JP2736283B2 - 巻付けグリップ自動取付け装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、線状体（ケーブル、ワイヤ等を含む）に
巻付けグリップを自動的に取り付ける巻付けグリップ自
動取付け装置に関する。

〔従来の技術〕

従来のケーブル敷設技術は、ケーブルを敷設する電柱
にあらかじめ滑車を取り付けておき、この滑車を介して
電柱間に引き網を張る。この引き網を最後の電柱まで張
り終わったら、引き網の先端部を最後の電流に仮止め
し、引き網の末端部を切断してケーブルに連結する。ケ
ーブルは、ケーブルドラムに巻かれた状態で敷設開始点
に載置されており、引き網の先端部をウインチで牽引す
ることにより、引き網に誘導されてケーブルがケーブル
ドラムから繰り出され電柱間に架渉される。

この場合、ケーブルやワイヤ等は架空に敷設する為、
電柱の側面に金具で固定されるのが一般的である。その
為、ケーブル、ワイヤ等の先端またはその中間部に巻付
けグリップを手作業で巻き付け、電柱への固定を容易に
することが行われていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、電柱上で巻付けグリップを手作業で巻き付け
ることは、本質的に高所作業になるので常に落下の危険
が伴っていた。

また、従来の巻付けグリップは金具固定部が線状体と
同軸上にあり、ケーブル中間部を補助引張りする際は金
具とケーブルが幅奏し、作業上問題となる。

そこで本発明は、安全性が高く作業性の良い巻付けグ
リップ自動取付け装置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を達成するため、本発明は線状体に巻付けグ
リップを自動的に取り付ける巻付けグリップ自動取付け
装置であって、巻付けグリップの一片が螺旋状に巻き付
けられた線状体を把持する線状体把持部と、上記線状体
の周りに上記巻付けグリップの他片を回転させる回転機
構部と、この回転機構部を上記線状体の長手方向に沿っ
て移動させる回転機構直動部とを備えて構成されている
ことを特徴とする。

〔作用〕

この発明は、以上のように構成されているので、線状
体把持部の作用により巻付けグリップの一片が螺旋状に
巻き付けられた線状体が把持され、回転機構部及び回転
機構直動部の作用により巻付けグリップの他片は線状体
に沿って螺旋状に巻き付けられる。

〔実施例〕

以下、この発明の一実施例に係る巻付けグリップ自動
取付け装置を添付図面に基づき説明する。なお、説明に
おいて同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省
略する。

第１図は実施例に係る自動取付け装置の外観例を示す
ものである。この装置は、基本的に、線状体把持部１、
回転機構部２、回転機構直動部３を含んで構成されてい
る。線状体把持部１は、バネで附勢されたローラを含
み、当該ローラにより半径方向から線状体を把持する。
その為、線状体を回転させることなくローラを当該線状
体の周りに回転させることが可能である。回転機構部２
は、巻付けグリップの一片が既に巻き付けられた線状体
と巻付けグリップの他片を把持する一対の中高ローラ2
a、この把持部材をモータ駆動により回転させる歯車列
を含んで構成されている。回転機構直動部３は、回転運
動を直線運動に変える機構部を含んで構成されており、
例えば、モータの回転運動を直線運動に変換できるラッ
ク3aとピニオン3bが含まれている。

以下、第２図乃至第６図に基づき、具体的な構成例に
ついて説明する。第２図は装置の取付け状態を示すＬ−
Ｌ線（第１図）からみた断面図である。巻付けグリップ
４は線状体（図示せず）に取り付けられており、電柱５
の側面に固定された金具６に滑車７を介して取り付けら
れている。金具６を挾んで電柱５の反対側には当該実施
例に係る巻付けグリップ自動取付け装置が設置されてい
る。この装置には、金具６に近い位置に線状体把持部１
が配置されている。線状体把持部１は、平歯車Ａに固定
され線状体を半径方向から把持するローラ1aを備えてい
る。

第３図は、線状体把持部と回転機構を示すＫ−Ｋ線
（第１図）からみた断面図を示す。ローラ1aは、線状体
の長手方向と平行な回転軸を有し、３個のローラ1aがほ
ぼ120度間隔で線状体の周りに配置されている。さら
に、各ローラ1aは圧縮コイルスプリング1bにより線状体
の中心部に向かって附勢されている。その為、線状体は
長手方向と直交する方向で固定されるが、平歯車Ａが線
状体の周りに回転しても線状体自体は回転しないように
なっている。装置の他端側には、前述した一対の中高ロ
ーラ2aが設置されている（第２図参照）。線状体把持部
１を固定する平歯車Ａは平歯車Ｂ、Ｂ′と結合できるよ
うに配置されており、平歯車Ｂ、Ｂ′は平歯車Ｃと結合
できるように配置されている。平歯車Ｃはモータ等によ
り駆動される。さらに、平歯車Ｃは傘歯車Ｄ（図示せ
ず）に連結されており、この傘歯車Ｄは別の傘歯車Ｅと
かみあっている。傘歯車Ｅは平歯車Ｃの回転軸と直交す
る回転軸を有し、傘歯車Ｅと同軸上に回転軸を有する平
歯車Ｆに固定されている。

第４図は、巻付けグリップと中高ローラを示すＭ−Ｍ
線（第１図）からみた断面図を示す。中高ローラ2aは、
線状体の長手方向と交差する方向に回転軸を有し、圧縮
コイルスプリングにより線状体の側面から中心部に向か
って附勢されている。さらに、この中高ローラ2aは平歯
車Ａに取り付けられており、平歯車Ａの回転中心付近に
巻付けグリップの一片4aが巻き付けられた線状体が配置
され、回転中心から少し離れた位置に巻付けグリップの
他片4bが把持される。

第５図は、この実施例で使用することができる巻付け
グリップの構造の例を示すものである。同図（ａ）に示
す巻付けグリップは取付け部4cが半円状に湾曲した構造
を有し、同図（ｂ）に示す巻付けグリップは取付け部4c
が円筒状になっている。同図（ｃ）に示す巻付けグリッ
プは取付け部4cが長手方向と直交する方向へ半円状に湾
曲している構造を有する。

第６図は回転機構直動部の構成例を示すものである。
モータで駆動される平歯車Ｃは、前述したように、傘歯
車Ｄ、Ｅを介して平歯車Ｆに連結されている。さらに、
平歯車Ｆは平歯車Ｇを介してピニオンギアＨに結合され
ており、ピニオンギアＨにはラックＩが噛みあってい
る。従って、モータ駆動により平歯車Ｃが回転すると、
その回転運動は直線運動に変換されてラックＩに伝達さ
れる。ラックＩは、線状体の長手方向に沿って配置され
ているので、ラックＩを例えばマニピュレータ車に固定
すれば装置全体を線状体の長手方向に沿って移動させる
ことができる。

この実施例によると、平歯車Ａの回転により線状体把
持部１を構成するローラ1a及び中高ローラ2aが共に回転
する。ローラ1aは３方向から線状体８を把持するので、
この回転により線状体８が回転することはなく、所定の
位置で保持される。一方、回転機構部２の一部である中
高ローラ2aが回転すると、巻付けグリップの他片4bは線
状体８の周りを回転する。また、回転機構直動部３は平
歯車Ａの回転運動が直線運動に変換され、線状体８の長
手方向に装置全体を移動させる。従って、中高ローラ2a
は線状体８の周りを螺旋状に長手方向へ移動する。その
為、線状体８の周りに予め巻き付けられた巻付けグリッ
プの一片4aの巻付け間隔を埋めるように、巻付けグリッ
プの他片4bが線状体８に取り付けられる。

第７図は、第５図に示す巻付けグリップを線状体に取
り付けた状態を示すものである。このように、当該巻付
けグリップ自動取付け装置を使用すれば、簡単かつ自動
的に、巻付けグリップの他端を線状体に取り付けること
ができる。その為、作業員による高所作業を回避し、安
全にかつ効率良く、通信ケーブルや引網等の可とう性線
状体の一端に巻付けグリップを取り付けることが可能と
なり、地上からの遠隔操作によって電柱等の高所で作業
することができる。

第８図は本発明に係る巻付けグリップ自動取付け装置
を用いた作業例を示すものである。巻付けグリップ自動
取付け装置20はマニピュレータ車21に装着された支持ア
ーム22上に固定されており、電柱23に架渉されたケーブ
ル24に設置される（第２図参照）。

なお、この発明は上記実施例に限定されるものではな
い。例えば、線状体把持部は線状体に捩じれを与えずに
回転できる構造であればよい。また、回転機構は上記線
状体の周りに巻付けグリップの開放端を回転できる構造
であればよい。さらに、回転機構直動部は単に、回転運
動を直線運動に変換できる構造であればよい。

〔発明の効果〕

この発明は、以上説明したように構成されているの
で、巻付けグリップの取り付け作業において自動的に巻
付けグリップを取り付けることができ、作業の安全性が
高まる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係る巻付けグリップ自動取
付け装置の外観例を示す側面図、第２図は第１図に示す
巻付けグリップ自動取付け装置の取付け状態を示す断面
図、第３図は上記実施例に係る巻付けグリップ自動取付
け装置に使用することができる線状体把持部と回転機構
を示すＬ−Ｌ線（第１図）からみた断面図、第４図は上
記実施例に係る巻付けグリップ自動取付け装置に使用す
ることができる巻付けグリップと中高ローラを示すＭ−
Ｍ線（第１図）からみた断面図、第５図は上記実施例に
係る巻付けグリップ自動取付け装置に使用することがで
きる巻付けグリップの構造を示す斜視図、第６図は上記
実施例に係る巻付けグリップ自動取付け装置に使用する
ことができる回転機構直動部の構成例を示す図、第７図
は上記実施例に係る巻付けグリップ自動取付け装置を使
用して線状体に巻付けグリップを取り付けた状態を示す
図、第８図は本発明に係る巻付けグリップ自動取付け装
置を用いた作業例を示す斜視図である。 １……線状体把持部、２……回転機構、３……回転機構
直動部、４……巻付けグリップ、５……電柱、６……金
具、７……滑車、８……線状体、20……巻付けグリップ
自動取付け装置、21……マニピュレータ車、22……支持
アーム、23……電柱、24……ケーブル、Ａ、Ｂ、Ｂ′、
Ｃ、Ｆ、Ｇ……平歯車、Ｄ、Ｅ……傘歯車、Ｈ……ピニ
オンギア、Ｉ……ラック。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 康雄 神奈川県横浜市栄区田谷町１番地 住友 電気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 川鍋 時夫 東京都千代田区内幸町１丁目１番６号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 白潟 実 東京都千代田区内幸町１丁目１番６号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 柴田 勉 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央１丁目10 番２号 (56)参考文献 特開 昭64−77407（ＪＰ，Ａ) 実開 昭60−79205（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】線状体に巻付けグリップを自動的に取り付
   ける巻付けグリップ自動取付け装置であって、 巻付けグリップの一片が螺旋状に巻き付けられた線状体
   を把持する線状体把持部と、 前記線状体の周りに前記巻付けグリップの他片を回転さ
   せる回転機構部と、 前記回転機構部を前記線状体の長手方向に沿って移動さ
   せる回転機構直動部とを備えて構成されていることを特
   徴とする巻付けグリップ自動取付け装置。