することが好ましい。上記化合物Yは、上記化合物Xと結合可能な官能基として、アミノ基を有することが好ましい。上記アミノ基は、1級アミノ基又は2級アミノ基であることが好ましい。上記化合物Yがアミノ基を有することにより、上記化合物Xと上記化合物Yとを効率的に共有結合することができる。
上記積層体では、上記樹脂材料の硬化物層と上記有機皮膜との界面において、上記化合物Xと、上記化合物Yとが結合していることが好ましく、共有結合していることが好ましい。この場合には、高温環境下での金属層のピール強度を高めることができ、また、ブリスターの発生を抑えることができる。
上記化合物Yは、トリアジン骨格を有することが好ましい。この場合には、有機皮膜と金属層との相互作用を強めることができるので、有機皮膜と金属層との密着性を高めることができ、その結果、ハローイングを効果的に抑えることができる。
上記化合物Yは、シラノール基又はアルコキシシリル基を有することが好ましい。上記化合物Yがシラノール基を有する場合に、上記有機皮膜において、該シラノール基が部分的に脱水縮合し、シロキサン基を形成していることが好ましい。この場合に、化合物Yの分子間においてシラノール基が部分的に脱水縮合していることが好ましい。なお、シラノール基はアルコキシシリル基が加水分解しているものも含む。
上記有機皮膜の厚みは、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、さらに好ましくは10nm以上、好ましくは1μm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは70nm以下である。上記有機皮膜の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記有機皮膜100重量%中、上記化合物Yと、上記化合物Yに由来する化合物との合計の含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。
(金属層)
上記積層体は、金属層を備える。上記金属層の材料としては、銅等が挙げられる。上記金属層は、銅層であることが好ましい。上記金属層は、金属板であってもよく、金属箔であってもよい。上記金属層は、配線回路層であることが好ましい。
上記金属層の厚さは特に限定されない。上記金属層の厚さは、好ましくは1μm以上、好ましくは50μm以下である。
金属層のピール強度をより一層高める観点からは、上記金属層は、微細な凹凸を表面に有することが好ましい。凹凸の形成方法は特に限定されない。上記凹凸の形成方法としては、公知の薬液を用いた処理による形成方法等が挙げられる。
上記金属層の上記有機皮膜側の表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、より一層好ましくは0.2μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下、さらにより一層好ましくは0.1μm以下、特に好ましくは0.01μm以下である。本発明では、上記金属層の上記有機皮膜側の表面の算術平均粗さ(Ra)が小さい場合であっても、高温環境下での金属層のピール強度を高めることができ、また、ブリスターの発生を抑えることができる。
上記金属層の上記有機皮膜側の表面の算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601:1994に準拠して測定される。
(積層体の製造方法)
本発明に係る積層体の製造方法は、表面に有機皮膜が配置された金属層を得る工程と、上記有機皮膜の上記金属層とは反対側の表面上に樹脂材料を配置する配置工程と、上記樹脂材料を100℃以上200℃以下の温度で加熱して、樹脂材料の硬化物層を得る加熱工程とを備える。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層体の製造方法を説明するための断面図である。
まず、金属層又は金属層を備える部材と、有機皮膜の材料とを用意する。金属層の表面を有機皮膜の材料に浸漬したり、金属層の表面に有機皮膜の材料を塗布したりした後、有機皮膜の材料を乾燥又は洗浄することにより、金属層の表面に有機皮膜を形成させることができる。このようにして、表面に有機皮膜が配置された金属層を得ることができる。
次に、図1(a)に示すように、有機皮膜2の金属層1とは反対側の表面上に樹脂材料3Xを配置する。図1では、樹脂材料3Xに含まれる化合物Xとして、ビスマレイミド化合物が用いられており、有機皮膜2の材料に含まれる化合物Yとして、アミノ基を有する化合物が用いられる。また、図1では、樹脂材料3Xとして、樹脂フィルムが用いられている。図1(a)では、樹脂材料3Xと、有機皮膜2との界面において、化合物Xと化合物Yとはほとんど結合していない。
有機皮膜2の金属層1とは反対側の表面上に樹脂材料3Xを配置する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、平行平板プレス機又はロールラミネーター等の装置を用いて、加熱しながら又は加熱せずに加圧しながら、樹脂材料3Xを、有機皮膜2の表面に配置可能である。上記配置工程では、有機皮膜上に樹脂材料を設置した後、ラミネート又はプレスして、樹脂材料を配置することが好ましい。
次に、図1(b)に示すように、樹脂材料3Xを100℃以上200℃以下の温度で加熱することにより、樹脂材料の硬化物層3が得られる。この加熱工程において、化合物Xのマレイミド基と、化合物Yのアミノ基とが結合(共有結合)することによって、化合物Xと化合物Yとが結合する。すなわち、加熱工程を行うことにより、樹脂材料の硬化物層3と有機皮膜2との界面において、化合物Xと、化合物Yとが結合する。このようにして、金属層1と、有機皮膜2と、樹脂材料の硬化物層3とを備える積層体10を製造することができる。
上記加熱工程における加熱温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに130℃以上である。上記加熱工程における加熱温度は、200℃を超えていてもよいが、好ましくは200℃以下である。上記加熱工程は、一定の温度で加熱されなくてもよい。上記加熱工程は、100℃以上170℃以下の温度で加熱した後、170℃以上200℃以下の温度で加熱することが好ましい。
(積層体作製キット)
本発明に係る積層体作製キットは、表面に有機皮膜が配置された金属層と、樹脂材料とを備える。上記積層体作製キットを用い、上述した方法により、積層体を良好に得ることができる。
上記積層体作製キットでは、上記樹脂材料は、金属箔又は基材フィルムと、該金属箔又は該基材フィルムの表面に積層された樹脂フィルムとを備える積層フィルムの形態であってもよい。すなわち、上記積層体作製キットは、表面に有機皮膜が配置された金属層と、積層フィルムとを備え、上記積層フィルムが、金属箔又は基材フィルムと、該金属箔又は該基材フィルムの表面に積層された樹脂材料とを有していてもよい。
上記積層フィルムの上記基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルム等のオレフィン樹脂フィルム、並びにポリイミド樹脂フィルム等が挙げられる。上記基材フィルムの表面は、必要に応じて、離型処理されていてもよい。
(半導体装置、プリント配線板、銅張積層板及び多層プリント配線板)
上記樹脂材料の硬化物層は、絶縁層として好適に用いられる。
上記積層体は、ミリ波アンテナ用途、再配線層用途に好適に用いられる。また、上記積層体は、上記用途に限らず、配線形成用途全般として、好適に用いられる。
上記積層体は、銅張積層板であってもよい。上記銅張積層板の一例として、銅箔(金属層)と、該金属層の一方の表面に配置された有機皮膜と、該有機皮膜の表面に積層された樹脂材料の硬化物層とを備える銅張積層板が挙げられる。
上記積層体は、銅基板と、銅基板における銅層の表面に配置された有機皮膜と、該有機皮膜の表面に積層された樹脂材料の硬化物層とを備える積層体であってもよい。特に樹脂材料の硬化物層が熱伝導性を有する充填材を含む場合、上記積層体は、放熱基板として好適に用いられる。
上記積層体は、半導体装置を得るために好適に用いられる。上記積層体は、プリント配線板を得るために好適に用いられる。上記積層体は、多層基板を得るために好適に用いられる。上記半導体装置は、上記積層体を備える。上記プリント配線板は、上記積層体を備える。上記多層基板は、上記積層体を備える。
上記多層基板の一例として、回路基板と、該回路基板上に積層された絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。上記多層基板では、絶縁層が上記樹脂材料の硬化物層により形成されており、回路基板が有機皮膜を表面に有する金属層を備える。上記絶縁層は、回路基板の回路(金属層)が設けられた表面上に積層されていることが好ましい。上記絶縁層の一部は、上記回路間に埋め込まれていることが好ましい。
上記多層基板では、上記絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面が粗化処理されていることが好ましい。
粗化処理方法は、従来公知の粗化処理方法を用いることができ、特に限定されない。上記絶縁層の表面は、粗化処理の前に膨潤処理されていてもよい。
また、上記多層基板は、上記絶縁層の粗化処理された表面に積層された銅めっき層をさらに備えることが好ましい。
また、上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された絶縁層と、該絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面に積層された銅箔とを備える多層基板が挙げられる。上記絶縁層が、銅箔と該銅箔の一方の表面に積層された樹脂フィルムとを備える銅張積層板を用いて、上記樹脂フィルムを硬化させることにより形成されていることが好ましい。さらに、上記銅箔はエッチング処理されており、銅回路であることが好ましい。
上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された複数の絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。上記回路基板上に配置された上記複数層の絶縁層の内の少なくとも1層が、上記樹脂材料を用いて形成される。上記多層基板は、上記樹脂フィルムを用いて形成されている上記絶縁層の少なくとも一方の表面に積層されている回路をさらに備えることが好ましい。
上記樹脂材料の硬化物層は、多層プリント配線板において、絶縁層を形成するために好適に用いられる。
上記多層プリント配線板は、例えば、回路基板と、上記回路基板の表面上に配置された複数の絶縁層と、複数の上記絶縁層間に配置された金属層とを備える。上記絶縁層の内の少なくとも1層が、上記樹脂材料の硬化物である。また、上記金属層の少なくとも1つが表面に上記有機皮膜を有する。したがって、上記多層プリント配線板は、上述した積層体を備える。
上記多層プリント配線板では、最下層の基板(銅張り積層板)の表面に配置された金属層の表面上にのみ有機皮膜が配置されていてもよく、各層の金属層の表面上に有機皮膜が配置されていてもよい。
なお、有機皮膜の形成は、パターン形成後(配線回路層の形成後)でもあってもよく、パターン形成前(配線回路層の形成前)であってもよい。有機皮膜の形成は、パターン形成後であることが好ましい。また、金属層の表面が防錆処理されている場合は、表面をエッチングして防錆処理層を除去した後、有機皮膜を形成することが好ましい。
図2は、本発明の一実施形態に係る積層体を用いた多層プリント配線板を模式的に示す断面図である。
図2に示す多層プリント配線板11では、回路基板12の上面12aに、複数層の絶縁層13~16が積層されている。絶縁層13~16は、樹脂材料の硬化物層である。回路基板12の上面12aの一部の領域には、金属層17が形成されている。金属層17の表面には、有機皮膜18が配置されている。複数層の絶縁層13~16のうち、回路基板12側とは反対の外側の表面に位置する絶縁層16以外の絶縁層13~15には、上面の一部の領域に有機皮膜18を有する金属層17が形成されている。有機皮膜18は、金属層17の上面及び側面を覆っている。金属層17は回路である。回路基板12と絶縁層13の間、及び積層された絶縁層13~16の各層間に、有機皮膜18を有する金属層17がそれぞれ配置されている。下方の金属層17と上方の金属層17とは、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続の内の少なくとも一方により互いに接続されている。
多層プリント配線板11では、絶縁層13~16が、上記樹脂材料の硬化物により形成されている。絶縁層13~16は、上記樹脂材料の硬化物層である。本実施形態では、絶縁層13~16の表面が粗化処理されているので、絶縁層13~16の表面に図示しない微細な孔が形成されている。また、微細な孔の内部に金属層17が至っている。また、多層プリント配線板11では、金属層17の幅方向寸法(L)と、金属層17が形成されていない部分の幅方向寸法(S)とを小さくすることができる。また、多層プリント配線板11では、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続で接続されていない上方の金属層と下方の金属層との間に、良好な絶縁信頼性が付与されている。
なお、上述したように、多層プリント配線板において、積層された絶縁層の各層間に配置された各金属層において、有機皮膜が配置されていてもよい。このような多層プリント配線板は、金属層により回路を形成した後に有機皮膜を形成することで、好適に得ることができる。
上記多層プリント配線板は、高速通信用多層プリント配線板であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
以下の材料を用意した。
(化合物X)
化合物X1(脂肪族ビスマレイミド化合物、大和化成工業社製「TMH-BMI」)
化合物X2(芳香族ビスマレイミド化合物、日本化薬社製「MIR-3000」)
化合物X3(ダイマージアミンに由来する骨格を有するビスマレイミド化合物、Designer molecules社製「BMI-689」)
化合物X4(イミド結合を有する構造単位を繰り返し構造単位として有するビスマレイミド化合物、Designer Molecules Inc.社製「BMI-3000」)
化合物X5(分子量4300、下記の合成例1に従って合成)
化合物X6(分子量4100、下記の合成例2に従って合成)
<合成例1>
115gのトルエンと、35gのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、8.7gのダイマージアミン(クローダジャパン社製「Priamine 1075」)と、10.00gのノルボルナンジアミン(三井化学ファイン社製「Pro-NBDA」)とを500mL三口フラスコに入れ、撹拌した。次いで、上記の三口フラスコに、3.0gのメタンスルホン酸(東京化成工業社製)を入れ、スリーワンモーター付き撹拌棒を用いて撹拌した。また、7.78gの4,4’-ビフタル酸無水物(東京化成工業社製)と、6.99gの5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物(東京化成工業社製)との混合液を得た。得られた混合液を、上記の三口フラスコに入れて撹拌した。次いで、三口フラスコの1つの口にディーンスターク管付き還流管をとりつけ、温度をオイルバスの130℃にし、撹拌しながら、4時間還流した。次いで、6.22gの無水マレイン酸(東京化成工業社製)を三口フラスコに入れて、4時間還流した。還流後、3度有機層を水洗し、マレイミド化合物の溶解した有機層を得た。有機層から水分を留去した後、メタノール2L中にゆっくり滴下し、再沈殿を実施し固形分を得た。固形分を吸引ろ過により集め、真空オーブンで乾燥させ、化合物X5を得た(収率80%)。
<合成例2>
115gのトルエンと、35gのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、16.3gのダイマージアミン(クローダジャパン社製「Priamine 1075」)と、7.81gのノルボルナンジアミン(三井化学ファイン社製「Pro-NBDA」)とを500mL三口フラスコに入れ、撹拌した。次いで、上記の三口フラスコに、3.0gのメタンスルホン酸(東京化成工業社製)を入れ、スリーワンモーター付き撹拌棒を用いて撹拌した。また、7.78gの4,4’-ビフタル酸無水物(東京化成工業社製)と、6.56gのビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(東京化成工業社製)との混合液を得た。得られた混合液を、上記の三口フラスコに入れて撹拌した。次いで、三口フラスコの1つの口にディーンスターク管付き還流管をとりつけ、温度をオイルバスの130℃にし、撹拌しながら、4時間還流した。次いで、6.22gの無水マレイン酸(東京化成工業社製)を三口フラスコに入れて、4時間還流した。還流後、3度有機層を水洗し、マレイミド化合物の溶解した有機層を得た。有機層から水分を留去した後、メタノール2L中にゆっくり滴下し、再沈殿を実施し固形分を得た。固形分を吸引ろ過により集め、真空オーブンで乾燥させ、化合物X6を得た(収率81%)。
(エポキシ化合物)
ビフェニル型エポキシ化合物(日本化薬社製「NC-3000L」)
ナフタレン型エポキシ化合物(新日鉄住金化学社製「ESN-475V」)
レゾルシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「EX-201」)
多分岐脂肪族エポキシ化合物(日産化学社製「FoldiE101」)
アミド骨格を有するエポキシ化合物(日本化薬社製「WHR991S」)
アミノ基を有するエポキシ化合物(三菱化学社製「630」)
ブタジエン骨格を有するエポキシ化合物(ダイセル社製「PB3600」)
(無機充填材)
シリカ含有スラリー(シリカ75重量%:アドマテックス社製「SC4050-HOA」、平均粒径1.0μm、アミノシラン処理、シクロヘキサノン25重量%)
(硬化剤)
活性エステル化合物1含有液(DIC社製「EXB-9416-70BK」、固形分70重量%)
活性エステル化合物2含有液(DIC社製「HPC-8000L」、固形分65重量%、ジシクロペンタジエン型活性エステル化合物)
活性エステル化合物3含有液(DIC社製「HPC-8150-62T」、固形分62重量%、ナフタレン型活性エステル化合物)
活性エステル化合物4(DIC社製「EXB-8」、固形分100重量%、低分子活性エステル化合物)
フェノール化合物含有液(DIC社製「LA-1356」、固形分60重量%)
(ビニル化合物)
ポリフェニレンエーテル型ビニル化合物(ラジカル反応性化合物、三菱ガス化学社製「OPE-2St」)
(アクリル化合物)
ジシクロペンタジエン型アクリル化合物(ラジカル反応性化合物、共栄社化学社製「ライトアクリレートDCP-A」、表中では「DCP-A」と略記)
(硬化促進剤)
ジメチルアミノピリジン(和光純薬工業社製「DMAP」)
2-フェニル-4-メチルイミダゾール(四国化成工業社製「2P4MZ」、アニオン性硬化促進剤)
ジクミルペルオキシド(日油社製「パークミルD」)
α,α’-Di(t-butylperoxy)diisopropylbenzen(日油社製「パーブチルP」)
(熱可塑性樹脂)
脂環族/芳香族共重合系炭化水素樹脂(JXTGエネルギー社製「EP-140」、ネオレジンPremium)
ポリイミド化合物(ポリイミド樹脂、分子量20000、合成例3に従って合成)
<合成例3>
撹拌機、分水器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、テトラカルボン酸二無水物(SABICジャパン合同会社製「BisDA-1000」)300.0gと、シクロヘキサノン665.5gとを入れ、反応容器中の溶液を60℃まで加熱した。次いで、反応容器中に、ダイマージアミン(クローダジャパン社製「Priamine 1075」)89.0gと、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(三菱ガス化学社製)54.7gとを滴下した。次いで、反応容器中に、メチルシクロヘキサン121.0gと、エチレングリコールジメチルエーテル423.5gとを添加し、140℃で10時間かけてイミド化反応を行った。このようにして、ポリイミド化合物含有溶液(不揮発分26.8重量%)を得た。得られたポリイミド化合物の分子量(重量平均分子量)は20000であった。なお、酸成分/アミン成分のモル比は1.04であった。
(分子量の測定)
化合物X及びポリイミド化合物の分子量は、以下のようにして求めた。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定:
島津製作所社製高速液体クロマトグラフシステムを使用し、テトラヒドロフラン(THF)を展開媒として、カラム温度40℃、流速1.0ml/分で測定を行った。検出器として「SPD-10A」を用い、カラムはShodex社製「KF-804L」(排除限界分子量400,000)を2本直列につないで使用した。標準ポリスチレンとして、東ソー社製「TSKスタンダードポリスチレン」を用い、重量平均分子量Mw=354,000、189,000、98,900、37,200、17,100、9,830、5,870、2,500、1,050、500の物質を使用して較正曲線を作成し、分子量の計算を行った。
(化合物Y)
化合物Y1(N,N’ビス(2-アミノエチル)-6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、下記式(Y1)で表される化合物、WO2013/186941A1の実施例1に従って合成)
Figure 2022063605000004
化合物Y2(イミダゾール系シランカップリング剤(JX金属社製「IS1000」) 化合物Y3(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製「KBM-573」)
(実施例1~9及び比較例1~3)
下記の表2,3に示す成分を下記の表2,3に示す配合量(単位は固形分重量部)で配合し、均一な溶液となるまで常温で撹拌し、樹脂材料を得た。
樹脂フィルムの作製:
アプリケーターを用いて、離型処理されたPETフィルム(東レ社製「XG284」、厚み25μm)の離型処理面上に得られた樹脂材料を塗工した後、100℃のギヤオーブン内で2分30秒間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、PETフィルム上に、厚さが40μmである樹脂フィルム(Bステージフィルム)が積層されている積層フィルム(PETフィルムと樹脂フィルムとの積層フィルム)を得た。
有機皮膜の材料Y1~Y3の作製:
表1に示す配合量(濃度)となるように、各成分をイオン交換水に溶解した後、表1に示すpHとなるように、1.0N塩酸又は1.0N水酸化ナトリウム水溶液を加えて、有機皮膜の材料Y1~Y3を作製した。なお、有機皮膜の材料は、調製後24時間以内に使用した。
Figure 2022063605000005
(評価)
(1)樹脂材料の硬化物の誘電正接(Df)
得られた厚さ40μmの樹脂フィルム(Bステージフィルム)を190℃で90分間加熱して、樹脂材料の硬化物を得た。得られた硬化物を幅2mm、長さ80mmの大きさに裁断して10枚を重ね合わせて、関東電子応用開発社製「空洞共振摂動法誘電率測定装置CP521」及びキーサイトテクノロジー社製「ネットワークアナライザーN5224A PNA」を用いて、空洞共振法で常温(23℃)にて、周波数5.8GHzにて誘電正接を測定した。
[誘電正接の判定基準]
○○:誘電正接が2.5×10-3未満
○:誘電正接が2.5×10-3以上2.75×10-3未満
×:誘電正接が2.75×10-3以上
(2)熱寸法安定性(平均線膨張係数(CTE))
得られた厚さ40μmの樹脂フィルム(Bステージフィルム)を190℃で90分間加熱して、樹脂材料の硬化物を得た。得られた硬化物を3mm×25mmの大きさに裁断した。熱機械的分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR TMA/SS6100」)を用いて、引っ張り荷重33mN及び昇温速度5℃/分の条件で、裁断された硬化物の25℃~150℃までの平均線膨張係数(ppm/℃)を算出した。
[平均線膨張係数の判定基準]
○○:平均線膨張係数が26ppm/℃以下
○:平均線膨張係数が26ppm/℃を超え30ppm/℃以下
×:平均線膨張係数が30ppm/℃を超える
(3)高温環境下での金属層のピール強度
i)銅張積層板への積層フィルムの配置工程:
両面銅張積層板(各面の銅箔の厚み18μm、基板の厚み0.7mm、基板サイズ100mm×100mm、日立化成社製「MCL-E-679FG(R)」)を用意した。この両面銅張積層板の銅箔面の両面をメック社製「Cz8101」に浸漬して、銅箔の表面を粗化処理した。粗化処理された銅張積層板の両面に、名機製作所社製「バッチ式真空ラミネーターMVLP-500-IIA」を用いて、積層フィルムの樹脂フィルム(Bステージフィルム)側を銅張積層板上に重ねてラミネートして、銅張積層板と積層フィルムとの積層構造体を得た。ラミネートの条件は、30秒減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃及び圧力0.4MPaでプレスする条件とした。
ii)PETフィルムの剥離工程:
得られた積層構造体において、両面のPETフィルムを剥離し、樹脂フィルムを露出させた。
iii)表面に有機皮膜が配置された銅箔を得る工程:
表面がメッキアップされた銅箔(厚み35μm、三井金属社製)を用意した。
実施例1~7,9及び比較例1~3では、用意した銅箔のシャイニー面をエッチング処理して、銅箔の表面の算術平均粗さRaが0.1μmとなるように粗化処理した。実施例8では、用意した銅箔のシャイニー面を防錆処理して、銅箔の表面の算術平均粗さRaを0.01μmとした。
表2,3に示す有機皮膜の材料中に、エッチング処理又は防錆処理した銅箔表面を60秒間浸漬した。浸漬後、銅箔表面を水で洗い流し、乾燥及び焼成することにより、有機皮膜を形成した。このようにして、表面に有機皮膜が配置された銅箔を得た。
iv)評価サンプルの作製工程:
表面に有機皮膜が配置された銅箔と、露出した樹脂フィルムとを、有機皮膜と樹脂フィルムとが接するようにラミネータで貼り合せて、銅箔付き基板を得た。得られた銅箔付き基板をギアオーブン内で190℃で90分間熱処理し、評価サンプルを得た。
v)ピール強度の測定:
得られた評価サンプルにおいて、有機皮膜が配置された銅箔の表面に10mm幅の短冊状の切込みを、5mm間隔で合計6箇所入れた。90°剥離試験機(テスター産業社製「TE-3001」)の評価サンプルをセットする箇所に加熱ユニットを設置した後、評価サンプルをセットし、加熱ユニットを260℃に設定した。その後、つかみ具で切込みの入った銅箔の端部をつまみあげ、銅箔を20mm剥離して剥離強度(ピール強度)を測定した。6箇所の切り込み箇所に対してそれぞれ剥離強度(ピール強度)を測定し、ピール強度の平均値及び最大値と最小値との差(ばらつき)を求めた。ピール強度を下記の基準で判定した。
[ピール強度の平均値の判定基準]
○○:ピール強度の平均値が0.15kgf/cm以上
○:ピール強度の平均値が0.1kgf/cm以上0.15kgf/cm未満
×:ピール強度の平均値が0.1kgf/cm未満
[ピール強度の最大値と最小値との差の判定基準]
○:ピール強度の最大値と最小値との差が0.05kgf/cm未満
×:ピール強度の最大値と最小値との差0.05kgf/cm以上
(4)リフロー試験
i)表面に有機皮膜が配置された銅箔を有する銅張積層板を得る工程:
150mm×150mmの両面銅張積層板(日立化成社製「MCL-E-679FG(R)」)の両方の表面上に18μmの電解銅めっきを施した。次いで、電解銅めっきを施した両面銅張積層板を170℃で1時間焼成した。
実施例1~7,9及び比較例1~3では、焼成後、両面銅張積層板の銅箔面の両面をエッチング処理して、銅箔の表面の算術平均粗さRaが0.1μmとなるように粗化処理した。実施例8では、焼成後、両面銅張積層板の銅箔面の両面を防錆処理して、銅箔の表面の算術平均粗さRaを0.01μmとした。
次いで、表2,3に示す有機皮膜の材料中に、粗化処理又は防錆処理した銅箔表面を60秒間浸漬した。浸漬後、銅箔表面を水で洗い流し、乾燥及び焼成することにより、有機皮膜を形成した。このようにして、両方の表面に有機皮膜が配置された銅箔を有する銅張積層板を得た。
ii)銅張積層板への積層フィルムの配置工程:
得られた銅張積層板の両面(有機皮膜が配置された銅箔の表面)に、名機製作所社製「バッチ式真空ラミネーターMVLP-500-IIA」を用いて、積層フィルムの樹脂フィルム(Bステージフィルム)側を銅張積層板上に重ねてラミネートして、銅張積層板と積層フィルムとの積層構造体を得た。ラミネートの条件は、30秒減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃及び圧力0.4MPaでプレスする条件とした。
iii)PETフィルムの剥離工程:
得られた積層構造体において、両面のPETフィルムを剥離し、樹脂フィルムを露出させた。
iv)予備硬化工程:
130℃で30分間加熱した後、170℃で30分間加熱して、樹脂フィルムを予備硬化させて、樹脂フィルムの半硬化物層を形成し、積層体(1)を得た。
v)粗化処理:
v-1)膨潤処理:
60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップセキュリガントP」)に、得られた積層体(1)を入れて、10分間揺動させた。その後、純水で洗浄した。
v-2)過マンガン酸塩処理(粗化処理及びデスミア処理):
80℃の過マンガン酸カリウム(アトテックジャパン社製「コンセントレートコンパクトCP」)粗化水溶液に、膨潤処理後の積層体(1)を入れて、30分間揺動させた。次に、25℃の洗浄液(アトテックジャパン社製「リダクションセキュリガントP」)を用いて2分間処理した後、純水で洗浄を行い、粗化処理後の積層体(1)を得た。
v-3)表面粗さの測定:
粗化処理後の積層体(1)(粗化処理された半硬化物)の表面を、非接触3次元表面形状測定装置(Bruker社製「Contour GT-K」)を用いて、95.6μm×71.7μmの測定領域で算術平均粗さRaを測定した。なお、上記算術平均粗さRaは、JIS B0601:1994に準拠して測定した。粗化処理された半硬化物の表面の算術平均粗さRaが200nm以下であることを確認した。
vi)無電解めっき処理:
粗化処理後の積層体(1)の半硬化物の表面を、60℃のアルカリクリーナ(アトテックジャパン社製「クリーナーセキュリガント902」)で5分間処理し、脱脂洗浄した。洗浄後、半硬化物を25℃のプリディップ液(アトテックジャパン社製「プリディップネオガントB」)で2分間処理した。その後、半硬化物を40℃のアクチベーター液(アトテックジャパン社製「アクチベーターネオガント834」)で5分間処理し、パラジウム触媒を付けた。次に、30℃の還元液(アトテックジャパン社製「リデューサーネオガントWA」)により、半硬化物を5分間処理した。
次に、半硬化物を化学銅液(アトテックジャパン社製「ベーシックプリントガントMSK-DK」、「カッパープリントガントMSK」、「スタビライザープリントガントMSK」、及び「リデューサーCu」)に入れ、無電解めっきをめっき厚さが0.5μm程度になるまで実施した。無電解めっき後に、残留している水素ガスを除去するため、120℃の温度で30分間アニール処理した。なお、無電解めっきの工程までの全ての工程は、ビーカースケールで処理液を2Lとし、半硬化物を揺動させながら実施した。
vii)電解めっき処理:
次に、無電解めっき処理された半硬化物に、電解めっきをめっき厚さが25μmとなるまで実施した。電解銅めっきとして硫酸銅溶液(和光純薬工業社製「硫酸銅五水和物」、和光純薬工業社製「硫酸」、アトテックジャパン社製「ベーシックレベラーカパラシド HL」、アトテックジャパン社製「補正剤カパラシド GS」)を用いて、0.6A/cmの電流を流し、めっき厚さが25μm程度となるまで電解めっきを実施した。
viii)本硬化工程:
200℃で1時間加熱して、樹脂フィルムを本硬化させて、樹脂フィルムの硬化物層を形成し、積層体(2)を得た。
ix)リフロー工程:
150mm×150mmのサイズを有する積層体(2)の中央部分をルーター加工機で切り出して100mm×100mmのサイズとした。また、加熱ゾーンの温度を1-6の6ゾーン(200℃、230℃、260℃、270℃、300℃、270℃)に設定したリフロー炉(ANTOM社製「UNI-6116H」)を用意した。次いで、切り出した積層体(2)を、このリフロー炉内に、窒素環境下(酸素濃度200ppm以下)及び搬送速度0.25m/minの条件で繰り返し通過させた。有機皮膜が配置された銅箔と樹脂フィルムの硬化物層との間に膨れ(ブリスター)が生じた際の通過回数を評価した。
[リフロー試験の判定基準]
○○:リフロー炉の通過回数が15回以上で膨れが発生
○:リフロー炉の通過回数が10回以上15回未満で膨れが発生
×:リフロー炉の通過回数が10回未満で膨れが発生
(5)伝送損失
伝送損失測定用の評価基板を下記に従い作製した。
(a)積層体(1)の作製工程:
上記の「(4)リフロー試験」のi)~iv)の方法と同様にして、積層体(1)を得た。
(b1)ビアホール形成工程:
COレーザー加工機(ビアメカニクス社製「LC-4KF212」)を用いて、バーストモード、エネルギー0.4mJ、パルス27μsec、3ショットの条件で、直径約60μmのビアホールを形成した。
(c1)デスミア処理及び粗化処理:
(c1-1)膨潤処理:
ビアホールを形成した積層体(1)を用いて、上記の「(4)リフロー試験」のv-1)の方法と同様にして、膨潤処理を行った。
(c1-2)過マンガン酸塩処理(粗化処理及びデスミア処理):
上記の「(4)リフロー試験」のv-2)の方法と同様にして、過マンガン酸塩処理を行った。
(c1-3)表面粗さの測定:
上記の「(4)リフロー試験」のv-3)の方法と同様にして、粗化処理後の積層体(1)(粗化処理された半硬化物)の表面の算術平均粗さRaを測定し、算術平均粗さRaが200nm以下であることを確認した。
(d1)無電解めっき処理:
上記の「(4)リフロー試験」のvi)の方法と同様にして、無電解めっき処理を行った。
(e1)レジスト形成:
ドライフィルムレジスト(日立化成社製「RY5125」)を、ホットロールラミネーターを用いて貼り付けた。ラミネート条件は、温度100℃、圧力0.4MPa及びラミネート速度1.5m/分とする条件とし、その後、15分間ホールドした。次いで、85mJ/cmで露光した後、1wt%の炭酸ナトリウム水溶液を27℃で、スプレー圧1.2MPa、30秒間スプレー処理して現像を行った。
(f1)電解めっき処理:
上記の「(4)リフロー試験」のvii)の方法と同様にして、電解めっき処理を行った。
(g1)DFR剥離及びエッチング処理:
3wt%の水酸化ナトリウム水溶液を用いてスプレー処理することによりドライフィルムレジスト(DFR)を剥離した。次いで、過水硫酸系の酸性エッチング液(JCU社製「SACプロセス」)にてクイックエッチングを行った。
(h1)本硬化工程:
200℃で1時間加熱して、樹脂フィルムを本硬化させて、樹脂フィルムの硬化物層を形成した。
このようにして、有機皮膜が配置された銅箔を有する銅張積層板上に、樹脂フィルムの硬化物層と金属層(配線回路層)とを配置した。なお、この樹脂フィルムの硬化物層と金属層(配線回路層)とをまとめて、「1層目の絶縁-配線回路複合層」と称することがある。また、1層目の絶縁-配線回路複合層における配線回路層を「1層目の配線回路層」と称することがある。
2層目の絶縁-配線回路複合層の形成:
(a1)1層目の配線回路層上への有機皮膜の形成工程:
実施例1~7,9及び比較例1~3では、焼成後、1層目の配線回路層の表面をエッチング処理して、配線回路層の表面の算術平均粗さRaが0.1μmとなるように粗化処理した。実施例8では、1層目の配線回路層の表面を防錆処理して、配線回路層の表面の算術平均粗さRaを0.01μmとした。
次いで、表2,3に示す有機皮膜の材料中に、粗化処理又は防錆処理した配線回路層の表面を60秒間浸漬した。浸漬後、配線回路層の表面を水で洗い流し、乾燥及び焼成することにより、有機皮膜を形成した。このようにして、配線回路層の上面及び側面に有機皮膜を形成した。
(a2)ラミネート工程:
次いで、上記の(a)積層体(1)の作製工程で実施したラミネート条件で、1層目の絶縁-配線回路複合層上に、積層フィルムの樹脂フィルム(Bステージフィルム)側をラミネートした。PETフィルムを剥がした後、130℃で60分間加熱して樹脂フィルムを予備硬化させた。このようにして、1層目の絶縁-配線回路複合層上に樹脂フィルムの半硬化物が積層されている積層体(2)を得た。
(b2)ビアホール形成工程:
(b1)ビアホール形成工程で実施した工程を、積層体(1)を積層体(2)に変更したこと以外は同様にして、ビアホールを形成した。
(c2)デスミア処理及び粗化処理:
(c1)デスミア処理及び粗化処理で実施した工程を、積層体(1)を積層体(2)に変更したこと以外は同様にして、粗化処理後の積層体(2)を得た。
(d2)無電解めっき処理:
(d1)無電解めっき処理で実施した工程を、粗化処理後の積層体(1)を粗化処理後の積層体(2)に変更したこと以外は同様にして、無電解めっき処理を行った。
(f2)電解めっき処理:
(d2)無電解めっき処理を行った後、(f1)電解めっき処理と同様にして、電解めっき処理を行った。
(h2)本硬化工程:
(h1)本硬化工程と同様にして、200℃で1時間加熱した。
このようにして、1層目の絶縁-配線回路複合層上に2層目の絶縁-配線回路複合層を形成した。
このようにして、有機皮膜が配置された銅箔を有する銅張積層板上に、1層目~2層目の絶縁-配線回路複合層が形成された評価基板を作製した。得られた評価基板では、両面銅張積層板上の銅箔、1層目~2層目の配線回路層のうち、1層目の配線回路層のみがパターンを有している。1層目の配線回路層は信号層である。
図3は、実施例及び比較例で作製された評価基板の信号層近傍を拡大して示す模式的部分断面図である。図3において、符号31,32は絶縁層を示し、符号42は配線回路層(信号層)を示し、符号41,43は信号層とは異なる配線回路層(グランド層)を示し、符号51,52は有機皮膜を示す。配線回路層41は、両面銅張積層板上の銅箔(グランド層)である。絶縁層31は、1層目の絶縁-配線回路複合層における絶縁層(樹脂フィルムの硬化物層)である。配線回路層42は、1層目の絶縁-配線回路複合層における配線回路層(信号層)である。絶縁層32は、2層目の絶縁-配線回路複合層における絶縁層(樹脂フィルムの硬化物層)である。配線回路層43は、2層目の絶縁-配線回路複合層における配線回路層(グランド層)である。得られた評価基板において、配線回路層42の上面の幅W1及び下面の幅W2はそれぞれ25μmであり、配線回路層42の厚みtは15μmであり、絶縁層31,32の厚みH1,H2はそれぞれ40μmであった。
配線回路層(信号層)の伝送路について、下記の手順に従い、伝送損失を測定した。
伝送損失の評価:
40GHz エア・コプレナ・プローブ(カスケード・マイクロテック社製「ACP40-A-GSG-150」)をセットしたプローブステーションM150(カスケード・マイクロテック社製)の測定テーブルに、得られた評価基板を静置した。次いで、LRMインピーダンス基準基板(カスケード・マイクロテック社製)及びキーサイトテクノロジー社製「ベクトル型ネットワークアナライザーN5224A」を用いて、測定システムの校正を行った後、評価基板の測定ポイントに40GHz エア・コプレナ・プローブを伝送路の両端パッドに接触させた。キーサイトテクノロジー社製「ベクトル型ネットワークアナライザーN5224A」を用いて、周波数100MHzから40GHzの範囲で、1層目の配線回路層(信号層)の伝送損失の絶対値を測定した。なお、伝送損失は、ベクトル型ネットワークアナライザーで測定されたS12(TouchStone Formatより算出)から、20Log(S21)を求めることにより得た。
[伝送損失の判定基準]
○○:38GHzにおける伝送損失の絶対値が3.5dB/inch未満
○:38GHzにおける伝送損失の絶対値が3.5dB/inch以上4dB/inch未満
×:38GHzにおける伝送損失の絶対値が4dB/inch以上
構成及び結果を下記の表2,3に示す。
Figure 2022063605000006
Figure 2022063605000007
1…金属層
2…有機皮膜
3…樹脂材料の硬化物層
3X…樹脂材料
10…積層体
11…多層プリント配線板
12…回路基板
12a…上面
13~16…絶縁層
17…金属層
18…有機皮膜
31,32…絶縁層
41…配線回路層(グランド層)
42…配線回路層(信号層)
43…配線回路層(グランド層)
51,52…有機皮膜

Claims (25)

  1. 金属層と、
    前記金属層の表面上に配置された有機皮膜と、
    前記有機皮膜の前記金属層とは反対側の表面上に配置された樹脂材料の硬化物層とを備え、
    前記樹脂材料が、ビスマレイミド・トリアジン樹脂とは異なりかつマレイミド骨格を有する化合物Xを含む、積層体。
  2. 前記化合物Xが、マレイミド骨格を構成する窒素原子に直接結合した脂肪族鎖を有する、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記化合物Xが、イミド結合を有する構造単位を、繰り返し構造単位として有する、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記化合物Xの分子量が、3000を超える、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記樹脂材料が、エポキシ化合物を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記樹脂材料が、硬化剤を含み、
    前記硬化剤が、活性エステル化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記樹脂材料が、エポキシ化合物と、ビニル化合物と、硬化剤とを含み、
    前記硬化剤が、活性エステル化合物を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記樹脂材料が、充填材を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記充填材が、絶縁性充填材である、請求項8に記載の積層体。
  10. 前記充填材が、無機充填材である、請求項8又は9に記載の積層体。
  11. 前記有機皮膜の材料が、前記化合物Xと結合可能な官能基を有する化合物Yを含み、
    前記樹脂材料の硬化物層と前記有機皮膜との界面において、前記化合物Xと、前記化合物Yとが結合している、請求項1~10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 前記化合物Yが、アミノ基を有する、請求項11に記載の積層体。
  13. 前記化合物Yが、シラノール基又はアルコキシシリル基を有する、請求項11又は12に記載の積層体。
  14. 前記化合物Yが、シラノール基を有し、
    前記有機皮膜において、前記シラノール基が部分的に脱水縮合し、シロキサン基を形成している、請求項11~13のいずれか1項に記載の積層体。
  15. 前記化合物Yが、トリアジン骨格を有する、請求項11~14のいずれか1項に記載の積層体。
  16. 前記有機皮膜の厚みが、1nm以上1μm以下である、請求項1~15のいずれか1項に記載の積層体。
  17. 前記金属層が、銅層である、請求項1~16のいずれか1項に記載の積層体。
  18. 前記金属層の前記有機皮膜側の表面の算術平均粗さが、0.15μm以下である、請求項1~17のいずれか1項に記載の積層体。
  19. 前記金属層の前記有機皮膜側の表面の算術平均粗さが、0.01μm以下である、請求項1~18のいずれか1項に記載の積層体。
  20. 前記樹脂材料の硬化物層が、絶縁層として用いられる、請求項1~19のいずれか1項に記載の積層体。
  21. 請求項1~20のいずれか1項に記載の積層体を備える、多層プリント配線板。
  22. 高速通信用多層プリント配線板である、請求項21に記載の多層プリント配線板。
  23. 請求項1~20のいずれか1項に記載の積層体の製造方法であって、
    表面に有機皮膜が配置された金属層を得る工程と、
    前記有機皮膜の前記金属層とは反対側の表面上に樹脂材料を配置する配置工程と、
    前記樹脂材料を100℃以上200℃以下の温度で加熱して、樹脂材料の硬化物層を得る加熱工程とを備え、
    前記樹脂材料が、ビスマレイミド・トリアジン樹脂とは異なりかつマレイミド骨格を有する化合物Xを含む、積層体の製造方法。
  24. 前記有機皮膜の材料が、前記化合物Xと結合可能な官能基を有する化合物Yを含み、
    前記加熱工程において、前記化合物Xと、前記化合物Yとが結合する、請求項23に記載の積層体の製造方法。
  25. 請求項1~20のいずれか1項に記載の積層体を得るための積層体作製キットであって、
    表面に有機皮膜が配置された金属層と、
    樹脂材料とを備える、積層体作製キット。
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