JP2738572B2 - 電気機械の高電圧絶縁機構 - Google Patents

電気機械の高電圧絶縁機構

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、電気機械の高電圧絶縁機構であって、巻線
絶縁体及びメイン絶縁体を有しており、巻線絶縁体とし
て少なくとも３つの層を備えた絶縁体が、エナメル絶縁
された導体部材に巻き付けられていてかつ導体部材に接
着されており、絶縁体のほぼ雲母から成る中央の層が両
側からプラスチック箔によって覆われており、導体部材
が巻線若しくはロッドにまとめられて、メイン絶縁体に
よって取り囲まれかつ電気機械の固定子内に組み込まれ
て、全体として含浸樹脂で含浸され、含浸樹脂が次いで
熱硬化されるようになっている形式のものに関する。
この場合、本発明は例えばCH−PS 559451号公報に記
載の公知技術から出発している。
技術的背景及び公知技術 回転する機械、特に高電圧モータの固定子巻線の絶縁
のために近年、完全含浸技術が著しく利用されている。
機械のための巻線部材は構造上の理由から成形コイルと
して構成されている。特に衝撃的な電圧負荷（短い波頭
長の作動過電圧及びその他の過電圧）に際して、巻線絶
縁体が過度に負荷され、絶縁作用を損なうことになる。
隣接する巻線間の絶縁体（巻線絶縁体:turn−to−tur
n insulation）は、高い運転確実性を保証するという幾
つかの要求を満たさなければならない。
このような要求は、多くの場合帯状の絶縁材料の処置
（巻線、成形線材の帯材により巻き付け）、コイルの成
形に際し、並びに引き続く製造段階（例えば含浸、硬
化）、種々のテスト及び運転中に衝撃的に連続して若し
くは繰り返し巻線絶縁体に作用する異なる負荷を考慮し
て設定される。
さらに、巻線の絶縁に用いられる帯は機械的な高い負
荷に耐えると同時に高いフレキシブル性を有していなけ
ればならない。このような部分的に相反する要求は部分
的にしか満たされない。雲母層の、例えば電気遮断作用
のような良好な特性が機械的な負荷に基づき部分的に明
らかに低下せしめられる。
さらに、巻線絶縁体は高い運転温度での高い耐コロナ
放電性を有していなければならない。従来の手段の誘電
性の長時間特性は不十分であった。
十分に高いサージ電圧阻止性が著しく重要である。最
近のIEC規定は0.5（4UN＋１）kV「波高値」の最小サー
ジ電圧阻止性を示しており、このUN＝コイル当たり定格
電圧kV実効値である。このことはUN＝15kVの機械にとっ
て30.5kVよりサージ電圧阻止性の大きい巻線絶縁を意味
している。
巻線絶縁体の成分は含浸樹脂／−エナメル塗料に対し
て化学的な耐性を有していなければならない。巻線絶縁
体と（エナメル絶縁された）巻線並びに、コイルのメイ
ン絶縁体（すなわちアースされた鉄に対する絶縁体）と
の良好な接着が、メイン・巻線絶縁体の全体的に同質の
組織を達成するために望まれる。
さらに経済的に重要なことは、巻線絶縁体が（銅線の
ようなアクチブな材料に比較して）できるだけ小さい容
積のスペースしか必要とせず、安価に形成されかつ施さ
れることである。
CH−特許公報559451号に基づく巻線絶縁体は４つの
層：ほぼ100μｍの雲母層、薄いグラス布（雲母層の支
持体として）、及び両側にポリ炭酸塩箔のほぼ８〜10μ
ｍの厚さのカバー層から成っている。絶縁帯のグラス布
及び雲母から成る中間層は溶剤のいらない結合剤、有利
にはＢ段階のエポキシド樹脂を用いて両方のカバー層に
接着されている。導体部材に絶縁を施しかつ絶縁された
導体部材をコイルに形成した後に、圧力及び熱処理に際
し絶縁帯のオーバラップ箇所の剰余の樹脂が流出して、
絶縁帯が個々の導体部材にかつ個々の導体部材が互いに
接着される。このようにして形成された導体束は樹脂の
硬化の後に乾燥したメイン絶縁を施され、引き続きいわ
ゆる完全含浸法で処理される。
このような公知の方法は省略することのできない比較
的時間のかかる中間処置を必要とする。中間処置なしに
は樹脂が絶縁帯のオーバラップ箇所の雲母・グラス布層
から所望の必要な程度で流出できない。メイン絶縁体の
樹脂コンパウンドが、導体部材とメイン絶縁体との間の
空洞のない完全な接着を保証するためにカバー層に正確
に適合させられねばならない。
このような理由から、最近の提案（1987.5.5−７ウイ
ーン近郊のバーデンにおいて開催された第３回国際ASTA
−シンポジウムの討論内容報告書“Teilleiterisolatio
n auf Glimmer−basis fuer Hochspannungsmaschinen"
に記載）においては、両方のカバー層の１つが省略され
ている。
しかしながらこのような絶縁帯を用いても接着に対す
る前述の問題は部分的にしか解決されない。
発明の課題及び構成 本発明の課題は、冒頭に述べた形式の高電圧絶縁機構
を改善して、巻線絶縁体の品質を高め、所要スペースが
わずかになるようにすることである。
前記課題を解決するために本発明の構成では、導体部
材が絶縁体で巻き付けられ、絶縁体の少なくとも、導体
部材に向けられた外面が接着剤を備えており、接着剤が
熱処理に際して少なくとも絶縁体を導体部材に接着する
ようになっており、導体部材に向けられたプラスチック
箔が別のプラスチック箔よりも1.5から３倍厚くなって
いる。
この場合、あらかじめ溶解接着剤、有利にはＢ段階の
フエノール樹脂を備えた絶縁帯が用いられ、溶解接着剤
の塗布は巻き付けの直前に行われてよい。これによっ
て、裸の導体も確実に絶縁される。
本発明の有利な構成では、絶縁帯が結合剤で含浸され
た雲母層を有しており、雲母層が両側から厚さの異なる
プラスチック箔によって覆われており、プラスチック箔
の外面が溶解接着剤で被覆されており、薄い方のプラス
チック箔が導体部材に巻き付けられた場合に外側に位置
している。
実施例 第１図に示してあるように、Ｂ段階の結合剤、例えば
変性エポキシド樹脂を含浸された厚さほぼ40μｍの雲母
層１は両側を厚さの異なるプラスチック箔２、３によっ
て覆われている。両方のプラスチック箔２、３は変性PE
TP若しくはポリイミドから成っており、この場合エナメ
ル絶縁導体部材に後で接着されるプラスチック箔−実施
例ではプラスチック箔２−は別のプラスチック箔３に対
して1.5から３倍厚くなっている。プラスチック箔２が
ほぼ絶縁帯の加工にとって重要な機械的な特性（破壊強
さ）及び鋭敏な雲母帯の支持力を規定しているのに対し
て、カバー箔は実質的にもっぱら保護機能を生ぜしめ、
厚さの小さいことに基づき伸ばされる。プラスチック箔
２、３の外側の表面は溶解接着剤層４、５によって被覆
されている。溶解接着剤層の層厚さは標準的には５μｍ
である。溶解接着剤層は一般にＢ段階のフェノール樹脂
から成っている。
第２図は本発明に基づく絶縁機構の構造の概略を、ま
た第３図は詳細を示している。電気機械の積層体固定子
７の溝６内には、巻線絶縁体８を用いて互いに絶縁され
た複数の導体部材９が配置されている。この導体部材束
はメイン絶縁体10によって取り囲まれていて、シム11を
介在してスリットキー12を用いて固定されている。
第２図のＸ部分を拡大して示す第３図から明らかなよ
うに、２つの絶縁帯を重ねて設けてあり、下側の絶縁帯
の接着剤層５と上側の絶縁帯の接着剤層４とが溶解して
唯一の層を成している。
巻線を製造する方法は次のような段階で行われる。
A:第１図に示す絶縁帯の製造 B:エナメル絶縁された導体部材への絶縁帯の巻き付け C:導体部材のコイル若しくは半コイルの形成及び集合 D:メイン絶縁体の装着 E:固定子の溝内へのコイル若しくはメイン絶縁体の挿入 F:巻線端部の回路接続 G:完全に巻かれた固定子の含浸タンク内での完全な含浸 H:含浸された固定子の乾燥炉内での熱処理 本発明において重要なのはＧ及びＨの段階で生じる過
程であり、この過程は絶縁体全体の質に著しい影響を及
ぼす。
プラスチック箔２と導体部材のエナメル絶縁層との間
に位置する溶解接着剤層４は熱処理中に溶解して、プラ
スチック箔２と導体部材を接着させ、雲母層１からの樹
脂備蓄を必要としない。毛管作用に基づき、巻線を互い
にオーバラップ若しくは隣接させる際に避けられない空
洞も満たされる。別の溶解接着剤層５は一方では上下に
位置する絶縁帯層の接着に役立ちかつ、他方においては
外側の絶縁帯層とメイン絶縁体との間の付着媒体として
用いられる。
例えば絶縁帯の製造の際にすでに絶縁帯に溶解接着剤
層４、５を備える代わりに、このような溶解接着剤は導
体部材に巻き付ける直前に初めて施されてよく、この場
合には溶解接着剤が巻き付けの時点で、絶縁された導体
部材の取り扱いを容易にするために十分に乾燥していな
ければならない。
本発明に基づく絶縁帯は従来の手段に対し、所要スペ
ースの少なく加工の著しく容易なかつ費用の安い、断熱
率及び誘電率の高い巻線絶縁を可能にする。このような
利点は帯組み合わせ（雲母層と支持体、若しくはすべり
帯）の特別な構造から得られ、この場合特に厚さの異な
る２つのプラスチック及び外側に塗布された溶解接着剤
との組み合わせが重要である。
多くの実験で明らかなように、電気的な耐用年数が高
い温度（140℃）において通常の手段よりも５〜８倍、
長くなり、耐衝撃性が（完成したコイルで測定して）ほ
ぼ３倍、高くなる。本発明に基づく巻線絶縁体を備えた
モータ巻線は付加的に過電圧防止手段を備える必要がな
い。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示すものであって、第１図は絶
縁帯の縦断面図、第２図は固定子巻線の横断面図及び、
第３図は第２図のＸ箇所の拡大図である。 １……雲母層、２及び３……プラスチック箔、４及び５
……溶解接着剤、６……溝、７……積層体固定子、８…
…巻線絶縁体、９……導体、10……メイン絶縁体、11…
…シム、12……スリットキー

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】電気機械の高電圧絶縁機構であって、巻線
    絶縁体及びメイン絶縁体を有しており、巻線絶縁体とし
    て少なくとも３つの層を備えた絶縁体が、エナメル絶縁
    された導体部材に巻き付けられていてかつ導体部材に接
    着されており、絶縁体のほぼ雲母から成る中央の層が両
    側からプラスチック箔（2,3）によって覆われており、
    導体部材が巻線若しくはロッドにまとめられて、メイン
    絶縁体によって取り囲まれかつ電気機械の固定子内に組
    み込まれて、全体として含浸樹脂で含浸され、含浸樹脂
    が次いで熱硬化されるようになっている形式のものにお
    いて、導体部材が絶縁体で巻き付けられ、絶縁体の少な
    くとも、導体部材に向けられた外面が接着剤（4,5）を
    備えており、接着剤が熱処理に際して少なくとも絶縁体
    を導体部材に接着するようになっており、導体部材に向
    けられたプラスチック箔（２）が別のプラスチック箔
    （３）よりも1.5から３倍厚くなっていることを特徴と
    する、電気機械の高電圧絶縁機構。
  2. 【請求項２】プラスチック箔がポリエステルベース若し
    くはポリイミドベースを有しており、厚い方のプラスチ
    ック箔のポリエステルベース若しくはポリイミドベース
    の厚さがほぼ18μｍから50μｍであり、薄い方のプラス
    チック箔のポリエステルベース若しくはポリイミドベー
    スの厚さがほぼ10μｍから30μｍである請求項１記載の
    高電圧絶縁機構。
  3. 【請求項３】絶縁体（１）の雲母層若しくは雲母帯が40
    μｍと60μｍとの間の厚さを有している請求項１又は２
    記載の高電圧絶縁機構。
  4. 【請求項４】接着剤（4,5）が溶解接着剤、有利には溶
    解剤のいらないＢ段階の含浸樹脂から成っていて、３μ
    ｍと８μｍとの間の厚さを有している請求項１から３の
    いずれか１項記載の高電圧絶縁機構。
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