JP2725013B2 - インキすくい処理をともなうスクリーン印刷方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明はスクリーン版画に刻設した所定パターンを被
印刷体に捺染して行なうスクリーン印刷に係わり、これ
をより詳細に説明すると、スキージング後のスクリーン
版面上のインキを一たん、版面から掻き取るとともに、
このインキを再び、スキージング開始位置まで戻し次い
で、印刷テーブル面上へ順次、移送される被印刷体にス
キージ部材でスキージングして印刷処理を行なうスクリ
ーン印刷方法の改良に関する。

「従来技術と本発明が解決しようとする問題点」 従来から、スキージング処理後、スクリーン版面上の
インキを掻き取るとともに、これを再び、スキージング
開始位置へ戻して行なうスクリーン印刷方法は広く知ら
れている。しかし、これらの印刷方法においては、イン
キすくい部材はスキージ部材と協働しかつ、スキージ部
材と一体的にスクリーン版面に対して接触するものが多
い。従って、スクリーン版面に対するインキすくい部材
の上下移動のための独自の駆動源が必要になることは勿
論のこと更に、印刷過程における被印刷体の移送媒体の
作動とも関係して、インキすくい部材の印刷テーブル面
に対する上下移動の有無は、一回ごとの印刷処理の迅速
化という点に配慮すると、重大な影響力を有する。イン
キすくい部材がスクリーン版面に対して上下に移動した
場合には先記のとおり、独自の駆動源が必要になること
は勿論のこと、他の関連付属部材の作動順序やプロセス
が複雑なものになることは間違いなく、装置自体の簡略
化や、印刷処理の迅速化という観点からすると、大きな
マイナス要因になって問題であった。

「問題解決のための手段」 本発明は、これらの従来技術の状態に鑑みてなされた
ものであって、スキージングが終了したときつまり、一
回の印刷処理が終了したとき、スキージ部材とスクリー
ン版を所定位置まで上昇移動させるとともに当該上昇位
置と同一レベル面で平行にのみ作動可能に配設したイン
キすくい部材とスキージ部材が協働してスクリーン版面
のインキを掻き取りその後、スクリーン版のみをわずか
に、下降させるとともに、そのインキをスキージング開
始位置まで掻き取った状態のまま戻してスクリーン版面
上へ落下させ次いで、スクリーン版とスキージ部材を印
刷テーブル面上の所定位置まで下降移動させるようにな
し、このスクリーン版の上下移動における３段階の移動
サイクルに従って順次、移送される被印刷体にスキージ
ングすることをもって問題解決のための手段としてい
る。

「実施例」 以下、本発明の実施例につき、図面を参考にして説明
する。

所定のパターンを刻設したスクリーン版１は印刷テー
ブル２面上へ移送される被印刷体Ｍの上方に位置すると
ともにスキージ部材３のスキージングによって前記所定
パターンを被印刷体Ｍへ捺染するためのものである。

被印刷体Ｍは、キャリアー４によって印刷テーブル２
面上へ移送されかつ、印刷終了後は印刷テーブル２面上
から排送される仕組みにしてありここでは、このキャリ
アー４は印刷テーブル２面に対して突出および没入の作
動を行ない、印刷テーブル２自体は不動にしてある。５
は、印刷テーブル２面上から一定距離、離間した位置に
配設したインキすくい部材であって、スクリーン版１面
上のインキｉを掻き取るためのインキ掻き取り片5aを有
する。

インキすくい部材５はスキージ部材３と協働してイン
キｉを掻き取り更に、インキｉをスクリーン版１面から
掻き取った状態のまま、スキージング開始位置Ｓまで戻
すべく、スキージ部材３とともに移動するものであっ
て、印刷テーブル２面に対しては絶対に、上昇および、
下降移動は行なわない。

被印刷体Ｍが印刷テーブル２面上へ移送され、所定の
印刷位置にセットされると、スクリーン版１も所定の位
置に配置されることになる。

スクリーン版１面と被印刷体Ｍの間にはスキージング
のさいの印刷精度を得るために所定の間隙をおいてい
る。スキージ部材３がスキージング開始位置Ｓからスキ
ージング終了位置Ｅに至るときつまり、被印刷体Ｍへの
印刷処理が終了したとき、スキージ部材３とスクリーン
版１は所定距離だけ印刷テーブル２面上から上昇移動す
る（第１の移動）。この距離は被印刷体Ｍのキャリア
ー４が印刷テーブル２面から突出するとともに、平行移
動が可能な空間が得られるのに必要にしてかつ、十分な
ものであればよい。

また、このスキージ部材３とスクリーン版１の上昇移
動はかならずしも、両者3,1が同時に上昇移動する必要
はなく、スキージ部材３が先に上昇しその後、スクリー
ン版１が上昇してもよいことは勿論であって要すれば、
スキージ部材３とスクリーン版１が印刷テーブル２面か
ら上方へ所定距離だけ上昇移動することが重要である。
ただ、スクリーン版３面上のインキｉをできるだけ離散
させない観点からすると、スキージ部材３はスクリーン
版１とともに上昇する方が好ましい。

スキージ部材３とスクリーン版１が所定距離、上昇移
動した位置には、当該位置と同一レベル面で平行にのみ
作動する先記のインキすくい部材５が配設してあり、ス
キージ部材３とスクリーン版１が上昇し終ったとき、イ
ンキすくい部材のインキ掻き取り片5aがスクリーン版１
面をスキージ部材３方向へ移動しやがて、スクリーン版
１面上のインキｉをスキージ部材３と協働して掻き取
る。

インキｉが掻き取られた後、スクリーン版１はわずか
に印刷テーブル２面方向へ下降移動する（第２の移動
）。

このスクリーン版１のわずかな下降移動は、スキージ
部材３とインキすくい部材５がスキージング開始位置Ｓ
まで平行移動するとき、スクリーン版１面と接触しない
位置まで下降すればよい。

スクリーン版１がわずかに下降した後、スキージ部材
３とインキすくい部材５はインキｉを掻き取った状態の
ままスキージング開始位置Ｓまで平行移動して戻ること
になる。このとき、スクリーン版１面との接触関係は生
じないので、両者3,5の平行移動によってスクリーン版
１面が損傷するといった事故が防止できることは勿論で
ある。

スキージ部材３とインキすくい部材５がスキージング
開始位置Ｓまで戻った後は、インキすくい部材のインキ
掻き取り片5aがスキージ部材３から離間する。この結
果、掻き取られたインキｉはスクリーン版１面上に落下
するが、インキｉが落下すると同時にまたは、落下後に
スクリーン版１とスキージ部材３が印刷テーブル２方向
へ下降移動する（第３の移動）。この場合にも、スキ
ージ部材３とスクリーン版１はかならずしも、同時的に
下降移動する必要はなく、スクリーン版１が先に下降し
次いで、スキージ部材３が後から下降してもよいことは
勿論である。

なおこのとき、インキすくい部材５は独自にスキージ
ング終了位置Ｅまで戻ってもよくあるいはまた、下降し
たスキージ部材３の次のスキージングを待ってスキージ
部材３とともにスキージング終了位置Ｅまで戻ってもよ
い。

両者3,5が同時にスキージング終了位置Ｅまで戻る構
成では、スキージ部材３のスクリーン版１面方向への下
降移動に独自の駆動源を必要とするが、両者3,5を一つ
のブロック内に装置できることから、両者3,5の同期作
動や協働移動のための機構がより精緻にかつ、簡便に得
られるという利点がある。

また、スクリーン版１の下降位置が、印刷テーブル２
面上へ移送される次の被印刷体Ｍとの間に所定の間隙が
得られる位置であることは先記のとおりである。

なおまた、スクリーン版１、スキージ部材３、インキ
すくい部材５および、キャリアー４など本発明の実施に
必要不可欠な関連付属部材の作動は、それぞれの駆動源
（図示せず）からの動力を得て作動しまた、これも図示
は省略するが、その作動の自動化や、順序はそれぞれの
付属作動部材に係わるセンサーやシーケンサーなどの作
用によりあるいは、コンピューターを介して処理してい
る。

図中、６は印刷済みの被印刷体Ｍを次工程へ排送する
ためのベルトコンベアーである。

「発明の作用、効果」 以上のとおり本発明によれば、スキージング終了後、
スクリーン版とスキージ部材が所定位置まで上昇し、そ
の位置でインキすくい部材とスキージ部材が協働してイ
ンキを掻き取り次いで、スクリーン版を損傷することな
くインキをスキージング開始位置まで戻し再び、印刷可
能な状態を実現するものであって、インキすくい部材が
印刷テーブル面に対して上下移動しないことから、印刷
テーブル面とスクリーン版面の間には、相当の空間が確
保できるようになり、被印刷体のキャリアーなどの関連
付属部材の設置が簡便に実現する。

また、被印刷体のキャリアーの導入が容易になったこ
ととも関連して一回の印刷処理の迅速化も、印刷精度を
落とすことなく極めて、容易に実現可能になった。

【図面の簡単な説明】

第１図は印刷テーブル上の被印刷体に対するスキージン
グ開始状態の説明図、第２図はスキージン終了後、スク
リーン版とスキージ部材が所定距離上昇移動した状態
（第１の移動）の説明図、第３図はスクリーン版が、
わずかに下降移動した状態（第２の移動）の説明図、
第４図はスキージ部材とスクリーン版がスキージング開
始状態に復元した状態（第３の移動）の説明図であ
る。 １……スクリーン版、２……印刷テーブル、 ３……スキージ部材、４……キャリアー、 ５……インキすくい部材、 Ｓ……スキージング開始位置、 Ｅ……スキージング終了位置。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】印刷テーブル面上へ移送した被印刷体に対
   しスクリーン版面上のインキをスキージングしてスクリ
   ーン版面の所定パターンを捺染するスクリーン印刷にお
   いて、スキージング終了後、スキージ部材とスクリーン
   版を印刷テーブル面上方へ所定距離上昇移動（第１の移
   動）させるとともに、当該上昇位置と同一レベル面で
   のみ作動するインキすくい部材を配設し、インキすくい
   部材とスキージ部材の協働作業によってインキを掻き取
   った後、スクリーン版のみを印刷テーブル面方向へわず
   かに下降移動（第２の移動）させかつ、インキすくい
   部材とスキージ部材をインキを掻き取った状態のままス
   キージング開始位置まで平行移動させるとともに、その
   位置でインキをスクリーン版面上に落下させ次いで、ス
   クリーン版とスキージ部材を印刷テーブル面上の所定位
   置まで下降移動（第３の移動）させるようになし、こ
   のスクリーン版の第１乃至第３の移動サイクルに従って
   印刷テーブル面上へ順次、移送される被印刷体に対しス
   キージ部材でスキージングして印刷することを特徴とす
   るインキすくい処理をともなうスクリーン印刷方法。