JP2719874B2 - クランプ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被加工物を把持し、該
被加工物に洗浄、塗装等の所定の処理を行うためのクラ
ンプ装置に関するものである。

【０００２】

【従来技術】従来、被加工物を把持し、この被加工物に
洗浄、塗装等の所定の処理を行うためのクランプ装置と
しては、例えば、実公昭５７−５５０３２号公報に開示
されている被加工物搬送装置に用いられているクランプ
装置がある。このクランプ装置の概略を説明する。

【０００３】このクランプ装置は、洗浄、塗装等の加工
処理を行う各加工ステーションの間を鉛直面内で回動す
る環状板部材を設け、この環状板部材の外周面に四か
所、等角度で切欠きを形成し、この切欠きの天井部（回
動中心側）にワークストッパを配設し、前記切欠きを囲
繞するコ字状枠体を前記環状板部材の回動中心方向に摺
動可能に装着し、該コ字状枠体を前記環状板部材の回動
中心方向に常時弾発付勢し、該コ字状枠体の両足杆の端
部に位置決めピンを有する被加工物載置部材を設けると
共に、該コ字状枠体の横桁部に、コ字状枠体を下降させ
てクランプを解放状態にするカムローラが係合するカム
溝を設け、さらに、前記被加工物載置部材の間に形成さ
れている空隙部下方に被加工物を載置するキャリーバー
を上昇、前進、下降及び後退動作可能に配設したもので
ある。

【０００４】そして、加工処理を行う場合には、まず、
カム溝に係合するカムローラを下降させて被加工物載置
部材とワークストッパとの間を広くとり、キャリーバー
に載置してきた被加工物を被加工物載置部材に載せ、位
置決めピンによって位置決めをし、次に、カムローラを
上昇させてコ字状枠体の下方への押圧力を解除させれ
ば、被加工物はワークストッパと被加工物載置部材との
間に挟持されて固定されるようになるものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】以上説明した従来技術
において、被加工物を載置して位置決めし挟持して固定
するクランプ装置を、環状板部材に四か所形成した切欠
きを囲繞するようにして設けた摺動可能なコ字状枠体
と、コ字状枠体の横桁部に設けられコ字状枠体を押圧す
るカムローラが係合するカム溝等によって形成したの
で、クランプ装置の構造が複雑になり、また、メンテナ
ンス作業が相当に困難となって製作費が高くなるという
問題があった。

【０００６】さらに、被加工物を杷持した状態で被加工
物の姿勢を変更させることができないという問題もあっ
た。このように被加工物の姿勢を変更させることができ
ないと、例えば、被加工物を洗浄する場合には、被加工
物を数箇所に移送し、個々の場所に所定の目的を持たせ
て配設した多数の洗浄ノズルより洗浄液を噴出させて被
加工物の洗浄を行なわなければならず、洗浄室の内部が
複雑になりメンテナンス作業が困難になると共に、洗浄
室の製作費が高くなる問題が発生した。

【０００７】本発明は、上記従来の課題を解決するため
になされたもので、極めて簡単な構造で、しかも被加工
物を把持した状態で、被加工物の姿勢を容易に変更する
ことができ、かつ、メンテナンス作業を容易にさせて製
作費を低減させたクランプ装置を提供することを目的と
する。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するための手段として、クランプ装置本体の本体フレ
ームに回転フレームを回転自在に設け、該回転フレーム
の一方側及び他方側に各々一対のクランプユニットを配
設し、該一対のクランプユニットの個々のクランプユニ
ットは、前記回転フレームに固着支持された外殻と、該
外殻の内部に摺動自在に嵌合させた摺動軸と、前記外殻
の上部より突出した前記摺動軸の頂部に装着した、被加
工物を押えるクランプ部材と、前記摺動軸を基端部側に
常時付勢する弾発付勢手段とから成り、前記クランプユ
ニットの前記外殻の下部に前記クランプ部材と協働して
前記被加工物を保持する被加工物受けを固着すると共
に、前記摺動軸の基端部を摺動軸の頂部側に押圧する押
圧手段を設けたことを特徴とするものである。

【０００９】

【作用】本発明は、以上説明したように、本体フレーム
に回転自在に設けた回転フレームの一方側及び他方側に
各々、回転フレームに固着支持された一対の外殻と、こ
の外殻の内部に嵌合させた摺動軸と、該摺動軸の頂部に
装着した、被加工物を押えるクランプ部材と、前記摺動
軸を基端部側に常時付勢する弾発付勢手段とからなる一
対のクランプユニットを各々取付け、また、クランプユ
ニットの外殻の下部に被加工物受けを固着させ、さら
に、摺動軸の基端部を頂部側に押圧する押圧手段を設け
て、被加工物をクランプする際には、押圧手段を作動さ
せて、クランプユニットの摺動軸の基端部を押圧し、摺
動軸を弾発付勢手段に抗して外殻内を摺動させて、クラ
ンプ部材を持上げる。

【００１０】このようにして、クランプ部材と被加工物
受けとの間を広げて、被加工物のアンクランプ状態を形
成し、被加工物受けに被加工物を載置させる。その後、
押圧手段を前とは反対の方向に作動させて、摺動軸の基
端部の押圧を解除させ、被加工物を被加工物受けとクラ
ンプ部材とで挟持してクランプ状態にする。

【００１１】このようにクランプ部材を押圧手段によっ
て作動させて、クランプ部材の作動用の特別な駆動源を
なくす。また、クランプ装置本体の構造を簡素にさせ
て、軽量化を図る。

【００１２】また、回転フレームを本体フレームに回転
自在に設けて、被加工物を把持した状態で被加工物の姿
勢を変更させる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１乃至図４に基
づいて説明する。図において、１は洗浄装置のクランプ
装置本体である。クランプ装置本体１には本体フレーム
２が設けられている（図３参照）。本体フレーム２は、
図２に示すように、回転板Ｓ２にブラケット２′を介し
て固着支持されている。また、回転板Ｓ２は洗浄室の側
壁Ｓに、図示しないベアリングによって回転自在に支持
された回転駆動軸Ｓ１に固着されている。

【００１４】また、図３に示すように、本体フレーム２
には回転フレーム３が回転自在に配設されている。この
回転フレーム３は回転中心に固着させた回転軸４を本体
フレーム２に装着したベアリング５に嵌合させて回転す
るようになっている。

【００１５】さらに、回転フレーム３の一方側及び他方
側には、各々一対のクランプユニット６が配設されてい
る。これら２組の、一対のクランプユニット６は同一の
構成であるので、一方側で（図３においては右側）、か
つ、一対のクランプユニット６の個々のクランプユニッ
ト６を主に例にとり、図４及び図５を参照にして説明す
る。

【００１６】すなわち、図において、クランプユニット
６には回転フレーム３に固着支持された外殻７が設けら
れており、外殻７の内部には摺動自在に摺動軸８に嵌合
している。摺動軸８には第一段差部８′及び第二段差部
８″が形成されている。これによって摺動軸８は、基端
大径部８ａ、中径部８ｂ、及び頂部小径捩子部８ｃに形
成されている。

【００１７】また、外殻７の内部適所にはブッシュ９，
１０が内装されている。ブッシュ９には摺動軸８の基端
大径部８ａが、その下方部を突出させて摺動自在に嵌合
されており、ブッシュ１０には摺動軸８の中径部８ｂ
が、頂部小径捩子部８ｃを上方に突出させて摺動自在に
嵌合されている。

【００１８】摺動軸８の頂部にはクランプ部材であるク
ランプアーム１１が装着されている。すなわち、クラン
プアーム１１は、基端部が摺動軸８の頂部小径捩子部８
ｃに螺合したナット１２により第二段差部８″に押圧さ
れて摺動軸８に取付けられており、その先端部には、図
１に示すように、クランパ１３が装着されている。

【００１９】また、外殻７内に設けた摺動軸８の下部の
第一段差部８′と、上部のスプリング留め１５との間に
は弾発付勢手段であるスプリング１４が介装されてい
る。スプリング１４は摺動軸８の第一段差部８′を常時
摺動軸８の基端部側、すなわち、図４において、下側に
弾発付勢している。したがって、摺動軸８は常時スプリ
ング１４により基端部側に弾発付勢されていると共に、
クランプアーム１１が外殻７の上段部に係合する。

【００２０】一対のクランプユニット６の摺動軸８の基
端部には摺動軸８同士を連結する同期シャフト１６が固
着している。したがって、同期シャフト１６を下側より
押圧すると、一対のクランプユニット６の摺動軸８は同
期して上昇する。

【００２１】上記したように、一対のクランプユニット
６の個々のクランプユニット６は、回転フレーム３に固
着した外殻７と、外殻７に摺動自在に嵌合した摺動軸８
と、摺動軸８の頂部に装着したクランパ１３を備えたク
ランプアーム１１と、摺動軸８の基端部側に常時付勢す
るスプリング１４とにより概略構成されている。

【００２２】また、クランプユニット６を構成する外殻
７の下部には上方部のクランプアーム１１に対向した一
対の被加工物受け１７が固着されている。この被加工物
受け１７はクランプアーム１１と協働して被加工物Ｗを
保持するものである。そして、一対の被加工物受け１７
の少なくとも片側には位置決めピン１８が装着されてい
る（図１参照）。なお、クランプアーム１１と被加工物
受け１７は被加工物Ｗの種類により適宜形成すればよ
い。

【００２３】また、回転フレーム３の一方側の回転軸４
には連結金具１９が固着されている。この連結金具１９
には連結溝１９′が形成されており、連結溝１９′には
洗浄室の側壁Ｓに設けた位置決めガイドレールＳ４が係
合する。

【００２４】位置決めガイドレールＳ４は、洗浄室の側
壁Ｓに回転駆動軸Ｓ１（図２参照）を円中心として円形
状に配設された、図示しないガイドレールの一部をなす
ように、洗浄室の所定の処理ステーションに処理ステー
ションの数だけ独立して設けられている。位置決めガイ
ドレールＳ４には、位置決めガイドレールＳ４を回動さ
せる、図示しない回転駆動手段が接続されている。

【００２５】洗浄室の洗浄槽Ｓ３の外壁下部の適所に
は、一方側及び他方側の２組の一対のクランプユニット
６の摺動軸８の基端部を押圧する押圧手段が設けられて
いる（特に図２参照）。また、洗浄槽Ｓ３の外壁上部の
適所には一対のブラケット２２が設けられており、ブラ
ケット２２にはヒンジピン２３により一対の押圧アーム
２１が回動可能に支持されている。

【００２６】押圧アーム２１の先端部には各々押圧ロー
ラ２４がヒンジピン２５により回転自在に装着されてい
る。押圧ローラ２４は前述した２組の一対のクランプニ
ット６（図３参照）の摺動軸８の基端部に各々固着した
同期シャフト１６を押圧する。また、押圧アーム２１の
基端部には同期軸２６が回転自在に連結している。

【００２７】同期軸２６の中心部には、ナックル３１を
介して押圧シリンダ２７のピストンロッド２７′が回動
自在に連結されている（図１乃至図３参照）。押圧シリ
ンタ２７はクレビス２８により洗浄室の洗浄槽Ｓ３に固
着したブラケット２９にヒンジピン３０により回動可能
に支持されている。

【００２８】次に、本実施例の作用を説明する。まず、
図１乃至図３に示すように、クランプ装置本体１は元位
置にあり、回転フレーム３は、連結金具１９の連結溝１
９′が位置決めガイドレールＳ４と係合して所定位置に
位置決めされている。

【００２９】この状態において、押圧シリンダ２７が作
動し、ピストンロッド２７′が短縮すると、一対の押圧
アーム２１は回動しその先端部に回転自在に装着した押
圧ローラ２４が一方側及び他方側の一対のクランプユニ
ット６の摺動軸８の基端部に固着した同期シャフト１６
の下端部に当接して、同期シャフト１６を仮想線で示す
位置まで同期して押上げる（図２参照）。

【００３０】即ち、同期シャフト１６が同期して押上げ
られると、２組の一対のクランプユニット６の摺動軸８
がスプリング１４の弾発力に抗して同期して押上げられ
ると共に、摺動軸８の頂部に装着したクランプアーム１
１及びその先端部のクランパ１３も押上げられる。これ
によってクランプ装置本体１はアンクランプの状態にな
る。

【００３１】クランプ装置本体１がアンクランプした状
態になると、図示しない搬出入装置により、被加工物Ｗ
が被加工物受け１７に載置され、位置決めピン１８によ
り所定位置に位置決めされる。

【００３２】被加工物Ｗが位置決めされると、押圧シリ
ンダ２７が作動し、そのピストンロッド２７′が伸長し
て、一対の押圧アーム２１が反転し、一対の押圧アーム
２１に装着した押圧ローラ２４の同期シャフト１６への
押圧を解除する。

【００３３】押圧が解除されると、摺動軸８はスプリン
グ９の弾発力により押下げられ、これに伴って、クラン
プアーム１１も下降し、クランパ１３は被加工物Ｗを堅
固にクランプする。

【００３４】このようにして、被加工物Ｗがクランプ装
置本体１にクランプされると、回転駆動軸Ｓ１（図２参
照）が作動し、図示しないガイドレールに沿って、洗浄
室内の所定の処理ステーションへ本体フレーム２、回転
フレーム３及び被加工物Ｗを案内する。

【００３５】被洗浄物Ｗが処理ステーションに案内され
ると、回転フレーム３の連結金具１９の連結溝１９′は
処理ステーションの洗浄室の側壁Ｓに設けた位置決めガ
イドレールＳ４と係合し、図示しない回転駆動手段によ
り回転される。すなわち、被洗浄物Ｗはクランプアーム
１１のクランパ１３によりクランプされた状態で回転し
ながら洗浄される。

【００３６】被加工物Ｗの全ての処理が終了すると、被
加工物Ｗは再び元位置に案内される。即ち、連結金具１
９の連結溝１９′が、図示しない、ガイドレールに沿っ
て回動し、洗浄室内の所定の処理ステーションより元位
置に位置決めされる。

【００３７】被加工物Ｗが元位置に位置決めされると、
被加工物Ｗは前記した手段によりアンクランプされ、図
示しない搬出入装置により、被加工物受け１７から搬出
され、１サイクルは終了する。

【００３８】上記したように回転フレーム３は連結金具
１９の連結溝１９′が位置決めガイドレールＳ４に係合
して所定位置に位置決めされるので、クランプ装置本体
１には回転フレーム３を位置決めする手段を設ける必要
がない。このようにすれば、クランプ装置本体１の構造
が簡素になり、軽量化が可能となる。

【００３９】また、連結金具１９の連結溝１９′に係合
した位置決めガイドレールＳ４に回転駆動手段を接続さ
せて被加工物を回転させるようにしているので、クラン
プ装置本体１に被加工物Ｗを回転させる手段を設ける必
要もない。これによってもクランプ装置本体１を極めて
簡素なものにすることができ、かつ、軽量化することが
可能になる。

【００４０】以上、本発明のクランプ装置を洗浄装置に
適用した場合について説明したが、これに限定されるも
のではない。

【００４１】

【発明の効果】本発明は、以上説明したようにクランプ
部材を押圧手段によって作動するように構成したので、
クランプ装置本体にクランプ部材を作動するための特別
な駆動源を必要とせず、クランプ装置本体の構造を簡単
なものにすることができ、かつ、軽量化を実現すること
ができる。これにより、クランプ装置本体のメンテナン
ス作業が容易になり、製作費をも低減させることができ
る。

【００４２】また、回転フレームを本体フレームに回動
自在に設けたので、被加工物を把持した状態で被加工物
の姿勢を変更させることができるので、従来のように洗
浄室内に多数のノズルを配設する必要がなくなり、洗浄
室の内部が簡素なものとなり、洗浄室内のメンテナンス
作業が容易になると共に洗浄室の製作費をも低減させる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す正面図である。

【図２】図１のものの右側面図である。

【図３】図１のものの平面図である。

【図４】図３のもののＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図５】図１に示すものの回転フレームとクランプユニ
ットの取付状態を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ クランプ装置本体 ２ 本体フレーム ３ 回転フレーム ６ クランプユニット ７ 外殻 ８ 摺動軸 Ｗ 被加工物 １１ クランプアーム １４ スプリング １７ 被加工物受け ２０ 押圧手段

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランプ装置本体の本体フレームに回転
   フレームを回転自在に設け、該回転フレームの一方側及
   び他方側に各々一対のクランプユニットを配設し、該一
   対のクランプユニットの個々のクランプユニットは、前
   記回転フレームに固着支持された外殻と、該外殻の内部
   に摺動自在に嵌合させた摺動軸と、前記外殻の上部より
   突出した前記摺動軸の頂部に装着した、被加工物を押え
   るクランプ部材と、前記摺動軸を基端部側に常時付勢す
   る弾発付勢手段とから成り、前記クランプユニットの前記外殻の下部に前記クランプ
   部材と協働して 前記被加工物を保持する被加工物受けを
   固着すると共に、前記摺動軸の基端部を摺動軸の頂部側
   に押圧する押圧手段を設けたことを特徴とするクランプ
   装置。