JP2728973B2 - ぬれ性・耐酸化性の優れたNi基耐熱ロウ材 - Google Patents
ぬれ性・耐酸化性の優れたNi基耐熱ロウ材Info
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Description
化性の良好なステンレス鋼や超合金などをロウ付する際
に使用するロウ材で、特にぬれ性と耐酸化性に優れたNi
基耐熱ロウ材に関するものである。
のロウ付に使用されてきた。JIS規格(JIS.Z.3265)に
代表されるように融点降下元素としてB,Si,Pなどを含有
し、高温強度に優れ、耐酸化性、耐食性にも優れてい
る。そのため、高温に使用される熱交換器やガスタービ
ン、航空機部品、原子炉機器などを製作するときのロウ
付にNi基耐熱ロウ材は広く使われている。
元素として貴重なものであるが、一方、ロウ付された部
品の使用環境によっては、それら元素がロウ付継手部の
高温強度の低下を招いたり耐酸化性を劣化させることが
ある。例えば、Alを含有して表面に緻密な酸化皮膜を形
成することにより耐酸化性の優れたステンレス鋼や超合
金を、Bを含有するNiロウ材(BNi−1,1A,2,3,4)でロ
ウ付するとロウのぬれ性は良好であるがそのロウ付部
は、B化合物を形成してロウ付部の耐酸化性は著しく低
下する。したがって、酸化性の厳しい雰囲気に曝される
場所にはB入りNiロウ材を使用することは適切ではな
い。また。Siを含有するNiロウ材(BNi−5)は、固相
線温度が約1080℃と高く高温での継手強度の観点からす
れば良好なロウ材ではあるが、表面にAlの酸化皮膜など
を形成してぬれ性の悪いような材料に対するロウ材とし
ては、ぬれ性に不十分な点がある。Pを含有するNiロウ
材(BNi−6,7)は、固相線温度が約875℃〜890℃と低く
ロウ付温度を低く設定できる利点はあるが、継手部の高
温強度に難点がある。
かも耐酸化性雰囲気で使用されるAlなどを含有するステ
ンレス鋼や超合金のロウ付に対応することはできない。
し、それにAl,Fe,Coをそれぞれ組み合わせて添加した耐
熱ロウが開示されている。
皮膜を形成しロウ材のぬれ性の良くないステンレス鋼や
超合金のロウ付に対して、ぬれ性も良好でしかも耐酸化
性もよく高温強度の高いロウ付継手を形成できるNi基耐
熱ロウ材を提供することにある。
酸化性を損なわずしかも高温強度も低下しなくてぬれ性
が良好になるロウ材成分を見つけるためにNi−Cr−Si系
を基本成分として研究を進めてきた。それは、BNi−5
ロウ材のぬれ性を改善することにより課題を解決できる
と考えたからである。その結果、Ni−Cr−Si合金にZr,T
i,REMを適当な量だけ添加すると表面にAl酸化物を形成
するような材料であっても本発明による合金は良好なぬ
れ性を発揮することが明らかになった。また、Zr,Ti,RE
Mの添加は耐酸化性も向上し高温強度も低下せずぬれ性
が向上することを見出した。その知見に基づき、以下の
ような本発明がなされた。
は両方を0.3〜5%、および/またはREMを0.01〜0.3%
含み、15〜23%のCr,8〜12%のSiを含有し、残部が実質
Niからなることを特徴とするぬれ性と耐酸化性に優れた
Ni基耐熱ロウ材である。
れるBNi−5を基本としているが、ぬれ性、耐酸化性、
高温強度、じん性とZr,Ti,REMの添加による高温特性の
変化からそれら成分範囲は多少変化している。以下の%
表示に付いては重量%を示すものである。
加するが、Al含有ステンレス鋼並のCrを添加することに
より母材と同等の耐酸化性を維持する。15%未満では高
温耐酸化性を期待することはできず、また23%を越えて
添加するとロウ付部の延性が低下し、じん性が劣化す
る。このため、Crの添加範囲を15〜23%とした。
り、ロウ付性を維持するために必要な元素である。8%
未満では融点降下度が不十分でロウ付性が悪くなり、一
方、12%を越えると、ロウ付部も劣化し脆くなりロウ流
れ性も悪くなる。以上のことより、Siの含有量を8〜12
%とした。
めに添加するものであり、同時にロウ付部の耐酸化性も
向上させる。0.3%未満では、際だってロウ材のぬれ性
を向上させるところまで行かない。また、5%を越える
とロウ付部の劣化が著しくなり脆くなる。したがって、
Zr,Tiの添加範囲は、0.3〜5%がロウ材としての適正範
囲である。また、ZrとTiの両方を同時に添加するとき
も、その添加範囲は、0.3〜5%がロウ材としての適正
範囲である。
加するものであり、同時にロウ付部の耐酸化性も向上さ
せる。0.01未満では、際だってロウ材のぬれ性を向上さ
せるところまで行かない。また、0.3%を越えるとロウ
付部の劣化が著しくなり脆くなる。したがって、REMの
添加範囲は、0.01〜0.3%がロウ材としての適正範囲で
ある。
付する場合でもロウ材が溶融する前にステンレス鋼表面
に薄いAlの酸化皮膜が生成する。この酸化皮膜は、ロウ
材のぬれ性を阻害し、ロウの流れ性を悪くする。したが
って、ロウのぬれ性を向上させるためには、Alの酸化皮
膜を破壊してぬれ性を阻害する要因を除去することが必
要である。Zr,Ti,REMは、いずれも活性金属と呼ばれて
反応性の高い元素である。Ni−Cr−Si合金にZr,Ti,REM
を添加するとその合金が溶融したときに溶融合金中のZ
r,Ti,REMと母材表面皮膜のAl酸化物が反応しAl酸化皮膜
が壊される、そのことによりZr,Ti,REMを含有する合金
のぬれ性は向上し、母材とよくぬれて良好なロウ付が成
し遂げられる。Zr,Ti,REMの添加がNi−Cr−Si合金のぬ
れ性を向上させるのに有効な理由は以上のように推測し
ている。また、Zr,Ti,REMはそれ自身においても耐酸化
性に有効であり、ロウ付部の耐酸化性を向上させるのに
役立つ。
結果を表1に示す。合金No.A1〜A12までは、本発明に基
ずく合金成分であり、Zr,Ti,REMの含有量を変化させて
いる。B1〜B6までは、本発明に対する比較例である。比
較例のB1は、市販のNi基ロウ材のBNi−5である。それ
ぞれの合金は、ロウ付可能なようにガスアトマイズ法に
より粉末状に形成された。拡がり性実験は、以下の要領
で執り行われた。まず、5%Alを含む20%Crフェライト
系ステンレス鋼を母材として、第1図(a)に示すよう
に母材上に約100μmの直径を有する合金粉末を乗せて
ロウ付熱処理を行う。ロウ付熱処理後、第1図(b)に
示すように合金粉末が溶けて流れて広がった面積Sを計
測しその面積Sをロウ付前の球状合金粉末の投影面積S0
で割った数値W(=S/s0)を拡がり係数と呼び、その合
金粉末の今回使用した母材に対するぬれ性の指標とし
た。ロウ付熱処理は、1180℃で15分間、10-5torr台の真
空中で行われた。
金、比較例B1(BNi−5)に比べて拡がりり係数が大き
くなっており、ぬれ性が改善されていることがわかる。
比較例B2に示すZrが0.2%の含有では、拡がり性に目だ
った効果がない。0.3%以上になると拡がり性は格段に
改善される。しかし、5%を越えて6%(比較例B3)に
なると拡がり性はそれ以上向上しないが、ロウ付部が脆
くなる。実施例からみるとZr,Tiの拡がり性およびロウ
付部の特性に良好な影響を及ぼす範囲は0.3%〜5%で
ある。また、ZrとTiの同時添加の場合も比較例B4に示す
ように両方の合計が5%を越えると拡がり性はそれ以上
良くならず、ロウ付部が脆くなるので適正範囲は、0.3
〜5%である。
0.01〜0.3%含有の範囲で良好なぬれ性を示している。
比較例B5の0.005%の含有では目だった効果はなく、比
較例B6の0.4%の含有では拡がり性はもうそれ以上向上
しないがロウ付部が脆くなる。以上のことから。REMの
拡がり性およびロウ付部の特性に良好な影響を及ぼす範
囲は0.01%〜0.3%である。
上で溶融させて1100℃で200時間大気中で加熱したとこ
ろ、比較例のBNi−5ロウ材と比べて異常酸化の発生は
なく耐酸化性も向上していることがわかった。
i−Cr−Si系合金は、従来までのBNi−5ロウ材に比べて
ぬれ性が著しく改善される。特に、Alを含有するような
ステンレス鋼や超合金に対して従来までのNi基耐熱ロウ
材では、母材表面のAl酸化物皮膜の形成によりぬれ性が
阻害されていたが、本発明のZr,Ti,REMを含有するNi基
耐熱ロウ材を使えば、ぬれ性が改善され十分に有効なロ
ウ付が可能である。また、ロウ付部にZr,Ti,REMが含有
されているとそれ自身が耐酸化性に有効な働きがあり、
高温酸化性雰囲気で使用されるロウ材としても適してい
る。
ために使用した模式図である。 図において、1は母材、2はロウ付熱処理前の球状合金
粉末、3はロウ付熱処理後の溶けて流れて広がった合金
である。S0は球状合金粉末の投影面積、Sはロウ付熱処
理後の合金の拡がり面積である。
Claims (3)
- 【請求項1】重量%において、Zr単独又はZrとTiの合計
で0.3〜5%含有し、そのほか15〜23%のCr、8〜12%
のSiを含んで、残部が実質Niからなることを特徴とする
ぬれ性・耐酸化性に優れたNi基耐熱ロウ材。 - 【請求項2】重量%において、REMを0.01〜0.3%含有
し、そのほか15〜23%のCr、8〜12%のSiを含んで、残
部が実質Niからなることを特徴とするぬれ性・耐酸化性
に優れたNi基耐熱ロウ材。 - 【請求項3】重量%において、Zr,Tiの一方ないしは両
方の合計で0.3〜5%とREMを0.01〜0.3%含有し、その
ほか15〜23%のCr、8〜12%のSiを含んで、残部が実質
Niからなることを特徴とするぬれ性・耐酸化性に優れた
Ni基耐熱ロウ材。
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