JP2724324B2 - 無停電電源システム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンピュ−タ．ＯＡ機
器等の停電を許容しない負荷を持つ電源系統を無停電化
するための無停電電源システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の無停電電源システムで
は、商用電源側で停電や事故が発生した際に、インバー
タ側から商用電源側へ電力が逆流するのを阻止するため
に、電力用半導体素子又は開閉スイッチを商用電源回路
側に設けて、電力の逆流を検出した場合に、商用電源
を、無停電電源システムから電気的に切離していた。

【０００３】また前記電力用半導体素子や開閉スイッチ
を商用電源回路側に設けた事による信頼性の低下と、電
力の商用電源側への逆流を検出してから商用電源を切離
すまでに時間を要する点を改善する目的で、商用電源出
力端とインバ−タ出力端と負荷入力端とを結合するトラ
ンスを設け、インバ−タ出力により発生する磁束が商用
電源出力端に誘起する電圧を零とする様に上記トランス
の巻線を巻回する事により、インバ−タから供給される
電力が、商用電源側に逆流しないように構成された無停
電電源システムが提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述した無停電電源シ
ステムでは、無停電電源システムに接続される２系統の
負荷の入力側のトランス巻線に流れる電流により発生す
る磁束が、インバ−タの出力端に接続されるトランス巻
線に流れる電流により発生する磁束と合成された上で、
商用電源の出力端が接続されるトランス巻線と鎖交する
ため、前記２系統の負荷の入力側のトランス巻線に流れ
る電流が同一の場合には、双方で打消し合って商用電源
出力端に接続されるトランス巻線に誘起される電圧が零
となるが、負荷電流が一致しない場合には打消し切れず
に、商用電源出力端に電圧が誘起されてしまい、インバ
−タから商用電源側への電力逆流が発生するという問題
があった。

【０００５】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、負荷状態と無関係に、インバ−タから商用
電源側への電力逆流を防止し得る無停電電源システムを
提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の無停電電源シス
テムは、２つの入力系統と２つの出力系統とを有する変
圧器の１つの入力系統に商用電源が接続され、かつ他の
入力系統には前記商用電源と同期した交流電力を取出す
インバ−タの出力側が接続されると共に、前記変圧器の
２つの出力系統に各々第１、第２の負荷群が接続されて
なり、前記商用電源が健全な時は、商用電源から前記第
１、第２の負荷群に電力を供給し、商用電源が停止又は
電圧低下した時には前記インバ−タから前記第１、第２
の負荷群に電力を供給するように構成された無停電電源
システムにおいて、前記第１の負荷群に流れる電流を検
出する第１の電流検出手段と、前記第２の負荷群に流れ
る電流を検出する第２の電流検出手段と、前記第１の負
荷群への交流入力を整流し、インバータの入力側に出力
する第１の整流手段と、前記第２の負荷群への交流入力
を整流し、インバータの入力側に出力する第２の整流手
段と、前記第１、第２の電流検出手段の検出出力に基づ
いて前記第１、第２の負荷群に流れる電流値に応じて前
記第１、第２の負荷群に流れる電流が等しくなるように
前記第１、第２の整流手段における整流値を制御する制
御手段とを有することを特徴とする。

【０００７】

【作用】上記構成の無停電電源システムにおいては、第
１の電流検出手段、第２の電流検出手段によりそれぞ
れ、第１の負荷群、第２の負荷群に流れる電流が検出さ
れる。

【０００８】また第１の整流手段、第２の整流手段によ
りそれぞれ前記第１の負荷群、第２の負荷群への交流入
力を整流し、インバータの入力側に出力される。

【０００９】制御手段により前記第１、第２の電流検出
手段の検出出力に基づいて前記第１、第２の負荷群に流
れる電流値に応じて前記第１、第２の負荷群に流れる電
流が等しくなるように前記第１、第２の整流手段におけ
る整流値を制御される。

【００１０】本発明によれば、負荷の状態と無関係に変
圧器の２系統の負荷群に供給される出力電流が一致する
ため、負荷電流により前記変圧器内に発生する磁束も一
致し、商用電源出力端に接続されるトランス巻線に誘起
される電圧は零となる。従って、変圧器の２つの出力系
統に接続される第１、第２の負荷群の負荷状態とは無関
係に、インバ−タから商用電源側への電力逆流が阻止で
きる。

【００１１】また整流装置により整流され、インバ−タ
の入力側に導入された電流は、インバータの入力電源で
あるバッテリの充電及びインバ−タへの再出力に使用さ
れるため、損失は小さい。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図１には本発明に係る無停電電源システムの一実
施例の構成が示されている。同図において無停電電源シ
ステムは商用電源１ａから電力を受電する受電部１と，
バッテリ４と，バッテリ４から交流電力を取出すインバ
−タ回路３ａと，インバ−タ回路３ａを制御するインバ
ータ制御回路３ｂと、受電部１とインバータ回路３ａの
出力端にその鉄心２ｇに巻回された２組の入力巻線２
ａ，２ｂ，２ｄ，２ｅが接続される結合変圧器２と、整
流装置５ａ，５ｃと、電流検出器５ｂ，５ｄと、整流装
置５ａ，５ｃの整流量を制御する整流装置制御手段御回
路５ｅとを有している。

【００１３】また結合変圧器２の鉄心２ｇには２つの出
力巻線２ｆ，２ｄが巻回されており、その２つの出力巻
線２ｆ，２ｄにはそれぞれ、負荷群６及び負荷群７が接
続されている。

【００１４】整流装置５ａは負荷群６が接続されている
出力巻線２ｆにその入力端が接続され、かつその出力端
がインバータ回路３ａの入力端に接続されている。また
整流装置５ｃは負荷群７が接続されている出力巻線にそ
の入力端が接続され、かつその出力端がインバータ回路
３ａの入力端に接続されている。

【００１５】受電部１は、商用電源１ａと、商用電源１
ａへその一方の端子が接続された１組の開閉スイッチ１
ｂと、商用電源の電圧を計測し、前記開閉スイッチ１ｂ
に対し操作指令１ｄを出力し、インバ−タ制御回路３ｂ
に対し商用電源電圧信号を出力する受電電圧検出回路１
ｃから構成されている。

【００１６】また記開閉スイッチ１ｂの他端は、結合変
圧器２の入力巻線２ａ，２ｂの一端に接続されている。

【００１７】結合変圧器２は受電部１の出力端に接続さ
れている入力巻線２ａ，２ｂの各々の巻始めに、前記開
閉スイッチの一端が接続され、各々の巻終り側は短絡さ
れている。また入力巻線２ｄの巻始めと２ｅの巻終り側
にインバ−タ回路３ａの出力端が接続され、各巻線の他
方の端子は短絡されている。２つの出力巻線２ｃ，２ｆ
は、各々電流検出器５ｄ，５ｂを介して負荷群７，６に
接続されている。

【００１８】インバ−タ回路３ａは、商用電源電圧信号
１ｅを入力信号とするインバ−タ制御回路３ｂから出力
されるゲ−ト信号３ｃによりＰＷＭ制御され、バッテリ
４の直流電圧を交流電圧に変換して出力する。

【００１９】整流装置５ａ，５ｃは、電流検出器５ｂ，
５ｄから出力される電流信号５ｆを入力信号とする整流
装置制御回路５ｅから出力されるゲ−ト信号５ｇにより
ＰＷＭ制御され、その整流量を制御される。

【００２０】上記構成からなる無停電電源システムの動
作を、図２に示したタイムチャ−トに基づいて説明す
る。商用電源１ａからの受電電圧が受電電圧検出回路１
ｃにより０．０１〜１ｍ秒周期でサンプリングされ、そ
のサンプリングされた受電電圧信号１ｅが、インバ−タ
制御回路３ｂに与えられる。

【００２１】インバ−タ制御回路３ｂでは、予め内部に
記憶されている基本電圧パタ−ン３ｄを受電電圧信号１
ｅと同期させつつ、受電電圧信号１ｅと基本電圧パタ−
ン３ｄとの差を演算し、その差分の電圧をインバ−タか
ら出力する様にゲ−ト信号３ｃを出力する。図２ではＰ
ＷＭ方式を示したが、他方式でも同様の考え方となる。
上記の制御により、結合変圧器２の負荷巻線２ｆの端子
間には、商用電源停電時もインバ−タから電力が供給さ
れ、瞬間的な変動は有るが、無停電となる。

【００２２】一方、出力巻線２ｃの端子間には、商用電
源停電時には、出力巻線２ｆと逆位相の電圧が発生する
ため、図示の如き波形となる。

【００２３】次に商用電源側への電力逆流の阻止動作に
ついて、結合変圧器２の動作と併せて説明する。図３は
結合変圧器２にインバ−タ回路３ａから電力を供給した
場合の、ある瞬間の磁束の状態及び各巻線の誘起電圧を
示したものである。インバ−タ回路３ａから出力される
電圧８ａにより入力巻線２ｄ，２ｅに電流１０ａが流
れ、磁束９ａが鉄心中に発生する。この磁束９ａによ
り、負荷巻線２ｃ，２ｆに電圧８ｄ，８ｃが誘起され
る。この結果オ−ムの法則に従って、負荷の大きさに応
じた電流１０ｂ，１０ｃが各巻線に流れ、これらの負荷
電流により鉄心２ｇ中には、磁束９ｃ，９ｂが発生す
る。巻線２ａには、磁束９ａと９ｂの合成された磁束に
よる誘起電圧８ｂ１が発生し、巻線２ｂには、磁束９ａ
と９ｃの合成された磁束による誘起電圧８ｂ２が発生す
る。

【００２４】受電部１の受電端に現れる電圧８ｂは、巻
線２ａ及び巻線２ｂに誘起された電圧８ｂ１と８ｂ２と
の差となるため、磁束９ｂと磁束９ｃが等しい場合、即
ち負荷電流１０ｃと負荷電流１０ｂが位相、波高値共等
しい場合は、打消し合って零となる。一方、負荷群６と
負荷群７に流れ込む負荷電流を常に等しくすることは不
可能なため、両系の負荷電流を等しくするために、整流
装置５ａ，５ｃの整流量を整流装置制御回路５ｅにより
変化させるように制御する。

【００２５】次に整流装置制御回路５ｅの具体的構成を
図４に示す。同図において整流装置制御回路５ｅは、差
動増幅器５１ｅと、コンパレータ５３ｅ，５５ｅと、切
替器５６ｅとを有している。

【００２６】上記構成において、電流検出器５ｂ，５ｄ
から負荷群６、７側に流れる電流に比例した電流信号５
ｆ１，５ｆ２が出力され（図５（ａ），（ｂ）），この
電流信号５ｆ１，５ｆ２は差動増幅器５１ｅの＋側入力
端及び−側入力端に、それぞれ入力される。差動増幅器
５１ｅからは負荷群６及び負荷群７側を流れる電流値の
差分に比例した差電流信号を５ｅ１が出力され（図５
（ｃ））、それぞれコンパレータ５３ｅ，５５ｅの一方
の入力端に入力される。

【００２７】コンパレータ５３ｅ，５５ｅの他方の入力
端には基準電圧５２ｅ，５４ｅが印加されており、コン
パレータ５３ｅ，５５ｅではそれぞれ、差電流信号５ｅ
１と基準電圧５２ｅ，５４ｅとが比較される（図５
（ｃ））。

【００２８】コンパレータ５３ｅでは差電流信号５ｅ１
が基準電圧５２ｅより大きい場合に、整流装置５ａまた
は整流装置５ｃのゲートを開くゲート信号５ｅ２が出力
される（図５（ｅ））。またコンパレータ５５ｅでは差
電流信号５ｅ１が基準電圧５４ｅより小さい場合に整流
装置５ａまたは整流装置５ｃのゲートを開くゲート信号
５ｅ３が出力される（図５（ｆ））。コンパレータ５３
ｅ，５５ｅから出力されたゲート信号は切替器５６ｅに
より整流装置５ａまたは整流装置５ｃのいずれか一方の
側のみに切り替えられ、切り替えられ出力される。切替
器５６ｅは電流信号５ｆ１と５ｆ２の大小比較ににより
５ｆ１≦５ｆ２である場合にはゲート信号５ｅ２，５ｅ
３を整流装置５ａ側に切り替え、その逆の場合には整流
装置５ｃ側に切り替えるように動作する（図５
（ｄ））。図５に示すように負荷群７側の負荷電流５ｆ
２が負荷群６側の負荷電流５ｆ１よりも小さい場合に
は、整流装置５ａ側にゲート信号５ｅ２，５ｅ３が与え
られ、バッテリ４に回生電流を流すために変圧器２の出
力巻線２ｆと出力巻線２ｃに流れる電流は等しく制御さ
れる。

【００２９】このように整流装置制御回路５ｅの制御に
より、負荷電流１０ｂ，１０ｃは、負荷群の状態と無関
係に等しくなり、受電部１の受電端には電圧が現れな
い。従って、商用電源１ａ側にて停電事故が発生した場
合にも、インバータ回路３ａ側に電力が逆流するのを防
止し得る。

【００３０】本実施例によれば、無停電電源システムに
おいて、負荷の状態と無関係にインバ−タ側から商用電
源側への電力の逆流が防止できるため、商用電源側に電
力逆流防止用の電力用半導体素子を設ける必要が無く、
無停電電源システムの信頼性の向上が図れる。

【００３１】

【発明の効果】以上に説明したように本発明の無停電電
源システムによれば、インバ−タから商用電源への電力
の逆流を、負荷状態と無関係に、商用電源側の主回路上
に電力用半導体素子やスイッチを設けることなく防止で
きるので、無停電電源システムの信頼性の向上が図れ
る。

【００３２】また商用電源側にて短絡事故が発生した場
合にも、過負荷によるインバ−タの故障を防止できる。
また逆電力リレ−が不要となり、コストの低減が図れ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る無停電電源システムの一実施例の
構成を示すブロック図である。

【図２】図１に示した無停電電源システムの各部の動作
状態を示すタイムチャ−トである。

【図３】図１における結合変圧器の動作状態をを示す説
明図である。

【図４】図１における整流装置制御回路の具体的構成を
示すブロック図である。

【図５】図４における整流装置制御回路の各部の動作状
態を示す波形図である。

【符号の説明】

１ 受電部 ２ 結合変圧器 ３ａ インバ−タ回路 ３ｂ インバ−タ制御回路 ４ バッテリ ５ａ 整流装置 ５ｃ 整流装置 ５ｅ 整流装置制御回路 ６ 負荷群 ７ 負荷群

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２つの入力系統と２つの出力系統とを有
   する変圧器の１つの入力系統に商用電源が接続され、か
   つ他の入力系統には前記商用電源と同期した交流電力を
   取出すインバ−タの出力側が接続されると共に、前記変
   圧器の２つの出力系統に各々第１、第２の負荷群が接続
   されてなり、前記商用電源が健全な時は、商用電源から
   前記第１、第２の負荷群に電力を供給し、商用電源が停
   止又は電圧低下した時には前記インバ−タから前記第
   １、第２の負荷群に電力を供給するように構成された無
   停電電源システムにおいて、 前記第１の負荷群に流れる電流を検出する第１の電流検
   出手段と、 前記第２の負荷群に流れる電流を検出する第２の電流検
   出手段と、 前記第１の負荷群への交流入力を整流し、インバータの
   入力側に出力する第１の整流手段と、 前記第２の負荷群への交流入力を整流し、インバータの
   入力側に出力する第２の整流手段と、 前記第１、第２の電流検出手段の検出出力に基づいて前
   記第１、第２の負荷群に流れる電流値に応じて前記第
   １、第２の負荷群に流れる電流が等しくなるように前記
   第１、第２の整流手段における整流値を制御する制御手
   段とを有することを特徴とする無停電電源システム。