JP2716472B2 - 新規なプロテアーゼ製剤 - Google Patents

新規なプロテアーゼ製剤

Info

Publication number
JP2716472B2
JP2716472B2 JP63210670A JP21067088A JP2716472B2 JP 2716472 B2 JP2716472 B2 JP 2716472B2 JP 63210670 A JP63210670 A JP 63210670A JP 21067088 A JP21067088 A JP 21067088A JP 2716472 B2 JP2716472 B2 JP 2716472B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protease preparation
present
minutes
protease
activity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP63210670A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6475431A (en
Inventor
恒 美原
洋行 須見
Original Assignee
恒 美原
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 恒 美原 filed Critical 恒 美原
Publication of JPS6475431A publication Critical patent/JPS6475431A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2716472B2 publication Critical patent/JP2716472B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/55Protease inhibitors

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ミミズから抽出される新規なプロテアーゼ
製剤に関するものである。さらに詳しくいえば、本発明
は、ミミズの抽出物から得られるフィブリン溶解活性を
有するが、フィブリノーゲン溶解活性を有さない特徴を
示す特定のフラクションから成り、血栓症治療薬として
有用な新規プロテアーゼ製剤に関するものである。
従来の技術 近年、心筋梗塞、脳血栓症、播種性血管内凝固症候群
などの血液凝固に起因する種々の疾患が多発する傾向が
あり、その治療薬に対する関心が高まっている。
このような治療薬については、これまで種々のものが
開発されているが、その中でヒトウロキナーゼやストレ
プトキナーゼなどの酵素製剤が有効であることが知られ
ており、特にヒトウロキナーゼは比較的に副作用も少な
く、かつ薬理作用も優れていることから、多く用いられ
ている。このヒトウロキナーゼは、ヒトの腎臓で産生さ
れ、尿中に排泄されるプラスミノーゲン活性化因子の1
つで、プラスミノーゲンに特異的に作用して、血栓の主
成分であるフィブリンを分解する酵素プラスミンに変え
ることにより、血栓溶解剤としての効果を発揮する。
しかしながら、このヒトウロキナーゼは、原料である
人尿の入手が困難である上、点滴静注により投与しなけ
ればならないため、投薬に際し、患者に多大の苦痛を与
えるという欠点を有している。一方、ストレプトキナー
ゼはβ溶血連鎖球菌の代謝産物で、前記ウロキナーゼと
同様にプラスミノーゲン活性化作用を有するが、抗原性
があり、アレルギーの原因となるなど、副作用が強い
上、投薬についても前記ウロキナーゼと同様の問題を有
している。
発明が解決しようとする課題 本発明は、このような血液凝固に起因する疾患の治療
薬として用いられている従来の酵素製剤がもつ欠点を克
服し、入手の容易な原料から製造することができ、しか
も点滴静注以外の投与手段により患者に投薬しうる新規
な治療薬を提供することを目的としてなされたものであ
る。
課題を解決するための手段 本発明者らは、前記の好ましい性質を有する血液凝固
に起因する疾患の新規な治療薬を開発するために鋭意研
究を重ねた結果、ミミズ中にヒト末梢血液の線溶活性を
上昇させるプロテアーゼが存在すること及びこのミミズ
の抽出物の特定のフラクションが、該治療薬として特に
有効であることを見出し、この知見に基づいて本発明を
完成するに至った。
すなわち、本発明は(a)フィブリンを溶解するが、
フィブリノーゲンを溶解せず、かつプラスミノーゲンを
活性化してプラスミンを生成する生理活性作用、(b)
ウロキナーゼ及びプラスミンの合成基質である4−メチ
ル−7−クマリルアミドのペプチド誘導体に対して作用
する基質特異性、(c)50℃の温度で60分間処理した際
の残存活性が100%、60℃の温度で60分間処理した際の
残存活性が75%、70℃の温度で60分間処理した際の残存
活性が25%である熱安定性、及び(d)アプロチニン、
大豆トリプトシンインヒビター及びヒト血漿により阻害
されるが、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサン
カルボン酸によって阻害されない性質を有する、至適pH
8〜10、安定pH3.5〜10、至適温度45〜55℃、等電点pH3.
7〜4.0、分子量25,000〜32,000のミミズ抽出物フラクシ
ョンから成るプロテアーゼ製剤を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のプロテアーゼ製剤は、ミミズの抽出物フラク
ションから成るものであって、該ミミズとしては、例え
ばアカミミズ(Lumbricus rubellus)、LTミミズ(Lum
bricus terrestris)、シマミミズ(Eisenia foetid
a)、カッショクツリミミズ(Allolobophora caligino
sa)、ムラサキツリミミズ(Dendrobaena octaedr
a)、サクラミミズ(Allolobophora japonica Michae
lsen)、ハッタミミズ(Drawida hattamimizu Hata
i)、セグロミミズ(Pheretima divergens Michaelse
n)、フツウミミズ(Pheretima communissima)、ハタ
ケミミズ(Pheretima agrestis)、シーボルトミミズ
(Pheretima sieboldi Horst)、ヒトツモンミミズ
(Pheretima hilgendorfi)、イソミミズ(Pontodrilu
s matsushimensis Iizuka)、イトミミズ(Tubifex
hattai Nomura)、ゴトウイトミミズ(ユリミミズ)
[Limnodrilus gotoi Hatai=L.SocialisStephenso
n]などが用いられる。
次に、本発明のプロテアーゼ製剤を調製する好適な方
法の1例について説明すると、まず、前記の少なくとも
一種のミムズの凍結粉末に、適当な抽出溶媒、例えば有
機酸や鉱酸のアルカリ金属塩などを含有する水溶液を添
加し、必要ならば加熱して抽出処理を行い、得られた抽
出液を適当な濃度に調整したのち、これに例えば低級ア
ルコールなどの沈殿剤を加えて沈殿を析出させ、次い
で、この沈殿を公知の手段によって取り出し、真空乾燥
法などで乾燥して、粗製の乾燥粉末を得る。次に、この
粗粉末をカラムクロマトグラフィーなどにより処理し、
適当なフラクションに分画したのち、各フラクションを
公知の方法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、ゲ
ルクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフ
ィーなどの方法によって精製することにより、所望のミ
ミズ抽出物フラクションから成るプロテアーゼ製剤を調
製することができる。
このようにして調製された本発明のプロテアーゼ製剤
は、フィブリンを溶解するがフィブリノーゲンを溶解せ
ず、かつプラスミノーゲンを活性化して、プラスミンを
生成する生理活性作用を有している。
血栓の主成分は硬タンパク質のフィブリンから成って
おり、このフィブリンは酵素プラスミンで分解される性
質を有している。該プラスミンは、通常前駆体のプラス
ミノーゲンとして血液中に存在しており、本発明のプロ
テアーゼ製剤は、このプラスミノーゲンに作用し、その
アルギニン−バリンの結合を切断してプラスミンに変え
る性質を有している。
本発明のプロテアーゼ製剤は、ウロキナーゼ及びプラ
スミンの合成基質である4−メチル−7−クマリルアミ
ドのペプチド誘導体に対して、トロンビン、プラスミ
ン、ウロキナーゼのいずれとも異なる活性を示す基質特
異性を有している。また、熱安定性については、50℃の
温度で60分間処理した際の残存活性が100%、60℃の温
度で60分間処理した際の残存活性が75%、70℃の温度で
60分間処理した際の残存活性が25%である。このプロテ
アーゼ製剤の至適温度は45〜55℃の範囲にあり、45℃未
満では酵素活性が十分に発揮されないし、55℃を超える
と酵素活性が低下する傾向が生じる。
さらに、本発明のプロテアーゼ製剤は、アプロチニン
(バイエル社商品名、トラジロール)、大豆トリプシン
インヒビター及びヒト血漿によって阻害されるが、トリ
プシンの阻割剤であるトランス−4−アミノメチルシク
ロヘキサンカルボン酸によって阻害されないという特徴
を有している。また、該プロテアーゼ製剤は、pH3.5〜1
0の範囲で安定であり、この範囲を逸脱したpHでは酵素
活性が低下する。至適pHは8〜10の範囲である。
本発明のプロテアーゼ製剤中に含まれている酵素の等
電点はpH3.7〜4.0の範囲にあり、また該酵素のゲルろ過
法によって測定した分子量は、25,000〜32,000の範囲に
ある。
本発明のプロテアーゼ製剤の毒性については、雄マウ
スに対するLD50値が経口投与において5000mg/kg以上、
腹腔内投与では20〜90mg/kg程度、静脈内投与では20〜1
20mg/kg程度である。
また、本発明のプロテアーゼの薬理作用及び薬効につ
いては、(1)ラット肺血栓症モデル試験により、5mg/
kgの経口投与によって有意に血栓形成を抑制することが
でき、その抑制率は32〜42%程度であり、かつ生成した
血栓を溶解するという治療効果も有すること、(2)ビ
ーグル犬を用いた人工血栓モデルによる薬効試験によ
り、顕著な血栓溶解作用を有すること、及び(3)対ラ
ット胃液安定性試験により、本発明のプロテアーゼ製剤
は胃液により完全に失活するが、0.4M−リン酸緩衝液又
は0.4M−炭酸水素ナトリウム緩衝液を添加すれば回復す
ること、などが確認された。
このように、本発明のプロテアーゼ製剤は、血栓溶解
剤として有用であり、臨床用として投与する際の形態に
ついては、非経口剤又は経口剤のいずれでもよいが、特
に経口投与が好ましい。臨床用の投与量としては、ヒト
に対しては1日当り0.1μgから1000mg程度、好まくは1
0μgから300mgである。本発明のプロテアーゼ製剤はヒ
ト以外の哺乳動物にも有効な血栓溶解剤であり、この場
合の投与量としては0.1μg/kg〜100mg/kgが好ましい。
本発明のプロテアーゼ製剤を用いて血栓溶解剤を調製
するには、例えば本発明のプロテアーゼ製剤の水溶液に
必要に応じて添加剤を加えたのち、凍結乾燥して粉末と
するか、あるいは本発明のプロテアーゼ製剤の凍結乾燥
粉末に必要に応じて添加剤を混合する。この際の添加剤
としては、マンニット、デキストリン、アルブミン、ゼ
ラチン、ヒドロキシエチルデンプン、グリシン、リジ
ン、アルギニン、ショ糖などの安定剤;リン酸ナトリウ
ム、クエン酸ナトリウムなどのpH調節剤;塩化ナトリウ
ム、マンニット、ソルビット、ブドウ糖などの等張化
剤;そのほか、プラスミンインヒビター活性または吸収
促進剤としてデキストラン硫酸エステル、ショ糖硫酸エ
ステルなどの糖類の硫酸エステルまたはこれらの糖類硫
酸エステルのナトリウム塩などがあげられる。このプロ
テアーゼ血栓溶解剤としては、前記添加剤の少なくとも
1種以上を用いることが好ましい。プロテアーゼ製剤は
経口用の剤形として通常の錠剤、顆粒剤、粉剤及びカプ
セル剤または腸溶カプセル剤にしたもの、もしくはリン
脂質から製造される公知の脂肪小体(リポゾーム)の空
隙中にとりこまれた製剤などの形態にすることができ
る。
発明の効果 本発明のプロテアーゼ製剤は、本発明者らがはじめて
ミミズから抽出することに成功した酵素含有フラクショ
ンであり、優れた線溶活性及び血栓溶解活性を示し、し
かも単離された酵素よりも血栓治療薬としての好ましい
性質を有している。
したがって、本発明のプロテアーゼ製剤は、末梢動静
脈血栓症、肺塞栓症、冠動脈閉塞症、心筋梗塞症、脳血
管閉塞症、網膜動脈血栓症、硝子体出血、前房出血など
の予防又は治療用として有用である。さらに輸血の際の
抗凝固剤としても、また血管手術における縫合線の塞栓
形成防止、及び血液透析における動静脈シャントの長期
機能維持にも有効である。
実施例 次に、実施例及び試験例により本発明をさらに詳細に
説明する。
実施例 ミミズの凍結乾燥粉末1kgに安息香酸ナトリウム0.1重
量%と塩化ナトリウム0.9重量%を含む水溶液10を加
え、30℃で72時間かきまぜて抽出したのち、ろ過し、ろ
過残留分をさらに前記の水溶液3で洗浄した。この抽
出液と洗浄液とを合し、限外ろ過により液量0.71にな
るまで濃縮したのち、エタノール0.71を加えて沈殿を
析出させ、これをろ別後、ろ液に最終濃度80重量%にな
るまでエタノールを追添し、沈殿を析出させた。次いで
得られた沈殿を合し、エタノールで洗浄したのち、真空
乾燥し、乾燥粗粉末42gを得た。このもののフィブリン
塊に対するフィブリン分解活性は1322mm2/mgであった。
この粗粉末を精製水1に溶解し、この溶液をDEAE−セ
ルロファイン[チッソ(株)製]を用いたカラムクロマ
トグラフィーにより処理し、プロテアーゼF−I、F−
II及びF−IIIの3分画を得た。次に、各分画を以下に
示す精製法により処理し、3種の精製プロテアーゼのフ
ラクションF−I、F−II及びF−IIIを得た。
フラクションF−I:前記のプロテアーゼF−I分画粉末
の水溶液を、10mMリン酸緩衝液(pH8.0)で平衡化したD
EAE−セルロファインカラムに通液し、活性区分を吸着
させたのち、同緩衝液により塩化ナトリウム濃度勾配0
〜100mMの溶出を行った。得られた活性区分を補集し、
さらにセファデックスG−75のゲルろ過を行った。この
ようにしてポリアクリルアミドゲル電気泳動で単一スポ
ットを与える精製品0.06gを得た。このものの線溶活性
は202×103mm2/mgであった。
フラクションF−II:前記のプロテアーゼF−II分画粉
末の水溶液を、硫酸アンモニウムの0.3飽和濃度水溶液
で平衡化したトヨパールHW−55[東洋曹達(株)製]を
充てんしたカラムに通し、活性区分を吸着させたのち、
硫酸アンモニウム水溶液により0.3飽和濃度ないし0.1飽
和濃度の濃度勾配で溶出を行った。得られた活性区分を
捕集して脱塩したのち、これを10mMリン酸緩衝液(pH6.
0)で平衡化したヘキシルセファロースカラムに通し
た。次いで、同じ緩衝液により塩化ナトリウム濃度勾配
0〜150mMの溶出を行い、得られた活性区分をセファデ
ックスG−75を用いてゲルろ過した。
このようにしてポリアクリルアミドゲル電気泳動で単
一スポットを与える精製品0.10gを得た。このものの線
溶活性は183×103mm2/mgであった。
フラクションF−III:前記のプロテアーゼF−III分画
粉末の水溶液を、20mMリン酸緩衝液(pH8.0)で平衡化
した卵白トリプシンインヒビター(シグマ社製)のセフ
ァロースアフィニティ担体カラムに通し、活性分画を吸
着させたのち、これを1M塩化ナトリウムを含むリン酸緩
衝液及び0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)で洗浄後、0.5M濃度
のアルギニンと1M濃度の塩化ナトリウムを含む酢酸緩衝
液(pH5.0)で溶出した。次にこの溶出液を0.3飽和濃度
の硫酸アンモニウム水溶液で平衡化したトヨパールHW−
55[東洋曹達(株)製]の充てんカラムに通し、活性分
画を吸着させ、これを0.3飽和濃度ないし0.1飽和濃度の
濃度勾配で硫酸アンモニウム水溶液により溶出した。
このようにして、ポリアクリルアミドゲル電気泳動に
より単一スポットを示す精製品0.07gを得た。このもの
の線溶活性は351×103mm2/mgであった。
これらの精製プロテアーゼのフラクションF−I、F
−II及びF−IIIのそれぞれについて、理化学的性質を
調べた。
(1)フィブリン及びフィブリノーゲンに対する作用; ヒト血清0.18mlに、塩化カルシウムの250mM水溶液0.0
2mlと異なった濃度の本発明のプロテアーゼ製剤溶液0.0
2mlとを加え、37℃で30分間反応させ、フィブリン分解
ペプチドの量(以下FDPと略記する)をラテックス凝集
反応によるトロンボウエルコテストキット(ウエルカム
社製)を用いて測定した。この結果を第1表に示す。こ
の表中の+の記号の数はフィブリンから生成するFDPの
相対的な量の大きさを示し、−の記号はフィブリンから
のFDP生成がないことを示す。
また、塩化カルシウム水溶液の代りに生理食塩水を用
いて上記の操作を繰り返し、FDPの生成状態を調べたと
ころ、第1表に示すようにいずれもその生成は認められ
なかった。このことは本発明のプロテアーゼ製剤はフィ
ブリンに作用するものの、フィブリノーゲンには作用し
ないことを意味する。
(2)ヒトプラスミノーゲン活性化作用; 本発明のプロテアーゼ製剤に、精製ヒトプラスミノー
ゲン(KABIAB 社製 0.05CU)を加えて反応させ、反応
後のプラスミン活性を測定した。その結果を第2表に示
す。また、比較のために市販のウロキナーゼ(HMW−UK,
50IU)についてのプラスミン活性を測定し、その結果を
第2表中に併記した。
これらの結果から分かるように、市販のウロキナーゼ
は0.251 n mole/分のプラスミンを生成するのに対し、
本発明のフラクションF−IIIは0.112 n mole/分と約0.
45倍(精製ウロキナーゼの比活性を100,000IU/mgとして
換算)であった。
(3)基質特異性; 本発明のプロテアーゼ製剤を、4−メチル−7−クマ
リルアミド(以下MCAと略記する)の各種ペプチド誘導
体に対し反応させ、その活性を「ジャーナル・オブ・バ
イオケミストリー(J.Biochem.)」,第82巻、第1495ペ
ージ(1977年)記載の方法に従って測定した。すなわち
50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)2.375μに10mMの濃度
の各種ペプチド誘導体25μを加え、37℃で30分間反応
させたのち、50重量%酢酸水溶液0.5mlを加えて反応を
停止させ、反応混合物について励起波長380nm、蛍光波
長440nmでの吸行度を測定し、1分間に1 n molの7−ア
ミノ−4−メチル−クマリンを生じたときの酵素量を1
単位として評価した。得られた結果を第3表に相対活性
として示した。なお、比較のためにトロンビン、プラス
ミン及びウロキナーゼについての活性も併記した。表中
の記号BOCは第三ブトキシカルボニル基の略である。
この表から明らかなように、本発明のプロテアーゼ製
剤は、各種合成基質に対し、トロンビン、プラスミン及
びウロキナーゼのいずれとも異なる活性を示す。
また、合成基質BOC−Glu−Lys−Lys−MCAについての
F−IIIとプラスミンのKm値を測定したところ、それぞ
れ8.43×10-4Mと1.12×10-4Mであり明らかに異なってい
た。
(4)至適pH及び安定pH; 本発明のプロテアーゼ製剤は、至適pHが8〜10付近で
あり、安定pHが3.5〜10付近であることが確認された。
第1図は、フラクションF−I、F−II及びF−III
のpH3.0〜4.0の範囲の残存活性を示すグラフである。
(5)熱安定性; 本発明のプロテアーゼ製剤のフラクションF−I、F
−II及びF−IIIについての50℃ないし90℃の温度で60
分間熱処理した際の残存活性を第2図に示す。この図か
ら明らかなように、本発明のプロテアーゼ製剤は、いず
れも50℃、60分処理で100%、60℃、60分処理で75%、7
0℃、60分処理で25%の残存活性を有していることが確
認された。
(6)阻害剤; 本発明のプロテアーゼ製剤の薬理作用は、アプロチニ
ン(バイエル社製、商品名トラジロール)、大豆トリプ
シンインヒビター(マイルズ社製)、ヒト血漿によって
阻害されるが、トリプシンの阻害剤であるトランス−4
−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸によって阻害
されないことが確認された。
(7)分子量; 本発明のプロテアーゼ製剤中に含まれている酵素のセ
ファデックスG−75を用いたゲルろ過法によって測定し
た分子量は、いずれも約25,000〜32,000の範囲内であっ
た。
(8)等電点; 本発明のプロテアーゼ製剤中に含まれている酵素の等
電点は、いずれもpH3.7〜4.0の範囲内にあることが確認
された。
試験例1 急性毒性試験 実施例で得られたプロテアーゼ製剤のフラクションF
−I、F−II及びF−IIIについて、30±2gのddy系の雄
マウス(4週令)を各群5匹ずつ用いて急性毒性試験を
行った。すなわち、各動物にプロテアーゼ製剤のフラク
ションF−I、F−II及びF−IIIを生理食塩水に溶解
し、経口、腹腔内及び静脈内で投与し、14日間にわたり
毒性症状及び死亡状況について観察した。LD50値はLith
chf−ield−Wilcoxon法[J.Pharm.Exp.Ther.,Vol.96,Pa
ge99(1949)参照]に従って算出した。この結果を第4
表に示す。
この試験の結果、経口投与では、いずれの群も技術的
投与可能限界量の5000mg/kg投与において死亡するマウ
スは全く認められず、かつ中毒症状の所見、また剖検で
は異常は全く認められなかった。
腹腔内投与では、死亡例は窒息性けいれんを起こし、
投与後90分以内に死亡した。死亡例の剖検では腹腔内へ
の血液性腹水の貯留及び内壁、腸壁への点状出血が認め
られた。生存例の剖検ではなんらの異常は認められなか
った。
静脈内投与では、死亡例は窒息性けいれんを起こして
死亡し、死亡例の剖検では肺の出血が認められた以外に
異常は観察されなかった。生存例の剖検ではなんらの異
常は認められなかった。
試験例2 ラット肺血栓症モデル試験 Wistar系雄性ラット(8〜9週令、体重250〜300g)
をウレタン麻酔下で大腿静脈にカニュレーション処理を
施した。次に乳酸を生理食塩水にて希釈し、持続注入器
(夏目製作所製)を用い、カニューレより2時間持続静
注(1.5g/kg)して肺血栓症モデルを作製した。
実施例で得られたプロテアーゼ製剤のフラクションF
−I、F−II及びF−IIIを乳酸持続注入開始3時間前
に経口投与した(5mg/kg)。
一方対照としてウロキナーゼ(ミドリ十字社製)は乳
酸持続注入開始5分前に尾静脈により10,000IU/kg投与
し、またヘパリン(ノボ社製)は30分前に2,000U/kg腹
腔内投与した。
乳酸持続注入開始前、開始後1時間、2時間及び4時
間(2時間静注後、2時間放置)後に下行大動脈より採
血し、全血0.85ml及びクエン酸加血液(3.8重量%クエ
ン酸ナトリウム:全血=1:9)4mlを採取した。
採血後、放血死させたラットより肺を摘出し、生理食
塩水で洗浄したのちLillys Formalin液で固定した。次
にパラフィン切片を作製し、H−E染色(ヘマトキシリ
ン−エオジン染色)ののちに光学顕微鏡にて肺血栓数を
計測した。計測は5葉の横断切片を200倍で観察し、各
葉3フィールドにおける直径25μm以上の血栓を総和
し、血栓数とした。この結果を第5表に示す。
この表より明らかなように本発明のプロテアーゼ製剤
では5mg/kgの経口投与することによって有意に血栓形成
を抑制することができた。その抑制率は32〜42%であっ
た。
さらに乳酸持続注入を完了した2時間後(データでは
4時間値に相当する)の抑制傾向は1時間値及び2時間
値よりも大きく、このことから本発明のプロテアーゼ製
剤がこのDICモデルにおいて血栓形成抑制という予防効
果のみならず、生成した血栓をも溶解するという積極的
な治療効果をも有することが分かる。なお、10,000IU/k
gのウロキナーゼを静注した群においても22〜35%の抗
血栓作用が認められた。一方2,000単位/kgのヘパリンを
腹腔内投与した群は抑制傾向が認められるが、本発明の
プロテアーゼ製剤に比して弱いものであった。
試験例3 対胃液安定性試験 実施例で得られたプロテアーゼ製剤のフラクションF
−I、F−II及びF−IIIに、ラット胃液単独(pH1.9
7)、0.4M−リン酸緩衝液との混合物(pH5〜6)、ある
いは0.4M−重炭酸ナトリウム緩衝液との混合物(pH6〜
7)を添加し、37℃に1時間保ったのち、それぞれの活
性を測定し、単に水を添加した場合に対する相対活性を
求めた。この結果を第6表に示す。
この表から明らかなように、本発明のプロテアーゼ製
剤は胃液により完全に失活するが、0.4M−リン酸緩衝液
又は0.4M−重炭酸ナトリウム緩衝液を添加することによ
り回復する。
試験例4 人工血栓モデルによる薬効試験 健康なビーグル犬(8〜12か月令、雌)の右足外側伏
在静脈に、犬フィブリノーゲンと牛トロンビンを用いて
人工血栓を形成させた。血栓形成30分後、対照群に対し
てはsaline5ml/bodyを、実験群に対しては、実施例で得
られたプロテアーゼ製剤のフラクションF−I、F−II
及びF−IIIの各10mg/kgを経口投与した。また比較のた
めにウロキナーゼ(203IU/5ml)を静脈投与した。
これらの各群について、投与後0,4,8,12,16,20及び24
時間に、前腕静脈より1.5mlの血液を採取し、FDPの測定
を行った。次いでFDPの増加を確認したのち、血栓作成
部位の血管造影を行い、血栓溶解の有無を判定した。そ
の結果を第7表に示す。表注の+は血栓溶解があるこ
と、−はないことを意味する。
この表から、本発明のプロテアーゼ製剤は顕著な血栓
溶解作用を有することが分かる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のプロテアーゼ製剤のpHと残存活性と
の関係を示すグラフ、第2図は温度と残存活性との関係
を示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)フィブリンを溶解するが、フィブリ
    ノーゲンを溶解せず、かつプラスミノーゲンを活性化し
    てプラスミンを生成する生理活性作用、(b)ウロキナ
    ーゼ及びプラスミンの合成基質である4−メチル−7−
    クマリルアミドのペプチド誘導体に対して作用する基質
    特異性、(c)50℃の温度で60分間処理した際の残存活
    性が100%、60℃の温度で60分間処理した際の残存活性
    が75%、70℃の温度で60分間処理した際の残存活性が25
    %である熱安定性及び(d)アプロチニン、大豆トリプ
    シンインヒビター及びヒト血漿により阻害されるが、ト
    ランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸に
    よって阻害されない性質を有する、至適pH8〜10、安定p
    H3.5〜10、至適温度45〜55℃、等電点pH3.7〜4.0、分子
    量25,000〜32,000のミミズ抽出物フラクションから成る
    プロテアーゼ製剤。
JP63210670A 1987-09-17 1988-08-26 新規なプロテアーゼ製剤 Expired - Fee Related JP2716472B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR870010309A KR890004724A (ko) 1987-09-17 1987-09-17 신규 프로테아제 제제(製劑)
KR1987-10309 1987-09-17

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6475431A JPS6475431A (en) 1989-03-22
JP2716472B2 true JP2716472B2 (ja) 1998-02-18

Family

ID=19264546

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63210670A Expired - Fee Related JP2716472B2 (ja) 1987-09-17 1988-08-26 新規なプロテアーゼ製剤

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2716472B2 (ja)
KR (1) KR890004724A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2105139A1 (en) 2008-03-26 2009-09-30 Well Stone Co. Method of producing a dry earthworm powder
CN101584853B (zh) * 2009-06-15 2012-12-19 南京中医药大学 一种地龙蛋白多肽制剂
CN103239706A (zh) * 2013-05-13 2013-08-14 肖梅芬 降糖、改善微循环消除糖尿病并发症的地龙蛋白及其应用

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1820516B1 (en) * 1999-02-22 2013-07-24 University of Connecticut Novel albumin-free factor VIII formulations
JP4501209B2 (ja) 2000-03-08 2010-07-14 ソニー株式会社 情報処理装置、情報処理方法およびリモコンのコマンダ
CN100406470C (zh) * 2001-03-30 2008-07-30 科学和工业研究委员会 从一种印度蚯蚓体腔液中得到的引起精子不能游动的蛋白
CN101146908B (zh) * 2005-03-22 2012-06-13 素出药株式会社 新型蛋白酶、生产该蛋白酶的微生物及其利用
CA2742328C (en) 2008-11-07 2019-02-26 Baxter International Inc. Factor viii formulations
CN103263660B (zh) * 2013-05-13 2015-05-20 肖梅芬 降糖、降压、消除糖尿病并发症的地龙蛋白及其应用
CN103845273B (zh) * 2014-03-14 2017-06-30 江苏隆力奇生物科技股份有限公司 一种抗皮肤老化的地龙肽及其制备方法和应用
JP2016086736A (ja) * 2014-11-05 2016-05-23 日立化成株式会社 血中希少細胞含有液の製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5963184A (ja) * 1982-10-02 1984-04-10 Amano Pharmaceut Co Ltd 新規なプロテア−ゼ
JPH0694420B2 (ja) * 1983-03-31 1994-11-24 恒 美原 血栓溶解剤

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2105139A1 (en) 2008-03-26 2009-09-30 Well Stone Co. Method of producing a dry earthworm powder
CN101584853B (zh) * 2009-06-15 2012-12-19 南京中医药大学 一种地龙蛋白多肽制剂
CN103239706A (zh) * 2013-05-13 2013-08-14 肖梅芬 降糖、改善微循环消除糖尿病并发症的地龙蛋白及其应用
CN103239706B (zh) * 2013-05-13 2014-11-26 肖梅芬 降糖、改善微循环消除糖尿病并发症的地龙蛋白及其应用

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6475431A (en) 1989-03-22
KR890004724A (ko) 1989-05-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
ES2233925T3 (es) Derivados de la proteina c.
JP2716472B2 (ja) 新規なプロテアーゼ製剤
JP3811186B2 (ja) 線虫から抽出されるセリンプロテアーゼ阻害剤および抗凝固性タンパク質
US4640835A (en) Plasminogen activator derivatives
US4505893A (en) Purified plasminogen activator, process for its production and thrombolytic composition containing it
JP6471385B2 (ja) 標的化剤としてのGlaドメイン
JPH0525470B2 (ja)
US3849252A (en) Enzyme composition and process for the manufacture thereof
US4996050A (en) Fibrinolytic activity enhancer
JPH07509229A (ja) ウシ膵トリプシン阻害因子から誘導される因子Xaの阻害因子
JPS58225023A (ja) α―1―プロテイナーゼ阻害剤の製法
JPH06192291A (ja) 新規ペプチドとそれを用いた血小板凝集抑制剤及び血液凝固抑制剤
JPH01500997A (ja) ヒアルロニダーゼの使用
JPH05503092A (ja) ヒルジン突然変異蛋白質及びヒルジンポリアルキレングリコール複合体
US4954519A (en) Isocoumarins with basic substituents as serine proteases inhibitors, anticoagulants and anti-inflammatory agents
JP5579385B2 (ja) 播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤
JPH01502667A (ja) 抗凝固活性及び抗炎症活性を有するヒト蛋白質
JP2009528831A (ja) キメラKunitzドメインおよびその使用
JPS61267524A (ja) フィブリン親和性ウロキナーゼ複合体含有血栓溶解剤
AU2004290869A1 (en) Therapeutic use of factor XI
US4479937A (en) Process of treating inflammation with human urinary thiol protease inhibitor
US20050143283A1 (en) Activated protein c formulations
JPH03218399A (ja) 尿由来の抗血液疑固物質、その製法およびそれを含有する医薬組成物
EP0369035A1 (en) Agent for treating pancreatitis or the like
Zhang et al. The influence of Annexin32, a new Ca 2+-dependent phospholipid-binding protein, on coagulation time and thrombosis

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees