以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1〜図4を参照して、第1実施形態による無停電電源装置100の構成について説明する。
(無停電電源装置の構成)
図1に示すように、無停電電源装置100は、コンバータ部1を備えている。コンバータ部1は、交流電源200aからの交流電力を直流電力に変換するように構成されている。また、交流電源200aとコンバータ部1との間には、機械式のスイッチ部2aが設けられている。
また、無停電電源装置100は、インバータ部3を備えている。インバータ部3は、コンバータ部1からの直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を負荷210に供給するように構成されている。また、インバータ部3と負荷210との間には、機械式のスイッチ部2bが設けられている。
また、無停電電源装置100は、直流電源4を備えている。直流電源4は、コンバータ部1とインバータ部3との間に接続され、交流電源200aの異常時に負荷210に電力を供給するように構成されている。具体的には、直流電源4の直流電力がインバータ部3により交流電力に変換されて負荷210に供給される。また、直流電源4と、コンバータ部1およびインバータ部3との間には、機械式のスイッチ部2cが設けられている。
また、無停電電源装置100は、バイパス回路部5を備えている。バイパス回路部5は、交流電源200bと負荷210との間に、コンバータ部1およびインバータ部2に並列に接続され、交流電源200bからの交流電力を負荷210に供給するように構成されている。
また、無停電電源装置100は、半導体スイッチ回路10を備えている。半導体スイッチ回路10は、バイパス回路部5に設けられている。なお、半導体スイッチ回路10の詳細な構成は、後述する。また、バイパス回路部5には、半導体スイッチ回路10に並列に配置される機械式のスイッチ部6が設けられている。スイッチ部6は、バイパス給電中(交流電源200bからバイパス回路部5を介して、負荷210に給電中)には、主にスイッチ部6を閉路することにより電力を供給している。半導体スイッチ回路10は、スイッチ部6の開路および閉路の際に補助的に用いられる(所定の時間だけオンする)。
また、無停電電源装置100は、制御部7を備えている。制御部7は、無停電電源装置100の全体を制御するように構成されている。たとえば、制御部7は、コンバータ部1およびインバータ部3の駆動を制御する。また、制御部7は、半導体スイッチ回路10およびスイッチ部6の駆動(オンオフ)を制御する。
無停電電源装置100は、通常時には、交流電源200bから、バイパス回路部5を介して負荷210に給電を行う。また、バイパス回路部5を介した給電中に、バイパス回路部5に異常が発生した場合には、インバータ部3から負荷210に給電を行う。なお、通常時にインバータ部3から負荷210に給電を行うとともに、インバータ部3などの故障時に、バイパス回路部5を介して負荷210に給電を行ってもよい。また、無停電電源装置100は、負荷210から発生する高調波電流や無効電力を吸収するアクティブフィルタ動作を行う。
(半導体スイッチ回路の詳細な構成)
図2〜図4を参照して、半導体スイッチ回路10の詳細な構成について説明する。なお、図2では、1相分の半導体スイッチ回路10が記載されているが、実際には、図4に示すように、半導体スイッチ回路10は、3相に対して設けられている。
第1実施形態では、図3に示すように、半導体スイッチ回路10は、複数(第1実施形態では、1つの相に対して2つ)の半導体スイッチ部11を備えている。複数の半導体スイッチ部11は、交流電源200bと負荷210との間に設けられている。また、複数の半導体スイッチ部11は、互いに逆並列に接続される一対のサイリスタ12を各々含む。なお、サイリスタ12は、ゲートからカソードへゲート電流を流すことにより、アノードとカソード間を導通させることが可能な3つの端子を有する半導体素子である。
また、半導体スイッチ回路10は、複数の半導体スイッチ部11(半導体スイッチ部11aおよび11b)の各々に直列に接続されるインダクタ13(インダクタ13aおよび13b)を備えている。インダクタ13は、インダクタ13を流れる電流によって形成される磁場に電力を蓄えることが可能な受動素子である。また、インダクタ13は、たとえば、コイルにより構成されている。また、インダクタ13は、サイリスタ12の順電圧の個体差が無視できる程度の誘起電圧を発生可能なインダクタンスLを有するインダクタ13が選択される。
また、第1実施形態では、複数の半導体スイッチ部11(半導体スイッチ部11aおよび11b)の各々に直列に接続されるインダクタ13(インダクタ13aおよび13b)は、半導体スイッチ部11の各々に流れる電流を平均化するように構成されている。半導体スイッチ部11に含まれるサイリスタ12は、個体差(順電圧の差)を有するので、半導体スイッチ部11aを流れる電流(I1)と、半導体スイッチ部11bを流れる電流(I2)との間には、ばらつきが生じる。そして、インダクタ13に交流電流が流れると、インダクタ13を流れる交流電流によって発生した磁界が他の巻線を横切るため、誘起電圧(=ωLI)が発生する。誘起電圧は、インダクタ13に流れる交流電流の変化を妨げるように働く。また、誘起電圧は、サイリスタ12の順電圧よりも高くなるように構成されている。これにより、インダクタ13(インダクタ13aおよび13b)は、半導体スイッチ部11aおよび11bの各々に流れる電流を平均化する。また、半導体スイッチ部11aと半導体スイッチ部11bとは並列に接続されているので、複数の半導体スイッチ部11から電流I0(=I1+I2)が流れ出す。
ここで、第1実施形態では、図2に示すように、半導体スイッチ回路10は、半導体スイッチ部11に直列に接続されるインダクタ13の両端電圧に基づいて、サイリスタ12がオフ状態からオン状態にならない失孤を検出するように構成されている。具体的には、半導体スイッチ回路10には、サイリスタ12の失孤を検出する演算回路14が設けられている。
具体的には、半導体スイッチ回路10(演算回路14)は、インダクタ13の両端電圧を検出する変圧器15を備えている。具体的には、変圧器15の1次側は、インダクタ13の両端に接続されている。また、変圧器15の2次側は、整流器16(ダイオード)に接続されている。なお、整流器16は、両波整流回路から構成されている。また、整流器16の出力側には、LPF(Low−pass filter)17が接続されている。LPF17は、整流器16から出力された電圧の脈動を平滑化する。また、LPF17の出力側には、比較器18が接続されている。また、変圧器15を用いることにより、電圧の検出点(インダクタ13側)と、演算回路14とが絶縁される。なお、電圧の検出の精度が確保可能であるのならば、電圧の検出点と演算回路14とを絶縁しなくてもよい(変圧器15を除去してもよい)。また、変圧器15は、特許請求の範囲の「電圧検出部」の一例である。
そして、第1実施形態では、半導体スイッチ回路10は、変圧器15により検出されたインダクタ13の両端電圧に基づいた信号が、所定の閾値(第1閾値)以上の場合に、サイリスタ12の失孤を検出するように構成されている。具体的には、変圧器15により検出されたインダクタ13の両端電圧が、整流器16およびLPF17を介して比較器18に入力される。そして、比較器18は、入力された信号(インダクタ13の両端電圧に基づいた信号)と、第1閾値とを比較する。そして、比較器18は、入力された信号が第1閾値以上の場合に、Hレベルの信号を出力する。すなわち、比較器18からHレベルの信号が出力されたことに基づいて、サイリスタ12の失孤が検出される。
詳細には、インダクタ13aには、半導体スイッチ部11aを流れる電流(I1)に応じた誘起電圧V1(=ωLI1)が発生する。また、インダクタ13bには、半導体スイッチ部11bを流れる電流(I2)に応じた誘起電圧V2(=ωLI2)が発生する。そして、サイリスタ12が失孤した場合、電流が流れなくなるので、インダクタ13bには、半導体スイッチ部11aに流れていた電流分(I1)の誘起電圧V1+V2(=ωL(I1+I2))が発生する。そして、この電圧を、変圧器15が検出することにより、比較器18からHレベルの信号が出力される。
また、第1実施形態では、所定の閾値(第1閾値)は、複数の半導体スイッチ部11の分担電圧に基づいて設定されている。すなわち、サイリスタ12が失孤していない場合、インダクタ13aおよび13bには、それぞれ、半導体スイッチ部11aおよび11bの分担電流に応じた電圧(分担電圧)が発生する。たとえば、第1閾値は、この分担電圧の110%の値である。
また、第1実施形態では、変圧器15は、半導体スイッチ部11毎に設けられている。すなわち、各相において、2つの半導体スイッチ部11aおよび11bに対して1つずつ(合計2つ)、変圧器15が設けられている。つまり、半導体スイッチ部11毎に、電圧が検出される。なお、整流器16、LPF17および比較器18も、半導体スイッチ部11毎に設けられている。
また、第1実施形態では、半導体スイッチ回路10は、複数の半導体スイッチ部11に含まれるサイリスタ12のうちの少なくとも1つのサイリスタ12が失孤の状態である場合に、失孤の状態であることを示す信号を出力するように構成されている。具体的には、半導体スイッチ部11毎に設けられている2つの比較器18の出力側には、OR回路19が設けられている。これにより、半導体スイッチ部11aおよび半導体スイッチ部11bに含まれるいずれかのサイリスタ12が失孤した場合でも、OR回路19からHレベルの信号が出力される。これにより、半導体スイッチ回路10に含まれるいずれのサイリスタ12が失孤した場合でも、失孤を検出することが可能になる。
なお、上記したように、図2では、1つの相の半導体スイッチ部11が示されているが、図4に示すように、実際には、相毎に、複数の半導体スイッチ部11が設けられている。具体的には、半導体スイッチ回路10は、U相の半導体スイッチ部11a(図4の#1U相)および半導体スイッチ部11b(#2U相)と、V相の半導体スイッチ部11a(#1V相)および半導体スイッチ部11b(#2V相)と、W相の半導体スイッチ部11a(#1W相)および半導体スイッチ部11b(#2W相)とを含む。そして、OR回路19は、全ての半導体スイッチ部11に対して共通に1つ設けられている。これにより、複数の半導体スイッチ部11に含まれるいずれのサイリスタ12が失孤した場合でも、失孤を検出することが可能になる。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、半導体スイッチ回路10は、半導体スイッチ部11に直列に接続されるインダクタ13の両端電圧に基づいて、サイリスタ12がオフ状態からオン状態にならない失孤を検出するように構成されている。これにより、半導体スイッチ部11に含まれるサイリスタ12がオフ状態からオン状態にならない失孤の状態になった場合には、失孤になったサイリスタ12に電流が流れないので、また、当該サイリスタ12の通電電流分は、他の並列のサイリスタ12に分流されるため、失弧した半導体スイッチ部11以外の半導体スイッチ部11に接続されるインダクタ13の両端電圧が上昇する。その結果、複数の半導体スイッチ部11が互いに並列に接続されている場合でも、サイリスタ12の失孤を検出することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、半導体スイッチ回路10は、変圧器15により検出されたインダクタ13の両端電圧に基づいた信号が、所定の閾値(第1閾値)以上の場合に、サイリスタ12の失孤を検出するように構成されている。これにより、サイリスタ12が失孤した場合に他のインダクタ13の両端電圧が上昇するため、第1閾値以上のインダクタ13の両端電圧を変圧器15により検出することによって、容易に、サイリスタ12の失孤を検出することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、所定の閾値は、複数の半導体スイッチ部11の分担電圧に基づいて設定された第1閾値を含み、インダクタ13の両端電圧に基づいた信号が、第1閾値以上の場合に、サイリスタ12の失孤を検出するように構成されている。ここで、複数の半導体スイッチ部11の各々には、接続されるインダクタ13に発生する誘起電圧に応じた分担電圧が印加される。そこで、複数の半導体スイッチ部11に含まれるサイリスタ12が失孤していない状態(正常な状態)から乖離した電圧が検出された場合にサイリスタ12が失孤していると判定されるように、所定の閾値(第1閾値)を設定することによって、容易に、サイリスタ12の失孤を検出することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、変圧器15は、複数の半導体スイッチ部11毎に設けられている。これにより、複数の半導体スイッチ部11毎に、サイリスタ12が失孤しているか否かを検出することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、半導体スイッチ回路10は、複数の半導体スイッチ部11に含まれるサイリスタ12のうちの少なくとも1つのサイリスタ12が失孤の状態である場合に、失孤の状態であることを示す信号を出力するように構成されている。これにより、失孤の状態であることを示す信号に基づいて、半導体スイッチ回路10が設けられる無停電電源装置100を停止させることができるので、失孤の状態のサイリスタ12が含まれた状態で、無停電電源装置100が継続的に使用されるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、複数の半導体スイッチ部11の各々に直列に接続されるインダクタ13は、半導体スイッチ部11の各々に流れる電流を平均化するように構成されている。これにより、半導体スイッチ部11に流れる電流(通電電流)が偏ることに起因して、半導体スイッチ部11(サイリスタ12)が故障するのを抑制することができる。
[第2実施形態]
次に、図5および図6を参照して、第2実施形態の無停電電源装置400について説明する。第2実施形態では、変圧器15を2つの半導体スイッチ部11毎に設けるように構成した第1実施形態とは異なり、2つの半導体スイッチ部411に対して共通の1つの変圧器415が設けられている。なお、変圧器415は、特許請求の範囲における「電圧検出部」の一例である。
図5に示すように、第2実施形態による無停電電源装置400は、半導体スイッチ回路410を備える。半導体スイッチ回路410は、第1実施形態による半導体スイッチ回路10と同様に、スイッチ部6の開路および閉路の際に補助的に用いられる。
図6に示すように、半導体スイッチ回路410は、第1実施形態と同様に、複数(2つ)の半導体スイッチ部411を備えている。具体的には、半導体スイッチ部411は、互いに並列に接続されている半導体スイッチ部411aおよび半導体スイッチ部411bを含む。また、半導体スイッチ部411(半導体スイッチ部411aおよび半導体スイッチ部411b)は、それぞれ、第1実施形態と同様に、互いに逆並列に接続される一対のサイリスタ12を含む。なお、半導体スイッチ部411aは特許請求の範囲における「第1半導体スイッチ部」の一例である。また、半導体スイッチ部411bは、特許請求の範囲における「第2半導体スイッチ部」の一例である。
また、半導体スイッチ回路410は、第1実施形態と同様に、複数の半導体スイッチ部411の各々に直列に接続されるインダクタ413を備えている。第2実施形態では、インダクタ413は、半導体スイッチ部411aの負荷210側に直列に接続されるインダクタ413aと、半導体スイッチ部411bの負荷210側に直列に接続されるインダクタ413bとを含む。なお、インダクタ413aおよびインダクタ413bは、それぞれ半導体スイッチ部411aおよび半導体スイッチ部411bの交流電源200b側に直列に接続されていてもよい。また、インダクタ413aは、特許請求の範囲における「第1インダクタ」の一例である。また、インダクタ413bは、特許請求の範囲における「第2インダクタ」の一例である。
また、第2実施形態では、インダクタ413aおよびインダクタ413bは、略等しい大きさのインダクタンスL(インピーダンス)を有する。そして、第1実施形態と同様に、インダクタ413aおよびインダクタ413bのインダクタンスLは、サイリスタ12の順電圧の個体差が無視できる程度の誘起電圧を発生可能な大きさを有する。たとえば、インダクタ413aおよびインダクタ413bのインダクタンスLは、サイリスタ12において発生する順電圧の5倍の誘起電圧を発生させる大きさである。したがって、インダクタ413aおよびインダクタ413bは、第1実施形態と同様に、半導体スイッチ部411aおよび半導体スイッチ部411bに流れる電流を平均化(バランス)する。すなわち、半導体スイッチ部411aおよびインダクタ413aに流れる電流I1と、半導体スイッチ部411bおよびインダクタ413bに流れる電流I2とは、略同じ大きさとなる。そのため、インダクタ413aに発生する誘起電圧V1およびインダクタ413bに発生する誘起電圧V2は、略等しい大きさとなる。つまり、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の大きさは、略等しい大きさとなる。
ここで、第2実施形態では、半導体スイッチ回路410は、第1実施形態とは異なり、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差に基づいて、サイリスタ12の失孤を検出するように構成されている。サイリスタ12が全て正常であれば、インダクタ413aおよびインダクタ413bの両端電圧は、略等しい大きさとなる。そのため、インダクタ413aおよびインダクタ413bの両端電圧のそれぞれの差は略0となる。一方で、サイリスタ12の内のいずれか1つが異常(失孤)の場合には、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差は0ではなくなる。そこで、第2実施形態では、半導体スイッチ回路410は、インダクタ413aおよび413bのそれぞれの両端電圧の差に基づいた信号が、所定の閾値(第2閾値)以上の場合に、サイリスタ12の失孤を検出するように構成されている。
具体的には、半導体スイッチ回路410には、サイリスタ12の失孤を検出する演算回路414が設けられている。第2実施形態では、半導体スイッチ回路410(演算回路414)は、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を検出する変圧器415を備えている。変圧器415は、2つのコイルを有する1次側巻線415aと、1つのコイルを有する2次側巻線415bとを含む。そして、変圧器415は、1次側巻線415aの2つのコイルの各々に対して、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれが逆極性となるように接続されることによって、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を検出するように構成されている。
たとえば、変圧器415の1次側巻線415aは、極性(巻き方向)の異なる2つのコイルを含む。そして、極性の異なる2つのコイルの各々に、インダクタ413aおよびインダクタ413bが並列に接続される。すなわち、変圧器415の1次側巻線415aに、インダクタ413aの誘起電圧V1およびインダクタ413aの誘起電圧V2が、逆極性となるように印加される。逆極性となるように印加された誘起電圧V1および誘起電圧V2は互いに打ち消しあうため、変圧器415の1次側巻線415aには、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差となる電圧が印加される。そして、変圧器415は、2次側巻線415bからインダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を増幅(変圧)した信号を出力する。
また、演算回路414は、整流器416(ダイオード)、LPF417、および、比較器418を含む。整流器416(ダイオード)、LPF417、および、比較器418は、第1実施形態による整流器16、LPF17、および、比較器18と同様に動作する。具体的には、変圧器415の2次側巻線415bは、整流器416(ダイオード)に接続されている。そして、2次側巻線415bからの信号は、整流器416によって整流され、LPF417によって平滑化される。そして、LPF417の出力側には、比較器418が接続されている。比較器418は、LPF417から入力された信号(インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差に基づいた信号)と、所定の閾値(第2閾値)とを比較する。そして、入力された信号が第2閾値以上の場合に、サイリスタ12の失孤が検出される。
第2実施形態では、所定の閾値(第2閾値)は、サイリスタ12の定格電圧に基づいて設定される。たとえば、第2閾値は、サイリスタ12の定格電圧の25%に対応する値が設定される。すなわち、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差が、サイリスタ12の定格電圧の25%以上の大きさとなった場合に、比較器418によって、サイリスタ12の失孤を検出したことを示す信号が出力されるように、第2閾値が設定される。
また、第2実施形態では、変圧器415は、半導体スイッチ部411aおよび半導体スイッチ部411bの両方がオンの状態において、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を検出するように構成されている。すなわち、制御部7によって半導体スイッチ部411aおよび半導体スイッチ部411bに対して、スイッチをオンにする(サイリスタ12を点孤:ターンオンする)指令が出力されている状態において、両端電圧の差を検出するサイリスタ12の失孤の検査が行われる。
なお、無停電電源装置400のその他の構成は、第1実施形態による無停電電源装置100と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、所定の閾値は、サイリスタ12の定格電圧に基づいて設定された第2閾値を含み、変圧器415(電圧検出部)は、複数の半導体スイッチ部411の各々に直列に接続されるインダクタ413のそれぞれの両端電圧の差を検出し、インダクタ413のそれぞれの両端電圧の差に基づいた信号が、第2閾値以上の場合に、サイリスタ12の失孤を検出するように構成されている。このように構成すれば、インダクタ413のそれぞれの両端電圧の差と所定の閾値(第2閾値)とを比較することによって、複数の半導体スイッチ部411の失孤を検出することができる。そのため、インダクタ413のそれぞれの両端電圧を別個に検出して閾値と比較する場合と異なり、検出された信号と閾値とを比較する構成を共通の構成とすることができる。その結果、インダクタ413のそれぞれの両端電圧の差に基づいた信号と第2閾値とを比較することによって、並列に接続された複数の半導体スイッチ部411の失孤を検出するために、回路構成が複雑化することを抑制することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、複数の半導体スイッチ部411は、互いに並列に接続されている半導体スイッチ部411a(第1半導体スイッチ部)および半導体スイッチ部411b(第2半導体スイッチ部)を含み、インダクタ413は、半導体スイッチ部411aに直列に接続されるインダクタ413a(第1インダクタ)と、半導体スイッチ部411bに直列に接続されるインダクタ413b(第2インダクタ)とを含み、インダクタ413aおよびインダクタ413bは、略等しい大きさのインダクタンスLを有する。このように構成すれば、インダクタ413aとインダクタ413bとのインダクタンスLの大きさが略等しいため、半導体スイッチ部411のサイリスタ12が正常である場合には、インダクタ413aの両端電圧とインダクタ413bの両端電圧とを略等しい大きさとすることができる。そのため、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を略0とすることができる。一方で、半導体スイッチ部411のサイリスタ12が失孤した場合には、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差が0ではなくなる。このため、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差が略0であるか否かを判定することによって、半導体スイッチ部411のサイリスタ12の失孤をより容易に検出することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、変圧器415(電圧検出部)は、半導体スイッチ部411a(第1半導体スイッチ部)および半導体スイッチ部411b(第2半導体スイッチ部)の両方がオンの状態において、インダクタ413a(第1インダクタ)およびインダクタ413b(第2インダクタ)のそれぞれの両端電圧の差を検出するように構成されている。ここで、スイッチをオンにするように半導体スイッチ部411aおよび半導体スイッチ部411bを制御した場合においても、失孤したサイリスタ12には電流が流れない。そのため、半導体スイッチ部411aおよび半導体スイッチ部411bのいずれかのサイリスタ12が失孤している場合には、スイッチがオンの状態におけるインダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差が、サイリスタ12が正常の場合とは異なる。そこで、半導体スイッチ部411aおよび半導体スイッチ部411bの両方がオンの状態において、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を検出することによって、サイリスタ12の失孤を精度よく検出することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、変圧器415(電圧検出部)は、インダクタ413a(第1インダクタ)およびインダクタ413b(第2インダクタ)が逆極性となるように接続されることによって、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を検出するように構成されている。このように構成すれば、インダクタ413aおよびインダクタ413bを逆極性となるように接続することによって、インダクタ413aの両端電圧とインダクタ413bの両端電圧とをそれぞれ別個に検出することなく、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差の大きさを検出することができる。そのため、インダクタ413aの両端電圧とインダクタ413bの両端電圧とを、それぞれ別個に検出する構成を設ける場合と比べて、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を容易に検出することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、変圧器415(電圧検出部)は、2つのコイルを有する1次側巻線415aと、1つのコイルを有する2次側巻線415bとを含み、1次側巻線415aの2つのコイルの各々に対して、インダクタ413a(第1インダクタ)およびインダクタ413b(第2インダクタ)のそれぞれが逆極性となるように接続されることによって、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を検出するように構成されている。このように構成すれば、1次側巻線415aの逆極性の接続によって、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を取得することができるとともに、2次側巻線415bからの出力によって、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を変圧して検出することができる。そのため、変圧器415によって、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を増幅した検出信号(検出値)を取得することができる。その結果、増幅された信号を所定の閾値(第2閾値)と比較することによってサイリスタ12の失孤を検出することができるので、サイリスタ12の失孤を精度よく検出することができる。また、変圧器415を用いることによって、1次側巻線415aと2次側巻線415bとが絶縁されるため、電圧を検出するインダクタ413側と、失孤を検出するための演算回路414側とを絶縁することができる。このため、インダクタ413側(半導体スイッチ部411側)の異常が、演算回路414側に影響を及ぼすことを抑制することができる。
なお、第2実施形態によるその他の効果は、第1実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1〜第2実施形態では、各相毎に2つの半導体スイッチ部11(411)が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、各相毎に3つ以上の半導体スイッチ部11(411)が設けられていてもよい。
また、上記第1〜第2実施形態では、本発明の「電圧検出部」として、変圧器15(415)が用いられる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、変圧器15(415)以外の電圧検出部を設けてもよい。
また、上記第1実施形態では、複数の半導体スイッチ部11に対して共通のOR回路19が設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、OR回路19を設けずに、サイリスタ12の失孤を個別に検出してもよい。たとえば、複数の半導体スイッチ部11(比較器18)の各々から出力された信号をシリアル信号として、制御部7に入力してもよい。これにより、制御部7により、いずれの半導体スイッチ部11のサイリスタ12が失孤したのかを特定することが可能になる。
また、上記第1〜第2実施形態では、半導体スイッチ回路10(410)がバイパス回路部5に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、半導体スイッチ回路10(410)は、バイパス回路部5以外の部分に設けられていてもよい。たとえば、図7に示す無停電電源装置システム300のように、互いに並列に接続された複数の無停電電源装置310と負荷210との間に、半導体スイッチ回路10(410)が設けられていてもよい。なお、図7では、半導体スイッチ回路410を図示せず、半導体スイッチ回路10のみを図示している。
また、上記第1〜第2実施形態では、半導体スイッチ回路10(410)が無停電電源装置100(400)に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、半導体スイッチ回路10(410)は、無停電電源装置100(400)以外の装置(データセンタなど)に設けられていてもよい。
また、上記第2実施形態では、インダクタ413a(第1インダクタ)とインダクタ413b(第2インダクタ)のインダクタンスLが略等しい大きさである例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、インダクタ413a(第1インダクタ)およびインダクタ413b(第2インダクタ)のインダクタンスLを異なる値となるように構成してもよい。その場合には、インダクタ413a(第1インダクタ)およびインダクタ413b(第2インダクタ)のそれぞれの両端電圧の値が所定の範囲に含まれるか否かによって、サイリスタ12の失孤を検出する。
また、上記第2実施形態では、変圧器415の1次側巻線415aの2つのコイルの各々に対して、インダクタ413a(第1インダクタ)およびインダクタ413b(第2インダクタ)のそれぞれが逆極性となるように接続される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、2つの変圧器(トランス)を用いて、2つのインダクタの各々の両端電圧を変圧(検出)した後に、両端電圧の差の大きさに基づく信号を取得(測定)するようにしてもよい。すなわち、逆極性に接続せずに両端電圧の差を検出してもよい。
また、上記第2実施形態では、変圧器415の1次側巻線415aにおける極性の異なる2つのコイルに、インダクタ413aおよびインダクタ413bをそれぞれ接続することによって、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を検出するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図8に示す変圧器515(電圧検出部)のように、1次側と2次側との極性が同じである2つのトランスの各々に、インダクタ413aおよびインダクタ413bをそれぞれ接続するとともに、2つのトランスの各々の2次側の出力を逆極性となるように接続することによって、インダクタ413aおよびインダクタ413bのそれぞれの両端電圧の差を検出するようにしてもよい。また、2つのトランスの各々の1次側に対して、インダクタ413aおよびインダクタ413bを逆極性となるように接続することによって、両端電圧の差を検出するようにしてもよい。また、変圧器(トランス)を用いずに、直接的に2つのインダクタ413を逆極性で接続した出力に対して、閾値を設けることによって失孤を検出するようにしてもよい。