JP2732961B2 - 荷電粒子線装置 - Google Patents
荷電粒子線装置Info
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Description
鏡、オージエ電子分析装置、イオン顕微鏡などの細く集
束された電子線またはイオン線を用いる荷電粒子線装置
の改良に係り、特にそれにおける荷電粒子線発生部およ
び荷電粒子線集束光学系を含む鏡筒部の小形化に係る。
分析装置、イオン顕微鏡、二次イオン質量分析装置など
の細く集束された電子線またはイオン線を用いる荷電粒
子線装置においては、分解能を向上させるために電界放
射形の荷電粒子源を用いることが盛んに行われている。
しかるに、この電界放射形荷電粒子源を安定に動作させ
るためには、該荷電粒子源の内部空間を超高真空状態に
維持する必要があり、そのために従来は、電界放射形荷
電粒子源の真空外壁に直接排気口を設け、該排気口に接
続用配管を介して例えばイオンポンプなどの超高真空ポ
ンプを接続し、それによって、電界放射形荷電粒子源の
内部空間を所要の高真空に排気する方式が採られている
(例えば特開昭55−148357号公報参照)。
たような排気方式を採る場合には、上記の接続用配管な
どを鏡筒部の外側に設ける必要があることから、排気系
そのものの構造が複雑になってしまう上に、必要な排気
能力を保つ必要上からこれら接続用配管などを十分に小
形化することができないと云う難点がある。これら接続
用配管などを無理に小形化した場合には、排気コンダク
タンスが低下してしまい、必要な排気能力が得られなく
なってしまうしまうからである。したがって、これら荷
電粒子源のための排気系をも含めた鏡筒部全体の構造を
十分に小形化することが困難であった。
粒子線を発生させるための荷電粒子源および該荷電粒子
源からの荷電粒子線を集束するための荷電粒子線集束光
学系を含む鏡筒部構造を小型に構成すると共に、上記荷
電粒子源の内部空間を真空排気するための真空排気系を
小形に構成し、それによって荷電粒子発生源、荷電粒子
線集束光学系、およびこれらの内部空間を排気するため
のするための真空排気系をも含めた鏡筒部全体の構造を
小形化し、もって、より小形・軽量化された荷電粒子線
装置を提供することである。本発明のさらに他の目的
は、低い加速電圧領域においても、高い分解能を得るこ
とのできる荷電粒子線装置を提供することである。本発
明のさらに他の目的は、鏡筒部の内部空間が、外部磁場
の影響を受けにくいように改良された荷電粒子線装置を
提供することである。
に、本発明の一実施例においては、荷電粒子源および荷
電粒子線集束光学系を収容している鏡筒部の内部空間内
に上記荷電粒子源の内部空間を真空排気するためのイオ
ンポンプを内蔵させ、該イオンポンプを動作させるため
の磁界を発生する手段として永久磁石を用い、該永久磁
石を上記鏡筒部の内部空間内に配置してなることを特徴
としている。本発明の他の一実施例においては、鏡筒部
の内部空間内に内蔵させたイオンポンプを動作させるた
めの磁界を形成するための磁気回路部材によって上記の
荷電粒子線集束光学系を取り囲むように構成してなるこ
とを特徴としている。本発明のさらに他の一実施例にお
いては、荷電粒子源の内部空間を超高真空状態に維持す
るために、上記荷電粒子源の内部空間を真空排気するた
めの第1のイオンポンプとは別に、上記荷電粒子線集束
光学系の内部空間を真空排気するための第2のイオンポ
ンプを上記鏡筒部の内部空間内に設け、上記荷電粒子源
の内部空間と上記荷電粒子線集束光学系の内部空間とで
差動排気を行わせるように構成してなることを特徴とし
ている。本発明のさらに他の一実施例においては、上記
荷電粒子源の内部空間をイオンポンプが動作可能な真空
度まで予備排気させるために、上記荷電粒子源の内部空
間を予備排気系に連通させるための第1の連通用開口を
設け、かつ該第1の連通用開口を開閉操作するための開
閉弁を設けてなることを特徴としている。本発明のさら
に他の一実施例においては、上記荷電粒子源の内部空間
を真空排気するための第1のイオンポンプと上記荷電粒
子線集束光学系の内部空間を真空排気するための第2の
イオンポンプとの間にも第2の連通用開口を設け、該第
2の連通用開口を介しての排気コンダクタンスを可変な
らしめ得るように構成してなることを特徴としている。
本発明のさらに他の一実施例においては、荷電粒子源を
収容している鏡筒部の外筒を磁性材料で構成し、該鏡筒
部外筒をイオンポンプを動作させるための磁場を形成す
るための磁気回路部材の一部として兼用するように構成
してなることを特徴としている。本発明のさらに他の一
実施例においては、外部磁界による荷電粒子線の軸ズレ
などの妨害を除去するために、イオンポンプを動作させ
るための磁場を形成するための磁気回路の一部を成して
いるヨークの内側に上記の荷電粒子線集束光学系を配置
することにより、該荷電粒子線集束光学系を外部磁界か
ら磁気的に遮蔽するように構成してなることを特徴とし
ている。本発明のさらに他の一実施例においては、低加
速電圧領域でも高い分解能が得られるようにするため
に、荷電粒子線集束光学系における対物レンズを静電形
のレンズ構成としてなることを特徴としている。
うな作用効果が得られる。すなわち、荷電粒子源の内部
空間は、鏡筒部内に内蔵させたイオンポンプによって直
接に超高真空排気されるため、安定な荷電粒子線放射特
性を得ることができる。しかも、上記イオンポンプを動
作させるための磁界を発生させる手段としての永久磁石
をも鏡筒部内に内蔵させているため、イオンポンプ自体
を小形にできる。また、このようにして構成されたイオ
ンポンプの内側に荷電粒子線集束光学系を組み込んだこ
とにより、鏡筒部全体の構造を小形・軽量にできる。ま
た、荷電粒子源の内部空間を鏡筒部内に内蔵させたイオ
ンポンプにより試料室側から差動排気する構成としたこ
とにより、試料室内が低真空状態であっても荷電粒子源
の内部空間を常に超高真空状態に維持することができ
る。さらに、イオンポンプを動作させるための磁場を形
成するための磁気回路部材の内側に荷電粒子線集束光学
系を組み込んでなるので、荷電粒子線集束光学系が外部
磁界による妨害を受けにくくなる。さらにまた、荷電粒
子線集束光学系における対物レンズを静電形のレンズ構
成としたことにより、低加速電圧での対物レンズの収差
を小さくすることができ、高分解能の荷電粒子線装置を
実現することができる。
て詳細に説明する。なお、以下の実施例では、主とし
て、本発明を集束電子線を用いる装置、特に走査形電子
顕微鏡に適用した場合について述べるが、本発明の適用
範囲は、それのみに限定されるものではなく、集束イオ
ン線を用いる装置をも含めた集束荷電粒子線応用装置全
般に適用できるものであることは云うまでもない。
子顕微鏡の構成を示す縦断面概略図である。以下にその
構成と動作の詳細について説明する。図において、電子
線を放出するための電子源1と該電子源1からの電子線
2を試料7上に集束させるための電子線集束光学系と
は、ケーシング13内に収容されている。該ケーシング
13内には、さらに、上記電子源1及び上記電子線集束
光学系の内部空間を真空排気するための二台のイオンポ
ンプが内蔵されている。該ケーシング13の下端は、試
料室26の上端に気密に取り付けられている。電子源1
には、電界放射チップが用いられており、該電子源1は
絶縁碍子27を介してフランジ25に取り付けられてお
り、該フランジ25は、メタルパッキングを介してケー
シング13の上端に気密に固定されている。なお、電子
源1の軸位置および光学軸に対する傾き等は、軸調整ネ
ジ24によって調節できるように構成されている。電子
源1と引出し電極3との間に適当な引出し電圧を印加す
ることによって、電子源1から電子線2が電界放射され
る。電子線集束光学系は、全て静電レンズ構成とされて
おり、本実施例では、引出し電極3、第1レンズ電極
4、第2レンズ電極5、ライナーチューブ23、第3レ
ンズ電極30、最終電極6等のレンズ電極群からなって
いる。これらのレンズ電極群は、絶縁リング18,19
や絶縁筒20を介して互いに絶縁され、アライメント筒
21中に精度良く組み込まれている。各レンズ電極には
ケーシング13の側壁に設けられた導入端子22を介し
て所要の電圧が印加される。
た電子線2は、第1レンズ電極4、第2レンズ電極5、
第3レンズ電極30、最終電極6などからなる静電形の
電子線集束光学系によって試料7上に細く集束せしめら
れる。電界放射形の電子源1から電界放射によって安定
な電子流を放射させるためには、この電子源1の近傍を
10~8pa程度の超高真空状態に維持する必要がある。
このような超高真空を得るために、本実施例において
は、ケーシング13内の電子線集束光学系の外周に、マ
グネットユニット15、電極16、およびヨーク14よ
り構成されるイオンポンプを内蔵させている。そして、
ここでは、イオンポンプを動作させるために必要な磁場
を発生させるためのマグネットとして、永久磁石を用い
ている。しかも、この永久磁石をケーシング13内の真
空中に内蔵させている。
例を示す。ここでは、上下方向に磁化されたリング状の
マグネット(永久磁石)15−2をケース(1)15−
1とケース(2)15−3とによって密封構造としてい
る。これらのケースは非磁性材料、例えばステンレスス
チールによって作られている。このマグネットユニット
15を電子線通路の周りの真空中に軸対称に設置し、そ
れから発生する磁束をヨーク14とケーシング13とで
構成される磁気回路によって導き、上下の電極16間に
効率良く軸方向磁場を形成するようにしている。
こでは、ヨーク14は、上板14−1、セパレータ14
−2および下板14−3より構成され、これらは磁性材
料、例えば純鉄やパーマロイなどで作られている。この
ヨーク構造は、図1に示したように、上下に2個のイオ
ンポンプユニットを構成する場合についてのものであ
る。上板14−1の外周部には、複数個の排気用開口1
4−4が設けられ、この開口14−4が上部イオンポン
プユニットの内部空間と電子源1を収容している空間
(電子源室)とを連通させている。同様に、下板14−
3の外周部にも複数個の排気用開口14−5が設けられ
ている。上記のマグネットユニット15を上記構造のヨ
ーク14とケーシング13とによって形成される磁気回
路の内部空間に内蔵させてイオンポンプ用の陽極とする
と共に、該マグネットユニット15の上下にリング状の
電極16を配置してイオンポンプ用の陰極とする。この
電極16は、例えばチタン(Ti)製であり、上下電極
共接地電位に置かれている。このようにマグネットユニ
ット15をイオンポンプ用の陽極と兼用させた構造とす
ることにより、イオンポンプそのものを小型化すること
ができる。また、このようにマグネットユニット15を
ヨーク14とケーシング13とによって構成される磁気
回路の内部空間中に内蔵させた構造を採ることによっ
て、電子源や電子線集束光学系がマグネットユニット1
5からの磁界の影響を受けることが無いように、効果的
に磁気シールドされる。
の側面より、高圧導入端子17を介して、マグネットユ
ニット(陽極)15に正の高電圧(4〜5kV)を印加
すると、このマグネットユニット15を囲む空間内でペ
ニング放電が発生し、チタンからなる電極(陰極)16
の表面がスパッタされ、このスパッタされたチタン原子
が残留ガスを吸着する現象によって、イオンポンプとし
ての動作が行われる。すなわち、1段目のイオンポンプ
(上部イオンポンプユニット)を作動させることによっ
て電子源室内の超高真空排気が行われ、2段目のイオン
ポンプ(下部イオンポンプユニット)を作動させること
によって電子線集束光学系の内部空間の高真空排気が行
われる。この2段目のイオンポンプは、電子源室内の超
高真空状態を維持するために電子線集束光学系の内部空
間を高真空に排気する、いわゆる差動排気ポンプとして
の役割を演じている。つまり、2段目のイオンポンプに
よって電子線集束光学系の内部空間を高真空排気するこ
とによって、試料室26内の真空度が10~4pa程度と
低い場合であっても、電子源1の近傍を10~8pa程度
の超高真空状態に維持してやることができるのである。
内部空間を、上記した1段目および2段目のイオンポン
プが動作可能な真空度(10~4pa程度)にまで排気立
上げするための初期排気の方式について説明する。図4
は、このような初期排気を可能にした走査形電子顕微鏡
の予備排気部の一構成例を示す部分断面図である。試料
室26の内部空間は、試料室内排気用の真空ポンプ(図
示省略)によって、10~4pa程度の真空度に排気され
ている。試料室内部空間と2段目のイオンポンプの内部
空間とを仕切っている仕切壁31に連通開口32が設け
られており、該開口32に対して予備排気弁29が設け
られている。すなわち、開口32の上端面に当接された
弁体29−1をベローズを介して真空外から移動操作す
ることにより、該開口32を開閉できるように構成され
ている。また、1段目と2段目のイオンポンプ室間を仕
切っているセパレータ14−2の一部にも連通開口33
が設けられており、該開口33を開閉するための連通弁
28が設けられている。かかる構成において、試料室内
排気用の真空ポンプを動作させた状態で、予備排気弁2
9および連通弁28を開いてやれば、上記連通開口3
2,33を介して、電子線集束光学系および電子源室の
内部空間を10~4pa程度の真空度まで初期排気してや
ることができる。つまり、この場合には、試料室内排気
用の真空ポンプが、電子線集束光学系および電子源室の
内部空間を初期排気するための予備排気ポンプとして使
用されることになる。なお、上記の予備排気弁29およ
び連通弁28は、単に、開口32および開口33をオン
オフ的に開閉させるだけでなく、開いた状態での両弁の
開度を独立かつ任意に調節できるように構成しておき、
開口32および開口33を介しての排気コンダクタンス
を任意に調節できるようにしておくのがよい。このよう
に構成しておくことによって、電子線集束光学系の内部
空間および電子源室の内部空間についての予備排気の条
件を任意に変えてやることができる。上述のようにして
所要の初期排気が完了したら、次に、予備排気弁29を
閉じて、上下両方のイオンポンプを作動させることによ
り、電子源室および電子線集束光学系の内部空間の高真
空排気を行い、しばらくしてから、さらに連通弁28を
閉じることによって、こんどは電子源室の内部空間と電
子線集束光学系の内部空間とをそれぞれ独立のイオンポ
ンプによって排気する。このようにすることによって、
電子源1近傍の空間の真空度を10~8pa程度の超高真
空にまで高めてやることができる。
出すには、電子源1と引出し電極3との間に4〜6kV
の引出し電圧を印加する。すなわち、試料7に照射する
電子線2の最終加速電圧を例えば1kVとする場合に
は、電子源1の電界放射チップに−1kVを印加し、引
出し電極3に+3〜+5kVの電圧を印加すれば、丁度
4〜6kVの引出し電圧となり、所望の加速電圧で十分
な電流値の電子線2が得られる。第1レンズ電極4には
1kV〜3kV程度の正の電圧を印加し、第2レンズ電
極5にはそれよりもさらに高い5kV〜10kV程度の
正の電圧を印加することにより、引出し電極3,第1レ
ンズ電極4および第2レンズ電極5によって形成される
電界は静電集束レンズとして働き、引出し電極3によっ
て電子源1から引き出された電子線2を集束させてライ
ナーチューブ23内に入射させる。第2レンズ電極5と
第3レンズ電極30とは、ライナーチューブ23を介し
て同電位に接続されており、第3レンズ電極30と接地
電位にある最終電極6との間に形成される電界が静電対
物レンズとして働き、試料7上に照射される電子線2を
細く集束せしめる。ここで、上記した第3レンズ電極3
0と最終電極6との間に形成される電界がそこに入射し
てくる電子線に対して静電対物(集束)レンズとして働
くようにするためには、第3レンズ電極30に印加する
電圧を最終電極6の電圧に対して正側の電圧とする必要
がある。(逆に、正に帯電したイオン線の場合には、第
3レンズ電極30には、最終電極6の電圧に対して負側
の電圧を印加する。)このような電圧印加法を採ること
により、両電極30,6間に形成されるレンズ電界によ
って、電子線2を試料上に細く集束してやることができ
る。電子線の最終加速電圧は、半導体試料における電子
線照射による損傷や帯電などを考慮すれば、通常0.5
〜2kVである。電子源1から引き出された電子線は、
上述したとおり引出し電極3,第1レンズ電極4および
第2レンズ電極5によって形成されるレンズ電界によっ
て集束されると共に、第1レンズ電極4と第2レンズ電
極5との間に形成される電界による加速作用を受けて最
大エネルギーに加速された状態でライナーチューブ23
の内部空間内を走行する。そして、この電子線が最大エ
ネルギーに加速された状態にあるライナーチューブ23
の内部空間内において、電子線の走査のための偏向が行
われる。ライナーチューブ23の外側には、偏向コイル
8がアライメントコイル9およびスティグマコイル10
と一緒に重ね巻きして設けられており、該偏向コイル8
によって、集束電子ビームを試料表面上で二次元的に偏
向走査させる。
と最終電極6とによって形成される静電対物レンズを短
焦点距離でしかも収差の小さな状態で稼働させることが
できるため、走査形電子顕微鏡としての高分解能が得ら
れるのである。上記した静電レンズを用いた電子ビーム
集束光学系において、一例として、電子線の最終加速電
圧を1kVとし、最終電極6の下面から試料7表面まで
の距離(ワーキング距離)WDを2mmとした時、試料
表面上での電子ビームの照射スポット径(プローブ径)
として5〜6nmという値が得られており、低加速電圧
でも十分に高分解能が得られることが確認されている。
なお、この時の第3レンズ電極30と最終電極6との間
の距離は2mmとした。図5に、この時のワーキング距
離WDと得られるスポット径d(分解能)との関係を示
した。また、この時の電子源1からの放射電流は10μ
A、プローブ電流(試料上に照射される電子ビームの電
流値)は20pAであった。
出された二次電子11は二次電子検出器12によって検
出されるが、上述したように最終電極6は接地電位に置
かれているため、対物レンズを敢えて静電形の対物レン
ズとしたことによっても、二次電子の軌道が対物レンズ
の電界によって妨害されると云うような不都合を生じる
ことなく、効率良く二次電子を検出することができる。
採用することにより、鏡筒部全体の構造を著しく小形化
できる。具体的寸法例を示すと、電子線発生部の外径寸
法は34mmφ、イオンポンプおよび電子線を集束およ
び偏向させるための電子線集束光学系を内蔵した鏡筒部
の外径寸法でも約80mmφ、鏡筒部の全長(高さ)が
130mmという小形化が実現されており、鏡筒部全体
の重量も従来の鏡筒部構造のものに比べて1/100以
下に軽量化されている。
小形な鏡筒部構造が実現でき、しかも高い分解能が得ら
れることである。また電子源部の超高真空状態が容易に
実現できるため、安定に電子ビームを引出すことができ
る。さらにまた、鏡筒部内の電子ビーム通路がイオンポ
ンプを駆動するための磁場によって何ら磁気的に影響さ
れることがないようにシールドされ、かつ鏡筒部の外筒
である磁性材製ケーシングによって完全に磁気的にシー
ルドされる構造であるため、外部磁場の妨害に対して著
しく強化されることである。
してきたが、本発明はこれらの実施例に示された具体的
構成のみに限定されるものではなく、さらにいろいろな
変形応用が可能である。また以上の実施例では、本発明
を走査形電子顕微鏡について説明したが、本発明は、こ
の他にも、例えば電子線測長装置、オージエ電子分析装
置、電子線描画装置、電子ビームテスタなどの集束電子
線を用いる装置などに適用することが可能であり、さら
にイオン顕微鏡、集束イオンビーム装置、二次イオン質
量分析装置などの集束イオンビームを用いる装置にも、
単に印加電圧の極性を変えてやる程度の簡単な変更を施
すことにより、容易に適用することが可能である。
に、本発明によれば、超高真空を必要とする荷電粒子源
の内部空間を鏡筒部内に内蔵させたイオンポンプを用い
て高真空排気させる構成とし、特に上記イオンポンプを
動作させるための磁界を発生させるための磁界発生源と
して永久磁石を用い、該永久磁石を密封構造として真空
室内に内蔵させる構成としたことにより、荷電粒子源の
内部空間を排気するための排気系の構造を著しく小形化
することができ、かつ該イオンポンプを動作させるため
の磁界を導くための磁気回路を構成しているヨークの内
側に静電レンズからなる荷電粒子線集束光学系を配置す
る構成としたことによって、鏡筒部全体をも著しく小形
かつ軽量に構成することができる。さらに、荷電粒子線
集束光学系は、上記のイオンポンプ駆動用の磁界を形成
するための磁気回路を構成しているヨーク部材や磁性材
より成るケーシングによって二重に磁気シールドされて
いるので、外乱磁場に対しても十分に強化された荷電粒
子線装置が得られる。
略構成を示す縦断面図である。
ットユニットの一構成例を示す断面図である。
ークの一構成例を示す断面図である。
の概略構成を示す部分縦断面図である。
けるワーキング距離と分解能との関係を示す曲線図であ
る。
3:引出し電極, 4:第1レンズ電極,5:第
2レンズ電極, 6:最終電極,7:試
料, 8:偏向コイル,9:
アライメントコイル, 10:スティグマコイ
ル,11:2次電子, 12:2次
電子検出器,13:ケーシング, 1
4:ヨーク,15:マグネットユニット, 1
6:電極,17:高圧導入端子, 18:絶縁リン
グ,19:絶縁リング, 20:絶縁
筒,21:アライメント筒, 22:導入
端子,23:ライナーチューブ,24:軸調整ネジ,2
5:フランジ, 26:試料室,2
7:絶縁硝子, 28:連通弁,2
9:予備排気弁, 30:第3レンズ電極,3
1:仕切壁, 32:連通開口,
33:連通開口。
Claims (11)
- 【請求項1】荷電粒子線を放射させるための荷電粒子線
源と該荷電粒子線源からの荷電粒子線を試料面上に集束
させるための荷電粒子線集束光学系とを収容してなる鏡
筒部を有する荷電粒子線装置において、上記鏡筒部の内
部であって上記荷電粒子線集束光学系の外周に磁性体で
取り囲まれた環状空間を形成し、該環状空間内に上記荷
電粒子線源の内部空間を真空排気するためのイオンポン
プを内蔵させ、かつ、該イオンポンプを動作させるため
の永久磁石を上記環状空間内に配置することによって、
上記磁性体により上記荷電粒子線集束光学系および上記
荷電粒子線源を上記永久磁石から磁気的にシールドして
なることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 【請求項2】上記永久磁石は、上記鏡筒部の軸方向に平
行な方向に向かって磁化されているリング状の永久磁石
であって、上記イオンポンプは、該リング状永久磁石
と、該リング状永久磁石を挾んで上記鏡筒部の軸方向両
側に配置された一対のリング状電極と、上記リング状永
久磁石および上記リング状電極の周りを取り囲んで配置
されており上記永久磁石からの磁力線を導いて上記リン
グ状永久磁石と上記リング状電極との間の空間に磁界を
形成させるための上記磁性体からなる磁気回路とから成
っていることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子線
装置。 - 【請求項3】上記リング状永久磁石が、非磁性導電性材
料によって密封被覆されていることを特徴とする請求項
2に記載の荷電粒子線装置。 - 【請求項4】上記イオンポンプは、上記一対のリング状
電極を陰極とし、上記リング状永久磁石を陽極として、
これら陰陽極間に高電圧を印加することによって動作せ
しめられるものであることを特徴とする請求項2または
3に記載の荷電粒子線装置。 - 【請求項5】上記磁性体からなる磁気回路は、上記リン
グ状永久磁石の内周側にあって上記荷電粒子線集束光学
系の外周を取り囲むように形成された円筒状ヨーク部分
と、上記リング状電極の上記鏡筒部の軸方向の両外側に
あって上記円筒状ヨーク部分から横方向外側に向かって
伸びるように形成されたリング状ヨーク部分とを有して
なることを特徴とする請求項2に記載の荷電粒子線装
置。 - 【請求項6】上記鏡筒部の内部空間を予備排気するため
に、上記鏡筒部と予備排気系との間に上記鏡筒部の内部
空間を上記予備排気系に連通させるための連通開口を設
け、かつ、該連通開口を介しての排気コンダクタンスを
可変にするための手段を付設してなることを特徴とする
請求項1から5のいずれかに記載の荷電粒子線装置。 - 【請求項7】上記鏡筒部の内部であって上記荷電粒子線
集束光学系の外周に形成された環状空間内に上記荷電粒
子線集束光学系の内部空間を真空排気するための上記イ
オンポンプとは別のイオンポンプがさらに内蔵されてい
ることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子線装置。 - 【請求項8】上記荷電粒子線源の内部空間を真空排気す
るためのイオンポンプと上記の荷電粒子線集束光学系の
内部空間を真空排気するための上記イオンポンプとは別
のイオンポンプとの間の排気コンダクタンスを可変なら
しめる手段がさらに付設されてなることを特徴とする請
求項7に記載の荷電粒子線装置。 - 【請求項9】上記荷電粒子線集束光学系は、上記荷電粒
子線源からの荷電粒子線を最終的に試料上に集束させる
ための静電形の対物レンズを具備しており、該静電形対
物レンズは、互いに対向させて配置された二つのレンズ
電極、即ち、上記荷電粒子源に近い側にある第一電極と
上記試料に近い側にある第二電極とを有しており、上記
荷電粒子線が負に帯電した粒子線である場合には、上記
第一電極の電位が上記第二電極の電位に対して正極性側
の電位に保たれてなり、上記荷電粒子線が正に帯電した
粒子線である場合には、上記第一電極の電位が上記第二
電極の電位に対して負極性側の電位に保たれてなること
を特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の荷電粒
子線装置。 - 【請求項10】上記荷電粒子線集束光学系は、上記試料
に照射される荷電粒子線を上記試料面上で二次元的に走
査するための偏向手段をさらに具備しており、該偏向手
段は、上記荷電粒子線集束光学系の内部にあって上記第
二電極の電位に対して上記第一電極の電位と同極性側の
電位に保たれている空間内において、上記荷電粒子線を
偏向走査せしめるごとく構成されてなることを特徴とす
る請求項9に記載の荷電粒子線装置。 - 【請求項11】上記荷電粒子線源は、電界放射形の電子
線源であることを特徴とする請求項1から10のいずれ
かに記載の荷電粒子線装置。
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