JP2737756B2 - 球型を呈したヘマタイト粒子粉末の製造法 - Google Patents

球型を呈したヘマタイト粒子粉末の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、粒子形状が球型を呈し
ており、且つ、カサ密度が0.40〜1.10g/cm3 であっ
て、しかも分散性に優れている球型を呈したヘマタイト
粒子粉末の製造法に関するものである。 【0002】本発明によって製造される球型を呈したヘ
マタイト粒子粉末の主な用途は、塗料用赤色顔料粉末で
ある。 【0003】 【従来技術】従来、ヘマタイト粒子は、赤色顔料として
広く一般に使用されており、省エネルギー時代における
作業能率の向上並びに塗膜物性の改良という観点から、
塗料の製造に際して、ヘマタイト粒子粉末のビヒクル中
への分散性の改良が、益々、要望されている。 【0004】塗料の製造に際して、顔料粉末のビヒクル
中への分散性が良好であるか否かは、塗料の製造工程に
おける作業能率を左右するとともに、塗膜の諸物性を決
定する極めて重要な因子となる。 【0005】このことは、例えば、色材協会誌49巻第1
号 (1976年) の第8頁の次のような記載からも明らかで
ある。「…塗膜の具備すべき諸特性は一口にいって、同
一顔料であれば塗膜中における顔料の分散性により、そ
の大部分が決定されるといっても過言ではないように思
われる。塗膜中の顔料の分散性が良好であれば、色調は
鮮明となり、着色力、いんぺい力等顔料本来の基本的性
質も向上することは理論の教えるところである。また塗
膜の光沢、鮮映性、機械的性質、塗膜の耐透気性などが
良好となり、これは塗膜の耐久性を向上させる結果とな
る。このように塗膜中の顔料の分散性は塗膜の諸物性を
決定するきわめて大事な要因であることが理解でき
る。」 【0006】従来、ヘマタイト粒子粉末の製造法として
は、第一鉄塩水溶液とアルカリとを反応させて得られた
水酸化第一鉄を含む反応水溶液に酸素含有ガスを通気す
ることにより、水溶液中から出発原料粒子としてのマグ
ネタイト粒子を生成させ、次いで、該マグネタイト粒子
を空気中で加熱酸化してヘマタイトとする方法が知られ
ている。 【0007】上記ヘマタイト粒子粉末の製造にあたり、
水溶液中から生成するマグネタイト粒子粉末の粒子形状
は、反応水溶液中のpHにより種々異なることが知られて
いる。 【0008】即ち、この事実は、粉体粉末冶金協会昭和
46年度秋季大会講演概要集第 112頁第14〜19行の「硫酸
第一鉄水溶液(139g/ 0.7l) に空気を吹き込み、撹拌
しながら水酸化ナトリウム水溶液 (40〜44g/ 0.3l)
を加え、50℃に昇温して5時間保って微粒子を得た。粒
子の外形を変えるためpHを変化させた。pHは水酸化ナト
リウムの量をコントロールし、酸性側(NaOH 40〜41g/
0.3l) で擬六面体粒子を、アルカリ性側 (43g以上/
0.3l) で八面体粒子を、中性附近(NaOH 42g/ 0.3
l) では多面体化した球状に近い粒子を得た。」なる記
載及び特公昭44-668号公報の特許請求の範囲の「…Fe(O
H)2 コロイドを含むpH 10 以上の水溶液を45℃以上70℃
以下の温度に保持し、撹拌により液中に存在する沈澱粒
子が充分に運動している状態で酸化反応を行うことによ
り、…粒状または立方状 (六面体)を呈した…黒色強磁
性粒子 (マグネタイト粒子) より成る沈澱を製造…」な
る記載から明らかである。 【0009】 【発明が解決しようとする問題点】分散性が優れたヘマ
タイト粒子は現在最も要求されているところであるが、
ヘマタイト粒子を製造する前述の公知方法により得られ
る粒子粉末は、未だ分散性の優れたものであるとは言い
難い。 【0010】本発明者は、ヘマタイト粒子の形状に着目
し、優れた分散性を有するヘマタイト粒子を得ようとす
れば、カサ密度が大きい球型を呈した粒子であることが
必要であり、そのようなヘマタイト粒子を得ようとすれ
ば、出発原料粒子であるマグネタイト粒子が、カサ密度
が大きい球型を呈した粒子であることが必要であると考
えた。 【0011】一方、前述した通り、球型を呈したマグネ
タイト粒子は、中性付近の水溶液中で生成されることが
知られているが、この場合には、第一鉄塩水溶液中のFe
2+の全量をマグネタイト粒子に変換することは困難で未
反応のFe2+が残存する為、収率が低く、その上未反応の
Fe2+は排水公害の原因となるのでその対策が必要であっ
た。 【0012】第一鉄塩水溶液中のFe2+の全量からマグネ
タイト粒子を生成し収率を高めようとすれば、第一鉄塩
水溶液と該第一鉄塩水溶液に対し1.00当量以上のアルカ
リとを反応させる必要があり、この場合にはpH 11 程度
以上のアルカリ反応水溶液となり、生成マグネタイト粒
子は六面体または八面体粒子となる為、かさ密度が小さ
いものであった。 【0013】従来、第一鉄塩水溶液中のFe2+の全量から
球型を呈したマグネタイト粒子を製造する方法として例
えば、特開昭49-35900号公報に記載の方法がある。即
ち、特開昭49-35900号公報に記載の方法は、第一鉄塩水
溶液または、第一鉄塩とCo2+等の2価金属塩の混合水溶
液に、該水溶液中に含まれる酸根に対し当量以下のアル
カリ金属の炭酸塩を加え、沸騰温度以下の温度で酸化反
応を行い、強磁性粒子母体を生成させる第一工程と、溶
液中に残存する未反応の2価金属イオンの全てが上記強
磁性微粒子母体上に析出するに充分な量のアルカリ金属
の水酸化物を加えることにより強磁性微粒子 (MO・Fe2O
3 、M:2価鉄又は2価鉄の一部または全部をCo等の2価
金属で置換したもの、M:2価鉄の場合がマグネタイト)
を生成する第二工程からなるものである。 【0014】しかしながら、上記方法により得られた球
型を呈したマグネタイト粒子は、後述する比較例3に示
す通り、得られるマグネタイト粒子の球型性は不十分で
あり、分散性に劣るものである。従って、生成粒子は、
粒子相互間で凝集しており、カサ密度も小さいものであ
る。これは、特開昭49-35900号公報に記載の方法により
得られるマグネタイト粒子は、第一工程において硫酸第
一鉄とアルカリ金属の炭酸塩とから得られる炭酸鉄の加
水分解反応により生成されるものであるから、マグネタ
イト核粒子が急速に析出生成される為、形状の十分な制
御ができなかったものと考えられ、従って、球型を呈し
たヘマタイト用出発原料としては不適当である。 【0015】 【問題点を解決する為の手段】本発明者は、球型を呈し
たカサ密度の高いヘマタイト粒子粉末を高い収率で製造
する方法について種々検討を重ねた結果、本発明に到達
したのである。 【0016】即ち、本発明は、第一鉄塩水溶液と該第一
鉄塩水溶液中のFe2+に対し0.80〜0.99当量の水酸化アル
カリとを少なくとも75℃以上で反応させて得られた水酸
化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩反応水溶液に70℃〜10
0 ℃の温度範囲で加熱しながら酸素含有ガスを通気して
前記水酸化第一鉄コロイドを酸化し、次いで、反応母液
中に残存するFe2+に対し1.00当量以上の水酸化アルカリ
を該加熱酸化条件と同一条件下で添加することにより球
型を呈したマグネタイト粒子を生成し、常法により水
洗、濾別、乾燥した後、該球型を呈したマグネタイト粒
子を空気中 450〜700 ℃で加熱酸化することにより球型
を呈したヘマタイト粒子を得ることを特徴とするカサ密
度が0.40〜1.10g/cm3 である球型を呈したヘマタイト
粒子粉末の製造法である。 【0017】 【作用】先ず、本発明に係る球型を呈したヘマタイト粒
子粉末は、出発原料粒子である球型を呈したマグネタイ
ト粒子を空気中 450〜700 ℃で加熱酸化することによ
り、粒子相互間の凝集等がなく、カサ密度が大きい平均
粒子径が0.1〜0.5μmの粒子粉末が得られるので
塗料の製造に当たって、分散性に優れた効果をもたら
す。 【0018】次に、本発明実施にあたっての諸条件につ
いて述べる。 【0019】本発明における第一鉄塩水溶液としては、
硫酸第一鉄、塩化第一鉄等が用いられる。 【0020】本発明における水酸化アルカリは、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化
物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカ
リ土類金属の酸化物及び水酸化物を使用することができ
る。 【0021】本発明における水酸化第一鉄コロイドを沈
澱させる為に使用する水酸化アルカリの量は、第一鉄塩
水溶液中のFe2+に対し0.80〜0.99当量である。0.80当量
未満又は0.99当量を越える場合には、球型を呈したマグ
ネタイト粒子を生成することが困難である。 【0022】本発明における水酸化第一鉄コロイドを含
む第一鉄塩反応水溶液に酸素含有ガスを通気する際の反
応温度は70℃〜100 ℃である。70℃未満である場合に
は、針状ゲータイト粒子が混在し、100 ℃を越える場合
でも球型を呈したマグネタイト粒子は生成するが工業的
ではない。 【0023】酸化手段は酸素含有ガス (例えば空気) を
液中に通気することにより行う。 【0024】本発明における水酸化第一鉄コロイドの酸
化後の反応母液中、残存Fe2+に対して添加する水酸化ア
ルカリの量は、1.00当量以上である。1.00当量未満では
Fe2+が全量沈澱しない。1.00当量を越える場合の工業性
を勘案した量が好ましい量である。 【0025】本発明における反応母液中に残存するFe2+
に対し水酸化アルカリを添加する際の反応温度及び酸化
手段は、前出水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩反応
水溶液に酸素含有ガスを通気する際の条件と同一でよ
い。 【0026】本発明における出発原料粒子の空気中にお
ける加熱温度は 450〜700 ℃である。450 ℃未満である
場合には、マグヘマイト粒子からヘマタイト粒子へ変態
しない。一方、700 ℃を越える場合には、粒子成長が激
しくなり、焼結等による粒子形状の変化が大きく球型性
が失われる。 【0027】 【実施例】次に、実施例並びに比較例により本発明を説
明する。 【0028】尚、以下の実施例並びに比較例における平
均粒子径は BET法により、カサ密度はJIS K 5101に記載
の方法により測定し、粒子形状は電子顕微鏡により観察
した。 【0029】<出発原料マグネタイト粒子の製造> 実施例1 Fe2+ 1.5 mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液20lを、あら
かじめ、反応器中に準備された2.64-NのNaOH水溶液20l
に加え (Fe2+に対し0.88当量に該当する。)、pH 6.9、
温度90℃においてFe(OH)2 を含む第一鉄塩水溶液の生成
を行った。 【0030】上記Fe(OH)2 を含む第一鉄塩水溶液に温度
90℃において毎分 100lの空気を 240分間通気した。 【0031】次いで、上記反応母液中に3.78-NのNaOH水
溶液2lを加え (残存Fe2+に対し1.05当量に該当す
る。)、pH 11.8 、温度90℃において毎分20lの空気を
60分間通気してマグネタイト粒子を生成した。 【0032】生成粒子は、常法により、水洗、濾別、乾
燥、粉砕した。 【0033】得られたマグネタイト粒子粉末は、図1に
示す電子顕微鏡写真(×20000)から明らかな通り、粒子
相互間の凝集等がなく球型を呈した粒子であり、且つ、
粒度が均斉なものであった。 【0034】また、この球型を呈したマグネタイト粒子
粉末は、平均粒子径が0.18μm で、カサ密度0.54g/cm
3 であり、分散性の極めて良好なものであった。 【0035】実施例2 Fe2+ 1.5 mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液20lを、あら
かじめ、反応器中に準備された2.79-NのNaOH水溶液20l
に加え (Fe2+に対し0.93当量に該当する。)、pH 6.7、
温度75℃においてFe(OH)2 を含む第一鉄塩水溶液の生成
を行った。 【0036】上記Fe(OH)2 を含む第一鉄塩水溶液に温度
75℃において毎分 100lの空気を 240分間通気した。 【0037】次いで、上記反応母液中に3.78-NのNaOH水
溶液2lを加え (残存Fe2+に対し1.05当量に該当す
る。)、pH 11.8 、温度75℃において毎分20lの空気を
60分間通気してマグネタイト粒子を生成した。 【0038】生成粒子は、常法により、水洗、濾別、乾
燥、粉砕した。 【0039】得られたマグネタイト粒子粉末は、図2に
示す電子顕微鏡写真(×20000)から明らかな通り、粒子
相互間の凝集等がなく球型を呈した粒子であり、且つ、
粒度が均斉なものであった。 【0040】また、この球型を呈したマグネタイト粒子
粉末は、平均粒子径が0.11μm で、カサ密度0.46g/cm
3 であり、分散性の極めて良好なものであった。 【0041】比較例1 Fe2+ 1.5 mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液20lを、あら
かじめ、反応器中に準備された3.45-NのNaOH水溶液20l
に加え (Fe2+に対し1.15当量に該当する。)、pH 12.8
、温度90℃においてFe(OH)2 を含む水溶液の生成を行
った。 【0042】上記Fe(OH)2 を含む水溶液に温度90℃にお
いて毎分 100lの空気を 220分間通気してマグネタイト
粒子を生成した 【0043】得られたマグネタイト粒子粉末は、図3に
示す電子顕微鏡写真(×20000)から明らかな通り、六面
体を呈した粒子であった。 【0044】この六面体を呈したマグネタイト粒子粉末
は、平均粒子径が0.17μm で、カサ密度0.25g/cm3
あった。 【0045】比較例2 Fe2+ 1.5 mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液20lを、あら
かじめ、反応器中に準備された1.92-NのNaOH水溶液20l
に加え (Fe2+に対し0.64当量に該当する。)、pH 4.8、
温度90℃においてFe(OH)2 を含む第一鉄塩水溶液の生成
を行った。 【0046】上記Fe(OH)2 を含む第一鉄塩水溶液に温度
90℃において毎分 100lの空気を 190分間通気してマグ
ネタイト粒子を生成した。 【0047】得られたマグネタイト粒子粉末は、図4に
示す電子顕微鏡写真(×20000)から明らかな通り、不定
形粒子であった。 【0048】この不定形のマグネタイト粒子粉末は、平
均粒子径が0.19μm であり、カサ密度0.34g/cm3 であ
った。 【0049】比較例3 Fe2+ 1.5 mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液20lを、あら
かじめ、反応器中に準備された2.85-NのNa2CO3水溶液20
lに加え (Fe2+に対し0.95当量に該当する。)、pH 6.
6、温度90℃においてFeCO3 を含む第一鉄塩水溶液の生
成を行った。 【0050】上記FeCO3 を含む第一鉄塩水溶液に温度90
℃において毎分 100lの空気を 240分間通気してマグネ
タイト粒子を含む第一鉄塩水溶液を生成した。 【0051】次いで、上記マグネタイト粒子を含む第一
鉄塩水溶液に1.58-NのNaOH水溶液2lを加え (Fe2+に対
し1.05当量に該当する。)、pH 11.6 、温度90℃におい
て毎分20lの空気を60分間通気してマグネタイト粒子を
生成した。 【0052】生成粒子は、常法により、水洗、濾別、乾
燥、粉砕した。 【0053】得られたマグネタイト粒子粉末は、図5に
示す電子顕微鏡写真(×20000)に示す通り、不定形粒子
であった。 【0054】このマグネタイト粒子粉末の平均粒子径は
0.12μm であり、カサ密度0.29g/cm3 であった。 【0055】<球型を呈したヘマタイト粒子粉末の製造
> 実施例3 実施例1で得られた球型を呈したマグネタイト粒子 100
gを電気炉を用い空気中650 ℃で60分間加熱酸化してヘ
マタイト (α-Fe2O3) 粒子を得た。 【0056】得られたヘマタイト粒子粉末は、図6に示
す電子顕微鏡写真(×20000)から明らかな通り、粒子相
互間の凝集等のない球型を呈した粒子であった。 【0057】また、この球型を呈したヘマタイト粒子粉
末は、平均粒子径が0.20μm 、カサ密度0.56g/cm3
あり、分散性の極めて良好なものであった。 【0058】実施例4 実施例2で得られた球型を呈したマグネタイト粒子 100
gを電気炉を用い空気中 500℃で60分間加熱酸化してヘ
マタイト (α-Fe2O3) 粒子を得た。 【0059】得られたヘマタイト粒子粉末は、図7に示
す電子顕微鏡写真(×20000)から明らかな通り、粒子相
互間の凝集等のない球型を呈した粒子であった。 【0060】また、この球型を呈したヘマタイト粒子粉
末は、平均粒子径が0.13μm 、カサ密度0.50g/cm3
あり、分散性の極めて良好なものであった。 【0061】比較例4 比較例1で得られたマグネタイト粒子 100gを電気炉を
用い空気中 650℃で60分間加熱酸化してヘマタイト (α
-Fe2O3) 粒子を得た。 【0062】得られたヘマタイト粒子粉末は電子顕微鏡
観察の結果六面体を呈した平均粒子径0.20μm 、カサ密
度0.28g/cm3 の粒子であった。 【0063】比較例5 比較例2で得られたマグネタイト粒子 100gを電気炉を
用い空気中 650℃で60分間加熱酸化してヘマタイト (α
-Fe2O3) 粒子を得た。 【0064】得られたヘマタイト粒子粉末は電子顕微鏡
観察の結果、不定形を呈した平均粒子径0.23μm 、カサ
密度0.37g/cm3 の粒子であった。 【0065】比較例6 比較例3で得られたマグネタイト粒子 100gを電気炉を
用い空気中 650℃で60分間加熱酸化してヘマタイト (α
-Fe2O3) 粒子を得た。 【0066】得られたヘマタイト粒子粉末は電子顕微鏡
観察の結果、不定形を呈した平均粒子径0.18μm 、カサ
密度0.34g/cm3 の粒子であった。 【0067】 【発明の効果】本発明によれば、第一鉄塩水溶液中に未
反応のFe2+を残すことなくFe2+の全量から出発原料であ
る球型を呈したマグネタイト粒子粉末が得られるので高
い収率で、且つ、排水公害の原因となるFe2+を排出する
ことなく球型を呈したヘマタイト粒子粉末を得ることが
できる。 【0068】本発明により得られた球型を呈したヘマタ
イト粒子粉末は、前出実施例に示した通り、粒子形状が
球型であることに起因して、粒子相互間の凝集等がな
く、カサ密度が大きく、その結果、分散性が優れたもの
であるから、現在、最も要求されている塗料用赤色顔料
粉末として好適である。 【0069】塗料の製造に際して、本発明により得られ
た球型を呈したヘマタイト粒子粉末を用いた場合には、
ビヒクル中への分散が良好であるので、光沢、鮮明性、
耐久性の塗膜特性の改良が可能となり、又、作業能率も
向上する。
【図面の簡単な説明】 【図1】 実施例1で得られた球型を呈したマグネタイ
ト粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×20000)
である。 【図2】 実施例2で得られた球型を呈したマグネタイ
ト粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×20000)
である。 【図3】 比較例1で得られた六面体を呈したマグネタ
イト粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×2000
0)である。 【図4】 比較例2で得られた不定形のマグネタイト粒
子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×20000)であ
る。 【図5】 比較例3で得られた球型性の不充分なマグネ
タイト粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×20
000)である。 【図6】 実施例3で得られた球型を呈したヘマタイト
粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×20000)で
ある。 【図7】 実施例4で得られた球型を呈したヘマタイト
粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×20000)で
ある。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.第一鉄塩水溶液と該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し
    0.80〜0.99当量の水酸化アルカリとを少なくとも75℃以
    上で反応させて得られた水酸化第一鉄コロイドを含む第
    一鉄塩反応水溶液に70℃〜100 ℃の温度範囲で加熱しな
    がら酸素含有ガスを通気して前記水酸化第一鉄コロイド
    を酸化し、次いで、反応母液中に残存するFe2+に対し1.
    00当量以上の水酸化アルカリを該加熱酸化条件と同一条
    件下で添加することにより球型を呈したマグネタイト粒
    子を生成し、常法により水洗、濾別、乾燥した後、該球
    型を呈したマグネタイト粒子を空気中 450〜700 ℃で加
    熱酸化することにより球型を呈したヘマタイト粒子を得
    ることを特徴とするカサ密度が0.40〜1.10g/cm3 であ
    る球型を呈したヘマタイト粒子粉末の製造法。
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