JP5579385B2 - 播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤 - Google Patents

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Description

本発明は、より治療効果の高い、トロンボモジュリンを有効成分とする播種性血管内血液凝固症候群に対する治療及び/又は改善剤に関する。さらに本発明は、トロンボモジュリンを投与すべき播種性血管内血液凝固症候群患者を選択する方法に関する。
播種性血管内血液凝固症候群(以下、DICと略すことがある)は凝固疾患の一つであり、様々な疾患での組織障害によって血管凝固促進物質が大量に流出して凝固系の働きが極度に亢進し、小さな血栓が全身の血管に発生して、小さな血管を詰まらせると共に、それにより出血の制御に必要な血小板や凝固因子が消費されて不足する結果、凝固異常を起こす疾患である。DICでは、 血液凝固因子が腎臓・肺の微小血管に蓄積して虚血を生じ、循環障害とショックを起こすことが多い。それにより呼吸速迫・呼吸困難・頻脈・徐脈四肢の冷感・乏尿・痙攣などが見られることがあり、場合によってはショックにより急死することもある。同時に凝固因子と血小板の消耗で出血傾向を生じ、皮膚の紫斑、点状出血喀血、吐血、血尿、血便、あるいは鼻出血等を引き起こす。DIC治療剤としては、ヘパリン、アンチトロンビン(アンチトロンビンIIIと呼ばれることもある。以下、AT、又はATIIIと略すことがある)等が用いられている。
一方、トロンボモジュリンは、トロンビンと特異的に結合しトロンビンの血液凝固活性を阻害すると同時にトロンビンのプロテインC活性化能を著しく促進する作用を有する物質として知られ、強力な血液凝固阻害作用を有することが知られている。トロンビンによる凝固時間を延長することや、トロンビンによる血小板凝集を抑制することが知られている。プロテインCは、血液凝固線溶系において重要な役割を演じているビタミンK依存性の蛋白質であり、トロンビンの作用により活性化され、活性化型プロテインCとなる。この活性化型プロテインCは、生体内で血液凝固系因子の活性型第V因子、および活性型第VIII因子を失活させ、また血栓溶解作用を有するプラスミノーゲンアクチベーターの産生に関与していることが知られている(非特許文献1)。したがって、トロンボモジュリンは、このトロンビンによるプロテインCの活性化を促進して抗血液凝固剤又は血栓溶解剤として有用であるとされており、凝固亢進を伴う疾患の治療、予防に有効であるという動物実験についての報告もある(非特許文献2)。
従来、トロンボモジュリンは、ヒトをはじめとする種々の動物種の血管内皮細胞上に発現している糖蛋白質として発見取得され、その後、クローニングに成功した。即ち、遺伝子工学的手法を用いてヒト肺cDNAライブラリーからシグナルペプチドを含むヒトトロンボモジュリン前駆体の遺伝子をクローニングし、そしてトロンボモジュリンの全遺伝子配列を解析し、シグナルペプチド(通常は、18アミノ酸残基が例示される)を含む575残基のアミノ酸配列が明らかにされている(特許文献1)。シグナルペプチドが切断されたマチュアなトロンボモジュリンは、そのマチュアなペプチドのN末端側よりN末端領域(1−226番目:シグナルペプチドが18アミノ酸残基であると考えた場合の位置表示、以下同じ)、6つのEGF様構造をもつ領域(227−462番目)、O型糖鎖付加領域(463−498番目)、膜貫通領域(499−521番目)、そして細胞質内領域(522−557番目)の5つの領域から構成されており、そして全長のトロンボモジュリンと同じ活性を有する部分(すなわち、最小活性単位)としては、6つのEGF様構造を持つ領域のうち、主にはN末端側から4,5,6番目のEGF様構造からなる部分であることが知られている(非特許文献3)。
全長のトロンボモジュリンは界面活性剤の存在下でないと溶解し難く、製剤としては界面活性剤の添加が必須であるのに対して、界面活性剤の非存在下でもきれいに溶解することができる可溶性トロンボモジュリンが存在する。可溶性トロンボモジュリンは、少なくとも、膜貫通領域の一部又は全部を含有せしめないように調製すればよく、例えば、N末端領域と6つのEGF様構造をもつ領域とO型糖鎖付加領域の3つの領域のみからなる(即ち、配列番号9の第19〜516位のアミノ酸配列からなる)可溶性トロンボモジュリンは、組換え技術の応用により取得できること、そしてその組換え体可溶性トロンボモジュリンは、天然のトロンボモジュリンの活性を有していることが確認されている(特許文献1)。他に可溶性トロンボモジュリンの例としていくつかの報告がある(特許文献2〜9)。あるいは天然型としてヒト尿由来の可溶性トロンボモジュリン等も例示される(特許文献10、11)。
因みに、遺伝子においては、自然の変異または取得時の変異により、多くのケースで認められる通り、ヒトにおいても多型性の変異が見つけられており、上述の575残基のアミノ酸配列からなるヒトトロンボモジュリン前駆体の第473位のアミノ酸においてValであるものと、Alaであるものが現在確認されている。このアミノ酸をコードする塩基配列においては、第1418位において、それぞれTとCとの変異に相当する(非特許文献4)。しかし、活性および物性においては、全く相違なく、両者は実質的に同一と判断できる。
トロンボモジュリンはDICの治療において効果があることが報告されている(非特許文献5)。トロンボモジュリンの用途としては上述の他に、例えば、急性冠動脈症候群(ACS)、血栓症、末梢血管閉塞症、閉塞性動脈硬化症、血管炎、心臓手術に続発する機能性障害、臓器移植の合併症、狭心症、一過性脳虚血発作、妊娠中毒症、糖尿病、肝VOD(Liver veno−occlusive disease;劇症肝炎や骨髄移植後の肝静脈閉塞症)、深部静脈血栓症(DVT;Deep venous thrombosis)等や、さらには敗血症や成人呼吸窮迫症候群(ARDS)の疾患の治療および予防に用いられることが期待されている。
特開昭64−6219号公報 特開平2−255699号公報 特開平3−133380号公報 特開平3−259084号公報 特開平4−210700号公報 特開平5−213998号公報 WO92/00325号公報 WO92/03149号公報 WO93/15755号公報 特開平3−86900号公報 特開平3−218399号公報 鈴木宏治、医学のあゆみ、第125巻、901頁(1983年) K.Gomiら Blood 75.1396−1399(1990) M.Zushiら、J.Biol.Chem.,246,10351−10353(1989) D.Z.Wenら、Biochemistry,26,4350−4357(1987) S.M.Batesら、Br. J. of Pharmacol.,144,1017−1028(2005)
本発明の課題は、より治療効果の高いDIC治療及び/又は改善剤、またはその治療及び/又は改善方法を提供することにある。本発明の別の課題は、トロンボモジュリンを投与すべき播種性血管内血液凝固症候群患者を選択する方法を提供することである。
DICの治療及び/又は改善として一般的には、抗凝固薬による抗凝固療法、又は濃厚血小板・新鮮凍結血漿による補充が実施される。DICの本態は血液凝固系の過度な活性化であるため、それを抑制する抗凝固療法が基礎疾患に対する治療と並行して広く行われている。DICの治療及び/又は改善においては通常ヘパリン及び/又はAT製剤が使用されることが多い。ヘパリンの抗凝固作用はATの凝固因子阻害速度を著しく促進することにより発現されると考えられている(Majerus PW,Tollefsen DM. 「抗凝固薬、血栓溶解薬および抗血小板薬」 In: 高折修二、福田英臣、赤池昭紀編 グッドマンギルマン薬理書 第10版 東京:廣川書店:2003.p1937−63)ため、ヘパリンは血漿中AT活性値が例えば80%程度と比較的その値が高い患者に対し使用されている(岡嶋研二著「播種性血管内凝固症候群と多臓器不全」:医薬ジャーナル社)。また、血漿中のAT活性値が例えば70%程度以下の患者に対してはAT製剤が代表的な薬剤として挙げられ(アンスロンビンP及びノイアート添付文書:「用法及び用量」)、血漿中のAT活性値を高めて抗凝固作用を促進することによりDICの治療及び/又は改善を図る方法が主に採用されている。またこの際に必要に応じてヘパリンも併用されることがある。
このように、DICを治療及び/又は改善するためには、DIC患者の血漿中のAT活性値が少なくとも70%以上に保つように補充することが望ましく、また、血漿中のAT活性値を高めることがDICを治療及び/又は改善する上で常識と考えられている中、本発明者らは、意外にも血漿中AT活性値が50%未満という血漿中AT活性値が低い患者において反って高い有効性があることを確認し、本発明を完成するに至った。この結果は、少な目に見積もっても、血漿中AT活性値が50%未満との低いDIC患者において高い効果が認められるとの、当業者も想定できなかった意外なものであった。
仮に、AT製剤を投与するとすれば、投与するAT製剤は貴重な人血液を原料として製剤化されるものであり、また、人血液を原料とすることによる感染症伝播のリスクを完全には排除することができない(アンスロンビンP及びノイアート添付文書:「使用上の注意」)ため懸念点があるものであり、さらには血液製剤としてのATは高価であるとの問題点もあったが、本発明はこれらの問題点を払拭する好ましい薬剤又はDIC治療及び/又は改善剤を提供することができる。
すなわち本発明としては以下のものが挙げられる。
〔1〕トロンボモジュリンを有効成分とする薬剤であって、該薬剤が、血漿中のアンチトロンビン活性値が50%未満である播種性血管内血液凝固症候群患者に投与されるための播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔2〕該トロンボモジュリンが可溶性トロンボモジュリンである前記〔1〕に記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔3〕該トロンボモジュリンが、配列番号1、3、5、7、9又は配列番号11に記載のアミノ酸配列をコードするDNAを宿主細胞にトランスフェクトして調製された形質転換細胞により取得されるペプチドである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔3−2〕該トロンボモジュリンが、配列番号1又は配列番号3に記載のアミノ酸配列をコードするDNAを宿主細胞にトランスフェクトして調製された形質転換細胞により取得されるペプチドである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔3−3〕該トロンボモジュリンが、配列番号5又は配列番号7に記載のアミノ酸配列をコードするDNAを宿主細胞にトランスフェクトして調製された形質転換細胞により取得されるペプチドである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔3−4〕該トロンボモジュリンが、配列番号9又は配列番号11に記載のアミノ酸配列をコードするDNAを宿主細胞にトランスフェクトして調製された形質転換細胞により取得されるペプチドである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔4〕該トロンボモジュリンが、配列番号1もしくは配列番号3のそれぞれにおける第19〜132位の配列を有するペプチド、上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチド、又はそれらの混合物のいずれかである前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−2〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔4−2〕該トロンボモジュリンが、配列番号1もしくは配列番号3のそれぞれにおける第19〜132位の配列を有するペプチド、又は上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチドである前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−2〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔4−3〕該トロンボモジュリンが、配列番号1もしくは配列番号3のそれぞれにおける第19〜132位の配列を有するペプチドである前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−2〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔4−4〕該トロンボモジュリンが、配列番号1もしくは配列番号3のそれぞれにおける第19〜132位もしくは第17〜132位の配列を有するペプチド、上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチド、又はそれらの混合物のいずれかである前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−2〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔4−5〕該トロンボモジュリンが、配列番号1もしくは配列番号3のそれぞれにおける第19〜132位もしくは第17〜132位の配列を有するペプチド又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−2〕のいずれかにに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔4−6〕該トロンボモジュリンが、配列番号1における第19〜132位もしくは第17〜132位の配列を有するペプチド又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−2〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔4−7〕該トロンボモジュリンが、配列番号3における第19〜132位もしくは第17〜132位の配列を有するペプチド又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−2〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔4−8〕該トロンボモジュリンが、配列番号1における第19〜132位もしくは第17〜132位の配列からなるペプチド又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−2〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔4−9〕該トロンボモジュリンが、配列番号3における第19〜132位もしくは第17〜132位の配列からなるペプチド又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−2〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔5〕該トロンボモジュリンが、配列番号5もしくは配列番号7のそれぞれにおける第19〜480位の配列を有するペプチド、上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチド、又はそれらの混合物のいずれかである前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−3〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔5−2〕該トロンボモジュリンが、配列番号5もしくは配列番号7のそれぞれにおける第19〜480位の配列を有するペプチド、又は上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチドである前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−3〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔5−3〕該トロンボモジュリンが、配列番号5もしくは配列番号7のそれぞれにおける第19〜480位の配列を有するペプチドである前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−3〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔5−4〕該トロンボモジュリンが、配列番号5もしくは配列番号7のそれぞれにおける第19〜480位もしくは第17〜480位の配列を有するペプチド、上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチド、又はそれらの混合物のいずれかである前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−3〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔5−5〕該トロンボモジュリンが、配列番号5もしくは配列番号7のそれぞれにおける第19〜480位もしくは第17〜480位の配列を有するペプチド又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−3〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔5−6〕該トロンボモジュリンが、配列番号5における第19〜480位もしくは第17〜480位の配列を有するペプチド又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−3〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔5−7〕該トロンボモジュリンが、配列番号7における第19〜480位もしくは第17〜480位の配列を有するペプチド又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−3〕のいずれかにに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔5−8〕該トロンボモジュリンが、配列番号5における第19〜480位もしくは第17〜480位の配列からなるペプチド又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−3〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔5−9〕該トロンボモジュリンが、配列番号7における第19〜480位もしくは第17〜480位の配列からなるペプチド又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−3〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔6〕該トロンボモジュリンが、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位の配列を有するペプチド、前記ペプチドのアミノ酸配列の1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチド、又はそれらの混合物のいずれかである前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−4〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔6−2〕該トロンボモジュリンが、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位の配列を有するペプチド、又は前記ペプチドのアミノ酸配列の1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチドである前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−4〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔6−3〕該トロンボモジュリンが、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位の配列を有するペプチドである前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−4〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔6−4〕該トロンボモジュリンが、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列を有するペプチド、前記ペプチドのアミノ酸配列の1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチド、又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−4〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔6−5〕該トロンボモジュリンが、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列を有するペプチド、又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−4〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔6−6〕該トロンボモジュリンが、配列番号9における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列を有するペプチド、又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−4〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔6−7〕該トロンボモジュリンが、配列番号11における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列を有するペプチド、又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−4〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔6−8〕該トロンボモジュリンが、配列番号9における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチド、又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−4〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔6−9〕該トロンボモジュリンが、配列番号9における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチドである前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−4〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔6−10〕該トロンボモジュリンが、配列番号11における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチド、又はそれらの混合物である前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−4〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔6−11〕該トロンボモジュリンが、配列番号11における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチドである前記〔1〕、〔2〕、又は〔3−4〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔7〕播種性血管内血液凝固症候群患者が、血漿中のアンチトロンビン活性値が40%以下の患者である前記〔1〕〜〔6−11〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
なお、上記〔1〕〜〔6−11〕のように引用する項番号が範囲で示され、その範囲内に〔6−2〕等の枝番号を有する項が配置されている場合には、〔6−2〕等の枝番号を有する項も引用されることを意味する。以下においても同様である。
〔8〕播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤が非経口投与剤である前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔9〕播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤が静脈内投与剤である前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔10〕一日あたり0.02〜0.08mg/kg投与量を4時間以内で持続点滴静注することを特徴とする前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔11〕アンチトロンビンと組み合わされて投与されないことを特徴とする前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔12〕播種性血管内血液凝固症候群が造血器悪性腫瘍由来又は感染症由来播種性血管内血液凝固症候群である前記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔12−1〕播種性血管内血液凝固症候群が造血器悪性腫瘍由来播種性血管内血液凝固症候群である前記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔12−2〕播種性血管内血液凝固症候群が感染症由来播種性血管内血液凝固症候群である前記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔12−3〕播種性血管内血液凝固症候群を患うヒト患者の死亡の可能性を減少させるための薬剤であって、トロンボモジュリンを有効成分とし、該薬剤が、血漿中アンチトロンビン活性値が50%未満である播種性血管内血液凝固症候群患者に投与されるための該薬剤;
〔12−4〕トロンボモジュリンが、前記〔1〕〜〔6−11〕のいずれかに記載のペプチドである、前記〔12−3〕に記載の薬剤;
〔12−5〕前記〔12−3〕に記載の薬剤であって、前記〔1〕〜〔12−2〕のいずれかに記載の特徴を有する該薬剤;
〔13〕トロンボモジュリンを投与すべき播種性血管内血液凝固症候群患者を選択する方法であって、播種性血管内血液凝固症候群患者の血漿中のアンチトロンビン活性値を測定しそのアンチトロンビン活性値が50%未満である播種性血管内血液凝固症候群患者を選択し、トロンボモジュリンを投与すべき播種性血管内血液凝固症候群患者であると判断することを含む、該選択方法;
〔13−2〕トロンボモジュリンが、前記〔1〕〜〔6−11〕のいずれかに記載のペプチドである、前記〔13〕に記載のトロンボモジュリンを投与すべき播種性血管内血液凝固症候群患者を選択する方法;
〔13−3〕トロンボモジュリンを有効成分とする薬剤であって、該薬剤が、血漿中のアンチトロンビン活性値を測定した後に播種性血管内血液凝固症候群患者に投与されるための播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔13−4〕トロンボモジュリンを有効成分とする薬剤であって、該薬剤が、血漿中のアンチトロンビン活性値を測定し、そのアンチトロンビン活性値が50%未満である場合に播種性血管内血液凝固症候群患者に投与されるための播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤;
〔14〕血漿中のアンチトロンビン活性値が50%未満である播種性血管内血液凝固症候群患者にトロンボモジュリンを投与することを含む、播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善方法;
〔15〕該トロンボモジュリンが可溶性トロンボモジュリンである前記〔14〕に記載の方法;
〔16〕該トロンボモジュリンが、配列番号1、3、5、7、9又は配列番号11に記載のアミノ酸配列をコードするDNAを宿主細胞にトランスフェクトして調製された形質転換細胞により取得されるペプチドである、前記〔14〕又は〔15〕に記載の方法;
〔16−2〕該トロンボモジュリンが、配列番号1又は配列番号3に記載のアミノ酸配列をコードするDNAを宿主細胞にトランスフェクトして調製された形質転換細胞により取得されるペプチドである、前記〔14〕又は〔15〕に記載の方法;
〔16−3〕該トロンボモジュリンが、配列番号5又は配列番号7に記載のアミノ酸配列をコードするDNAを宿主細胞にトランスフェクトして調製された形質転換細胞により取得されるペプチドである、前記〔14〕又は〔15〕に記載の方法;
〔16−4〕該トロンボモジュリンが、配列番号9又は配列番号11に記載のアミノ酸配列をコードするDNAを宿主細胞にトランスフェクトして調製された形質転換細胞により取得されるペプチドである、前記〔14〕又は〔15〕に記載の方法;
〔17〕該トロンボモジュリンが、配列番号1もしくは配列番号3のそれぞれにおける第19〜132位の配列を有するペプチド、上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチド、又はそれらの混合物のいずれかである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−2〕のいずれかに記載の方法;
〔17−2〕該トロンボモジュリンが、配列番号1もしくは配列番号3のそれぞれにおける第19〜132位の配列を有するペプチド、又は上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチドである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−2〕のいずれかに記載の方法;
〔17−3〕該トロンボモジュリンが、配列番号1もしくは配列番号3のそれぞれにおける第19〜132位の配列を有するペプチドである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−2〕のいずれかに記載の方法;
〔17−4〕該トロンボモジュリンが、配列番号1もしくは配列番号3のそれぞれにおける第19〜132位もしくは第17〜132位の配列を有するペプチド、上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチド、又はそれらの混合物のいずれかである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−2〕のいずれかに記載の方法;
〔17−5〕該トロンボモジュリンが、配列番号1もしくは配列番号3のそれぞれにおける第19〜132位もしくは第17〜132位の配列を有するペプチド、又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−2〕のいずれかに記載の方法;
〔17−6〕該トロンボモジュリンが、配列番号1における第19〜132位もしくは第17〜132位の配列を有するペプチド、又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−2〕のいずれかに記載の方法;
〔17−7〕該トロンボモジュリンが、配列番号3における第19〜132位もしくは第17〜132位の配列を有するペプチド、又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−2〕のいずれかに記載の方法;
〔17−8〕該トロンボモジュリンが、配列番号1における第19〜132もしくは第17〜132位の配列からなるペプチド又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−2〕のいずれかに記載の方法;
〔17−9〕該トロンボモジュリンが、配列番号3における第19〜132位もしくは第17〜132位の配列からなるペプチド又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−2〕のいずれかに記載の方法;
〔18〕該トロンボモジュリンが、配列番号5もしくは配列番号7のそれぞれにおける第19〜480位の配列を有するペプチド、上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチド、又はそれらの混合物のいずれかである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−3〕のいずれかに記載の方法;
〔18−2〕該トロンボモジュリンが、配列番号5もしくは配列番号7のそれぞれにおける第19〜480位の配列を有するペプチド、又は上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチドである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−3〕のいずれかに記載の方法;
〔18−3〕該トロンボモジュリンが、配列番号5もしくは配列番号7のそれぞれにおける第19〜480位の配列を有するペプチドである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−3〕のいずれかに記載の方法;
〔18−4〕該トロンボモジュリンが、配列番号5もしくは配列番号7のそれぞれにおける第19〜480位もしくは第17〜480位の配列を有するペプチド、上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチド、又はそれらの混合物のいずれかである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−3〕のいずれかに記載の方法;
〔18−5〕該トロンボモジュリンが、配列番号5もしくは配列番号7のそれぞれにおける第19〜480位もしくは第17〜480位の配列を有するペプチド、又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−3〕のいずれかに記載の方法;
〔18−6〕該トロンボモジュリンが、配列番号5における第19〜480位もしくは第17〜480位の配列を有するペプチド、又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−3〕のいずれかに記載の方法;
〔18−7〕該トロンボモジュリンが、配列番号7における第19〜480位もしくは第17〜480位の配列を有するペプチド、又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−3〕のいずれかに記載の方法;
〔18−8〕該トロンボモジュリンが、配列番号5における第19〜480もしくは第17〜480位の配列からなるペプチド又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−3〕のいずれかに記載の方法;
〔18−9〕該トロンボモジュリンが、配列番号5における第19〜480位もしくは第17〜480位の配列からなるペプチド又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−3〕のいずれかに記載の方法;
〔19〕該トロンボモジュリンが、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位の配列を有するペプチド、上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチド、又はそれらの混合物のいずれかである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−4〕のいずれかに記載の方法;
〔19−2〕該トロンボモジュリンが、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位の配列を有するペプチド、又は上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチドである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−4〕のいずれかに記載の方法;
〔19−3〕該トロンボモジュリンが、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位の配列を有するペプチドである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−4〕のいずれかに記載の方法;
〔19−4〕該トロンボモジュリンが、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列を有するペプチド、上記配列の相同変異配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチド、又はそれらの混合物のいずれかである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−4〕のいずれかに記載の方法;
〔19−5〕該トロンボモジュリンが、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列を有するペプチド、又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−4〕のいずれかに記載の方法;
〔19−6〕該トロンボモジュリンが、配列番号9における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列を有するペプチド、又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−4〕のいずれかに記載の方法;
〔19−7〕該トロンボモジュリンが、配列番号11における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列を有するペプチド、又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−4〕のいずれかに記載の方法;
〔19−8〕該トロンボモジュリンが、配列番号9における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチド又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−4〕のいずれかに記載の方法;
〔19−9〕該トロンボモジュリンが、配列番号9における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチドである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−4〕のいずれかに記載の方法;
〔19−10〕該トロンボモジュリンが、配列番号11における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチド又はそれらの混合物である前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−4〕のいずれかに記載の方法;
〔19−11〕該トロンボモジュリンが、配列番号11における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチドである前記〔14〕、〔15〕、又は〔16−4〕のいずれかに記載の方法;
〔20〕血漿中のアンチトロンビン活性値が40%以下である播種性血管内血液凝固症候群患者にトロンボモジュリンを投与する前記〔14〕〜〔19−11〕のいずれかに記載の方法;
〔21〕トロンボモジュリンを非経口的に投与する前記〔14〕〜〔20〕のいずれかに記載の方法;
〔22〕トロンボモジュリンを静脈内投与する前記〔14〕〜〔21〕のいずれかに記載の方法;
〔23〕トロンボモジュリンを一日あたり0.02〜0.08mg/kg投与量を4時間以内で持続点滴静注する前記〔14〕〜〔22〕のいずれかに記載の方法;
〔24〕アンチトロンビンと組み合わせて投与しないことを特徴とする前記〔14〕〜〔23〕のいずれかに記載の方法;
〔25〕播種性血管内血液凝固症候群が造血器悪性腫瘍由来又は感染症由来播種性血管内血液凝固症候群である前記〔14〕〜〔24〕のいずれかに記載の方法;
〔25−1〕播種性血管内血液凝固症候群が造血器悪性腫瘍由来播種性血管内血液凝固症候群である前記〔14〕〜〔24〕のいずれかに記載の方法;
〔25−2〕播種性血管内血液凝固症候群が感染症由来播種性血管内血液凝固症候群である前記〔14〕〜〔24〕のいずれかに記載の方法。
〔26〕播種性血管内血液凝固症候群を患うヒト患者の死亡の可能性を減少させる方法であって、血漿中アンチトロンビン活性値が50%未満である播種性血管内血液凝固症候群患者にトロンボモジュリンを投与することを含む該方法;
〔26−2〕トロンボモジュリンが、前記〔1〕〜〔6−11〕のいずれかに記載のペプチドである、前記〔26〕に記載の方法;
〔26−3〕前記〔26〕に記載の投与方法であって、前記〔1〕〜〔25−2〕のいずれかに記載の特徴を有する該投与方法。
〔27〕血漿中のアンチトロンビン活性値を測定した後にトロンボモジュリンを播種性血管内血液凝固症候群患者に投与することを含む、播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善方法;
〔27−2〕血漿中のアンチトロンビン活性値を測定し、そのアンチトロンビン活性値が50%未満である場合にトロンボモジュリンを播種性血管内血液凝固症候群患者に投与することを含む、播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善方法;
本発明のトロンボモジュリン含有製剤を用いることにより、血漿中のAT活性値が50%未満であるDIC患者の症状を、好ましくはATと組み合わせて用いることなく効果的に治療及び/又は改善することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明により、トロンボモジュリンを有効成分とする薬剤であって、該薬剤が、血漿中のアンチトロンビン活性値が50%未満である播種性血管内血液凝固症候群患者に投与される播種性血管内血液凝固症候群(DIC)の治療及び/又は改善剤が提供される。
即ち、本発明の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤は、血漿中のアンチトロンビン活性値が50%未満である播種性血管内血液凝固症候群患者における播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤である。
また同様に、播種性血管内血液凝固症候群を患うヒト患者の死亡の可能性を減少させるための薬剤が提供される。
DICの治療及び/又は改善としては、例えば「DICによる患者の死亡を防ぐこと」が好ましい効果のひとつとして挙げられるし、また「DICにより患者の全身状態が悪化するのを防ぐこと」も好ましい効果として挙げられる。
DICは、様々な疾患での組織障害によって血管凝固促進物質が大量に流出して凝固系の働きが極度に亢進し、小さな血栓が全身の血管に発生(微小血栓形成)して、小さな血管を詰まらせると共に、それにより出血の制御に必要な血小板や凝固因子が消費されて不足する結果、止血異常を起こす疾患あるいは症候群である。具体的には血管内フィブリン形成により、消費性凝固線溶障害による出血症状や微小血栓形成による臓器不全症状が認められる。DICは、播種性血管内凝固症候群又は汎発性血管内凝固症候群と呼ばれることもある。
造血器悪性腫瘍・固形癌といった悪性腫瘍を基礎疾患においては、腫瘍細胞に発現している組織因子が血液と接触することにより、血液凝固系が過度に活性化されDICが引き起こされる。
また、DICは、感染性と非感染性を問わず重篤な臨床的侵襲によって起こる全身性炎症反応症候群(以下、SIRSと略すことがある)の延長上に引き起こされることもある。
SIRSとは、重篤な組織傷害や重症感染症に伴う炎症性サイトカイン産生亢進により引き起こされる病態であり、この反応が過剰になると好中球の活性化や血管内皮細胞の活性化によりDICが引き起こされる。すなわちDIC準備段階(以下、preDICと略すことがある)であり、本発明のDIC治療及び/又は改善剤はpreDICにおいても効果的に使用することができ、本発明におけるDICの治療及び/又は改善剤にはpreDICの治療及び/又は改善も含まれる。
DICの臨床症状は基礎病態の種類に応じて様々であるが、DICの診断方法としては出血症状、臓器症状の観察に加え、次に示すいくつかの検査値によりDICスコアをつけ、ある一定以上のスコアに達した場合にDICであると診断することが好ましい。検査値としては、例えば、血中の血小板数、プラスミンにより分解されたフィブリン並びにフィブリノゲン分解産物(以下、FDPと略すことがある)濃度、D−ダイマー濃度、フィブリノゲン濃度、又はプロトロンビン時間等が挙げられる。また、DICスコアをつけず、血小板低下、D−ダイマー、あるいはFDP濃度上昇等からpreDICと診断することもできる(中川雅夫.「播種性血管内凝固(DIC)診断基準の利用に関する調査報告」厚生省特定疾患血液凝固異常症調査研究班, 平成11年度研究報告書.1999: 65−72、出口克巳.「DIC早期治療開始基準に関する試案について」厚生省特定疾患血液凝固異常症調査研究班, 平成11年度研究報告書.1999:73−77、中川克、辻肇.「DIC診断の現状−アンケート調査結果報告」臨床血液.1999;40:362−364)。さらには、血中の可溶性フィブリン濃度あるいはトロンビン−アンチトロンビン複合体濃度を測定することによりpreDICと診断することも可能である。DICスコアをつける診断基準としては、例えば、Overt DICの診断基準(Taylor FBら, Thromb Haemost 2001: 86: 1327-1330)、急性期DIC診断基準(Gando Sら、Clin Appl Thromb Hemost 2005: 11(1): 71-76)、又は厚生省のDIC診断基準(青木延雄、長谷川淳:DIC診断基準の「診断のための補助的検査成績、所見」の項の改訂について 厚生省特定疾患血液凝固異常症調査研究班 平成4年度研究報告書 1988:p37−41)が具体的に例示される。
DICの診断方法としては上記の診断方法であれば特に限定されないが、DICスコアをつける診断方法が好ましい。また、治療効果、医療費、又は患者のQOLの観点からDICに対する早期からの治療が必要な場合の場合には、preDIC診断が好ましい別の態様もある。
DICスコアをつける診断方法としては、上記の診断方法の他、類似のDICスコアをつける診断方法も可能である。
本発明のDIC治療及び/又は改善剤の適用は、DICの種類に特に限定されることはないが、造血器悪性腫瘍由来DIC又は感染症由来DICへの適用がより好ましく、感染症由来DICへの適用がさらに好ましい。感染症由来DICの具体例としては、敗血症由来DICが好ましい例として挙げられる。また好ましい別の態様として、造血器悪性腫瘍由来DICへの適用も挙げられる。
本発明の治療及び/又は改善剤は敗血症に対しても使用できる場合がある。敗血症は、感染性の重篤な臨床的侵襲によって起こるSIRSとも位置付けられ、感染症を原因疾患とするDICと密接な関係にある。敗血症においてDICを併発することはしばしばあり、そのようなDICを併発した敗血症患者に対しても本発明の薬剤が使用できる場合がある。すなわち、本発明においては、DIC又は敗血症のいずれか一方、又は両方を患った患者、又は患っていることが疑われる患者に対して使用することができる場合がある。
敗血症は、感染症、悪性腫瘍、肝硬変、腎不全、糖尿病、異常分娩といったような疾病や、留置カテーテル、輸液器具、透析、気管切開といったようなケガや病気に対する治療が原因となって、感染巣から絶えずまたは断続的に微生物が血液に侵入してくる重傷全身性感染症として知られている。症状が進行すると、敗血性ショック、すなわち急激な血圧降下、末梢循環不全によって全身性のショックが誘発され、肺、腎臓、肝臓、心臓、消化管、さらには中枢神経系など重要臓器の障害により死亡する。また、敗血症に伴う合併症として、DICや、好中球の活性化と肺実質への遊走集積に伴う肺毛細障害により、肺間質の浮腫、出血や急性呼吸不全を特徴とする成人呼吸窮迫症候群(ARDS)が誘発され、予後は非常に悪くなる。
敗血症の診断方法としてはいくつかの方法がある。それらはLevy M.ら、Crit.Care.Med.、31:1250−1256にまとめられている。例えば、医師によりその診断を行う方法、あるいは検査値等を用いる方法がある。後者の例として、1)体温>38℃又は<36℃、2)心拍数>90/分、3)呼吸数>20/分又は人工呼吸を必要とする、4)白血球数>12,000/mm3または<4,000/mm3、又は幼弱球>10%、の4項目の内、2項目を満たす場合SIRSと診断し、微生物が病因に証明されたかまたは疑われたSIRSを敗血症と診断する方法がある[LaRosa S.、The Cleveland Clinicのホームページ]。これに近い方法がMembers of the American College of Chest Physicians/Society of Critical Care Medicine Consensus Conference: Crit Care Med、20、864−874(1992)に記載されている。
敗血症患者の状態としては、例えば菌血症、敗血症(septicemia)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症(微生物が病因に証明されたか又は疑われたSIRS)、重症敗血症、敗血症性ショック、難治性敗血症性ショック、又は多臓器機能障害(以下、MODSと呼ばれることがある)が例示される(ハリソン内科学 原著第15版 124項 P828−833 株式会社メディカル・サイエンス・インターナショナル)。上記各状態は、本発明の治療及び/又は改善剤が効果的な症状として例示される。
菌血症としては、血液培養陽性で証明される血液中の細菌の存在が確認される状態が例示される。
敗血症(septicemia)としては、血液中の微生物又は他の毒素の存在が確認される状態が例示される。
全身性炎症反応症候群(SIRS)としては、上記の通りDIC準備段階にある状態が例示される。
重症敗血症としては、代謝性アシドーシス、急性脳症、乏尿、低酸素血症又は播種性血管内凝固などの臓器不全または低血圧の症状を1つ又は複数伴う敗血症が例示される。
敗血症性ショックとしては、低血圧(血圧90mmHg以下又は通常の血圧より40mmHg以下)で、補液による蘇生法にも反応せず、臓器不全を伴うものが例示される。
難治性敗血症性ショックとしては、敗血症性ショックが1時間以上持続し、補液昇圧剤に反応しないものが例示される。
多臓器機能障害(MODS)としては、1臓器以上の機能不全があり、恒常性を保つため医学的介入を要するものが例示される。
本発明のDIC治療及び/又は改善剤は、AT低下患者に効果的に使用することができる。AT低下患者とは、血漿中のAT活性値が70%以下と正常人に比べてAT活性値が低下した状態にある患者をいう。AT低下患者としては、先天性AT欠乏患者又は後天性AT欠乏患者が例示される。先天性AT欠乏患者とは、生まれながらにしてAT活性値が35〜70%程度と正常人より低値である患者であり、後天性AT欠乏患者とは、後天的にAT活性値が70%以下に低下した患者である。後天的にAT活性値が低値となる原因としては、具体的には慢性肝不全等肝疾患、手術後、ショック、重症感染症、ネフローゼ症候群等腎疾患、炎症性腸疾患等の消化器疾患、ヘパリン等の薬剤性低下、高齢による低下、早産の新生児、糖尿病、ベーチェット病、又は栄養不良が例示される。もっとも、本発明においてはAT低下患者であれば先天的であるか後天的であるかは特に限定されない。患者の人種は特に限定されないが、日本人が好ましい。
その中でも、本発明のトロンボモジュリンを有効成分として含有するDIC治療及び/又は改善剤により、血漿中のAT活性値が50%未満である患者のDICの症状を効果的に治療及び/又は改善することができる。
AT活性とはトロンビンまたは活性型X因子の凝固活性を中和する活性として定義され、AT活性値は、健康成人から得られた血漿(以下、正常血漿)で得られるAT活性に対する相対値として示されることが一般的な例として挙げられる。使用する正常血漿としては当業者が通常使用する正常血漿であれば特に限定されることはないが、世界保健機関(WHO)の生物学的検定法専門委員会(Expert Committee on Biological Standardization(以下、ECBSと略すことがある))によって確立され、英国国立生物学的製剤研究所(National Institute for Biological Standards and Control(以下、NIBSCと略すことがある))が管理・配布する正常血漿の国際標準品(NIBSC製)を用いることができる。また、NIBSCの国際標準品を用いてAT活性が校正された市販の標準血漿(例えば、国際血栓止血学会の科学及び標準化委員会(Scientific and Standardization Committee(以下、SSCと略すことがある)、International Society on Thrombosis and Haemostasis(以下、ISTHと略すことがある)の標準血漿が挙げられる)を用いることも好ましい例として挙げられる。さらには、通常のAT活性値測定キットに添付された正常血漿又はAT活性値測定キット指定の正常血漿を用いることもできる。通常のAT活性値測定キットに添付された正常血漿又はAT活性値測定キット指定の正常血漿としては、正常血漿剤「第一」(第一化学薬品)が好ましい例として挙げられる。正常血漿を用いて測定した血漿検体のAT活性値は、NIBSCの国際標準品の正常血漿を基準としたAT活性値に換算することが好ましい場合がある。より好ましくは正常血漿剤「第一」(第一化学薬品)を基準としたAT活性値に換算してAT活性値を求めることができる。
正常血漿としてはNIBSCの国際標準品を用いることが好ましい。また、NIBSCの国際標準品を用いてAT活性が校正された市販の標準血漿を用いることが好ましい別の態様もある。正常血漿のより好ましい態様としては、正常血漿剤「第一」(第一化学薬品)が挙げられる。例えば、血漿中のAT活性値が50%であるという場合、上記正常血漿のAT活性に対する割合が50%であることを意味する。
DICの症状を効果的に治療及び/又は改善するためには、DIC患者の血漿中のAT活性値が50%未満であれば特に限定されないが、上限としては48%以下であることが好ましく、46%以下であることがより好ましく、44%以下であることがさらに好ましく、42%以下であることが特に好ましく、40%以下であることが最も好ましく、下限としては上述した測定方法の検出限界以上であれば特に限定されないが、0.1%以上が例示され、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましく、25%以上であることが特に好ましく、実施例における試験例1の患者群のAT活性値からすれば30%以上であることが最も好ましい。
また、本発明によりトロンボモジュリンを有効成分とする薬剤であって、該薬剤が、血漿中のアンチトロンビン活性値を測定した後に播種性血管内血液凝固症候群患者に投与されるための播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤が提供される。血漿中のアンチトロンビン活性値を測定した後に播種性血管内血液凝固症候群患者に投与されるものであれば本発明の治療及び/又は改善剤は特に限定されないが、測定したアンチトロンビン活性値が50%未満である場合に播種性血管内血液凝固症候群患者に投与されるための播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤であることが好ましい。このように血漿中のアンチトロンビン活性値を測定した後にトロンボモジュリンを播種性血管内血液凝固症候群患者に投与することは、薬剤の効果を十分に発揮させる上で好ましい。
また、本発明のDIC治療及び/又は改善剤は、慢性肝不全等肝疾患、手術後、ショック、重度感染症等によりAT低下を伴う患者への適用も可能である。
本発明におけるトロンボモジュリンは、(1)トロンビンと選択的に結合して(2)トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する作用を有することが知られている。また、(3)トロンビンによる凝固時間を延長する作用、及び/又は(4)トロンビンによる血小板凝集を抑制する作用が通常認められることが好ましい。これらトロンボモジュリンの持つ作用をトロンボモジュリン活性と呼ぶことがある。
トロンボモジュリン活性としては、上記(1)及び(2)の作用を有し、さらに上記(1)〜(4)の作用を全て備えていることが好ましい。
トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する作用は、例えば、特開昭64−6219号公報を初めとする各種の公知文献に明確に記載された試験方法によりプロテインCの活性化を促進する作用の活性量やその有無を容易に確認できるものである。また、トロンビンによる凝固時間を延長する作用、及び/又はトロンビンによる血小板凝集を抑制する作用についても同様に容易に確認できる。
本発明におけるトロンボモジュリンとしては、トロンボモジュリン活性を有していれば特に限定されないが、可溶性トロンボモジュリンであることが好ましい。可溶性トロンボモジュリンの溶解性の好ましい例示としては、水、例えば注射用蒸留水に対して(トリトンX−100やポリドカノール等の界面活性剤の非存在下、通常は中性付近にて)、1mg/mL以上、または10mg/mL以上が挙げられ、好ましくは15mg/mL以上、または17mg/mL以上が挙げられ、さらに好ましくは20mg/mL以上、25mg/mL以上、または30mg/mL以上が例示され、特に好ましくは60mg/mL以上が挙げられ、場合によっては、80mg/mL以上、または100mg/mL以上がそれぞれ挙げられる。可溶性トロンボモジュリンが溶解し得たか否かを判断するに当たっては、溶解した後に、例えば白色光源の直下、約1000ルクスの明るさの位置で、肉眼で観察した場合に、澄明であって、明らかに認められるような程度の不溶性物質を含まないことが端的な指標となるものと理解される。また、濾過して残渣の有無を確認することもできる。
本発明におけるトロンボモジュリンとしては、ヒト型のトロンボモジュリンにおいてトロンボモジュリン活性の中心部位として知られている配列番号1の第19〜132位のアミノ酸配列を包含していることが好ましく、配列番号1の第19〜132位のアミノ酸配列を包含していれば特に限定されない。該配列番号1の第19〜132位のアミノ酸配列は、トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する作用、すなわちトロンボモジュリン活性を有する限り自然又は人工的に変異していてもよく、すなわち配列番号1の第19〜132位のアミノ酸配列の1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、付加していても良い。許容される変異の程度は、トロンボモジュリン活性を有すれば特に限定されないが、例えばアミノ酸配列として50%以上の相同性が例示され、70%以上の相同性が好ましく、80%以上の相同性がより好ましく、90%以上の相同性がさらに好ましく、95%以上の相同性が特に好ましく、98%以上の相同性が最も好ましい。これらのようなアミノ酸配列を相同変異配列という。これらの変異については後述の通り、通常の遺伝子操作技術を用いれば容易に取得可能である。
配列番号3の配列は、配列番号1の配列の第125位のアミノ酸であるValがAlaに変異したものであるが、本発明におけるトロンボモジュリンとして、配列番号3の第19〜132位のアミノ酸配列を包含していることも好ましい。
このように本発明におけるトロンボモジュリンとしては、配列番号1もしくは配列番号3の第19〜132位の配列、又はそれらの相同変異配列を少なくとも有し、少なくともトロンボモジュリン活性を有するペプチド配列を包含していれば特に限定されないが、配列番号1もしくは配列番号3のそれぞれにおける第19〜132位もしくは第17〜132位の配列からなるペプチド、又は上記配列の相同変異配列からなり少なくともトロンボモジュリン活性を有するペプチドが好ましい例として挙げられ、配列番号1もしくは配列番号3の第19〜132位の配列からなるペプチドがより好ましい。また、配列番号1もしくは配列番号3のそれぞれにおける第19〜132位もしくは第17〜132位の相同変異配列からなり少なくともトロンボモジュリン活性を有するペプチドがより好ましい別の態様もある。
また本発明におけるトロンボモジュリンの別の態様として、配列番号5の第19〜480位のアミノ酸配列を包含していることが好ましく、配列番号5の第19〜480位のアミノ酸配列を包含していれば特に限定されない。該配列番号5の第19〜480位のアミノ酸配列は、トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する作用、すなわちトロンボモジュリン活性を有する限りその相同変異配列であってもよい。
配列番号7の配列は、配列番号5の配列の第473位のアミノ酸であるValがAlaに変異したものであるが、本発明におけるトロンボモジュリンとして、配列番号7の第19〜480位のアミノ酸配列を包含していることも好ましい。
このように本発明におけるトロンボモジュリンとしては、配列番号5もしくは配列番号7の第19〜480位の配列、又はそれらの相同変異配列を少なくとも有し、少なくともトロンボモジュリン活性を有するペプチド配列を包含していれば特に限定されないが、配列番号5もしくは配列番号7のそれぞれにおける第19〜480位もしくは第17〜480位の配列からなるペプチド、又は上記配列の相同変異配列からなり少なくともトロンボモジュリン活性を有するペプチドが好ましい例として挙げられ、配列番号5もしくは配列番号7の第19〜480位の配列からなるペプチドがより好ましい。また、配列番号5もしくは配列番号7のそれぞれにおける第19〜480位もしくは第17〜480位の相同変異配列からなり少なくともトロンボモジュリン活性を有するペプチドがより好ましい別の態様もある。
また本発明におけるトロンボモジュリンの別の態様として、配列番号9の第19〜515位のアミノ酸配列を包含していることが好ましく、配列番号9の第19〜515位のアミノ酸配列を包含していれば特に限定されない。該配列番号9の第19〜515位のアミノ酸配列は、トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する作用、すなわちトロンボモジュリン活性を有する限りその相同変異配列であってもよい。
配列番号11の配列は、配列番号9の配列の第473位のアミノ酸であるValがAlaに変異したものであるが、本発明におけるトロンボモジュリンとして、配列番号11の第19〜515位のアミノ酸配列を包含していることも好ましい。
このように本発明におけるトロンボモジュリンとしては、配列番号9もしくは配列番号11の第19〜515位の配列、又はそれらの相同変異配列を少なくとも有し、少なくともトロンボモジュリン活性を有するペプチド配列を包含していれば特に限定されないが、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチド、又は上記配列の相同変異配列からなり少なくともトロンボモジュリン活性を有するペプチドがより好ましい例として挙げられ、配列番号9における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチドが特に好ましい。これらの混合物も好ましい例として挙げられる。また、配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチドが特に好ましい別の態様もある。これらの混合物も好ましい例として挙げられる。さらにそれらの相同変異配列からなり、少なくともトロンボモジュリン活性を有するぺプチドも好ましい例として挙げられる。
相同変異配列を有するペプチドとは、上述した通りであるが、対象とするペプチドのアミノ酸配列中1つ以上、すなわち1つ又は複数のアミノ酸、さらに好ましくは数個(例えば1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個)のアミノ酸が置換、欠失、付加していてもよいペプチドをも意味する。許容される変異の程度は、トロンボモジュリン活性を有すれば特に限定されないが、例えばアミノ酸配列として50%以上の相同性が例示され、70%以上の相同性が好ましく、80%以上の相同性がより好ましく、90%以上の相同性がさらに好ましく、95%以上の相同性が特に好ましく、98%以上の相同性が最も好ましい。
さらに、本発明におけるトロンボモジュリンとしては、特開昭64−6219における配列番号14の配列(462アミノ酸残基)からなるペプチド、配列番号8の配列(272アミノ酸残基)からなるペプチド、又は配列番号6の配列(236アミノ酸残基)からなるペプチドも好ましい例として挙げられる。
本発明におけるトロンボモジュリンとしては配列番号1又は配列番号3の第19〜132位のアミノ酸配列を少なくとも有しているペプチドであれば特に限定されないが、その中でも配列番号5又は配列番号7の第19〜480位のアミノ酸配列を少なくとも有しているペプチドであることが好ましく、配列番号9もしくは配列番号11の第19〜515位のアミノ酸配列を少なくとも有しているペプチドであることがより好ましい。配列番号9もしくは配列番号11の第19〜515位のアミノ酸配列を少なくとも有しているペプチドとしては、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチドがより好ましい例として挙げられる。また、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチドの、配列番号9もしくは配列番号11それぞれについての混合物もより好ましい例として挙げられる。
上記混合物の場合、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第17位から始まるペプチドと第19位から始まるペプチドの混合割合としては、(30:70)〜(50:50)が例示され、(35:65)〜(45:55)が好ましい例として挙げられる。
また、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第515位で終わるペプチドと第516位で終わるペプチドの混合割合としては、(70:30)〜(90:10)が例示され、(75:25)〜(85:15)が好ましい例として挙げられる。
これらペプチドの混合割合は、通常の方法により求めることができる。
なお、配列番号1の第19〜132位の配列は、配列番号9の第367〜480位の配列に相当し、配列番号5の第19〜480位の配列は、配列番号9の第19〜480位の配列に相当する。
また、配列番号3の第19〜132位の配列は、配列番号11の第367〜480位の配列に相当し、配列番号7の第19〜480位の配列は、配列番号11の第19〜480位の配列に相当する。
さらに、配列番号1、3、5、7、9、及び11のそれぞれにおける第1〜18位の配列は、全て同一の配列である。
これら本発明におけるトロンボモジュリンは後述の通り、これら配列番号1、3、5、7、9、又は11等のペプチドをコードするDNA(具体的には、それぞれ配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、又は配列番号12等の塩基配列)をベクターにより宿主細胞にトランスフェクトして調製された形質転換細胞より取得することができる。
さらに、これらのペプチドは、前記のアミノ酸配列を有すればよいのであって、糖鎖が付いていても、又付いていなくともよく、この点は特に限定されるものではない。また遺伝子操作においては、使用する宿主細胞の種類により、糖鎖の種類や、付加位置や付加の程度は相違するものであり、いずれも用いることができる。糖鎖の結合位置及び種類については、特開平11−341990に記載の事実が知られており、本発明におけるトロンボモジュリンについても同様の位置に同様の糖鎖が付加する場合がある。後述の通り、遺伝子操作により取得することに特定されるものではないが、遺伝子操作により取得する場合には、発現に際して用いることができるシグナル配列としては、上述の配列番号9の第1〜18位のアミノ酸配列をコードする塩基配列、配列番号9の第1〜16位のアミノ酸配列をコードする塩基配列、その他公知のシグナル配列、例えば、ヒト組織型プラスミノーゲンアクチベーターのシグナル配列を利用することができる(国際公開88/9811号公報、特開平11−341990)。
トロンボモジュリンをコードするDNA配列を宿主細胞へ導入する場合には、好ましくはトロンボモジュリンをコードするDNA配列を、ベクター、特に好ましくは、動物細胞において発現可能な発現ベクターに組み込んで導入する方法が挙げられる。発現ベクターとは、プロモーター配列、mRNAにリボソーム結合部位を付与する配列、発現したい蛋白をコードするDNA配列、スプライシングシグナル、転写終結のターミネーター配列、複製起源配列などで構成されるDNA分子であり、好ましい動物細胞発現ベクターの例としては、R.C.Mulliganら[Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78.2072(1981)]が報告しているpSV2−Xや、P.M.Howleyら[Methods in Emzymology,101,387,Academic Press(1983)]が報告しているpBP69T(69−6)などが挙げられる。
これらのペプチドを製造するに際して用いることのできる宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS−1細胞、COS−7細胞、VERO(ATCC CCL−81)細胞、BHK細胞、イヌ腎由来MDCK細胞、ハムスターAV−12−664細胞等が、またヒト由来細胞としてHeLa細胞、WI38細胞、ヒト293細胞が挙げられる。CHO細胞が極めて一般的であり好ましく、CHO細胞においては、DHFR−CHO細胞がさらに好ましい。
また、遺伝子操作の過程やペプチドの製造過程において、大腸菌等の微生物も多く使われ、それぞれに適した宿主−ベクター系を使用することが好ましく、上述の宿主細胞においても、適宜のベクター系を選択することができる。遺伝子組換え技術に用いるトロンボモジュリンの遺伝子は、クローニングされており、そしてトロンボモジュリンの遺伝子組換え技術を用いた製造例が開示されており、さらにはその精製品を得るための精製方法も知られている[特開昭64−6219号公報、特開平2−255699号公報、特開平5−213998号公報、特開平5−310787号公報、特開平7−155176号公報、J.Biol.Chem.,264:10351−10353(1989)]。したがって本発明で用いるトロンボモジュリンは、上記の報告に記載されている方法を用いることにより、あるいはそれらに記載の方法に準じることにより製造することができる。例えば特開昭64−6219号公報では、全長のトロンボモジュリンをコードするDNAを含むプラスミドpSV2TMJ2を含む、Escherichia coli K−12 strain DH5(ATCC寄託番号67283号)が開示されている。また、この菌株を生命研(現独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター)に再寄託した菌株(Escherichia coli DH5/pSV2TM J2)(FERM BP−5570)を用いることもできる。この全長のトロンボモジュリンをコードするDNAを原料として、公知の遺伝子操作技術によって、本発明のトロンボモジュリンを調製することができる。
本発明に用いられるトロンボモジュリンは、従来公知の方法またはそれに準じて調製すればよいが、例えば、前記山本らの方法[特開昭64−6219号公報]、または特開平5−213998号公報を参考にすることができる。すなわちヒト由来のトロンボモジュリン遺伝子を遺伝子操作技術により、例えば、配列番号9のアミノ酸配列をコードするDNAとなし、さらに必要に応じた改変を行うことも可能である。この改変としては、例えば、配列番号11のアミノ酸配列をコードするDNA(具体的には、配列番号12の塩基配列よりなる)となすために、配列番号9のアミノ酸配列の第473位のアミノ酸をコードするコドン(特に、第1418位の塩基)に、メソッド イン エンザイモロジー[Method in Enzymology,100:468(1983年),アカデミックプレス(Academic Press)]に記載の方法に従って、部位特異的変異を行う。例えば、配列番号10の第1418位の塩基Tは、配列番号13に示された塩基配列を有する変異用合成DNAを用いて塩基Cに変換したDNAとなすことができる。
このようにして調製したDNAを、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に組み込んで、形質転換細胞とし、適宜選択し、この細胞を培養して得た培養液から、公知の方法により精製されたトロンボモジュリンが製造できる。前述の通り配列番号9のアミノ酸配列をコードするDNA(配列番号10)を前記宿主細胞にトランスフェクトすることが好ましい。本発明に用いられるトロンボモジュリンの生産方法は、上記の方法に限定されるものではなく、例えば、尿や血液、その他体液等から抽出精製することでも可能であるし、またトロンボモジュリンを生産する組織またはこれら組織培養液等から抽出精製することも、また必要によりさらに蛋白分解酵素により切断処理することも可能である。
上記細胞培養方法により本発明におけるトロンボモジュリンを製造する場合、タンパク質の翻訳後修飾により、N末端アミノ酸に多様性が認められる場合がある。例えば、配列番号9における第17位、18位、19位、もしくは22位のアミノ酸がN末端となる場合がある。また、例えば第22位のグルタミン酸がピログルタミン酸に変換されるように、N末端アミノ酸が修飾される場合もある。第17位又は19位のアミノ酸がN末端となることが好ましく、第19位のアミノ酸がN末端となることがより好ましい。また、第17位のアミノ酸がN末端となることが好ましい別の態様もある。以上の修飾や多様性等については配列番号11についても同様な例が挙げられる。
さらに、配列番号10の塩基配列を有するDNAを用いてトロンボモジュリンを製造する場合、C末端アミノ酸の多様性が認められることがあり、1アミノ酸残基短いペプチドが製造される場合がある。すなわち、第515位のアミノ酸がC末端となり、さらに該第515位がアミド化されるといったように、C末端アミノ酸が修飾される場合がある。したがって、N末端アミノ酸とC末端アミノ酸が多様性に富んだペプチド、又はそれらの混合物が製造されることがある。第515位のアミノ酸がC末端となることが好ましい。また、第516位のアミノ酸がC末端になることが好ましい別の態様もある。以上の修飾や多様性等については配列番号12の塩基配列を有するDNAについても同様である。
上記方法で得られるトロンボモジュリンは、N末端及びC末端に多様性が認められるペプチドの混合物である場合がある。具体的は、配列番号9における第19〜516位、第19〜515位、第17〜516位、もしくは第17〜515位の配列からなるペプチドの混合物が挙げられる。
次いで上記により取得された培養上清、または培養物からのトロンボモジュリンの単離精製方法は、公知の手法[堀尾武一編集、蛋白質・酵素の基礎実験法]に準じて行うことができる。例えば、トロンボモジュリンと逆の電荷を持つ官能基を固定化したクロマトグラフィー担体と、トロンボモジュリンの間の相互作用を利用したイオン交換クロマトグラフィーや吸着クロマトグラフィーの使用も好ましい。また、トロンボモジュリンとの特異的親和性を利用したアフィニティークロマトグラフィーも好ましい例として挙げられる。吸着体の好ましい例として、トロンボモジュリンのリガンドであるトロンビンやトロンボモジュリンの抗体を利用する例が挙げられる。この抗体としては、適宜の性質、或いは適宜のエピトープを認識するトロンボモジュリンの抗体を利用することができ、例えば、特公平5−42920号公報、特開昭64−45398号公報、特開平6−205692号公報などに記載された例が挙げられる。また、トロンボモジュリンの分子量サイズを利用した、ゲル濾過クロマトグラフィーや限外濾過が挙げられる。そしてまた、疎水性基を固定化したクロマトグラフィー担体と、トロンボモジュリンのもつ疎水性部位との間の疎水結合を利用した疎水性クロマトグラフィーが挙げられる。また、吸着クロマトグラフィーとしてハイドロキシアパタイトを担体として用いることも可能であり、例えば、特開平9−110900号公報に記載した例が挙げられる。これらの手法は適宜組み合わせることができる。精製の程度は、使用目的等により選択できるが、例えば電気泳動、好ましくはSDS−PAGEの結果が単一バンドとして得られるか、もしくは単離精製品のゲル濾過HPLCまたは逆相HPLCの結果が単一のピークになるまで純粋化することが望ましい。もちろん、複数種のトロンボモジュリンを用いる場合には、実質的にトロンボモジュリンのみのバンドになることが好ましいのであり、単一のバンドになることを求めるものではない。
本発明における精製法を具体的に例示すれば、トロンボモジュリン活性を指標に精製する法が挙げられ、例えばイオン交換カラムのQ−セファロースFast Flowで培養上清または培養物を粗精製しトロンボモジュリン活性を有する画分を回収し、ついでアフィニティーカラムのDIP−トロンビン−アガロース(diisopropylphosphorylthrombin agarose)カラムで主精製しトロンボモジュリン活性が強い画分を回収し、回収画分を濃縮し、ゲルろ過にかけトロンボモジュリン活性画分を純品として取得する精製方法[Gomi K.ら、Blood、75:1396−1399(1990)]が挙げられる。指標とするトロンボモジュリン活性としては、例えばトロンビンによるプロテインC活性化の促進活性が挙げられる。その他に、好ましい精製法を例示すると以下の通りである。
トロンボモジュリンと良好な吸着条件を有する適当なイオン交換樹脂を選定し、イオン交換クロマト精製を行なう。特に好ましい例としては、0.18M NaClを含む0.02Mトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化したQ−セファロースFast Flowを用いる方法である。適宜洗浄後、例えば0.3M NaCl含む0.02Mトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で溶出し粗精製品のトロンボモジュリンを得ることができる。
次に、例えばトロンボモジュリンと特異的親和性を持つ物質を樹脂に固定化しアフィニティークロマト精製を行うことができる。好ましい例としてDIP−トロンビン−アガロースカラムの例と、抗トロンボモジュリンモノクローナル抗体カラムの例が挙げられる。DIP−トロンビン−アガロースカラムは、予め、例えば、100mM NaClおよび0.5mM塩化カルシウムを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化せしめ、上記の粗精製品をチャージして、適宜の洗浄を行い、例えば、1.0M NaCl及び0.5mM塩化カルシウムを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で溶出し精製品のトロンボモジュリンを取得することができる。また抗トロンボモジュリンモノクローナル抗体カラムにおいては、予めCNBrにより活性化したセファロース4FF(GEヘルスケアバイオサイエンス社)に、抗トロンボモジュリンモノクローナル抗体を溶解した0.5M NaCl含有0.1M NaHCO3緩衝液(pH8.3)に接触させ、セファロース4FFに抗トロンボモジュリンモノクローナル抗体をカップリングさせた樹脂を充填したカラムを、予め例えば0.3M NaCl含む20mMリン酸塩緩衝液(pH7.3)で平衡化し、適宜の洗浄の後、例えば、0.3M NaCl含む100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)にて溶出せしめる方法が例示される。溶出液は適当な緩衝液で中和し、精製品として取得することもできる。
次に得られた精製品をpH3.5に調整した後に、0.3M NaClを含む100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で平衡化した陽イオン交換体、好ましくは強陽イオン交換体であるSP−セファロースFF(GEヘルスケアバイオサイエンス社)にチャージし、同緩衝液で洗浄して得られた非吸着画分を得る。得られた画分は適当な緩衝液で中和し、高純度精製品として取得することができる。これらは、限外濾過により濃縮することが好ましい。
さらに、ゲル濾過による緩衝液交換を行なうことも好ましい。例えば、50mM NaClを含む20mMリン酸塩緩衝液(pH7.3)で平衡化せしめたSephacryl S−300カラムもしくはS−200カラムに、限外濾過により濃縮した高純度精製品をチャージし、50mM NaClを含む20mMリン酸塩緩衝液(pH7.3)で展開分画し、トロンビンによるプロテインCの活性化の促進活性の確認を行ない活性画分を回収し緩衝液交換した高純度精製品を取得することができる。このようにして得られた高純度精製品は安全性を高めるために適当なウイルス除去膜、例えばプラノバ15N(旭化成メディカル株式会社)を用いてろ過することが好ましく、その後限外濾過により目的の濃度まで濃縮することができる。最後に無菌濾過膜により濾過することが好ましい。
このようにして入手したトロンボモジュリンを通常の方法により凍結乾燥製剤となすことができる。すなわち、トロンボモジュリンおよび必要により添加される添加剤を含有してなる溶液を凍結し、減圧下のもとで水を昇華することにより乾燥させる方法が例示される。
本発明において、血漿中のAT活性値とは動脈由来の血漿中のAT活性値であっても静脈由来の血漿中のAT活性値であってもよく、静脈由来の血漿中のAT活性値であることが好ましい。また、動脈由来の血漿中のAT活性値であることが好ましい場合もある。通常は静脈由来の血漿中のAT活性値を意味する。AT活性値の測定方法は特に限定されることはないが、例えば活性型第十因子残存量からAT活性値を求める発色性合成基質法によりAT活性値を測定することができる。
具体的には、血液検体をクエン酸ナトリウム入り採血管に採取し、速やかに遠心分離を行い血漿を回収する。続いて該血漿にヘパリンを添加してAT−ヘパリン複合体を形成させ、さらに、このAT−ヘパリン複合体に一定過剰量の活性型第十因子を添加する。活性型第十因子は、検体中のAT−ヘパリン複合体量に応じてAT−ヘパリン−活性型第十因子複合体を形成し、不活性化される。該複合体形成反応後、基質液を加え、反応して遊離してきたp−ニトロアニリンを比色定量することにより残存した活性型第十因子活性を測定することができる。該残存した活性型第十因子活性は検体中のAT活性を反映するため、別途作成した検量線によりAT活性値を求めることができる。p−ニトロアニリンの比色定量には自動分析装置BM1650(日本電子株式会社製)を用いることができる。また、検量線は標準物質を用いることにより作成することができる。
本発明のトロンボモジュリンを有効成分として含有するDIC治療及び/又は改善剤の1日の投与量は、患者の年齢、体重、疾患の程度、投与経路などによっても異なるが、一般的にトロンボモジュリンの量として、上限としては5mg/kg以下が好ましく、2mg/kg以下がより好ましく、1mg/kg以下がさらに好ましく、0.8mg/kg以下が特に好ましく、下限としては0.005mg/kg以上が好ましく、0.01mg/kg以上がより好ましく、0.02mg/kg以上がさらに好ましく、0.05mg/kg以上が特に好ましい。
1日あたり1回または必要に応じて数回投与する。投与間隔は毎日でも良いが、好ましくは2日から14日間に1回、さらに好ましくは3日から10日間に1回、さらに好ましくは4日から7日に1回とすることも可能である。
特に、静脈内投与では1日1回投与が好ましいがこれに限定されることはない。また、皮下投与では1日1回投与又は1週間に1回投与が好ましく、投与量に合わせて投与間隔を調整することも可能である。
本発明のトロンボモジュリンを有効成分として含有するDIC治療及び/又は改善剤の投与方法としては、一般的に使用されている投与方法、すなわち非経口投与方法、例えば静脈内投与、筋肉内投与、又は皮下投与等によって投与することができる。特に筋肉内投与又は皮下投与は血中濃度が長期間維持されることより、投与間隔を長くできる点で好ましい。また、静脈内投与が好ましい別の態様もある。その他、経口投与、直腸内投与、鼻内投与、舌下投与なども可能である。
静脈内投与の場合、一度に所望の量を投与する方法又は点滴静脈内投与が挙げられる。
一度に所望の量を投与する方法は投与時間が短い点で好ましい。一度に投与する場合には、注射器での投与に要する時間に通常幅があるが、投与に要する時間としては、投与する液量にもよるが、通常は2分以下が好ましく、1分以下がより好ましく、30秒以下がさらに好ましい。また下限としては特に限定されないが、1秒以上が好ましく、5秒以上がより好ましく、10秒以上がさらに好ましい。投与量は上記の好ましい投与量であれば特に限定されない。
点滴静脈内投与はトロンボモジュリンの血中濃度を一定に保つことが容易な点で好ましく、上記の好ましい投与量であれば特に限定されないが、1日の投与量の上限としては1mg/kg以下が好ましく、0.5mg/kg以下がより好ましく、0.1mg/kg以下がさらに好ましく、0.08mg/kg以下が特に好ましく、0.06mg/kg以下が最も好ましく、下限としては0.005mg/kg以上が好ましく、0.01mg/kg以上がより好ましく、0.02mg/kg以上がさらに好ましく、0.04mg/kg以上が特に好ましい。
点滴静脈内投与の場合の投与時間は、上限としては4時間以下が好ましく、3時間以下がより好ましく、2時間以下がさらに好ましく、1時間以下が特に好ましく、30分以下が最も好ましく、下限としては10分以上が好ましく、15分以上がより好ましく、20分以上がさらに好ましい。
凍結乾燥製剤とした場合は、用時に、水、例えば蒸留水(または、注射用水)、生理食塩水等にて溶解して患者に投与することができる。
また、液剤とする場合は、有効量のトロンボモジュリンを、薬剤として使用可能な担体と混合することにより調製すればよい。すなわち、上記の疾患を治療するのに有効な量のトロンボモジュリンを公知の適当量の担体と混ぜて、患者に効果的に投与するのに適した製剤を調製することができる。例えば、ショ糖、グリセリン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの増粘剤、各種無機塩のpH調整剤などを添加剤として加えて調製することができる。
[配列表の説明]
配列番号1:TME456の生産に用いた遺伝子がコードするアミノ酸配列
配列番号2:配列番号1のアミノ酸配列をコードする塩基配列
配列番号3:TME456Mの生産に用いた遺伝子がコードするアミノ酸配列
配列番号4:配列番号3のアミノ酸配列をコードする塩基配列
配列番号5:TMD12の生産に用いた遺伝子がコードするアミノ酸配列
配列番号6:配列番号5のアミノ酸配列をコードする塩基配列
配列番号7:TMD12Mの生産に用いた遺伝子がコードするアミノ酸配列
配列番号8:配列番号7のアミノ酸配列をコードする塩基配列
配列番号9:TMD123の生産に用いた遺伝子がコードするアミノ酸配列
配列番号10:配列番号9のアミノ酸配列をコードする塩基配列
配列番号11:TMD123Mの生産に用いた遺伝子がコードするアミノ酸配列
配列番号12:配列番号11のアミノ酸配列をコードする塩基配列
配列番号13:部位特異的変異を行う際に使用する変異用合成DNA
以下、実施例及び試験例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
試験例に用いる本発明におけるトロンボモジュリンは、前記山本らの方法(特開昭64−6219号に記載の方法)に従って製造した。以下にその製造例を示す。
[製造例1]
<トロンボモジュリンの取得>
上記の方法、すなわち、配列番号9のアミノ酸配列をコードするDNA(具体的には、配列番号10の塩基配列よりなる)を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にトランスフェクションして、この形質転換細胞の培養液より前述した定法の精製法にて、50mM NaClを含む20mMリン酸塩緩衝液(pH7.3)で活性画分を回収した高純度精製品を取得した。さらに限外濾過を行って濃度が11.2mg/mLのトロンボモジュリン(以下、TMD123と略すことがある)溶液を取得した。
<添加剤溶液調製>
10Lのステンレス製容器に、塩酸アルギニン(味の素社製)480gを量り入れ、注射用水を5L加えて溶解した。1M水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを7.3に調整した。
<薬液調製・充填 >
上記添加剤溶液全量を20Lのステンレス製容器に入れ、上記得られたTMD123溶液2398mL(可溶性トロンボモジュリンのたん白質量として26.88gに相当。ただし12%過量仕込み。)加え混合攪拌した。さらに注射用水を加えて全量を12Lとして均一に混合撹拌した。この薬液を、孔径が0.22μmのフィルター(ミリポア製MCGL10S)でろ過滅菌した。ろ過液を1mLずつバイアルに充填し、ゴム栓を半打栓した。
<凍結乾燥>
凍結乾燥→窒素充填→ゴム栓全打栓→キャップ巻締めの順で以下の条件にて凍結乾燥工程を行い、1容器中に可溶性トロンボモジュリン2mg、塩酸アルギニン40mgを含むTMD123含有製剤を得た。
<凍結乾燥条件>
予備冷却(15分かけて室温から15℃)→ 本冷却(2時間かけて15℃から−45℃)→ 保持(2時間 −45℃)→ 真空開始(18時間 −45℃)→ 昇温(20時間かけて−45℃から25℃)→ 保持(15時間25℃)→ 昇温(1時間かけて25℃から45℃)→ 保持(5時間45℃)→ 室温(2時間かけて45℃から25℃)→ 復圧窒素充填(−100mmHgまで)→ 全打栓 → キャップ巻締め
[製造例2]
配列番号11のアミノ酸配列をコードするDNA(具体的には、配列番号12の塩基配列よりなる)を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にトランスフェクションして、この形質転換細胞の培養液より前述した定法の精製法にて精製されたトロンボモジュリン(以下、TMD123Mと略すことがある)溶液を取得し、上記と同様の方法によりTMD123Mの凍結乾燥製剤を取得する。
[製造例3]
配列番号1のアミノ酸配列をコードするDNA(具体的には、配列番号2の塩基配列よりなる)を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にトランスフェクションして、この形質転換細胞の培養液より前述した定法の精製法にて精製されたトロンボモジュリン(以下、TME456と略すことがある)を取得し、上記と同様の方法によりTME456の凍結乾燥製剤を取得する。
[製造例4]
配列番号3のアミノ酸配列をコードするDNA(具体的には、配列番号4の塩基配列よりなる)を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にトランスフェクションして、この形質転換細胞の培養液より前述した定法の精製法にて精製されたトロンボモジュリン(以下、TME456Mと略すことがある)を取得し、上記と同様の方法によりTME456Mの凍結乾燥製剤を取得する。
[製造例5]
配列番号5のアミノ酸配列をコードするDNA(具体的には、配列番号6の塩基配列よりなる)を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にトランスフェクションして、この形質転換細胞の培養液より前述した定法の精製法にて精製されたトロンボモジュリン(以下、TMD12と略すことがある)を取得し、上記と同様の方法によりTMD12の凍結乾燥製剤を取得する。
[製造例6]
配列番号7のアミノ酸配列をコードするDNA(具体的には、配列番号8の塩基配列よりなる)を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にトランスフェクションして、この形質転換細胞の培養液より前述した定法の精製法にて精製されたトロンボモジュリン(以下、TMD12Mと略すことがある)を取得し、上記と同様の方法によりTMD12Mの凍結乾燥製剤を取得する。
[試験例1]
以下に示す、厚生省のDIC診断基準に基づきDICと診断された造血器悪性腫瘍又は感染症により症状が誘引されたDIC患者に対し、以下に示す方法により調製した本発明のDIC治療及び/又は改善剤を投与し、投与開始後28日目の患者の生存率を調べた。
なお、本発明のDIC治療及び/又は改善剤の投与期間中は、AT製剤は併用しないこととした。
<調製例1>
製造例1に準じて得られたTMD123の凍結乾燥製剤に生理食塩水を加え、0.5mg/mlの被検液を調製した。
<AT活性値の測定>
本発明のDIC治療及び/又は改善剤の投与開始日投与前の対象患者の血液検体4.5mlを3.8%クエン酸ナトリウム0.5ml入り採血管に採取し、転倒混和・遠心後、血漿を回収し、冷凍保存した。続いて該血漿にヘパリンを添加してAT−ヘパリン複合体を形成させ、さらに、このAT−ヘパリン複合体に過剰量のファクターXaを添加した。該複合体形成反応後、基質液(テストチームS ATIII(CHROMOGENIX社製))を加え、反応して遊離してきたp−ニトロアニリンを410nmにて吸光度測定して比色定量することにより、残存したファクターXa活性を測定した(テストチームS ATIII添付文書)。該残存したファクターXa活性は検体中のAT活性を反映するため、別途作成した検量線を用いてAT活性値を求めた。p−ニトロアニリンの比色定量には自動分析装置BM1650(日本電子株式会社製)を用いた。また、AT活性値を求めるための正常血漿としては、正常血漿剤「第一」(第一化学薬品)を用いた。
<投与量及び投与方法>
DIC対象患者に対し、調製例にて調製した被検液を0.12ml/kg(0.06mg/kgに相当)の割合で採取して生理食塩液に加え100mlとした。該生理食塩液溶液を、1日1回、30分間かけて点滴静注を行った。これを6日間繰り返した。
<結果>
上記投与方法により被検液を投与し、投与開始から28日目の転帰を調べたところ、AT活性値が50%以上70%未満の患者群の生存率は64.3%、またAT活性値が70%以上の患者群の生存率は80%であった。一方、AT活性値が50%未満の患者群の生存率は死亡例が1例のみであり、生存率は92.3%と前者2群に対して優位な生存率を示した。その結果を表1に示した。
また、中でもAT活性値が40%以下の患者(5例)においては、100%の生存率であった。
Figure 0005579385
[試験例2]
雄性Sprague−Dawleyラット(体重180〜240g)に、ウサギ抗ラットAT抗体(20mg/kg)を尾静脈内に投与することによりラット血漿中AT活性値を60%未満に低下させる。抗体投与1時間後、ペントバルビタール麻酔下、組織因子(ウサギ由来トロンボプラスチン;90 mg/kg)を1時間かけてラット尾静脈内に持続投与する。0.1〜10mg/kgの本発明における各種製造例のトロンボモジュリンを、組織因子投与直前に反対側の尾静脈内に急速投与する。組織因子投与終了後に腹部大動脈より採血し、血小板数、フィブリノゲン、又はAT活性値を測定することにより、DICの治療及び/又は改善効果を調べ本発明の効果を確認することができる。
本発明のトロンボモジュリン含有製剤を用いることにより、血漿中のAT活性値が50%未満であるDIC患者の症状を、好ましくはATと組み合わせて用いることなく効果的に治療及び/又は改善することができる。

Claims (7)

  1. 播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤であって、トロンボモジュリンを有効成分とし、血漿中アンチトロンビン活性値が40%以下である播種性血管内血液凝固症候群ヒト患者に対して投与されるための該治療及び/又は改善剤
  2. 該トロンボモジュリンが可溶性トロンボモジュリンである請求項1に記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤。
  3. 該トロンボモジュリンが、配列番号9又は配列番号11に記載のアミノ酸配列をコードするDNAを宿主細胞にトランスフェクトして調製された形質転換細胞より取得されるペプチドである、請求項1又は2に記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤。
  4. 該トロンボモジュリンが、配列番号9もしくは配列番号11のそれぞれにおける第19〜516位の配列を有するペプチド、又は前記ペプチドのアミノ酸配列の1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列を有しトロンボモジュリン活性を有するペプチドである請求項1〜3のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤。
  5. アンチトロンビンと組み合わされて投与されないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤。
  6. 播種性血管内血液凝固症候群を患うヒト患者の死亡の可能性を減少させるための薬剤であって、トロンボモジュリンを有効成分とし、血漿中アンチトロンビン活性値が40%以下である播種性血管内血液凝固症候群ヒト患者に投与されるための該薬剤。
  7. トロンボモジュリンを有効成分とする薬剤であって、該薬剤が、血漿中のアンチトロンビン活性値を測定し、そのアンチトロンビン活性値が40%以下である播種性血管内血液凝固症候群ヒト患者に対して投与される播種性血管内血液凝固症候群の治療及び/又は改善剤である該薬剤
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