JP3736821B2 - 回転電機の絶縁線輪 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両用主電動機に用いられる回転電機の絶縁線輪に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用主電動機は直流電動機が主流であり、その絶縁システムは耐熱性を主に考慮したものであった。
しかしながら、車両用主電動機は小型軽量化、高出力化、メンテナンスフリー化等が常に要求されていることと、最近の半導体素子の発達により直流電動機から、インバータ制御(PWM方式)による交流誘導電動機が主流になってきている。
このインバータで誘導電動機を駆動するとき、インバータ素子のスイッチングによって発生するサージ電圧がインバータの出力電圧に重畳され誘導電動機の端子に印加される。この電圧は、インバータ素子のスイッチング速度や配線条件などによって異なるが、インバータ直流電圧の約2倍程度に達することがある。
このため、誘導電動機の対地絶縁の絶縁システムには、従来検討されていた耐熱性を考慮すると共に、同時に耐電圧劣化性についても考慮する必要がある。
【0003】
従来からの絶縁材料で、耐熱性と耐電圧劣化性を同時に満足するものとしては、耐熱性フィルムにマイカ紙を接着剤で貼り合わせた耐熱性フィルムの集成マイカテープがあった。
この耐熱性フィルムとしてはポリイミドフィルムが代表的なもので、カプトンHフィルム(デュポン社製)、ユーピレックスフィルム(宇部興産製)などがある。
近年、耐熱性のあるポリイミドフィルムにアルミナの微粒子を含有させたことにより耐電圧劣化性を向上させたフィルムが登場している(カプトンCRテープ、デュポン社製)。このカプトンCRテープは従来のポリイミドフィルム(カプトンH)と比較すると耐熱性は同等ながら、耐電圧劣化性に優れたフィルムである。
【0004】
耐熱性と耐電圧劣化性を満足する、ポリイミド集成マイカテープはポリイミドフィルムとマイカ紙を接着剤で貼り合わせる3層構造となっているため、厚みが大きくなり、スペースファクタが劣る欠点があった。
また、カプトンCRテープはカプトンHテープよりも耐電圧劣化性は優れているものの、一層当たりの耐電圧劣化性は上記ポリイミド集成マイカテープよりも低い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した点に鑑みて創案されたもので、その目的とするところは、これらの欠点を解決し、従来の車両用直流主電動機のポリイミドフィルム絶縁と略同等の絶縁厚さで、ポリイミド集成マイカ絶縁と同程度の耐電圧劣化性を兼ね備えた回転電機の絶縁線輪を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
つまり、その目的を達成するための手段は、
請求項1において、導体に耐熱性絶縁テープからなる絶縁層を持つ絶縁線輪を、鉄心スロット部に挿入し、絶縁線輪がスロット内に固定されるようにくさびをスロット上部に組み込んだ後に、絶縁線輪内や絶縁線輪と鉄心間の空隙部に無溶剤耐熱性樹脂を充填し硬化させて製作する回転電機の絶縁線輪において、前記絶縁層は、耐熱性フィルムとマイカ紙を貼り合わせた耐熱性フィルム集成マイカテープとしての例えばポリイミドフィルムとマイカ紙を貼り合わせたポリイミド集成マイカテープと、無機物を含有した耐熱性テープとしての例えばカプトンCRテープとからなる。
また、請求項2において、前記耐熱性フィルム集成マイカテープとしてカプトンCRフィルムとマイカ紙を貼り合わせたカプトンCR集成マイカテープと、無機物を含有した耐熱性テープとしてカプトンCRテープとからなる。
【0007】
その作用は、絶縁層内部でたとえ部分放電が発生しても、ポリイミド集成マイカテープ中の無機絶縁物である鱗片状のマイカ箔が、層状に重なっていることで、絶縁劣化の進展を最小限に防止するとともに、ポリイミド集成マイカテープ層以外の絶縁層には、厚みが薄く耐電圧劣化性のあるカプトンCRテープを使用して、部分放電による絶縁劣化を防止しようとするものである。
【0008】
請求項2では、耐熱性フィルム集成マイカテープのフィルム層にも耐電圧劣化性のあるカプトンCRテープを使用することで、さらに耐電圧劣化性の向上を図ろうとするものである。
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳述する。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の請求項1記載の実施例を示す回転電機の絶縁線輪の断面図、図2は本発明の請求項2記載の実施例を示す回転電機の絶縁線輪の断面図、図3は本発明の比較例1の回転電機の絶縁線輪の断面図、図4は本発明の比較例2の回転電機の絶縁線輪の断面図である。
【0010】
〔実施例1〕
図1において、素線絶縁11を施した巻線導体10を素線束ねした線輪に、対地絶縁としてポリイミド集成マイカテープ12を1/2重ね1回、カプトンCRテープ14を1/2重ね2回、さらにその上にガラステープ15を突合わせ1回巻回し対地絶縁を施した。その後、モデルスロットに挿入して、耐熱性熱硬化型無溶剤樹脂を注入し、真空加圧含浸を行い、含浸樹脂に適合した加熱条件で硬化させて回転電機の絶縁線輪を製作した。これを試料Aとする。
【0011】
〔実施例2〕
図2において、図1と同様に素線束ねした線輪に、対地絶縁としてカプトンCR集成マイカテープ13を1/2重ね1回、カプトンCRテープ14を1/2重ね2回、さらにその上にガラステープ15を突合わせ1回巻回し対地絶縁を施した。その後、モデルスロットに挿入して、図1と同じ耐熱性熱硬化型無溶剤樹脂を注入し、真空加圧含浸を行い、含浸樹脂に適合した加熱条件で硬化させて回転電機の絶縁線輪を製作した。これを試料Bとする。
【0012】
〔比較例1〕
図3において、実施例1と同様に素線束ねした線輪に、対地絶縁としてカプトンCRテープ14を1/2重ね3回、その上にガラステープ15を突合わせ1回巻回し対地絶縁を施した。その後、モデルスロットに挿入して、実施例1と同じ耐熱性熱硬化型無溶剤樹脂を注入し、真空加圧含浸を行い、含浸樹脂に適合した加熱条件で硬化させて回転電機の絶縁線輪を製作した。これを試料Cとする。
【0013】
〔比較例2〕
図4において、図1と同様に素線束ねした線輪に、対地絶縁としてポリイミド集成マイカテープ12を1/2重ね3回、その上にガラステープ15を突合わせ1回巻回し対地絶縁を施した。その後、モデルスロットに挿入して、実施例1と同じ耐熱性熱硬化型無溶剤樹脂を注入し、真空加圧含浸を行い、含浸樹脂に適合した加熱条件で硬化させて回転電機の絶縁線輪を製作した。これを試料Dとする。
【0014】
このようにして得られた試料A,B,C,Dの4種類の絶縁線輪について耐電圧劣化性の評価試験を行った。
評価試験は試料を温度180℃の雰囲気の中に入れ、周波数1000Hz、実効値電圧3kVの正弦波波形を印加して、試料が絶縁破壊するまでの時間を比較したものが表1の結果である。
【0015】
【表1】
【0016】
表1に各試料について、評価試験の相対寿命(%)、相対絶縁厚(%)、寿命と絶縁厚の比を示す。
本実施例1、2(試料A,B)によれば、比較例1(試料C)と比べて絶縁厚さが17%の増加に対し、寿命は203%、220%と大幅に伸びている。そして寿命と絶縁厚の比も試料Cと比較して8割前後増加していて、組み合わせの効果が顕著に表れている。
また比較例1と2(試料C,D)の間では、相対寿命は試料Dの方が長くなっているが、相対絶縁厚も大きいので寿命と絶縁厚の比はかえって低くなっている。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、絶縁層に耐熱性フィルムとマイカ紙を貼り合わせた集成マイカテープとカプトンCRテープからなる絶縁層を形成した絶縁線輪に、その後耐熱性熱硬化型無溶剤樹脂を含浸し硬化させたものは、従来の絶縁厚さからの増加を最小限に抑えながら、耐電圧劣化性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1記載の実施例を示す回転電機の絶縁線輪の断面図である。
【図2】本発明の請求項2記載の実施例を示す回転電機の絶縁線輪の断面図である。
【図3】本発明の比較例1の回転電機の絶縁線輪の断面図である。
【図4】本発明の比較例2の回転電機の絶縁線輪の断面図である。
【符号の説明】
10 巻線導体
11 素線絶縁
12 ポリイミド集成マイカテープ
13 カプトンCR集成マイカテープ
14 カプトンCRテープ
15 ガラステープ
Claims (2)
- 導体に耐熱性絶縁テープからなる絶縁層を持つ絶縁線輪を、鉄心スロット部に挿入し、絶縁線輪がスロット内に固定されるようにくさびをスロット上部に組み込んだ後に、絶縁線輪内や絶縁線輪と鉄心間の空隙部に無溶剤耐熱性樹脂を充填し硬化させて製作する回転電機の絶縁線輪において、前記絶縁層は、耐熱性フィルムとマイカ紙を貼り合わせた耐熱性フィルム集成マイカテープとしての例えばポリイミドフィルムとマイカ紙を貼り合わせたポリイミド集成マイカテープと、無機物を含有した耐熱性テープとしての例えばカプトンCRテープとからなることを特徴とする回転電機の絶縁線輪。
- 前記耐熱性フィルム集成マイカテープとしてカプトンCRフィルムとマイカ紙を貼り合わせたカプトンCR集成マイカテープと、無機物を含有した耐熱性テープとしてカプトンCRテープとからなる請求項1記載の回転電機の絶縁線輪。
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