JP3220174B2 - 組換ヒトトロンボモジュリン誘導体 - Google Patents
組換ヒトトロンボモジュリン誘導体Info
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- JP3220174B2 JP3220174B2 JP40985590A JP40985590A JP3220174B2 JP 3220174 B2 JP3220174 B2 JP 3220174B2 JP 40985590 A JP40985590 A JP 40985590A JP 40985590 A JP40985590 A JP 40985590A JP 3220174 B2 JP3220174 B2 JP 3220174B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、組換ヒトトロンボモジ
ュリン誘導体に関するものである。さらに詳しくは、コ
ンドロイチナーゼABCで切断されるグルコサミノグリ
カンによって修飾されないようにアミノ酸配列を変更す
ることにより血中半減期が延長された組換ヒトトロンボ
モジュリン誘導体、その発現ベクター及びその形質転換
細胞に関するものである。
ュリン誘導体に関するものである。さらに詳しくは、コ
ンドロイチナーゼABCで切断されるグルコサミノグリ
カンによって修飾されないようにアミノ酸配列を変更す
ることにより血中半減期が延長された組換ヒトトロンボ
モジュリン誘導体、その発現ベクター及びその形質転換
細胞に関するものである。
【0002】
【発明の背景】トロンボモジュリンは血管内皮細胞の膜
上に存在する糖蛋白の一つであり、トロンビンと結合し
てトロンビンの持つフィブリン凝固活性、第V因子や第
VIII因子の活性化あるいは血小板活性化に対して阻害作
用を示し、またトロンビンによるプロテインCの活性化
を促進する(実験医学 6,(14), 1396-1398 (1988); Pro
g.Hemost.Thromb., 9, 29-55 (1989))。これらのトロン
ボモジュリンの生理活性はトロンボモジュリンが抗凝固
薬として有用であることを示している。 ヒトトロンボモジュリンのcDNAは既に報告され(E
MBO J., 6, 1891-1897(1987); Biochemistry, 26, 4350
-4357 (1987)) 、また染色体上の遺伝子のDNAについ
てもヒトトロンボモジュリン遺伝子はイントロンを持っ
ていないことが判明している(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,
84, 6425-6429(1987); J.Biochem.,103,281〜285 (198
8))。Suzukiら(J.Biol.Chem.,264, 4872-4876 (1989))
はこのヒトトロンボモジュリンを遺伝子組換により動
物培養細胞で生産させているが、その構造に関しては詳
細な検討は行われていない。
上に存在する糖蛋白の一つであり、トロンビンと結合し
てトロンビンの持つフィブリン凝固活性、第V因子や第
VIII因子の活性化あるいは血小板活性化に対して阻害作
用を示し、またトロンビンによるプロテインCの活性化
を促進する(実験医学 6,(14), 1396-1398 (1988); Pro
g.Hemost.Thromb., 9, 29-55 (1989))。これらのトロン
ボモジュリンの生理活性はトロンボモジュリンが抗凝固
薬として有用であることを示している。 ヒトトロンボモジュリンのcDNAは既に報告され(E
MBO J., 6, 1891-1897(1987); Biochemistry, 26, 4350
-4357 (1987)) 、また染色体上の遺伝子のDNAについ
てもヒトトロンボモジュリン遺伝子はイントロンを持っ
ていないことが判明している(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,
84, 6425-6429(1987); J.Biochem.,103,281〜285 (198
8))。Suzukiら(J.Biol.Chem.,264, 4872-4876 (1989))
はこのヒトトロンボモジュリンを遺伝子組換により動
物培養細胞で生産させているが、その構造に関しては詳
細な検討は行われていない。
【0003】明らかにされたDNA配列によるとヒトト
ロンボモジュリンは 557個のアミノ酸から成立っている
と推定される。ヒトトロンボモジュリンは、機能的に
は、アミノ末端領域、EGF様構造領域、O−グリコシ
ル化部位領域、細胞膜貫通領域および細胞質内領域の5
つの領域に分けられ、その内、EGF様構造領域が、ト
ロンビンに作用してそのプロテインC活性化能を促進す
る領域であることが報告されている(J.Biol.Chem., 26
4, 4872-4876(1989)) 。また、アミノ末端領域、EGF
様構造領域およびO−グリコシル化部位領域は細胞膜外
に存在する部分であり、これらの部分だけで構成される
ヒトトロンボモジュリンは細胞膜に結合できず、可溶化
された形で存在する(J.Biol.Chem., 264, 4872-4876
(1989) ;Blood, 75, 1396-1399 (1990) )。
ロンボモジュリンは 557個のアミノ酸から成立っている
と推定される。ヒトトロンボモジュリンは、機能的に
は、アミノ末端領域、EGF様構造領域、O−グリコシ
ル化部位領域、細胞膜貫通領域および細胞質内領域の5
つの領域に分けられ、その内、EGF様構造領域が、ト
ロンビンに作用してそのプロテインC活性化能を促進す
る領域であることが報告されている(J.Biol.Chem., 26
4, 4872-4876(1989)) 。また、アミノ末端領域、EGF
様構造領域およびO−グリコシル化部位領域は細胞膜外
に存在する部分であり、これらの部分だけで構成される
ヒトトロンボモジュリンは細胞膜に結合できず、可溶化
された形で存在する(J.Biol.Chem., 264, 4872-4876
(1989) ;Blood, 75, 1396-1399 (1990) )。
【0004】本発明者らはこれら3つの領域(アミノ末
端領域、EGF様構造領域およびO−グリコシル化部位
領域)に着目して、これら3つの領域のみから成る組換
ヒトトロンボモジュリンの生産を試みた。ヒトトロンボ
モジュリン遺伝子を改変し、発現ベクターを作成し、さ
らにこれを動物培養細胞(CHO-K1細胞)に導入した発現
細胞株を培養したところ、その培養液中に硫酸化グルコ
サミノグリカンを持った組換ヒトトロンボモジュリンを
見出すことができた(特願平1-269194,国際出願PCT/JP
90/01342) 。この硫酸化グルコサミノグリカン構造はコ
ンドロイチン−4−硫酸を主要構造とするものであり、
ヒトトロンボモジュリンでは従来知られていない構造の
ものであった。しかし、この硫酸化グルコサミノグリカ
ンを有する組換ヒトトロンボモジュリンの血中半減期を
ラットにおいて調べたところ、約20分と短いものであ
った。
端領域、EGF様構造領域およびO−グリコシル化部位
領域)に着目して、これら3つの領域のみから成る組換
ヒトトロンボモジュリンの生産を試みた。ヒトトロンボ
モジュリン遺伝子を改変し、発現ベクターを作成し、さ
らにこれを動物培養細胞(CHO-K1細胞)に導入した発現
細胞株を培養したところ、その培養液中に硫酸化グルコ
サミノグリカンを持った組換ヒトトロンボモジュリンを
見出すことができた(特願平1-269194,国際出願PCT/JP
90/01342) 。この硫酸化グルコサミノグリカン構造はコ
ンドロイチン−4−硫酸を主要構造とするものであり、
ヒトトロンボモジュリンでは従来知られていない構造の
ものであった。しかし、この硫酸化グルコサミノグリカ
ンを有する組換ヒトトロンボモジュリンの血中半減期を
ラットにおいて調べたところ、約20分と短いものであ
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】医薬品を疾病の治療に
使用する際、投与された医薬品の血中濃度が有効濃度を
長時間にわたって維持することは極めて重要である。す
なわちその期待される薬効を発揮するためには医薬品の
血中半減期が十分な長さをもっていなければならない。
この点は組換医薬品においても同様であり、血中半減期
を長くするためにさまざまな考案がなされている。
使用する際、投与された医薬品の血中濃度が有効濃度を
長時間にわたって維持することは極めて重要である。す
なわちその期待される薬効を発揮するためには医薬品の
血中半減期が十分な長さをもっていなければならない。
この点は組換医薬品においても同様であり、血中半減期
を長くするためにさまざまな考案がなされている。
【0006】発明者らは、硫酸化グルコサミノグリカン
を有する組換ヒトトロンボモジュリンの血中半減期が短
い原因として、硫酸化グルコサミノグリカンの存在に着
目し、この組換ヒトトロンボモジュリンをコンドロイチ
ナーゼABCで処理したところ、ラットにおける血中半
減期は7.7時間まで延長していた。このことは、組換
ヒトトロンボモジュリンに付加している硫酸化グルコサ
ミノグリカンを除去すれば、血中半減期の長い組換ヒト
トロンボモジュリンが得られることを示している。
を有する組換ヒトトロンボモジュリンの血中半減期が短
い原因として、硫酸化グルコサミノグリカンの存在に着
目し、この組換ヒトトロンボモジュリンをコンドロイチ
ナーゼABCで処理したところ、ラットにおける血中半
減期は7.7時間まで延長していた。このことは、組換
ヒトトロンボモジュリンに付加している硫酸化グルコサ
ミノグリカンを除去すれば、血中半減期の長い組換ヒト
トロンボモジュリンが得られることを示している。
【0007】そこで、発明者らは、前記出願で得られた
組換ヒトトロンボモジュリンの硫酸化グルコサミノグリ
カン付加部位を調べた。すなわち、組換ヒトトロンボモ
ジュリンを還元後遊離のSH基をカルボキシアミドメチ
ル化し、これをトリプシンで完全消化した後、Dowex1×
2 によるイオン交換クロマトグラフィー及びアルコール
沈澱操作を行い、硫酸化グルコサミノグリカンを含むペ
プチド断片を分離した。得られたペプチド断片のN末端
アミノ酸配列を調べたところ、硫酸化グルコサミノグリ
カンの付加部位はVal・Asp・Gly・Gly・Asp・Ser・Gly・X・Gly・
Gln・Pro・Pro・Pro であった(Val:バリン、Asp:アスパラ
ギン酸、Gly:グリシン、Ser:セリン、Gln:グルタミン
酸、Pro:プロリン、X:特定できず)。この配列はヒトト
ロンボモジュリンの467番目のバリン以降の配列と一
致していた。
組換ヒトトロンボモジュリンの硫酸化グルコサミノグリ
カン付加部位を調べた。すなわち、組換ヒトトロンボモ
ジュリンを還元後遊離のSH基をカルボキシアミドメチ
ル化し、これをトリプシンで完全消化した後、Dowex1×
2 によるイオン交換クロマトグラフィー及びアルコール
沈澱操作を行い、硫酸化グルコサミノグリカンを含むペ
プチド断片を分離した。得られたペプチド断片のN末端
アミノ酸配列を調べたところ、硫酸化グルコサミノグリ
カンの付加部位はVal・Asp・Gly・Gly・Asp・Ser・Gly・X・Gly・
Gln・Pro・Pro・Pro であった(Val:バリン、Asp:アスパラ
ギン酸、Gly:グリシン、Ser:セリン、Gln:グルタミン
酸、Pro:プロリン、X:特定できず)。この配列はヒトト
ロンボモジュリンの467番目のバリン以降の配列と一
致していた。
【0008】一方、グルコサミノグリカンのペプチド鎖
への結合部位周辺のアミノ酸配列に関しては、Ser*-Gly
-Xaa-Gly或いは、Gly-Ser*-Glyとその近傍の酸性アミノ
酸の存在が重要であることが提唱されている(Xaa:任意
のアミノ酸、Ser*: グルコサミノグリカンが結合するセ
リン)(Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 84, 3194-3198 (198
7); J. Cell Biol., 108, 1547-1556 (1989)) 。またヒ
トトロンボモジュリンでは知られていないが、ウサギト
ロンボモジュリンの一部は、コンドロイチン硫酸様/デ
ルマタン硫酸様グルコサミノグリカンで修飾されてお
り、そのグルコサミノグリカン部分を介してアンチトロ
ンビンIII 依存性の抗トロンビン活性を示すことや、硫
酸化グルコサミノグリカンの結合位置はO−グリコシル
化部位領域にあるセリン・グリシン・セリン・グリシン
の配列部分であることが推定されている(J.Biol.Che
m., 263, 8044-8052 (1988); Thromb. Res., 54, 27-39
(1989) ) 。
への結合部位周辺のアミノ酸配列に関しては、Ser*-Gly
-Xaa-Gly或いは、Gly-Ser*-Glyとその近傍の酸性アミノ
酸の存在が重要であることが提唱されている(Xaa:任意
のアミノ酸、Ser*: グルコサミノグリカンが結合するセ
リン)(Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 84, 3194-3198 (198
7); J. Cell Biol., 108, 1547-1556 (1989)) 。またヒ
トトロンボモジュリンでは知られていないが、ウサギト
ロンボモジュリンの一部は、コンドロイチン硫酸様/デ
ルマタン硫酸様グルコサミノグリカンで修飾されてお
り、そのグルコサミノグリカン部分を介してアンチトロ
ンビンIII 依存性の抗トロンビン活性を示すことや、硫
酸化グルコサミノグリカンの結合位置はO−グリコシル
化部位領域にあるセリン・グリシン・セリン・グリシン
の配列部分であることが推定されている(J.Biol.Che
m., 263, 8044-8052 (1988); Thromb. Res., 54, 27-39
(1989) ) 。
【0009】これらのことから、本発明者らは、組換ヒ
トトロンボモジュリンの硫酸化グルコサミノグリカン付
加部位を472 番目から476 番目のSer・Gly・Ser・Gly・Glu
を含む領域であると予想し、この部位のアミノ酸配列を
改変したところ、硫酸化グルコサミノグリカンで修飾さ
れていない組換ヒトトロンボモジュリン誘導体を作成す
ることができた。またその血中半減期は、ラットにおい
て7時間と延長されていた。本発明はこの知見に基づき
なされたものであり、血中半減期が長く、抗凝固薬とし
て有用な新規構造の組換ヒトトロンボモジュリンを提供
することを目的とする。
トトロンボモジュリンの硫酸化グルコサミノグリカン付
加部位を472 番目から476 番目のSer・Gly・Ser・Gly・Glu
を含む領域であると予想し、この部位のアミノ酸配列を
改変したところ、硫酸化グルコサミノグリカンで修飾さ
れていない組換ヒトトロンボモジュリン誘導体を作成す
ることができた。またその血中半減期は、ラットにおい
て7時間と延長されていた。本発明はこの知見に基づき
なされたものであり、血中半減期が長く、抗凝固薬とし
て有用な新規構造の組換ヒトトロンボモジュリンを提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、硫酸化
グルコサミノグリカンの付加部位であると予想される部
位(O−グリコシル化部位領域中にある472番目から
476番目のセリン・グリシン・セリン・グリシン・グ
ルタミン酸周辺)のアミノ酸配列を、アミノ酸の除去・
付加或いは置換により変更した組換ヒトトロンボモジュ
リン誘導体により達成される。
グルコサミノグリカンの付加部位であると予想される部
位(O−グリコシル化部位領域中にある472番目から
476番目のセリン・グリシン・セリン・グリシン・グ
ルタミン酸周辺)のアミノ酸配列を、アミノ酸の除去・
付加或いは置換により変更した組換ヒトトロンボモジュ
リン誘導体により達成される。
【0011】この組換ヒトトロンボモジュリン誘導体
は、ヒトトロンボモジュリン遺伝子のDNAに部位特異
的変異の手法を用いて、アミノ酸472番目から476
番目のセリン・グリシン・セリン・グリシン・グルタミ
ン酸部分及びその周辺の連続したアミノ酸配列をコード
するDNA配列を、除去・付加あるいは置換することに
より変更したヒトトロンボモジュリン誘導体遺伝子を作
成し、これを用いて製造することができる。
は、ヒトトロンボモジュリン遺伝子のDNAに部位特異
的変異の手法を用いて、アミノ酸472番目から476
番目のセリン・グリシン・セリン・グリシン・グルタミ
ン酸部分及びその周辺の連続したアミノ酸配列をコード
するDNA配列を、除去・付加あるいは置換することに
より変更したヒトトロンボモジュリン誘導体遺伝子を作
成し、これを用いて製造することができる。
【0012】ヒトトロンボモジュリンの遺伝子は、文献
(J.Biochem.,103,281〜285(1988))記載のDNA配列に
基づいて作成できるプローブを用いてヒト染色体遺伝子
より入手する。この遺伝子は完全長であってもよいし、
また実施例で述べるような、アミノ末端領域、EGF様
構造領域およびO−グリコシル化部位領域の3つの領域
のペプチドをコードする部分長DNAでもよい。すなわ
ちヒトトロンボモジュリンの生理活性を損なわず、かつ
硫酸化グルコサミノグリカンで修飾される部位が存在す
る最小限の部分(おそらくはEGF様構造領域とO−グ
リコシル化部位領域の472番目から476番目のセリ
ン・グリシン・セリン・グリシン・グルタミン酸部分周
辺のアミノ酸配列が必要と思われる)をコードする範囲
の長さのDNAであればよい。得られたヒトトロンボモ
ジュリン誘導体の遺伝子は適当なプロモータ、ターミネ
ータ、シグナル配列等、さらに必要に応じて適当なマー
カー遺伝子を付けて適当なベクターに組込まれる。ベク
ターは動物培養細胞で機能するものであればどのような
種類のものでもよい。たとえばSV40ベクター、 RSV(ラ
ウス肉腫ウイルス)ベクター、MMTV(マウス乳がんウイ
ルス)ベクターあるいは CMV(サイトメガロウイルス)
ベクターなどである。また宿主培養細胞として使用され
るものは、とくに限定されないが、CHO 細胞や COS細胞
はとくに適している。
(J.Biochem.,103,281〜285(1988))記載のDNA配列に
基づいて作成できるプローブを用いてヒト染色体遺伝子
より入手する。この遺伝子は完全長であってもよいし、
また実施例で述べるような、アミノ末端領域、EGF様
構造領域およびO−グリコシル化部位領域の3つの領域
のペプチドをコードする部分長DNAでもよい。すなわ
ちヒトトロンボモジュリンの生理活性を損なわず、かつ
硫酸化グルコサミノグリカンで修飾される部位が存在す
る最小限の部分(おそらくはEGF様構造領域とO−グ
リコシル化部位領域の472番目から476番目のセリ
ン・グリシン・セリン・グリシン・グルタミン酸部分周
辺のアミノ酸配列が必要と思われる)をコードする範囲
の長さのDNAであればよい。得られたヒトトロンボモ
ジュリン誘導体の遺伝子は適当なプロモータ、ターミネ
ータ、シグナル配列等、さらに必要に応じて適当なマー
カー遺伝子を付けて適当なベクターに組込まれる。ベク
ターは動物培養細胞で機能するものであればどのような
種類のものでもよい。たとえばSV40ベクター、 RSV(ラ
ウス肉腫ウイルス)ベクター、MMTV(マウス乳がんウイ
ルス)ベクターあるいは CMV(サイトメガロウイルス)
ベクターなどである。また宿主培養細胞として使用され
るものは、とくに限定されないが、CHO 細胞や COS細胞
はとくに適している。
【0013】以上のヒトトロンボモジュリン遺伝子の入
手、発現ベクターの構築、細胞内発現等は全て慣用技術
で行なうことができる(参考「遺伝子操作マニュアル」
高木康敬編著,講談社(1982);Maniatis et al, "Molec
ular Cloning: A Laboratory Mannal" Cold Spring Har
bor Laboratory, Cold spring Harbor, New York (198
2) ;Sambrook et al, "Molecular Cloning: A Laborat
ory Manual 2nd Ed." Cold Spring Harbor Laboratory,
Cold Spring Harbor, New York (1989))。
手、発現ベクターの構築、細胞内発現等は全て慣用技術
で行なうことができる(参考「遺伝子操作マニュアル」
高木康敬編著,講談社(1982);Maniatis et al, "Molec
ular Cloning: A Laboratory Mannal" Cold Spring Har
bor Laboratory, Cold spring Harbor, New York (198
2) ;Sambrook et al, "Molecular Cloning: A Laborat
ory Manual 2nd Ed." Cold Spring Harbor Laboratory,
Cold Spring Harbor, New York (1989))。
【0014】
【実施例1】ヒトトロンボモジュリン遺伝子の取得 a) プローブの作成 文献(J.Biolchem.103, 281〜285 (1988)) 記載のDN
A配列に基づいて合成したDNAオリゴマーを用いてプ
ローブを作成した。即ち、Pr-TM-01: (5’)CAGGAGCCTGGCTCCGTCCAGGAGCCTGTGCCTCCTCACCCCCAG
C(3’) およびこれと部分的に相補鎖を形成するPr-TM-02: (5’)CAGCTGTAATGCCAGCTAAGGTGCTTTGGTAGCAAAGCTGGGGGT
GAG(3’) を合成した。これはヒトトロンボモジュリン遺伝子の終
止コドンの13塩基下流側に相当する部分である。これら
二本の合成DNA オリゴマーをアニールさせ部分的に二本
鎖を形成させた後、dNTPs 存在下T4 DNAポリメラーゼ処
理により完全二本鎖とした。この DNA断片をT4ポリヌク
レオチドキナーゼで5′末端をリン酸化したのち、HincI
Iで切断したpUC119(市販)とT4 DNAリガーゼで結合さ
せたところ前者が3個同方向に繰返し挿入されたプラス
ミドpUCprTM9を得た。このpUCprTM9をEcoRI およびHind
III で切断して合成オリゴマー由来の部分を分離し、ニ
ックトランスレーション法により 32Pでラベルし、ヒト
トロンボモジュリン遺伝子取得用のプローブとして使用
した。
A配列に基づいて合成したDNAオリゴマーを用いてプ
ローブを作成した。即ち、Pr-TM-01: (5’)CAGGAGCCTGGCTCCGTCCAGGAGCCTGTGCCTCCTCACCCCCAG
C(3’) およびこれと部分的に相補鎖を形成するPr-TM-02: (5’)CAGCTGTAATGCCAGCTAAGGTGCTTTGGTAGCAAAGCTGGGGGT
GAG(3’) を合成した。これはヒトトロンボモジュリン遺伝子の終
止コドンの13塩基下流側に相当する部分である。これら
二本の合成DNA オリゴマーをアニールさせ部分的に二本
鎖を形成させた後、dNTPs 存在下T4 DNAポリメラーゼ処
理により完全二本鎖とした。この DNA断片をT4ポリヌク
レオチドキナーゼで5′末端をリン酸化したのち、HincI
Iで切断したpUC119(市販)とT4 DNAリガーゼで結合さ
せたところ前者が3個同方向に繰返し挿入されたプラス
ミドpUCprTM9を得た。このpUCprTM9をEcoRI およびHind
III で切断して合成オリゴマー由来の部分を分離し、ニ
ックトランスレーション法により 32Pでラベルし、ヒト
トロンボモジュリン遺伝子取得用のプローブとして使用
した。
【0015】b)ヒトトロンボモジュリン遺伝子のクロー
ニング ヒト染色体 DNAを AluIおよび HaeIII で部分消化して
ヒト遺伝子ライブラリー(ベクターはCharon 4A)を作成
し、このライブラリーから、a)に述べた方法で作成した
プローブを用いてプラークハイブリダイゼーションを行
いヒトトロンボモジュリン遺伝子をスクリーニングした
(参考「遺伝子操作マニュアル」高木康敬編著 講談社
(1982))。その結果、ヒトトロンボモジュリン遺伝子の
全長を保持するファージクローン(phage No.7)の DNAを
得た。このDNA を SacIで切断しヒトトロンボモジュリ
ン遺伝子を含む6.6kbpの DNA断片を分離した。この DNA
断片をpUC119の SacI部位に挿入し図1上段に示すプラ
スミドp7TM-SacIを得た。図中、TMがヒトトロンボモ
ジュリン遺伝子領域を示す。このp7TM-SacIをXhoIお
よびNcoIで切断し、Klenowフラグメントを用いて平滑
末端としたのちヒトトロンボモジュリン遺伝子を含む2.
1kbpのDNA 断片を分離してpUC119のHincII部位に挿入す
ることにより、ヒトトロンボモジュリン遺伝子の5′側
がpUC119のHindIII 側にくる方向に挿入されたプラスミ
ドp7TMO1を得た(図1下段)。このプラスミドの一本鎖
DNA を調製し dideoxy法により DNA塩基配列を調べて文
献(J.Biolchem.,103, 281-285 (1989)) 記載のヒトトロ
ンボモジュリン遺伝子の DNA配列と一致することを確認
した。
ニング ヒト染色体 DNAを AluIおよび HaeIII で部分消化して
ヒト遺伝子ライブラリー(ベクターはCharon 4A)を作成
し、このライブラリーから、a)に述べた方法で作成した
プローブを用いてプラークハイブリダイゼーションを行
いヒトトロンボモジュリン遺伝子をスクリーニングした
(参考「遺伝子操作マニュアル」高木康敬編著 講談社
(1982))。その結果、ヒトトロンボモジュリン遺伝子の
全長を保持するファージクローン(phage No.7)の DNAを
得た。このDNA を SacIで切断しヒトトロンボモジュリ
ン遺伝子を含む6.6kbpの DNA断片を分離した。この DNA
断片をpUC119の SacI部位に挿入し図1上段に示すプラ
スミドp7TM-SacIを得た。図中、TMがヒトトロンボモ
ジュリン遺伝子領域を示す。このp7TM-SacIをXhoIお
よびNcoIで切断し、Klenowフラグメントを用いて平滑
末端としたのちヒトトロンボモジュリン遺伝子を含む2.
1kbpのDNA 断片を分離してpUC119のHincII部位に挿入す
ることにより、ヒトトロンボモジュリン遺伝子の5′側
がpUC119のHindIII 側にくる方向に挿入されたプラスミ
ドp7TMO1を得た(図1下段)。このプラスミドの一本鎖
DNA を調製し dideoxy法により DNA塩基配列を調べて文
献(J.Biolchem.,103, 281-285 (1989)) 記載のヒトトロ
ンボモジュリン遺伝子の DNA配列と一致することを確認
した。
【0016】
【実施例2】発現ベクターの構築 図2に示すように、プラスミドp7TM01をSphIおよびP
vlIIで切断し、ヒトトロンボモジュリン遺伝子の開始コ
ドンATGを含む470bp の DNA断片を分離した。この断
片を BanIで切断後Klenowフラグメントを用いて平滑末
端とし、更に BglIIで切断し、ATGコドンを含む 180bp
の DNA断片(断片A)を分離した。一方、プラスミドp7
TMO1をSphIで切断後マングビーンヌクレアーゼを用い
て平滑末端化し、 BglIIで切断して、ベクター部分を含
む4.8kbpの DNA断片を分離した。この DNA断片と上記の
断片AをT4DNA リガーゼを用いて結合させ、プラスミド
p7TM17を作製した。これはp7TM01よりヒトトロンボモジ
ュリン遺伝子の5′非コード領域をほぼ取除いたもので
ある。なお5′側のHindIII 部位までの間に残っている
非コード領域は約30bpである。
vlIIで切断し、ヒトトロンボモジュリン遺伝子の開始コ
ドンATGを含む470bp の DNA断片を分離した。この断
片を BanIで切断後Klenowフラグメントを用いて平滑末
端とし、更に BglIIで切断し、ATGコドンを含む 180bp
の DNA断片(断片A)を分離した。一方、プラスミドp7
TMO1をSphIで切断後マングビーンヌクレアーゼを用い
て平滑末端化し、 BglIIで切断して、ベクター部分を含
む4.8kbpの DNA断片を分離した。この DNA断片と上記の
断片AをT4DNA リガーゼを用いて結合させ、プラスミド
p7TM17を作製した。これはp7TM01よりヒトトロンボモジ
ュリン遺伝子の5′非コード領域をほぼ取除いたもので
ある。なお5′側のHindIII 部位までの間に残っている
非コード領域は約30bpである。
【0017】次にこの全長ヒトトロンボモジュリン遺伝
子にターミネータ配列を結合した。ターミネータ配列に
はプラスミドpSV2-gpt(市販)の SV2ターミネータを用
いた。図3に示すように、pSV2-gptを ApaIおよびBamH
Iで切断した後Klenowフラグメントで平滑末端とし、SV2
転写終了領域を含む 850bpの DNA断片を分離した。この
断片を、 SalIで切断後Klenowフラグメントで平滑末端
化したベクターpUC19 に挿入した。転写終了領域の5′
側がpUC19 のEcoRI側になっている方向に挿入されたプ
ラスミドをとり、pSVTO1とした。プラスミドpSVTO1をBa
mHIおよびHindIII で切断後マングビーンヌクレアーゼ
で平滑末端とし、転写終了領域を含む 850bpの DNA断片
を分離した。BstXIおよび XbaIで切断後マングビーン
ヌクレアーゼで平滑末端化したp7TM17に上記転写終了領
域の断片を挿入した。ヒトトロンボモジュリン遺伝子と
転写終了領域が同方向になっているプラスミドをとりp7
TM19とした。
子にターミネータ配列を結合した。ターミネータ配列に
はプラスミドpSV2-gpt(市販)の SV2ターミネータを用
いた。図3に示すように、pSV2-gptを ApaIおよびBamH
Iで切断した後Klenowフラグメントで平滑末端とし、SV2
転写終了領域を含む 850bpの DNA断片を分離した。この
断片を、 SalIで切断後Klenowフラグメントで平滑末端
化したベクターpUC19 に挿入した。転写終了領域の5′
側がpUC19 のEcoRI側になっている方向に挿入されたプ
ラスミドをとり、pSVTO1とした。プラスミドpSVTO1をBa
mHIおよびHindIII で切断後マングビーンヌクレアーゼ
で平滑末端とし、転写終了領域を含む 850bpの DNA断片
を分離した。BstXIおよび XbaIで切断後マングビーン
ヌクレアーゼで平滑末端化したp7TM17に上記転写終了領
域の断片を挿入した。ヒトトロンボモジュリン遺伝子と
転写終了領域が同方向になっているプラスミドをとりp7
TM19とした。
【0018】次に部分長ヒトトロンボモジュリンDNA
のベクターを作成した。図4に示すように、プラスミド
p7TM19を NruIで切断後Bal31S処理し、更に XbaIを作
用させた後Klenowフラグメントで末端平滑化した。これ
をT4DNA リガーゼでセルフライゲーションさせることに
よりプラスミドpTMs07を得た。pTMs07の保持する遺伝子
によってコードされるヒトトロンボモジュリンは、1番
目のアラニンから 491番目のアラニンまでである(アミ
ノ酸の番号は文献 EMBO J., 6, 1891-1897 (1987) によ
る)。
のベクターを作成した。図4に示すように、プラスミド
p7TM19を NruIで切断後Bal31S処理し、更に XbaIを作
用させた後Klenowフラグメントで末端平滑化した。これ
をT4DNA リガーゼでセルフライゲーションさせることに
よりプラスミドpTMs07を得た。pTMs07の保持する遺伝子
によってコードされるヒトトロンボモジュリンは、1番
目のアラニンから 491番目のアラニンまでである(アミ
ノ酸の番号は文献 EMBO J., 6, 1891-1897 (1987) によ
る)。
【0019】次にマーカー遺伝子のプロモータ領域を構
築した(図5〜7)。SV2 プロモータ及び SV2ターミネ
ータを有するプラスミドSV2-gpt をEcoRIおよびPvuII
で切断後Klenowフラグメントで平滑末端とし、キサンチ
ン−グアニン・フォスフォリボシル・トランスフェラー
ゼ(GPT) 遺伝子を含む2.9kbpの DNA断片をとり、これを
pUC13のHincII部位に挿入した。 SV2プロモータがpUC1
3 のEcRI側に挿入されたプラスミドをとり pDAI-gpt
とし(図5)、HindIII 側に挿入されたものをpNAN-gpt
とした(図7)。プラスミドpSV2-gptをEcoRI およびPv
uII で切断後 gptを含む2.9kbpの DNA断片を分離し、Ec
oRIおよびSmaIで切断したpUC13 と結合させた。得られ
たプラスミドをpTEN-gptとした(図6)。pDAI-gptをHi
ndIII で切断後Klenowフラグメントで平滑末端とした後
SV2プロモータを含む3.0kbpのDNA 断片(断片B)を分
離した。pDAI-gptをBglII およびBamHIで切断後Klenow
フラグメントで平滑末端とした後 gpt領域を含むDNA 断
片(1.8kbp)を分離し、断片Bと結合させた。 gpt遺伝子
が発現される方向に結合したプラスミドをとりpD-gptB-
84とした(図5)。pD-gptB-84をXbaIおよびEcoRVで
切断し SV2プロモーターを含む0.8kbpの DNA断片を分離
し、 XbaIおよびEcoRVで切断して SV2プロモータを含
む部分を取除いたpTEN-gptに挿入した。得られたプラス
ミドをpT-gptB-23とした(図6)。このpT-gptB-23をHi
ndIII およびEcoRVで切断し SV2プロモータを含む0.8k
bpの DNA断片を分離し、HindIII およびEcoRVで切断し
て SV2プロモータ部分を取除いたpNAN-gptに挿入した。
得られたプラスミドをpN-gptB-16とした(図7)。
築した(図5〜7)。SV2 プロモータ及び SV2ターミネ
ータを有するプラスミドSV2-gpt をEcoRIおよびPvuII
で切断後Klenowフラグメントで平滑末端とし、キサンチ
ン−グアニン・フォスフォリボシル・トランスフェラー
ゼ(GPT) 遺伝子を含む2.9kbpの DNA断片をとり、これを
pUC13のHincII部位に挿入した。 SV2プロモータがpUC1
3 のEcRI側に挿入されたプラスミドをとり pDAI-gpt
とし(図5)、HindIII 側に挿入されたものをpNAN-gpt
とした(図7)。プラスミドpSV2-gptをEcoRI およびPv
uII で切断後 gptを含む2.9kbpの DNA断片を分離し、Ec
oRIおよびSmaIで切断したpUC13 と結合させた。得られ
たプラスミドをpTEN-gptとした(図6)。pDAI-gptをHi
ndIII で切断後Klenowフラグメントで平滑末端とした後
SV2プロモータを含む3.0kbpのDNA 断片(断片B)を分
離した。pDAI-gptをBglII およびBamHIで切断後Klenow
フラグメントで平滑末端とした後 gpt領域を含むDNA 断
片(1.8kbp)を分離し、断片Bと結合させた。 gpt遺伝子
が発現される方向に結合したプラスミドをとりpD-gptB-
84とした(図5)。pD-gptB-84をXbaIおよびEcoRVで
切断し SV2プロモーターを含む0.8kbpの DNA断片を分離
し、 XbaIおよびEcoRVで切断して SV2プロモータを含
む部分を取除いたpTEN-gptに挿入した。得られたプラス
ミドをpT-gptB-23とした(図6)。このpT-gptB-23をHi
ndIII およびEcoRVで切断し SV2プロモータを含む0.8k
bpの DNA断片を分離し、HindIII およびEcoRVで切断し
て SV2プロモータ部分を取除いたpNAN-gptに挿入した。
得られたプラスミドをpN-gptB-16とした(図7)。
【0020】マーカー遺伝子としてはネオマイシン耐性
遺伝子(neor)を用いた。図8に示すように、プラスミ
ドpSV2-neo(市販)を BglIIおよびBamHIで切断しネオ
マイシン耐性遺伝子を含む2.3kbpの DNA断片(断片C)
を分離した。pN-gptB-16を BglIIおよびBamHIで切断後
SV2プロモータおよびアンピシリン耐性遺伝子(Ampr)を
含む DNA断片を分離して、断片Cと結合させプラスミド
pB-neoを得た。
遺伝子(neor)を用いた。図8に示すように、プラスミ
ドpSV2-neo(市販)を BglIIおよびBamHIで切断しネオ
マイシン耐性遺伝子を含む2.3kbpの DNA断片(断片C)
を分離した。pN-gptB-16を BglIIおよびBamHIで切断後
SV2プロモータおよびアンピシリン耐性遺伝子(Ampr)を
含む DNA断片を分離して、断片Cと結合させプラスミド
pB-neoを得た。
【0021】pB-neoを XbaIとBamHIおよびScaIで切
断後マングビーンヌクレアーゼで平滑末端とした後、ネ
オマイシン耐性遺伝子を含む2.7kbpの DNA断片を分離し
た(図9)。この DNA断片を、BamHIで切断後Klenowフ
ラグメントで平滑末端としたpTMs07と結合させ、ヒトト
ロンボモジュリン遺伝子とネオマイシン耐性遺伝子が同
方向に挿入されたプラスミドpTMs07-neoを得た。一方、
pO-gal(文献 DNA, 8, 127〜133(1989))をHindIII で切
断し RSVプロモータを含む0.5kbpの DNAを分離し、この
0.5kbp断片をHindIII で切断したpTMs07-neoと結合させ
た。プロモータがヒトトロンボモジュリン遺伝子を発現
させられる方向に挿入されたプラスミドを選び、pRS7TM
-neoとした。このプラスミドpsR7TM-neoを有するE.coli
RS7TM-neoは工業技術院微生物工業技術研究所に寄託さ
れている(受託番号:微工研条寄第2609号、FERM BP-26
09,寄託日:1989年 9月25日)。
断後マングビーンヌクレアーゼで平滑末端とした後、ネ
オマイシン耐性遺伝子を含む2.7kbpの DNA断片を分離し
た(図9)。この DNA断片を、BamHIで切断後Klenowフ
ラグメントで平滑末端としたpTMs07と結合させ、ヒトト
ロンボモジュリン遺伝子とネオマイシン耐性遺伝子が同
方向に挿入されたプラスミドpTMs07-neoを得た。一方、
pO-gal(文献 DNA, 8, 127〜133(1989))をHindIII で切
断し RSVプロモータを含む0.5kbpの DNAを分離し、この
0.5kbp断片をHindIII で切断したpTMs07-neoと結合させ
た。プロモータがヒトトロンボモジュリン遺伝子を発現
させられる方向に挿入されたプラスミドを選び、pRS7TM
-neoとした。このプラスミドpsR7TM-neoを有するE.coli
RS7TM-neoは工業技術院微生物工業技術研究所に寄託さ
れている(受託番号:微工研条寄第2609号、FERM BP-26
09,寄託日:1989年 9月25日)。
【0022】
【実施例3】発現細胞株の樹立 pRS7TM-neo 20 μg を水 440μl に加えた後2MCaCl2 溶
液60μl 添加して1液とした。×2 HBS 液(HEPES 2.5g,
NaCl 3.2g/200ml; pH7.1) 500μl に×100 リン酸溶液
(Na2HPO4 1.253g, NaH2PO4 0.546g/100ml) 10 μl 加え
たものを2液とした。2液に少量づつ1液を加えながら
攪拌し、室温に30分間放置した。一方、10%FBSを添加し
たダルベッコ変法イーグル培地「ニッスイ」(日水製
薬、以下DME培地という)で 1〜2 ×105 個のCHO-K1
細胞(大日本製薬 (株) カタログ番号:03-402,原ATCC N
o:CCL-61)を75cm2 のカルチャーボルト中で一晩培養
した。新鮮な同培地10mlと交換してから 4時間後上記プ
ラスミド懸濁液を加え、18時間培養した。1g/lのG418(G
IBCO社製)を含むDME培地16mlと交換し培養を継続し
た。3 〜4 日毎に培地を交換しながら10日間培養した
後、限界希釈法によって形質転換株を選出することによ
りヒトトロンボモジュリン生産株CHO-K1RS7TMneo No.2-
9b-29 (以下No.2-9b-29と略す)を得た。
液60μl 添加して1液とした。×2 HBS 液(HEPES 2.5g,
NaCl 3.2g/200ml; pH7.1) 500μl に×100 リン酸溶液
(Na2HPO4 1.253g, NaH2PO4 0.546g/100ml) 10 μl 加え
たものを2液とした。2液に少量づつ1液を加えながら
攪拌し、室温に30分間放置した。一方、10%FBSを添加し
たダルベッコ変法イーグル培地「ニッスイ」(日水製
薬、以下DME培地という)で 1〜2 ×105 個のCHO-K1
細胞(大日本製薬 (株) カタログ番号:03-402,原ATCC N
o:CCL-61)を75cm2 のカルチャーボルト中で一晩培養
した。新鮮な同培地10mlと交換してから 4時間後上記プ
ラスミド懸濁液を加え、18時間培養した。1g/lのG418(G
IBCO社製)を含むDME培地16mlと交換し培養を継続し
た。3 〜4 日毎に培地を交換しながら10日間培養した
後、限界希釈法によって形質転換株を選出することによ
りヒトトロンボモジュリン生産株CHO-K1RS7TMneo No.2-
9b-29 (以下No.2-9b-29と略す)を得た。
【0023】
【実施例4】活性型プロテインCの活性測定によるヒト
トロンボモジュリンの定量(APC法) 33μl のゼラチン
バッファー(0.1%ゼラチン(SIGMA社製、カタログ番号G-
2500)、20mM Tris-HCl (SIGMA社製), 0.1M NaCl, 0.02
% NaN3; pH7.5)と、50 mM CaCl2 6 μl、 3μM ヒトプロ
テインC(American Diagnostica Inc. )製)10μl およ
び測定試料 1μl を混合して37℃で20分間静置した。こ
れに3.5U/ml のウシトロンビン(持田製薬製;5M MES,
0.1M NaCl, 0.02% NaN3, pH6.0 に溶解)10μl 添加し
た後37℃で10分間静置後、20μl のアンチトロンビンII
I (ノイアート500 倍(ミドリ十字製)を20mlの生理食
塩水で溶解したもの)および20μl のヘパリン(SIGMA社
製、カタログ番号H-3125; 10,000n を25mlのゼラチンバ
ッファーで溶解したもの)を加える。充分に混合した後
10μl を別の容器に移し、90μl のS-2366(第一化学;
ゼラチンバッファーで溶解し0.11mMとしたもの)を加え
Vmax(Molecnlar Devices社製)を用いて、ここで生成し
た活性型プロテインCによって起る単位時間当りの405n
m での吸光度の変化を測定することにより測定試料中の
ヒトトロンボモジュリンを定量する。
トロンボモジュリンの定量(APC法) 33μl のゼラチン
バッファー(0.1%ゼラチン(SIGMA社製、カタログ番号G-
2500)、20mM Tris-HCl (SIGMA社製), 0.1M NaCl, 0.02
% NaN3; pH7.5)と、50 mM CaCl2 6 μl、 3μM ヒトプロ
テインC(American Diagnostica Inc. )製)10μl およ
び測定試料 1μl を混合して37℃で20分間静置した。こ
れに3.5U/ml のウシトロンビン(持田製薬製;5M MES,
0.1M NaCl, 0.02% NaN3, pH6.0 に溶解)10μl 添加し
た後37℃で10分間静置後、20μl のアンチトロンビンII
I (ノイアート500 倍(ミドリ十字製)を20mlの生理食
塩水で溶解したもの)および20μl のヘパリン(SIGMA社
製、カタログ番号H-3125; 10,000n を25mlのゼラチンバ
ッファーで溶解したもの)を加える。充分に混合した後
10μl を別の容器に移し、90μl のS-2366(第一化学;
ゼラチンバッファーで溶解し0.11mMとしたもの)を加え
Vmax(Molecnlar Devices社製)を用いて、ここで生成し
た活性型プロテインCによって起る単位時間当りの405n
m での吸光度の変化を測定することにより測定試料中の
ヒトトロンボモジュリンを定量する。
【0024】
【実施例5】実施例3で得られたヒトトロンボモジュリ
ン生産CHO 細胞株No,2-9b-29を1本当り 2×107 個、G4
18(1g/l)およびアプロチニン(50U/ml)を含むGIT 培地
(日本製薬製) 200mlの入ったローラーボトルに接種
し、 0.3〜0.5rpmで培養を行った。2日目に上記培地で
培地交換を行った。4日目に上記培地よりG418を除いた
培地と交換した。以降毎日7日目まで培地を交換し、
5、6および7日目に回収した培養液を合せ生産物回収
の材料とした。
ン生産CHO 細胞株No,2-9b-29を1本当り 2×107 個、G4
18(1g/l)およびアプロチニン(50U/ml)を含むGIT 培地
(日本製薬製) 200mlの入ったローラーボトルに接種
し、 0.3〜0.5rpmで培養を行った。2日目に上記培地で
培地交換を行った。4日目に上記培地よりG418を除いた
培地と交換した。以降毎日7日目まで培地を交換し、
5、6および7日目に回収した培養液を合せ生産物回収
の材料とした。
【0025】
【実施例6】実施例5で得られた培養液(880ml) から遠
心分離(3000rpm、10分間)および濾過(0.8μm メブラン
フィルター使用)処理によって固形夾雑物を取除いた
後、1.0M Tris-HCl 緩衝液(pH7.5) を添加しpHを 7.5に
調整した。この液を、0.15M NaCl を含む20mM Tris-HCl
緩衝液(pH7.5) で予め平衡化したQ-セファロースファ
ーストフロー(Pharmacia社製)充填カラム(φ 2.5×12
cm)に流速200ml/時で通した。カラム流量 20ml/時の前
記緩衝液 300mlで洗った後流量100ml/時の20mMTris-HCl
緩衝液(pH7.5) 中で0.15M から1.20M の直線塩化ナトリ
ウム濃度勾配を用いて溶出した(総溶出緩衝液量は1000
ml)。溶出液を19mlづつ分画し各フラクションを APC法
により活性を調べた。その結果、フラクションNo.8〜15
と22〜32の二つの活性ピークが検出された(図10参
照)。後者のピーク画分を集め画分Aとした。また前者
の画分は画分Bとした。
心分離(3000rpm、10分間)および濾過(0.8μm メブラン
フィルター使用)処理によって固形夾雑物を取除いた
後、1.0M Tris-HCl 緩衝液(pH7.5) を添加しpHを 7.5に
調整した。この液を、0.15M NaCl を含む20mM Tris-HCl
緩衝液(pH7.5) で予め平衡化したQ-セファロースファ
ーストフロー(Pharmacia社製)充填カラム(φ 2.5×12
cm)に流速200ml/時で通した。カラム流量 20ml/時の前
記緩衝液 300mlで洗った後流量100ml/時の20mMTris-HCl
緩衝液(pH7.5) 中で0.15M から1.20M の直線塩化ナトリ
ウム濃度勾配を用いて溶出した(総溶出緩衝液量は1000
ml)。溶出液を19mlづつ分画し各フラクションを APC法
により活性を調べた。その結果、フラクションNo.8〜15
と22〜32の二つの活性ピークが検出された(図10参
照)。後者のピーク画分を集め画分Aとした。また前者
の画分は画分Bとした。
【0026】
【実施例7】さらに各画分A,Bをアフィニティクロマ
トグラフィで精製した。予め 0.15M NaCl を含む20mM T
ris-HCl 緩衝液(pH7.5) 平衡化した抗ヒトトロンボモジ
ュリンIgG 結合セルロファイン(ホルミルセルロファイ
ン(チッソ社製)に抗ヒトトロンボモジュリンIgG を約
5mg/mlゲルの割合で結合させたもの)充填カラム(φ
1.5×6cm)に、2倍量の20mM Tris-HCl 緩衝液(pH7.5)
で希釈した画分A(又はB)を流量 20ml/時で通した。
このカラムを流量30ml/時で0.35M NaClを含む20mM Tri
s-HCl 緩衝液(pH7.5) で洗浄した後流量30ml/時の3.0M
チオシアン酸カリウムを含む20mM Tris-HCl 緩衝液(pH
7.5)150mlで溶出した。この溶出液を集め限外濾過膜
(ダイアフローメンブレンYM30、φ76mm)を装着した限
外濾過装置で約 5mlに濃縮した。これに100ml の0.15M
のNaClを含む20mM Tris-HCl 緩衝液(pH7.5) を加えて再
度同様に約 5mlに濃縮した。この操作を更に二度繰返し
たのち、φ43mmのYM30を用いて最終的に1 mlに濃縮し
た。
トグラフィで精製した。予め 0.15M NaCl を含む20mM T
ris-HCl 緩衝液(pH7.5) 平衡化した抗ヒトトロンボモジ
ュリンIgG 結合セルロファイン(ホルミルセルロファイ
ン(チッソ社製)に抗ヒトトロンボモジュリンIgG を約
5mg/mlゲルの割合で結合させたもの)充填カラム(φ
1.5×6cm)に、2倍量の20mM Tris-HCl 緩衝液(pH7.5)
で希釈した画分A(又はB)を流量 20ml/時で通した。
このカラムを流量30ml/時で0.35M NaClを含む20mM Tri
s-HCl 緩衝液(pH7.5) で洗浄した後流量30ml/時の3.0M
チオシアン酸カリウムを含む20mM Tris-HCl 緩衝液(pH
7.5)150mlで溶出した。この溶出液を集め限外濾過膜
(ダイアフローメンブレンYM30、φ76mm)を装着した限
外濾過装置で約 5mlに濃縮した。これに100ml の0.15M
のNaClを含む20mM Tris-HCl 緩衝液(pH7.5) を加えて再
度同様に約 5mlに濃縮した。この操作を更に二度繰返し
たのち、φ43mmのYM30を用いて最終的に1 mlに濃縮し
た。
【0027】こうして得た画分Aからの活性物質を TM-
β、画分Bからの活性物質を TM-αとした。各試料につ
いて逆相HPLCを行なった。溶出条件は以下の通りであ
る。 カラム:フェニル5PWRP ( φ 4.6×75 mm,東ソー社製) 溶媒A: 0.1%TFA-H2O (pH≒2.0 ) 溶媒B: 0.1%TFA-CH3CN 濃度勾配:溶媒Bの比率を開始時10%から50分間で65%
に上げた。 流速:1 ml/分, 試料:20μg 検出:A280nm 結果を図11に示す。 TM-αはシングルピークを示した
(図11(A) )が、 TM-βはこのような酸性の溶出条件
では溶出されなかった(図11(B) )。
β、画分Bからの活性物質を TM-αとした。各試料につ
いて逆相HPLCを行なった。溶出条件は以下の通りであ
る。 カラム:フェニル5PWRP ( φ 4.6×75 mm,東ソー社製) 溶媒A: 0.1%TFA-H2O (pH≒2.0 ) 溶媒B: 0.1%TFA-CH3CN 濃度勾配:溶媒Bの比率を開始時10%から50分間で65%
に上げた。 流速:1 ml/分, 試料:20μg 検出:A280nm 結果を図11に示す。 TM-αはシングルピークを示した
(図11(A) )が、 TM-βはこのような酸性の溶出条件
では溶出されなかった(図11(B) )。
【0028】そこで溶出条件を下記のようなアルカリ条
件に変えてHPLC分析を行なった。 カラム:フェニル5PWRP (φ 4.6×75 mm,東ソー社製) 溶媒A: 1mM NH4OH (pH≒9.5 ) 溶媒B: CH3CN 濃度勾配:溶媒Bの比率を開始時10%から50分間で65%
に上げた。 流速:1 ml/分, 試料:80μg 検出:A280nm 図12に示すようにこの条件下では保持時間13.0分でシ
ングルピークとして溶出され、 TM-βを純化することが
できた。精製された TM-α及び TM-βは何れもSDS-ポリ
アクリルアミド電気泳動で単一バンドを示していた。
件に変えてHPLC分析を行なった。 カラム:フェニル5PWRP (φ 4.6×75 mm,東ソー社製) 溶媒A: 1mM NH4OH (pH≒9.5 ) 溶媒B: CH3CN 濃度勾配:溶媒Bの比率を開始時10%から50分間で65%
に上げた。 流速:1 ml/分, 試料:80μg 検出:A280nm 図12に示すようにこの条件下では保持時間13.0分でシ
ングルピークとして溶出され、 TM-βを純化することが
できた。精製された TM-α及び TM-βは何れもSDS-ポリ
アクリルアミド電気泳動で単一バンドを示していた。
【0029】TM-α及び TM-βについて、そのN末端側
のアミノ酸配列をペプチドシーケンサーApplied Biosys
tems 社製、470A型)を用いて5番目まで調べたとこ
ろ、いずれもAla・Pro・Ala・Glu・Pro であった。これは文
献(EMBO J.,6, 1891〜1897(1987)) 記載のヒトトロンボ
モジュリンの N末端アミノ酸配列と一致する。 TM-αと
TM-βのHPLCでの挙動の違いから、 TM-βは酸性糖鎖が
付加したものであると推測された。
のアミノ酸配列をペプチドシーケンサーApplied Biosys
tems 社製、470A型)を用いて5番目まで調べたとこ
ろ、いずれもAla・Pro・Ala・Glu・Pro であった。これは文
献(EMBO J.,6, 1891〜1897(1987)) 記載のヒトトロンボ
モジュリンの N末端アミノ酸配列と一致する。 TM-αと
TM-βのHPLCでの挙動の違いから、 TM-βは酸性糖鎖が
付加したものであると推測された。
【0030】なお図13は TM-βのイオン交換クロマト
の溶出パターンである。その溶出条件は下記の通りであ
る。 カラム:DEAE-NPR (φ 4.6×35 mm, 2.5μm,東ソー社
製) 溶媒A: 20mM Tris-HCl(pH 7.5 ) 溶媒B: 1.2M NaCl - 20mM Tris-HCl(pH 7.5) 濃度勾配:5分間、溶媒Bを10%、その後50分間で10か
ら90%に上げた 流速:0.8 ml/分, 試料:60〜70μg 検出:A280nm
の溶出パターンである。その溶出条件は下記の通りであ
る。 カラム:DEAE-NPR (φ 4.6×35 mm, 2.5μm,東ソー社
製) 溶媒A: 20mM Tris-HCl(pH 7.5 ) 溶媒B: 1.2M NaCl - 20mM Tris-HCl(pH 7.5) 濃度勾配:5分間、溶媒Bを10%、その後50分間で10か
ら90%に上げた 流速:0.8 ml/分, 試料:60〜70μg 検出:A280nm
【0031】
【実施例8】TM-βのコンドロイチナーゼABC 処理 ヒトトロンボモジュリンでは知られていないが、ウサギ
トロンボモジュリンの一部は、コンドロイチン硫酸様/
デルマタン硫酸様グルコサミノグリカンで修飾されてお
り、そのグルコサミノグリカン部分を介してアンチトロ
ンビンIII 依存性の抗トロンビン活性を示すことが報告
されており、硫酸化グルコサミノグリカンの重要性が示
されている(J.Biol.Chem., 263, 8044〜8052 (1988);Th
romb.Res.,54, 27〜39 (1989) )。そこで酸性物質であ
る TM-βについて硫酸化グルコサミノグリカンの有無を
調べた。まずコンドロイチン硫酸やデルマタン硫酸を特
異的に分解して硫酸化不飽和二糖を生成するコンドロイ
チナーゼABC で TM-βを処理した。コンドロイチナーゼ
ABC(プロテアーゼフリー、1U/バイアル;生化学工業
製)凍結乾燥粉末の入ったバイアルに620μl の0.1M Na
Cl を含む50mM Tris-HCl 緩衝液(pH8.0) と30μl の 1.
0M 酢酸ナトリウム水溶液を加え酵素を溶解した。これ
に、350 μl の TM-β溶液(3.4mg/ml, 0.1M NaCl−20mM
Tris-HCl 緩衝液(pH7.5))を加えよく攪拌した後37℃で
16時間反応させた。なお、 TM-βの定量は、TM-αの凍結
乾燥粉末を標準試料にして、ELISA(enzymelinked immun
osorbent assay法)により行なった。このときの重量換
算は、SDS-電気泳動の泳動度から、 TM-αの分子量を70
kD、 TM-βの分子量を85kDとして行なった。
トロンボモジュリンの一部は、コンドロイチン硫酸様/
デルマタン硫酸様グルコサミノグリカンで修飾されてお
り、そのグルコサミノグリカン部分を介してアンチトロ
ンビンIII 依存性の抗トロンビン活性を示すことが報告
されており、硫酸化グルコサミノグリカンの重要性が示
されている(J.Biol.Chem., 263, 8044〜8052 (1988);Th
romb.Res.,54, 27〜39 (1989) )。そこで酸性物質であ
る TM-βについて硫酸化グルコサミノグリカンの有無を
調べた。まずコンドロイチン硫酸やデルマタン硫酸を特
異的に分解して硫酸化不飽和二糖を生成するコンドロイ
チナーゼABC で TM-βを処理した。コンドロイチナーゼ
ABC(プロテアーゼフリー、1U/バイアル;生化学工業
製)凍結乾燥粉末の入ったバイアルに620μl の0.1M Na
Cl を含む50mM Tris-HCl 緩衝液(pH8.0) と30μl の 1.
0M 酢酸ナトリウム水溶液を加え酵素を溶解した。これ
に、350 μl の TM-β溶液(3.4mg/ml, 0.1M NaCl−20mM
Tris-HCl 緩衝液(pH7.5))を加えよく攪拌した後37℃で
16時間反応させた。なお、 TM-βの定量は、TM-αの凍結
乾燥粉末を標準試料にして、ELISA(enzymelinked immun
osorbent assay法)により行なった。このときの重量換
算は、SDS-電気泳動の泳動度から、 TM-αの分子量を70
kD、 TM-βの分子量を85kDとして行なった。
【0032】
【実施例9】HPLC装置(LC-6AD;島津製作所製)に装着し
たTSKgel Phenyl 5PW RP(φ 4.6×75mm;東ソー社製)
をあらかじめ流量1.0ml/分の条件下で 10%CH3CN を含む
1mM NH4OH 溶液で平衡化しておき、この条件下で連続的
に通液中のカラムに実施例8で得た反応液を注入した。
この操作により大部分の蛋白質はカラムに吸着される
が、反応生成物である不飽和二糖は吸着されないで通過
する。この通過画分を回収し凍結乾燥し、その凍結乾燥
粉末を1.0 mlの水に溶解しHPLCによる同定の試料とし
た。
たTSKgel Phenyl 5PW RP(φ 4.6×75mm;東ソー社製)
をあらかじめ流量1.0ml/分の条件下で 10%CH3CN を含む
1mM NH4OH 溶液で平衡化しておき、この条件下で連続的
に通液中のカラムに実施例8で得た反応液を注入した。
この操作により大部分の蛋白質はカラムに吸着される
が、反応生成物である不飽和二糖は吸着されないで通過
する。この通過画分を回収し凍結乾燥し、その凍結乾燥
粉末を1.0 mlの水に溶解しHPLCによる同定の試料とし
た。
【0033】
【実施例10】実施例9で得られた試料を下記の条件で
HPLCによる分析を行なった。 カラム:Shim-pack CLC-NH2,φ 6.0×150 mm(島津製作
所製) 溶媒A: 10mM NaH2PO4 , 溶媒B: 500 mM NaH2PO4 流 量:1.2 ml/分 溶出条件:試料注入後5分間は溶媒Aのみで流し、その
後40分間で溶媒Bの比率を最終80%まで直線的に高め
た。 検 出:232nm におけるUV吸収 この本条件下で試料中の主要ピークの保持時間は24.7分
であった(図14)。 このピークを示す不飽和二糖を便宜上ΔDi-XS として図
面に示す。この保持時間は市販の標準2-acetamido-2-de
oxy-3-0-(β-D-gluco-4-enepyranosylnronic acid)-4-
0-sulfo-D-galactose (以下ΔDi-4S と略す;生化学工
業社製)の保持時間と一致した。さらに、本試料 (ΔDi
-XS)とΔDi-4S を混合して上記条件下で分析を行うと、
試料中の主要ピーク(保持時間24.7分)に相応の増加が
見られた(図15)。ΔDi-4S はコンドロイチン-4- 硫
酸やデルマタン硫酸をコンドロイチナーゼABC で処理し
た場合の分解産物として知られているものであり、 TM-
βの主要修飾糖鎖はコンドロイチン-4- 硫酸又はデルマ
タン硫酸であると推測できた。なお図14、15におけ
る保持時間16.1分のピークは試料中に混在するSCN-イオ
ン(実施例7の操作により混入)によるピークである。
HPLCによる分析を行なった。 カラム:Shim-pack CLC-NH2,φ 6.0×150 mm(島津製作
所製) 溶媒A: 10mM NaH2PO4 , 溶媒B: 500 mM NaH2PO4 流 量:1.2 ml/分 溶出条件:試料注入後5分間は溶媒Aのみで流し、その
後40分間で溶媒Bの比率を最終80%まで直線的に高め
た。 検 出:232nm におけるUV吸収 この本条件下で試料中の主要ピークの保持時間は24.7分
であった(図14)。 このピークを示す不飽和二糖を便宜上ΔDi-XS として図
面に示す。この保持時間は市販の標準2-acetamido-2-de
oxy-3-0-(β-D-gluco-4-enepyranosylnronic acid)-4-
0-sulfo-D-galactose (以下ΔDi-4S と略す;生化学工
業社製)の保持時間と一致した。さらに、本試料 (ΔDi
-XS)とΔDi-4S を混合して上記条件下で分析を行うと、
試料中の主要ピーク(保持時間24.7分)に相応の増加が
見られた(図15)。ΔDi-4S はコンドロイチン-4- 硫
酸やデルマタン硫酸をコンドロイチナーゼABC で処理し
た場合の分解産物として知られているものであり、 TM-
βの主要修飾糖鎖はコンドロイチン-4- 硫酸又はデルマ
タン硫酸であると推測できた。なお図14、15におけ
る保持時間16.1分のピークは試料中に混在するSCN-イオ
ン(実施例7の操作により混入)によるピークである。
【0034】
【実施例11】実施例9で得られた試料について実施例
10とは異なる下記の条件でHPLCによる分析を行った。 カラム:Shim-pack CLC-NH2,φ 6.0×150mm (島津製作
所製) 溶 媒A:アセトニトリル:メタノール:0.5M蟻酸アン
モニウム緩衝液(pH4.8) 流 量:1.5ml/分 検 出:232nm のUV吸収 この条件下でも試料中の主要ピークの保持時間(21.3
分)は予想分解産物ΔDi-4S の保持時間と一致していた
(図示せず)。
10とは異なる下記の条件でHPLCによる分析を行った。 カラム:Shim-pack CLC-NH2,φ 6.0×150mm (島津製作
所製) 溶 媒A:アセトニトリル:メタノール:0.5M蟻酸アン
モニウム緩衝液(pH4.8) 流 量:1.5ml/分 検 出:232nm のUV吸収 この条件下でも試料中の主要ピークの保持時間(21.3
分)は予想分解産物ΔDi-4S の保持時間と一致していた
(図示せず)。
【0035】
【実施例12】次に TM-β修飾糖鎖がコンドロイチン-4
硫酸であるのかデルマタン硫酸であるのか明らかにす
るため、コンドロイチナーゼAC 1フラボ(コンドロイチ
ン-4- 硫酸を特異的に分解して硫酸化不飽和二糖を生成
するが、デルマタン硫酸は分解できない)でTM-βを処
理した。50μl の TM-β溶液(3.4mg/ml, 0.15M NaCl-
20mM Tris-HCl 緩衝液(pH7.5))に50μl の0.4M Tris-HC
l 緩衝液(pH7.5) と50μl の0.4M酢酸ナトリウム溶液と
50μl の0.1% BSA溶液および200 μl の水を加え、更に
これに予め0.1% BSA溶液に1U/ml の濃度で溶かした市販
コンドロイチナーゼAC 1フラボ(1.6U/バイアル:生化学
工業製)溶液100μl を添加した後よく攪拌し37℃で6
時間反応させた。得られた反応液から、実施例9と同様
にして不飽和二糖画分を集め、実施例10,11と同様
の条件でHPLCにかけたところ、いずれも実施例10,1
1と同様に予想分解産物ΔDi-4S と同じ保持時間を持つ
ピークが観察された。図16は実施例10と同一条件下
でのHPLC溶出パターンである。従って TM-βの修飾糖鎖
はコンドロイチン−4−硫酸であると推測できた。
硫酸であるのかデルマタン硫酸であるのか明らかにす
るため、コンドロイチナーゼAC 1フラボ(コンドロイチ
ン-4- 硫酸を特異的に分解して硫酸化不飽和二糖を生成
するが、デルマタン硫酸は分解できない)でTM-βを処
理した。50μl の TM-β溶液(3.4mg/ml, 0.15M NaCl-
20mM Tris-HCl 緩衝液(pH7.5))に50μl の0.4M Tris-HC
l 緩衝液(pH7.5) と50μl の0.4M酢酸ナトリウム溶液と
50μl の0.1% BSA溶液および200 μl の水を加え、更に
これに予め0.1% BSA溶液に1U/ml の濃度で溶かした市販
コンドロイチナーゼAC 1フラボ(1.6U/バイアル:生化学
工業製)溶液100μl を添加した後よく攪拌し37℃で6
時間反応させた。得られた反応液から、実施例9と同様
にして不飽和二糖画分を集め、実施例10,11と同様
の条件でHPLCにかけたところ、いずれも実施例10,1
1と同様に予想分解産物ΔDi-4S と同じ保持時間を持つ
ピークが観察された。図16は実施例10と同一条件下
でのHPLC溶出パターンである。従って TM-βの修飾糖鎖
はコンドロイチン−4−硫酸であると推測できた。
【0036】
【実施例13】さらに TM-βの修飾糖鎖はコンドロイチ
ン-4- 硫酸であることの確証を得るため、 TM-βの予想
分解産物ΔDi-4S に特異的に作用し脱硫酸するコンドロ
−4−スルファターゼでΔDi-XS を処理した。実施例9
で得られた試料50μl に10μl の0.4M Tris-HCl 緩衝液
(pH7.5) と10μl の 0.4M 酢酸ナトリウム溶液と10μl
の0.1%BSA 溶液および10μl の水を加え、これに 2μl
の市販コンドロ4- スルファターゼ(1U/ml 0.1%BSA:生
化学工業製)を添加しよく攪拌した後37℃で1時間反応
させた。 100℃2分間加熱して反応を停止させた後ただ
ちに実施例10に述べた条件によりHPLCを用いた分析を
行った。その結果、保持時間24.7分のピークが減少し、
新たに保持時間15.6分のピークが観察された(図17
(C) )。この保持時間は市販の標準2-acetamido-2-deox
y-3-0-(β-D-glnco-4-enepyranosyluronic acid)-D-ga
lactosu (以下ΔDi-OS と略す)と一致した(図17
(A) )。さらに市販のΔDi-4S と2-acetamido-2-deoxy-
3-0-(β-D-gluco-4-enepyranosylnronic acid)-6-0-su
lfo-D-galactose (以下ΔDi-6S と略す;生化学工業
製)を各 2.5μg づつコンドロ-4- スルファターゼで処
理し同様の条件でHPLCによる分析を行なった。その結果
ΔDi-4S では保持時間がΔDi-OS と等しいピークを生じ
た(図17(B) )。しかしコンドロイチン-6- 硫酸の分
解産物として知られているΔDi-6S ではコンドロ-4- ス
ルファターゼ処理によるピークの移動は観察されなかっ
た(図17(D) ))。以上の結果から本発明の組換ヒト
トロンボモジュリン( TM-β)はコンドロイチン−4−
硫酸を基本とする硫酸化グルコサミノグリカンを有する
ことが判明した。なおΔDi-4S 生成量をHPLCでのピーク
面積から換算した結果、組換ヒトトロンボモジュリンか
らその1分子当り平均20〜25分子の上記ΔDi-4S が
コンドロイチナーゼ処理により生成するものと推測でき
た。
ン-4- 硫酸であることの確証を得るため、 TM-βの予想
分解産物ΔDi-4S に特異的に作用し脱硫酸するコンドロ
−4−スルファターゼでΔDi-XS を処理した。実施例9
で得られた試料50μl に10μl の0.4M Tris-HCl 緩衝液
(pH7.5) と10μl の 0.4M 酢酸ナトリウム溶液と10μl
の0.1%BSA 溶液および10μl の水を加え、これに 2μl
の市販コンドロ4- スルファターゼ(1U/ml 0.1%BSA:生
化学工業製)を添加しよく攪拌した後37℃で1時間反応
させた。 100℃2分間加熱して反応を停止させた後ただ
ちに実施例10に述べた条件によりHPLCを用いた分析を
行った。その結果、保持時間24.7分のピークが減少し、
新たに保持時間15.6分のピークが観察された(図17
(C) )。この保持時間は市販の標準2-acetamido-2-deox
y-3-0-(β-D-glnco-4-enepyranosyluronic acid)-D-ga
lactosu (以下ΔDi-OS と略す)と一致した(図17
(A) )。さらに市販のΔDi-4S と2-acetamido-2-deoxy-
3-0-(β-D-gluco-4-enepyranosylnronic acid)-6-0-su
lfo-D-galactose (以下ΔDi-6S と略す;生化学工業
製)を各 2.5μg づつコンドロ-4- スルファターゼで処
理し同様の条件でHPLCによる分析を行なった。その結果
ΔDi-4S では保持時間がΔDi-OS と等しいピークを生じ
た(図17(B) )。しかしコンドロイチン-6- 硫酸の分
解産物として知られているΔDi-6S ではコンドロ-4- ス
ルファターゼ処理によるピークの移動は観察されなかっ
た(図17(D) ))。以上の結果から本発明の組換ヒト
トロンボモジュリン( TM-β)はコンドロイチン−4−
硫酸を基本とする硫酸化グルコサミノグリカンを有する
ことが判明した。なおΔDi-4S 生成量をHPLCでのピーク
面積から換算した結果、組換ヒトトロンボモジュリンか
らその1分子当り平均20〜25分子の上記ΔDi-4S が
コンドロイチナーゼ処理により生成するものと推測でき
た。
【0037】
【実施例14】TM-βの抗凝固活性の測定 54nMウシトロンビン(表1中ではTと略す)の生理食塩
水溶液(持田製薬製) 100μl、ウシフィプリノーゲン
(タイプ2; 3mg/ml 20mM Tris-HCl, 0.15M NaCl、pH 7.5
;第一化学薬品製) 100μl および0.9% NaCl, 1mg/ml
BSA, 0.1% ルブロールPXに溶解した0、54、108あるいは1
62nM の TM-β 100μl を混合して反応を開始し、凝固
までの時間を測定した。測定は血液凝固自動測定器クロ
テックII(メテク社製)を使用して行った。その結果は
次の通りである。数値の単位は秒で示してある。
水溶液(持田製薬製) 100μl、ウシフィプリノーゲン
(タイプ2; 3mg/ml 20mM Tris-HCl, 0.15M NaCl、pH 7.5
;第一化学薬品製) 100μl および0.9% NaCl, 1mg/ml
BSA, 0.1% ルブロールPXに溶解した0、54、108あるいは1
62nM の TM-β 100μl を混合して反応を開始し、凝固
までの時間を測定した。測定は血液凝固自動測定器クロ
テックII(メテク社製)を使用して行った。その結果は
次の通りである。数値の単位は秒で示してある。
【0038】
【表1】
【0039】表に示すように硫酸化グルコサミノグリカ
ン鎖を有するヒトトロンボモジュリン、 TM-βはトロン
ビンの凝固活性を抑制していた。
ン鎖を有するヒトトロンボモジュリン、 TM-βはトロン
ビンの凝固活性を抑制していた。
【0040】
【実施例15】TM-βによるトロンビンのプロテインC
活性化の促進 1ml当り20, 15, 8, 6, 4, 2及び 1μgの TM-β溶液を
作り、これを測定試料として実施例4の方法で活性化プ
ロテインCを生成させた。生成した活性化プロテインC
によって起こる1分間当りの吸光度(OD405)変化を図1
8に示す。図に示すように、硫酸化グルコサミノグリカ
ン鎖を有するヒトトロンボモジュリン、 TM-βはトロン
ビンによるプロテインC活性化を促進していた。
活性化の促進 1ml当り20, 15, 8, 6, 4, 2及び 1μgの TM-β溶液を
作り、これを測定試料として実施例4の方法で活性化プ
ロテインCを生成させた。生成した活性化プロテインC
によって起こる1分間当りの吸光度(OD405)変化を図1
8に示す。図に示すように、硫酸化グルコサミノグリカ
ン鎖を有するヒトトロンボモジュリン、 TM-βはトロン
ビンによるプロテインC活性化を促進していた。
【0041】
【実施例16】コンドロイチナーゼABC 処理した TM-β
の血中濃度半減期 TM-βを実施例8と同様な方法でコンドロイチナーゼABC
処理し、実施例9と同様にHPLCカラムに注入し、カラ
ムをよく洗浄して反応生成物である不飽和二糖を除去し
た。次に、カラムに吸着保持されたコンドロイチナーゼ
ABC 処理 TM-βを1mM NH4OH-アセトニトリル(5-55% の
直線濃度勾配)で溶出し、これを集めて凍結乾燥した。
この凍結乾燥標品を0.9% NaCl, 0.1% ルーブロールPX,
1mg/ml BSAに溶解して、以下の実験に用いた。
の血中濃度半減期 TM-βを実施例8と同様な方法でコンドロイチナーゼABC
処理し、実施例9と同様にHPLCカラムに注入し、カラ
ムをよく洗浄して反応生成物である不飽和二糖を除去し
た。次に、カラムに吸着保持されたコンドロイチナーゼ
ABC 処理 TM-βを1mM NH4OH-アセトニトリル(5-55% の
直線濃度勾配)で溶出し、これを集めて凍結乾燥した。
この凍結乾燥標品を0.9% NaCl, 0.1% ルーブロールPX,
1mg/ml BSAに溶解して、以下の実験に用いた。
【0042】ウイスター系雄性ラット(静岡実験動物)
11週令をペントバルビタール(商品名、ネンブタール;
大日本製薬製)麻酔下で、コンドロイチナーゼABC 処理
TM-βを0.2 mg/kg の用量で大腿静脈から投与した。投
与後、5、10、30、60、120、 300分にクエン酸加血(3,13%
クエン酸ナトリウム・2水塩:血液=1:9 )を採取し、
遠心操作(3,000 rpm, 10 分)により血漿を得た。この
血漿をPBS(0.02%ルブロールPX含有)で100 倍希釈し
て、ELISA で血中のコンドロイチナーゼABC 処理 TM-β
量を定量した。 TM-β量の換算は実施例8と同様 TM-α
凍結乾燥粉末を標準試料として行った。
11週令をペントバルビタール(商品名、ネンブタール;
大日本製薬製)麻酔下で、コンドロイチナーゼABC 処理
TM-βを0.2 mg/kg の用量で大腿静脈から投与した。投
与後、5、10、30、60、120、 300分にクエン酸加血(3,13%
クエン酸ナトリウム・2水塩:血液=1:9 )を採取し、
遠心操作(3,000 rpm, 10 分)により血漿を得た。この
血漿をPBS(0.02%ルブロールPX含有)で100 倍希釈し
て、ELISA で血中のコンドロイチナーゼABC 処理 TM-β
量を定量した。 TM-β量の換算は実施例8と同様 TM-α
凍結乾燥粉末を標準試料として行った。
【0043】図19に示すように、コンドロイチナーゼ
ABC 処理 TM-β(−●−)の血中濃度半減期は7.7 時間
であり、未処理 TM-βの場合(−○−)の血中濃度半減
期約20分に比べ、著しく延長していた。なお、コンドロ
イチナーゼABC 処理 TM-βは、トロンビンによるプロテ
インC活性化の促進作用を失うことはなかった。従っ
て、硫酸化グルコサミノグリカン鎖で修飾されないヒト
トロンボモジュリン誘導体を作ることができれば、 TM-
βよりも血中半減期の長い組換ヒトトロンボモジュリン
とすることが期待できる。
ABC 処理 TM-β(−●−)の血中濃度半減期は7.7 時間
であり、未処理 TM-βの場合(−○−)の血中濃度半減
期約20分に比べ、著しく延長していた。なお、コンドロ
イチナーゼABC 処理 TM-βは、トロンビンによるプロテ
インC活性化の促進作用を失うことはなかった。従っ
て、硫酸化グルコサミノグリカン鎖で修飾されないヒト
トロンボモジュリン誘導体を作ることができれば、 TM-
βよりも血中半減期の長い組換ヒトトロンボモジュリン
とすることが期待できる。
【0044】
【実施例17】ヒトトロンボモジュリン誘導体遺伝子の
作成とその発現ベクターの構築 部分長ヒトトンボモジュリン遺伝子を有するプラスミド
pTMs07を、BssHIIおよびNheIで切断後Klenowフラグメン
トで平滑末端とし、self-ligation させ、約1.3kbpのBs
sHII−NheI断片が除去されたプラスミドpTMDs07 を得た
(図20上段)。別途DNAオリゴマーMnt-TMSG-2=
(5′) GCTCGCCAGAGTCGCCACCG(3′) を合成し、Kunk
el法( 文献: Sambrook et al.:"Molecular Cloning:
A Laboratory Manual, 2nd Ed." Vol.2, p15.74, Cold
Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New
York (1989))により部位特異的変異の手法を用いてpTM
Ds07 に変異を導入した。実験に当たっては部位特異的
変異実験キット 「MutanTM-K」(宝酒造製)を使用した。
即ち概略を述べると以下の通りである(図20、2
1)。
作成とその発現ベクターの構築 部分長ヒトトンボモジュリン遺伝子を有するプラスミド
pTMs07を、BssHIIおよびNheIで切断後Klenowフラグメン
トで平滑末端とし、self-ligation させ、約1.3kbpのBs
sHII−NheI断片が除去されたプラスミドpTMDs07 を得た
(図20上段)。別途DNAオリゴマーMnt-TMSG-2=
(5′) GCTCGCCAGAGTCGCCACCG(3′) を合成し、Kunk
el法( 文献: Sambrook et al.:"Molecular Cloning:
A Laboratory Manual, 2nd Ed." Vol.2, p15.74, Cold
Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New
York (1989))により部位特異的変異の手法を用いてpTM
Ds07 に変異を導入した。実験に当たっては部位特異的
変異実験キット 「MutanTM-K」(宝酒造製)を使用した。
即ち概略を述べると以下の通りである(図20、2
1)。
【0045】i)dUを含むssDNAの取得 pTMDs07 をE.coli MV1184 に保持させ、この菌を2×Y
T培地(10μg/mlのテトラサイクリン、30μg/mlのスト
レプトマイシンを含む)で前培養した。この培養液30μ
l を2×YT培地(150 μg/mlのアンピシリンを含む)
3ml に接種し、ファージM13K07をm.o.i.=2〜10で感染
させ、37℃30分静置後70μg/mlとなるようにカナマイシ
ンを加えて一夜37℃で振盪培養した。遠心分離で上清を
集め0.22μm のメンブランフィルターで濾過した後、こ
の上清20μl とE.coli BW313の培養液80μl を混合し37
℃10分間静置後適当量をLB−プレート(150 μg/mlの
アンピシリンを含む)にひろげ37℃でコロニーを形成さ
せた。シングルコロニーを2×YT培地(150 μg/mlの
アンピシリンを含む)で前培養し、この培養液1mlを2
×YT培地(150 μg/mlのアンピシリンを含む)100ml
接種しファージM13K07をm.o.i.=2〜10で感染させた。
37℃30分静置後70μg/mlとなるようにカナマイシンを加
えて一夜37℃で振盪培養した。遠心分離で上清を回収し
た。上清に20%PEG6000 /2.5M NaCl 溶液25mlを加え攪
拌し、室温で10分放置後遠心分離で沈澱を集めた。TE
緩衝液5mlに溶かし等量の中和フェノールを加えて攪拌
後10分静置した。遠心分離で水層を回収し、等量の中和
フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(2
5:24:1 )を加えて攪拌後10分静置した。遠心分離で
水層を回収し、等量のクロロホルム:イソアミルアルコ
ール(24:1)を加えて攪拌後10分静置した。遠心分離
後水層を回収し、3M酢酸アンモニウム、pH8.0 を500
μl 、イソプロピルアルコール5mlを加えて攪拌後、遠
心分離して沈澱を集めた。沈澱を70%エタノールで洗
い、減圧乾燥した後50μl のTE緩衝液に溶解した。
T培地(10μg/mlのテトラサイクリン、30μg/mlのスト
レプトマイシンを含む)で前培養した。この培養液30μ
l を2×YT培地(150 μg/mlのアンピシリンを含む)
3ml に接種し、ファージM13K07をm.o.i.=2〜10で感染
させ、37℃30分静置後70μg/mlとなるようにカナマイシ
ンを加えて一夜37℃で振盪培養した。遠心分離で上清を
集め0.22μm のメンブランフィルターで濾過した後、こ
の上清20μl とE.coli BW313の培養液80μl を混合し37
℃10分間静置後適当量をLB−プレート(150 μg/mlの
アンピシリンを含む)にひろげ37℃でコロニーを形成さ
せた。シングルコロニーを2×YT培地(150 μg/mlの
アンピシリンを含む)で前培養し、この培養液1mlを2
×YT培地(150 μg/mlのアンピシリンを含む)100ml
接種しファージM13K07をm.o.i.=2〜10で感染させた。
37℃30分静置後70μg/mlとなるようにカナマイシンを加
えて一夜37℃で振盪培養した。遠心分離で上清を回収し
た。上清に20%PEG6000 /2.5M NaCl 溶液25mlを加え攪
拌し、室温で10分放置後遠心分離で沈澱を集めた。TE
緩衝液5mlに溶かし等量の中和フェノールを加えて攪拌
後10分静置した。遠心分離で水層を回収し、等量の中和
フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(2
5:24:1 )を加えて攪拌後10分静置した。遠心分離で
水層を回収し、等量のクロロホルム:イソアミルアルコ
ール(24:1)を加えて攪拌後10分静置した。遠心分離
後水層を回収し、3M酢酸アンモニウム、pH8.0 を500
μl 、イソプロピルアルコール5mlを加えて攪拌後、遠
心分離して沈澱を集めた。沈澱を70%エタノールで洗
い、減圧乾燥した後50μl のTE緩衝液に溶解した。
【0046】ii) 部位特異的変異の導入 10pmolの上記合成オリゴマーMnt-TMSG-2をATP存在下
T4ポリヌクレオチドキナーゼによって5′末端をリン酸
化(反応溶液の最終用量は10μl )した。この溶液1μ
l とi)で得たssDNA溶液(0.2pmol /10μl アニール
緩衝液)1μl を混合し65℃15分、37℃静置することに
よりハイブリダイズさせた。これにdNTPs 存在下E.coli
DNAリガーゼ、T4 DNAポリメラーゼを加え(反応溶液27
μl )25℃2時間静置後、3μl の0.2M EDTA,pH8.0 を
加え65℃5分静置し反応を停止させた。この反応液3μ
l をE.coli BMH71-18mutS コンピテントセルに混合し0
℃30分、42℃45秒、0℃1〜2分静置した後、SOC培
地300 μl を加え、37℃1時間振盪培養した。これにM1
3K07ファージを感染させ37℃30分静置し、2×YT培地
(150 μg/mlのアンピシリン、70μg/mlのカナマイシン
を含む)1mlを加え37℃で一夜振盪培養した。遠心分離
で回収した上清20μl をE.coli MV1184 培養液80μl
を混合し、37℃10分静置後LB−プレート(150 μg/ml
のアンピシリンを含む)にひろげ37℃でコロニーを生育
させた。これより部分特異変異の導入されたプラスミド
pM2TMD07を得た(図20下段)。
T4ポリヌクレオチドキナーゼによって5′末端をリン酸
化(反応溶液の最終用量は10μl )した。この溶液1μ
l とi)で得たssDNA溶液(0.2pmol /10μl アニール
緩衝液)1μl を混合し65℃15分、37℃静置することに
よりハイブリダイズさせた。これにdNTPs 存在下E.coli
DNAリガーゼ、T4 DNAポリメラーゼを加え(反応溶液27
μl )25℃2時間静置後、3μl の0.2M EDTA,pH8.0 を
加え65℃5分静置し反応を停止させた。この反応液3μ
l をE.coli BMH71-18mutS コンピテントセルに混合し0
℃30分、42℃45秒、0℃1〜2分静置した後、SOC培
地300 μl を加え、37℃1時間振盪培養した。これにM1
3K07ファージを感染させ37℃30分静置し、2×YT培地
(150 μg/mlのアンピシリン、70μg/mlのカナマイシン
を含む)1mlを加え37℃で一夜振盪培養した。遠心分離
で回収した上清20μl をE.coli MV1184 培養液80μl
を混合し、37℃10分静置後LB−プレート(150 μg/ml
のアンピシリンを含む)にひろげ37℃でコロニーを生育
させた。これより部分特異変異の導入されたプラスミド
pM2TMD07を得た(図20下段)。
【0047】pM2TMD07をNheI及びSalIで切断後変異導入
部位を含む約260bp DNA断片を分離した。この断片を
pRS7TM-neoをNheI及びSalIで切断後分離したプロモータ
ーを含むDNA断片と結合させ、欠損変異ヒトトロンボ
モジュリン遺伝子と発現させるためのベクターpRS7M2TM
-neoを作成した(図21)。このプラスミド・ベクター
pRS7M2TM-neoを有するE.coli RS7M2TM-neoは工業技術院
微生物工業技術研究所に寄託されている(受託番号:微
工研条寄第3177号)。
部位を含む約260bp DNA断片を分離した。この断片を
pRS7TM-neoをNheI及びSalIで切断後分離したプロモータ
ーを含むDNA断片と結合させ、欠損変異ヒトトロンボ
モジュリン遺伝子と発現させるためのベクターpRS7M2TM
-neoを作成した(図21)。このプラスミド・ベクター
pRS7M2TM-neoを有するE.coli RS7M2TM-neoは工業技術院
微生物工業技術研究所に寄託されている(受託番号:微
工研条寄第3177号)。
【0048】
【実施例18】実施例3と同様の方法で、pRS7M2TM-neo
を用いてCHO−K1細胞を形質転換し、組換え欠損変
異ヒトトロンボモジュリン誘導体(以下MTM10 と称す
る)の発現細胞株CHO-K1RS7M2TMneo Neo No.14-50 (以
下No.14-50と略す)を得た。
を用いてCHO−K1細胞を形質転換し、組換え欠損変
異ヒトトロンボモジュリン誘導体(以下MTM10 と称す
る)の発現細胞株CHO-K1RS7M2TMneo Neo No.14-50 (以
下No.14-50と略す)を得た。
【0049】
【実施例19】実施例5と同様の方法で、MTMI0 生産細
胞株No.14-50をローラ−ボトルで培養し、5、6及び7
日目に回収した培養液を合わせ生産物回収の材料とし
た。
胞株No.14-50をローラ−ボトルで培養し、5、6及び7
日目に回収した培養液を合わせ生産物回収の材料とし
た。
【0050】
【実施例20】実施例19で得られた培養液(4 L)から
遠心分離(3000rpm、10分)および濾過(0.45μm メンブ
ランフィルター使用)処理によって固形夾雑物を取り除
いた後、 1.0M Tris-HCl 緩衝液(pH7.5) を添加しpHを
7.5 に調整した。この液を0.15M NaClを含む20mM Tris-
HCl 緩衝液(pH7.5)で予め平衡化したQセファロースフ
ァーストフロー(Pharmacia 社製)充填カラム(φ5 ×
10cm)に流速30ml/分で通した。カラム流量20ml/分の
前記緩衝液200ml で洗った後流量20ml/分の0.5M NaCl
を含む20mM Tris-HCl 緩衝液(pH7.5)600ml で溶出し
た。溶出画分中のMTM10 をELISA 法(二種類の坑ヒトト
ロンボモジュリン・モノクロナル抗体を用いたサンドイ
チ法)で定量したところ、回収率は99%であった。
遠心分離(3000rpm、10分)および濾過(0.45μm メンブ
ランフィルター使用)処理によって固形夾雑物を取り除
いた後、 1.0M Tris-HCl 緩衝液(pH7.5) を添加しpHを
7.5 に調整した。この液を0.15M NaClを含む20mM Tris-
HCl 緩衝液(pH7.5)で予め平衡化したQセファロースフ
ァーストフロー(Pharmacia 社製)充填カラム(φ5 ×
10cm)に流速30ml/分で通した。カラム流量20ml/分の
前記緩衝液200ml で洗った後流量20ml/分の0.5M NaCl
を含む20mM Tris-HCl 緩衝液(pH7.5)600ml で溶出し
た。溶出画分中のMTM10 をELISA 法(二種類の坑ヒトト
ロンボモジュリン・モノクロナル抗体を用いたサンドイ
チ法)で定量したところ、回収率は99%であった。
【0051】
【実施例21】実施例20の活性画分をアフィニティク
ロマトグラフィで精製した。予め0.15M NaCl を含む20
Tris-HCl 緩衝液(pH7.5 で平衡化した抗ヒトトロンボ
モジュリンIgG結合セルロファイン(ホルミルセルロ
ファイン(チッソ社製)に抗ヒトトロンボモジュリンI
gGを約5mg/mlゲルの割合で結合させたもの)充填カラ
ム(φ2.5 ×9cm )に活性画分を流量60ml/時で通し
た。このカラムを流量60ml/時で0.35M NaClを含む20mM
Tris-HCl 緩衝液(pH7.5) で洗浄した後60ml/時のチオ
シアン酸ナトリウムを含む20mM Tris-HCl 緩衝液(pH7.
5)400mlで溶出した。この溶出液を集め限外濾過膜(ダ
イアフローメンブレンYM30、φ76mm)を装着した限外濾
過装置で約5mlに濃縮した。これに100ml の0.15M NaCl
含有20mM Tris-HCl 緩衝液(pH7.5) を加えて再度同様
に約5mlに濃縮した。この操作を更に二度繰り返した
後、φ43mmの限外濾過膜YM30を用いて最終的に22mlに濃
縮した。
ロマトグラフィで精製した。予め0.15M NaCl を含む20
Tris-HCl 緩衝液(pH7.5 で平衡化した抗ヒトトロンボ
モジュリンIgG結合セルロファイン(ホルミルセルロ
ファイン(チッソ社製)に抗ヒトトロンボモジュリンI
gGを約5mg/mlゲルの割合で結合させたもの)充填カラ
ム(φ2.5 ×9cm )に活性画分を流量60ml/時で通し
た。このカラムを流量60ml/時で0.35M NaClを含む20mM
Tris-HCl 緩衝液(pH7.5) で洗浄した後60ml/時のチオ
シアン酸ナトリウムを含む20mM Tris-HCl 緩衝液(pH7.
5)400mlで溶出した。この溶出液を集め限外濾過膜(ダ
イアフローメンブレンYM30、φ76mm)を装着した限外濾
過装置で約5mlに濃縮した。これに100ml の0.15M NaCl
含有20mM Tris-HCl 緩衝液(pH7.5) を加えて再度同様
に約5mlに濃縮した。この操作を更に二度繰り返した
後、φ43mmの限外濾過膜YM30を用いて最終的に22mlに濃
縮した。
【0052】
【実施例22】実施例21のようにして得られた合計5
ロット分のMTM10 画分を合わせて(合計用量約100ml )
ゲル濾過クロマトグラフィーを行なった。予めPBS
(1l中にKCL を200mg、KH2PO4を200mg 、NaClを8g、Na
2PO4・7H2Oを2.16g 含有している)で平衡化したセファ
クリルS-300HR(Pharmacia 社製)充填カラム(φ5.0 ×
95cm) にMTM10 画分を流量5ml/分で通した。カラム流量
5ml/分のPBSで溶出させ、溶出液を15mlづつ分画し
た。41番目から47番目までのフラクションを集め、
40mlに濃縮した。こうして得たMTM10 の精製物につい
て、実施例7と同様の方法で逆相HPLCを行った。溶
出条件は以下の通りである。 カラム: フェニル5−PWRP(φ4.6 ×75mm、東ソ
ー社製) 溶媒A: 0.1 % TFA-H2O 溶媒B: 0.1 % TFA-CH3CN 濃度勾配: 溶媒Bの比率を開始時20%から60分間で60
%に上げた。 流速: 1ml/分、 試料: 20μg 検出: A280nm 結果は図22に示ように、MTM10 シングルピークを示し
た。MTM10 について、そのN末端側のアミノ酸配列をペ
プチドシーケンサー(Applied Biosystems社製、470A
型)を用いて5番目まで調べたところ、主なものはAla・
Pro・Ala・Glu・Pro であった。これは文献(EMBO J., 6,
1891-1897 (1987))記載のヒトトロンボモジュリンのN
末端アミノ酸配列と一致する。
ロット分のMTM10 画分を合わせて(合計用量約100ml )
ゲル濾過クロマトグラフィーを行なった。予めPBS
(1l中にKCL を200mg、KH2PO4を200mg 、NaClを8g、Na
2PO4・7H2Oを2.16g 含有している)で平衡化したセファ
クリルS-300HR(Pharmacia 社製)充填カラム(φ5.0 ×
95cm) にMTM10 画分を流量5ml/分で通した。カラム流量
5ml/分のPBSで溶出させ、溶出液を15mlづつ分画し
た。41番目から47番目までのフラクションを集め、
40mlに濃縮した。こうして得たMTM10 の精製物につい
て、実施例7と同様の方法で逆相HPLCを行った。溶
出条件は以下の通りである。 カラム: フェニル5−PWRP(φ4.6 ×75mm、東ソ
ー社製) 溶媒A: 0.1 % TFA-H2O 溶媒B: 0.1 % TFA-CH3CN 濃度勾配: 溶媒Bの比率を開始時20%から60分間で60
%に上げた。 流速: 1ml/分、 試料: 20μg 検出: A280nm 結果は図22に示ように、MTM10 シングルピークを示し
た。MTM10 について、そのN末端側のアミノ酸配列をペ
プチドシーケンサー(Applied Biosystems社製、470A
型)を用いて5番目まで調べたところ、主なものはAla・
Pro・Ala・Glu・Pro であった。これは文献(EMBO J., 6,
1891-1897 (1987))記載のヒトトロンボモジュリンのN
末端アミノ酸配列と一致する。
【0053】
【実施例23】MTM10 のコンドロイチナーゼABC処理
MTM10 がコンドロイチン硫酸を保持しているかどうかを
調べた。コンドロイチナーゼABC(プロテアーゼフリ
ー、1U/バイアル;生化学工業製)凍結乾燥粉末の入
ったバイアルに620 μl の1.0M NaCl を含む50mM Tris
-HCl緩衝液(pH8.0 )と30μl の0.1M酢酸ナトリウム
水溶液を加え酵素を溶解した。これに、350 μl のMTM1
0 溶液(5.0mg/ml ,0.1M NaCl-20mM Tris-HCl 緩衝液
(pH7.5 ))を加えよく攪拌した後37℃で16時間反応さ
せた。反応生成物と未反応のMTM10 とを、実施例7と同
様の条件で逆相HPLCを行なったところ、両者の保持時間
は一致していた(図示せず)。このことはMTM10 は TM-
βと異なりコンドロイチナーゼABCで切断されるグル
コサミノグリカンで修飾かれていないことを示してい
る。
MTM10 がコンドロイチン硫酸を保持しているかどうかを
調べた。コンドロイチナーゼABC(プロテアーゼフリ
ー、1U/バイアル;生化学工業製)凍結乾燥粉末の入
ったバイアルに620 μl の1.0M NaCl を含む50mM Tris
-HCl緩衝液(pH8.0 )と30μl の0.1M酢酸ナトリウム
水溶液を加え酵素を溶解した。これに、350 μl のMTM1
0 溶液(5.0mg/ml ,0.1M NaCl-20mM Tris-HCl 緩衝液
(pH7.5 ))を加えよく攪拌した後37℃で16時間反応さ
せた。反応生成物と未反応のMTM10 とを、実施例7と同
様の条件で逆相HPLCを行なったところ、両者の保持時間
は一致していた(図示せず)。このことはMTM10 は TM-
βと異なりコンドロイチナーゼABCで切断されるグル
コサミノグリカンで修飾かれていないことを示してい
る。
【0054】
【実施例24】MTM10 の血中半減期 9−10週令のウイスター系ラット(雄、250g前後)に
ペントバルビタールで麻酔後、MTM10 を投与量1mg/kgで
大腿静脈から投与した。経時時に採血し、実施例16と
同様にELISA法で血中残存量を測定した。その結果
MTM10 の血中半減期は約7時間であった(図23)。以
上のように、 TM-βを修飾しているコンドロイチン硫酸
が結合していると予想される部位のアミノ酸配列を変更
することにより作製した誘導体MTM10 は、コンドロイチ
ナーゼABCで切断されるような硫酸化グルコサミグリ
カンで修飾されていないため、血中半減期が長いものと
考えられる。
ペントバルビタールで麻酔後、MTM10 を投与量1mg/kgで
大腿静脈から投与した。経時時に採血し、実施例16と
同様にELISA法で血中残存量を測定した。その結果
MTM10 の血中半減期は約7時間であった(図23)。以
上のように、 TM-βを修飾しているコンドロイチン硫酸
が結合していると予想される部位のアミノ酸配列を変更
することにより作製した誘導体MTM10 は、コンドロイチ
ナーゼABCで切断されるような硫酸化グルコサミグリ
カンで修飾されていないため、血中半減期が長いものと
考えられる。
【0055】
【実施例25】MTM10 によるトロンビンのプロテインC
活性化促進能 40、20、15、10および5 nMのMTM10 溶液を作り、これを
測定試料とした。この測定試料6μl を、32μl の緩衝
液A(20mM Tris-HCl(SIGMA 社製)、0.15M NaCl、 0.5 %
BSA(SIGMA 社製、カタログ番号A-4378);pH7.4 )、50mM
CaCl26μl 、3μMヒトプロテインC(American Dia
gnostica Inc. 製)10μl に混合した。これに100nM ヒ
トトロンビン(SIGMA 社製、カタログ番号T-3010;緩衝
液Aに溶解)6μl を添加後37℃で15分静置し、20μl
のアンチトロンビンIII (ノイアート500 倍(ミドリ十
字製)を20mlの生理食塩水で溶解後、更に緩衝液B(50m
M Tris-HCl(SIGMA 社製)、0.1M NaCl 、1mM CaCl2 ;
pH8.0 )2.5 倍希釈したもの)および20μl のヘパリン
溶液(SIGMA 社製、カタログ番号H-3125:400n/ml とな
るようゼラチンバッファー(0.1 %ゼラチン(SIGMA 社
製、カタログ番号G-2500)、20mM Tris-HCl、 0.1M NaC
l、 0.02%NaN3:pH7.5 )で濃度を調整したもの)を加
えた。充分に混合した後100 μl のS-2366(第一化学:
ゼラチンバッファーで2.0mMに調整した後緩衝液Bで0.4
mM としたもの)を加えVmax(Molecular Devices
社製)を用いて、ここで生成した活性型プロテインCに
よって起こる単位時間当たりの405nm での吸光度の変化
を測定することにより測定試料中のMTM10 の補酵素活性
を調べた。生成した活性化プロテインCによって起こる
1分間当たりの吸光度(OD405 )の変化を図24に示
す。図に示すように、MTM10 はトロンビンによるプロテ
インC活性化を促進していた。
活性化促進能 40、20、15、10および5 nMのMTM10 溶液を作り、これを
測定試料とした。この測定試料6μl を、32μl の緩衝
液A(20mM Tris-HCl(SIGMA 社製)、0.15M NaCl、 0.5 %
BSA(SIGMA 社製、カタログ番号A-4378);pH7.4 )、50mM
CaCl26μl 、3μMヒトプロテインC(American Dia
gnostica Inc. 製)10μl に混合した。これに100nM ヒ
トトロンビン(SIGMA 社製、カタログ番号T-3010;緩衝
液Aに溶解)6μl を添加後37℃で15分静置し、20μl
のアンチトロンビンIII (ノイアート500 倍(ミドリ十
字製)を20mlの生理食塩水で溶解後、更に緩衝液B(50m
M Tris-HCl(SIGMA 社製)、0.1M NaCl 、1mM CaCl2 ;
pH8.0 )2.5 倍希釈したもの)および20μl のヘパリン
溶液(SIGMA 社製、カタログ番号H-3125:400n/ml とな
るようゼラチンバッファー(0.1 %ゼラチン(SIGMA 社
製、カタログ番号G-2500)、20mM Tris-HCl、 0.1M NaC
l、 0.02%NaN3:pH7.5 )で濃度を調整したもの)を加
えた。充分に混合した後100 μl のS-2366(第一化学:
ゼラチンバッファーで2.0mMに調整した後緩衝液Bで0.4
mM としたもの)を加えVmax(Molecular Devices
社製)を用いて、ここで生成した活性型プロテインCに
よって起こる単位時間当たりの405nm での吸光度の変化
を測定することにより測定試料中のMTM10 の補酵素活性
を調べた。生成した活性化プロテインCによって起こる
1分間当たりの吸光度(OD405 )の変化を図24に示
す。図に示すように、MTM10 はトロンビンによるプロテ
インC活性化を促進していた。
【0056】
【実施例26】MTM10 の抗凝固活性の測定 54nMウシトロンビン(表2中でTと略す)の生理食塩水
溶液(持田製薬製)100 μl 、ウシフィブリノーゲン
(タイプ2:3mg/ml、20mM Tris-HCl、 0.15M NaCl 、pH
7.5 ;第一化学薬品製)100 μl および0.9 %NaCl、1
mg/ml BSA、0.1%ルブロールPXに溶解した0、5
4、108 あるいは162nM のMTM10 溶液100 μl を混合し
て反応を開始し、凝固までの時間を測定した。測定は血
液凝固自動測定器クロテックII(メテク社製)を使用し
て行った。その結果は次の通りである。数値の単位は秒
で示してある。
溶液(持田製薬製)100 μl 、ウシフィブリノーゲン
(タイプ2:3mg/ml、20mM Tris-HCl、 0.15M NaCl 、pH
7.5 ;第一化学薬品製)100 μl および0.9 %NaCl、1
mg/ml BSA、0.1%ルブロールPXに溶解した0、5
4、108 あるいは162nM のMTM10 溶液100 μl を混合し
て反応を開始し、凝固までの時間を測定した。測定は血
液凝固自動測定器クロテックII(メテク社製)を使用し
て行った。その結果は次の通りである。数値の単位は秒
で示してある。
【0057】
【表2】
【0058】表に示すように、MTM10 はトロンビンの凝
固活性を抑制していた。
固活性を抑制していた。
【0059】
【発明の効果】以上のように、本発明の組換ヒトトロン
ボモジュリン誘導体は、硫酸化グルコサミノグリカンが
付加しないようにアミノ酸配列を変更した新規構造の組
換ヒトトロンボモジュリン誘導体であり、DNA配列を
改変しないで作られた従来の組換ヒトトロンボモジュリ
ンに比べ、血中半減期が長い。一方、従来の組換ヒトト
ロンボモジュリンと同様、トロンビンの凝固活性を抑制
する能力と、トロンビンによるプロテインC活性化に対
する促進能は失われていない。従って、本発明の組換ヒ
トトロンボモジュリン誘導体(TMT10) は、新たな抗凝固
薬として有用性が高い。
ボモジュリン誘導体は、硫酸化グルコサミノグリカンが
付加しないようにアミノ酸配列を変更した新規構造の組
換ヒトトロンボモジュリン誘導体であり、DNA配列を
改変しないで作られた従来の組換ヒトトロンボモジュリ
ンに比べ、血中半減期が長い。一方、従来の組換ヒトト
ロンボモジュリンと同様、トロンビンの凝固活性を抑制
する能力と、トロンビンによるプロテインC活性化に対
する促進能は失われていない。従って、本発明の組換ヒ
トトロンボモジュリン誘導体(TMT10) は、新たな抗凝固
薬として有用性が高い。
【図1】ヒトトロンボモジュリン遺伝子を含んだプラス
ミドp7TMO1の構造図である。
ミドp7TMO1の構造図である。
【図2】5′非コード領域をほぼ取除いた全長ヒトトロ
ンボモジュリン遺伝子を有するプラスミドp7TM17の構築
図である。
ンボモジュリン遺伝子を有するプラスミドp7TM17の構築
図である。
【図3】全長ヒトトロンボモジュリン遺伝子にターミネ
ータ配列が結合されているプラスミドp7TM19の構築図で
ある。
ータ配列が結合されているプラスミドp7TM19の構築図で
ある。
【図4】プラスミドp7TM19より得た部分長ヒトトロンボ
モジュリン遺伝子を有するプラスミドp7TM07の構築図で
ある。
モジュリン遺伝子を有するプラスミドp7TM07の構築図で
ある。
【図5】プラスミドpD-gptB-84の構築説明図である。
【図6】プラスミドpTEN-gptB-23の構築説明図である。
【図7】プラスミドpN-gptB-16の構築説明図である。
【図8】マーカー遺伝子であるneorを含むプラスミドpB
-neoの構築説明図である。
-neoの構築説明図である。
【図9】ヒトトロンボモジュリン発現ベクターpRS7TM-n
eoの構築説明図である。
eoの構築説明図である。
【図10】ヒトトロンボモジュリン生産細胞の培養液の
Q−セファロース・カラムクロマトグラムの溶出パター
ン図である。
Q−セファロース・カラムクロマトグラムの溶出パター
ン図である。
【図11】組換ヒトトロンボモジュリンの活性物質 TM-
α、 TM-βの酸性条件下における逆相HPLCによる溶出パ
ターン図である。図中(A) は TM-αの、(B) は TM-β T
M-βの溶出パターン図を示す。
α、 TM-βの酸性条件下における逆相HPLCによる溶出パ
ターン図である。図中(A) は TM-αの、(B) は TM-β T
M-βの溶出パターン図を示す。
【図12】TM-βの弱アルカリ条件下における逆相HPLC
による溶出パターン図である。
による溶出パターン図である。
【図13】TM-βのイオン交換クロマトグラムの溶出パ
ターン図である。
ターン図である。
【図14】TM-βをコンドロイチナーゼABC 処理して得
た不飽和二糖(ΔDi-XS)のHPLC溶出パターン図である。
た不飽和二糖(ΔDi-XS)のHPLC溶出パターン図である。
【図15】TM-βをコンドロイチナーゼABC 処理して得
た不飽和二糖(ΔDi-XS)に、ΔDi-4S を混合して行なっ
たHPLC溶出パターン図である。
た不飽和二糖(ΔDi-XS)に、ΔDi-4S を混合して行なっ
たHPLC溶出パターン図である。
【図16】TM-βをコンドロイチナーゼAC Iフラボ処理
して得た不飽和二糖のHPLC溶出パターン図である。
して得た不飽和二糖のHPLC溶出パターン図である。
【図17】ΔDi-XS 及び標準試料などをコンドロ−4−
スルファターゼ処理したもののHPLC溶出パターン図であ
る。
スルファターゼ処理したもののHPLC溶出パターン図であ
る。
【図18】TM-βによるトロンピンのプロテインC活性
化促進効果を示す図である。
化促進効果を示す図である。
【図19】コンドロイチナーゼABC 処理した TM-βおよ
び未処理 TM-βのラット血中濃度半減期を示す図であ
る。図中、−○−は未処理 TM-βの場合、−●−はコン
ドロイチナーゼABC 処理 TM-βの結果を示す。
び未処理 TM-βのラット血中濃度半減期を示す図であ
る。図中、−○−は未処理 TM-βの場合、−●−はコン
ドロイチナーゼABC 処理 TM-βの結果を示す。
【図20】部分長ヒトトロンボモジュリン遺伝子部分に
部分的特異変異を導入したプラスミドpM2TMD07の構築説
明図である。
部分的特異変異を導入したプラスミドpM2TMD07の構築説
明図である。
【図21】ヒトトンボモジュリン誘導体の発現ベクター
pRS7M2TM-neoの構築説明図である。
pRS7M2TM-neoの構築説明図である。
【図22】本発明による組換ヒトトロンボモジュリン誘
導体MTM10 の酸性条件下における逆相HPLCによる溶出パ
ターン図である。
導体MTM10 の酸性条件下における逆相HPLCによる溶出パ
ターン図である。
【図23】本発明による組換ヒトトロンボモジュリン誘
導体MTM10 のラット血中濃度半減期を示す図である。投
与3分後の血中濃度を100%とした時の相対的残余量で表
わしてある。
導体MTM10 のラット血中濃度半減期を示す図である。投
与3分後の血中濃度を100%とした時の相対的残余量で表
わしてある。
【図24】本発明による組換ヒトトロンボモジュリン誘
導体MTM10 によるトロンビンのプロテインC活性化促進
効果を示す図である。
導体MTM10 によるトロンビンのプロテインC活性化促進
効果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12P 21/02 A61K 37/02 (72)発明者 名和 克彦 東京都江戸川区北葛西一丁目16番13号 第一製薬中央研究所内 (72)発明者 丸本 恭正 東京都江戸川区北葛西一丁目16番13号 第一製薬中央研究所内 (56)参考文献 国際公開88/9811(WO,A1) 国際公開92/325(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/47 C12N 5/10 C12N 15/09 A61K 38/00 A61P 7/02 C12P 21/02 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)
Claims (5)
- 【請求項1】 ヒトトロンボモジュリンを構成する領域
の内、アミノ末端領域とEGF様領域およびO−グリコ
シル化部位領域より成り、且つアミノ酸472番目から
476番目のセリン・グリシン・セリン・グリシン・グ
ルタミン酸部分のアミノ酸配列が、アミノ酸を除去・付
加或いは置換することにより変更され、コンドロイチナ
ーゼABC で切断される硫酸化グルコサミノグリカンで修
飾されなくされた組換ヒトトロンボモジュリン誘導体 - 【請求項2】 ヒトトロンボモジュリンを構成する領域
の内、N末端より1番目のアラニンより491番目のア
ラニンまでを含み、且つアミノ酸472番目から476
番目のセリン・グリシン・セリン・グリシン・グルタミ
ン酸部分のアミノ酸配列が、アミノ酸を除去・付加或い
は置換することにより変更され、コンドロイチナーゼAB
C で切断される硫酸化グルコサミノグリカンで修飾され
なくされた置換ヒトトロンボモジュリン誘導体 - 【請求項3】 プラスミドpO−gal由来のRSVプ
ロモータの下流に以下のものを結合した発現ベクタープ
ラスミドpRS7M2TM−neo: ヒトトロンボモジュリンのアミノ酸配列のN末端より1
番目のアラニンより491番目のアラニンまでをコード
するDNA配列であってアミノ酸472番目から476
番目のセリン・グリシン・セリン・グリシン・グルタミ
ン酸部分をコードするDNA配列部分が除去・付加或い
は置換することにより変更されたDNA配列であり、こ
のDNA配列でコードされたアミノ酸配列では前記セリ
ン・グリシン・セリン・グリシン・グルタミン酸部分の
アミノ酸配列が除去・付加或いは置換により変更されて
いるDNA配列; プラスミドpSV2−neo由来のネオマイシン耐性遺
伝子; プラスミドpSV2−gpt由来のSV2ターミネー
タ。 - 【請求項4】 請求項3のプラスミドpRS7M2TM
−neoを有するE.coli RS7M2TM−neo - 【請求項5】 請求項3のプラスミドpRS7M2TM
−neoで形質転換され、ヒトトロンボモジュリンを構
成する領域の内、N末端より1番目のアラニンより49
1番目のアラニンまでを含み、且つアミノ酸472番目
から476番目のセリン・グリシン・セリン・グリシン
・グルタミン酸部分のアミノ酸配列が、アミノ酸を除去
・付加或いは置換することにより変更され、コンドロイ
チナーゼABC で切断される硫酸化グルコサミノグリカン
で修飾されなくされた組換ヒトトロンボモジュリン誘導
体を産生する動物培養細胞
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP40985590A JP3220174B2 (ja) | 1990-12-12 | 1990-12-12 | 組換ヒトトロンボモジュリン誘導体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP40985590A JP3220174B2 (ja) | 1990-12-12 | 1990-12-12 | 組換ヒトトロンボモジュリン誘導体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04210700A JPH04210700A (ja) | 1992-07-31 |
JP3220174B2 true JP3220174B2 (ja) | 2001-10-22 |
Family
ID=18519125
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP40985590A Expired - Fee Related JP3220174B2 (ja) | 1990-12-12 | 1990-12-12 | 組換ヒトトロンボモジュリン誘導体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3220174B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
BRPI0720158A2 (pt) | 2006-10-06 | 2014-05-20 | Asahi Kasei Pharma Corp | Agentes para terapia e/ou melhora de coagulação intravascular disseminada, para reduzir a probabilidade de morte em pacientes sofrendo da mesma, métodos para selecionar pacientes, e, para tratar e/ou melhorar coagulação intravascular disseminada |
TW201431872A (zh) | 2007-03-23 | 2014-08-16 | Asahi Kasei Pharma Corp | 高純度可溶性凝血酶調節素之製造方法 |
AU2011246021B2 (en) | 2010-04-30 | 2014-03-13 | Asahi Kasei Pharma Corporation | High-purity soluble thrombomodulin and method for producing same |
US9592275B2 (en) | 2011-11-15 | 2017-03-14 | Asahi Kasei Pharma Corporation | Medicament for therapeutic treatment and/or improvement of sepsis |
CA3116686A1 (en) | 2018-10-22 | 2020-04-30 | Asahi Kasei Pharma Corporation | Medicament for therapeutic treatment and/or improvement of sepsis accompanied by coagulopathy |
-
1990
- 1990-12-12 JP JP40985590A patent/JP3220174B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04210700A (ja) | 1992-07-31 |
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