JP2721968B2 - 新規酵素およびゲンチオオリゴ糖高含有シラップの製造方法 - Google Patents

新規酵素およびゲンチオオリゴ糖高含有シラップの製造方法

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JP2721968B2
JP2721968B2 JP63046313A JP4631388A JP2721968B2 JP 2721968 B2 JP2721968 B2 JP 2721968B2 JP 63046313 A JP63046313 A JP 63046313A JP 4631388 A JP4631388 A JP 4631388A JP 2721968 B2 JP2721968 B2 JP 2721968B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、β−グルコシダーゼ活性の他にセルラーゼ
活性をも併有する新規酵素と、この新規酵素を用いたゲ
ンチオオリゴ糖高含有シラップの製造方法に関する。
「従来の技術」 従来より、グルコースがβ−1,6−結合したゲンチオ
ビオースやゲンチオトリオースなどのゲンチオオリゴ糖
が存在することが知られている。これらのゲンチオオリ
ゴ糖のうち、ゲンチオビオースは、ゲンチアン根茎から
の分離、グルコースを原料とした酵素的合成、アミグダ
リンの還元、酸によるグルコースからの逆合成反応など
の方法によって調製できることが知られている[I.J.Go
ldstein & W.J.Whelan,Methods in Carbohydrate Chem
istry.Vol I(1962),Academic Press参照]。
酵素的合成の場合、いわゆるβ−グルコシダーゼ(例
えばアンズエムルシン)を用いたグルコースの縮合反応
を利用してゲンチオビオースを調製できることが知られ
ている。しかし、この方法では、ゲンチオビオース(β
−1,6−グルコビオース)の他に、ソホロース(β−1,2
−グルコビオース)、ラミナリビオース(β−1,3−グ
ルコビオース)、セロビオース(β−1,4−グルコビオ
ース)など全てのβ−グルコ2糖類が比較的低濃度で非
特異的に合成されるため、ゲンチオビオースを収率良く
得ることは困難であった。
また、ゲンチオオリゴ糖は、木質部樹液やプスツラン
(pustulan)、ルテオース(luteose)、酵母グルカ
ン、アラメのラミナランの部分加水分解物から得られる
ことも知られている(図解糖質化学便覧、p.71、水野
卓、西沢一俊共著、共立出版、参照)。しかし、これら
の方法は、せいぜいラボスケールで採用されているのみ
であり、原料の供給およびゲンチオオリゴ糖の収率から
考慮して、工業的製造方法としては実用性に乏しいもの
であった。
一方、β−1,4−グルコシド結合に作用する酵素とし
ては、主としてセルラーゼ、β−グルコシダーゼなどが
知られている。セルラーゼは、セルロースのβ−1,4−
グルコシド結合を加水分解して主としてセロビオースを
生成する作用があるが、セロオリゴ糖以外のβ−グルコ
オリゴ糖に対しては作用しない。これに対して、β−グ
ルコシダーゼは、β−グルコシド結合をしている各種の
グルコオリゴ糖を加水分解してグルコースを生成する作
用を有しているが、セルロースなどの高分子には作用し
ない。いずれにしても、ゲンチオオリゴ糖を特異的に生
成する酵素は、これまでに知られていなかった。
「発明が解決しようとする課題」 本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、ゲンチオオリゴ糖を特異的に生
成する酵素を提供し、この酵素を用いることによりゲン
チオオリゴ糖を多量に含むシラップの製造方法を提供す
ることにある。
「課題を解決するための手段」 本発明者らは、各種微生物起源のセルラーゼ系および
β−グルコシダーゼ系の各種の酵素について研究した結
果、公知のセルラーゼの作用とも異なり、公知のβ−グ
ルコシダーゼの作用とも異なる新しい酵素を見出し、こ
の酵素をグルコースに対する縮合反応においては、ゲン
チオビオース、ゲンチオトリオースなどのβ−1,6−グ
ルコシド結合からなるオリゴ糖が特異的に生成されるこ
とを見出し、これらの事実に基づいて本発明を完成する
に至った。
すなわち、本発明の第1は、下記の理化学的性質を有
することを特徴とする新規酵素である。
作用および基質特異性 セルロース、セロデキストリン、各種セロオリゴ糖、
セロビオース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチ
オビオースなどを基質とし、これらのβ−1,4−グルコ
シド結合、β−1,2−グルコシド結合、β−1,3−グルコ
シド結合、β−1,6−グルコシド結合を加水分解して、
グルコースを生成する。
高濃度のグルコースを基質として、これを縮合反応さ
せ、主としてβ−1,6−グルコシド結合からなるゲンチ
オビオース、ゲンチオトリオースなどのゲンチオオリゴ
糖を生成する。
至適pHおよび安定pH範囲 至適pHは5.0であり、安定pH範囲は4℃、24時間の処
理条件で4.2〜8.0、45℃、2時間の処理条件で4.5〜7.0
である。
至適温度 至適温度(作用適温)は70℃である。
温度安定性 100%の完成を保持するための温度は55℃以下であ
る。
等電点(p1)5.30 分子量(SDS電気泳動法)約85,000 アミノ酸組成(モル比%) アルギニン 3.43 リジン 3.34 ヒスチジン 1.26 フェニルアラニン 2.86 チロシン 3.50 ロイシン 6.94 イソロイシン 5.10 メチオニン 0.88 バリン 8.25 アラニン 10.39 グリシン 11.12 プロリン 5.68 グルタミン酸 6.83 セリン 7.51 スレオニン 7.13 アスパラギン酸 12.77 トリプトファン 1.92 シスチン 1.08 また、本発明の第2は、高濃度グルコース溶液に上記
の新規酵素を作用させることを特徴とするゲンチオオリ
ゴ糖高含有シラップの製造方法である。
さらに、本発明の第3は、高濃度グルコース溶液に上
記の新規酵素を作用させ、反応液よりグルコースを除去
することを特徴とするゲンチオオリゴ糖高含有シラップ
の製造方法である。
さらにまた、本発明の第4は、上記の製造方法におい
て、グルコース純度が60%(w/w)以上であり、かつ、
固形分濃度が30%(w/w)以上であるグルコース溶液を
用いるゲンチオオリゴ糖高含有シラップの製造方法であ
る。
「作用」 本発明の新規酵素は、各種のβ−グルコオリゴ糖を加
水分解するβ−グルコシダーゼ活性の他に、脱脂綿、ア
ビセル、濾紙、カルボキシメチルセルロース(CMC)、
セロデキストリ、セロオリゴ糖などを加水分解するセル
ラーゼ活性をも併有している。すなわち、この酵素は、
β−1,4−グルコシド結合からなる高分子から低分子に
至る各種の化合物を加水分解してグルコースのみを生成
する作用を有しており、このような作用を有する酵素
は、これまでに知られていないので、新規な酵素といえ
る。
また、この酵素は、その縮合反応において、これまで
に知られているβ−グルコシダーゼとは異なる反応をす
ることがわかった。すなわち、この酵素を用い、高濃度
グルコースを基質として縮合反応を行なわせると、β−
1,6−グルコシド結合からなるゲンチオビオース、ゲン
チオトリオースなどのゲンチオオリゴ糖が特異的にかつ
優先的に合成され、ソホロース、ラミナリビオース、セ
ロビオースなどの他のβ−グルコ2糖類はほとんど合成
されないことである。
なお、この酵素は、例えばトルコデルマ・リーゼイ
Trichoderma reesei)起源のセルラーゼ粗酵素や、ト
ルコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)起源のセル
ラーゼ粗酵素などから、各種クロマトグラフィー、電気
泳動などの手段によって分離精製することができる。こ
の分離精製方法の具体例は、後述する実施例に示す。
また、本発明において、この酵素の力価の測定は、パ
ラニトロフェニルβ−グルコシド(β−PNPG)を基質と
して、pH5.0、温度30℃で反応を行ない、1分間に1μm
olのグルコースを遊離する酵素量を1単位とした。
次に、本発明のゲンチオオリゴ糖高含有シラップの製
造方法は、上記酵素の縮合反応における特異性を利用し
たものであり、高濃度グルコースを基質として上記酵素
を作用させることにより、β−1,6−グルコシド結合か
らなるゲンチオビオース、ゲンチオトリオースなどのゲ
ンチオオリゴ糖を特異的かつ優先的に合成させて、ゲン
チオオリゴ糖を高含有率で含むシラップを製造する方法
である。このように、酵素の特異性を利用してゲンチオ
オリゴ糖を選択的に合成することができるので、従来の
β−グルコシダーゼを用いた方法に比べてゲンチオオリ
ゴ糖の含有率の高いシラップを容易に製造することがで
きる。
こうして、グルコースを基質として本発明の酵素を作
用させると、主としてゲンチオビオース、ゲンチオトリ
オースなどのゲンチオオリゴ糖が生成され、それ以外は
ほとんどがグルコースである反応液が得られる。本発明
では、この反応液に必要に応じて活性炭による脱色、イ
オン交換樹脂による脱イオンなどの処理を施し、濃縮し
てシラップとすることができる。
また、酵素反応の後、反応液より残存するグルコース
を除去することにより、ゲンチオオリゴ糖をより高純度
で含有するシラップを得ることができる。この場合、グ
ルコースの除去は、カーボンカラムクロマトグラフィ
ー、カチオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーなどの
各種クロマト分離や、膜分離、晶析法などによって行な
うことができる。
また、酵素反応条件について述べると、基質となるグ
ルコース溶液としては、グルコース純度が60%(w/w)
以上、より好ましくは70%(w/w)以上で、かつ、固形
分濃度が30%(w/v)以上、より好ましくは40%(w/v)
以上であるグルコース溶液を用いることが好ましく、こ
れによってゲンチオオリゴ糖を高収率で合成することが
できる。
反応液のpHは、4.0〜8.0が好ましく、4.5〜7.5がさら
に好ましい。また、反応温度は、35〜75℃が好ましく、
40〜70℃がさらに好ましい。さらに、本発明の酵素の添
加量は、基質1mgあたり0.1単位以上が好ましく、0.2単
位以上がさらに好ましい。この場合の酵素の力価は、前
述のようにして測定したものである。
そして、酵素反応の方法は、本発明の酵素をそのまま
添加して回分式で行なってもよく、あるいはこの酵素を
適宜担体に吸着されて固定化酵素とし、この固定化酵素
を用いて連続式で行なってもよい。固定化酵素を得るた
めの担体としては、例えば「ダイヤイオンHP樹脂」(商
品名、三菱化成工業(株)製)や、「デュオライトS−
761、762」(商品名、ダイヤモンド・シャムロック
(株)製)などの吸着樹脂、あるいは「キトパールBCW3
005、3505」(商品名、富士紡績(株)製)などのキト
サンビーズなどが好ましく使用できる。
こうして合成されたゲンチオオリゴ糖は、従来の糖質
に見られない苦味を有するのが大きな特徴である。ま
た、ゲンチオオリゴ糖は、β−1,6−グルコシド結合の
みからなるので、難消化性、抗う蝕性糖質として、ま
た、腸内のビヒダス菌の増殖因子としての効果が期待さ
れる。さらに、ゲンチオオリゴ糖は、吸湿性を有してい
るので、食品の保湿剤としての効果も期待される。した
がって、本発明で得られたゲンチオオリゴ糖抗含有シラ
ップは、ダイエット甘味料として、味覚改善用糖質とし
て、物性改良剤として、幅広い用途に利用することがで
きる。
「実施例」 実施例1 トルコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)起源の
粗セルラーゼ製剤「メイセラーゼ」(商品名、明治製菓
(株)製)5gを200mlの0.2M酢酸緩衝液(pH3.5)に溶解
し、アンバーライトCG−50のカラムクロマトグラフィー
にかけ、セルラーゼ成分の混合物であるPeak II画分、
および本発明の酵素を含むPeak III画分を得た。第1図
はこの結果を示し、図において−▲−はアミラーゼ活
性、−○−はアビセル糖化活性、−●−はCMC糖化活
性、−×−β−グルコシダーゼ活性、−・−は蛋白質量
を示している。このように、本発明の酵素を含むPeak I
II画分は、強いβ−グルコシダーゼ活性を有している。
このPeak III画分を集め、さらにBio−Gel P−60によ
るゲル濾過クロマトグラフィーにかけ、β−グルコシダ
ーゼ活性を有する画分を集めた。第2図はこの結果を示
し、図において−○−はアビセル糖化活性、−●−はβ
−グルコシダーゼ活性、−▲−はCMC糖化活性、−・−
は蛋白質量を示している。
次に、上記活性画分をLKB100mlカラムを用いた等電点
電気泳動にかけ、活性画分を集めて最終精製酵素標品を
得た。第3図はこの結果を示し、図において−○−はア
ビセル糖化活性、−●−はβ−グルコシダーゼ活性、−
▲−はCMC糖化活性、−・−は蛋白質量を示している。
なお、等電点電気泳動は、使用キャリア−アンフォライ
ン:pH4−6、泳動条件:5mA、600V(スタート時)→1.5m
A、1500V(終了時)で行なった。
こうして得られた精製酵素は、ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動(PAGE)およびSDS−PAGEにより、それぞれ
単一の蛋白質染色バンドを与えることが確認された。そ
して、この酵素は、第3図に示すように、β−グルコシ
ダーゼ活性と共に、アビセル糖化活性、CMC糖化活性を
も併有しており、これまでに報告されたことのない新規
な酵素であることがわかる。
この酵素の理化学的性質は、前述した通りである。な
お、前記理化学的性質において、アミノ酸組成は、常法
により試料に6規定の塩酸を添加して減圧、封かんし、
110℃、22時間分解した後、アミノ酸自動分析計(日立
製作所製、KLA−3B型)を使用して行なった。
また、前述した力価の測定法により測定した精製酵素
の比活性は、29.0単位/mg蛋白質であった。
さらに、各種基質溶液にこの精製酵素を作用ささせた
ときの結果を第1表に示す。活性は、終濃度4mMの各種
基質溶液を用いて、温度30℃、pH5.0で反応を行ない、
1分間に1μmolのグルコースを生成する初速度で示し
た。
実施例2 D−グルコース300mgに、500μの酵素液を添加し、
pH5.0、温度60℃で1〜4日間反応を行なった。使用し
た酵素は、実施例1で得られた最終精製酵素10mg(290
単位)(以下Aとする)、部分精製酵素75mg(368単
位)(実施例1の第1図におけるPeak III画分、以下B
とする)、部分精製酵素20mg(98単位、Peak III画分、
以下Cとする)の3種類である。反応終了後、反応混液
を3分間加熱処理(100℃)して反応を停止させ、3500r
pm、20分間遠心分離して上清を分離し、この上清液をペ
ーパークロマトグラフィーにかけて分析した。
この結果を第4図に示す。図において、S1は標準物質
としてグルコース、セロビオース、セロトリオース混合
液を展開した結果、S2は標準物質としてゲンチオビオー
ス、ゲンチオトリオースを展開した結果、Aは上記酵素
Aを用いた反応液の結果、Bは上記酵素Bを用いた反応
液の結果、Cは上記酵素Cを用いた反応液の結果であ
る。
第4図に示されるように、上記の各酵素反応によって
多量のゲンチオビオースおよびゲンチオトリオースが合
成されており、それ以外のオリゴ糖はほとんど合成され
ていないことがわかる。
実施例3 D−グルコース300mgに、500μの酵素液を添加し、
pH5.0、温度60℃で3日間反応を行なった。使用した酵
素は、実施例1で得られた最終精製酵素13mg(377単
位)である。反応終了後、沸騰湯浴中で5分間処理して
反応を停止させ、反応液の全量をWhatman 3MM濾紙3枚
(16×57cm)に添着し、−ブタノール:ピリジン:H2O
=6:4:3(v/v)の展開溶媒を用いて下降法で30時間室温
展開した。展開後の濾紙は、そのガイドストリップをア
セトン−硝酸銀法で発色させた。未発色のセンターパネ
ルからゲンチオビオースおよびゲンチオトリオースと思
われる2糖および3糖を水で分離溶出し、それぞれをロ
ータリーエバポレータで濃縮した。
次に、ゲンチオビオースと思われる部分から溶出させ
た水抽出液に、実施例1で得られた最終精製酵素と、キ
ャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)由来
の公知のα−グルコシダーゼとをそれぞれ作用させ、得
られたそれぞれの反応液をペーパークロマトグラフィで
展開した。なお、比較のため、標準物質としてグルコー
ス、セロビオース、ゲンチオビオース、セロトリオース
の混合液と、ゲンチオビオースと思われる部分から溶出
した水抽出液とを、同様にしてペーパークロマトグラフ
ィで展開した。
この結果を第5図に示す。図において、Sは標準物質
の混合液、1は水抽出液、2は水抽出液を実施例1で得
られた最終精製酵素で処理した反応液、3は水抽出液を
α−グルコシダーゼで処理した反応液の結果である。1
ではゲンチオビオースの移動位置に一致する物質が存在
し、2ではゲンチオビオースの移動位置に一致する物質
の他にグルコースの移動位置に一致する物質が生成され
ており、3ではゲンチオビオースの移動位置に一致する
物質のみが存在する。このことから、上記水抽出液中に
含まれる物質は、ゲンチオビオースと同じ展開位置にあ
って、本発明の酵素によってグルコースに分解される
が、α−グルコシダーゼでは全く作用を受けないことが
わかる。したがって、水抽出液中に含まれる物質はゲン
チオビオースであると同定した。また、この水抽出液中
に含まれる物質を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
にかけたところ、オーセンティックなゲンチオビオース
のリテンションタイムと一致した。
次に、ゲンチオトリオースと思われる部分から溶出さ
せた水抽出液を用いて、上記と同様な実験を行なった。
この結果を第6図に示す。図において、Sは標準物質の
混合液、1は水抽出液、2は水抽出液を実施例1で得ら
れた最終精製酵素で処理した反応液、3は水抽出液をα
−グルコシダーゼで処理した反応液の結果である。1は
セロトリオースの移動位置とは異なっており、2ではゲ
ンチオビオースの移動位置に一致する物質とグルコース
の移動位置に一致する物質とが生成されており、3では
水抽出液と同じ物質のみが存在している。これらのこと
から、水抽出液中に含まれる物質は、本発明の酵素によ
ってゲンチオビオースとグルコースとに分解され、α−
グルコシダーゼによって全く作用を受けないことがわか
り、この結果から、水抽出液中に含まれる物質は、ゲン
チオトリオースであると同定した。
実施例4 D−グルコース300gに、実施例1で得られた精製酵素
5.8×105単位を含む酵素液500mlを添加し(グルコース
約60%(w/v))、pH5.0、温度60℃で48時間反応を行な
った。反応終了後、反応混液を3分間加熱処理(100
℃)して反応を停止させ、3500rpm、20分間遠心分離し
て上清を分離した。この上清液を高速液体クラマトグラ
フィーにかけて糖組成を分析した。この結果を第7図お
よび第2表(後記)に示す。なお、高速液体クロマトグ
ラフィーの分析条件は、下記の通りである。
カラム:島津製作所製、Shimadzu SCR−101 検出器:示差屈折計 カラム温度:55℃ カラム流速:0.8ml/min 第7図において、ピークaはグルコース、ピークbは
ゲンチオビオース、ピークcはゲンチオトリオース、ピ
ークdはゲンチトテトラオースを示している。
実施例5 実施例4と同様にして酵素反応を行ない、得られた反
応液を純水で40%に希釈した後、活性炭による脱色、イ
オン交換樹脂による脱イオン処理を行ない、次いでエバ
ポレータにより濃度80%(w/w)まで濃縮した。シード
として固形分あたり0.5%の結晶グルコースを添加し、
1容ジャケット付撹拌式晶析装置を用いて晶析温度を
45℃から20℃まで徐々に低下させ、グルコース結晶を晶
出させた。その後、バスケット型遠心分離機(濾布80メ
ッシュ)により結晶を分離した。分離液の糖組成を実施
例4と同じ高速液体クロマトグラフィーにより分析し
た。この結果を第2表(後記)に示す。
実施例6 実施例4と同様にして酵素反応を行ない、得られた反
応液を純水で40%に希釈した後、活性炭による脱色、イ
オン交換樹脂による脱イオン処理を行ない、次いでエバ
ポレータにより濃度60%(w/w)まで濃縮した。次に、
内径2cm、長さ120cmのジャケット付カラムにカチオン交
換樹脂Dowex 99(Na+型、ダウケミカル社製)を充填し
た後、樹脂量当り5〜7%(w/v)の固形分量となるよ
うに上記濃縮液を負荷し、温度75℃、空間速度(SV,hr
-1)0.35で分画し、ゲンチオオリゴ糖画分を集めた。こ
の糖組成を第2表(後記)に示す。
実施例7 固定化用担体として「キトパールBCW3505」(商品
名、富士紡績(株)製)を用い、20mMの酢酸緩衝液(pH
5.0)で充分に平衡化した後、実施例1で得られた精製
酵素を同上緩衝液に溶解させて、担体1gあたり1000単位
添加し、室温で1時間往復振とうして担体に酵素を吸着
させた。その後、濾紙で濾過し、得られた固定化酵素を
上記緩衝液で蛋白質が溶出しなくなるまで洗浄した。
こうして得られた固定化酵素10mlをガラスカラム(1.
5φ×10cm)に充填した。次に、結晶グルコース(純度9
9.8%)を濃度60%(w/w)になるように水道水にて加熱
溶解し、pHを5.0に調整した後、上記カラムに温度60
℃、空間速度(SV,hr-1)0.2〜0.3の条件で連続通液し
た。7日間連続通液した後の反応液の糖組成を第2表
(後記)に示す。
また、30日間連続通液し、固定化酵素の半減期を算出
した結果、約28日であった。
「発明の効果」 以上説明したように、本発明の新規酵素は、高濃度グ
ルコースを基質として縮合反応を行なわせたとき、β−
1,6−グルコシド結合からなるゲンチオオリゴ糖を特異
的かつ優先的に合成する作用を有している。したがっ
て、この酵素を用いた本発明のシラップの製造方法で
は、ゲンチオオリゴ糖を選択的に高収率かつ高純度で生
成させることができ、ゲンチオオリゴ糖を高濃度で含む
シラップの工業的生産が可能となる。こうして得られた
シラップは、ゲンチオオリゴ糖を含むことから、例えば
難消化性、抗う蝕性のダイエット甘味料として、味覚改
善用糖質として、腸内のビヒダス菌の増殖因子として、
さらには食品の保湿剤として幅広い用途に使用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はセルラーゼ粗酵素をアンバーライトCG−50カラ
ムクロマトグラフィーにかけたときの溶出パターンを示
す図、第2図は上記の活性画分をBio−Gel P−60を用い
たゲル濾過クロマトグラフィーにかけたときの溶出パタ
ーンを示す図、第3図は上記の活性画分をLKB110mlカラ
ムを用いて等電点電気泳動を行なったときの溶出パター
ンを示す図、第4図は本発明の酵素を用いてグルコース
を基質として反応させた反応生成物のペーパークロマト
グラム、第5図は反応生成物中に含まれる2糖類を水抽
出し、この水抽出液に本発明の酵素とα−グルコシダー
ゼとを作用させて得られた反応生成物のペーパークロマ
トグラム、第6図は反応生成物中に含まれる3糖類を水
抽出し、この水抽出液に本発明の酵素とα−グルコシダ
ーゼとを作用させて得られた反応生成物のペーパークロ
マトグラム、第7図は反応生成物の高速液体クロマトグ
ラムである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の理化学的性質を有することを特徴と
    する新規酵素。 作用および基質特異性 セルロース、セロデキストリン、各種セロオリゴ糖、セ
    ロビオース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオ
    ビオースなどを基質とし、これらのβ−1,4−グルコシ
    ド結合、β−1,2−グルコシド結合、β−1,3−グルコシ
    ド結合、β−1,6−グルコシド結合を加水分解して、グ
    ルコースを生成する。 グルコースを基質として、これを縮合反応させ、主とし
    てβ−1,6−結合からなるゲンチオビオース、ゲンチオ
    トリオースなどのゲンチオオリゴ糖を生成する。 至適pHおよび安定pH範囲 至適pHは5.0であり、安定pH範囲は4℃、24時間の処理
    条件で4.2〜8.0、45℃、2時間の処理条件で4.5〜7.0で
    ある。 至適温度 至適温度(作用適温)は70℃である。 温度安定性 100%の活性を保持するための温度は55℃以下である。 等電点(pI)5.30 分子量(SDS 電気泳動法)約85,000 アミノ酸組成(モル比%) アルギニン 3.43 リジン 3.34 ヒスチジン 1.26 フェニルアラニン 2.86 チロシン 3.50 ロイシン 6.94 イソロイシン 5.10 メチオニン 0.88 バリン 8.25 アラニン 10.39 グリシン 11.12 プロリン 5.68 グルタミン酸 6.83 セリン 7.51 スレオニン 7.13 アスパラギン酸 12.77 トリプトファン 1.92 シスチン 1.08
  2. 【請求項2】高濃度グルコース溶液に請求項1記載の新
    規酵素を作用させることを特徴とするゲンチオオリゴ糖
    高含有シラップの製造方法。
  3. 【請求項3】高濃度グルコース溶液に請求項1記載の新
    規酵素を作用させ、反応液よりグルコースを除去するこ
    とを特徴とするゲンチオオリゴ糖高含有シラップの製造
    方法。
  4. 【請求項4】グルコース純度が60%(w/w)以上であ
    り、かつ、固形分濃度が30%(w/v)以上であるグルコ
    ース溶液を用いる請求項2または3記載のゲンチオオリ
    ゴ糖高含有シラップの製造方法。
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