JP2731887B2 - ゴルフボール成型金型 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はゴルフボール成型金型に
関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ゴルフボールを成型するインジ
ェクション及びプレス金型等においては、ホールドピ
ン、ベントピン、エジェクターピン等が使用される。

【０００３】例えば、図４に示すように、金型ａに、そ
の軸心方向往復動可能にピンｂ（ホールドピン）を付設
していた。

【０００４】そして、ピンｂの位置を、配列構造上から
製品のディンプル位置に合わせ、この頭部ｃにてディン
プルを形成するようにすることが多く、そのため、ピン
ｂの頭部ｃ（先端）を、放電加工又は彫刻等により、図
５の（イ）に示すように、アール状に形成されていた。

【０００５】ところが、頭部ｃの表面は、図５の（ロ）
に示すように、キャビティ中心から見て楕円形となって
いた。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】ピンｂの頭部ｃの表面
が、キャビティ中心から見て楕円形であれば、この頭部
ｃにて形成されるディンプルの底面は、他のディンプル
と相違して、凹球面とならず、完成したゴルフボールは
その外観及び飛行性能が悪いものとなる。

【０００７】そこで、本発明では、全てのディンプルの
外観形状及び飛行性能を損なうことなくゴルフボールを
成型することができるゴルフボール成型金型を提供する
ことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係るゴルフボール成型金型は、キャビテ
ィ内にその頭部が突出するピンを備えたゴルフボール成
型金型に於て、上記ピンの軸心が上記キャビティ中心か
ら外れた位置であって、かつ、上記ピンをボールシーム
面と直交する方向に配設すると共に、その軸心方向に往
復動可能とし、さらに、上記ピンの頭部の表面を、キャ
ビティ中心から見て円形の凸球面としたものである。

【０００９】

【作用】ピンをボールシーム面と直交する方向に配設す
ると共に、その軸心方向に往復動可能としているので、
上記ピンを変更するのみで従来の金型をそのまま使用す
ることができる。また、ピンの頭部の表面が、キャビテ
ィ中心から見て円形の凸球面であるので、この頭部にて
形成されるディンプルは、その底面が凹球面となり、他
のキャビティと同様の外観形状を呈することができる。

【００１０】

【実施例】以下、実施例を示す図面に基づいて本発明を
詳説する。

【００１１】図３は本発明に係るゴルフボール成型金型
を示し、この金型は、下型１と図示省略の上型とを備
え、上型と下型１とが重ね合わされてキャビティ４が形
成される。そして、下型１にピン２（ホールドピン）が
付設される。

【００１２】このピン２は、ボールシーム面と直交する
方向に沿って配設され、その軸心方向に往復動可能とさ
れている。

【００１３】また、ピン２の頭部３は、キャビティ４内
に突出し、ボール成型時において、一つのディンプルを
形成する。

【００１４】しかして、ピン２は、図１に示すように、
先端面５がキャビティ４の底面と略同一曲率半径の曲面
とされた棒状の本体６と、この先端面５に連設される頭
部３と、からなる。

【００１５】この頭部３の表面３ａは、キャビティ中心
から見て、つまり、Ａ矢視において、図２に示すように
円形の凸球面となる。

【００１６】また、図１と図２に於て、本体６の先端面
５の上半円弧部５ａと、このピン２が挿入される孔部８
の外周縁８ａとの間に段差が生ずることがある。図２で
は点々…をもって示す。（あるいは、下半円弧部５ｂ側
に段差を生ずることがある。）

【００１７】この段差を図１に於て、本体６の軸心方向
に測定した寸法をＴとすると、この微小隙間寸法Ｔとし
ては、上半円弧部５ａ及び下半円弧部５ｂの両方共に０
とすることが好ましいが、製造上困難なので、外観上問
題がない0.02mm以下の範囲に設定する。なお、微小隙間
寸法Ｔがマイナス値をとる場合、即ち、上半又は下半円
弧部５ａ，５ｂが孔部８の外周縁８ａから突出する場合
では、成型されるゴルフボール13（図３参照）に凹所が
形成され好ましくない。

【００１８】次に、上述の如く構成された金型の使用方
法を説明する。

【００１９】図３の仮想線で示すように、ホールドピン
としてのピン２を、図示省略の往復動機構にて矢印Ｂの
如くキャビティ４内に突出させ、このピン２にてボール
コア９をキャビティ４内に保持する。

【００２０】この状態で樹脂をキャビティ４内に供給し
て、コア９を外被層10にて被覆すると共に、ピン２を矢
印Ｃの如く引っ込めて実線で示すように頭部３のみがキ
ャビティ４内に突出する状態とする。

【００２１】従って、このピン２の頭部３にて、ディン
プル11が形成される。この頭部３にて形成されるディン
プル11は、キャビティ４内面に設けられディンプル形成
用突隆部12…にて形成されるディンプル11…と同一寸法
形状となり、成型されるゴルフボール13は、その全ての
ディンプル11…の外観形状が美しく仕上る。

【００２２】なお、本発明は上述の実施例に限定され
ず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更自由であ
り、例えば、ピン２としては、ホールドピンに限らず、
ベントピン、エジェクターピン等であってもよく、ま
た、ピン２の数としても自由に増減することができる。
金型として、インジェクション金型であってもプレス金
型であってもよい。

【００２３】ところで、ピン２をキャビティ４の径方向
に沿って配設し、その頭部を半球状とすれば、頭部の表
面がキャビティ中心から見て円形の凸球面となり、ディ
ンプル11の外観性能が向上するが、ピン２を径方向に沿
って往復動させなければならず、構造が複雑となって製
造しにくく、また、従来の金型を改良するとしても大幅
な加工を必要として好ましくない。

【００２４】これに対して、本願発明では、ピンのみを
変更すればよく、従来の金型をそのまま使用することが
できる。

【００２５】

【発明の効果】本発明は上述の如く構成されているの
で、次に記載する効果を奏する。

【００２６】形成されるべきディンプル11の外観形状が
損なうことなく、ゴルフボールを成型することができ
る。

【００２７】ピン２を変更するのみで従来の金型をその
まま使用することができ、簡単かつ安価にこの金型を製
造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す要部拡大断面図であ
る。

【図２】図１におけるＡ矢視図である。

【図３】成型状態を示す断面図である。

【図４】従来の金型を示す断面図である。

【図５】従来のピンの説明図である。

【符号の説明】

２ ピン ３ 頭部 ３ａ 表面 ４ キャビティ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 キャビティ４内にその頭部３が突出する
   ピン２を備えたゴルフボール成型金型に於て、上記ピン
   ２の軸心が上記キャビティ４中心から外れた位置であっ
   て、かつ、上記ピン２をボールシーム面と直交する方向
   に配設すると共に、その軸心方向に往復動可能とし、さ
   らに、上記ピン２の頭部３の表面３ａを、キャビティ中
   心から見て円形の凸球面としたことを特徴とするゴルフ
   ボール成型金型。