JP2734709B2 - インクジェット染色用布帛およびそれを用いてなるインクジェット染色法 - Google Patents

インクジェット染色用布帛およびそれを用いてなるインクジェット染色法

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JP2734709B2 JP2000859A JP85990A JP2734709B2 JP 2734709 B2 JP2734709 B2 JP 2734709B2 JP 2000859 A JP2000859 A JP 2000859A JP 85990 A JP85990 A JP 85990A JP 2734709 B2 JP2734709 B2 JP 2734709B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、発色性良好な高品位の画像を付与するため
のインクジェット用布帛およびそれを用いてなるインク
ジェット染色法に関するものである。
(従来の技術) 近年、インクジェット方式による図柄形成は、図柄読
取機やコンピュータと組合わせることにより、時間と費
用をかけることなく作製可能であるため、紙の印写分野
でインクジェットによる印写方式が発達し、既に実用化
されているが、繊維分野においても、注目されはじめて
いる。
通常、カラーインクジェットは、イエロー、シアン、
マゼンタの基本三原色およびブラックで構成されてお
り、ドットマトリックスにより多くの色を出す方法が採
用されており、さらに、色の表現力を豊にするため、イ
エロー、シアン、マゼンタの基本三原色の濃淡インク、
濃中淡インクまたは配合インクなどが用いられている。
セルロース系繊維に反応性染料を用いて染色する場
合、固着時に染料濃度の増減につれ、アルカリ量も比較
的に増減させて染色する必要があるが、かかる染色をイ
ンクジェット染色法で行なる場合は、アルカリをインク
に添加するかまたは布帛にアルカリを含有させる必要が
ある。
かかる布帛に前処理でアルカリを含有させることは、
特開昭62−299588で知られている。
また、インクにアルカリやアルカリ発生剤等を添加す
る技術は、特開昭63−145379や特開昭63−68680で知ら
れている。
[発明が解決しようとする課題] しかし、前者のアルカリを含有させた布帛をインクジ
ェット染色に用いる場合は、該布帛は既に一定の高アル
カリ濃度を示すものとなっている点に問題がある。すな
わち、かかる高アルカリ性布帛にインクを付与すると、
固着までの間に染料が分解したり変色してしまう欠点が
あった。
かかる欠点に加えて、インクとして、イエロー、シア
ン、マゼンタの基本三原色の濃淡インク、濃中淡インク
または配合インクを使用する場合は、これらのインクが
各染料成分の濃度が一様でないことに起因して、淡色系
染料と濃色系染料のいずれかに発色性低下をきたす欠点
があった。すなわち、これらのインクは染料濃度の異な
る各種染料混合物であるので、どの染料成分の濃度にア
ルカリ濃度を合せても他の染料成分とはアルカリ濃度が
合わないこととなり、結局、ある1種の染料濃度に合わ
せてアルカリ前処理しているのが通常であった。その場
合、合せたアルカリ濃度が高すぎると淡色系染料に変色
や発色性の低下が生じ、逆に低すぎると、濃色系染料に
発色性の低下が生ずるという欠点があった。
また、後者のように、インクにアルカリを添加する
と、反応性染料がアルカリで加水分解し、染料濃度が低
下するため、長時間の保存が出来ず、1〜2日でインク
を捨てなければならず、実用的でなく、また、インクに
アルカリ発生剤を添加すると、染料の溶解度が低下し不
溶成分が増大したり、リンク粘度の増大や粘着性アップ
などによってインクの吐出性能を悪化し、さらに信頼性
の低下を招く欠点があった。特に、循環方式である連続
吐出方式の場合、インクを回収、再利用するためのガタ
ーにアルカリ発生剤が堆積しインクの通路を妨げ、作業
性を著しく悪くし、同時に画像の乱れを発生するなどの
欠点があった。
本発明はかかる従来技術の欠点に鑑み、インクジェッ
ト染色で、濃色系〜淡色系の別なく高発色性の染色が可
能で、高品位の染色品を提供できるセルローズ系繊維を
含有するインクジェット染色用布帛を提供せんとするも
のであり、また、かかる布帛を用いて高発色高品位の染
色品をインクの吐出安定性の問題もなく安定して製造す
ることができる染色法を提供せんとするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、前記の目的を達成するため、次の構成を有
する。
すなわち、本発明のインクジェット染色用布帛は、少
なくとも1色以上が濃淡を有する反応性染料インクでイ
ンクジェット染色するための、セルロース系繊維を含有
する布帛が、アルカリ発生剤を含有しており、かつ該布
帛は常温ではPH8.5以下であるが、100℃の加熱蒸気また
は120℃の加熱雰囲気下ではPH9.5以上を示すものである
ことを特徴とするものである。
また、本発明のインクジェット染色法は、少なくとも
1色以上が濃淡を有する反応性染料インクでインクジェ
ット染色するに際して、セルロース系繊維を含有する布
帛にアルカリ発生剤を付与した後、100℃未満の低温で
布帛のPHを8.5以下に抑えながら乾燥し、次いで反応性
染料からなるインクをインクジェットで付与した後、該
布帛を加熱処理して、該布帛のPHを9.5以上に上昇させ
て染料を固着することを特徴とするものである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
セルロース繊維は、反応性染料と付加反応または置換
反応を起こし、繊維と結合し染色されるものであるが、
反応機構が脱塩酸反応であるために、その塩酸を中和さ
せて反応を進行させる必要がある。アルカリはその中和
のために必須である。
従って、染料濃度が増大すれば発生する塩酸も多くな
り、当然アルカリ量も増大させて投与する必要があり、
特に染料濃度がまちまちである配合染料の場合にはアル
カリ濃度を調整して、それぞれに付与することは極めて
困難である。
インクジェット染色の場合も、反応性染料を用いる以
上、上述の染料濃度とアルカリ濃度の問題は克服しなけ
ればならない。
本発明者らは、かかる従来技術での問題点を分析、検
討した結果、染料インクの発色固定のときに初めて高い
PHに変化する布帛を完成させることに成功し、本発明に
到達したものである。
本発明のインクジェット染色用布帛は、インク濃度が
濃色系〜淡色系のいずれであっても、高発色性を達成す
ることができ、さらに、インクにアルカリやアルカリ発
生剤などを配合する必要もなく、インクの吐出安定性が
非常に優れているので安定した処理スピードを達成せし
め得る。
すなわち、本発明のインクジェット染色用布帛は、上
述の特定の性質を有する布帛であり、そのためのアルカ
リ発生剤を含有するものである。
かかるアルカリ発生剤とは、室温ではPH8.5以下しか
示さないにもかかわらず、100℃の加熱蒸気や120℃の加
熱雰囲気の下ではPH9.5以上のアルカリ性を示すもので
ある。
かかるアルカリ発生剤としては、それ自体がPH9.5以
上を示す能力を有するアルカリ金属化合物、さらに熱に
よって分解または加水分解してPH9.5以上の強アルカリ
性を示す能力を有する化合物などを使用することができ
る。
前者のアルカリ金属化合物は、室温でも強アルカリ性
を示すので、該化合物を使用する場合は、熱で破壊可能
(分解または加水分解するものを含む)な物質で包まれ
たカプセル状のものとして、その状態のまま布帛に含有
させることにより、該布帛(特に表面)のPHを8.5以下
に維持させる。
熱で破壊可能な物質としては、たとえばアルギン酸ナ
トリウムにアルカリを加え、カチオン系化合物でソフト
に固めて、カプセル化したものが好ましく用いられる。
熱によって分解または加水分解して強アルカリ性を示
す化合物は、本発明に好適なアルカリ発生剤であり、た
とえば下記一般式の化合物を使用することができる。
式中、X1〜X3:ハロゲンまたは水素を表わし、そのう
ち少なくとも一つはハロゲンでなければならない。ここ
でハロゲンとは、Cl、Brを表し、M:Na、Kを表わす。
かかる一般式の化合物としては、たとえば、モノクロ
ル酢酸ナトリウム、ジクロル酢酸ナトリウム、トリクロ
ル酢酸ナトリウム、モノブロム酢酸ナトリウム、ジブロ
ム酢酸ナトリウ、トリブロム酢酸ナトリウム(カリウ
ム)、モノクロル酢酸カリウム、ジクロル酢酸カリウ
ム、トリクロル酢酸カリウム、モノブロム酢酸カリウ
ム、ジブロム酢酸カリウム、トリブロム酢酸カリウムを
使用することができる。
これらの化合物の中で、ジクロル酢酸ナトリウム、ト
リクロル酢酸ナトリウムが好ましく用いられる。特に、
トリクロル酢酸ナトリウムがアルカリ性が強くて最も好
ましく用いられる。
本発明のインクジェット染色用布帛によれば、アルカ
リ性は強い程濃色系の発色性に優れており、しかも淡色
系の発色も問題なく達成される特徴が発揮される。この
点が従来技術との大きな相違点である。
かかるアルカリ発生剤の使用量は、布帛重量に対し、
アルカリ性の強弱や染料付与量にもよるが、たとえば、
染料付与量が20重量%以下の場合、好ましくは2〜15重
量%、さらに好ましくは4〜10重量%含有させる。少な
いと濃色の発色性が達成されないことがあり、逆に15重
量%を越えて付与してもアルカリ量は飽和に達し、不要
のアルカリを付与することとなる。
上述のアルカリ発生剤を布帛に含有させた場合、乾燥
温度を100℃未満、好ましくは70℃以下の低温で乾燥す
ることにより、カプセル破壊、化合物の熱分解または加
水分解を抑えることができ、その結果、該布帛(特に表
面)はPHを8.5以下のほぼ中性〜弱アルカリに維持させ
ることができたものである。本発明はこの点に特徴を有
するものであり、かかるPH範囲に抑えたことによって、
高発色性およびインクの吐出安定性を同時に満足せしめ
得たものである。
このように低アルカリサイドに布帛が維持されている
以上、染料の熱分解または加水分解は惹起せず、染料の
利用効率も高めることができ、さらに後の染料固着での
発色性をも向上せしめ得たものである。
上述の布帛のPHとは、染料布帛の重量の50倍の水の中
に該布帛を5分間浸漬し、その後該布帛を取り出し、液
のPHを測定した値である。たとえば、100℃の加熱蒸気
または120℃の加熱雰囲気下ではPH9.5以上を示す布帛で
あることを証するには、まず試料布帛を100℃の加熱蒸
気または120℃の加熱雰囲気下で処理して熱分解または
加水分解を起こさせた後、該処理布帛からサンプルを採
取して上述要領でPHを測定する。
本発明でいうセルロース系繊維としては、木綿、麻な
どの天然セルロース繊維およびレーヨン、キュプラなど
の再生セルロース繊維を使用することができる。かかる
セルロース系繊維は、単独でも、各種セルロース系繊維
どおしの混用でも、さらに他の素材との混用でもよい。
もちろん、セルロース系繊維には改質されたもの、たと
えば特公昭42−19361、特公昭45−11477、特公昭47−45
628、特公昭48−23834、特公昭51−5111、特公昭53−24
552などに開示されているカオチン化セルロース系繊維
なども包含される。
かかるセルロース系繊維を含有する布帛としては、た
とえば織物、編物、フェルトおよび立毛品など、通常の
シート状のものが使用される。
かかるセルロース系繊維(布帛)は漂白、精錬、シル
ケット加工いずれも高濃度のアルカリが使用されるもの
であり、アルカリが残存している場合もあり得るので、
本発明のセルローズ系繊維(布帛)として用いる場合
は、かかる残存アルカリ量やPHを確認し、本発明の効果
を阻害する程残存する場合は中和しておくのが好まし
い。
次に、かかる特定布帛を用いてインクジェットにより
染色する方法について説明する。
まず、セルロース系繊維を含有する布帛に、室温でPH
8.5以下であるが、100℃以上の過熱蒸気や120℃以上の
加熱雰囲気によって熱分解または加水分解してPH9.5以
上を示す前述のアルカリ発生剤を、たとえば2〜15重量
%付与した後、100℃未満、好ましくは70℃以下の低温
雰囲気で乾燥する。
上述の乾燥工程において、100℃未満、好ましくは70
℃以下の低温雰囲気で乾燥することが、本発明のプロセ
スにおいて、最も重要な技術的ポイントである。すなわ
ち、この乾燥は、該アルカリ発生剤が熱によって分解ま
たは加水分解しないように特に配慮することが重要であ
り、かくすることによって、該布帛のPHを8.5以下の中
性〜弱アルカリ性に維持するものである。
なお、アルカリ発生剤を布帛に付与する方法として
は、パッド法、スプレー法、プリント法、およびコーテ
ィング法などいずれの方法を採用してもよいが、均一に
含有させるには、パッド法が好ましく用いられる。
かかるアルカリ発生剤含有布帛は、次いでインクジェ
ットにより反応性染料からなるインクが付与される。
ここでインクジェットとは、インク等の着色液体をノ
ズルから吐出させて液滴化して、この液滴を制御しなが
ら布帛へ飛翔させて着色するものであり、その方法とし
ては (1)連続吐出方式(偏向型、発散型) (2)オンデマンド型(圧力パルス方式、バブルジェッ
ト式、静電吐出式) に分類され、いずれの方法を用いてもよい。
インクジェットによる最適インク付与量は、布帛構造
にもよるが、通常布帛の目付が60〜200g/m2の場合、15
〜60g/m2付与するのがよい。インク付与量が少ない場
合、白湯が残り発色性を低下するし、インク付与量が多
すぎる場合は滲みが大きくなるので、布帛の種類によっ
て、最適の付与量を設定する必要がある。
本発明のインクジェット染色法において、インクとし
て、染料濃度が大きく異なる淡色〜濃色インクを用いた
場合、たとえば基本三原色の濃淡インクや濃中淡イン
ク、さらに配合インクなどを用いる場合でも、優れた高
発色効果を達成させることができる。この点は、本発明
の特徴とするところであり、従来技術では達成し得なか
った発色効果である。
上述の濃淡インクとは、濃色インクと淡色インクの2
種のインクを用いて、布帛に付与して画像を形成するも
のである。一般にはイエロー、シアン、マゼンタの基本
三原色の濃淡インクとブラックが用いられ、これによっ
て6〜12色の色相を発現させることができる。
また、配合インクとは、上述の濃淡インクのように、
基本三原色とブラックのドットマトリックスで色を表現
するものではなく、1種または複数の染料を調合して特
定の色を発現させるものである。
特に、本発明の方法によれば、染料固着の際に、布帛
PHは9.5以上になっており、しかも強アルカリ性を示す
が、かかる強アルカリ性にあっても、本発明では淡色系
染料は熱分解も加水分解も惹起せず、良好な淡色を発現
するものである。もちろん、濃色系染料も高発色性の下
に濃色を発現し、それぞれの染料が何ら問題なく優れた
高発色性を達成するのである。要するに、本発明によれ
ば、如何なる反応性染料からなるインクを用いても、優
れた発色性を達成せしめ得るのである。
インクジェットにより、インクが付与されて画像が形
成された布帛は、次いで、スチーミングまたは加熱雰囲
気等の固着処理が施され、最後にアルカリ発生剤や未固
着染料を除去するためのソーピング処理および仕上げ処
理が施される。
ここで重要なことは、布帛に含有されたアルカリ発生
剤を充分に熱分解または加水分解する条件とすることで
ある。かかる分解を惹起させて、布帛のPHを9.5以上に
充分に上昇させる。布帛のPHが上昇することにより、反
応性染料からなるインクで形成された画像が、セルロー
ス系繊維を含有する布帛に固着される。
本発明においては、染料の固着が、布帛のPHの上昇と
同時に惹起されるので、アルカリによる従来技術での問
題、たとえば淡色における変色や発色性低下が起きない
という特徴が発現される。
なお、スチーミング処理、加熱処理、ソーピング処理
および仕上げ処理は、通常公知の設備や方法を使用する
ことができる。
さらに発色性を高め変色を防ぐため、還元防止剤も同
時に前処理するのがより好ましい。還元防止剤として例
えば、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム等のニ
トロ化合物、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸
ナトリウム等の過酸化物、塩素酸ナトリウム等のハロゲ
ン化物があげられ、メタニトロベンゼンスルホン酸ナト
リウムおよび塩素酸ナトリウムが特に好ましく用いられ
る。
本発明のインクジェット染色法において、たとえば水
溶性高分子や無機微粒子を付与すると、滲み防止が達成
されるので好ましい。かかる方法によれば、発色性と滲
み防止性が同時に改善され、高発色性かつ鮮明画像を形
成することができる。
(実施例) 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
本実施例の発色性ならびに布帛のPHは、下記の方法で
測定したものである。
[測定方法] a.発色性(K/S) 下記式よりK/Sを求めた。
K/S=(1−R)2/2R K/Sは値が大きいものほど発色性が高い。
(Rは最大吸収波長の反射率を示す)。
b.発色性(L値) 無彩色に良く用いられるもので、数値が小さくなるほ
ど、色濃度が高い。
c.布帛のPH 前処理した布帛4gを採りイオン交換水200mlに5分間
浸漬し、撹拌した。その後、布帛を取り出し、液のPHを
測定した。
d.滲み インク付与量が約20g/m2の時の境界でのインクの移動
距離(mm)であり、0.5mm以下であれば、滲みが少なく
繊細画像が付与できる。
実施例1〜2、比較例1〜8 セルロース繊維として漂白、精錬した木綿織物(ブロ
ード、目付:80g/m2)を下記に示すアルカリ発生剤の水
溶液を絞り率80%でパッドした。次いで、70℃で乾燥し
た。
実施例1:トリクロル酢酸ナトリウム 3% 実施例2:トリクロル酢酸ナトリウム 6% 次に比較例として、下記に示すアルカリ化合物の水溶
液を絞り率80%でパッドし、120℃で乾燥した。
比較例1 炭酸水素ナトリウム 2% 比較例2 炭酸水素ナトリウム 6% 比較例3 炭酸ナトリウム 1.5% 比較例4 炭酸ナトリウム 3% 比較例5 酢酸ナトリウム 5% 比較例6 酢酸ナトリウム 10% 比較例7 リン酸三ナトリウム 5% 比較例8 リン酸三ナトリウム 10% 次に、下記に示すインク組成およびインクジェット条
件でインクジェット処理を行った。
(1)インク組成(%) 反応性染料 X エチレングリコール 20 イオン交換水 100−(X+20) Xは種々の濃度を示し、インク吐出量から布帛に対す
る染料付与量を求め、この染料付与量を%(owf)で第
1表に示した。
反応性染料として、ジバクロン レッド 6B リキッ
ド(33%)(Cibacron Red 6B Liquid)(チバ・ガイ
ギー社製)を用いた。
上記組成からなるインクは、1ミクロンのフィルター
で濾過後、減圧下で脱気を行い使用した。
(2)インクジェット条件 インクジェット方式:オンデマンド型 ノズル径 :75ミクロン 印加電圧 :60V 駆動周波数 :40000Hz 解像度 :8ドット/mm アルカリ化合物水溶液およびアルカリ発生剤水溶液で
前処理した布帛にインクジェット処理を行い、次いで下
記の方法で、固着、ソーピングを行った。
(3)固着、ソーピング方法 飽和水蒸気100℃で10分間スチーミング処理し、次い
で水洗した後、80℃で5分間ソーピング処理を行い、乾
燥した。
結果を第1表に示した。
第1表に示した通り、比較例1〜2の炭酸水素ナトリ
ウムを用いたものは、淡色系の発色性は劣るが濃色系の
発色性は比較的優れていた。
一方、比較例6の酢酸ナトリムは濃色系の発色性は劣
るが淡色系の発色性は優れていた。
つまり、比較例1〜8のアルカリは淡色系または濃色
系のいずれかにおいて発色性が劣り、淡色系〜濃色系の
全ての領域において高発色性を達成するものは存在しな
かった。
これに対し、実施例1〜2のものは、淡色系〜濃色系
の全ての領域において、高発色性を達成をしていた。
この理由は第1表に示した布帛のPHに影響していると
推定される。
すなわち、比較例1〜8は、前処理−乾燥後の布帛の
PHと、固着後(スチーミング)の布帛のPHとは同じであ
る。このように長時間アルカリに接触すると、反応性染
料はアルカリで加水分解を起こす。この傾向は、アルカ
リが強くなればなるほど大きく、それだけ染料濃度が低
下してしまう。したがって、比較例において、布帛のPH
が10以上のものは、全般的にアルカリが強すぎるため
に、淡色系の発色性が劣る結果を示したのである。これ
と反対に、比較例6は弱アルカリの酢酸ナトリウムであ
るために、アルカリ不足を示し、濃色系の発色性が劣る
結果を示したものであった。
一方、実施例1〜2は、インクジェットする前の布帛
のPH(1)が8.5以下であり、アルカリによる染料の加
水分解がなく、固着時に初めてPH(2)が9.5以上にな
り染色される。
このように、固着に必要なアルカリが、固着時のみに
発生して与えられる場合に限って、淡色系〜濃色系の全
ての領域で高発色姓を発言できることが確認された。
実施例 2〜3、比較例9 アルカリ発生剤としてトリクロル酢酸ナトリウム6%
水溶液を用いた。
乾燥温度を、70℃(実施例2)、風乾(実施例3)、
120℃(比較例9)と変更した。それ以外は実施例2と
同様な方法で処理した。
この布帛の評価結果を第2表に示した。
第2表に発色性(K/S)を示したが、いずれの染料付
与量%(owf)においても、発色性は乾燥温度が70℃以
下で、最も良好な発色性を示した。
この理由は、布帛のPHと関連しており、乾燥温度が10
0℃以上になると、布帛のPHが中〜強アルカリ性にな
る。布帛のPHがアルカリ性になると(PHが8.5以上)、
比較例9のように発色性が低下する。
つまり、インクジェットされてから固着されるまでの
間に、染料が加水分解されるので、前述した比較例1〜
4、比較例7〜8と同様の結果を示すようになるのであ
る。
したがって、アルカリ発生剤を用いても、布帛のPHが
8.5以下となる乾燥温度、すなわち乾燥温度としては、1
00℃以下、最も好ましくは70℃以下の温度を用いるのが
よいのである。
実施例4、比較例10〜11 セルロース繊維として木綿編物(目付:150g/m2)を用
い、アルカリ化合物水溶液およびアルカリ発生剤水溶液
は下記のものを用いた。
実施例4:トリクロル酢酸ナトリウム 8% 比較例10:炭酸水素ナトリウム 2% 比較例11:炭酸ナトリウム 1.5% いずれも絞り率は85%であったが、実施例4の乾燥温
度は70℃、比較例は120℃を採用した。
また、反応性染料としては、レマゾール ブラック
DEN リキッド (Remazol Black DEN 50% Liquid)
(ヘキスト社製)を50%で用いた。それ以外は実施例2
と同様な方法で処理した。
発色性はL値を測定し、結果を第3表に示した。
第3表に示した通り、布帛および染料を代えても、比
較例10〜11に比べ、実施例4はL値が低く発色性に優れ
ていた。
実施例5〜7、比較例12〜13 セルロース繊維として麻織物(目付:68g/m2)を用
い、下記に示す前処理液を絞り率82%でパッドし、70℃
で乾燥した。
(実施例5) トリクロル酢酸ナトリウム 5% アルギン酸ナトリウム 0.5% (実施例6) トリクロル酢酸ナトリウム 5% アルギン酸ナトリウム 0.5% サイロイド 150 5% (実施例7) トリクロル酢酸ナトリウム 5% アルギン酸ナトリウム 0.5% サイロイド 150 5% メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム 1% (サイロイド 150は富士ヴィソン化学株社製、平均粒
径:1.4ミクロンのシリカ) (比較例12) 炭酸ナトリウム 0.5% アルギン酸ナトリウム 0.5% 次いで、実施例1で用いた反応性染料を30%および下
記に示す反応性染料30%を用いてインクを調整した。
レマゾール ターコイズ ブルーG リキッド(Rema
zol Turquoise Blue G 50%Liquid) (ヘキスト社製) それ以外は実施例1と同様な方法で処理した。発色性
はK/S値および滲みを測定し、結果を第4表に示した。
また、比較例13は未処理布である。
実施例5〜7は、アルカリ発生剤を用い、しかも低温
乾燥したものであり、比較例12に比べ発色性(1)、
(2)がともに優れていた。特に実施例7のアルカリ発
生剤と還元防止剤を用いたものが、最も発色性は優れて
いた。
また、滲み防止においても、実施例6〜7は優れてい
た。
すなわち、本発明は発色性と滲み防止を同時に満足さ
せることもできることが確認された。
(発明の効果) 本発明は、淡色から濃色まで、全ての領域で高い発色
性のインクジェット染色が可能であり、また、インク成
分に特別な添加剤を配合する心配をする必要もないの
で、インク吐出性に優れインクジェット染色を安定して
生産性よく行なうことができる。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1色以上が濃淡を有する反応性
    染料インクでインクジェット染色するための、セルロー
    ス系繊維を含有する布帛が、アルカリ発生剤を含有して
    おり、かつ該布帛は常温ではpH8.5以下であるが、100℃
    の加熱蒸気または120℃の加熱雰囲気下ではpH9.5以上を
    示すものであることを特徴とするインクジェット染色用
    布帛。
  2. 【請求項2】アルカリ発生剤が、下記一般式で表される
    化合物である請求項(1)記載のインクジェット染色用
    布帛。 式中、X1〜X3:ハロゲンまたは水素を表し、そのうち少
    なくとも一つはハロゲンでなければならない。ここでハ
    ロゲンとは、Cl、Brを表し、M:Na、Kを表す。
  3. 【請求項3】アルカリ発生剤が、トリクロル酢酸ナトリ
    ウムである請求項(1)記載のインクジェット染色用布
    帛。
  4. 【請求項4】アルカリ発生剤が、布帛重量の2〜15重量
    %である請求項(1)記載のインクジェット染色用布
    帛。
  5. 【請求項5】少なくとも1色以上が濃淡を有する反応性
    染料インクでインクジェット染色するに際して、セルロ
    ース系繊維を含有する布帛にアルカリ発生剤を付与した
    後、100℃未満の低温で布帛のpHを8.5以下に抑えながら
    乾燥し、次いで反応性染料からなるインクをインクジェ
    ットで付与した後、該布帛を加熱処理して、該布帛のpH
    を9.5以上に上昇させて染料を固着することを特徴とす
    るインクジェット染色法。
  6. 【請求項6】アルカリ発生剤が、下記一般式で表される
    化合物である請求項(5)記載のインクジェット染色
    法。 式中、X1〜X3:ハロゲンまたは水素を表し、そのうち少
    なくとも一つはハロゲンでなければならない。ここでハ
    ロゲンとは、Cl、Brを表し、M:Na、Kを表す。
  7. 【請求項7】アルカリ発生剤が、トリクロル酢酸ナトリ
    ウムである請求項(5)記載のインクジェット染色法。
  8. 【請求項8】アルカリ発生剤の付与量が、布帛重量の2
    〜15重量%である請求項(5)記載のインクジェット染
    色法。
  9. 【請求項9】乾燥が、70℃以下の温度条件で行われる請
    求項(5)記載のインクジェット染色法。
  10. 【請求項10】固着の条件が、100℃以上である加熱蒸
    気または120℃以上の乾熱である請求項(5)記載のイ
    ンクジェット染色法。
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