JP2749882B2 - 電子写真感光体の表面粗面化処理方法 - Google Patents

電子写真感光体の表面粗面化処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電子写真感光体の表面粗面化処理方法に関
し、詳しくは、良好なクリーニング性および画像特性を
有する電子写真感光体の表面粗面化処理方法に関するも
のである。
〔従来の技術〕
一般に電子写真プロセスでは、電子写真感光体に対し
て、少なくとも帯電、露光、現像、転写、クリーニング
工程からなるサイクルを繰り返し行う。特に、転写工程
後、感光体上の残存トナーを除去するクリーニング工程
は常に鮮明なコピー画像を得るために重要な工程であ
る。
このクリーニングの方法としては、通常、以下の2通
りである。
1つはブレードと称するゴム性の板形状部材を感光体
上に圧接して感光体とブレードとの間の隙間を無くし、
トナーのすり抜けを防いで残存トナーをかき取る方法で
あり、もう1つはフアーブラシのローラを感光体表面に
接するように回転させて残存トナーを抜き取る。または
叩き落す方法である。このうち、ゴムブレードの方が安
価であり、設計も容易なため、現在ではブレードを用い
るクリーニングが主流を占めている。特に天然色カラー
現像を行う場合には、マゼンタ、シアン、イエローの3
原色あるいは、さらにブラツクを含めた4色を重ねるこ
とによって、天然色を出しているので、トナーの使用量
が通常の1色現像よりはるかに多く、そのためゴムブレ
ードを感光体に圧接するクリーニング方法を用いること
が最適である。
また、クリーニングブレードを感光体に圧接する方法
としては、感光体1の回転方向に対して、第5図(a)
に示したようなカウンター方向51と、第5図(b)に示
したような順方向52とがあり、クリーニグ性はカウンタ
ー方向の方が優れていることが知られている。
しかしながら、優れたクリーニング性を示すクリーニ
ングブレードは、感光体との摩擦力が大きいため、クリ
ーニングブレードの反転が起りやすいという欠点があっ
た。このクリーニングブレードの反転は、例えば第5図
(a)に示したカウンター方向のクリーニングブレード
59が感光体10の移動方向A、すなわちカウンター方向と
反対方向53に反ってしまう現象である。
このクリーニングブレードの反転という現象は、感光
体の高寿命化のために感光体表面を硬く、すなわち削れ
難くした場合にはさらに生じ易い。また、画質向上のた
めにトナーの粒径が均一化され微小なトナーが除去され
ると、トナーがクリーニングブレードと感光体表面の隙
間に入ることによって引き起される潤滑性が薄れ、より
一層ブレードの反転が生じ易くなる。
また、天然色カラー現像を行う場合には、1枚の画像
を出すのにマゼンタ、シアン、イエローの3色、あるい
はブラツクを含めた4色のトナーを用いて、3回あるい
は4回の現像を行うため、クリーニングブレードにかか
る負荷が大きくなり、ブレードの反転や、さらにはエツ
ジ部の欠けが生じやすくなる。
また、感光体の表面層が有機物からなる場合、無機表
面に比べて、ブレードと感光体表面の摩擦抵抗が増大
し、特にブレードの反転やエツジ部の欠けが発生し易く
なる。
そこで本件出願人は先に、特願昭62−257669号におい
て、感光体表面をあらかじめ粗面にしておくことを提案
した。これによれば、感光体表面とクリーニングブレー
ドとの接触面積を低下させ、また微小なトナーが感光体
表面とブレードとの隙間へ適度にもぐり込むことによっ
て生ずる潤滑性を持たせ易くするので、クリーニングブ
レードの反転等のクリーニング不良が防止できるもので
ある。
一方、感光体表面を粗面にする方法としては、特開昭
53−92133号や特開昭57−94772号公報に記載されている
ようにブラシや研磨剤を用いたりしたサンドブラスト法
などによる機械的な研磨の方法、特開昭53−92133号公
報に記載されているように塗工時の乾燥条件等で表面を
ゆず肌状にする方法や溶剤にさらす方法、さらには特開
昭52−26226号公報に記載されているように表面層にあ
らかじめ粉体粒子を添加して塗工し粗面にする方法等が
ある。このうち機械的に研磨する方法はクリーニングブ
レードと感光体表面の潤滑性を上げるという点で最も好
ましい。それは機械研磨することによって発生する感光
体表面の削り粉がそのまま潤滑剤として作用するためで
ある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、研磨剤を感光体上に圧接して粗面化す
る従来の機械研磨方法では、研磨剤の圧接条件を制御す
ることが難しく、均一な粗面を感光体表面全域に渡って
安定に得ることは困難であった。特に感光体が偏心して
いる場合には、その部分に未粗面化部分が顕著に現われ
やすかった。
本発明の目的は、感光体表面全域に渡って均一な粗面
化状態を得ることができる電子写真感光体の表面粗面化
処理方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、クリーニングブレードの反転
やエツジ部の欠けなどによるクリーニング不良を防止す
るような粗面化状態を形成することができる電子写真感
光体の表面粗面化処理方法を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、前述の問題点を解決すべく鋭意検討を
重ねた結果、特定の表面粗面化処理が優れた電子写真感
光体を製造することができることを見い出した。
すなわち、本発明はフイルム状研磨材を摺擦すること
により電子写真感光体の表面を粗面化処理する方法にお
いて、電子写真感光体に対し硬度30゜以上85゜以下の弾
性部材によってフイルム状研磨材を圧接することを特徴
とする電子写真感光体の表面粗面化処理方法である。
以下本発明を具体的に説明する。
第1図および第2図は本発明の表面粗面化処理方法を
行う装置の具体例の概略図を示す。時計回りまたはその
反対回りに回転する電子写真感光体10にはフイルム状研
磨材11が摺擦しており、この研磨材11は感光体10の回転
軸方向と交差する方向12に移動している。一方、フイル
ム状研磨材11は送り出しローラー14から送り出されて巻
き取りローラー15によって巻き取られる。この際、弾性
部材であるゴムローラー13が研磨材11を感光体10に対し
て圧接している。
この方向12に移動している研磨材を感光体10の回転軸
方向と平行方向に移動させれば感光体表面全域にわたっ
て均一に粗面化することができる。なお、この装置は立
てて用いてもよいし横にして用いてもよい。
本発明における弾性部材の硬度は30゜以上85゜以下で
あるが、さらに好ましくは45゜以上75゜以下である。な
お、弾性部材の硬度の測定はJISK−6301に準拠した測定
法によるJIS−A型硬度測定器(テクロツクGS706,テク
ロツク社製)により行なった。
硬度が30゜未満であると感光体の偏心等により研磨材
と接触しない部分ができるために、部分的な未粗面化あ
るいは不充分な粗面化状態となり、ブレード反転が起っ
てしまう。また、硬度が85゜を越えると感光体に深い傷
が入ってしまい、画像欠陥が発生してしまう。そこで硬
度を30゜以上85゜以下とすることにより、研磨材が感光
体に均一に圧接されるので感光体表面の均一な粗面化が
可能となる。
本発明における弾性部材は、前記具体例で用いたロー
ラーの他、回転しない押え部材でもよい。弾性部材の材
質としてはウレタン系、シリコン系、ジエン系等のゴム
やゴム類似物質が挙げられる。
本発明の実施に用いるフイルム状研磨材としては酸化
アルミニウム、シリコンカーバイト、酸化クローム、ダ
イヤモンド等の研磨微粒子をポリエステル等の高分子フ
イルム基材に塗布、固定したものがある。
本発明の表面粗面化処理方法によって形成される感光
体表面の粗面化状態はJIS規格B0601で定義される10点平
均面粗さRz(以下、単に平均面粗さと略す)が、好まし
くは0.3μm以上5.0μm以下であり、更に好ましくは0.
3μm以上2.0μm以下である。平均面粗さを5.0μmよ
り大きくすると画像欠陥としてスジ状のものが画像に現
われやすくなる。
また、平均面粗さが0.3μmより小さい場合、クリー
ニングブレードと感光体表面の摩擦はほとんど緩和され
ず、また感光体表面が平坦なため、粗面にした効果が認
められにくい。
本発明の電子写真感光体10は、第3図に示すように導
電性支持体31上に感光層32が積層されており、この感光
層32は好ましくは電荷発生層33と電荷輸送層34に機能分
離された積層型感光層である。
導電性支持体31は、アルミニウム、アルミニウム合
金、ステンレスなどの金属、導電性物質を単独または適
当なバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金
属、あるいは導電処理したプラスチツクや紙などをドラ
ム状またはシート状に成型したものなどを用いることが
できる。
電荷発生層33は、アゾ顔料、キノン顔料、キノシアニ
ン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン
顔料などの電荷発生物質を、ポリビニルブチラール、ポ
リスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリカーボネートなどの結着剤樹脂に分散含有さ
せて形成することができ、また、真空蒸着装置によって
蒸着膜として形成することもできる。好ましい膜厚は、
0.01μm〜3μmである。
電荷輸送層34は、スチリル系化合物、ヒドラゾン系化
合物、トリアリールアミン系化合物、カルバゾール系化
合物、オキサゾール系化合物、ピラゾリン系化合物など
の電荷輸送物質を、ポリアリレート、ポリスチレン、ア
クリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネートなどの結
着剤樹脂に含有させて形成することができる。好ましい
膜厚は10μm〜30μmである。
また、感光層32の構成として、電荷発生層33は電荷輸
送層34の上に形成してもよく、さらに、感光層32は前述
の電荷発生物質と電荷輸送物質を同一層に含有させた単
一層型であってもよい。
さらに、導電性支持体31と感光層32の間には接着性お
よびバリヤー性向上のための下引き層などの中間層を設
けてもよい。また、感光層32の上には保護層を設けても
よい。
本発明の電子写真感光体は、少なくともその表面が樹
脂層になっており、研磨粒子により削られた樹脂の削り
粉が微細で適度な硬さをもつため感光体表面粗面化に対
して有効に作用する。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成プロセスの
具体例を第4図に示す。
感光体10の周囲には、前露光ランプ41、1次帯電器4
2、露光手段43、現像器44、転写帯電器45、クリーニン
グブレード46を有するクリーナ47、および定着器48が基
本構成として配置されている。
このプロセスではまず、矢印方向に回転する感光体10
に対し、感光体10に残っている残留電位を前露光ランプ
41で光を当てて除電する。除電された感光体10上に1次
帯電器42より帯電を行う。次に露光手段43より露光を行
い原画像に対応した画像情報を投影して静電潜像を感光
体10上に形成する。感光体10上の静電潜像は現像器44に
より現像される。現像によって形成されたトナー像は矢
印方向49に移動する被転写材上に転写帯電器45によって
転写される。被転写材に転写されなかった感光体10上の
残トナーはクリーニングブレード46を有するクリーナ47
によってかき落しクリーニングされる。一方、トナー像
が転写された被転写材は定着器48に搬送されたトナーが
定着される。
このプロセスにおいては、露光手段43はハロゲンラン
プ、蛍光灯、レーザーなどを用いることができる。ま
た、転写前帯電などの他の補助プロセスを用いてもよ
い。また、現像は正現像でも反転現像でもよい。
実施例1 80φ×360mmのアルミニウムシリンダーを支持体と
し、これにナイロン(6−66−610−12四元ナイロン共
重合体)の5%メタノール溶液を浸漬塗布し1μm厚の
下引き層を設けた。
次に下記構造式 のジスアゾ顔料を10部(重量部、以下同様)ポリビニル
ブチラール(ブチラール化度68%数平均分子量20000)
5部およびシクロヘキサノン50部を1φガラスビーズを
用いたサンドミルで20時間分散した。この分散液にメチ
ルエチルケトン70〜120(適宜)部を加えて下引層上に
塗布し膜厚0.1μmの電荷発生層を形成した。
次に、ビスフエノールZ型ポリカーボネート(粘度平
均分子量30000)10部、下記構造式 のヒドラゾン化合物10部をモノクロルベンゼン65部中に
溶解し、この溶液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し18μ
m厚の電荷輸送層を形成して電子写真感光体を作製し
た。この感光体の表面平均面粗さは0.0μmであった。
次に、厚さ50μm、幅50mm、フイルム粒度6.0μmの
フイルム状研磨材(住友スリーエム社製、ラツピングフ
イルム)を第1図,第2図と同様の表面粗面化処理装置
の送り出しローラー14と巻き取りローラー15にセツトし
た。弾性部材として硬度60゜のウレタンゴムローラー
(径40mm)を用いて第1図,第2図のようにフイルム状
研磨材を感光体に圧接させた。この装置ではフイルム状
研磨材は1分間に25mmの速度で移動するようになってい
る。
この装置を用い、作製した感光体を回転させながら32
0mmの幅で表面の粗面化処理を行ったところ感光体の表
面全域に渡って平均面粗さ(Rz)1.0μm、最小面粗さ
0.6μm、最大面粗さ1.6μmであった。
この感光体を使用して、帯電、像露光、現像、転写お
よびポリウレタンゴムによるクリーニングブレード(線
圧11.5g/cm)を有する第4図と同様の構成の電子写真装
置(NP−3525、キヤノン製)に組み入れて繰り返し画像
出し評価を行った。
その結果、クリーニングブレードの反転等によるクリ
ーニング不良は発生せず、またコピー画像を目視により
注意深く観察したところ、表面粗面化に起因する画像欠
陥は見られずに良好なコピー画像が10万枚まで得られ
た。
比較例1 実施例1の装置でゴムローラーの硬度を90゜のものに
換えて粗面化処理を行なったところ、感光体の表面の平
均面粗さは3.3μm、最小面粗さ1.3μm、最大面粗さ7.
7μmとなった。これはゴムローラーの硬度が高いため
に粗面化する場合の研磨材の感光体への押し圧が高くな
りすぎたために感光体表面に深い傷が発生した。このよ
うにして処理した感光体を実施例1で用いた電子写真装
置に組み入れて画像出し評価を行なったところ、5μm
以上の深い傷の所がスジとなって画像に現われてしまっ
た。
実施例2,3,4,5および6 実施例1の装置で用いられたフイルム粒度6μmの研
磨材のかわりに、フイルム粒度9μmの研磨材を用いて
表1に示す硬度の弾性部材を用いて粗面化処理を行なっ
た。得られた表面の平均面粗さ(Rz)、最小面粗さ、最
大面粗さ及び電子写真装置に組み入れて10万枚の耐久評
価の結果を表1に同時に示す。
比較例2および3 実施例2で用いた硬度の弾性部材のかわりに表2に示
す硬度のものを用いて粗面化処理を行なった。
以上に示したように、研磨材を電子写真感光体に圧接
するために用いられる弾性部材の硬度を30゜以上85゜以
下のものを用いて粗面化することによって、均一な粗面
を得ることが出来、クリーニングブレードの反転やスジ
状の画像欠陥を防止することが出来た。
〔発明の効果〕
以上説明したように、フイルム状研磨材を電子写真感
光体に圧接するために用いられる弾性部材の硬度が30゜
以上85゜以下のものを用いることによって、均一な面を
感光体表面全域に渡って安定に得ることが出来、電子写
真装置に入れて使用してもクリーニングブレードの反転
がなく、常に良質な画像を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の表面粗面化処理方法を実施するための
装置例の概略的斜視図、第2図は第1図の装置を上部か
ら見た概略図、第3図は電子写真感光体の断面模式図、
第4図は電子写真装置における画像形成プロセスを説明
するための断面模式図、第5図はクリーニングブレード
と電子写真装置の当接関係を示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榊原 悌互 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−219960(JP,A) 特開 昭57−94772(JP,A) 特開 昭59−146058(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フイルム状研磨材を摺擦することにより電
    子写真感光体の表面を粗面化処理する方法において、電
    子写真感光体に対し硬度30゜以上85゜以下の弾性部材に
    よってフイルム状研磨材を圧接することを特徴とする電
    子写真感光体の表面粗面化処理方法。
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