JP2740643B2 - ステッピングモータ駆動装置 - Google Patents

ステッピングモータ駆動装置

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JP2740643B2 JP7240220A JP24022095A JP2740643B2 JP 2740643 B2 JP2740643 B2 JP 2740643B2 JP 7240220 A JP7240220 A JP 7240220A JP 24022095 A JP24022095 A JP 24022095A JP 2740643 B2 JP2740643 B2 JP 2740643B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステッピングモー
タを用いて移送体を移送するステッピングモータ駆動装
置に関する。ここで「移送体」とは、ディスク状の記録
媒体に対して情報を読み書きするヘッドや、ドットマト
リクスプリンタの印字ヘッドなどをいう。
【0002】
【従来の技術】以下、図面を参照しながら、従来のステ
ッピングモータ駆動装置を説明する。ここでは、光ディ
スクドライブ装置のヘッド駆動に応用した従来のステッ
ピングモータ駆動装置を説明する。
【0003】図14は、従来のヘッド駆動装置の構成を示
す概略斜視図である。図14において、円盤状の記録媒体
1は、例えば、光磁気ディスク、CD−ROMである。
ヘッド2は、記録媒体1へ情報を記録したり、記録媒体
1から情報を再生したりする。ステッピングモータ3
は、2相励磁だけを用いて駆動されるか、またはマイク
ロステップ駆動だけを用いて駆動される。送りネジ4
は、ステッピングモータ3の駆動軸に連結されている。
ナットピース5は、送りネジ4のネジ溝に嵌合する歯を
もっており、ヘッド2に固定されている。
【0004】上記の構成によって、ステッピングモータ
3の駆動軸の回転運動を、ヘッド2の直線運動(記録媒
体1のほぼ半径方向の運動)に変換する。言い換える
と、ステッピングモータ3は、その駆動軸を駆動するこ
とにより、ヘッド2を記録媒体1のほぼ半径方向に往復
移動させる。
【0005】図14において、ステッピングモータ駆動装
置20は、ステッピングモータ3を2相励磁駆動によって
駆動するか、またはマイクロステップ駆動によって駆動
する。ステッピングモータ駆動装置20は、送り方向を指
定する方向指令DIRと送りパルスCLKとを入力信号として
受け取り、2つのコイルに加えられる駆動信号A、/
A、B、および/Bを出力信号として出力する。ここで
/Aおよび/Bは、それぞれAおよびBの反転(Aバー
およびBバー)を表す。
【0006】図15(a)は、ステッピングモータ駆動装置2
0の2相励磁駆動の場合のA相およびB相の励磁シーケ
ンス(駆動シーケンスともいう)を示し、図15(b)は、
ステッピングモータ駆動装置20のマイクロステップ駆動
の場合のA相およびB相の励磁シーケンスを示す。
【0007】図15(a)および図15(b)の横軸は、ステッピ
ングモータの「基本回転角」(単位:度)によって正規
化した、ステッピングモータのステップを表し、縦軸
は、2相励磁駆動の場合に1相あたりに流れる最大電流
で正規化した、各相の駆動電流指令量を表す。ここで基
本回転角は、(360/(相数・極数))で表される角度
であり、ステッピングモータを2相励磁で駆動したと
き、1回に動く角度である。例えば2相(A相、/A
相、B相および/B相)で励磁されるステータをもつ、
2極のステッピングモータの基本回転角は90°である。
ただし、A相および/A相を1相と数えている。図15
(b)のマイクロステップ駆動のステップは、2相励磁駆
動のステップの4分の1の細かさである。図15(b)のグ
ラフは、三角波状にプロットされているが、マイクロス
テップ駆動の励磁シーケンスにおいては、駆動電流は、
実際にはステップ状に変化している。励磁シーケンスを
示す本明細書の他のグラフにおいても、横軸および縦軸
の表現は、同様である。
【0008】図16(a)および図16(b)は、それぞれ図15
(a)および図15(b)に示す励磁シーケンスをおこなったと
きのステッピングモータのスティフネス特性(ステッピ
ングモータのロータの回転位置と発生トルクとの関係)
を示す。図16(a)および図16(b)において、横軸は、基本
回転角によって正規化したステップを表し、縦軸は、2
相励磁において最大電流を流したときに発生する「最大
トルク」によって正規化したトルクをとっている。ステ
ィフネス特性を示す本明細書の他のグラフにおいても、
横軸および縦軸の表現は、同様である。図16(a)および
図16(b)におけるS0〜S4は、図15(a)および図15(b)
のS0〜S4にそれぞれ対応する。図16(a)および図16
(b)における、P0〜P4は、ステッピングモータの
「安定点」である。電流の状態が変化しない場合には、
ステッピングモータのロータの位置は、この安定点へと
収束する。グラフ上では、スティフネス特性を示す曲線
と、横軸とが交差する点(すなわちトルクがゼロとなる
点)である。
【0009】上記構成のヘッド駆動装置の動作を説明す
る。励磁シーケンスをS0→S1→S2→S3と順に切
り換えると、ステッピングモータのロータがP0→P1
→P2→P3と回転する。逆に、励磁シーケンスをS3
→S2→S1→S0と順に切り替えると、ステッピング
モータのロータもP3→P2→P1→P0と逆方向に回
転する。ステッピングモータの正逆の回転をナットピー
スにより直線移動に変換して、ヘッドを記録媒体(つま
りディスク)の内外周へ移動させる。
【0010】2相励磁駆動は、以下のように電流を流
す。すなわち電流を正規化して表したとき、(A相、B
相)=(1、1)、(−1、1)、(−1、−1)、
(1、−1)、(1、1)、…とかける。他の駆動方式
として、1−2相励磁駆動があり、以下のように電流を
流すことで実現できる。すなわち、(A、B)=(1、
1)、(0、1)、(−1、1)、(−1、0)、(−
1、−1)、(0、−1)、(1、−1)、(1、
0)、(1、1)、…とかける。マイクロステップ駆動
は、A相およびB相に、位相が1ステップ(2相2極の
ステッピングモータの場合、90°)ずれた三角波を印加
することによって実現できる。したがって、駆動方法
は、各相に流れる電流の波形によって決まる。図16(b)
に示すように、マイクロステップ駆動は、2相励磁駆動
に比べて、スティフネス特性の曲線が密である。言い換
えるとマイクロステップ駆動の安定点は、2相励磁駆動
に比べて密に配置されている。そのため、マイクロステ
ップ駆動は、2相励磁に比べて小さいステップでロータ
を回転できる(すなわち分解能が高い)。いっぽうマイ
クロステップ駆動によって発生するトルクは、2相励磁
駆動によって発生するトルクの約半分である。1−2相
励磁駆動は、分解能およびトルクの点で、2相励磁駆動
およびマイクロステップ駆動の中間の特性をもつ。
【0011】特開平1-171171号公報および特開平4-2953
00号公報は、ステッピングモータの駆動方式を、2相励
磁と1−2相励磁と間で切り換えることによって、高速
なトラック移動とともに高いトラッキング精度を得る先
行技術を開示している。特開昭61-214799は、マイクロ
ステップ駆動を用いることによってヘッド送りの分解能
を改善する先行技術を開示している。特開平5-109211号
公報は、2相励磁駆動回路に直列に積分回路を接続する
ことにより、駆動トルクの発生をなめらかにし、共振を
低減する方法を開示している。特開昭58-12592号公報
は、2相励磁駆動とマイクロステップ駆動とを切り換え
て移送体を駆動する技術を開示しており、2相励磁駆動
からマイクロステップ駆動へ切り換えられるときに各相
電流を駆動するトランジスターへ負バイアスを印可する
ことによって2相励磁駆動で発生するコギングを抑制し
ている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来技術においては、次に示す問題があった。すなわ
ち、ステッピングモータをマイクロステップ駆動で駆動
すると、2相駆動に比べてヘッドの移動速度が遅い。そ
の結果、トラックをシークするのにかかる時間が長くな
る。これは、操作性の悪さにつながる。
【0013】いっぽう、ステッピングモータを2相励磁
駆動方式で駆動すると、マイクロステップ駆動に比べ
て、シーク動作時間は、短い。しかし2相励磁駆動は、
マイクロステップ駆動に比べて分解能が小さい。そのた
め、ヘッドの送り精度が悪くなる。
【0014】また、2相励磁駆動の場合、ステッピング
モータを間欠駆動する瞬間に、ヘッドは大きな加速度を
受ける。その結果、トラッキングサーボループが大きな
外乱を受けることにより、トラッキング追従性が悪化す
る。間欠駆動時の大きな加速度を低減するために、積分
駆動がある。しかしこれも、2相励磁駆動と同じ分解能
であるため、ヘッドの送り精度は悪い。
【0015】マイクロステップ駆動をおこなう場合、そ
の駆動トルクが比較的小さいため、ヘッドの移動方向の
反転時などに静止摩擦のためにヘッドが指令通りに移動
しないという問題があった。
【0016】ヘッド移動時において、2相励磁駆動とマ
イクロステップ駆動とを切り換える技術は、上述のシー
ク時間と送り分解能との問題点を解決する。しかし、2
相励磁駆動からマイクロステップ駆動へ移行するときに
おいて、各相電流を駆動するトランジスターへ負バイア
スを印可することは、急激なブレーキングをおこなって
いるのと等価である。そのため、2つの駆動方式を切り
換えるときには、レンズに加速度が加わる。その結果、
トラッキングサーボループに外乱が加わる。
【0017】また従来技術によって、マイクロステップ
駆動をおこなう場合、ヘッドの移動速度に係わらず、同
じ値の電流がステッピングモータのコイルに供給されて
いた。しかし従来技術の構成では、摩擦抵抗が大きくな
るとき(すなわち移動速度が高いとき)にはあまり問題
とならないが、摩擦抵抗が小さくなるとき(移動速度が
低いとき)には、余剰のパワーによって、ヘッドが安定
点近傍において往復運動する動作、いわゆるコギング
(cogging)が発生しやすい。その結果、レンズの動揺
が大きくなるという問題があった。
【0018】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、2相励磁駆動により移送
体を高速に移動させ、マイクロステップ駆動により大き
な外乱を加えることなく移送体を高い分解能で移動さ
せ、かつ2相励磁駆動とマイクロステップ駆動とを高
速、かつ滑らかに切り換えるステッピングモータ駆動装
置を提供することにある。
【0019】さらに他の目的は、マイクロステップ駆動
または2相励磁駆動をおこなう場合、ステッピングモー
タを所定の速度以下で駆動するときに発生する余剰トル
クを低減することにより、振動の発生を抑制するステッ
ピングモータ駆動装置を提供することである。
【0020】さらに他の目的は、マイクロステップ駆動
の場合において、移送体が停止状態にあるとき、移送体
の位置ずれを起こさず、かつ駆動電流を低減するステッ
ピングモータ駆動装置を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明によるステッピン
グモータ駆動装置は、ロータおよびn相(n:2以上の
整数)のステータを有し、移送体を移動させるステッピ
ングモータの駆動装置であって、ロータを第1ピッチで
回転させる第1電流パターンを格納した第1記憶手段
と、ロータを第1ピッチとは異なる第2ピッチで回転さ
せる第2電流パターンを格納する第2記憶手段と、第1
記憶手段および第2記憶手段から第1電流パターンおよ
び第2電流パターンを周期的に再生するとともに、第1
電流パターンに対して第2電流パターンの位相を所定の
位相シフト量だけシフトする位相シフト手段と、駆動切
り換え信号に基づいて第1電流パターンと第2電流パタ
ーンとを選択的に前記ステータへ供給する駆動手段とを
備えており、移送体の移動に必要とする前記ステッピン
グモータの負荷と前記ローターの回転方向とに応じた前
記位相シフト量を設定する事により、ステッピングモー
タのスティフネス特性線図における負荷の特性線と、第
1の電流パターンによる駆動のスティフネス特性曲線
と、第2の電流パターンによる駆動のスティフネス特性
曲線とが1点において交わる安定点で、第1電流パター
ンおよび第2電流パターンを相互に切り換えることによ
り上記目的を達成する。
【0022】ある実施例では、位相シフト手段は、第1
記憶手段から第1電流パターンを読み出すためのアドレ
スを指定するアップダウンカウンターと、ステッピング
モータの負荷とロータの回転方向とに基づいて位相シフ
ト量を計算して出力する位相シフト計算手段とを備えて
おり、アップダウンカウンターに位相シフト量を加算し
て得られるアドレスを用いて第2記憶手段から第2電流
パターンを再生する。
【0023】ある実施例では、アップダウンカウンタが
i(i:3以上の整数)ビットのアップダウンカウンタ
であり、下位(i−2)ビットがすべて「0」になると
きに第1電流パターンおよび第2電流パターンを切り換
える
【0024】ある実施例では、前記位相シフト量が所定
の範囲を超えない。
【0025】ある実施例では、位相シフト計算手段は、
第1電流パターンによって移送体を駆動するときに発生
するヒステリシス特性と第2電流パターンによって移送
体を駆動するときに発生するヒステリシス特性との差か
ら位相シフト量を計算する。
【0026】ある実施例では、駆動手段は、第2電流パ
ターンに所定の定数を乗じて第3電流パターンをステー
タへ供給する電流可変手段を備えており、第2電流パタ
ーンから第3電流パターンへ切り換えるときに、移送体
の移動に必要とするステッピングモータの負荷とロータ
ーの回転方向とに応じた位相シフト量を設定する事によ
り、ステッピングモータのスティフネス特性線図におけ
る負荷の特性線と、第2電流パターンによる駆動のステ
ィフネス特性曲線と、第3電流パターンによる駆動のス
ティフネス特性曲線とが1点において交わる安定点で切
り換える。
【0027】ある実施例では、電流可変手段は、移送体
を所定の速度以下で移動させるときには、1より小さい
所定の定数を乗じて第3電流パターンをステータへ供給
する。
【0028】以下、作用について説明する。2相励磁駆
動による発生トルクとマイクロステップ駆動による発生
トルクとの差が小さい点において、駆動方法を切り換え
ることによって、高速かつスムーズな切り換えが可能で
ある。マイクロステップ駆動によって移送体を微小に送
ることで分解能を向上し、かつ間欠的な駆動による外乱
を低減することができる。2相励磁駆動の大きなトルク
によって移送体を高速に移動することもできる。
【0029】ヘッドの速度指令量に応じてステッピング
モータの駆動電流を制御することによって、ヘッド移動
速度に対応して発生する摩擦の補償をおこなう。特に、
低速でヘッドを移動するときは、余剰となるパワーを低
減することによって、間欠駆動による発生振動を低減
し、かつマイクロステップ駆動による微小送りを利用し
て振動を低減する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
によるステッピングモータ駆動装置の実施例を説明す
る。実施例1〜2においては、ステッピングモータ駆動
装置を光ディスクドライブ装置のヘッド駆動装置に適用
している。ステッピングモータが駆動する対象である移
送体は、ヘッドである。なお、以下の説明において、同
じ参照符号は同じ構成要素を表す。
【0031】(実施例図1〜図7を参照して実施例1のステッピングモータ駆
動装置の構成を、図8〜図10を参照して実施例1のステ
ッピングモータ駆動装置の動作を説明する。
【0032】図1は、本発明の実施例1を用いたヘッド
駆動装置の構成例を示す概略斜視図である。記録媒体1
は、光磁気ディスク、相変化型光ディスク、CD−RO
Mなど、円盤状の媒体である。ヘッド2は、記録媒体1
に情報を記録したり、記録媒体1から情報を再生したり
する。ステッピングモータ3は、ヘッド2を駆動する。
送りネジ4は、ステッピングモータ3の駆動軸に連結さ
れている。ナットピース5は、送りネジ4のネジ溝に嵌
合しており、ヘッド2に固定されている。ステッピング
モータ3の駆動軸の回転運動は、ヘッド2の直線運動
(記録媒体1のほぼ半径方向)に変換される。言い換え
ると、ヘッド2は、ステッピングモータ3で駆動される
ことにより、記録媒体1のほぼ半径方向に沿って往復運
動する。
【0033】ステッピングモータ駆動装置21は、ステッ
ピングモータ3を2相励磁駆動およびマイクロステップ
駆動によって駆動する。具体的には、外部のサーボ回路
など(不図示)から出力される速度指令に基づいて、2
相励磁駆動とマイクロステップ駆動とを切り換える。ヘ
ッドが高速で動くシーク動作時は2相励磁駆動をおこな
い、ヘッドが低速で動く記録再生時はマイクロステップ
駆動をおこなう。低速の記録再生モードから高速のシー
クモードへ移行するとき、速度指令量は徐々に増加して
いき、一定の値となる。ここで、速度指令量があるしき
い値よりも小さいときはマイクロステップ駆動を行い、
速度指令量がこのしきい値よりも大きいときは2相励磁
駆動をおこなう。シークモードから記録再生モードへ移
行するときも、速度指令量があるしきい値よりも大きい
ときは2相励磁駆動をおこない、速度指令量がこのしき
い値よりも小さいときはマイクロステップ駆動をおこな
う。つまり、速度指令量はモードの切り換えにともな
い、ほぼ台形波状に変化する。速度指令量が低レベルの
領域ではマイクロステップ駆動がおこなわれ、速度指令
量が高レベルの領域では2相励磁駆動をおこなう。
【0034】図2は、図1のヘッド駆動装置のステッピ
ングモータ駆動装置21の構成を示すブロック図である。
ステッピングモータ3は、永久磁石からなるロータ6
と、2つのコイル7a(A相用コイル)および7b(B相用
コイル)からなるステータとで構成されている。以下の
説明において、添字aおよびbは、それぞれステッピン
グモータのA相およびB相に関連する構成要素であるこ
とを示す。電流ドライバ8aおよび8bは、それぞれ電流指
令量を表すディジタルデータに基づき、2つのコイル7a
および7bに電流を供給し、ステッピングモータ3を駆動
する。電流ドライバ8aおよび8bは、ディジタルデータを
受け取り、アナログ信号に変換するD/A変換器と、D
/A変換器からのアナログ信号を増幅して出力する増幅
器を備えている。この増幅器は、例えばトランジスタな
どの増幅素子によって実現できる。マルチプレクサ215a
および215bは、ROM9aおよび9bからのデータと、2相
励磁信号発生器214aおよび214bからのデータとを、デー
タ選択信号DSELに応じて選択し、電流ドライバ8aおよび
8bに出力する。電流ドライバ8aおよび8bに入力されるデ
ィジタルデータは、電流指令量を表す。
【0035】図3は、マルチプレクサ215aの回路例であ
り、マルチプレクサ215bの回路も同様である。データ選
択信号DSEL=「0」のとき、ROM9aからのデジタル信
号DA0〜DAm-1をFA0〜FAm-1へ出力する。データ
選択信号DSEL=「1」のとき、2相励磁信号発生器214a
からのデジタル信号EA0〜EAm-1をFA0〜FAm-1へ
出力する。ここで添字の「m」は、自然数であり、マル
チプレクサ215aおよび215bが出力するデータのビット幅
である。いずれの場合もFA0〜FAm-1に出力されたデ
ータは、電流ドライバ8aへ入力される。マルチプレクサ
215bは、上述のマルチプレクサ215aと同様に動作する。
すなわち、データ選択信号DSEL=「0」のとき、ROM
9bからのデジタル信号DB0〜DBm-1をFB0〜FBm-1
へ出力する。データ選択信号DSEL=「1」のとき、2相
励磁信号発生器214bからのデジタル信号EB0〜EBm-1
をFB0〜FBm-1へ出力する。いずれの場合もFB0〜
FBm-1に出力されたデータは、電流ドライバ8bへ入力
される。
【0036】図4は、ROM9aおよび9bに格納された電
流指令量を表すグラフである。図4中央の黒い円形のド
ットで表されたグラフは、ROM9aに格納された電流指
令量を示す。図4右の黒い四角のドットで表されたグラ
フは、ROM9bに格納された電流指令量を示す。これら
の電流指令量を表すディジタルデータは、図4左に示す
対応するアドレスに格納されている。これらのデータは
従来のマイクロステップ駆動用の電流指令量であればよ
い。図4のグラフは、三角波状だが、正弦波状であって
もよい。マイクロステップ駆動のステップ幅は、2相励
磁駆動のステップ幅の整数(以下、この整数を「分割
数」とする)分の1である。本実施例において、マイク
ロステップ駆動の分割数を2のn乗とする。(n+2)
ビット幅のアドレスCn+1〜C0を指定することによっ
て、ROM9aおよび9bに格納された電流指令値を読み出
す。なお図4では簡単のため、分割数が4(n=2)の
マイクロステップ駆動のグラフを示している。
【0037】送り補正値発生器211は、方向指令DIRと移
送体の負荷LOADとを入力として受け取り、(n+2)ビ
ットの送り補正値Bn+1〜B0を加算器212に出力する。
加算器212は、アドレス信号An+1〜A0と送り補正値Bn
+1〜B0とを加算して、補正されたアドレスCn+1〜C0
を生成し、ROM9aおよび9bのアドレス入力に与える。
すなわち、アドレス信号An+1〜A0から送り補正値Bn+
1〜B0だけずれたアドレスでROM9aおよび9b内のマイ
クロステップ駆動の電流指令値を読み出す。
【0038】図5は、2相励磁信号発生器214aおよび21
4bが生成する出力信号を示すグラフである。図5中央
黒い円形のドットで表されたグラフは、2相励磁信号発
生器214aの出力信号を示す。図5右の黒い四角のドット
で表されたグラフは、2相励磁信号発生器214bの出力信
号を示す。これらの電流指令量を表すディジタルデータ
は、図5左に示す対応するアドレスに格納されている。
これらのデータは従来の2相励磁駆動用の電流指令量で
あればよい。
【0039】図6(a)は、2相励磁信号発生器214aおよ
び214bの入出力の関係を表に示す。図6(b)は、図6(a)
に示す関係を実現する2相励磁信号発生器214aおよび21
4bの回路例である。
【0040】切り換えタイミング調整回路213は、アッ
プダウンカウンタ10の出力の下位ビットAn-1〜A0がす
べて「0」であることを表す信号によって、切り換え指
令MS/2Pをラッチすることによって、データ選択信号DSE
Lにより、切り換えをおこなう。切り換えタイミング調
整回路213は、Dフリップフロップ11aおよびANDゲート1
1bで構成されている。切り換え指令MS/2Pおよびデータ
選択信号DSELは、「0」が2相励磁駆動を表し、「1」
がマイクロステップ駆動を表す。
【0041】実施例1においては、2相励磁駆動はアド
レスAn+1〜A0によって電流指令値を順次読み出す。一
方、マイクロステップ駆動はアドレスAn+1〜A0から送
り補正値Bn+1〜B0だけずれたアドレスCn+1〜C0によ
って電流指令値を順次読み出す。マイクロステップ駆動
および2相励磁駆動を切り換えるときは、送り補正値に
よってあらかじめ、2相励磁駆動の駆動波形に対するマ
イクロステップ駆動の駆動波形の位相がシフトされてい
る。ここで、送り補正値は移送体によるステッピングモ
ータの負荷と方向によって定まる。
【0042】図7(a)は、送り補正値発生器211の入出力
の関係を表に示す。図7(a)の関係は、移送体によるス
テッピングモータの負荷がほぼ一定とみなせる場合に用
いられる。DIRが「0」のとき、送り補正値として「−
3」を、DIRが「1」のとき、送り補正値として「+
3」を出力する。
【0043】いっぽう、図7(b)は、移送体によるステ
ッピングモータの負荷にほぼ比例して、送り補正値を変
化させるときに用いる、負荷LOADと補正値との関係をグ
ラフに示す。方向指令DIRによって、送り補正値が、負
荷の増加関数か減少関数かが決まる。図7(b)の関係に
おいては、送り補正値は所定の値を越えることがない。
これは、送り補正値の絶対値が大きすぎると、スティフ
ネス特性の他の安定点へロータが回転する、「脱調」を
おこすからである。この送り補正値の制限は、ステッピ
ングモータを安定に回転させるために必要である。
【0044】実施例1の動作を、図8および図9を参照
しながら説明する。図8は、各部の信号のタイミングを
示す。図8の波形は、上から順に、A相の電流指令量、
B相の電流指令量、送りパルスCLK、切り換え指令MS/2
P、データ選択信号DSELおよび方向指令DIRを表し、横軸
は、ステップを表す。
【0045】図8において、S1〜S4は2相励磁駆動
されており、その他はマイクロステップ駆動される。S
1とS4とで2相励磁駆動とマイクロステップ駆動との
切り替えを行っている。また、S6ではステッピングモ
ータの回転方向が反転する。
【0046】図8のグラフで実線で表されているのが各
相(A相とB相)に流す電流である。点線で表されてい
る三角波は送り補正値が0の場合のマイクロステップ駆
動の電流指令値を表しており、実線で表されている三角
波は点線の三角波をシフトして得られる。図8中のS6
より前の状態では送り補正値が+2されており、三角波
のみが0.25ステップだけシフトしている。すなわち、2
相励磁駆動波形の方形波に対してマイクロステップ駆動
の三角波は、0.25ステップだけ位相がシフトしている。
マイクロステップ駆動の励磁状態をMSn(nは0.125
刻みの小数)で表すと、nはステップ位置に0.25加算さ
れた値で表される。例えば、図8において、ステップ0.
875ではマイクロステップ駆動のMS1.125の電流指令値
が出力される。
【0047】図9は、図8のタイミングに対応する主要
なスティフネス特性を示す。マイクロステップの分割数
は8(n=3)である。図8の2相励磁駆動の状態
1、S2、S3、S4に、図9のスティフネス特性S
1、S2、S3、S4がそれぞれ対応する。同様に図8
のマイクロステップ駆動の励磁状態MS1,MS1.12
5,MS1.25が図9のスティフネス特性MS1,MS1.1
25,MS1.25がそれぞれ対応する。
【0048】図9のP1、P2、P3、…などは、ロー
タ6のトルクが移送体の負荷と釣りあう安定点である。
移送体による負荷トルクは、移送体の状態(重さ、摩擦
など)が変化しない限り一定であるために、図9におい
ては、横軸に平行な直線となる。負荷とスティフネス特
性との交点が安定点となる。励磁状態をS1→S2→S
3→…と順に切り替えると、ロータ6がP1→P2→P
3→…と回転する。
【0049】マイクロステップ駆動の場合も同様であ
る。図8におけるマイクロステップ駆動の励磁状態MS
0.75、MS0.875、MS1、MS1.125に図9のスティフ
ネス特性MS0.75、MS0.875、MS1、MS1.125がそ
れぞれ対応する。励磁状態をMS0.75→MS0.875→M
S1→MS1.125→…と順に切り替えると、ロータ6がP
0.5→P0.625→P0.75→P0.875→…と回転する。
【0050】励磁状態状態S0〜S7を順に追って、2
相励磁駆動およびマイクロステップ駆動の切り換えを説
明をする。初期の励磁状態S0においては、ヘッドが方
向指令DIRで規定される方向へマイクロステップ駆動で
移動している。分割数が8であるから0.125ステップ刻
みでP0→P0.125→P0.250→P0.375→P0.500→…
→P1と、状態S0からS1へ(マイクロステップ駆動
の励磁状態はMS0.25からMS1.25へ)と遷移する。
【0051】状態S1へ遷移する前に、切り換え指令MS
/2Pが、「1」(マイクロステップ駆動を表す)から
「0」(2相励磁駆動を表す)へ変化する。アップダウ
ンカウンタ10の出力の下位ビットAn-1〜A0がすべて
「0」となるとき、すなわち状態S1が始まるときに、
切り換えタイミング調整回路213のDフリップフロップ1
1aは、ANDゲート11bの出力によって、切り換え指令MS/2
Pをラッチして、データ選択信号DSELをマルチプレクサ2
15aおよび215bの制御端子に出力する。状態S0からS
1の直前(ステップ0.875 励磁状態MS1.125)までは
DSEL=「1」なので、マルチプレクサ215aおよび215b
は、ROM9aおよび9bの内容を選択して、電流ドライバ
8aおよび8bに出力する。
【0052】送り補正値発生器211は、方向指令DIRおよ
び負荷LOADに基づき、送り補正値を加算器212に出力す
る。加算器212は、アップダウンカウンタ10からのアド
レスおよび送り補正値を加算して、ROM9aおよび9bに
出力する。送り補正値(図8では補正値は+2)が加算
されることによって、マイクロステップ駆動の電流パタ
ーンの位相をシフトすることができる。ここでは、状態
がマイクロステップ駆動の特性曲線MS1.25から2相励
磁駆動の特性曲線S1に遷移することになる。その結
果、図9に示すように、マイクロステップ駆動および2
相励磁駆動のスティフネス特性の曲線と、負荷トルクを
表す直線とが1点において交わる安定点P1で、マイク
ロステップ駆動から2相励磁駆動を切り換えることがで
きる。こうすることで、負荷が存在する状態において、
なめらかな切り換えが可能になる。
【0053】このような送り補正値を加算しないでマイ
クロステップ駆動から2相励磁駆動に切り替える場合、
つまり図9において、マイクロステップ駆動の曲線MS
1から、2相励磁駆動の曲線S1へと状態が遷移する場
合において、安定点P0.750からP1へ移動量だけヘッ
ド位置に差が発生する。すなわち、図8のS1からS2
までのCLKの8クロック間の移動距離は1.25ステップ
となる。一方、送り指令であるCLKは一定(8クロッ
クで1ステップ移動する指令)であるので、0.25ステッ
プの移動距離が増した分だけ移送体が加速される。
【0054】逆に2相励磁駆動からマイクロステップ駆
動に切り替わる場合、図8のS4からS5の8クロック
間の移動距離は0.75ステップとなり、0.25ステップの移
動距 離が減じた分だけ移送体が減速される。
【0055】実施例1によれば、駆動切り換え時に発生
するこのような加減速を低減することができるという効
果がある。
【0056】状態S1から状態S4の直前までは2相励
磁駆動が選択されている。アップダウンカウンタ10に送
りパルスCLKを入力し続けると、アップダウンカウンタ1
0の上位ビットAnおよびAn+1が変化し、2相励磁信号
発生器214aおよび214bの電流指令量を出力する。図8
は、S1→S2→S3→S4とデータ選択信号DSELが有
効な間、2相励磁駆動をおこなう。ロータ6は、図9
示すスティフネス特性の安定点をP1→P2→P3→P
4と回転する。2相励磁駆動の発生トルクは、マイクロ
ステップ駆動の発生トルクに比べて大きい。したがって
P1〜P4までは、大きいトルクによって移送体を高速
に移動させることができる。
【0057】次に、状態S3から状態S4の間で、切り
換え指令MS/2Pが「0」(2相励磁駆動)から「1」
(マイクロステップ駆動)へ変化する。アップダウンカ
ウンタ10の出力の下位ビットAn-1〜A0が全て「0」と
なる状態、すなわち、状態S4がはじまるときに、切り
換え指令MS/2PをDフリップフロップ11bの出力によって
ラッチすることによって、データ選択信号DSELを、マル
チプレクサ215aおよび215bの制御端子に出力する。デー
タ選択信号DSELは「1」なので、マルチプレクサ215aお
よび215bは、状態S4においては、ROM9aおよび9bか
らの出力を選択して、電流ドライバ8aおよび8bに出力す
る。
【0058】前述したように、送り補正値発生器211
は、方向指令DIRおよび負荷LOADに基づき、送り補正値
を加算器212に出力する。送り補正値(図8では補正値
は+2)がアップダウンカウンタ10から出力されたアド
レスに加算されることによって、2相励磁駆動の電流パ
ターンに対するマイクロステップ駆動の電流パターンの
位相をシフトすることができる。ここでは、状態が2相
励磁駆動の特性曲線S4からマイクロステップ駆動の特
性曲線MS4.25に遷移することになる。その結果、図9
に示すように、マイクロステップ駆動および2相励磁駆
動のスティフネス特性の曲線と、負荷トルクを表す直線
とが1点において交わる安定点P4で、2相励磁駆動か
らマイクロステップ駆動を切り換えることができる。
【0059】再び、0.125ステップ刻みでP4→P4.125
→P4.250→…→P4.750→P5と、状態S4から状態S
5へ遷移する。
【0060】図8のS6において方向指令DIRが反転す
ることによって、アップダウンカウンタ10のアップダウ
ンが反転すると同時に、送り補正値が変更(例えば、+
2から−2へ変更)される。S6以降は、移送体が逆の
向きへ移動する。方向指令DIRが反転したときのマイク
ロステップ駆動と2相励磁駆動との切り換え動作は、方
向が逆になる点と送り補正値の符号が反転する点とを除
いて同様である。
【0061】本発明によるステッピングモータ駆動装置
実施例1においては、マイクロステップ駆動用の電流
指令テーブルをROM9aおよび9bから読み出すときに、
読み出しアドレスを送り補正値によってシフトする。言
い換えると、電流パターンの位相をシフトすることによ
り、負荷が存在するときにおいて、2相励磁駆動および
マイクロステップ駆動を切り換えるときに発生する、
送体の加減速(トルク発生量の差)を低減することがで
きる。その結果、駆動方式の切り換えによる振動を低減
することができる。2相励磁駆動およびマイクロステッ
プ駆動の併用により、高速に移送体の移動がおこなえ、
かつ大きな外乱を加えることなく移送体の微小送りを高
精度におこなえる。
【0062】図10(a)および図10(b)は、それぞれ、従来
例および実施例1における、トラッキング誤差信号TE、
フォーカス誤差信号FEおよびステッピングモータの電流
指令量Iを示す。いずれも駆動方式を2相励磁駆動から
マイクロステップ駆動に切り換えて、その後、ステッピ
ングモータを停止している。横軸が時間軸を表し、縦軸
は各信号の電圧を表す。図10(a)に示す従来例において
は、2相励磁駆動からマイクロステップ駆動へ切り換え
た後に、レンズ揺れが発生する。そのため、トラッキン
グ誤差信号TEの周波数が変動し(図10(a)のグラフで
は、粗密の部分が発生し)、フォーカス信号FEにうねり
が発生する。いっぽう、図10(b)に示す実施例1におい
ては、ヘッドの振動が抑制される結果、特にフォーカス
誤差信号FEの変動が軽減される。
【0063】実施例1で用いた送り補正値を求める手順
を以下に説明する。図11は、移送体(不図示)の停止位
置とステッピングモータの回転指令位置との関係を、2
相励磁駆動とマイクロステップ駆動との場合について示
す。図11に示すように、通常は、ヒステリシスカーブが
求められる。それぞれの駆動方式のヒステリシス量の差
は、駆動方式のスティフネス特性のグラフの傾きの差に
起因している。図11の△sに相当する量を送り補正値と
して用いればよい。通常、移送体として光ディスクヘッ
ドやプリンターのヘッドなどを考えたとき、負荷はほぼ
一定とみなせる。したがって、実験的に求められた△s
を、固定して用いればよい。
【0064】上述のヒステリシスカーブを求めるかわり
に、送り補正値を実際に変化させることによって、適当
な送り補正値を決めてもよい。すなわち、送り補正値を
ゼロから少しずつ増加させ、2相励磁駆動によるヒステ
リシスとマイクロステップ駆動によるヒステリシスとの
差が所定の誤差以下になったときの送り補正値を用いて
もよい。
【0065】(実施例図12 は、本発明によるステッピングモータ駆動装置の
施例2の構成を示す。実施例1の構成は、ROM9aおよ
び9bの出力が、乗算器311aおよび311bを介して、マルチ
プレクサ215aおよび215bに与えられる点を除き、実施例
と同様である。実施例1においては、乗算器311aおよ
び311bによって、ROM9aおよび9bに格納されたマイク
ロステップ駆動の電流指令量を変化させることができ
る。この電流指令量の変化は、移送体を停止するとき
に、電流制限信号PSによっておこなう。また電流制限信
号PSは、送り補正値発生器211に与えられ、送り補正値
を変更する。
【0066】図13(a)は、電流制限をしない場合のステ
ィフネス特性を示す。図13(b)は、図13(a)の電流の半分
に電流制限をした場合のスティフネス特性を示す。図13
(a)において、スティフネス特性S1a(同図の太い実
線)と負荷トルクとがつりあった点Pで移送体は停止し
ている。この状態で電流を半分にすると発生トルクが半
分になり、その結果、停止位置Pの位置がずれる。そこ
で電流指令量を半分にすると同時に、ステッピングモー
タの駆動位相をQからRへ(補正値:+3)シフトさ
せ、スティフネス特性S2b(図13(b)の太い実線)へ
切り換える。乗算器311aおよび311bと、送り補正値発生
器211ユニットとを併用することにより、駆動電流の低
減と、停止点での位置ずれ防止とが可能になる。
【0067】上述のように、電流指令量を減らすととも
に、送り補正値を増すこと(電流パターンの位相をシフ
トさせること)は、単一の駆動方法を用いる場合にも効
果がある。言い換えると、実施例2においては、2相励
磁駆動およびマイクロステップ駆動を切り換えてヘッド
を駆動するが、必ずしも2種類の駆動方式を用いる必要
はない。例えば、マイクロステップ駆動だけを用いる場
合にも、適用できる。
【0068】さらに、低速移動時には駆動電流を低減す
る事によって、消費電力を削減できる効果もある。
【0069】
【発明の効果】本発明は、マイクロステップ駆動の駆動
波形を記憶手段から再生する場合のアドレスにステッピ
ングモータの負荷と回転方向に対応する位相シフト量を
加算して2相励磁駆動の駆動波形に対するマイクロステ
ップ駆動の駆動波形の位相をシフトする位相シフト手段
を有する。位相シフト手段を用いて、2相励磁駆動の駆
動波形に対してマイクロステップ駆動の駆動波形の位相
をシフトすることにより、ステッピングモータのスティ
フネス特性線図における負荷の特性線と、2相励磁駆動
のスティフネス特性曲線と、マイクロステップ駆動のス
ティフネス特性曲線とが1点において交わる安定点で
つの駆動方式を切り換える。このことにより、2相励磁
駆動により移送体を高速に移動させ、マイクロステップ
駆動により大きな外乱を加えることなく移送体を高い分
解能で移動させ、かつ2相励磁駆動とマイクロステップ
駆動とを高速、かつ滑らかに切り換えることができる。
【0070】また本発明によれば、マイクロステップ駆
動または2相励磁駆動をおこなう場合、ステッピングモ
ータを所定の速度以下で駆動するときに発生する余剰ト
ルクを低減する。このことにより、振動の発生を抑制す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を用いたヘッド駆動装置の構
成例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明によるステッピングモータ駆動装置の実
施例のブロック図である。
【図3】マルチプレクサ215aの回路図である。
【図4】ROM9aおよび9bに格納された電流指令量を表
す図である。
【図5】2相励磁信号発生器214aおよび214bが生成する
出力信号を示す図である。
【図6】(a)は、2相励磁信号発生器214aおよび214bの
入出力の関係を示す図であり、(b)は、(a)に示す関係を
実現する2相励磁信号発生器214aおよび214bの回路図で
ある。
【図7】(a)は、送り補正値発生器211の入出力の関係を
示す図であり、(b)は、移送体によるステッピングモー
タの負荷にほぼ比例して、送り補正値を変化させるとき
に用いる、負荷LOADと補正値との関係を示す図である。
【図8】各部の信号のタイミングを示す図である。
【図9】図のタイミングに対応する主要なスティフネ
ス特性を示す図である。
【図10】(a)および(b)は、それぞれ、従来例および実
施例におけるトラッキング誤差信号TE、フォーカス誤
差信号FEおよびステッピングモータの電流指令量Iを示
す図である。
【図11】移送体の位置とステッピングモータの回転指
令位置との関係を示す図である。
【図12】本発明によるステッピングモータ駆動装置の
実施例のブロック図である。
【図13】(a)は、電流制限をしない場合のスティフネ
ス特性を示す図であり、(b)は、(a)の電流の半分に電流
制限をした場合のスティフネス特性を示す図である。
【図14】従来のヘッド駆動装置の構成を示す概略斜視
図である。
【図15】(a)は、ステッピングモータ駆動装置の2相
励磁駆動の場合のA相およびB相の励磁シーケンスを示
す図であり、(b)は、ステッピングモータ駆動装置のマ
イクロステップ駆動の場合のA相およびB相の励磁シー
ケンスを示す図である。
【図16】(a)および(b)は、図15の励磁シーケンスをお
こなったときのステッピングモータのスティフネス特性
を示す図である。
【符号の説明】
3 ステッピングモータ 6 ロータ 7a、7b ステータ 8a、8b 電流ドライバ 9a、9b ROM 10 アップダウンカウンタ 11 切り換えタイミング調整回路 12 マスク回路 21 ステッピングモータ駆動装置

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータおよびn相(n:2以上の整数)
    のステータを有し、移送体を移動させるステッピングモ
    ータの駆動装置であって、該ロータを第1ピッチで回転させる第1電流パターンを
    格納した第1記憶手段と、 該ロータを該第1ピッチとは異なる第2ピッチで回転さ
    せる第2電流パターンを格納する第2記憶手段と、 該第1記憶手段および該第2記憶手段から該第1電流パ
    ターンおよび該第2電流パターンを周期的に再生すると
    ともに、該第1電流パターンに対して該第2電流パター
    ンの位相を所定の位相シフト量だけシフトする位相シフ
    ト手段と、 駆動切り換え信号に基づいて該第1電流パターンと該第
    2電流パターンとを選択的に該ステータへ供給する駆動
    手段と、 を備えており、 該移送体の移動に必要とする該ステッピングモータの負
    荷と該ロータの回転方向とに応じた該位相シフト量を設
    定する事により、該ステッピングモータのスティフネス
    特性線図における該負荷の特性線と、該第1の電流パタ
    ーンによる駆動のスティフネス特性曲線と、該第2の電
    流パターンによる駆動のスティフネス特性曲線とが1点
    において交わる安定点で、該第1電流パターンおよび該
    第2電流パターンを相互に切り換えることを特徴とす
    る、 ステッピングモータ駆動装置。
  2. 【請求項2】 前記位相シフト手段は、前記第1記憶手
    段から前記第1電流パターンを読み出すためのアドレス
    を指定するアップダウンカウンターと、 前記ステッピングモータの負荷と前記ロータの回転方向
    とに基づいて前記位相シフト量を計算して出力する位相
    シフト計算手段とをさらに備えており、 該アップダウンカウンターに該位相シフト量を加算して
    得られるアドレスを用いて前記第2記憶手段から前記第
    2電流パターンを再生することを特徴とする、請求項1
    に記載のステッピングモータ駆動装置。
  3. 【請求項3】 前記アップダウンカウンタがi(i:3
    以上の整数)ビットのアップダウンカウンタであり、下
    位(i−2)ビットがすべて「0」になるときに前記
    1電流パターンおよび前記第2電流パターンを切り換え
    る、請求項に記載のステッピングモータ駆動装置。
  4. 【請求項4】 前記位相シフト量が所定の範囲を超えな
    い請求項に記載のステッピングモータ駆動装置。
  5. 【請求項5】 前記位相シフト計算手段は、前記第1電
    流パターンによって前記移送体を駆動するときに発生す
    るヒステリシス特性と、前記第2電流パターンによって
    該移送体を駆動するときに発生するヒステリシス特性
    の差から前記位相シフト量を計算する、請求項に記載
    のステッピングモータ駆動装置。
  6. 【請求項6】 前記駆動手段は、前記第2電流パターン
    に所定の定数を乗じて第3電流パターンを前記ステータ
    へ供給する電流可変手段を備えており、該第2電流パタ
    ーンから該第3電流パターンへ切り換えるときに、前記
    移送体の移動に必要とする前記ステッピングモータの負
    荷と前記ロータの回転方向とに応じた前記位相シフト量
    を設定する事により、ステッピングモータのスティフネ
    ス特性線図における負荷の特性線と、該第2電流パター
    ンによる駆動のスティフネス特性曲線と、該第3電流パ
    ターンによる駆動のスティフネス特性曲線とが1点にお
    いて交わる安定点で切り換えることを特徴とする、請求
    項1に記載のステッピングモータ駆動装置。
  7. 【請求項7】 前記電流可変手段は、前記移送体を所定
    の速度以下で移動させるときには、1より小さい所定の
    定数を乗じて前記第3電流パターンを前記ステータへ供
    給する、請求項6に記載のステッピングモータ駆動装
    置。
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