JP2732971B2 - ガソリン機関の失火検出装置 - Google Patents

ガソリン機関の失火検出装置

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JP2732971B2
JP2732971B2 JP3328603A JP32860391A JP2732971B2 JP 2732971 B2 JP2732971 B2 JP 2732971B2 JP 3328603 A JP3328603 A JP 3328603A JP 32860391 A JP32860391 A JP 32860391A JP 2732971 B2 JP2732971 B2 JP 2732971B2
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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ガソリン機関(エン
ジン)において、正常に着火したときと着火ミス(失
火)が生じたときとで、スパークプラグの火花放電間隙
の電気抵抗値が相違することを利用した失火検出装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジンなどガソリン機関では、
排気ガスの浄化および燃費向上の要求から、機関の各気
筒毎に着火状態を検出し、全ての気筒の失火防止対策が
できる装置が要請されている。また失火検出装置とし
て、従来よりシリンダーブロックに穴を開け燃焼光セン
サを装着したり、スパークプラグの取り付け座に圧力セ
ンサを取り付けたり、点火回路のイオン電流を測定する
方法が公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法は、エンジ
ンテストなど実験的使用には適するが、実車エンジンの
全ての気筒に装着し、常時使用するにはセンサの装着が
面倒であったり、イオン電流を検出するために高圧ダイ
オードが必要であり、メンテナンスに手間がかかるなど
の欠点があった。この発明の目的は、実装、メンテナン
スが容易な構成で、正確に失火が検出できる失火検出装
置の提供にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、点火コイルと、その一次回路に流す電流を断続する
一次電流断続手段と、点火コイルの二次回路に設けた
ーターギャップなどのシリーズギャップまたは逆流防止
ダイオードと、スパークプラグとを有する点火装置を備
えたガソリン機関の失火検出装置であって、スパークプ
ラグに印加される二次電圧の分圧を検出するための分圧
器と、火花放電終了前後に設定した時期以降の、二次電
圧波形の減衰特性を検出する二次電圧検出回路と、前記
減衰特性により、失火を判別する失火判別回路とからな
り、前記二次電圧検出回路は、火花放電の高電圧pを除
く二次電圧のピーク電圧値をホールドして該ピーク電圧
値から設定レベルに降圧するまでの降圧時間を検出する
降圧時間検出回路と、前記ピーク電圧値に対して所定の
割合で設定した2つの電圧レベル間を降下する中間降下
時間を検出する中間降圧時間検出回路とからなり、前記
失火判別回路は前記降下時間が設定時間より長いか、ま
たは中間降圧時間が設定時間より短い場合、失火したと
判別することを特徴とする。
【0005】請求項2に記載の発明は、点火コイルと、
その一次回路に流す電流を断続する一次電流断続手段
と、点火コイルの二次回路に設けた配電器と、スパーク
プラグとを有する点火回路を備えたガソリン機関の失火
検出装置であって、機関の低速低負荷運転時において、
スパークプラグでの誘導放電による火花放電終了後の所
定時期に、点火コイルの一次回路に通電するとともに一
定時間後該通電を遮断し、二次回路にローターギャップ
の絶縁破壊が可能で、かつスパークプラグの火花放電間
隙にイオンが存在しない場合には放電が発生しない大き
さの起電力を発生させるスパークプラグ静電容量充電用
電圧発生手段と、スパークプラグに印加される二次電圧
の分圧を検出する分圧器と、機関の高速運転時は、火花
放電終了前後に設定した時期以降の、二次電圧波形の減
衰特性を検出し、機関の低速低負荷運転時は、前記スパ
ークプラグ静電容量充電用電圧発生手段により発生させ
た二次電圧波形の減衰特性を検出する二次電圧検出回路
と、前記二次電圧波形の減衰特性により、失火を判別す
る失火判別回路とからなることを特徴とする。
【0006】請求項3に記載の構成では、点火コイルの
二次回路とローターギャップとの間に、前記スパークプ
ラグの静電容量に充電された電圧から点火コイルへ逆流
する電流を制限するためのツェナーダイオードを装着し
た。請求項4では、請求項2の二次電圧検出回路に、火
花放電の高電圧pを除く二次電圧のピーク電圧値をホー
ルドして該ピーク電圧値から設定レベルに降圧するまで
の降圧時間を検出する降圧時間検出回路と、前記ピーク
電圧値に対して所定の割合で設定した2つの電圧レベル
間を降下する中間降下時間を検出する中間降圧時間検出
回路とからなり、失火判別回路は前記降下時間が設定時
間より長いか、または中間降圧時間が設定時間より短い
場合、失火したと判別する構成を採用している。
【0007】
【発明の作用】請求項1に記載の発明は、主にDLI式
点火装置において適用される。この点火装置では、火花
放電終了直後に点火コイルに残存する電気エネルギー
が、逆流防止ダイオードを通じて主にスパークプラグの
浮遊静電容量に充電される。この充電電荷は、機関の高
速回転時は5〜8キロボルト、低速回転時は2〜3キロ
ボルトの二次電圧となる。この二次電圧は、火花放電終
了後スパークプラグの火花放電間隙からイオン電流とな
って急速に放電する(正常着火時)か、または二次回路
から漏洩してゆっくり放電(失火時)して降圧する。よ
って逆流防止ダイオードとスパークプラグとの間の電圧
をモニターした後、たとえば火花放電の高電圧pを除く
二次電圧が適当な設定時期にピークホールドしたピーク
電圧値に対して、一定割合のレベルに降下するまでの時
間(減衰時間)を検出するなど特性を検出することによ
り、失火の判別ができる。
【0008】この発明では、失火検出用二次電圧の減衰
特性を、二次電圧波形の初期からの降圧時間の測定に加
えて、中間(たとえばピーク電圧値の2/3から1/3
まで)での降圧時間の測定により検出する。失火検出用
二次電圧がスパークプラグで火花放電し、初期からの降
圧時間が設定値以下であるか、中間降圧時間が設定値以
下であるか、このいずれかであるとき失火と判定する。
この中間降圧時間の検出は、2度目の通電を行い、失火
検出用二次電圧を発生させるときは不要である。これ
は、二度目の通電を行うときは、その時間およびレベル
を調整するので、失火検出用二次電圧は、スパークプラ
グでの火花放電が生じないレベルに制御することが容易
であることによる。これにより、エンジンの低負荷運転
時において失火時に火花放電終了後の二次電圧が高くな
りすぎ、スパークプラグの火花放電間隙で火花放電する
場合を失火と判別でき、失火検出精度が向上する。
【0009】請求項2に記載の発明は、主に配電器を有
する点火装置に適用される。この点火装置では、点火コ
イルとスパークプラグとの間にローターギャップなどの
気中ギャップがある。機関の低速運転時には、火花放電
後に点火コイルに残存する電気エネルギーが少なく、電
圧の昇圧が小さいため、前記気中ギャップを飛んでスパ
ークプラグ静電容量に充電される残余二次電圧のレベル
が低く、減衰特性の正確な判別が行いにくい場合が生じ
る。
【0010】このため、低速回転時のみ、火花放電期間
中の誘導放電期間の途中または終了後に、点火コイルの
一次回路に一次電流を短時間流して遮断し、二次電圧を
昇圧させる。この二度目の通電による昇圧二次電圧(失
火検出用二次電圧)のレベルを、配電器のローターギャ
ップなどシリーズギャップの絶縁破壊が可能で、かつ失
火時にはスパークプラグの火花放電間隙の絶縁破壊が不
可能な大きさ(たとえば5〜7キロボルト)にコントロ
ールする。これによりスパークプラグに電圧が印加さ
れ、スパークプラグの静電容量が充電される。この充電
電荷の放電特性を上記と同様に検出する。
【0011】請求項3に記載の発明は、二次回路の点火
コイルとローターギャップとの間にツェナーダイオード
を装着したことによって、スパークプラグの充電電荷が
高くなりすぎることを防止する。これにより火花放電間
隔で火花放電し、その結果二次電圧のレベルが低くなり
すぎることを防止し、失火検出精度を向上させる。
【0012】請求項4の発明では、配電器を有する点火
回路において請求項1に記載の発明と同様に、失火検出
用二次電圧の減衰特性を、二次電圧波形の初期からの降
圧時間の測定に加えて、中間(たとえばピーク電圧値の
2/3から1/3まで)での降圧時間の測定により検出
する。これにより、同様の理由で失火検出精度が向上す
る。
【0013】
【発明の効果】このように、この発明の失火検出装置で
は、燃焼光センサ、圧力センサ、イオン電流検出のため
配電器のローターギャップに並列接続する高圧ダイオー
ドは不要であり、構成が簡潔で自動車エンジンへの装着
性に優れ、メンテナンスが容易で実用性の高い失火検出
装置が得られる。
【0014】
【実施例】図1は、気筒数と同数の点火コイル1および
スパークプラグ3を備えたガソリン機関のDLI式点火
装置100を示す。各点火コイル1の一次回路11は、
車載電源Vと、一次電流断続手段4とに接続され、二次
回路12は、逆流防止ダイオード13を介してスパーク
プラグ3に接続されている。逆流防止ダイオード13と
スパークプラグ3の火花放電間隙31との間の二次回路
12には、分圧器5と、二次電圧検出回路6と、失火判
別回路7とが接続されている。
【0015】一次電流断続手段4は、スイッチ素子41
およびシグナルジェネレータ42からなり、エンジンの
クランク角およびスロットル開度を検出し、火花放電時
期がエンジンの負荷および回転速度に適応した点火進角
となるよう一次電流を断続する。
【0016】この実施例では、分圧器5は、二次回路1
2の高電圧リードとの間に1pF(ピコファラッド)静
電容量を生じるよう配設された導電体からなるセンサ5
1が使用され、低インピーダンス素子として3000p
Fの静電容量のコンデンサ52を用い、二次回路12に
生じた二次電圧を1/3000程度に分圧する。この場
合、コンデンサ52の放電回路を形成する3メガオーム
の抵抗53を並列接続すると、分圧器5の時定数が9m
s(ミリ秒)となり、後記する2〜3msという比較的
長い二次電圧波形の減衰時間の判別が確実にできる。こ
れにより最高3万ボルト前後の高電圧波形が10ボルト
のレベルに下げられ二次電圧検出回路6に入力する。
【0017】二次電圧検出回路6は、図2に示す如く、
シグナルジェネレータ42で設定した時期において、リ
セットがなされるとともに、分圧器5の分圧をホールド
するピークホールド回路61、ピークホールド回路61
の出力電圧を分圧する分圧回路62、分圧回路62の分
圧と前記分圧器5の出力とを比較し、パルスを発する比
較回路63からなる。なお、請求項1にかかる発明の失
火検出装置に使用する二次電圧検出回路6Aは、図8に
示す。失火判別回路7は、マイクロコンピュータが使用
され、前記二次電圧検出回路6の出力パルスを予め実験
または計算により求めたデータと比較し、失火を判別す
る。
【0018】二次電圧検出回路6を用いた場合の作用を
図3とともに説明する。シグナルジェネレータ42でス
イッチ素子41をオン、オフさせ、のパルス波aの如
き一次電流を一次回路11に生じさせる。この一次電流
の断続により、点火コイル1の二次コイルL2にはに
示す二次電圧が生じる。前記パルス波aの終了時点で発
生した高電圧pにより火花放電(容量放電)が開始し、
これにつづき誘導放電によるなだらかな二次電圧波形q
が生じる。二次電圧波形qは、機関の低速運転時に、火
花放電を2ミリ秒間程度持続し、点火コイル1の電気エ
ネルギーの低減とともに終了する。この終了直前から点
火コイル1に残存する電気エネルギーにより二次電圧は
昇圧し始め、終了直後に2〜3キロボルトに昇圧したの
ち降圧する。また機関の高速運転時は、火花放電が1ミ
リ秒間程度持続し、この後5〜8キロボルトまで昇圧し
たのち降圧する。
【0019】火花放電終了後における逆流防止ダイオー
ド13とスパークプラグ3との間の二次電圧波形は、主
にスパークプラグ3の静電容量(通常10〜20pF)
に充電された電荷の放電状態を示しており、に示す如
く、正常に着火したときの実線q1 と、失火したときの
二点破線q2 とで減衰時間に差が生じる。すなわち、正
常着火したときに充電電荷はスパークプラグ3の火花放
電間隙31に存在するイオンを介してイオン電流となっ
て放電されるため、実線q1 の如く急速に減衰する。こ
れに対し、失火したときはスパークプラグ3の絶縁体、
プラグキャップなどを介する漏電となるため、二点破線
2 の如く緩やかに降圧する。
【0020】シグナルジェネレータ42は、たとえば、
回転速度、負荷、点火系の仕様に応じて、実験または計
算により求めた各運転条件における平均的火花放電持続
時間より0.5ミリ秒あとを、リセットおよびピークホ
ールド時期に設定し、ピークホールド回路61を作動さ
せる。この時期の充電電圧値をピークホールド回路61
でホールドし、分圧回路62で分圧したその1/3のレ
ベルを基準電圧v1 として、前記分圧器5の出力波形
と、比較回路63において比較する。この比較回路63
の出力パルスは、正常に着火が生じたときは図3のに
示す短いパルス波t1 を、失火したときは図3のに示
す長いパルス波t2 を失火判別回路7に出力する。
【0021】失火判別回路7は、この減衰時間が、たと
えばエンジン回転速度が1000rpmのときは3ms
以上で失火と判別し、6000rpmのときは、1ms
以上で失火と判別し、この中間の運転条件の場合は、そ
の比例値以上で失火が生じたと判別する。なお、スパー
クプラグ3の中心電極がプラスの電位であるときの方
が、マイナスのときと比べ、イオン電流がスムーズに流
れるので、点火コイル1は通常と逆に接続するなどによ
り、二次電圧はプラスの電位に設定しておくことが望ま
しい。
【0022】図4は請求項2にかかる発明の実施例を示
す。図1と同一符号は同一物を示す。この点火装置は、
配電器2を備える。この実施例では、一次電流断続手段
4がその機能を兼ねているスパークプラグ静電容量充電
用電圧発生手段を備える。これは機関が3000rpm
以下の低速回転で運転されているときには、火花放電終
了後の二次電圧の昇圧レベルが低い。よって気中ギャッ
プを介してスパークプラグ3の静電容量に充電される電
圧レベルが低く、減衰特性の正確な判別がされにくい。
この場合は、高いレベルの二次電圧を、別途発生させる
ことが減衰特性の正確な判別に有利である。
【0023】よって、このスパークプラグ静電容量充電
用電圧発生手段(4)は、機関が例えば3000rpm
以下の低速回転中のみ、スパークプラグ静電容量充電用
電圧を発生させる。機関が3000rpm以上の高速回
転中は、前記二次電圧の昇圧レベルが5〜8キロボルト
と高く、気中ギャップの絶縁破壊は確実になされるの
で、作動させる必要はない。なおスパークプラグ静電容
量充電用電圧発生手段(4)の作動範囲は、機関の型式
により適宜決定され、エンジンの負荷、冷却水温、バッ
テリー電圧などの運転条件により調整できる。
【0024】機関の高速回転中の作用は、前記請求項1
の発明と同じであり、図2に示す二次電圧検出回路6を
用いた場合の低速回転中の作用を図5とともに説明す
る。シグナルジェネレータ42で一次電流断続のための
パルス信号を出力し、の如き一次電流を一次回路11
に生じさせる。巾の大きいパルス波aはスパークプラグ
3で火花放電を発生させるための信号であり、これらパ
ルス波aの終了後、1.5〜2.0ms程度の遅延時間
iだけ遅延した巾の小さいパルス波bはスパークプラグ
静電容量充電用電圧(イオン検出電圧)発生用の信号で
ある。配電器2のローターギャップ21は、ロータとサ
イドエレクトロードとの近接時間が、エンジン回転速度
により変化するため、エンジンの中速運転時は、遅延時
間iを1.5ms程度に短く設定することが望ましい。
【0025】上記一次電流の断続により、二次回路12
の点火コイル1にはに示す二次電圧が生じる。前記パ
ルス波aの終了時点で発生した高電圧pにより火花放電
が開始し、これに続き誘導放電によるなだらかな二次電
圧波形qが生じて火花放電は終了する。つぎに、前記パ
ルス波bの立ち上がりに対応し、二次回路12には逆起
電力によるプラス波形rが生じ、この一次コイルへの通
電において点火コイル1には電気エネルギーが蓄積され
るため、通電の停止後、二次電圧は再昇圧し、波形sが
現れる。この二次電圧の再昇圧レベルは、前記遅延時間
iとパルス波bの巾により所望に設定することができ
る。この発明では波形sのレベルは、ローターギャップ
21の絶縁破壊が可能であり、スパークプラグ3の火花
放電間隙31に燃焼中の燃料イオンが存在しない場合に
は放電が不可能となるよう、5〜7キロボルトに設定さ
れる。
【0026】これにより、配電器2のローターギャップ
21とスパークプラグ3の火花放電間隙31との間の、
主にスパークプラグ3の静電容量(通常10〜20p
F)に充電された二次電圧はに示す如く、正常に着火
したときと、失火したときとで減衰時間に差が生じる。
すなわち、正常着火したときは、実線s1 の如く急速に
降圧する電圧波形となり、失火したときは、二点破線s
2 の如く緩やかに減衰する二次電圧波形となる。失火の
判別は、請求項1の発明と同様に、設定時期におけるリ
セットおよびピークホールド、このピークホールド電圧
の1/3のレベルまでの減衰時間の検出、および判別に
よりなされる。
【0027】なお点火コイル1と配電器2との間に、逆
流防止用ダイオードを挿入しておくと、上記スパークプ
ラグ1の静電容量に充電された5〜7キロボルトの電圧
が、ローターギャップ21を飛び越えて点火コイル1に
逆流し、3〜4キロボルトに瞬時に降圧する現象を防止
でき、失火検出精度が向上できる。上記実施例では、い
ずれも分圧器5により分圧した二次電圧波形の設定時期
における二次電圧をホールドし、その減衰時間を失火検
出の基準としているが、前記設定時期から一定時間後の
二次電圧レベルを検出してもよい。
【0028】図6および図7には請求項3にかかる発明
の実施例を示す。図1と同一符号は同一物を示す。前述
したように図5の波形s3 に示す如く火花放電により瞬
時の降圧を防ぐために、点火装置の点火コイル1と、配
電器2のローターギャップ21との間の二次回路12上
にツェナーダイオード14を設置する。図2に示す二次
電圧検出回路6を用いた場合、図7に示す如く、このツ
ェナーダイオード14の逆方向電圧の定電圧特性により
ツェナー電圧値によって決まる電圧v2 から徐々に降圧
する二次電圧波形s4 となる。このとき電圧v2 は、火
花放電間隙31で放電しない電圧である。
【0029】この場合、二次電圧検出回路6は、ツェナ
ーダイオード14を介しての降圧の終了後の適当時期の
ピーク電圧値をピークホールド回路61でホールドし、
例えばその2/3のレベルを基準電圧v3 として検出
し、分圧器5の出力波形と比較回路63において比較す
る。この比較回路63の出力パルスは、図7のに示す
如く、基準電圧v3 以上の二次電圧の時間を検出し、パ
ルス波t3 、t4 を失火判別回路7に出力する。
【0030】そして、点火コイル1の仕様、車載電源V
などのばらつきにより、検出用電圧が高くなり点火コイ
ル1で放電し、失火の検出ができなくなることを防止す
るため、失火判別条件設定が容易にできる。なお、上記
実施例で使用したツェナーダイオード14の代わりに5
〜8キロボルトの耐電ダイオードやダイオードとバリス
タの並列接続回路等を使用してもよい。
【0031】この手法は、配電器2を有する点火装置に
おける、誘導放電期間の途中または終了後に、点火コイ
ル1の一次回路11にシグナルジェネレータ42によっ
てパルス波bを発生させ、二次電圧を昇圧させた場合で
も適用できる。正常着火したときの電圧波形s5 は、上
記ピークホールド時期には電圧がほとんど0であるが、
基準電圧v3 の最小値を設定しておくことによって、ピ
ークホールド時期以後に基準電圧v3 より高い電圧が測
定されることなく着火と判定することができる。
【0032】図1および図8から図10は、請求項1に
かかる発明の実施例を示す。この実施例では、二次電圧
検出回路6Aは、図8に示す如く、火花放電終了後の失
火検出用二次電圧がピーク電圧値をホールドしてこのピ
ーク電圧値からその1/3のレベルに降圧する降圧時間
を検出するための比較回路(降圧時間検出回路)63に
加えて、該比較回路63と並列に前記ピーク電圧値に対
する割合が2/3から1/3にレベルダウンする中間降
圧時間を検出するための中間降圧時間検出回路60を付
設している。失火判別回路7は前記降圧時間が設定時間
より長いか、または前記中間降圧時間が設定時間より短
い場合、失火したと判別するこの中間降圧時間検出回路
60は、比較回路63と並列に比較器64、トランジス
タTr、時定数を決定するためのコンデンサCおよび抵
抗Rを含む中間降圧時間検出部65、および中間降圧時
間が設定値以上か否かを検出する比較回路66からな
る。
【0033】この中間降圧時間検出回路60を含む二次
電圧検出回路6Aの作動を、図9に示す波形図とともに
説明する。図9において、(1)は正常燃焼時、(2)
はスパークプラグ3で失火検出用二次電圧が火花放電し
ないときの失火時、(3)はスパークプラグ3で失火検
出用二次電圧が火花放電したときの失火時を示す。は
一次電圧波形、は点火コイル1の二次回路12に生じ
る二次電圧波形、はスパークプラグ3の浮遊静電容量
に充電された二次電圧波形(スパークプラグの電極間の
二次電圧波形)、は失火検出用二次電圧波形がピーク
電圧値から2/3のレベルに降圧するまでの時間を示す
パルス、は失火検出用二次電圧波形がピーク電圧値か
ら1/3のレベルに降圧するまでの時間を示すパルス、
は失火検出用二次電圧波形がピーク電圧値の2/3の
レベルから1/3のレベルに降圧するまでの中間降圧時
間を示すパルスである。そして、はに示す充電パル
スによりコンデンサCに充電される充電電圧波形を示
す。この充電電荷はに示すパルスでトランジスタTr
が導通して瞬時に放電されるが、パルスが極めて短い場
合は抵抗Rを介して徐々に放電される。はコンデンサ
Cの充電電圧レベルが設定値以上の場合、比較回路66
が出力するパルスである。
【0034】に示す如く失火検出用二次電圧波形S
が、S2/3 からS1/3 に降圧するまでの中間降圧時間
は,通常(スパークプラグ3で失火検出用二次電圧の火
花放電が生じない)のときには、正常燃焼時にはに示
すパルス波t5 の如く小さく、失火時にはパルス波t6
に示す如く大きい。また失火してスパークプラグ3で火
花放電が発生したときは、瞬時に降圧し、巾がほぼ零の
パルス波t7 となる。
【0035】エンジンが低負荷運転をしているとき、気
筒内の圧力があまり高くないので、低い電圧でもスパー
クプラグ3で火花放電が生じやすい。この状態で失火が
生じ、これが原因で失火検出用二次電圧が高くなると、
スパークプラグ3の火花放電間隙31(ギャップ)で火
花放電が発生するときがある。この火花放電が生じる
と、スパークプラグ3の浮遊静電容量に充電された失火
検出用二次電圧は瞬時にレベルダウンし、ピーク電圧値
から1/3のレベルに降圧するまでの降圧時間T1 は火
花放電時期によって左右され、一定せずに正常燃焼時よ
り短い場合もあり、失火時の波形に近く長い場合もあ
る。すなわち、失火が生じたにもかかわらず、降圧時間
1 が短いため、降圧時間のみでは正常燃焼時と区別が
できない場合が生じる。
【0036】この失火検出用二次電圧のスパークプラグ
3での火花放電が生じたときは、図9のに示す如く二
次電圧は瞬時に降圧する。このため、に示す二次電圧
がピーク電圧値の2/3から1/3のレベルに降圧する
までの中間降圧時間T6 は、失火時でかつスパークプラ
グ3で火花放電したときは極めて短い。この火花放電電
圧の最後のピークの中間降圧時間T6 が設定値以下のと
きを失火と判別する。よって、この実施例の如く、降圧
時間T1 、T2 、T3 が設定値以上であるか、または最
後のピークの中間降圧時間T4 、T5 、T6 が設定値以
下であるかの両方を検出し、このいずれかであるとき正
確に失火の判別ができる。なお、図4に示す請求項2の
発明においても、図8に示す本発明の二次電圧検出回路
6Aを採用した場合は、同様の作用、効果が得られる。
【0037】図10は、請求項3に記載の発明である図
6に示すツェナーダイオード14を有する点火回路にお
いて、図8に示す二次電圧検出回路6Aを適用した場合
の作動を示す波形図である。この場合にもスパークプラ
グ3の浮遊静電容量に充電した失火検出用二次電圧の充
電電荷がツェナーダイオード14を介して点火コイル1
側へ流れるとき、またはその直前にスパークプラグ3の
火花放電間隙31で火花放電してしまい、降圧時間のみ
では失火の判別が困難になる場合があるので、二次電圧
の中間降圧時間検出回路60の付設が有効である。なお
この場合はに示す如く、シグナルジェネレータ42の
タイミング信号(ピークホールドの更新時期)のみが図
9に示す波形図と異なっている。
【0038】上記の実施例では、火花放電終了後におけ
る二次電圧波形は1つのピーク電圧値を持つ波形である
が、火花放電間隙31の放電波形は、図11のに示す
ように、多重放電することもある。この場合、二次電圧
波形がピーク電圧値の2/3から1/3まで減衰する時
間を検出するための放電電圧波形s6 、s7 、s8 が複
数存在し、どの波形をとらえたらよいか決定することが
できない。適正な減衰波形の決定のためには、複数の放
電電圧波形s6 、s7 、s8 のなかで最後のピークを持
つ波形s8 の減衰状態を測定する必要があるが、多重波
形の場合、波数は一定でなく、減衰時間もそれぞれであ
り、最後の波形を確定することができない。そこで、
に示すピーク電圧値から2/3のレベルにまで降圧する
までの波形t8 、t9 、t10によって中間降圧時間検出
回路60のコンデンサCを充電し、2/3から1/3ま
での波形t11、t12、t13で放電するようになると、こ
れにより最後のピーク電圧値の立ち下がりのみを測定す
ることが可能となる。この結果に示すパルスに波形t
14が出力され失火の判定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の失火検出装置を装着したガソリン機
関の点火回路図である。
【図2】二次電圧検出回路6のブロック図である。
【図3】二次電圧検出回路6を使用した場合の請求項1
の失火検出装置の作動説明のための波形図である。
【図4】請求項2の失火検出装置を装着したガソリン機
関の点火回路図である。
【図5】二次電圧検出回路6を使用した請求項2の失火
検出装置の作動説明のための波形図である。
【図6】請求項3の失火検出装置を装着したガソリン機
関の点火回路図である。
【図7】二次電圧検出回路6を使用した請求項3の失火
検出装置の作動説明のための波形図である。
【図8】二次電圧検出回路6Aの回路図である。
【図9】二次電圧検出回路6Aを使用した請求項1の失
火検出装置の作動説明のための波形図である。
【図10】二次電圧検出回路6Aを使用した場合の請求
項3の失火検出装置の作動説明のための波形図である。
【図11】二次電圧検出回路6Aを使用した場合の請求
項3の失火検出装置の作動説明のための波形図である。
【符号の説明】
1 点火コイル 2 配電器 3 スパークプラグ 4 一次電流断続手段 5 分圧器 6、6A 二次電圧検出回路 7 失火判別回路 60 二次電圧の中間降圧時間検出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 康生 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特 殊陶業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−135668(JP,A) 特開 平2−102376(JP,A) 特開 昭50−94330(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 点火コイルと、その一次回路に流す電流
    を断続する一次電流断続手段と、点火コイルの二次回路
    に設けたローターギャップなどのシリーズギャップまた
    は逆流防止ダイオードと、スパークプラグとを有する点
    火装置を備えたガソリン機関の失火検出装置であって、 スパークプラグに印加される二次電圧の分圧を検出する
    ための分圧器と、 火花放電終了前後に設定した時期以降の、二次電圧波形
    の減衰特性を検出する二次電圧検出回路と、 前記減衰特性により、失火を判別する失火判別回路とか
    らなり、 前記二次電圧検出回路は、火花放電の高電圧pを除く二
    次電圧のピーク電圧値をホールドして該ピーク電圧値か
    ら設定レベルに降圧するまでの降圧時間を検出する降圧
    時間検出回路と、前記ピーク電圧値に対して所定の割合
    で設定した2つの電圧レベル間を降下する中間降下時間
    を検出する中間降圧時間検出回路とからなり、前記失火
    判別回路は前記降下時間が設定時間より長いか、または
    中間降圧時間が設定時間より短い場合、失火したと判別
    することを特徴とするガソリン機関の失火検出装置。
  2. 【請求項2】 点火コイルと、その一次回路に流す電流
    を断続する一次電流断続手段と、点火コイルの二次回路
    に設けた配電器と、スパークプラグとを有する点火回路
    を備えたガソリン機関の失火検出装置であって、 機関の低速低負荷運転時において、スパークプラグでの
    誘導放電による火花放電終了後の所定時期に、点火コイ
    ルの一次回路に通電するとともに一定時間後該通電を遮
    断し、二次回路にローターギャップの絶縁破壊が可能
    で、かつスパークプラグの火花放電間隙にイオンが存在
    しない場合には放電が発生しない大きさの起電力を発生
    させるスパークプラグ静電容量充電用電圧発生手段と、 スパークプラグに印加される二次電圧の分圧を検出する
    分圧器と、 機関の高速運転時は、火花放電終了前後に設定した時期
    以降の、二次電圧波形の減衰特性を検出し、 機関の低速低負荷運転時は、前記スパークプラグ静電容
    量充電用電圧発生手段により発生させた二次電圧波形の
    減衰特性を検出する二次電圧検出回路と、 前記二次電圧波形の減衰特性により、失火を判別する失
    火判別回路とからなるガソリン機関の失火検出装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、点火コイル
    の二次回路とローターギャップとの間に、前記スパーク
    プラグの静電容量に充電された電圧から点火コイルへ逆
    流する電流を制限するためのツェナーダイオードを装着
    したガソリン機関の失火検出装置。
  4. 【請求項4】 請求項2または3において、前記二次電
    圧検出回路は、火花放電の高電圧pを除く二次電圧のピ
    ーク電圧値をホールドして該ピーク電圧値から設定レベ
    ルに降圧するまでの降圧時間を検出する降圧時間検出回
    路と、前記ピーク電圧値に対して所定の割合で設定した
    2つの電圧レベル間を降下する中間降下時間を検出する
    中間降圧時間検出回路とからなり、失火判別回路は前記
    降下時間が設定時間より長いか、または中間降圧時間が
    設定時間より短い場合、失火したと判別することを特徴
    とするガソリン機関の失火検出装置。
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