JP2733108B2 - イオン交換性多孔質体およびその製造方法 - Google Patents

イオン交換性多孔質体およびその製造方法

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JP2733108B2
JP2733108B2 JP1225912A JP22591289A JP2733108B2 JP 2733108 B2 JP2733108 B2 JP 2733108B2 JP 1225912 A JP1225912 A JP 1225912A JP 22591289 A JP22591289 A JP 22591289A JP 2733108 B2 JP2733108 B2 JP 2733108B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はイオン交換性多孔質体およびその製造方法に
関するものである。詳しく述べると本発明は、多孔質基
材に導入されたイオン交換基に基づく各種の機能、例え
ば静電相互作用に起因する選択分離能を発現する優れた
イオン交換性多孔質体およびその製造方法に関するもの
である。
(従来の技術) イオン交換性を有する多孔質体は、選択分離用材料や
細胞培養用材料などの機能性材料として各種の用途に使
用されている。
ところでこのようなイオン交換性多孔質体の製造方法
としては、従来、(a)イオン交換性を有する物質を構
成成分として多孔質体を成形する方法(例えば、特開昭
60−7856号参照)、(b)多孔質膜基材にイオン交換性
を有する物質を付着させる方法(例えば、特開昭62−57
613号、特開昭64−80402号参照)、および(c)イオン
交換性を有する単量体を多孔質膜基材にグラフト重合す
る方法(例えば、特開昭61−220705号、特開昭62−8300
6号参照)などが知られている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、(a)イオン交換性を有する物質を構
成成分として多孔質体を成形する方法によって得られた
イオン交換性多孔質体は、多孔質体自体がイオン解離性
基を有して作成されているため、水溶液中で吸水し膨潤
しやすく寸法安定性のないものであった。
また、(b)多孔質膜基材にイオン交換性を有する物
質を付着させる方法ないし(c)イオン交換性を有する
単量体を多孔質膜基材にグラフト重合する方法は、従
来、いずれも溶媒を用いて液相中において反応を進行さ
せるものであった。このように、反応時に溶媒を用いる
ことは、操作性、経済性、安全性などの面から問題があ
り、さらに多孔質体を基材としているので、溶媒中での
グラフト重合やイオン化反応では、孔内への試薬の拡散
が遅くなり、高度なイオン交換性、透過性能などを付与
することが困難であった。
従って本発明は、新規なイオン交換性多孔質体および
その製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明はまた、寸法安定性、透過性能などに優れるとと
もに、多孔質基材に導入されたイオン交換基に基づくイ
オン交換能をはじめとする各種の機能を高く発現するイ
オン交換性多孔質体およびその製造方法を提供すること
を目的とするものである。本発明はさらに、操作性、経
済性および安定性に優れたイオン交換性多孔質体の製造
方法を提供することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 上記諸目的は、多孔質基材に、イオン解離性基もしく
はイオン解離性基に変換可能な構造を有する単量体を少
なくとも一成分として気相で供給して、該単量体を少な
くとも一構成成分とする高分子化合物を多孔質基材に保
持させたのち、該単量体と塩を形成し得る物質を気相で
供給し反応させてなることを特徴とするイオン交換性多
孔質体によって達成される。
本発明はまた、厚さ5μm〜5mm、水透過速度1ml/min
・m2・mmHg以上、空孔率10〜90%であることを特徴とす
るイオン交換性多孔質体を示すものである。本発明はさ
らに、多孔質基材の水透過速度(FB)とイオン交換性を
付与した後の多孔質体の水透過速度(FG)との関係がFB
/FG≧0.7となるイオン交換性多孔質体を示すものであ
る。本発明はまた、イオン解離性基もしくはイオン解離
性基に変換可能な構造を有する単量体と該単量体と塩を
形成し得る物質の組合せが、含窒素化合物とハロゲン化
物であるイオン交換性多孔質体を示すものである。
上記諸目的はまた、多孔質基材に、イオン解離性基も
しくはイオン解離性基に変換可能な構造を有する単量体
を少なくとも一成分として気相で供給して、該単量体を
少なくとも一構成成分とする高分子化合物を多孔質基材
に保持させる工程と、該単量体と塩を形成し得る物質を
気相で供給し反応させる工程とを有することを特徴とす
るイオン交換性多孔質体の製造方法によっても達成され
る。
本発明はまた、多孔質基材表面に重合開始点を生成さ
せる工程と、イオン解離性基もしくはイオン解離性基に
変換可能な構造を有する単量体を少なくとも一成分とし
て供給して、該単量体を少なくとも一構成成分とするグ
ラフト鎖を前記重合開始点を起点として成長させる工程
と、該単量体と塩を形成し得る物質を供給し反応させる
工程とを有し、各工程が一連の減圧下でのドライプロセ
スにて行なわれることを特徴とするイオン交換性多孔質
体の製造方法を示すものである。
(作用) このように本発明においては、多孔質基材自体にイオ
ン解離性基を導入することなく、その表面部に導入する
ものであるために、水溶液中で大きく膨潤することもな
く寸法安定性に優れている。さらに本発明においては、
イオン解離性基もしくはイオン解離性基に変換可能な構
造を有する単量体を少なくとも一成分とする単量体組成
物および該単量体と塩を形成し得る物質をそれぞれ気相
で供給し、反応させてイオン交換性を付与したものであ
るために、多孔質体内部の孔表面にも効率よく塩型のイ
オン交換基が付与されることとなる。なお、このように
多孔質体内部の孔表面にも効率よくイオン交換基が付与
されるため、例えば多孔質基材の水透過速度(FB)とイ
オン交換性を付与した後の多孔質体の水透過速度(FG)
との関係がFB/FG≧0.7となるような多孔質基材の透過性
能が高く維持される。
さらに、イオン解離性基もしくはイオン解離性基に変
換可能な構造を有する単量体を少なくとも一成分として
気相中で供給して、該単量体を少なくとも一構成成分と
する高分子化合物を多孔質基材に保持させる工程と、該
単量体と塩を形成し得る物質を気相で供給し反応させて
なる工程とを別々に設けたことにより、例えばテトラア
ルキルアンモニウム構造などのような塩型イオン交換基
を容易に多孔質基材表面に導入することが可能となるも
のである。すなわち、該塩型イオン交換基を有する単量
体は、一般に分子量も大きく、蒸気圧が低いものとなる
ために、気相で供給しグラフト重合あるいはプラズマ重
合などを行なうことが難しく、このような塩型イオン交
換基を有する単量体を直接用いて多孔質基材表面に該塩
型イオン交換基を導入することは困難なものとなるため
である。
以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説明す
る。
本発明のイオン交換性多孔質体は、多孔質基材に、イ
オン解離性基もしくはイオン解離性基に変換可能な構造
を有する単量体を少なくとも一成分として気相で供給し
て、該単量体を少なくとも一構成成分とする高分子化合
物を多孔質基材に保持させたのち、該単量体と塩を形成
し得る物質を気相で供給し反応させてなることを特徴と
するものである。
本発明において用いられる多孔質基材としては、多孔
質構造を有するものであれば時にその形状には限定され
ず、例えば平膜状、中空糸膜状などの膜状形状、スポン
ジ形状などの塊状形状、粒子状などのいずれであっても
よく、さらに不織布、織布、編布も各繊維間の空隙によ
り形成される多孔質構造を有しているという点で、多孔
質基材として用いられる。しかしながら、十分な物理的
強度をイオン交換能力を確保する上からは、その厚さが
5μm〜5mm、より好ましくは10μm〜1mm、空孔率が10
〜90%、より好ましくは30〜85%であることが望まれ
る。また、その材質としても特に限定されるものではな
く、各種のものを用いることができるが、好ましくは、
水に対して非膨潤性のものが望ましい。すなわち、この
ような水に対して非膨潤性の基材を用いた場合には、使
用時において水により膨潤して流路が閉塞し通水性が低
下してしまうなどといった問題の生じる虞れが少ないた
めである。なお、ここで水に対して「非膨潤性」の基材
とは、1×10cmの短冊状のサンプルを蒸溜水に24時間浸
漬したときの長手方向における寸法変化(膨潤)率が5
%以下の基材を指すものである。このような基材として
は、セルロース誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカ
ーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化
ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポ
リテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
スルホン等の熱可塑性樹脂や共重合体あるいはこれらの
ブレンド物などがある。このうち特に、機械的強度、耐
薬品性に選れたポリオレフィンおよび一部もしくは全て
の水素がハロゲンで置換されたポリオレフィンを主成分
としている基材が好ましい。
本発明において用いられ得るイオン解離性基もしくは
イオン解離性基に変換可能な構造を有する単量体と、該
単量体と塩を形成し得る物質との組合せとしては、得よ
うとするイオン交換基のタイプ、すなわち、強塩基性陰
イオン塩型、弱塩基性陰イオン塩型、強酸性陽イオン塩
型、弱酸性陽イオン塩型などに応じて、各種のものを用
いることができるが、例えば、強塩基性陰イオン塩型の
イオン交換基を形成しようとする場合、第2級ないし第
3級アミン性の含窒素化合物単量体とハロゲン化物との
組合せ、あるいは逆にハロゲンを有する単量体と第3級
アミンとの組合せなどがある。これらの組合せにおいて
は、第2級ないし第3級アミンのイミノ基ないし窒素原
子は容易にハロゲンと反応し、強塩基性の第4級アンモ
ニウム塩となる。
前記第2級ないし第3級アミン性の含窒素化合物単量
体としては、特に含窒素複素環を分子内に有する単量体
が好ましく、具体的には例えば、ビニルピリジン、ビニ
ルピリミジン、ビニルピラゾール、ビニルピラゾリン、
ビニルイミダゾール、ビニルイミダゾリン、ビニルピロ
リドン、ビニルオキサゾリン、ビニルピペリドン、ビニ
ルモルホリノン、N−ビニル−N,N′−トリメチレンウ
レア、ビニルウラシル、ビニルチミン、ビニルキノリ
ン、ビニルアクリジン、ビニルアデニン、ビニルヒポキ
サンチン、ビニルグアニン、5−メチル−2−ビニルイ
ミノビベンジル、N−ビニルフタルイミド、N−ビニル
スクシンイミド等がある。
また、これらと反応するハロゲン化物としてはベンジ
ルクロライド、ベンジルブロマイド、ブチルブロマイ
ド、ブチルクロライド等を例示できる。
またさらに前記ハロゲンを有する単量体としては、ク
ロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレン、クロロブ
チルメタクリレートなどが例示され、一方これらのハロ
ゲンを有する単量体と反応する第3級アミンとしては、
トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピリ
ミジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、アクリジン
などが例示される。
しかしながら、本発明は、これらの例示されたいくつ
かの化合物に限定されるわけではなく、第2級ないし第
3級アミン性の含窒素化合物単量体およびハロゲン化
物、あるいはハロゲンを有する単量体および第3級アミ
ンとしても、もちろんこれら以外の各種のものを用いる
ことが可能である。
さらに、本発明のイオン交換性多孔質体において、前
記したようなイオン解離性基もしくはイオン解離性基に
変換可能な構造を有する単量体を少なくとも一成分とし
て気相で供給して、該単量体を少なくとも一構成成分と
する高分子化合物を多孔質基材表面に結合させるにおい
て、該高分子化合物は前記したようなイオン解離性基も
しくはイオン解離性基に変換可能な構造を有する単量体
による単独重合体であっても、あるいはこれらのイオン
解離性基もしくはイオン解離性基に変換可能な構造を有
する単量体を複数種もしくはこれらのイオン解離性基も
しくはイオン解離性基に変換可能な構造を有する単量体
と共重合可能なその他の単量体を複数種を組合せて形成
されるランダムもしくはブロック共重合体であってもよ
い。
これらのイオン解離性基もしくはイオン解離性基に変
換可能な構造を有する単量体と共重合可能なその他の単
量体としては、例えば、アクリル酸、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、
ブチルアクリレート類、メタクリル酸、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリ
レート、ブチルメタクリレート類、2−ヒドロキシエチ
ルアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、アク
リルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げら
れるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
本発明のイオン交換性多孔質体においては、このよう
にイオン解離性基もしくはイオン解離性基に変換可能な
構造を有する単量体を少なくとも一構成成分とする単量
体組成物および該単量体と塩を形成し得る物質をそれぞ
れ気相で供給し、反応させてイオン交換性を付与したも
のであるために、多孔質体内部の孔表面にも効率よく塩
型のイオン交換基が付与されることとなるため、高い透
水性が得られるが、微生物捕捉材などの各種フィルター
等への用途を考慮した場合には、その水透過速度が、1.
0ml/min・m2・mmHg以上、より好ましくは100ml/min・m2
・mmHg以上であることが透過性の指標として望まれる。
さらに、多孔質基材の水透過速度(FB)とイオン交換性
を付与した後の多孔質体の水透過速度(FG)との間にFB
/FG≧0.7、より好ましくはFB/FG≧0.8となるような関係
が成立することが望ましい。
本発明のイオン交換性多孔質体の製造方法は、多孔質
基材に、上記のごときイオン解離性基もしくはイオン解
離性基に変換可能な構造を有する単量体を少なくとも一
成分として気相で供給して、該単量体を少なくとも一構
成成分とする高分子化合物を多孔質基材に保持させる工
程と、該単量体と塩を形成し得る物質を気相で供給し反
応させる工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の製造方法は、このような2つの工程を含むもの
であればよく、その前後に例えば、前処理工程であると
か後処理工程などの他の工程が存在していても何ら差し
支えない。
本発明のイオン交換性多孔質体の製造方法において、
多孔質基材表面へ、前記したようなイオン解離性基もし
くはイオン解離性基に変換可能な構造を有する単量体を
少なくとも一構成成分とする高分子化合物を保持させる
方法としては、これらの単量体成分を気相中において供
給することのできるものであれば、特に限定されない
が、好ましい例としてはプラズマ表面グラフト重合法や
プラズマ重合法等が挙げられる。
さらに本発明のイオン交換性多孔質体の製造方法は、
多孔質基材表面に重合開始点を生成させる工程と、イオ
ン解離性基もしくはイオン解離性基に変換可能な構造を
有する単量体を少なくとも一成分として供給して、該単
量体を少なくとも一構成成分とするグラフト鎖を前記重
合開始点を起点として成長させる工程と、該単量体と塩
を形成し得る物質を供給し反応させる工程とを有し、各
工程が一連の減圧下でのドライプロセスにて行なわれる
ことが望ましい。なお、このようなグラフト重合可能な
重合開始点は、単量体が分子内に二重結合を有しかつラ
ジカル重合可能なものであれば、高分子ラジカルを多孔
質基材表面に生成させればよい。高分子ラジカルの生成
法としては、電子線、ガンマ線、紫外線、プラズマ、オ
ゾン、ラジカル生成剤(水素引抜剤)等があるが、電子
線またはプラズマを用いる方法が該単量体をガス状で供
給し、固体−気相重合により表面グラフト重合を進行さ
せ、さらに該単量体と塩を形成し得る物質をガス状で供
給し同様に固相−気相反応により塩を形成する一連のド
ライプロセスがより容易に実行可能なものとなるので好
ましい。
4(実施例) 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
る。
実施例1〜4 メルトフローインデックス(M.I.)が30および0.3の
ポリプロピレン(重量比100:60の混合物)100重量部当
り、有機充填剤として流動パラフィン(数平均分子量32
4)435重量部および結晶核形成剤として1,3,2,4−ビス
(p−エチルジベンジリデン)ソルビトール0.2重量部
を二軸押出機(池具鉄工株式会社製)で溶融混練しペレ
ット化したものを上記押出機を用いて150〜200℃で溶融
し、スリット幅0.6mmのTダイより空気中に押し出し、
Tダイ直下に置かれた冷却液相のガイドローラーの回転
によって冷却固化液中に導き冷却固化した後巻取った。
巻取ったフィルム状物を一定長に切断し、縦横軸両方向
を固定し、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエ
タン中に10分間、計4回浸漬して流動パラフィンの抽出
を行い、次いで135℃の空気中で2分間熱処理を行っ
て、最大孔径0.45μm、膜厚80μm、空孔率66%、水透
過速度21ml/minのポリプロピレン製多孔質体を得た。
このようにして得られたポリプロピレン多孔質体を真
空反応容器内に設置し、低温プラズマ(Ar 0.1torr)
を15秒間照射した後、第1表に示すイオン解離性基もし
くはイオン解離性基に変換可能な構造を有する単量体を
少なくとも一成分とする単量体原料をガス状(ガス1)
で供給し、288Kの温度で10分間表面グラフト重合を行っ
た。続いて未反応の単量体を除去した後、さらに、前記
イオン解離性基もしくはイオン解離性基に変換可能な構
造を有する単量体と塩を形成し得る物質をガス状(ガス
2)で供給し、減圧下で20分間反応させ、第4級アンモ
ニウム塩型のイオン交換性多孔質体を得た。
このようにして得られたイオン交換性多孔質体に関
し、水透過速度ならびに微生物捕捉能を調べた。結果を
第2表に示す。
実施例5 実施例1で用いたものと同様のポリプロピレン製多孔
質体を真空反応容器に設置し、減圧状態にて、ビニルピ
リジンを単量体としてプラズマ重合を5分間行なった。
続いて未反応の単量体を減圧除去した後、ベンジルクロ
ライドをガス状で供給し、5.0torrで10分間反応させ、
第4級アンモニウム塩型のイオン交換性多孔質体を得
た。
このようにして得られたイオン交換性多孔質体に関
し、実施例1と同様にして水透過速度ならびに微生物捕
捉能を調べた。結果を第2表に示す。
実施例6 孔径0.45μm、膜厚80μm、空孔率72%のポリフッ化
ビニリデン製多孔質膜に、実施例1と同様の方法で2−
ビニルピリジンを表面グラフト重合し、ベンジルクロラ
イドで4級化反応を行ない、第4級アンモニウム塩型の
イオン交換性多孔質体を得た。
このようにして得られたイオン交換性多孔質体に関
し、実施例1と同様にして水透過速度ならびに微生物捕
捉能を調べた。結果を第2表に示す。
比較例1 実施例1で用いたものと同様のポリプロピレン製多孔
質体に対し、実施例1と同様な方法を用いてメトキシエ
チルアクリレートを表面グラフト重合した。
このようにして得られた表面グラフト処理多孔質体に
関し、実施例1と同様にして水透過速度ならびに微生物
捕捉能を調べた。結果を第2表に示す。
比較例2 実施例6で用いたものと同様のポリフッ化ビニリデン
多孔質膜を、ビニルアルコール−酢酸ビニルアルコール
共重合体(信越化学株式会社製、SMR−30L)の2重量%
水−メタノール(1:1[容積比])溶液に2分間浸漬し
た後、実施例1と同様にして水透過速度ならびに微生物
捕捉能を調べた。結果を第2表に示す。
第2表に示す結果などからも明らかなように、本発明
に係わるイオン交換性多孔質体(実施例1〜6)は、い
ずれも水に浸しても膨潤することなく優れた寸法安定性
を示したばかりか、その水透過速度も多孔質基材のもの
と比較して何ら遜色のないものであった。また、本発明
に係わるイオン交換性多孔質体(実施例1〜6)は、第
4級アンモニウム塩型のイオン交換性基を形成導入され
たことにより、イオン解離性が増強され、水で容易に濡
れる親水性多孔質体に変換されていた。さらに本発明に
係わるイオン交換性多孔質体(実施例1〜6)は、微生
物除去性にも優れており、いずれもバクテリオファージ
を99.99%以上除去していた。
なお、本明細書中において述べられる各特性値は、以
下のようにして測定されたものである。
(1)厚さ マイクロメーターを用いて測定した。
(2)空孔率(%) 多孔質体の空孔部に蒸溜水を含水させ(多孔質体が疎
水性である場合にはアルコール−水置換法を用いて含水
させる)、含水時の重量(Ww)を測定する。乾燥時の重
量をWd、ポリマーの密度をP[g/ml]とすると空孔率
(P)は以下の式で算出される。
(3)水透過速度(透水量) 多孔質体を直径43mmに打ち抜き、ホルダーに固定した
後、0.7[kg/cm2]の圧力下で25℃の水を透過させ、単
位時間当りの透水速度Fw[ml/min・m2・mmHg]を算出し
た。
(4)バクテリオファージ除去率(微生物捕捉性) 多孔質体を直径25mmに打ち抜き、この多孔質体でバク
テリオファージを含む溶液(約105個/ml)を瀘過した
後、プラーク法で瀘液に含まれるバクテリオファージを
定量し、除去率を算出した。
なお、バクテリオファージとして、バクテリオファー
ジT4とT7とを用いて実験を行なった。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明のイオン交換性多孔質体
は、多孔質基材に、イオン解離性基もしくはイオン解離
性基に変換可能な構造を有する単量体を少なくとも一成
分として気相で供給して、該単量体を少なくとも一構成
成分とする高分子化合物を多孔質基材に保持させたの
ち、該単量体と塩を形成し得る物質を気相で供給し反応
させてなることを特徴とするものであるから、寸法安定
性、透過性能などに優れるとともに、多孔質基材に導入
されたイオン交換基に基づくイオン交換能をはじめとす
る各種の機能を高く発現するものであり、例えば微生物
除去膜や血液フィルターなどの選択分離材として、ある
いはバイオリアクター用基材等として好適に応用される
ものである。さらに本発明のイオン交換性多孔質膜にお
いて、厚さ5μm〜5mm、水透過速度1ml/min・m2・mmHg
以上、空孔率10〜90%である特性を具備するものであ
り、また多孔質基材の水透過速度(FB)とイオン交換性
を付与した後の多孔質体の水透過速度(FG)との関係が
FB/FG≧0.7となるものであると、より高い機能と信頼性
が得られるものとなる。
本発明はさらに、多孔質基材に、イオン解離性基もし
くはイオン解離性基に変換可能な構造を有する単量体を
少なくとも一成分として気相で供給して、該単量体を少
なくとも一構成成分とする高分子化合物を多孔質基材に
保持させる工程と、該単量体と塩を形成し得る物質を気
相で供給し反応させる工程とを有することを特徴とする
イオン交換性多孔質体の製造方法であり、上記のごとき
優れた特性を有するイオン交換性多孔質体を容易に提供
できるのみならず、溶媒を用いないドライプロセスであ
ることから、溶媒による火災や毒性による事故の危険性
がなく、また各原料がガス状で供給された効率的に消費
されるために経済的であり、さらに一連のドライプロセ
スにて行なわれることからその操作性にも選れたもので
ある。さらに本発明のイオン交換性多孔質体の製造方法
が、多孔質基材表面に重合開始点を生成させる工程と、
イオン解離性基もしくはイオン解離性基に変換可能な構
造を有する単量体を少なくとも一成分として供給して、
該単量体を少なくとも一構成成分とするグラフト鎖を前
記重合開始点を起点として成長させる工程と、該単量体
と塩を形成し得る物質を供給し反応させる工程とを有
し、各工程が一連の減圧化でのドライプロセスにて行な
われるものであると、その操作性はより一層向上するも
のとなる。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔質基材に、イオン解離性基もしくはイ
    オン解離性基に変換可能な構造を有する単量体を少なく
    とも一成分として気相で供給して、該単量体を少なくと
    も一構成成分とする高分子化合物を多孔質基材に保持さ
    せたのち、該単量体と塩を形成し得る物質を気相で供給
    し反応させてなることを特徴とするイオン交換性多孔質
    体。
  2. 【請求項2】厚さ5μm〜5mm、水透過速度1.0ml/min・
    m2・mmHg以上、空孔率10〜90%であることを特徴とする
    請求項1に記載のイオン交換性多孔質体。
  3. 【請求項3】多孔質基材の水透過速度(FB)とイオン交
    換性を付与した後の多孔質体の水透過速度(FG)との関
    係がFB/FG≧0.7となる請求項1または2に記載のイオン
    交換性多孔質体。
  4. 【請求項4】イオン解離性基もしくはイオン解離性基に
    変換可能な構造を有する単量体と該単量体と塩を形成し
    得る物質の組合せが、含窒素化合物とハロゲン化物であ
    る請求項1〜3のいずれかに記載のイオン交換性多孔質
    体。
  5. 【請求項5】多孔質基材に、イオン解離性基もしくはイ
    オン解離性基に変換可能な構造を有する単量体を少なく
    とも一成分として気相で供給して、該単量体を少なくと
    も一構成成分とする高分子化合物を多孔質基材に保持さ
    せる工程と、該単量体と塩を形成し得る物質を気相で供
    給し反応させる工程とを有することを特徴とするイオン
    交換性多孔質体の製造方法。
  6. 【請求項6】多孔質基材表面に重合開始点を生成させる
    工程と、イオン解離性基もしくはイオン解離性基に変換
    可能な構造を有する単量体を少なくとも一成分として供
    給して、該単量体を少なくとも一構成成分とするグラフ
    ト鎖を前記重合開始点を起点として成長させる工程と、
    該単量体と塩を形成し得る物質を供給し反応させる工程
    とを有し、各工程が一連の減圧下でのドライプロセスに
    て行なわれることを特徴とする請求項5に記載のイオン
    交換性多孔質体の製造方法。
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