JP2727597B2 - 加工性、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

加工性、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法

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JP2727597B2 JP27043488A JP27043488A JP2727597B2 JP 2727597 B2 JP2727597 B2 JP 2727597B2 JP 27043488 A JP27043488 A JP 27043488A JP 27043488 A JP27043488 A JP 27043488A JP 2727597 B2 JP2727597 B2 JP 2727597B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、自動車や家電機器或は建材等に使用され
るFe−Zn合金めっき鋼板に関するものである。
[従来技術] 亜鉛めっき鋼板は安価で耐食性や強度に優れた材料と
して広く使われており、なかでも自動車の内外板には耐
食性に加えて、加工性や塗装性を考慮したものが多量に
使われている。亜鉛めっき鋼板の量産法として一般には
電気めっき法と溶融めっき法とがあるが、電気めっき法
では、低温で処理するので熱影響による相変化が無くめ
っき皮膜の成分コントロールも容易であるが、めっき付
着量を多くするには処理時間を増さねばならない。これ
に対して、溶融めっき法では処理時間を増すことなく簡
単に付着量を増すことが出来、めっき後熱処理を施すこ
とにより容易にFe−Zn合金を作ることが出来る。しか
し、めっき皮膜組成と生成される相のコントロールに工
夫を要する。近年自動車用の鋼板では、塩害への対処等
もあってより高度の耐食性が要求され、これに呼応し
て、付着量が容易に確保出来、且つ経済的な溶融亜鉛め
っきを主体に、めっき組成や相コントロールを上手に行
い、高い耐食性を確保しながらその上で加工性や塗装性
を合わせ持っためっき鋼板が求められている。
加工性で最も問題になるのが耐パウダリング性であ
り、塗装性で問題になるのが耐クレータリング性であ
る。パウダリングとは、プレス成形の際にめっき皮膜が
粉状になって脱落する現象であり、クレータリングと
は、めっき皮膜に化成処理を施した後行う電着塗装処理
において塗膜に目視できる凹凸(クレータ)が発生する
現象である。
前者はめっき皮膜中に、鉄含有率の高いΓ相(Fe3Zn
10,Fe20〜28wt%)が生成され、これが硬くて脆いため
に起こり、後者はめっき皮膜表面の不均一さ(表面形
状、酸化膜、めっき皮膜相構造等)に起因して発生す
る。
従来、自動車用に使用されている合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板は、溶融めっき後全めっき皮膜平均の鉄含有率が
10wt%前後に達するまで合金化処理を施し、めっき表面
までFeを拡散させて耐食性、特に塗装後耐食性を向上さ
せたものである。即ち、鋼板に連続的に前処理(熱処理
を含む)を施して素材を調整した後、亜鉛を溶融しため
っき浴に浸漬してめっきし、後続してこのめっき鋼板を
合金化炉内で500℃から700℃の温度に急速に昇温させ短
時間(10〜30秒)保持して、めっき皮膜の鉄含有率を10
%前後に合金化させたものである。しかし、このように
して作られる合金化溶融亜鉛めっき鋼板は急速な昇温に
よって高温に加熱されるので、めっき皮膜中の鉄含有量
が場所により異なりがちで、めっき皮膜の面方向及び深
さ方向共に合金化が不均一になること、これに加えてめ
っき皮膜内での鉄濃度勾配が大きくなり、表層の鉄含有
量を確保するための鋼素地との界面の鉄含有率が高まり
Γ相の生成が避けられないこと、更に高温処理と急速冷
却によりめっき皮膜に熱応力が発生すること等の問題を
抱えている。
一方、合金化処理を一次二次の二工程に分けて処理す
る方法が提案されている。例えば、特公昭59−14541号
では、一次加熱において、めっき皮膜の平滑性を得るた
めにZnめっき皮膜を再溶融させる急速昇温高温加熱を行
う。この加熱では鉄含有率を2.2〜5.5wt%の低い範囲に
留まるので、この一次加熱の結果に応じて、二次加熱を
亜鉛の融点以下の低温で時間をかけて行い、鉄含有率を
6〜13wt%の範囲に納めるものである。そしてこの方法
によって、表面が平滑で外観が優れ、且つ加工の際に剥
離やパウダリングのない合金化溶融亜鉛めっき皮膜が得
られることを開示している。
他方、めっき皮膜表層のみの鉄含有率を高めて耐クレ
ータリング性を改善したものも提案されている。例え
ば、特公昭58−15554号の提案は、耐食性金属層を内層
とし、その上に鉄含有率の高いFe−Zn合金被覆層を付し
てカチオン電着塗装性を向上させためっき鋼板である。
この提案では、内層である前記耐食性金属層として溶融
亜鉛めっき後に熱処理によりFe−Zn合金化した合金化溶
融亜鉛めっき層が開示されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上述した特公昭59−14541号では、耐
クレータリング性を満足するものではない。耐クレータ
リング性に関しては、表面の鉄含有率は不十分であり、
又、耐パウダリング性に関しても、溶融亜鉛めっき後急
速昇温高温加熱によって合金化処理を行うので合金化反
応が不均一に進むことが避けられず、その結果、加工性
に劣るΓ層が成長してしまう。又、場合によっては、合
金化されない部分と合金化の進んだ部分とが混在してい
わゆる焼けむらの現象を呈したりする。このように、一
次加熱が不均一になり易いので、一次加熱の結果を基に
した二次加熱条件が極めて複雑になり実操業ではその実
施に大きな困難を伴う。
特公昭58−15554号では、めっき表面の鉄濃度を飛躍
的に高めたので、耐クレータリング性は改善されるが、
溶融亜鉛めっき後の熱処理によって合金化を完結させて
いるので、特公昭59−14541号と同様に合金化の不均一
さの問題があり、加えてめっき皮膜内での鉄濃度勾配が
大きくなり、鉄濃度の高くなる鋼素地との界面ではΓ相
が成長してしまう。又、急熱急冷による熱応力も耐パウ
ダリング性にとっては好ましくない。
このように、耐パウダリング性、耐クレータリング性
を満たすべく工夫がなされてきたが、未だ両特性を共に
満足させる溶融亜鉛めっき鋼板は得られていない。
この問題を解決するために、この発明はなされたもの
で、耐食性に加えて耐パウダリング性と耐クレータリン
グ性とを共に満たすめっき鋼板とその製造法を提供する
ことを目的とするものである。
[課題を解決するための手段及び作用] この目的を達成するための手段は、鋼板の少なくとも
片面に、溶融亜鉛めっきによる第一層とその上のFeが9
7.0wt%以上100wt%未満で残りが硼素であるFe−Bめっ
きによる第二層とを熱処理して形成しためっき皮膜を有
し、該めっき皮膜は、表層が前記第二層のFe含有率であ
るFe−B合金めっきで内層が厚さ0.5μmの鋼素地との
境界層を除いてδ相とζ相からなる合金化亜鉛めっき
であって、面方向に鉄含有率が均一に分布している加工
性、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。
上記合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法として
は、次のものがある。
一つの方法は、 (イ)通常の前処理を施した鋼板をAl0.05wt%以上0.3w
t%以下且つPb0.2wt%以下を含有する溶融亜鉛めっき浴
に浸漬して30g/m2以上90g/m2以下の第一層のめっきを施
す工程、 (ロ)めっき皮膜が溶融状態であるうちにスパングルの
微細化処理を施す工程、 (ハ)めっき皮膜が固化した後スキンパス処理を行い、
溶融亜鉛めっき皮膜の表面を平滑化する工程、 (ニ)この溶融亜鉛めっき鋼板の片面又は両面に0.5g/m
2以上10g/m2以下のFeが97.0wt%以上100wt%未満、Bが
0.001wt%以上3wt%未満の第二層のFe−B合金めっきを
施す工程、 (ホ)前記工程でめっきを施した鋼板を非酸化性又は還
元性雰囲気に維持したバッチ式焼鈍炉内でオープンコイ
ルの状態で320℃以上亜鉛の融点以下の温度範囲で10分
から50時間加熱する工程を含む方法である。
他の方法は、 前記(イ)の溶融亜鉛めっき工程の後、めっき皮膜が
溶融状態であるうちに鋼板の片面又は両面にFeが97.0wt
%以上100wt%未満、Bが0.001wt%以上3wt%未満のFe
−B合金パウダーを吹き付けて0.5g/m2以上10g/m2以下
の第二層のめっきを施す工程を含み,その後前記
(ハ),(ニ),(ホ)の工程を含む方法である。
以上の手段について、以下にその作用も含め、詳しく
述べる。
先ず、めっき用の鋼板は冷延鋼板でも熱延鋼板でもよ
く、通常の前処理として表面調整とともに焼鈍処理を施
してもよい。
めっき皮膜表層の鉄含有率を97wt%以上とすると、電
着塗装時のクレータ発生が防止される。即ち、合金化溶
融亜鉛めっき鋼板は、めっき面に燐酸塩処理を施した後
カチオン電着塗装が施されるが、この化成処理によって
生成される燐酸塩結晶に、Feを含むホスホフィライト
[Zn2Fe(PO4・4H2O]と称する粒状で緻密な結晶
と、Feを含まないホパイト[Zn3(PO4・4H2O]と称
する粗大な針状結晶とがある。
クレータ発生原因の一つに化成処理皮膜欠陥部への局
所的な電流集中が考えられるが、ホスホフィライトで形
成さる皮膜はホパイトのそれより緻密で欠陥部が少な
い。したがって、ホスホフィライトが生成し易いように
めっき面上で十分なFeを供給してやれば、クレータは生
じにくくなる。また、めっき皮膜表層に硼素が含まれて
いると、化成処理時のFeの溶解が促進され、前記ホスホ
フィライトの生成がしやすくなる。この際、めっき皮膜
中のB含有量が0.001wt%未満ではFeの溶解を促進する
作用を発揮するに至らず、3wt%を超えるとその溶解促
進効果は飽和する。この発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼
板のめっき皮膜表層は鉄含有率がFe97.0wt%以上100wt
%未満、B含有率が0.001wt%以上3wt%であるので、Fe
の供給が順調に行われ、緻密で均一な化成処理皮膜が形
成される。このため、クレータの発生は著しく減少す
る。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合、めっき付着量と皮
膜中の鉄含有率によって耐食性の殆どが決定される。し
たがって、内層においても合金化されている必要がある
が、表層のように高い鉄含有率は必要でなく、5wt%か
ら20wt%程度で充分である。また、この内層の加工特性
は極めて重要である。Γ相は内層と鋼素地との境界に生
成するが、このΓ相が検出されないめっき皮膜は耐パウ
ダリグ性が良好である。そしてΓ相が0.5μm以上の厚
さに成長していないと検出することは困難である。この
発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき皮膜の大半を
占める内層は、厚さ0.5μmの鋼素地との境界層を除い
て、硬くて脆いΓ相を含まずδ相とζ相とからなって
おり、加工に際して、欠陥部がなく、パウダリングを非
常に起こしにくい。また、鉄含有率の分布が面方向に均
一であることも加工性向上に非常によい影響をもたらし
ている。そして、内層と鋼素地との境界が相互に熱拡散
されて一体構造に形成されており、熱拡散されて一体構
造となっためっき皮膜は鉄濃度が連続して変化した状態
となっている。このような内層の構造によって、めっき
皮膜は機械的性質や電気化学的性質が隣接した部分で極
端に異なることが無く、加工性及び耐食性において優れ
たものとなる。
この発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は用途によって
は耐食性、加工性、塗装性、外観、平滑性等を同時に両
面に要求されないこともあり、このような場合、他面に
はめっき皮膜がなくても或は他のめっき皮膜を付しても
よい。
以下に、この発明による合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法について述べる。
溶融亜鉛めっき浴には通常、Fe−Zn合金反応の抑制や
めっき面の平滑化等のためAlが0.2%前後添加されてお
り、スパングル調整のためPbが含まれている。このうち
Alは合金化抑制効果を持つので、0.05wt%以上添加し、
溶融亜鉛めっき浴浸漬後のFe−Zn合金が部分的且つ不均
一に生成することを防ぐ。この工程で不均一にFe−Zn合
金を生成させないことは重要なことであり、一旦不均一
化すると後の工程で修正することが出来ない。Alの添加
量が多過ぎて0.3wt%を超えると合金化の抑制効果が過
剰となり、後の合金化処理に時間が掛かり過ぎ工業的に
は不適切になる。Pbは合金化反応には直接関与しない
が、多量のPbは耐パウダリング性を低下させるので、0.
2wt%以下に制限しなければならない。
第一層は30g/m2から90g/m2の付着量が高耐食化のため
に適当である。
なお、90g/m2を超えた場合には過剰品質となるばかり
か、後の工程の低温で行う合金化処理において長時間を
要し生産性を低下させる。又、一般にめっき皮膜が厚く
なると加工時に皮膜の破壊や剥離が起こることがあり、
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合ではパウダリングが起
こり易くなる。
この第一層の溶融亜鉛めっき皮膜が溶融状態であるう
ちにスパングルを微細化し、更にめっき皮膜が固化した
後スキンパス処理を行うことによって平滑なめっき面が
得られ、この後に施す第二層のFe−Bめっきの被覆率が
向上する。その結果、耐クレータリング性を効率的に向
上させることができると共に、塗装後の鮮映性を向上さ
せることもできる。スキンパスは伸長率0.3%以上で行
うとめっき面は平滑となるが、伸長率が大き過ぎて5%
を超えると、一般的薄板用鋼板では加工性に影響するお
それがある。
第二層の鉄含有率97wt%以上のFe−B合金めっきは、
耐クレータリング性を確保すると共に、この後の加熱処
理において、先に施した第一層の溶融亜鉛めっき層へ鋼
素地とは反対面からFeを拡散させその結果めっき皮膜内
層部の鉄濃度勾配を小さく押さえることになる。上記合
金めっきの処理方法は、亜鉛の融点より高い温度で処理
する方法でなければ、電気めっき、蒸着めっき、溶射等
どのような方法でもよい。この合金めっき処理を合金パ
ウダー吹き付けで行うときは、先の溶融亜鉛めっき層が
溶融状態のうちに行うとスパングルの微細化も同時に行
われ、工程を一つ省くことが出来る。
第二層は付着量が0.5g/m2から10g/m2であることが必
要である。0.5g/m2未満ではめっき面全体にわたって十
分にFeを供給することが出来ない。また10g/m2を超えて
付着した場合にはその効果が飽和し、コスト的に不利に
なるばかりでなく、塗装後耐食性においても赤錆が発生
し易くなる。
上記した二度のめっき工程を経ためっき鋼板を加熱処
理するが、これは第一層の亜鉛をFe合金化することによ
って塗装後の高耐食性を実現するものであって、この加
熱処理によって形成される内層の鉄含有率は表層のよう
に高くする必要はなく5wt%〜20wt%の範囲で良好な塗
装後耐食性が得られる。
非酸化性又は還元性雰囲気で行うのは表面の酸化を防
ぎ,塗装前の化成処理において化成皮膜結晶が不均一に
なることを避けるためであり、バッチ式焼鈍炉内で行う
のは低温で時間を掛けて処理するからである。オープン
コイルの状態で加熱するのは、均一に加熱することによ
って合金化にむらが生ずることを防止すると同時にめっ
き面同士が付着して欠陥が発生することを防ぐためであ
る。タイトコイルの状態では、温度分布が不均一とな
り、部分的に合金化速度の大きい部分と小さい部分とが
できてしまう。特に、鋼板長手方向にこの不均一が生
じ、高品質製品は得られ難い。加熱は低温で行うが、32
0℃以上の温度は必要である。320℃未満では塗装後耐食
性を確保するに足る合金化度を得るのに時間が掛かり過
ぎる。温度を亜鉛の融点(419.5℃)よりも高くする
と、合金化が急速に進む箇所が現れ又Γ相の生成も無視
できなくなる。更にオープンコイルの鋼板間に挿入する
スペーサーがめっき面に痕跡を残すおそれも出てくる。
第1図は上記の温度範囲で、パウダリングとクレータの
両者が共に発生しない条件を調べたもので、横軸は加熱
時間縦軸は加熱温度である。図で、点a,b,c,dを結ぶ線
で囲まれた範囲が、パウダリング及びクレータを発生さ
せない実操業上好ましい条件範囲で、加熱時間について
は、a点の時間座標からc点の時間座標まで、即ち10分
以上50時間以下となる。以上の加熱条件で熱処理を行う
と、Feは鋼素地側からと第二層のめっき側とから拡散す
るので、鋼素地側に大きなFe濃度勾配が出来ずに適正な
合金化が達成される。このため、Γ相は実質的に生成せ
ずδとζ相とのみからなるめっき皮膜が得られる。そ
して、このめっき皮膜は、急速な高温加熱を避けている
ので、面に沿っても均一となる。又、鉄含有率も5wt%
から20wt%の範囲に収まる。しかし、実装業時に起こり
がちな条件のバラツキ等を考えると特に好ましいのは、
加熱温度が320℃から380℃まで、加熱時間が30分から10
時間までである。この場合めっき皮膜の鉄含有率は5wt
%から14wt%の範囲に収まる。更に、この熱処理によっ
て、第一層と第二層はFeの熱拡散によって一体構造とな
る。
[実施例] 二種類の鋼板を使用し、溶融亜鉛めっき条件、第二層
のめっき条件及び合金化処理条件を変えて処理した17例
(実施例)の合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、めっ
き皮膜中の鉄含有率を調べ、パウダリング試験及びクレ
ータリング試験を行って評価した。なお比較のために、
この発明の範囲外の条件で処理した6例(比較例)及び
従来技術による3例(従来例)についても同様に調べ
た。条件の詳細は以下の通りである。
用いた鋼板は板厚0.8mmの冷延鋼板で、汎用されてい
る薄板用低炭素Alキルド(素材A)及び高加工用でパウ
ダリングを起こし易いと言われている超低炭チタン含有
鋼(素材B)とである。各々の成分を第1表に示す。
溶融亜鉛めっきは、無酸化炉、還元加熱炉を備えた連
続式めっき設備で行い、めっき浴直後に設けられた気体
絞り装置によって付着量の調整を行い、つづいてミスト
スプレイによりスパングルを微細化し、めっき層が冷却
後伸長率1.5%でスキンパスを行い表面を平滑にした。
Fe−B合金めっきには、電気めっき、プラズマ溶射又
はパウダースプレイの方法を用いたが、各々次の条件で
処理した。なお、パウダースプレイめっきの場合は、ス
プレイめっきによってスパングルの微細化を行い、ミス
トスプレイは行わなかった。
(1)電気めっき FeSO4・(NH42SO4・6H2O:350g/,C4O6H6(酒石酸):
3.5g/, (NH42B4O7・4H2O:1〜100g/, pH:2.5, 浴温:60℃, 陰極電流密度:10A/dm2, (2)プラズマ溶射 プラズマガス:Ar, 溶射入熱 :20KW, 溶射距離 :100mm, 平均粉末粒径:約5μm, 粉末供給速度:5g/min・dm2, (3)パウダースプレイ 平均粉末粒径:約5μm, 末供給速度:3g/min・dm2, めっき皮膜表層中及びめっき皮膜内層中の鉄含有率
は、それぞれオージェ電子スペクトロメトリー及びグリ
ムグロー放電発光分光分析によって調べた。
耐パウダリング性は、曲率半径2mmで90度に曲げた
後、曲げの内側に粘着テープを貼り付け、これを剥し
て、パウダーがこの粘着テープに付着した状況を目視観
察し、点数付けて評価した。
評点の基準は、 1;全く付着無し、2;極くわずかに付着、 3;わずかに付着、4;少し付着、 5;かなり付着、の五段階である。
耐クレータリング性は、めっき面に化成処理を施し、
次いで電着塗装を行い、このとき発生したクレータの数
で評価した。化成処理には市販されている浸漬型の燐酸
塩系処理剤を用いた。電着塗装にはやはり市販されてい
るカチオン電着塗料を用いたが、調合後一週間撹拌し、
極間距離4cmで電着電圧300vを瞬時に印加して電着し
た。
これらの例の各々の処理条件と調査結果を第2表に示
す。
実施例では、素材Bでも耐パウダリング性に劣るもの
はなく、限界付着量の実施例No.6及び限界加熱時間に近
い実施例No.17とで、極く僅かにパウダリングが認めら
れたが、実用上は問題がない。耐クレータリング性で
は、第二層のめっき付着量が下限界の実施例No.13で1
内至2個の小さなクが発見されたが、これも実用上は問
題ない。このように、実施例では全ての合金化溶融亜鉛
めっき鋼板が耐パウダリング性と耐クレータリング性と
を兼ね備えている。又、内層の鉄含有率も6wt%から13w
t%の範囲内にあり、塗装後耐食性を十分に確保するも
のである。
一方、発明の範囲から外れた条件で処理された比較例
では、浴中Alの無い比較例No.1、加熱時間過剰の比較例
No.2、浴中Pbの多い比較例No.3、付着量の多すぎる比較
例No.4、第二層のめっきを施さない比較例No.5、加熱温
度の高過ぎる比較例No.6等耐パウダリング性か耐クレー
タリング性の何れかに問題がある。
従来例では、従来例No.1は急速昇温高温加熱のみによ
り合金化したもので両特性に問題があり、従来例No.2は
急速昇温高温加熱の後低温で合金化調整したもので耐ク
レータリングが劣り、従来例No.3は急速昇温高温加熱に
よって合金化しその上に硼素を含まない鉄含有率80%の
Fe−Zn合金めっきをを付したもので、耐パウダリング性
に劣る。このように両特性が同時には満足されていな
い。
なお、実施例No.14では合金化溶融亜鉛めっきコイル
(幅1800mm)の幅方向について、200mm間隔でめっき内
層の鉄含有率を調べた。この場合従来例No.2と比較し
た。この結果を第2図に示す。図において横軸はコイル
左端からの距離、縦軸は鉄含有率であり、○印は実施例
No.14をプロットしたものであり、●印は従来例No.2を
プロットしたものである。図から明らかなように実施例
No.14の鉄含有率は平均8.1wt%であり、全ての測定点が
7.9wt%から8.3wt%の間に分布していた。これに対して
従来例No2の鉄含有率は平均8.3wt%であり、全ての測定
点が8.0wt%から9.0wt%の間に分布しバラツキが大きい
かった。
更にめっき皮膜の底部にΓ相が存在しているか否かに
ついて、実施例No.1からNo.17迄の合金化溶融亜鉛めっ
き処理を施した試料について、めっき皮膜の上層約三分
の二を取り除きX線回折を行った結果、何れの試料につ
いてもΓ相は検出されなかった。
[発明の効果] この発明のめっき鋼板は、めっき皮膜中にΓ相が実質
的に存在せず、鉄含有率が高く硼素を含む表層と内層と
が一体構造になっており、しかも合金成分の分布が面方
向に均一な皮膜を持っているので、十分な耐食性に加え
て優れた耐パウダリング性と耐クレータリング性とを共
に有している。また、この発明の方法は上記めっき鋼板
を簡単な工程で容易に製造出来るので産業上効果の大き
い発明である。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の主要部を説明するための熱処理条件
と特性適正との関係を示す図、第2図はこの本発明の一
実施例の鉄含有率の分布を示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−88752(JP,A) 特開 平2−73953(JP,A) 特開 昭61−253397(JP,A) 特開 昭60−67690(JP,A) 特開 昭57−79160(JP,A) 特開 昭57−114692(JP,A) 特開 昭58−39792(JP,A) 特開 昭61−119663(JP,A) 特開 昭58−34169(JP,A) 特開 昭56−158864(JP,A) 特公 昭58−15554(JP,B2) 特公 昭59−14541(JP,B2) 鉄と鋼、72[13](1986),(昭61− 9−9)p.S1331

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の少なくとも片面に、溶融亜鉛めっき
    による第一層とその上のFeが97.0wt%以上100wt%未満
    で残りが硼素であるFe−Bめっきによる第二層とを熱処
    て形成しためっき皮膜を有し、該めっき皮膜は、表層が
    前記第二層のFe含有率であるFe−B合金めっきで内層が
    厚さ0.5μmの鋼素地との境界層を除いてδ相とζ相
    からなる合金化亜鉛めっきであって、面方向に鉄含有率
    が均一に分布していることを特徴とする加工性、塗装性
    に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】以下の工程を含むことを特徴とする加工
    性、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
    法。 (イ)通常の前処理を施した鋼板をAl0.05wt%以上0.3w
    t%以下且つPb0.2wt%以下を含有する溶融亜鉛めっき浴
    に浸漬して30g/m2以上90g/m2以下の第一層のめっきを施
    す工程、 (ロ)めっき皮膜が溶融状態であるうちにスパングルの
    微細化処理を施す工程、 (ハ)めっき皮膜が固化した後スキンパス処理を行い、
    溶融亜鉛めっき皮膜の表面を平滑化する工程、 (ニ)この溶融亜鉛めっき鋼板の片面又は両面に0.5g/m
    2以上10g/m2以下のFeが97.0wt%以上100wt%未満、Bが
    0.001wt%以上3wt%未満の第二層のFe−B合金めっきを
    施す工程、 (ホ)前記工程でめっきを施した鋼板を非酸化性又は還
    元性雰囲気に維持したバッチ式焼鈍炉内でオープンコイ
    ルの状態で320℃以上亜鉛の融点以下の温度範囲で10分
    から50時間加熱する工程。
  3. 【請求項3】以下の工程を含むことを特徴とする加工
    性、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
    法。 (イ)通常の前処理を施した鋼板をAl0.05wt%以上0.3w
    t%以下且つPb0.2wt%以下を含有する溶融亜鉛めっき浴
    に浸漬して30g/m2以上90g/m2以下の第一層のめっきを施
    す工程、 (ロ)めっき皮膜が溶融状態であるうちに鋼板の片面又
    は両面にFeが97.0wt%以上100wt%未満、Bが0.001wt%
    以上3wt%未満のFe−B合金パウダーを吹き付けて0.5g/
    m2以上10g/m2以下の第二層のめっきを施す工程、 (ハ)めっき皮膜が固化した後スキンパス処理を行い溶
    融亜鉛めっき皮膜の表面を平滑化する工程、 (ニ)前記工程で平滑化しためっき皮膜を有する鋼板を
    非酸化性又は還元性雰囲気に維持したバッチ式焼鈍炉内
    でオープンコイルの状態で320℃以上亜鉛の融点以下の
    温度範囲で10分から50時間加熱する工程。
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