JP2747044B2 - p―n接合を有する立方晶窒化ほう素半導体の製造法 - Google Patents

p―n接合を有する立方晶窒化ほう素半導体の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は発光ダイオード、特に紫外光を出す発光ダイ
オード等に使用されるp−n接合を有する立方晶窒化ほ
う素(以下c−BNという)半導体の製造法に関する。
[従来の技術] c−BNは六方晶窒化ほう素(以下h−BNという)を触
媒の存在下、c−BNの熱力学的安定領域である高温高圧
処理することにより製造される。
近年c−BNの優れた半導体特性、特にエネルギーバン
ドギャップが6.4eV以上と非常に広く、また適当な不純
物を添加することでp型、n型の両方が容易に得られる
ことからp−n接合させて発光ダイオード素子材料及び
耐高温半導体等の応用が試みられている(無機材研ニュ
ース第110号,昭和63年6月,特開昭63−274129)。
従来発光ダイオードとして主としてGaP,GaAs等が実用
化されている。
[発明が解決しようとする課題] GaPやGaAs発光ダイオードは赤外、赤、緑程度迄に限
られており、その整流作用は250℃以下であり、シリコ
ン半導体では150℃以下である。
c−BN半導体はさらに高温で整流作用があり、エネル
ギーバンドギャップが大きいことから紫外光の発光が可
能である。
電気素子として使用するには大型のc−BN単結晶が必
要であるが、c−BN単結晶はGaPやGaAsのように大きな
ものを簡単につくることができない。
現在大型のc−BN単結晶を得る方法としてh−BN(又
はc−BN微粉)、c−BN合成触媒(以下単に触媒という
こともある。)、c−BNシードを順に層状に配置し、h
−BN側を高温にし、c−BNシールド側の低温にする温度
勾配をつけて高温高圧処理し、h−BN(またc−BN微
粉)を溶融触媒中に溶かし、シード上にc−BNを析出さ
せるいわゆる温度差法が知られている。この他本発明者
らが発明した炭素源を添加したh−BN層と触媒層を積層
し大型板状のc−BN結晶を得る方法がある(特願平1−
51878)。
c−BNのp−n接合をつくるにはp型又はn型のc−
BN半導体結晶とこれとは異なる型のドープを添加したc
−BN合成原料及び触媒を超高圧装置に装填し、前記半導
体結晶上に新たにc−BN半導体結晶を成長させている。
この場合必然的に予じめ配置したc−BN半導体結晶の表
面すべてにc−BNが析出する。従って、これをp−n接
合の発光ダイオードとして使用するには一方の面を削り
取らねばならない。しかしc−BNは硬いので削り取るの
は容易ではない。
本発明は直接p−n接合を有するc−BN半導体結晶の
製造を可能とし、さらに望ましくは板状のc−BNでp−
n接合をつくることを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明はp型又はn型のc−BN半導体結晶基体を用
い、この基体の1部、例えば基体が板状である場合はそ
の片面にc−BN結晶成長阻害層を設け、この基体とh−
BN、触媒及び前記と異なる型のドープ剤とを混合、ある
いは積層等で超高圧装置に装填し、c−BNの熱力学的安
定領域の高温、高圧下におき、前記結晶成長阻害層のな
い面に前記ドープ剤を含むc−BN半導体結晶を成長させ
てp−n接合を行なう方法である。
p型又はn型のc−BN半導体はh−BNと触媒及びドー
プ剤、例えばp型の場合は1%(重量%以下同じ)程度
のBe,n型の場合は5%程度のSiを混合し、超高圧、高温
下で合成される。これによって、Be 500〜2000ppm,Si 5
00〜2000ppm程度ドープする。基体の形状は望ましくは
板状のc−BNである。これはh−BNに少量のC源を添加
したものを層状に成形し、別に触媒を層状に成形し、こ
れらの層状物を交互に積層し、超高圧、高温下で合成す
ることにより得られる(特願平1−51878)。C源とし
てはステアリン酸等の脂肪酸、メラミン、尿素等の有機
物、炭素粉末等が用いられる。触媒はいずれの場合もL
i,Na等のアルカリ、これらの窒化物(Li3N等)、Ca,Sr,
Mg等のアルカリ土類、これらの窒化物(Ca3N3等)、複
窒化物(Ca3BN2,LiCaBN2,LiBaBN2等)等が使用される。
これに水素化アルカリ等を混合することが好ましい。圧
力、温度はc−BNの熱力学的安定領域であるが特に40〜
60kb、1200〜1600℃が適する。
板状c−BNは結晶が(111)面より主として構成さ
れ、合成された状態ではその形状が六角形をなしてい
る。板状比は2〜20程度で大きさは500〜1000μmのも
のが多い。本発明では六角形のまま用いてもよいが任意
の形に加工してもよい。この板状のc−BNが基体として
望ましいが、その他の形状のものも本発明の適用が可能
である。
このc−BN基体の1部、例えば板状の片面にc−BN結
晶成長阻害層を設ける。それには例えば基体を一層敷
き、これに上方からスパッター、溶射等により金属の膜
をつける。阻害層の材質としてはc−BN合成温度で溶融
しないもので、金属ならZr,Mo等が望ましい。その他阻
害層を設ける方法として板状のc−BNをステンレス板上
に接着剤を用いて固定し、空気中で400℃以上の温度で
熱処理する。これによってc−BNの表面にB2O3を主体と
した酸化皮膜が形成される。この皮膜は薄くても効果が
あり、この面にはc−BNは成長しない。熱処理によって
接着剤は炭化し、c−BNはステンレス板から離れる。c
−BNは炭化物が付着していても次のc−BNの合成中に除
去され、その面だけにc−BNが成長する。
このc−BN基体を用いてp−n接合を行なう。それに
はc−BN基体、h−BN、触媒及び基体のドープ剤と異な
るドープ剤を混合するが、或いは触媒を層状にし、別に
h−BNとc−BNの混合物を層状にし、これらを積層して
超高圧装置に装填し、c−BN合成を行なう。ドープ剤は
いずれかの層中に含有させておく。合成条件は前記の場
合と同様である。
この合成によってc−BNの結晶成長阻害層のない面に
c−BN結晶が成長し、そこにp−n接合が生じる。
合成後にこの結晶成長阻害層を除去する。阻害層が金
属の場合は酸、例えば王水によって溶解除去する。B2O3
の場合は簡単に水洗によって除去できる。
[作用] c−BNの生成は種子があればそれを核として優先的に
起るが、本発明ではc−BNの基体が核と同様の作用を
し、結晶成長阻害層のない面で成長が起る。従って板状
のc−BNを用いれば板状のp−n接合体が得られる。そ
して結晶成長阻害層を設けた面にはc−BNは成長しな
い。これによって表面のp型又はn型の研磨除去の工程
を要せずしてp−n接合が得られる。
[実施例1] h−BN(昭和電光製UHP−1:粒度・平均粒度6〜8μ
m、純度99.6%、B2O30.3%)100部(重量部以下同じ)
にC源としてステアリン酸(CH3(CH216(COOH))1
部を添加混合し、成形した。次にc−BN合成触媒として
LiCaBN2100部に水素化アルカリを10部、Beを1部添加混
合して成形した。その後h−BN成形体とc−BN合成触媒
成形体とを積層した試料を約50kb、約1500℃の条件下で
処理することにより、板状で濃青色のp型のc−BN結晶
を成長させることができた。大きさ約750μm、厚さ約1
50μmである。
得られたp型のc−BN結晶をスパッタリング装置を用
いて、表面にMoを成膜させた。Moの膜は、数千Å程度で
あった。
続いて、h−BN100部にC源としてステアリン酸1部
と、前記金属被膜をほどこしたp型のc−BN粒子0.1部
を加え混合成形する。次にc−BN合成触媒として、LiCa
BN2100部に水素化アルカリを10部、Siを5部添加混合し
て成形する。両者を積層してp型のc−BN粒子を成長さ
せた方法でn型を薄く成長させた。その結果n型は、金
属被膜のない面のみ成長が認められた。n型の厚さは50
μmである。
合成後得られたp−n接合は、単結晶のp型の上にn
型がエピタキシャルに成長したものであった。このもの
のBeは1300ppm,Siは1500ppmである。
この結晶をH2SO4で酸洗した後、p型、n型のそれぞ
れに電極を設けて、電圧(V)−電流(I)測定を行な
ったところ、整流特性が得られ、p−n接合ができてい
ることが確認された。
[実施例2] まず、実施例1と同一条件でp型のc−BN結晶を成長
させる。得られたp型のc−BN結晶をステンレス板の上
へ市販の接着剤を用いて固定する。この際後の成長を考
慮して、接着剤はなるべく薄く付けるのが好ましい。こ
の後、このステンレスの板ごと400℃の温度で酸素雰囲
気中で熱処理を行なう。熱処理後c−BN結晶を光学顕微
鏡で観察すると、酸化された表面は、B2O3を主体とした
酸化被膜により白っぽくなっていた。
続いて、h−BN100部にこの酸化処理をほどこしたp
型のc−BN粒子0.1部を加え混合し、実施例1と同一条
件でn型を薄く成長させた。その結果n型は酸化被膜の
ない面のみ成長が認められた。
この結果を、p型,n型のそれぞれに電極を設けて電圧
(V)−電流(I)測定を行なったところ、整流特性が
得られ、p−n接合ができていることが確認された。
[効果] 以上により、立方晶窒化ほう素のp−n接合結晶を得
る際、最初からp,nのそれぞれの端面が出ているため、
ダイヤモンドによる研摩加工工程が不要となり、合成後
直接電極を付けることが可能となる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】p型又はn型の立方晶窒化ほう素半導体結
    晶の基体の1部の面に立方晶窒化ほう素結晶成長阻害層
    を設け、該基体、六方晶窒化ほう素、立方晶窒化ほう素
    合成触媒及び前記と異なる型のトープ剤とを超高圧装置
    に装填し、立方晶窒化ほう素の熱力学的安定領域下にお
    くことにより、前記基体の結晶成長阻害層のない面に前
    記ドープ剤を含む立方晶窒化ほう素半導体結晶を成長さ
    せることを特徴とするp−n接合を有する立方晶窒化ほ
    う素半導体の製造法。
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