JP2744692B2 - 圧延機のロール組替装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、圧延機内にストリップが存在する状態でロ
ールの組替えを可能としたロール組替装置に関する。

＜従来の技術＞ 連続圧延ラインを構成する圧延機では、ワークロール
等の交換をストリップを切断することなく且つ迅速に行
うことが要求されている。特公平２−18162号公報に
は、このような要求を満たす組替装置の例として、ロー
ルアッセンブリの組替えを圧延機内のストリップとの干
渉を避けながら容易に行えるようにしたものが提案され
ている。以下、この装置によるロール組替作業の概要を
第７図〜第９図を参照して説明する。

第７図に示すように、圧延機内には、ストリップ１を
上下に挾んで、上下ワークロール2,3および上下チョッ
ク4,5等から成る上下ワークロールアッセンブリ6,7が配
置されている。上下ワークロールアッセンブリ6,7には
それぞれ車輪８が取り付けられており、ハウジング９に
着脱される上部支持部材たるトップレール10および下部
支持部材たるボトムレール11上を、ストリップ１のパス
ラインと直交する方向に走行するようになっている。一
方、圧延機の作業側外部に敷設されたレール12上には、
上部にボトムレール11と接続する移載レール13が取り付
けられた組替台車14に載置されている。

組替作業に当たっては、先ず、図示しない圧延機のバ
ランスシリンダにより上下ワークロールアッセンブリ6,
7を上昇させ、その状態でトップレール10とボトムレー
ル11とをハウジング９に取り付ける。次に、上下ワーク
ロールアッセンブリ6,7を下降させ、各車輪８をレール1
0,11上に載置し、同時に連結棒15による一体化を行う。
そして、組替台車の移載レール13をボトムレール11と接
続し、一体化された上下ワークロールアッセンブリ6,7
を第８図に示すように作業側に引出す。

一方、第９図に示すように、下ワークロールアッセン
ブリ７の作業側チョック５および駆動側チョック５には
歯車16と一体のスペーサラッチ17,18がピン19を介して
それぞれ回動自在に取り付けられている。そして、駆動
側チョック５には、更に歯車16と噛み合う歯車20が回動
自在に取り付けられている。また、ハウジング９の側面
には上記歯車16,20と噛み合うラック21が取り付けられ
ている。そのため、上下ワークロールアッセンブリ6,7
が引出されるのに伴って、作業側チョック５の歯車16す
なわちスペーサラッチ17がラック21によって反時計回り
に所定角度回転させられて起立する。そして、上ワーク
ロールアッセンブリ６の作業側の車輪８がトップレール
10から外れると、上ワークロールアッセンブリ６の作業
側チョック４がスペーサラッチ17により支持される。

上下ワークロールアッセンブリ6,7を更に引出し、駆
動側チョック５の車輪８がトップレール10から外れる直
前になると、今度は駆動側チョック５の歯車20とラック
21とが噛み合い、歯車20と噛み合う歯車16すなわちスペ
ーサラッチ18が時計回りに所定角度回転させられて起立
する。そして、上ワークロールアッセンブリ６の駆動側
の車輪８がトップレール10から外れた段階で、上ワーク
ロールアッセンブリ６が連結棒15と両スペーサラッチ1
7,18とにより完全に支持される。この状態で、更に引出
すことにより、上下ワークロールアッセンブリ6,7の組
替台車14への移載が完了する。

次に、メインテナンス済みの上下ワークロールアッセ
ンブリ6,7を組替台車14に搭載して運び、ハウジング９
の作業側から挿入する。すると、先ず上ワークロールア
ッセンブリ６の駆動側チョック５の車輪８がトップレー
ル10に乗り上げる。そして、歯車20がラック21と噛み合
い、歯車20と噛み合う歯車16すなわちスペーサラッチ18
が最前とは逆に反時計回りに所定角度回転させられて転
倒する。

上下ワークロールアッセンブリ6,7を駆動側に更に移
動させると、作業側チョック５の車輪８もトップレール
10に乗り上げる。すると、作業側チョック５の歯車16す
なわちスペーサラッチ17もラック21によって最前とは逆
に時計回りに所定角度回転させられて転倒する。この状
態で上下ワークロールアッセンブリ6,7をハウジング９
内の所定の位置に収納した後、図示しないロールバラン
スシリンダおよび圧下シリンダにより上昇させてロール
組替作業を終了する。

＜発明が解決しようとする課題＞ 上述したロール組替装置では、スペーサラッチ17,18
を起立・転倒させるラック21が圧延機の作業側にしか配
設されていない。したがって、上下ワークロールアッセ
ンブリ6,7を圧延機から駆動側に引出した場合、スペー
サラッチ17,18は転倒したままとなる。また、例えラッ
ク21を駆動側に配設しても、上下ワークロールアッセン
ブリ6,7を圧延機から駆動側に引出した際には、歯車16
と共に回動するスペーサラッチ17,18は転倒方向に更に
回動させられることとなる。これは、上下ワークロール
アッセンブリ6,7を駆動側から圧延機内に挿入する場合
も同様であり、起立しているスペーサラック17,18は起
立方向に更に回転させられることとなる。

このように、圧延機の駆動側からは上下ワークロール
アッセンブリ6,7を引出すことも挿入することもできな
い。したがって、例えば作業側から使用後の上下ワーク
ロールアッセンブリ6,7を引出す一方、駆動側からメン
テナンス済みの上下ワークロールアッセンブリ6,7を挿
入するというようなことは行えなかった。その結果、ロ
ール組替に要する段取時間や作業時間が長くなり、スト
リップ１の停滞時間が増大してしまう問題点があった。

本発明は上記状況に鑑みなされたもので、上下ワーク
ロールアッセンブリの引出し・挿入を圧延機の作業側と
駆動側とのどちらからでも行うことのできるロール組替
装置を提供することを目的とする。

＜課題を解決するための手段＞ そこで、本発明ではこの課題を解決するために、 パスラインを挾んで上下にロールアッセンブリをそれ
ぞれ配置し、ハウジング内およびその近傍でこれら上下
ロールアッセンブリをそれぞれパスラインと交差する方
向に水平移動可能にそれぞれ支持する上支持部材および
下支持部材を当該ハウジングに設け、これら上下支持部
材に支持された上下ロールアッセンブリをハウジングか
ら挿脱するロール組替装置において、 前記ハウジングの駆動側および作業側あるいはこれら
の近傍にそれぞれ配設された第１ラックおよび第２ラッ
クと、 前記上ロールアッセンブリまたは下ロールアッセンブ
リの駆動側のチョックおよび作業側チョックに当該第１
ラックおよび第２ラックとそれぞれ噛み合い可能に枢着
された第１歯車および第２歯車と、 これら第１歯車あるいは第２歯車の回動によって起立
・転倒するように前記駆動側チョックおよび作業側チョ
ックに枢着されたスペーサラッチと を具えたことを特徴とする圧延機のロール組替装置を提
案するものである。

＜作用＞ 例えば、使用後の上下ワークロールアッセンブリをハ
ウジングの作業側から引出すと、作業側チョックの第２
歯車が作業側に設けられた第２ラックと噛み合って所定
の角度回動し、スペーサラッチを起立させる。そして、
作業側の上チョックが上部支持部材から外れると、スペ
ーサラッチを介して下チョックがこれを支持する。ま
た、上下ワークロールアッセンブリを更に作業側に引出
すと、駆動側チョックの第２の歯車も第２ラックと噛み
合って所定の角度回動し、スペーサラッチを起立させ
る。そして、駆動側の上チョックが上部支持部材から外
れると、スペーサラッチを介して下チョックがこれを支
持し、上下ワークロールアッセンブリを完全に引き出す
ことが可能となる。

引き続いて、待機させていたメインテナンス済みの上
下ワークロールアッセンブリをハウジングの駆動側から
挿入する。すると、作業側の上チョックが上部支持部材
に乗り上げて支持され、次いで作業側チョックの第１歯
車が駆動側に設けられた第１ラックと噛み合って所定の
角度回動し、スペーサラッチを転倒させる。上下ワーク
ロールアッセンブリを更にハウジング側に移動させる
と、駆動側の上チョックも上部支持部材に乗り上げて支
持され、次いで駆動側チョックの第１歯車が駆動側に設
けられた第１ラックと噛み合って所定の角度回動し、ス
ペーサラッチを転倒させて上下ワークロールアッセンブ
リをハウジング内の所定の位置に収納する。

尚、上述した作用とは逆に、使用後の上下ワークロー
ルアッセンブリをハウジングの駆動側から引出し、メイ
ンテナンス済みの上下ワークロールアッセンブリを作業
側から挿入することも可能であり、この場合には各部材
が駆動側と作業側とにおいて逆方向に作動する。

＜実 施 例＞ 本発明の一実施例を図面に基づき具体的に説明する。
実施例の説明にあたっては前述した従来の例における部
材と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明を
省略する。

第１図〜第６図は本発明の一実施例に係り、第１図に
はロール組替の準備を完了した圧延機およびロール組替
装置を一部破断正面視により示し、第２図〜第４図には
同装置におけるロール組替の手順を示し、第５図には第
１図の要部拡大視を示し、第６図には第５図中Ａ−Ａ断
面を示してある。

第１図に示すように、上ワークロールアッセンブリ６
は前述した従来の装置と同様に上ワークロール２と上チ
ョック４および車輪８等から構成されている。また、下
ワークロールアッセンブリ７も下ワークロール３と下チ
ョック５および車輪８等を有しているが、下チョック５
におけるスペーサラッチ17,18の駆動部が異なってい
る。

第５図および第６図に示すように、作業側の下チョッ
ク５の上面凹部には、ピン19によってスペーサラッチ18
に結合された挟幅の第１歯車22と、第１歯車22と噛み合
う広幅の第２歯車23とが枢着されている。また、駆動側
の下チョック５の上面凹部にはピン19によってスペーサ
ラッチ18に結合された広幅の第２歯車23と、第２歯車23
と噛み合う挟幅の第１歯車22とが枢着されている。第１
歯車22は第２歯車23より寸法ｂだけ高く配置されてい
る。

一方、作業側のハウジング９には第１ラック24が取り
付けられ、駆動側のハウジング９には第２ラック25が取
り付けられている。そして、第１ラック24は上記第１歯
車22と噛み合うように、また第２ラック25は上記第２歯
車23と噛み合うように、両者はパスラインの方向では寸
法ａずれると共に高さ方向では寸法ｂずれた状態で設置
されている。

本実施例ではトップレール10はハウジング９に一体化
されており、作業側および駆動側の端部には勾配が設け
られている。また、ボトムレール11もハウジング９に一
体化されている。ハウジング９の作業側には従来装置と
同様に組替台車14がレール12上に載置されているが、駆
動側にもレール26が敷設され、このレール26上に移載レ
ール27が取り付けられた組替台車28が載置されている。
そして、両組替台車14,28の移載レール13,27上には自走
式のロール押引装置29,30が載置されている。

以下、本発明の作用を述べる。

本実施例では、先ず第１図に示すように、ストリップ
１が圧延機内に存在する状態で、上下ワークロールアッ
センブリ6,7を下降させてトップレール10およびボトム
レール11上に載置する。そして、作業側の組替台車14の
移載レール13をボトムレール11に連結し、ロール押引装
置29によって上下ワークロールアッセンブリ6,7を把持
する。一方、駆動側でもロール押引装置30に把持された
メインテナンス済みの上下ワークロールアッセンブリ6,
7を搭載した駆動側の組替台車28を移載レール27をボト
ムレール11に連結し、ロール組替の準備をする。

次いで、第２図に示すように、ロール押引装置29によ
って上下ワークロールアッセンブリ6,7を作業側に引き
出す。すると、第６図に示した作業側の下チョック５の
第１歯車22が作業側の第１ラック24と噛み合って反時計
回りに回転し、同図に二点鎖線で示すようにスペーサラ
ッチ17が起立する。そして、作業側の上チョック４の車
輪８がトップレール10の端部に形成された勾配にさしか
かると、上チョック４は下降してその底面がスペーサラ
ッチ17と当接して支持される。

次いで、第３図に示すように、上下ワークロールアッ
センブリ6,7を作業側に更に引出す。すると、駆動側の
下チョックの第１歯車22が第１ラック24と噛み合って反
時計回りに回転し、噛み合う第２歯車23を時計回りに回
転させて同図に二点鎖線で示すようにスペーサラッチ18
が起立する。そして、駆動側の上チョック４の車輪８が
トップレール10の端部に形成された勾配にさしかかる
と、上チョック４は下降してその底面がスペーサラッチ
18と当接して支持される。

同時に、駆動側の組替台車28上で待機していたメイン
テナンス済みの上下ワークロールアッセンブリ6,7をロ
ール押引装置30によって移動させ、駆動側のハウジング
９から挿入する。すると、上チョック４の車輪８がトッ
プレール10端部の勾配に乗り上げ、上チョック４の底面
とスペーサラッチ17との間に隙間が形成される。しかる
後、作業側の下チョック５の第２歯車23が駆動側の第２
ラック25と噛み合って反時計回りに回転し、噛み合う第
１歯車22を時計回りに回転させてスペーサラッチ17を転
倒させる。

次いで、第４図に示すように、使用後の上下ワークロ
ールアッセンブリ6,7を組替台車14上に移載し、メイン
テナンス済みの上下ワークロールアッセンブリ6,7を圧
延機内に更に挿入する。すると、駆動側の上チョック４
の車輪８もトップレール10端部の勾配に乗り上げ、上チ
ョック４の底面とスペーサラッチ18との間に隙間が形成
される。しかる後、駆動側の下チョック５の第２歯車23
が第２ラック25と噛み合って反時計回りに回転し、スペ
ーサラッチ18を転倒させる。

そして、上下ワークロールアッセンブリ6,7をハウジ
ング９内の所定の位置に収納した後、図示しないバラン
スシリンダおよび圧下シリンダにより上昇させてロール
組替作業を終了する。

以上で具体的実施例の説明を終えるが、本発明の態様
はこの実施例に限るものではない。例えば、第１ラック
24,第２ラック25を圧延機のハウジング９以外の部材、
あるいは組替台車14,15等に設けるようにしてもよい。
また、スペーサラッチ17,18や第１歯車22,第２歯車23を
上チョック４に設けるようにしてもよい。尚、上記実施
例の構成によれば、使用後の上下ワークロールアッセン
ブリ6,7を駆動側から引出すことが可能であるし、メイ
ンテナンス済みの上下ワークロールアッセンブリ6,7を
作動側から挿入することも可能である。

＜発明の効果＞ 以上、実施例により詳細に説明したように、本発明に
よればハウジング駆動側および作動側あるいはそれらの
近傍に第１ラックおよび第２ラックをそれぞれ配設する
一方、駆動側チョックおよび作動側チョックに上記ラッ
クと噛み合う第１歯車および第２歯車とこれら歯車の回
動により起立・転倒するスペーサラッチとを設けるよう
にしたため、上下ワークロールアッセンブリをハウジン
グの駆動側と作動側のどちらかでも挿脱することが可能
となる。したがって、ロール組替作業時において、使用
後の上下ワークロールアッセンブリの引出しとメインテ
ナンス済みの上下ワークロールアッセンブリの挿入とを
同時に行うことが可能となり、ロール組替作業に要する
時間すなわちストリップの停滞時間の短縮を図ることが
できるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第６図は本発明の一実施例に係り、第１図はロ
ール組替の準備を完了した圧延機およびロール組替装置
を示す一部破断正面図であり、第２図〜第４図には同装
置におけるロール組替の手順を示す説明図であり、第５
図は第１図の要部拡大図であり、第６図は第５図中Ａ−
Ａ断面図である。第７図〜第９図は従来のロール組替装
置に係り、第７図，第８図は圧延機およびロール組替装
置を示す正面図であり、第９図は要部拡大図である。 図面中、 １はストリップ、 ２は上ワークロール、 ３は下ワークロール、 ４は上チョック、 ５は下チョック、 ６は上ワークロールアッセンブリ、 ７は下ワークロールアッセンブリ、 ８は車輪、 ９はハウジング、 10はトップレール、 11はボトムレール、 14,28は組替台車、 17,18はスペーサラッチ、 22は第１歯車、 23は第２歯車、 24は第１ラック、 25は第２ラック、 29,30はロール押引装置である。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】パスラインを挾んで上下にロールアッセン
   ブリをそれぞれ配置し、ハウンジング内およびその近傍
   でこれら上下ロールアッセンブリをそれぞれパスライン
   と交差する方向に水平移動可能にそれぞれ支持する上支
   持部材および下支持部材を当該ハウジングに設け、これ
   ら上下支持部材に支持された上下ロールアッセンブリを
   ハウジングから挿脱するロール組替装置において、 前記ハウジングの駆動側および作業側あるいはこれらの
   近傍にそれぞれ配設された第１ラックおよび第２ラック
   と、 前記上ロールアッセンブリまたは下ロールアッセンブリ
   の駆動側チョックおよび作業側チョックに当該第１ラッ
   クおよび第２ラックとそれぞれ噛み合い可能に枢着され
   た第１歯車および第２歯車と、 これら第１歯車あるいは第２歯車の回動によって起立・
   転倒するように前記駆動側チョックおよび作業側チョッ
   クに枢着されたスペーサラッチと を具えたことを特徴とする圧延機のロール組替装置。