JP3031764B2 - ガソリン機関の失火検出装置 - Google Patents

ガソリン機関の失火検出装置

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JP3031764B2 JP3250803A JP25080391A JP3031764B2 JP 3031764 B2 JP3031764 B2 JP 3031764B2 JP 3250803 A JP3250803 A JP 3250803A JP 25080391 A JP25080391 A JP 25080391A JP 3031764 B2 JP3031764 B2 JP 3031764B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ガソリン機関におい
て、正常に着火したときと着火ミス(失火)が生じたと
きとで、スパークプラグの火花放電間隙の電気抵抗値が
相違することを利用した失火検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジンなどのガソリン機関で
は、排気浄化および燃費向上の要請が高まっている。か
かる要請に対応するには、各気筒ごとに失火の有無を検
出し、気筒ごとに失火防止対策を行うことが有効であ
る。失火検出装置として、従来よりシリンダーブロック
に穴を開け燃焼光センサを装着したり、スパークプラグ
の取り付け座に圧力センサを取り付けたり、点火装置の
二次回路のイオン電流を測定する方法が公知である。ま
た通常、スパークプラグの中心電極には、点火のための
火花放電の要求電圧を低くする目的で、マイナス極性の
二次電圧が印加される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の失火検出方法に
おいては、センサの装着が面倒であり、エンジンの全気
筒に装着すると装着コストが増大し、メンテナンスに手
間がかかる欠点があった。この発明の目的は、装着およ
びメンテナンスが容易な構成で、正確に失火が検出でき
る失火検出装置の提供にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明の失火検出装置
は、点火コイルと、その一次電流断続手段と、点火コイ
ルの二次回路に設けたシリーズギャップと、エンジンに
装着されるスパークプラグとを備え、スパークプラグに
マイナス極性の二次電圧を火花放電用に発生させるガソ
リン機関の点火装置に付設される失火検出装置であっ
て、スパークプラグでの誘導放電による火花放電中また
は終了後の所定時期に、二次回路に、プラス極性で、前
記シリーズギャップの絶縁破壊が可能であるとともに、
スパークプラグの火花放電間隙での放電は、イオンが存
在する場合にのみ可能なレベルの電圧を発生させる逆二
次電圧発生手段と、スパークプラグの静電浮遊容量に充
電された前記逆二次電圧の分圧を検出する分圧器と、該
分圧器の出力を入力とし逆二次電圧の減衰特性を検出す
る二次電圧検出回路と、該減衰特性により失火を判別す
る失火判別回路とからなる。
【0005】請求項2に記載の失火検出装置は、配電器
は、ローターにスパークプラグでの火花放電のための第
1のローターギャップを形成する第1のローターアーム
と、ダイオード24が介装され前記第1のローターギャ
ップより狭い逆二次電圧導通用の第2のローターギャッ
プを形成する第2のローターアームとを有することを特
徴とする。
【0006】
【発明の作用】この発明では、スパークプラグでの火花
放電終了後に、二次回路に3〜5キロボルトのプラス極
性の失火検出のための逆二次電圧(プラス電圧)を発生
させる。この逆二次電圧は、配電器のローターギャップ
などシリーズギャップを絶縁破壊してスパークプラグの
浮遊静電容量を充電するとともに、気筒内で着火、燃焼
が正常になされ、スパークプラグの火花放電間隙にイオ
ン化した燃料分子が高密度で存在しているときは、イオ
ン電流となって火花放電間隙を流れる。このためプラス
電圧は、迅速に降圧する。これに対し、失火したとき
は、スパークプラグの火花放電間隙には、燃料および空
気の分子がそのままの状態で存在し、絶縁抵抗が大きく
イオン電流は流れにくい。このため、前記プラス電圧は
主にスパークプラグの絶縁体、プラグキャップ等を介し
て漏電し、ゆっくりと降圧する。よって、上記プラス電
圧のスパークプラグ電極間での減衰特性を検出して、そ
の減衰特性と、予め機関の運転条件に応じて測定または
計算により求めたデータと比較することにより、失火の
検出が可能となる。なお失火検出用二次電圧をプラス極
性とするのは、マイナス極性に比べ数倍以上イオン電流
が流れ易いことによる。
【0007】請求項2に記載の発明では、イオン電流検
出用の逆二次電圧レベルがばらついて低くなることがあ
り、ローターギャップの絶縁破壊が容易であるため、失
火検出のためのプラス極性の逆二次電圧をスパークプラ
グの浮遊静電容量に確実に充電できる。また一旦スパー
クプラグの浮遊静電容量に充電された失火検出のための
プラス極性の逆二次電圧が、ローターギャップを飛び越
えて点火コイル側に流れる逆方向に放電し、急速に降圧
することが防止できる。
【0008】
【発明の効果】この発明の失火検出装置は、燃焼光セン
サ、圧力センサなどのセンサの装着は不要であり、二次
電圧検出回路の装着により失火の判別ができる。よって
エンジンへの装着性、メンテナンス性に優れる。また、
失火検出のため二次回路に印加する電圧の極性を点火時
のマイナスから測定時にはプラスにしている。このよう
に、プラス極性の逆二次電圧にすると、マイナスの場合
に比べ数倍以上イオン電流が流れ易い。よって、マイナ
ス極性の場合に比べ、着火と失火におけるプラス電圧の
スパークプラグ電極間での減衰特性の差が大きくでき、
低負荷、低速運転でイオン密度が低くイオン電流が流れ
にくい運転条件においても、正確な失火の判別が可能と
なる。請求項2に記載の構成では、逆二次電圧の充電が
確実になされるとともに、そのレベルも保証され、より
精密な失火検出が可能となる。
【0009】
【実施例】図1は、点火コイル1、配電器(デストリビ
ュータ)2、スパークプラグ3を備えた内燃機関の点火
装置100を示す。点火コイル1の一次回路11は、車
載電源Vと、一次電流断続手段4と、失火検出のための
プラス極性の逆二次電圧を発生させる逆二次電圧発生手
段5とに接続されている。また二次回路12は、前記配
電器2を介してスパークプラグ3に接続されている。配
電器2のローターギャップ21とスパークプラグ3の火
花放電間隙31との間の二次回路12には、分圧器6
と、二次電圧検出回路7と、失火判別回路8とが接続さ
れている。
【0010】一次電流断続手段4は、スイッチング素子
としてのトランジスタ41とツェナーダイオード42と
の並列回路を、ダイオード43を介して点火コイル1の
一次側端子に接続し、トランジスタ41にダイオード4
4を介してシグナルジェネレータ45を接続してなる。
シグナルジェネレータ45は、エンジンのクランク角お
よびスロットル開度の信号を入力し、火花放電時期がエ
ンジンの負荷および回転速度に適応した点火進角となる
よう一次電流を断続するとともに、前記逆二次電圧発生
手段5を構成する。
【0011】逆二次電圧発生手段5は、前記シグナルジ
ェネレータ45と、その出力を所定時間遅延させる遅延
回路51とからなる。シグナルジェネレータ45は、前
記トランジスタ41の導通停止後、所定時間、たとえば
0.5〜1.5ms(ミリ秒)だけ遅延したタイミング
でトランジスタ41を導通させるパルスを出力し、これ
により一次電流を流して一次電流の遮断により二次回路
12に5〜7キロボルトの二次電圧を発生させる。この
二次電圧は、スパークプラグ3で火花放電できないレベ
ルであるため、点火コイル1とスパークプラグ3の浮遊
静電容量との間で振動する。この振動する二次電圧の内
プラス極性の二次電圧がスパークプラグ3の静電容量に
充電できるタイミングで、遅延回路51によるトランジ
スタ41の導通を行なう。これによりスパークプラグ3
の静電容量にはプラス3〜5キロボルトの電荷が充電さ
れる。
【0012】分圧器6は、点火コイル1の二次回路12
に近接して配され1pF(ピコファラッド)の静電容量
を有するする導電体61と3000pFの静電容量のコ
ンデンサ62を用い、二次回路12に生じた二次電圧を
1/3000程度に分圧する。これにより最高3万ボル
ト前後の二次電圧波形が10ボルトのレベルに分圧さ
れ、二次電圧検出回路7に入力する。二次電圧検出回路
7は、分圧された二次電圧波形のうち一定レベル以上の
電圧の持続時間を検出し、失火判別回路8は前記持続時
間が設定値以上のとき失火と判別する。
【0013】この発明の失火検出装置の作用を、図2に
示す波形図とともに説明する。シグナルジェネレータ4
5は、トランジスタ41にに示す一次電流断続のため
のパルス信号aを出力するとともに、パルス信号aから
0.5〜1.5ms遅れて0.3msのパルス信号bを
出力する。これにより一次回路11にはに示す一次電
流が生じる。これとともにシグナルジェネレータ45
は、逆二次電圧発生手段5の遅延回路51にに示すパ
ルス信号cを前記パルス信号bから0.2ms遅れて出
力し、トランジスタ41の導通度合いを調整する。
【0014】これにより二次回路12にはに示す二次
電圧が生じる。前記パルス信号aの終了時点で高電圧d
により火花放電が開始し、これにつづき誘導放電による
なだらかな電圧波形eが生じる。つぎに、前記パルス信
号bの立ち上がりに対応し、二次回路12には逆二次電
圧よるプラス波形fが生じ,立ち下がりに対応してマイ
ナスの二次電圧gが生じる。このマイナスの二次電圧g
は5〜7キロボルトとなるようパルス信号bの巾が設定
され、ローターギャップ21の絶縁破壊が可能であり、
スパークプラグ3の火花放電間隙31に燃焼中の燃料イ
オンが存在しない場合には放電が不可能となっている。
この二次電圧は火花放電のごとく急速には放電されない
ため、点火コイル1とスパークプラグ3の静電容量とに
より振動し、プラス二次電圧hが発生する。このプラス
二次電圧hの後には前記パルス信号cの作用でトランジ
スタ41が導通しているため、マイナスの二次電圧は発
生せず、スパークプラグ3の静電容量にプラスの電荷が
充電される。また、パルス信号cの立ち下がり時には遅
延回路51の作用により、トランジスタ41の導通度合
は徐々に小さくされ、二次電圧はほとんど発生しない。
【0015】これにより、配電器2のローターギャップ
21とスパークプラグ3の火花放電間隙31との間の、
主にスパークプラグ3の静電容量(通常10〜20p
F)に充電された逆(プラス)二次電圧は、に示す如
く、正常に着火した場合と、失火した場合とで減衰時間
に差が生じる。すなわち、失火した時は、波形h1 の如
く緩やかに降圧する電圧波形となり、正常着火した時
は、波形h2 の如く急速に減衰する二次電圧波形とな
る。二次電圧検出回路7は、に示す如く、基準電圧v
以上の二次電圧の時間を検出し、に示すパルス波
1 、t2 を失火判別回路8に出力する。失火判別回路
8は、パルス巾が、たとえば5ms以上の時、失火が生
じたと判別する。なお、正常着火した時は、に示すマ
イナスの二次電圧gにより火花放電することがあるが、
この時はその後のプラスの二次電圧hはほとんど発生せ
ず、従って二次電圧検出回路7からパルスは出力され
ず、着火したと判定される。なおシリーズギャップとし
て配電器2のローターギャップ21を用いているが、配
電器2を備えない、ディストリビュータ・レス・イグナ
イタにおいては、二次回路12にエアギャップを設ける
必要がある。
【0016】図3は、配電器の他の実施例を示す。この
配電器20は、配電ローター22にスパークプラグ3で
の火花放電のための第1のローターギャップ211を形
成する第1のローターアーム23と、ダイオード24が
介装され前記第1のローターギャップ211より狭い逆
二次電圧導通用の第2のローターギャップ212を形成
する第2のローターアーム25とを設けている。この構
成により火花放電時のマイナス極性の二次電圧は5〜7
キロボルト以上で第1のローターギャップ211を絶縁
破壊でき、プラス極性の二次電圧は3〜5キロボルトで
第2のローターギャップ212を絶縁破壊できるように
なっている。
【0017】この配電器20を用いると、火花放電終了
後に二次回路12に生じる逆二次電圧レベルがばらつき
低くなることがあっても、ローターギャップ212が狭
く、絶縁破壊が容易であるため、失火検出のためのプラ
ス極性の逆二次電圧をスパークプラグ3の浮遊静電容量
に確実に充電できる。また、図2のに示す、一旦スパ
ークプラグ3の静電浮遊容量に充電された失火検出のた
めのプラス極性の逆二次電圧hが、ローターギャップ2
12を飛び越えて点火コイル1側に流れる逆方向の放電
を防止できる。すなわち、上記逆方向の放電が生じる
と、逆二次電圧hは瞬時に降圧し、この降圧が正常着火
によるものか、または上記逆方向の放電によるものかの
判別が困難になる。しかるに、この実施例のごとく、配
電器20を用いることにより、逆二次電圧hのレベルが
保証され、より精密な失火検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の失火検出装置を装着した火花点火機
関の点火回路図である。
【図2】失火検出装置の作動説明のための波形図であ
る。
【図3】他の実施例にかかる配電器の概略図である。
【符号の説明】
1 点火コイル 2、20 配電器 3 スパークプラグ 4 一次電流断続手段 5 逆二次電圧発生手段 6 分圧器 7 二次電圧検出回路 8 失火判別回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 康生 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特 殊陶業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−54773(JP,A) 特開 昭61−155662(JP,A) 特開 昭61−169671(JP,A) 特開 昭57−88267(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02P 17/12 F02D 45/00 368 F02P 7/02 302 F02P 13/00 303 G01M 15/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 点火コイルと、その一次電流断続手段
    と、点火コイルの二次回路に設けたシリーズギャップ
    と、エンジンに装着されるスパークプラグとを備え、ス
    パークプラグにマイナス極性の二次電圧を火花放電用に
    発生させるガソリン機関の点火装置に付設される失火検
    出装置であって、 スパークプラグでの誘導放電による火花放電中または終
    了後の所定時期に、二次回路に、プラス極性で、前記シ
    リーズギャップの絶縁破壊が可能であるとともに、スパ
    ークプラグの火花放電間隙での放電はイオンが存在する
    場合にのみ可能なレベルの電圧を発生させる逆二次電圧
    発生手段と、スパークプラグの静電浮遊容量に充電され
    た前記逆二次電圧の分圧を検出する分圧器と、該分圧器
    の出力を入力とし逆二次電圧の減衰特性を検出する二次
    電圧検出回路と、該減衰特性により失火を判別する失火
    判別回路とからなるガソリン機関の失火検出装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、配電器は、ローター
    にスパークプラグでの火花放電のための第1のローター
    ギャップを形成する第1のローターアームと、ダイオー
    ド24が介装され前記第1のローターギャップより狭い
    逆二次電圧導通用の第2のローターギャップを形成する
    第2のローターアームとを有することを特徴とするガソ
    リン機関の失火検出装置。
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