JP3517236B2 - プロテアーゼ−耐性トロンボモジュリン・アナログ - Google Patents

プロテアーゼ−耐性トロンボモジュリン・アナログ

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Description

【発明の詳細な説明】 本出願は、1990年4月9日に出願された米国逐次番号第
07/506,325号の一部継続出願である1990年8月15日に出
願された米国逐次番号第07/568,456号の一部継続出願で
ある米国逐次番号第07/830,577号の一部継続出願であ
り、そして本出願は、1989年4月28日に出願された米国
逐次番号第07/345,372号の一部継続出願である1989年9
月13日に出願された米国逐次番号第07/406,941号の一部
継続出願である1990年2月16日に出願されたPCT逐次番
号第90/00955号に対応する。
発明の背景 本発明は、プロテアーゼによる解裂を受けにくいトロ
ンボモジュリン(thrombomodulin("TM"))のアナログ
を含む一本鎖トロンボモジュリン・ポリペプチドに関す
る。これらのアナログは、例えば、抗血栓療法において
有用である。新規のタンパク質、核酸遺伝子配列、医
薬、及び血栓活性を阻害する方法を、開示する。
安全且つ効果的な抗血液凝固/抗血栓による治療から
利益を受けるであろう病的症状が多数存在する。これら
の症状の性質は、様々である。例えば、抗血液凝固治療
は、心筋梗塞における又は例えば、敗血症(septicemi
a)に関連する多発性血管内血液凝固(disseminated in
travascular coagulation(DIC))の治療における血栓
治療の間の如き急性の症状において有用である。抗血液
凝固は、また、急性ではない症状、例えば、心弁移植を
受けた患者における慢性的な使用又は深部の静脈血栓
(deep venous thrombosis(DVT))の危険を減少させ
るために患者を外科手術することにおける予防的使用の
ために、有用である。
トロンボモジュリンは、抗血液凝固の性質を示す膜タ
ンパク質である。その生理学的重要性が研究されてきた
(例えば、N.Esmon,et al.,(1982)J.Biol.Chem.257:8
59−864,H.Salem,et al.,(1983)J.Biol.Chem.259:122
46−12251を参照のこと。)。
生来のトロンボモジュリンをエンコードする遺伝子
は、そのゲノム形態において及びcDNAクローンとしての
両方において幾つかの種から、単離され、そして配列決
定されている(Jackman,R.,et al.,(1986)Proc.Natl.
Acad.Sci.USA.83:8834−8838及び(1987)84:6425−642
9(これらの両方を、引用により本明細書中に取り込
む。))。公知のタンパク質、LDLレセプタとの比較
が、機能的ドメインを示唆した(Wen,D.,et al.,(198
7)Biochemistry 26:4350−4357)。1つの研究は、第
5及び第6表皮成長因子(EGF)−様ドメインがトロン
ビンに結合する能力をもつことを示唆し(Kurosawa,S.,
et al.,(1989)J.Biol.Chem.263:5993−5996);他
は、EGF−様ドメイン4、5、及び6がトロンビン−仲
介物質プロテインC活性化活性のための補因子として働
くのに十分なものであるということを示唆する(Zushi,
et al.,(1989)J.Biol.Chem.264:10351−10353)。ト
ロンビンの直接の前血液凝固活性(フィブリノーゲンの
フィブリンへの変換)の阻害は、部分的に、そのトロン
ボモジュリン分子上のグルコサミノグリカン置換基を原
因としている(Bourin,M.C.et al.,(1986)Pro.Natl.A
cad.Sci.USA 83:5924−5928)。このO−結合糖添加(g
lycosylation)ドメインは、これらのタイプの硫酸化糖
の添加のための可能性のある部位をもつ。
トロンボモジュリン・アナログであって様々な修飾を
もち、可溶性分子を含むものは、公知である。例えば、
その分子の酸化耐性を与えるトロンボモジュリン内の酸
化−感受性アミノ酸残基に対する修飾がある。また、酵
素的除去を通しての硫酸化O−結合炭水化物の除去によ
るトロンボモジュリンに対する修飾又はトロンビンの重
要な性質である、トロンビン−仲介血小板凝集の阻害及
びフィブリンへのフィブリノーゲンのトロンビン−仲介
変換の阻害を減少させるそのペプチドの糖添加部位の修
飾が、在る。これらの修飾は、1990年8月15日に出願さ
れた米国逐次番号第07/568,456号(これを、引用により
本明細書中に取り込む。)中に開示されている。
ヒトにおける使用のために最近認可された抗血液凝固
剤は、等しく有効ではなく、そしてより有効な化合物の
ための必要性が在る(例えば、Prevention of Venous T
hrombosis and Pulmonary Embolism,Consensus Develop
ment Conference Statement,NIH,1986,6(2):1−23を
参照のこと。)。
その生来の形態におけるトロンボモジュリンは、抗血
液凝固治療に好適ではない。なぜなら、その固有のアミ
ノ酸配列によりそれが膜に結合しており、そして洗剤処
理なしには不溶であるからである。それは、検死(auto
psy)又は生検(biopsy)サンプルからの精製が実施で
きないほど少量で(約300mgトロンボモジュリン/人)
存在する。
可溶性トロンボモジュリン−様分子は、ヒト血漿及び
尿中の非常に少量において検出される。これらの分子
は、プロテインC活性化を促進する減少された能力をも
っており、そしてそれらが、少なくとも一部酸化を原因
として少なくとも部分的に不活性とされることが可能で
ある。これらの分子が膜結合分子の分解生成物であるこ
とが示唆される(Ishii,H.and Majerus,P.,(1985)J.C
lin.Inv.76:2178−2181)が、それらは、それらを特徴
付けるのが困難であるような低い量(〜0.8mg/成人男
子)で存在する。精製生来分子のタンパク質分解断片
が、トリプシン又はエラスターゼを使用して製造され
る。(Ishii,前記,Kurosawa,et al.,(1988)J.Biol.Ch
em.263:5593−5996及びStearns,et al.,(1989)J.Bio
l.Chem.264:3352−3356を参照のこと。)。これらの断
片の幾つかは、インビトロにおけるプロテインCのトロ
ンビン仲介活性化を促進する能力を保持している。
異種細胞における、例えば、細胞培養における組換え
技術によるTM及びTMアナログの製造は、インビボにおけ
る用途における使用のために許容できる生成物を達成す
ることにおいて多くの問題に遭遇した。例えば、TMのN
−末端は、その組換え遺伝子を含む細胞内並びに生来の
細胞内で正確に解裂されず、非ユニークN−末端をもつ
生成物をもたらす。これは、他の困難の中にあって、例
えば、調節目的のための、単離されたポリペプチドの純
度の保証を提供することにおける問題を引き起こす。ま
た、組換えにより製造されたTMの糖添加が、その糖添加
部位の幾つかが生物学的活性を最大化することに明らか
に関係し、一方、他の部位がTMの血流をクリアするため
のインビボにおけるシグナルとして明らかに認識され、
それ故に、そのように糖添加されたTMの循環半減期を減
少させるという問題であることが、判明した。また、最
大に有用な組換えにより製造されたTMポリペプチドの製
造を妨害するという、他の、よく定められていない問題
が在ることが知られている。
このように、トロンボモジュリンの抗血液凝固の性質
を示し、そして大量にであるが、異種細胞によるTMの組
換え製造における問題に遭遇することなく容易に製造さ
れる、新たな組成物の必要性が在る。本発明は、これら
の及び他の必要性を遂行する。
発明の要約 本発明は、二本鎖TMを実質的に欠いている一本鎖トロ
ンボモジュリン(TM)を提供する。このTMは、それを含
む調製物から二本鎖TMを除去し、又は一本鎖TMの解裂を
防ぐことにより、提供される。
他の態様においては、本発明は、単一のN−末端をも
つTMを提供する。このTMは、二本鎖TMの非存在により、
及び/又は天然の異種N−末端シグナル配列プロセシン
グ部位を除去することにより、提供される。
他の態様においては、本発明は、一本鎖C−末端をも
つTMを提供する。このTMは、エクソカルボキシペプチダ
ーゼに感受性のあるC−末端の非存在により提供され
る。
他の態様においては、本発明は、真核細胞、例えば、
動物細胞、脊椎動物細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞、ヒト
細胞等、例えば、CHO又はCHL1細胞内で発現されること
ができる一本鎖TMを提供する。
本発明は、一本鎖トロンボモジュリン又はそれらのア
ナログ、典型的には、プロテアーゼ解裂に耐性であり且
つトロンボモジュリンの生物学的活性を保持しているも
のの有効投与量を投与することによる血栓疾患の治療方
法を提供する。ある態様においては、このポリペプチド
組成物は、単一のN−末端及び単一のC−末端のみを表
し、プロテインCのトロンビン−仲介活性化を強化する
ための少なくともほとんど生来の能力をもち、及び/又
はフィブリノーゲンのフィブリンへのトロンビン−仲介
変換を不活性化するために減少された能力をもつ。ある
態様においては、このアナログは、水溶液中で可溶性で
あり、及び/又は長い循環半減期をもち、例えば、酸化
及び/又はプロテアーゼ耐性であることが、好ましい。
他の態様においては、そのアナログがそのO−結合糖
添加ドメインの糖残基内で修飾されることが、好まし
い。修飾は、そのO−結合糖添加ドメインが変更された
糖添加パターンをもつということを意味している。これ
は、生来の糖残基の置換、及び全体の又は部分的な欠失
を包含する。この修飾は、糖添加部位として細胞により
認識されるアミノ酸残基を欠失させ、例えば、部位指定
突然変異誘発により、達成されることができる。あるい
は、その糖を、化学的に、部分的又は全体的のいずれか
で、除去することができる。他の修飾においては、糖
を、硫酸置換基を除去するために酵素的に処理すること
ができる。さらに他の修飾においては、その糖添加ドメ
インの全体を、欠失させることができる。
本法における使用のための幾つかの好ましいアナログ
は、プロテインCのトロンビン−仲介活性化を強化する
能力を保持し、及び/又はフィブリノーゲンのフィブリ
ンへのトロンビン−仲介変換を不活性化するための生来
のトロンボモジュリンの能力の80%以下をもつであろ
う。さらに特に、これらのTMアナログは、生来の洗剤−
可溶化ウサギ・トロンボモジュリンに比較して標準プロ
テインC活性化検定において等しい活性をもつように標
準化されるとき、フィブリノーゲンのフィブリンへのト
ロンビン−仲介変換を測定する標準検定における生来の
トロンボモジュリンの同一量のたった80%以下の活性を
もつであろう。本発明の1つの好ましくはアナログは、
上記フィブリン検定における生来のトロンボモジュリン
の同一量の50%以下の活性をもつ。これらの能力は、本
明細書中先に記載した標準検定を使用して測定される。
本発明は、さらに、哺乳類における血栓疾患の治療の
ための滅菌組成物であって、上記の性質の中の1以上を
もつトロンボモジュリン・アナログの単位投与量を含ん
で成るものを、提供する。好ましいアナログは、様々な
方法について先に記載したものと同じである。
本発明は、さらに、トロンボモジュリン・アナログの
インビボにおける循環半減期を増加させる方法であっ
て、例えば、6EGF−様ドメイン内の、その糖部分の全部
又はほとんどを除去することを含んで成る方法を、提供
する。
図面の簡単な説明 図1は、Mono Qカラム上で分けられた可溶性TMe(Sf
9)の溶出及び活性プロフィールを示す。
図2は、図1中に示したカラム・プロフィールからの
サンプルのSDS−PAGE分析を示す。
図3は、還元条件下で走らせたサンプルのゲル電気泳
動プロフィールを示す。
図4は、ゲル電気泳動プロフィールのウェスタン・ブ
ロットを示す。
図5は、トロンビンに結合するTMの2軸逆数プロット
を示す。
図6は、10%β−メルカプトエタノール中のサンプル
・バッファー中で還元され、そして8%SDS−PAGEゲル
上にロード供給された、アンヒドロトリプシン・カラム
からのサンプルのSDS−PAGEを示す。TMLEO(CHO)M388L
lot#102491A(供給又は出発材料)、切り取られたTM
LEO(CHO)M388L(結合又はプール)、無傷TMLEO(CH
O)M388L(流出)、及び分子量マーカー(kDa)の位置
を示す。
図7は、図6のSDS−PAGEゲルのゲル・スキャンを示
す。ゲルを、Molecular Devices Computing Densitomet
er上で走査し、そしてその装置と共に提供されたプログ
ラムImageQuantを使用して分析した。TMLEO(CHO)M388
L lot#102491A(供給又は出発材料)は、切り取られた
TMLEO(CHO)M388Lである矢印により示された肩をもっ
ている。この肩は、無傷TMLEO(CHO)M388L(流出)か
ら脱水素トリプシン・カラムにより除去される。切られ
たTMLEO(CHO)M388Lでは、そのカラムから純粋な形態
で溶出される。
発明の詳細な説明 本発明に従えば、新規のTMアナログ、方法、及び組成
物であって血栓疾患を治療することができるものが、提
供される。それらは、プロテアーゼ解裂に耐性である一
本鎖トロンボモジュリン(TM)又はトロンボモジュリン
・アナログに基く。さらに、他の修飾であって抗血栓の
有効な医薬の他の改善された性質をもたらすものを、導
入することができる。例えば、そこでは、そのTMがトロ
ンビンの直接的な前血液凝固活性を阻害する減少された
能力を示し又は他の性質、例えば、フィブリノーゲンの
フィブリンへのトロンビン−仲介変換、酸化耐性、糖添
加耐性、インビボにおける増加された半減期等を示す。
薬理学者は、単一の治療に有効な均一な組成物を含む医
薬を好む。このような医薬は、それらが不定の生物学的
効果を含む種を含む多数の種を含む医薬よりも不所望の
副作用を少なく誘導するので、好ましい。本発明は、よ
り生物学的に純粋で、またしばしば化学的に純粋である
種であって従来技術の欠点をもたないものを含む利点を
もつ。
従来技術のトロンボモジュリン組成物、特に異種細胞
における組換え技術により製造されたものが、最適な医
薬用途を提供するポリペプチドの構造についてのパラメ
ーターを決定するために、本発明者により広範に研究さ
れた。これらの調査の経過において、驚くべきことに、
分かれた鎖の間のシステイン結合が精製条件下でそのTM
の2本鎖形態が一本鎖形態と同時に振る舞うようにさせ
るので、純粋な一本鎖ポリペプチドを含むと従来考えら
れていたトロンボモジュリン調製物が実際には内部のペ
プチド解裂をもつトロンボモジュリン・ポリペプチドに
よりかなり汚染されているが、そのポリペプチドがTMの
一本鎖形態と共に同時に精製され続けることが、見つか
った。これは、完全長生来TM、及び可溶性TM分子の両方
に適用できよう。
この従来分からなかった問題は、部分的に、組換えに
より製造されたトロンボモジュリンが2−相の非線型結
合特性を表すということを現したこれらの調製物の注意
深い分析により、発見された。2軸の逆数プロット分析
は、その組成物内の異なる結合アフィニティーをもつ2
つの種の存在を示した。これは、異なる種の性質に関し
てのさらなる調査を導いた。還元、非還元、又は生来の
条件下で走らせたドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリ
ルアミド・ゲル電気泳動(SDS−PAGE)を使用した、そ
して高感度検出技術、例えば、銀又は免疫学的染色を使
用したTM調製物の注意深い分析は、このようなゲル上
に、特定の可溶性TMアナログの予測された94キロダルト
ンのバンドに加え、約80キロダルトンの見掛け分子量を
もつ第二の免疫反応性バンドが存在するという発見につ
ながった。次に、この組成物は、内部N−末端の存在と
一致する第二N−末端アミノ酸配列をもつことが示され
た。これは、たぶん、TM配列内の位置における、プロテ
アーゼ解裂の結果であり、TMの見掛けの一本鎖形態が解
裂した2本鎖種により汚染されていたということを示し
ている。この種は、TMのトロンビン結合部位の近く又は
その内で解裂される。したがって、2本鎖形態の物理的
特徴が一本鎖形態に同時精製をもたらすように非常に類
似しているので、実際には、その混合物の、生物学的活
性、例えば、結合特性は、この従来分からなかった別個
の種により影響されるようである。本発明は、このよう
な2本鎖汚染物を実質的に含まないトロンボモジュリン
・アナログ組成物を提供することである。
本発明の他の態様においては、トロンボモジュリンの
他の改善された組成物が、提供される。例えば、TMアナ
ログ、特に組換え条件下で異種細胞により製造されたも
のは、成熟N−末端の上流のアミノ酸配列のシグナル配
列プロセシングにより製造されたN−末端をもつ。実際
に、この生成物は、そのアミノ末端において同種性を示
す。2つのプロセシング部位、すなわち、生来のN−末
端アミノ酸1を提供するもの、及び使用されるとき、そ
のN−末端において2以上のアミノ酸を含む、例えば、
アミノ酸−2において開始する、解裂生成物を作り出す
第二部位が、在る。TMポリペプチドのN−末端をエンコ
ードするDNA配列の修飾により、そのシグナル配列プロ
セシング部位が修飾され、単一のN−末端プロセシング
部位を、そしてそれ故に得られるTMアナログのための単
一N−末端を提供することができる。したがって、生来
の分子の最初の3つのアミノ酸を欠失したTMアナログ
は、ユニークであるシグナル配列プロセシング部位を提
供し、それ故に、単一のN−末端配列をもつポリペプチ
ド組成物を作り出す。
そしてさらに、一本鎖TMアナログを作るための内部解
裂の除去は、同種のカルボキシ末端をもつ組成物をもた
らす。プロテアーゼ又は他のタンパク質分解解裂に耐性
の構築物が、同様に単一C−末端を提供するように作ら
れる。これは、プロテアーゼ解裂部位の除去又は修飾に
より行われることができる。例えば、医薬用途における
生物学的機能に決定的でないポリペプチドのC−末端領
域の一部の欠失により、その配列がエクソカルボキシペ
プチダーゼ活性に特に耐性であるアミノ酸489−490にお
ける−Pro−Pro配列内で終わるポリペプチドを提供する
ことができる。
他の態様においては、本発明は、また、特定の生来の
糖添加パターンを修飾し又は欠失させることにより、又
はプロテアーゼ−感受性配列を除去することにより、TM
アナログのインビボにおける半減期を増加させる方法を
提供することである。我々の初期の研究は、可溶性TMの
タンパク質分解−耐性形態が動物内でより長い循環半減
期をもつということを示した。したがって、TM不活性化
の原因であある生理学的機作は、その蛋白の同定領域に
おける又はその近くにおけるタンパク質分解であるよう
である。不活性化を避けるためのその配列の上記セグメ
ントの修飾により、より高く有効な治療剤が製造され
る。増加した半減期は、TM治療のために有利である。な
ぜなら、それは、生来の医薬に比べてより少ない量のTM
の投与が等価な薬理学的効果を達成することを、可能に
するからである。少なくとも数分よりも長い生物学的半
減期は、より予言できる治療的養生法を提供する。
さらに、これらの可溶性トロンボモジュリン・アナロ
グを、経済的に製造し、そして容易に精製し且つ投与す
ることができる。様々な治療用途が、特に抗血液凝固及
び/又は抗血栓治療に関して、期待される。本発明を十
分に理解するために、以下の詳細な説明を記載する。
I. トロンボモジュリンの生物学的活性 血栓失調の主要な病因は、刺激、例えば、損傷血管壁
に反応して血塊が形成するということである。この刺激
は、血液凝固カスケードの引き金を引き、そしてそれ
故、フィブリノーゲンをフィブリン、すなわち血塊のマ
トリックスに変換する能力をもつトロンビンを作り出
す。トロンボモジュリンは、トロンビンのためのレセプ
タとして働く内皮細胞膜タンパク質である。ヒトにおい
ては、それは、血管の内皮及び中枢神経系を除く全ての
臓器のリンパ上に分布する。トロンビンは、トロンボモ
ジュリンに可逆的に結合する能力をもつ。トロンボモジ
ュリンに結合したとき、トロンビンは、プロ血液凝固酵
素から抗血液凝固酵素へ変換される。このトロンビン/
−トロンボモジュリン複合体は、少なくとも2つの別個
の方法で血液凝固カスケードを示す。第一に、トロンボ
モジュリンへのトロンビンの結合がプロテインCのトロ
ンビン−仲介活性化を強化する。活性化されたプロテイ
ンCは、血液凝固カスケードの他のプロ血液凝固成分、
例えば、因子V a及びVIII aを不活性化し、これは、次
に、プロトロンビンのトロンビンへの変換を阻害する。
プロテインCのトロンビン−仲介活性化は、トロンビン
がトロンボモジュリンに結合するとき、非常に増強さ
れ、すなわち、プロテインC活性化の速度は、少なくと
も1000倍増加される。第二に、トロンボモジュリンへの
結合は、抗血液凝固効果、例えば、フィブリンーゲンの
フィブリンへのトロンビン−仲介変換及び血小板のトロ
ンビン−仲介活性化及び凝集の阻害を、もつ。正常には
内皮細胞膜の組み込まれた成分であるけれども、トロン
ボモジュリンは、十分な洗剤の存在中でその膜から解放
されることができ、そして溶液中にあってもトロンビン
への結合能力を保持することができる。
本発明の好ましいトロンボモジュリン・アナログは、
全身に投与されたとき、血栓形成に対して保護するであ
ろう。なぜなら、それらは、他の血液凝固パラメータ
ー、例えば、血小板の不活性化及び凝集を妨害すること
なく、トロンビンの生成を阻害するであろうからであ
る。したがって、可溶性トロンボモジュリン・アナログ
の使用は、血栓形成の予防において有効であろう、さら
に、生来のトロンボモジュリン及び本分野において知ら
れた他の抗血栓剤よりも安全である。
血栓形成が重要な病因学的役割を演じる疾患は、心筋
梗塞、多発性血管内血液凝固、深部静脈血栓、肺塞栓
症、敗血症ショック、急性呼吸不全症候群、不安定アン
ギナ(unstable angina)、及び他の動脈又は静脈の閉
塞症状を含む。本発明のトロンボモジュリン・アナログ
は、これらの全てにおいて、及び血栓形成が病因である
他の疾患において、有用である。有用とは、その化合物
が、その疾患を予防するか又はより重篤な状態への進行
を防ぐかのいずれかのための、治療に有用であることを
意味する。また、本発明の化合物は、例えば、生体補
綴、例えば、心臓弁を取り込む患者において、安全で且
つ有効な抗血液凝固を、提供する。これらの化合物は、
例えば、肺塞栓症又は急性心筋梗塞の治療におけるヘパ
リン及びワーファリン(warfarin)を置き換えることが
できる。
特に、これらの化合物は、例えば、外科手術後の、深
部静脈血栓(DVT)の予防における役割を見つけられる
であろう。脚における血塊の形成は、それ自体、非致死
的な症状であるが、診断が困難であり且つ致死的であ
る、肺塞栓症(PE)の発展に非常に密接に関係してい
る。幾つかの予防的養生法の調査及び臨床的な用途にも
かかわらず、DVT及び得られたPEは、多くの患者の集団
において及び特に整形外科の手術を経験する患者におい
て、かなりの問題を残している。現存の予防的治療、例
えば、ヘパリン、ワーファリン及びデキストランは、典
型的に、整形外科手術患者におけるDVTの事件を、予防
を受けていない危険な状態にある患者における50%以上
から治療された患者の中の25−30%まで、減少させる。
初期の出血合併症は、重篤な副作用が在る。最近、日々
の実験室テスト及び投与量における調節は、いくぶんの
効果を保持しながら出血症状発現を最小化することを要
求される。現存の予防の欠点に基づき、患者を出血に前
もって置くことなく、DVTを防ぐことにおいて有効な抗
血栓剤は、患者の回復及び福祉にかなりの衝撃となるこ
とができよう。
血管形成術(angioplasty)は、閉塞した動脈におい
て開通性を回復するためにしばしば必要な手順である。
開通性は回復されることができるけれども、血管形成手
順においては、動脈の内皮内層がひどく損傷し、そして
血塊がしばしば形成し始めることが、内在している。血
管形成と一緒に投与される可溶性トロンボモジュリン・
アナログは、この有害な副作用を防ぐであろう。
多くの急性血栓及び塞栓疾患が、最近、血栓を取り除
くために、フィブリン分解療法により治療されている。
最も調査された症状は、急性心筋梗塞(心臓発作)であ
る。急性心筋梗塞の治療に最近使用される剤は、ストレ
プトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化剤及びウロ
キナーゼを含む。これらの剤の使用は、重篤な出血合併
症を導くことができる。フィブリン分解療法により除去
された血栓をもち、そしてその血液の流れが回復された
患者は、しばしば、患った血管を、再閉塞する、すなわ
ち、血塊が再形成される。血栓剤による治療の投与量又
は時間を増加させることによる再閉塞を防ぐ試みが行わ
れたが、出血の事件は、未だ増加している。したがっ
て、これらの医薬についての治療的インデックスは、狭
い。
トロンボモジュリン・アナログの使用は、その作用が
局所的であることを一部の理由として、再閉塞に対する
保護を提供する。すなわち、そこでは、トロンビンが生
成されていおり又は血塊から解放されている。それ故、
その投与量が次に減少されることができるトロンビン分
解剤との組み合わせにおいて使用されるとき、出血の危
険は、実質的に減少されることができる。
一本鎖トロンボモジュリン又はTMアナログの投与は、
ボーラス静脈内注射により、一定の静脈内注入により、
行われることができる。また、適当な賦形剤と混合され
た可溶性トロンボモジュリンは、筋肉内の部位から循環
中に取り出されることができる。トロンボモジュリン・
アナログによる全身的な治療は、患者から取り出された
血液の逐次サンプル上の活性化部分的トロンボプラスチ
ン時間(APTT)を測定することにより監視されることが
できる。この検定において観察される血液凝固時間は、
十分なレベルのトロンボモジュリンがその循環中で達成
されるときに、延長される。しかしながら、これは、効
果の全身的な測定であり、そして発明者は、可溶性TMア
ナログの有効投与量が必ずしもAPTTに影響を与えないと
いうことを発見した。本明細書中で使用するとき、治療
的有効投与量とは、病因の血塊の形成を防ぐのに十分な
TMアナログのレベルとして定義する。投与レベル及び養
生法は、例えば、活性化部分的トロンボプラスチン血塊
化時間(APTT)、トロンビン血塊化時間(TCT)、又は
プロテインCの活性化プロテインC(APC)への変換の
検定により測定されるようなトロンボモジュリンの適当
な濃度が維持されるように、当業者により、定例的に調
節されることができる。
血栓疾患の検出及び監視のための幾つかの方法は、公
知である。深部静脈血栓症は、例えば、静脈造影法(co
ntrast venography)(Kerrigan,G.N.W.,et al.,(197
4)British Jpurnal of Hematology 26:469)、ドップ
ラー超音波(Barnes,R.W.(1982)Surgery Clinics in
North America 62:489−500)、125I−標識フィブリノ
ーゲン取り込み走査(Kakkar,V.V.,et al.,(1972)Arc
hives of Surgery 104:156;kakkar,V.V.,et al.,(197
0)Lancet i:540−542)、インピーダンス肢体容積計
(impedance plethysmography)(Bynum,L.J.et al.,
(1978)Annal of Internal Medicine 89:162)、及び
トロンボシントスキャン(thromboscintoscan)(Enni
s,J.T.and Elmes,R.J.(1977)Radiology 125:441)に
より、検出されることができる。これらの方法は、本明
細書中に記載する方法及び組成物の効果を監視するため
に有用である。
II. TMアナログ 完全長生来ヒト・トロンボモジュリン・タンパク質を
エンコードするDNA配列は、単離されている(欧州特許
出願第88870079.6号(これを、引用により本明細書中に
取り込む。))。このcDNA配列は、60.3kDaの575アミノ
酸であって約18アミノ酸のシグナル配列を含むものを、
エンコードしている。
ウシ、マウス及びヒトのトロンボモジュリンのための
配列は、互いに高い程度の相同性を示す。他のタンパク
質との類似性により、トロンボモジュリンの構造は、推
定によりドメインに分けられることができる。用語”ド
メイン”は、特定の機能又は特徴と関係することができ
る別個のアミノ酸配列をいう。典型的には、ドメイン
は、特徴的な三次構造単位を示す。完全長のトロンボモ
ジュリン遺伝子は、以下のドメインを含む前駆体ペプチ
ドをエンコードしている:大体のアミノ酸の位置 ドメイン −18−−1 シグナル配列 1−226 N−末端(レクチン)ドメイン(L) 227−462 6EGF−様ドメイン(E) 463−497 O−結合糖添加(O) 498−521 Stop Transfer Sequence (膜透過ドメイン) 522−557 細胞質ドメイン。
C.S.Yost et al.,(1983)Cell,34:759−766及びD.We
n et al.,(1987)Biochemistry,26:4350−4357(これ
らの両方を、引用により本明細書中に取り込む。)を参
照のこと。
本明細書中で使用する命名において、添字は、TMアナ
ログ内に含まれるドメインをいう:L=レクチン・ドメイ
ン、E=6EGF−様ドメイン、O=O−結合糖添加ドメイ
ン、M=膜透過ドメイン、及びC=細胞質ドメインであ
る。したがって、TMアナログ6h/227−462は、TMEアナロ
グに対応し、TME(Sf9)は、それが昆虫細胞内で発現さ
れていることを示し、TMLEO(CHO)は、それがCHO細胞
内で発現されていることを示し、そしてTMD123(Zushi,
M.,Gomi,K.,Yamamoto,S.,Maruyama,I.,Hayashi,T.,and
Suzuki,K.(1989)J.Biol.Chem.264,10351−10353)及
びTMD1(Parkinson,J.F.,Grinnell,B.W.,Moore,R.E.,Ho
skins,J.,Vlahos,C.J.,and Bang,N.U.(1990)J.Biol.C
hem.265,12602−12610)は、TMLEOアナログに対応す
る。
特に好ましい一本鎖TMアナログ組成物は、以下の特徴
の1以上をもつものである: (i)それらがプロテアーゼ耐性を示し、 (ii)それらが同種のN−又はC−末端をもち、 (iii)それらが、例えば、生来のトロンボモジュリン
の糖添加部位の少なくとも幾つかの糖添加により、翻訳
後修飾されており、 (iv)それらが線型の2軸逆数トロンビン結合特性をも
ち、 (v)それらが比較的低い量の洗剤中の水溶液中で可溶
性であり、そして典型的には、移動停止(膜透過)配列
を欠いており、 (vi)それらが酸化体にさらされた後、活性を保持し、 (vii)トロンビンに結合したとき、それらがプロテイ
ンCのトロンビン−仲介物質活性化を強化するが、トロ
ンビンの直接的なプロ−血液凝固活性、タンパク質フィ
ブリノーゲンのフィブリンへの変換又は血小板の活性化
及び凝集を阻害する減少された能力をもつ。
最後の2つの特徴についての検定は、製造者の指示
書;American Scientific Products,McGaw Park,Illinoi
sにより供給されるMedical Laboratory Automation In
c.に従って自動血液凝固タイマー上で走らせることがで
きる。(また、H.H.Salem et al.,(1984)J.Biol.Che
m.,259:12246−12251(これを、引用により本明細書中
に取り込む。)を参照のこと。)。生来のトロンボモジ
ュリンとの比較において、好ましいTMアナログは、6表
皮成長因子[EGF]−様ドメインを包むように修飾され
ており、そしてまた、O−結合糖添加及び/又はレクチ
ン・ドメインを含むことができる。
好ましい態様においては、可溶性TMアナログは、オキ
シダント耐性である。これは、オキシダントに晒された
後に活性を保持するアナログをいう。このようなアナロ
グは、1990年8月9日に出願された同時係属中の共同の
米国出願逐次番号第07/506,325号(これを、引用により
本明細書中に取り込む。)中に詳細に記載されている。
本発明の目的のために、以下の用語を定義する: ”プロテアーゼ部位”は、本明細書中で使用すると
き、プロテアーゼの活性を受けやすい、認識、結合、解
裂、又は他の部位を定めるTMポリペプチド内の1又は一
連のアミノ酸をいう。例えば、この部位に含まれる1以
上のアミノ酸残基が他のアミノ酸酸基により置換され又
は欠失されたとき、プロテアーゼは、もはや、その部位
においてTMを解裂させることができない。この用語は、
また、例えば、立体配置的に露出され、そしてプロテア
ーゼ活性を利用されることにより、プロテアーゼに固有
に感作されやすいTM分子を包含する。
”プロテアーゼ解裂部位”は、本明細書中で使用する
とき、プロテアーゼがTMポリぺプチド・アナログを解裂
する正確な位置をいう。
”単一N−末端”及び”単一C−末端”は、本明細書
中で使用するとき、それらの文字通りの意味をもち、そ
れは、機能的にその組成物の所有物をいう、例えば、慣
用の逐次的アミノ酸配列分析の間、それぞれの分解サイ
クルは、異なるアミノ酸残基を本質的に欠いたアミノ酸
残基の除去をもたらす。したがって、N−末端アミノ酸
の段階的除去の数サイクル、例えば、10サイクルの後、
本質的にたった1つのアミノ酸がそれぞれのサイクルに
おいて回収される。特に、使用された分析手順に従って
完全に純粋な一本鎖から統計的に予測されるであろうよ
りも多くの配列内の異種性は、検出されないであろう。
”一本鎖TM"は、非開裂ペプチド鎖の実質的に全てを
含むTMの組成物をいう。一本鎖組成物内のポリペプチド
の全ては、同一のアミノ又はカルボキシ末端を示す必要
はない。
"2本鎖TM"は、典型的には、壊れたペプチド結合をも
つポリペプチドの約0.5〜3%の過剰において、物理的
に検出可能な量を含む組成物をいう。
"2本鎖トロンボモジュリンを欠いた”とは、本明細書
中で使用するとき、その組成物が本質的に全ての一本鎖
TMを含んで成ることを意味する。典型的には、2本鎖TM
の量は、モル量において約25%未満、より典型的には、
15%未満、好ましくは約10%未満、より好ましくは5%
未満、そして特に好ましい態様においては、3%未満で
ある。あるいは、組成物内の2本鎖TMの量は、純粋な一
本鎖TMの比活性におけるかなりの減少を引き起こすであ
ろうものよりも少ない、例えば、2本鎖TMの量は、本明
細書中で定義する線型2軸逆数プロットを変更する量よ
りも少ない。したがって、2本鎖TM分子は、追加のN−
及び/又はC−末端の製造をもたらす少なくとも1つの
切断をもつポリペプチド鎖の形態で存在する。
”実質的に生来のトロンボモジュリンの生物学的活性
を保持する”とは、本明細書中で使用するとき、そのト
ロンボモジュリンが生来の膜結合TM分子と生物学的活性
を共有するというこを意味する。
一般的には、タンパク質の1グラム当たりの単位にお
ける活性は、生来のトロンボモジュリンの活性の、少な
くとも約50%、普通には75%、典型的には85%、より典
型的には95%、好ましくは100%そしてより好ましくは1
00%を超えるものである。この生物学的活性は、トロン
ビン−仲介のプロテインC活性化(APC)の、活性化部
分的トロンボプラスチン血塊化時間(APTT)の、トロン
ビン血塊化時間(TCT)の、又はTMの生物学的、好まし
くは治療的活性の、ものであることができる。生来の比
較標準は、TMの完全長膜結合変異体であるが、多くの場
合には、レクチン/EGF/O−結合ドメイン(TMLEO)を含
んで成る可溶性TMを、より便利な標準として使用するこ
とができる。
”糖添加部位”は、糖残基の付着のための位置として
真核細胞により認識されるアミノ酸残基をいう。糖が付
着されるアミノ酸は、典型的には、(N−結合糖のため
の)Asn、(O−結合糖のための)トレオニン又はセリ
ンの残基である。付着の特異的な部位は、典型的には、
アミノ酸の配列、例えば、ほとんどのN−結合付着のた
めのAsn−X−(Thr又はSer)及びほとんどのO−結合
付着のための(Thr又はSer)−X−X−Pro{ここで、
Xは、いずれかのアミノ酸である}により、印を付けら
れている。グリコサミノグリカン(硫酸化糖の特定タイ
プ)の認識配列は、一般的には、Ser−Gly−X−Glyで
あるが、X−Ser−Gly−X−Valであることもできる。
用語N−結合及びO−結合は、その糖とそのアミノ酸残
基との間の付着部位として作用する化学基をいう。N−
結合糖は、アミド基を通して付着し;O−結合糖は、ヒド
ロキシル基を通して付着する。
”インビボにおける循環半減期”は、哺乳類内の投与
された血漿活性が1/2程減少するのにかかる平均時間を
いう。
”生来のトロンボモジュリン”とは、それが天然にお
いて生じるような完全長タンパク質をいう。生物学的活
性が生来のTMに関して記載されるとき、この用語は、洗
剤可溶化水溶液形態を包含する。しばしば、活性に対す
る比較の文脈において、トランスフェクトされた可溶化
ポリペプチドは、実質的に同一の性質を示すことができ
る。
"O−結合された糖添加ドメイン”は、表1中に記載す
るような生来のトロンボモジュリン配列の463から485ま
で番号を付けられたアミノ酸の配列をいう。
”酸化耐性アナログ”とは、酸化剤、例えば、酸素ラ
ジカル、クロラミンT、過酸化水素、又は活性化好中球
に晒された後に、実質的な量の生物学的活性を維持する
ことができるトロンボモジュリンのアナログをいう。
”医薬賦形剤”とは、医薬治療剤を完全化するために
使用される非毒性の、医薬として許容される材料をい
う。これらの材料は、不活性であり、例えば、水及び
塩、又は生物学的に活性な、例えば、抗生物質又は鎮痛
剤であることができる。
”減少された能力”とは、生物学的性質の統計的に有
意な低下をいう。この性質は、非限定であり、そおして
その性質の測定又は定量化は、標準的な手段による。
”糖残基”とは、グルコサミン並びにタンパク質に共
有結合する他の炭水化物誘導体及び部分を含むヘキソー
ス及びペントースの炭水化物をいう。
”硫酸塩置換基”は、ペントース又はヘキソース糖上
の硫黄含有置換基である。
”フィブリノーゲンのフィブリンへのトロンビン−仲
介物質変換”とは、トロンビンが、その後重合し血塊を
形成するフィブリン・モノマーを作るために前駆体タン
パク質フィブリノーゲンを解裂させるところの酵素活性
をいう。
”血栓疾患”とは、哺乳動物の健康に有害である又は
有害であることができる1以上の血栓の形成を特徴とす
る哺乳動物における病的症状をいう。
”トロンボモジュリン・アナログ”は、先に記載した
ように、天然のTMの生物学的活性を実質的に保持してお
り、そして天然変異体TMのものと異なる分子構造をもつ
ペプチドである。例えば、この用語は、生来のトロンボ
モジュリンのものと同一又は相同なアミノ酸配列をもつ
タンパク質、不活性及び可溶性のトロンボモジュリンの
ペプチド又は断片、及び酸化耐性TM種であって、全てが
トロンボモジュリン様活性をもつものをいう。これらの
化合物は、生来のTMと比較するとき、そのタンパク質の
プロテインC活性化補因子の特性を有意に減少させない
アミノ酸の変更を含んで成る誘導体及び分子をも含む。
”伝達ベクター”とは、他の細胞、例えば、昆虫細胞
中に、例えば、野生型バキュロウイルスにより、同時ト
ランスフェクトされたベクターをいう。この伝達ベクタ
ーは、ウイルス、例えば、バキュロウイルス、のゲノム
と、その伝達ベクターとの間の組換えを、例えば、異種
標的遺伝子によりそのバキュロウイルス多角体遺伝子を
置き換えながら、行うような方法で、構築される。ベク
ターが宿主細胞により維持される場合には、そのベクタ
ーは、自己複製構造物として細胞分裂の間にその細胞に
より安定して複製されることができるか、又はその宿主
のゲノム内に取り込まれるかのいずれかである。
本明細書中で使用するとき、”可溶性TMアナログ”
は、水溶液中に溶解するTMアナログであり、そして、典
型には、細胞により分泌されることができる。薬理学的
投与のためには、生来の細胞質ドメイン又はアナログを
含んで成る可溶性TMアナログ又は不溶性アナログは、場
合により、リン脂質小胞、洗剤、又は薬理学的配合の分
野における当業者によく知られた他の類似の化合物と、
組み合わされることができる。本発明の好ましいTMアナ
ログは、血流中で可溶性であり、そのアナログを様々な
抗血液凝固及び他の治療において有用なものにするもの
である。これらの修飾は、典型的には、生来のトロンボ
モジュリンに比べて多くの活性、例えば、トロンビンに
ついてのアフィニティー又はプロテインC活性化におけ
る活性に有意には影響を与えない。
2つの好ましいアナログは、6EGF−様ドメインを包含
し、そして4t/227−462(ここで、そのアナログはヒト
組織プラスミノーゲン活性物質シグナル・ペプチドの最
後の4残基をもつ。)及び6h/227−462(6hは、ヒポダ
ーミンAシグナル配列の最後の6残基である。)であ
る。より好ましいものは、388位においてロイシンによ
りメチオニンを置換することにより酸化耐性を与えられ
るようなアナログである。
他の好ましい態様は、Met388、Arg456、His457、Ser4
74に対する修飾並びにびN−及びC−末端における欠失
による、アミノ酸3−490に対応するアナログである。
この態様は、真核細胞内、例えば、動物細胞、脊椎動物
細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞、ヒト細胞等、特にCHO及
びCHL1細胞内でその遺伝子を発現させるときに、特に有
用である。
A. TMアナログ製造のための一般的方法 本発明は、様々な公知の方法で達成されることができ
る分子遺伝子操作を包含する。本発明の組換え体細胞、
プラスミド、及びDNA配列は、組換え体細胞から分泌さ
れた化合物がトロンボモジュリンの可溶性誘導体である
ところの医薬として有用な化合物を製造する手段を提供
する。
一般的には、本出願において使用される一般的実験手
順の命名の定義及び記載は、J.Sambrook et al.,Molecu
lar Cloning,A Laboratory Manual,(1989)Cold Sprin
g Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York中
に見られることができる。このマニュアルは、以下、Sa
mbrookとしていい、そして引用により本明細書中に取り
込む。さらに、Ausubel et al.,eds.,Current Protocol
s in Molecular Biology,(1987 and定期的に刷新)Gre
en Publishing Associates,Wiley−Interscience,New Y
orkは、本出願において有用な方法について開示してい
る。
すべての酵素を、製造者の指示に従って使用する。
商業的に入手可能でないオリゴヌクレオチドは、D.R.
Needham−VanDevanter et al.,(1984)Nucleic Acids
Res.,12:6159−6168中に記載されているような自動合成
装置を使用してS.L.Beaucage and M.H.Caruthers,(198
1)Tetrahedron Letts.,22(20):1859−1862により最
初に記載されている固相ホソホルアミジット・トリエス
テル法に従って化学的に合成されることができる。オリ
ゴヌクレオチドの精製は、生来のアクリルアミド・ゲル
電気泳動又はPearson,J.D.,and Regnier,F.E.(1983)
J.Chrom.,255:137−149中に記載されているアニオン−
交換HPLCのいずれかによる。ヌクレオチドのサイズを、
キロベース(kb)又は塩基対(bp)のいずれかで与え
る。これらは、アガロース若しくはアクリルアミド・ゲ
ル電気泳動から又は公開されたDNA配列から得られた推
定値である。
クローン化された遺伝子及び合成オリゴヌクレオチド
の配列は、Maxam,A.M.,et al.,(1980)Methods in Enz
ymology,65:499−560の化学分解法、又は類似の方法を
使用して、確認されることができる。この配列は、Maxa
m and Gilbert法、前記、又はWallace,R.B.,et al.,(1
981)Gene,16:21−26の二本鎖テンプレートを配列決定
するための鎖停止法を使用して、そのオリゴヌクレオチ
ド断片を二本鎖DNA配列中に組み立てた後に、確認され
ることができる。サザン・ブロット・ハイブリダイゼー
ション技術を、Southern et al.,(1975)J.Mol.Biol.,
98:503に従って行った。
本発明の態様は、しばしば、インビトロにおける突然
変異誘発による新たなペプチド及び遺伝子の創出を含
む。標的遺伝子は、中間体ベクター内で単離され、そし
て原核生物、例えば、大腸菌(E.coli)、バチルス(Ba
cillus)、又はストレプトミセス(Streptomyces)内で
の増幅のためにクローン化される。最も好ましいのは大
腸菌である。なぜなら、その生物は、培養が容易であ
り、そして他の種の原核生物よりもより十分に理解され
ているからである。Sambrookマニュアルは、その後に記
載された大腸菌内クローニングの全てを導くのに十分な
方法論を含んでいる。MH−1株は、特にことわらないか
ぎり好ましい。大腸菌株の全ては、グルコースを含むLu
riaブリス(LB)又はグルコース及び酸−加水分解カゼ
イン・アミノ酸を補われたM9培地上で、培養される。抗
生物質に耐性をもつ株を、Sambrook中に記載する薬剤濃
度において維持した。形質転換を、Morrison,D.A.(197
7)J.Bact.,132:349−351により又はClarl−Curtiss,J.
E.,and Curtiss,R.(1983)Methods in Enzymology,10
1:347−362,Eds.R.Wu et al.,Academic Press,New York
により、記載さている方法に従って行った。代表的なベ
クターは、商業的源から入手可能なpBR322及びpUCシリ
ーズを含む。
B. 遺伝子合成 生来のトロンボモジュリンをエンコードしている遺伝
子は、幾つかの種から、そのゲノム形態で且つcDNAとし
て、単離し、そして配列決定されている(Jackman,R.,e
t al.,(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.83:8834−8883
8 and(1987)84:6425−6429(これらの両方を、引用に
より本明細書中に取り込む。)。
ヒト・トロンボモジュリン及びトロンビンをエンコー
ドしている完全長DNA配列の公開は、遺伝子の調製を容
易にし、そしてTMペプチドをエンコードしているDNA配
列を構築するための出発点として使用される。例えば、
Genebank Register c/o IntelliGenetics,Inc.,Mountai
n View,Californiaを参照のこと。本発明のペプチド
は、好ましくは、内部のアミノ酸置換をもつことに加え
てTMの移動停止配列を欠く可溶性誘導体である。その
上、これらのアナログは、これらのポリペプチドをエン
コードしている遺伝子を含むプラスミドによりトランス
フェクト又は形質転換された真核細胞から分泌される。
修飾、例えば、アミノ酸置換、欠失、又はシグナル配列
のクローン化遺伝子へノ付加を作るための方法は、公知
である。本明細書中で使用する特定の方法を、以下に記
載する。
トロンボモジュリンのための完全長遺伝子を、幾つか
の方法により調製することができる。ヒト・ゲノム・ラ
イブラリーは、商業的に入手可能である。これらの遺伝
子に特異的なオリゴヌクレオチド・プローブを、公開さ
れた遺伝子配列を使用して合成することができる。オリ
ゴヌクレオチド・プローブによるゲノム・ライブラリー
のスクリーニング方法は、公知である。トロンボモジュ
リンのための遺伝子配列の公開は、そのコーディング領
域内にイントロンが全く存在しないということを証明し
た。したがって、ゲノムのクローンは、公知方法を使用
してトロンボモジュリンのための発現プラスミドを構築
するための必要な出発材料を提供する。
トロンボモジュリンをエンコードしているDNA断片
は、その遺伝子に隣接するか又はその内部にある領域内
で同定された制限エンドヌクレアーゼ部位を利用するこ
とにより、持ってくることができる。(Jackman,R.W.,e
t al.,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,84::6425−64
29)。
あるいは、完全長遺伝子を、cDNAライブラリーから得
ることもできる。例えば、内皮細胞から作られたメッセ
ンジャーRNAは、cDNAの調製のための好適な出発材料を
提供する。トロンボモジュリンをエンコードしている遺
伝子を含むcDNA分子は、先に記載したように同定され
る。cDNAライブラリーの調製方法は、よく知られている
(前記、Sambrookを参照のこと。)。
TMペプチドをエンコードしている遺伝子を、完全長ト
ロンボモジュリンをエンコードしている遺伝子を使用し
て最初に構築された野生型TM遺伝子から、作ることがで
きる。その後の突然変異のための野生型TMペプチド遺伝
子の好ましくは調製方法は、合成オリゴヌクレオチド・
プライマーの使用と、mRNA又はDNAテンプレート上のポ
リメラーゼ伸長とを組み合わせる。このポリメラーゼ連
鎖反応(PCR)法は、所望のヌクレオチド配列を増幅す
る。米国特許第4,683,195号及び第4,683,202号は、この
方法について記載している。制限エンドヌクレアーゼ部
位は、上記プライマー中に取り込まれることができる。
上記PCR反応により増幅された遺伝子は、アガロース・
ゲルから精製され、そして適当なベクター中にクローン
化されることができる。天然の遺伝子配列内の変更は、
インビトロにおける突然変異誘発の技術により又は適当
な突然変異を取り込むように設計されたプライマーによ
るポリメラーゼ連鎖反応の使用により、導入されること
ができる。Innis,M.et al.,eds.(1990),PCR Protocol
s:A Guide to Methods and Applications,Academic Pre
ssを参照のこと。
本明細書中に記載するTMペプチドは、典型的には、真
核細胞培養において発現されるときに、分泌される。分
泌は、トロンボモジュリン遺伝子の生来のシグナル配列
の使用により、得られることができる。あるいは、本発
明のTMペプチドをエンコードしている遺伝子を、生来の
トロンボモジュリン遺伝子に対応するもの以外のシグナ
ル配列に適当な読み取り枠内で結合することができる。
例えば、t−PAの(引用により本明細書中に取り込むWO
89/00605を参照のこと。)、又はヒポダーミンA若し
くはBの(引用により本明細書中に取り込むEP 326,419
を参照のこと。)シグナル配列を、そのポリペプチドに
結合することができる(表2を参照のこと。)。本発明
の好ましい態様においては、ヒトt−PA遺伝子の第二イ
ントロンを含むt−PAのシグナル配列が使用される。こ
のイントロンを含むことは、その隣接する構造遺伝子の
発現レベルを増強する。
本発明のあるアナログにより、生来のトロンボモジュ
リン遺伝子のカルボキシル末端領域の移動停止及び細胞
質のドメインをエンコードしている遺伝子のこれらの部
分が、欠失される。それ故、翻訳が所望の位置において
終止するように、終止コドンを付加することが必要であ
る。あるいは、終止コドンは、所望の発現プラスミドに
より提供されることができる。さらに、ポリアデニレー
ション配列が、TMアナログをエンコードしている真核細
胞内でmRNAの適当なプロセシングをかうほするために、
使用されることができる。また、TMアナログの発現のた
めに、それが存在しない場合には、開始コドンを提供す
ることが有用であることができる。このような配列は、
生来の遺伝子から又は発現プラスミドにより提供される
ことができる。
原核生物及び真核生物内での複製及び組み込みに好適
な、そして転写及び翻訳ターミネーター、開始配列及び
TMペプチドの発現の調節に有用なプロモーターを含むク
ローニング・ベクターを、本明細書中に記載する。この
ベクターは、少なくとも1の独立したターミネーター配
列、真核生物及び原核生物の両方内でのプラスミドの複
製を許容する配列、すなわち、シャトル・ベクター、及
び原核生物及び真核生物の系の両方のための選択マーカ
ーを含む発現カセットから成る。
C. 原核細胞内でのTMペプチドの発現 クローン化された核酸配列の増幅のための大腸菌(E.
coli)内でのクローニング方法の使用に加えて、原核生
物内でTMアナログを発現させることが望ましいかもしれ
ない。以下にさらに詳細に討議するが、成熟タンパク質
の炭水化物部分は、プロテインCの活性化のための補因
子としての活性のために不可欠ではないが、TMアナログ
の直接的抗血液凝固性質並びに循環中でのその分子の半
減期に対する効果をもっている。大腸菌内のトロンボモ
ジュリン・アナログの発現は、この論点の分析のための
有用な道具を提供した。可溶性TMアナログをエンコード
している発現プラスミドにより形質転換された大腸菌
(E.coli)から治療的に機能性のタンパク質を回収する
ことができる。
バクテリア内でのクローン化遺伝子の発現方法は、よ
く知られている。原核生物系においてクローン化遺伝子
の高いレベルの発現を得るためには、最小限、mRNA転写
終止に向けられる強いプロモーターを含む発現ベクター
を構築することが、しばしば不可欠である。この目的に
好適な調節領域の例は、大腸菌(E.coli)のβ−ガラク
トシダーゼ遺伝子のプロモーター及びオペレーター領
域、大腸菌(E.coli)トリプトファン生合成経路、又は
ラムダ・ファージからの左側のプロモーターである。大
腸菌内に形質転換されたDNAベクター内に選択マーカー
を含むことが、有用である。このようなマーカーの例
は、アンピシリン、テトラサイクリン、又はクロラムフ
ェニコールに対する耐性を指定する遺伝子を含む。
大腸菌内での使用のための選択マーカー及びプロモー
ターに関する詳細については、Sambrook、前記を参照の
こと。本発明の1つの記載された態様においては、pUC1
9が、所望の遺伝子配列のサブクローニング及び増幅の
ためのベクターとして、使用される。
D. 真核細胞内でのTMペプチドの発現 所望のTMペプチドの発現のために選ばれた発現系にお
いて当業者が知得可能であることが予測され、そして真
核生物内でのタンパク質の発現のために知られた様々な
方法を詳細に記載する試みを、全く行わない。
可溶性TMアナログをエンコードしているDNA配列を、
宿主細胞培養物を形質転換することにおける使用のため
の様々な発現ベクターに連結することができる。このベ
クターは、典型的には、マーカー遺伝子並びにその異種
遺伝子の転写及び翻訳を開始させるための遺伝子配列を
含む。
このベクターは、好ましくは、形質転換された宿主細
胞の選択のための表現型の特色、例えば、ジヒドロ葉酸
レダクターゼ、メタロチオネイン、ハイグロマイシン、
又はネオマイシン・ホスホトランスフェラーゼを、提供
する。オートグラファ・カリフォルニア(Autographa c
alifornia)からの核多角体ウイルス・タンパク質が、
組換え体を同定するためにスポドプテラ・フルジペルダ
(Spodoptera frugiperda)及びボンビックス・モリ(B
ombyx mori)からのトランスフェクトされた昆虫細胞を
スクリーンするために有用である。酵母のためには、Le
u−2、Ura−3、Trp−1、及びHis−3が公知の選択マ
ーカーである(Gene(1979):17−24)。上記の科学
的原理を具体化し、公知の及び非公知の両方の、多数の
他のマーカーであって、その中の全てが、本発明により
包含されるベクターによりトランスフェクトされた上記
の真核細胞を検出するためのマーカーとして有用であろ
うものが、在る。
TMアナログの発現に有用なより高等な真核細胞系の中
に、選択される多数の細胞系が在る。哺乳類細胞系の例
示的な例は、RPMI 7932、VERO、及びHeLa細胞、チャイ
ニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞系、WI38、BHK、CO
S−7、C127、又はMDCK細胞系を含む。好ましい哺乳類
細胞系は、CHL−1又はCHOである。CHL−1を使用する
とき、ハイグロマイシンが真核生物の選択マーカーとし
て含まれる。CHL−1細胞は、RPMI 7932メラノーマ細
胞、すなわち、容易に入手可能なヒト細胞系から得られ
る。CHL−1細胞系は、ブダペスト条約の条項に従ってA
TCCに寄託されており、そして1987年6月18日に寄託さ
れた#CRL 9446を与えられている。本発明における使用
に好適な細胞は、American Type Culture Collectionか
ら商業的に入手可能である。例示的な昆虫細胞は、スポ
ドプテラ・フルジペルダ(Spodoptera frugiperda)
(アキ・アワヨトウ(fall Armyworm))及びボンビッ
クス・モリ(Bombyx mori)(カイコ(silkworm))を
含む。
先に記載したように、宿主細胞を形質転換するために
使用される発現ベクター、例えば、プラスミドは、好ま
しくは、転写を開始させるための遺伝子配列、及びTMペ
プチド遺伝子配列の翻訳を制御するための配列を、含
む。これらの配列は、発現制御配列という。宿主細胞が
昆虫又は哺乳類起源の内にあるとき、例示的な発現制御
配列は、これに限定されないが、以下の:レトロウイル
スのロング・ターミナル・リピート・プロモーター
((1982)Nature,297:479−483)、SV40プロモーター
((1983)Science,222:524−527)、チミジン・キナー
ゼ・プロモーター(Banerji,J.,et al.,(1982)Cell,2
7:299−308)、又は他のベータ−グロブリン・プロモー
ター(Luciw,P.A.,et al.,(1983)Cell,33:705−716)
を、含む。発現制御配列を含む受容体ベクターの核酸
を、制限酵素を使用して解裂させ、そして必要な又は望
ましいサイズにおいて調節する。このセグメントを、本
分野においてよく知られた手段によりTMペプチドをエン
コードしているDNA配列に連結する。
より高等な動物細胞を使用するとき、ポリアデニレー
ション又は転写終止配列は、正常には、そのベクター中
に取り込まれることが必要である。ポリアデニレーショ
ン配列の例は、転写ターミネーターとしても作用するこ
とができるSV40からのポリアデニレーション配列であ
る。
適当なベクター内に取り込まれた遺伝子を、過渡的な
発現系又は好適なクローン内のいずれかにおいて、使用
することができる。前者においては、収率はあ、低い
が、その実験は、迅速である。後者においては、高生産
クローンを単離するためにはより長い時間を要する。異
なるベクターを、上記2つの異なるタイプの実験のため
に使用することができる。特に、過渡的発現の場合に
は、配列は、その細胞内でそのプラスミドが高いコピー
数まで複製されることを可能にするプラスミド内に含ま
れることができる。これらの配列は、ウイルス、例え
ば、SV40(例えば、Doyle,C.et al.,(1985)J.Cell Bi
ol,.100:704−714)から又は染色体の複製配列、例え
ば、ネズミの自己複製配列(Weidle et al.,(1988)Ge
ne,73:427−437)から得られることができる。また、過
渡的発現における使用のためのベクターは、しばしば、
強いプロモーター、例えば、SV40初期プロモーター(例
えば、van Zonnenfeld,A.et al.,(1987)Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA.,83:4670−4674)を、問題の遺伝子の転写
を制御するために、含むであろう。過渡的発現は、遺伝
子生成物の検定のための迅速な方法を提供スルガ、その
プラスミドDNAは、その宿主細胞染色体内に取り込まれ
ない。したがって、過渡的発現ベクターの使用は、安定
したトランスフェクトされた細胞系を提供しない。過渡
的発現に好適なプラスミドに記載は、Aruffo,A.,and Se
ed,B.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,84:8573−8577
により提供される。
TMアナログは、あるいは、バキュロウイルス系を使用
して先に記載した昆虫細胞系内で製造されることができ
る。この系は、Luckow,V.A.,and Summers,M.D.(1988)
Bio/technology,6:47−55により記載されている。一般
的には、この発現系は、ほとんどの哺乳類系により提供
されるものよりも高いレベルの発現を提供する。バキュ
ロウイルスは、宿主細胞に感染し、多数のサイクルを通
してそのゲノムを複製し、そして次に多量の多角体結晶
を作り出す。この多角体遺伝子を、TMペプチド遺伝子と
置き換えることができる。次に多角体プロモーターは、
培養宿主細胞の感染及びバキュロウイルス・ゲノムの複
製の後に、多量のアナログ・タンパク質を作るであろ
う。この非分泌遺伝子生成物を、感染3−7日後にその
宿主から収穫する。あるいは、TMペプチドは、適当なシ
グナル配列がそのタンパク質上に存在する場合には、そ
の細胞から分泌されることができる。この宿主細胞は、
コンピテントであり、又は様々な手段によりトランスフ
ェクションのためにコンピテントにされる。動物細胞中
にDNAを導入する幾つかのよく知られた方法が在る。こ
れらは:リン酸カルシウム沈降、DEAE−デキストラン技
術、受容体細胞とそのDNA WO含むバクテリアのプロトプ
ラストとの融合、エレクトロポレーション及びその細胞
内へのそのDNAの直接的なマイクロインジェクションを
含む。Perbal,B."Practical Guide to Molecular Cloni
ng,"2nd edition, John Wiley & Sons,New York and W
igler,et al.,(1987)Cell,16:777−785(これらを、
それぞれ引用により本明細書中に取り込む。)を参照の
こと。
E. 培養細胞 宿主細胞が速い細胞培養を可能とし、そして発現され
た遺伝子生成物を適当に糖添加することができること
が、好ましい。組織培養における濃密な増殖に好適であ
ることが知られている正常な及び形質転換された両方の
細胞が、特に望ましく、そして様々な無脊椎又は脊椎動
物細胞が本分野において使用されている。特に、組換え
TM発現に好適な宿主であり、そして培養条件下、生来の
トロンボモジュリンの解裂をもたらすプロテアーゼを生
産し又は含む細胞は、目下、突然変異されたプロテアー
ゼ非感受性TMアナログの解裂において全く問題を提出し
ない。このような細胞の例は、CHO、CHL−1(ヒト・メ
ラノーマ細胞として特徴付けられる)、Sf9細胞、等で
あってATCCから公に入手可能なものを含む。
トランスフェクトされた細胞を、本分野においてよく
知られた手段により増殖させる。例えば、Kuchler et a
l.(1977)Biochemical Methods in Cell Culture and
Virology.を参照のこと。この発現生成物は、そのタン
パク質が宿主細胞から又は、例えば、本分野においてよ
く知られた機械的又は酵素的手段によりその宿主細胞の
破壊の後、細胞懸濁液から分泌されるような系内で、そ
の細胞培地から収穫される。
F. TMアナログの精製 本発明のTMペプチドが組換え真核細胞を培養すること
により分泌されることが好ましい。このTMアナログは、
血清不含又は血清を補った培地中で生産され、そして無
傷で分泌される。原核細胞を使用する場合には、TMアナ
ログは、細胞内に置かれることができる。組換え体細胞
の増殖及びこれに付随するTMアナログのその培養基中へ
の分泌の後に、この”ならし培地(conditioned medi
a)”を収穫する。このならし培地を、次に、遠心分離
又は濾過により清澄化し、細胞及び細胞死骸を除去す
る。この清澄化培地中に含まれるタンパク質を、いずれ
かの好適な樹脂、例えば、Q Sepharose又は金属キレー
トへの吸着により、又は硫酸アンモニウム分画、ポリエ
チレンン・グリコール沈降の使用により、又は限外濾過
により、濃縮する。本分野において知られた他の手段
も、等しく好適であることができる。TMアナログのさら
なる精製を、Galvin,J.B.,et al.,(1987)J.Biol.Che
m.,262:2199−2205及びSalem,H.H.et al.,(1984)J.Bi
ol.Chem.,259:12246−12251中に記載されているやり方
で、並びに本明細書中に開示する態様中に記載するやり
方で、行うことができる。培養細胞により分泌されたTM
アナログの精製は、例えば、アフィニティー・クロマト
グラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ・
クロマトグラフィー、又は他の慣用のタンパク質精製技
術の追加の使用を必要とする。例えば、Deutscher(e
d.),"Guide to Protein Purification"in Methods in
Enzymology,Vol.182(1990)を参照のこと。
組換え体TMアナログは、非還元クロマトグラフィーの
条件下で識別可能な様々な形態で見つけられることがで
きる。低い比活性をもつような種の除去が、望ましく、
そしてアニオン交換又はサイズ排除クロマトグラフィー
を含む様々なクロマトグラフィーの技術により、達成さ
れる。組換え体TMアナログを、圧力透析及び揮発性バッ
ファー(例えば、N−エチルモフフォリン(NEM)、2
炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、及び酢酸ピリジ
ン)中へ直接に交換されるバッファーにより、濃縮する
ことができる。さらに、サンプルを、このような揮発性
バッファーから直接に凍結乾燥し、塩及び洗剤を欠いた
安定なタンパク質粉末をもたらすことができる。さらに
組換え体アナログの凍結乾燥サンプルを、注入液(例え
ば、リン酸塩バッファー生理食塩水)と相溶性のバッフ
ァー中で使用する前に効率よく再溶解させることができ
る。他の好適な塩又はバッファーは、塩化水素、臭化水
素、硫酸塩、酢酸塩、ベンゾエート、リンゴ酸塩、クエ
ン酸塩、グリシン、グルタメート、及びアスパルテート
を含むことができた。
G. 酸化耐性TMアナログ 生来のトロンボモジュリンは、酸化を受けやすく、そ
して酸化されたとき、プロテインCの活性化を促進する
その能力を失う。また、抗血液凝固を必要とする疾患症
状の多くが、生体分子を不活性化し、そしてかなりの組
織損傷を引き起こすことができる高いレベルの毒性酸素
ラジカルと関連している。これらの症状の例は、心筋梗
塞関連の再灌流損傷、敗血症関連DIC及び成人呼吸不全
症候群関連の肺胞繊維症(alveolar fibrosis)であ
る。(Otani,H.,et al.,(1984)Circ.Res.55:168−17
5,Saldeen,T.,(1983)Surg.Clin.N.A.63(2):285−3
04,及びIdell,S.,et al.,(1989)J.Clin.Inv.84:695−
705を参照のこと。)さらに、いずれかの外傷、例え
ば、外科的手順において生じるようなものは、毒性酸素
種を作り出すことができる活性化された単球、多型核白
血球等の流入、並びにエラスターゼの如きタンパク質分
解酵素の宿主の解放を含む。内皮細胞損傷、炎症、及び
血栓症の間の関係は、長い間認められてきた(例えば、
The Molecular and Cellular Biology of Wound Repai
r,ed.Clark,R.A.F.and P.M.Henson(1988)を参照のこ
と。)。トロンボモジュリンは、毒性酸素種に晒される
ことにより不活性化を受け、そしてこれは、多くの病的
症状において重要な役割をもっていると予想される。
酸化には耐性なアミノ酸、特にメチオニンを与える方
法は、本分野においてよく知られている。例えば、酸化
耐性スルホニウム基を作るために、ヨード酢酸によりチ
オール・エーテル基を化学的に修飾することが可能であ
る(Gundlach,H.G.,et al.,(1959)J.Biol.Chem.234:1
754)。好ましい方法は、上記の感受性アミノ酸の除去
又はオキシダントと反応しないであろう1以上の異なる
アミノ酸によりそれを置換することによる。アミノ酸、
ロイシン、アラニン、及びグルタミンが、それらのサイ
ズ及び中性の特徴のために、特に好ましいアミノ酸であ
る。可溶性トロンボモジュリンの4つのメチオニンであ
って、特に、291及び388残基に位置するものは、酸化を
受けることができる。たった1つのメチオニンを遮断し
又は除去する場合には、それが388位における残基であ
ることが好ましい。
タンパク質の配列内でアミノ酸が除去され又は置換さ
れることができるところの方法は、よく知られている。
例えば、Sambrook et al.,前記;Ausubel et al.,前記;
U.S.4,737,462;U.S.4,588,585;EP−0285 123;及びその
中で引用された文献を参照のこと。変更されたアミノ酸
配列をもつペプチドをエンコードしている遺伝子を、例
えば、合成的に作ることができる。好ましい方法は、イ
ンビトロにおける部位指定突然変異誘発の使用である。
部位指定突然変異誘発は、一本鎖標的DNAのヌクレオチ
ド配列を特異的に変更するために設計された所望のヌク
レオチドの置換、挿入、又は欠失を含む合成オリゴデオ
キシリボヌクレオチドの使用を含む。プライマーともい
われるこのオリゴヌクレオチドの、その一本鎖テンプレ
ートとのハイブリダイゼーション及びその後のプライマ
ー伸長は、異種2本鎖DNAを作り出し、これが、形質転
換細胞内で複製されるとき、所望の突然変異をもつタン
パク質配列をエンコードするであろう。
酸化によるトロンボモジュリン活性の損失に対する耐
性を測定するために、テスト材料(100−250μg/ml)
を、最初に、オキシダント、例えば、クロラミンン−
T、5−10mMクロラミン−Tにおける過酸化水素、又は
HpH7.0における0.2%N−エチルモルフォリン及び0.008
%Tween 80中の200−1000mM過酸化水素と共に、室温に
おいて20分間、インキュベートする。0.1%BSAを含むPB
Sのバッファーを使用することもできる。このようなオ
キシダントに晒した後、このテスト材料を、例えば、特
にプロテインCの活性化のための補因子として作用する
能力について以下に記載する生物活性検定の中の1つを
使用して評価する。オキシダントに晒される前にそれら
がもつ活性の、少なくとも60%、普通には70%、より正
常には80%、及び好ましくは90%を保持するような突然
変異体TMアナログは、野性型(非−突然変異体)TMアナ
ログ又は生来のトロンボモジュリンと比べて酸化耐性で
あると考えられる。
H. TM活性の測定のための実験室検定 TM活性を測定するための多くの実験室検定を、利用で
きる。プロテインC補因子活性を、Salem,et al.,(198
4)J.Biol.Chem.259(19):12246−12251及びGalvin,et
al.,(1987)J.Biol.Chem.262(5):2199−2205によ
り記載された検定において測定することができる。簡単
に言えば、この検定は、2段階から成る。第一は、定義
した条件下(以下の実施例を参照のこと。)でのテスト
TMアナログとトロンビン及びプロテインCとのインキュ
ベーションである。第二段階においては、このトロンビ
ンがヒルジン又はアンチトロンビンIII及びヘパリンに
より不活性化され、そして新たに活性化されたプロテイ
ンCの活性が発色基質の使用により測定され、そこで
は、その発色団が活性化プロテインCのタンパク質分解
活性により解放される。この検定は、精製された試薬に
いより行われる。
あるいは、TMアナログの効果は、血液凝固時間検定、
例えば、活性化部分的トロンボプラスチン時間(APT
T)、トロンビン血塊化時間(TCT)及び/又はプロトロ
ンビン時間(PT)において血漿を使用して測定されるこ
とができる。のATPP検定は、プロテインCの活性化、並
びにトロンビンの直接的阻害の両方に対し依存している
が、一方、このTCT及びPT検定は、トロンビンの阻害に
対してのみ依存している。これらの検定の中のいずれか
1つにおける血液凝固時間の延長は、その分子が血漿中
の血液凝固を阻害することができることを示している。
上記の検定は、精製系及び血漿環境の両方においてト
ロンビン及び活性化プロテインCに結合することができ
る可溶性TMアナログを同定するために使用される。次
に、さらなる検定を、生来のトロンボモジュリンの他の
活性、例えば、トロンビンにより触媒されたフィブリノ
ーゲンからのフィブリン形成の阻害(Jakubowski,et a
l.,(1986)J.Biol.Chem.261(8):3876−3882)、因
子Vのトロンビン活性化の阻害(Esmon,et al.,(198
2)J.Biol.Chem.257:7944−7947)、アンチトロンビンI
II及びヘパリン補因子IIによるトロンビンの加速された
阻害(Esmon,et al.,(1983)J.Biol.Chem.258:12238−
12242)、因子XIIIのトロンビン活性化の阻害(Polgar,
et al.,(1987)Thromb.Haemostas.58:140)、プロテイ
ンSのトロンビン仲介不活性化の阻害(Thompson and S
alem,(1986)J.Clin.Inv.78(1):13−17)並びにト
ロンビン仲介血小板の活性化凝集の阻害(Esmon,et a
l.,(1983)J.Biol.Chem.258:12238−12242)を評価す
るために使用される。
本発明においては、TMアナログは全て、必ずしも、生
来のトロンボモジュリンのものと等しい活性をもってい
ない。例えば、ある者が本発明のTMアナログの量を生来
のコンドロイチン・スルホン化膜結合トロンボモジュリ
ンの等価な量と比較する場合には(以下に定義するプロ
テインC補因子活性の単位として測定される)、そのTM
アナログは、普通には、生来のトロンボモジュリンと比
較してトロンビン仲介のフィブリノーゲンのフィブリン
への変換を阻害するその能力において、少なくとも20%
の減少を、そして好ましくは、50%の減少をもつであろ
う。
I. TMアナログの糖添加を変更する方法 タンパク質上の炭水化物置換基は、生物学的活性及び
循環半減期の両方に影響を与えることができる。本発明
の幾つかのTMアナログを作るために、生来のトロンボモ
ジュリン・タンパク質内にあるようなO−結合グリコサ
ミノグリカン炭水化物が、除去されなければならない。
この目的を達成する多数の方法が在る。1つの方法は、
O−結合炭水化物含有タンパク質を、硫酸化されたグリ
コサミノグリカンを特異的に分解することで知られるグ
リコヒドラーゼ、例えば、コンドロイチナーゼABC又は
ヒアルロニダーゼにより処理することであろう。この方
法は、Bourin,M.et al.,(1988)J.Biol.Chem.263(1
7):8044−8052(これを、引用により本明細書中に取り
込む。)中に記載されている。
O−結合炭水化物を除去する第二の方法は、そのタン
パク質中に部位指定突然変異を導入することによる。グ
リコサミノグリカンの付着は、典型的には、アミノ酸X
−セリン−グリシン−X−グリシン−X{ここで、Xが
アミノ酸である。}(Bourdon,M.A.,et al.,(1987)Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA.84:3194−3198)のコンセンサス
認識配列により、指定される。他のタイプのO−結合糖
の認識配列は、一般的には、トレオニン/セリン−X−
X−プロリンである。天然のトロンボモジュリンのO−
結合ドメインは、正常には、少なくとも1の可能性のあ
るグリコサミノグリカン付加部位(aa 472及び/又は47
4)及び1つの他の可能性のあるO−結合炭水化物付加
部位(aa 464、472、474、480及び486)を、その細胞型
に依存して、もつ。この認識配列内の1以上のアミノ酸
のいずれかの同一性を除去し又は変するヌクレオチド配
列内に導入される変更のいずれも、この可能性のあるO
−結合炭水化物付着部位を除去することができた。ヌク
レオチド配列内へ部位指定突然変異を導入する方法は、
先に記載されている。例えば、これらのセリン又はトレ
オニン残基の1以上が、糖添加不可能アミノ酸、例え
ば、アラニンに修飾されることができる。
TMアナログからO−結合炭水化物を除去する好ましい
方法は、O−結合ドメインであると考えられるアミノ
酸、すなわち、表1中に示すような生来のトロンボモジ
ュリン遺伝子配列のアミノ酸468〜485を含まないアナロ
グ・ペプチドを作ることよる。これを達成する方法は、
本分野においてよく知られており、そして先に記載され
ている。
タンパク質の循環半減期は、それに付着した炭水化物
の量及び組成により変更されることができる。本発明の
TMアナログは、O−結合及びN−結合の炭水化物の両方
を含む。先に討議した可能性のあるO−糖添加部位に加
えて、例えば、アミノ酸29、97、98、364、391及び393
における可能性のあるN−結合部位、及びアミノ酸31
9、393及び396における可能性のあるO−結合部位が、
在る。先に記載したものに加えた炭水化物組成を変更す
る方法は:1)哺乳類タンパク質を糖添加するのに必要な
細胞機構をもたない、バクテリア、例えば、大腸菌(E.
coli)内でのTMアナログ遺伝子の発現、2)様々な真核
細胞であってそれぞれが特徴的な糖残基の添加に起因す
るそれ自体の特徴的な酵素をもつもの内でのTMアナログ
遺伝子の発現、及び3)化学物質、例えば、フッ化水素
酸による処理、である。フッ化水素酸は、例えば、酸性
及び中性の糖を化学的に消化し、一方、例えば、N−ア
セチル・グルコサミン、そして特定の条件下で、ガラク
トサミンのような糖を、無傷で残す。
J. プロテアーゼ耐性アナログ 先に述べたように、組換えにより作られたTMが培養に
おいて、特に真核細胞、例えば、CHO細胞内で発現され
るとき、そのTMは、実質的な量の2本鎖変異体を含む。
これは、例えば、培養条件下又はその精製工程の間に存
在するエンドペプチダーゼによる異種タンパク質の解裂
による、存在する異なる結合定数をもつ種が存在すると
いうことを示す結合性質プロフィールにより、検出可能
である。このエンドペプチダーゼは、例えば、宿主細
胞、微生物学的汚染体、培養基、等であることができ
る。還元条件下でのSDS−PAGE上の分析は、TMアナログ
がCHO細胞内で調製され、そして本明細書中で開示する
ようなならし培地から単離されるとき、約80kDの分子量
に対応するタンパク質バンドが、昆虫細胞6EGFに対する
ウサギのポリクローナル抗体、例えば、TME(Sf9)、又
は染色ゲルを使用して測定されるような、一本鎖可溶性
TMアナログに対応する94kDのタンパク質バンドに加えて
存在することを、現した。しかしながら、CHL−1細胞
内で発現された同一物質は、明らかに、この分解物質を
ほとんどもっていない。これは、タンパク質分解活性の
程度が細胞系依存であることができることを示してい
る。
ヒト・トロンボモジュリン細胞外ドメイン内のユニー
ク・プロテアーゼ解裂部位を、今般、様々なヒト・アナ
ログ内で同定した。シグナル配列の解裂異種性により引
き起こされるN−末端内の予想された異種性(FPAPAEP
及びAPAEPの両方のN−末端がある)に加えて、これら
のアナログは、Arg456とHis457との間の一本鎖TMのタン
パク質分解と一致する新たな配列_IGTD_D__Kを含む。こ
の解裂形態において存在するタンパク質の量は、TM鎖の
50%と同程度に高い。
このタンパク質解裂部位は、第6のEGFドメインの最
後の(c)ループ内で形成され、そしてそれ故、そのタ
ンパク質断片は、そのループ内で最後のジスルフィド結
合により一緒に共有結合されている。これは、さらに、
この2つのバンドが還元ゲル上にのみ見られるという事
実により支持される。この80kDaバンドは、サイズ及び
免疫反応性に基き、N−末端断片である。それ故、CHO
細胞内、並びに、TMアナログを分解する類似のプロテア
ーゼを有する他の細胞系内で発現されるTMアナログは、
類似の分子の性質、例えば、同一条件下で検定されると
きの分子量及びアミノ酸配列を示す解裂した2本鎖物質
により、汚染されている。それ故、精製の性質は、その
TMアナログがジスルフィド結合により一緒になった2本
鎖変異体に解裂されているにもかかわらず、しばしば類
似となろう。
先に述べたように、この解裂部位は、TMの6EGFドメイ
ンのcループ内で生じる。様々な構築物内のこのループ
の欠失は、トロンボモジュリンについてのKdにおける高
い増加(〜7倍)により証明される、トロンボモジュリ
ン結合における実質的な損失をもたらすことが示され
た。それ故、汚染する2本鎖物質は、たぶん、このよう
な調製物の比活性の類似の損失をもたらす。さらに、そ
の分子上の他の結合部位が無傷であるので、その2本鎖
物質は、一本鎖TMアナログの競合的阻害剤として作用す
るはずである。この無傷の一本鎖種から2本鎖物質を分
離することは非常に困難であるので、タンパク質解裂を
受けない高く相同性のある無傷の一本鎖TMを作ることが
重要である。この結果は、本明細書中に開示するよう
に、タンパク質解裂部位を除去及び/又は置換し、そし
てこのようにこれまでの不所望の問題を解決するTMアナ
ログの構築を通して、達成される。本発明は、完全長の
膜会合又は可溶性の両方のTMアナログであって上記プロ
テアーゼによる解裂に耐性のものの提供を可能にする。
突然変異を、本明細書中に記載する手順に従って、プ
ロテアーゼ解裂部位を修飾するために、TMアナログ内に
導入することができる。しかしながら、6EGFのcループ
は、トロンビン結合において重要であることが示されて
おり、そしてこの領域の結合の性質が作られたアナログ
内で維持されることが重要である。このように得られた
分子の生物学的活性は、タンパク質分解を防ぐことによ
り、維持されるであろうし、又はTMアナログ組成物の全
体的な活性における増加が、達成される。これは、トロ
ンビンへのTMの結合において重要であると考えられる最
初のドメインの構造における変更により引き起こされる
活性の損失を回避するであろう。例えば、ウサギ、マウ
ス、及びウシにおいては、TMの456−457配列は、ヒトTM
におけるのと同様に、Arg−Hisの代わりにGly−Glnであ
るので、この修飾は、特定の問題の内に在る。他の、類
似の部位特異的突然変異を、タンパク質分解を受けない
が未だ生物学的活性の望ましいレベルを維持している修
飾配列を定例的に同定するために使用することができ
る。例えば、他の類似のEGF−様タンパク質への相同性
により、その分子の上記領域が逆回転Pro450/Asp451とT
hr460/Asp461との間のβ−シート構造内のものと非常に
類似していることを、見ることができる。この分析によ
り、特に好ましい置換は、β−シート構造内に高頻度に
あるアミノ酸、例えば、His、Val、Ile、Phe、Tyr、Tr
p、及びThrを取り込むものであろう。他の好ましい置換
は、β−シート構造内にほとんどないようなアミノ酸、
Cys、Glu、Lys、Asp、Asn、及びProを取り込むものであ
ろう。特定の他の残基は、例えば、構造的に重要な他の
システインとの不正確なジスルフィド結合を防ぐため
の、Cys;β−シート構造とほとんど一致しないPro;他の
プロテアーゼ解裂部位を取り込むことができるLys及びA
rgを、含む。したがって、当業者は、上記部位又は他の
プロテアーゼ解裂部位において、プロテアーゼ解裂に対
し耐性であろうTMアナログの構造を容易に且つ定例的に
決定できる。本明細書中に記載する要求に合うこのよう
な構造の全ては、本発明の部分として包含される。
もちろん、上記修飾を、本明細書中に開示する1以上
の他の修飾に加えて、酸化耐性を導入し、糖添加部位、
同種アミノ酸末端、同種カルボキシ末端等を除去するこ
とにより血清中のアナログの半減期を増加させるため
に、使用して、幾つかの部位において改善された特徴を
もつ分子を提供することができる。
先に記載した修飾に加えて、一本鎖TMは、定例的なタ
ンパク質精製方法によりそれを含む調製物から2本鎖TM
を除去することにより提供されることができる。
K. ユニークN−末端をもつトロンボモジュリン・アナ
ログの製造 内部のエンドプロテアーゼによる解裂による1以上の
N−末端を示すTMポリペプチド組成物の製造を防止する
先の問題に加えて、生来のトロンボモジュリンは、シグ
ナル配列の不正確なプロセシングによる正常なN−末端
における追加の固有の異質性をもつ。例えば、特にイン
ビボにおける投与についての規制認可のための、タンパ
ク質精製の定義において使用される純度の1つの特徴
は、単一のユニークN−末端配列の検出である。最終製
品の性質に関して可能性のある曖昧さのいずれをも回避
するために、ユニークN−末端プロセシング部位をもつ
TMポリペプチド組成物を製造することができることが、
商業的に、そして他に、有利である。それ故、本ポリペ
プチドのN−末端領域ヲエンコードしているヌクレオチ
ド配列を、その宿主細胞のプロセシング酵素が成熟ポリ
ペプチドの単一N−末端を作り出すであろうように、修
飾することができる。これは、例えば、そのプロセシン
グ部位の中の1つを構成するN−末端の3つのアミノ酸
を欠失させることにより達成されることができ、これ
は、生来のTMのアミノ酸4(Glu)において開始する全
体として機能性のポリペプチドをもたらす。これは、さ
らに、単一の且つユニークなプロセシング後N−末端だ
けをもつポリペプチドを提供する。また、他の単一N−
末端をもつ他の機能的な構造物を、生来のTM N−末端の
さらなる欠失又は他の同質なN−末端プロセシング部位
の置換のいずれかを通して、定例的に、製造することが
できる。
L. ユニークC−末端をもつトロンボモジュリン・アナ
ログの製造 本発明のゴールに従って作られることができるさらな
る修飾は、それがユニーク・カルボキシ末端を示すよう
にTMアナログ組成物を修飾することである。一本鎖物質
の提供は、本明細書中に開示する手順に従って少なくと
も1のC−末端を除去することを確保する。1つの特に
有利な構築物は、分解に耐性なC−末端を提供すること
により、プロテアーゼ又は他の因子、例えば、翻訳後プ
ロセシング酵素若しくはC−末端エクソプロテアーゼに
耐性なTMアナログを提供する。これらのアナログは、そ
のポリペプチドのC−末端アミノ酸をコーディングして
いるDNAを修飾することにより提供される。例えば、本
明細書中に開示するように、生来のTMのアミノ酸497に
おいて終止する機能的アナログのC−末端は、便利に
は、特にプロテアーゼ耐性である−Pro−Pro配列内で終
止するC−末端を提供するために7アミノ酸程短くされ
ることができる。生物学的に活性なTMアナログを提供す
る他のアミノ酸欠失及び置換は、本分野において知られ
た方法の定例的な修飾に従って及び本明細書中に記載す
るように、調製されることができる。
M. トロンボモジュリン・アナログの配合及び使用 本明細書中に記載する可溶性TMアナログは、凍結乾燥
又は液体配合物において製造されることができる。この
物質は、注射可能な又は静脈内の調製物のいずれかとし
て医薬用途に好適な濃度において提供されるであろう。
これらの化合物は、単独であるいは他の生理学的に許
容される活性物質、例えば、抗生物質、他の抗血液凝固
剤、一本鎖t−PA、又は不活性物質との混合物として、
又は好適な担体、例えば、水若しくは正常の生理食塩水
と共に、投与されることができる。このアナログを、非
経口的に、例えば、注射により投与することができる。
注射は、皮下、静脈内又は筋肉内である。これらの化合
物は、医薬として有効な量で、そしてしばしば医薬とし
て許容される塩、例えば、酸添加塩として、投与され
る。このような塩は、例えば、とりわけ、塩化水素塩、
臭化水素塩、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、ベンゾエー
ト、リンゴ酸塩、クエン酸塩、グリシン、グルタメー
ト、及びアスパルテートを含む。例えば、Remington's
Pharmaceutical Sciences(17th ed.),Mack Publishin
g Company,Easton,Pennsylvania,及びGoodman & Gilma
n's,The Pharmacological Basis of Therapeutics,8th
ed.,Pergamon Press,1985(これらの両方を、引用によ
り本明細書中に取り込む。)を参照のこと。本明細書中
に記載するアナログは、ミセル及び/又はリン脂質凝集
体内への取り込みにより増強されたインビボにおける活
性を表すことができる。イオン性洗剤凝集体又はリン脂
質ミセル内への取り込み方法は、公知である。
抗血栓剤は、本明細書中に記載する可溶性TMアナログ
を使用して製造されることができ、そして完全に精製さ
れたアナログ単独で、又は先に記載した血栓溶解剤とに
組み合わせにおいて、成ることができる。先に引用した
生理学的効果をもつことが示された本発明の化合物は、
多数の治療用途、例えば、血塊形成の阻害における使用
を見つけられることができる。したがって、これらの化
合物は、様々な循環失調、例えば、冠状又は肺の塞栓、
鼓動の治療、並びに血栓溶解治療の後の再閉塞の予防に
おける治療剤としの使用を見つけられることができ、そ
してこれらの化合物は、梗塞事件の間の血塊のさらなる
拡大の停止における用途をもつ。さらに、開示する化合
物は、全身性血液凝固失調、例えば、多発性静脈内血液
凝固(DIC)であってしばしば敗血症、特定の眼及び妊
娠中毒症(toxemia of pregnancy)の治療に有用である
ことができる。
これらの化合物は、獣医学的用途のために、哺乳動物
に、例えば、家畜動物に、そして他の治療剤と類似のや
り方で、すなわち、生理学的に許容される担体中で、ヒ
トにおける臨床的使用のために、投与されることができ
る。一般的には、TMアナログのための投与の投与量は、
少なくとも約0.0002、より普通には0.02から、5000未
満、普通には2000、より普通には500μg/宿主の体重kg
までの、普通には、0.02〜2000μg/宿主の体重kg、そし
てより普通には、0.02〜500μg/宿主の体重kgの範囲で
あろう。これらの投与量は、所望の循環レベルが達成さ
れるまで、長い時間にわたり一定注入により、又は好ま
しくは、ボーラス注射により、投与されることができ
る。特定の患者のための最適投与量は、当業者により定
例的に決定されることができる。
さらに詳述することなく、当業者は、先の記載を使用
して、本発明をその最大限まで使用することができる
と、信じられる。それ故、以下の好ましい特定の態様
は、単に例示的であり、そしていかなる方法においても
その開示の残りを限定しないと、考えられるべきであ
る。
先の及び以下の実施例中、全ての温度を、摂氏におい
て補正せずに記し;そして特にことわらないかぎり、全
ての部及びパーセンテージは重量による。
先に及び以下に引用する、全ての出願、特許及び刊行
物の開示の全体を、引用により本明細書中に取り込む。
実施例1:TMアナログ配列の単離及び発現 A. クローニング 組換えトロンボモジュリン・アナログ・ペプチドの製
造のための遺伝子を、1989年4月28日に出願された同時
係属出願米国逐次番号345,372号、1989年9月13日に出
願された米国逐次番号第406,941号、及び1990年2月16
日に出願されたPCT逐次番号第90/00955号(それぞれ
を、引用により本明細書中に取り込む。)中に記載され
るように単離した。簡単に言えば、ヒトDNAを、アミノ
酸227−462に対応するトロンボモジュリンの第6 EGF−
様ドメイン、並びにトロンボモジュリン・ペプチドの他
の部分をエンコードしている遺伝子を単離するために使
用した。(表1を参照のこと。)このDNAを、Blin,N an
d DW Stafford,(1976)Nucleic Acids Res.3:2302に従
って、胎児肝臓から単離した。次に、このDNAを、所望
の領域を含むように選択された合成誘導プライマーとの
ポリメラーゼ連鎖反応におけるテンプレートとして使用
した(表3&4を参照のこと。)。例えば、Innis et a
l.,PCR Protocol,A Guide to Methods and Application
s(1990),Academic Pressを参照のこと。
1. アミノ酸227−462をエンコードしている遺伝子の単
離 以下の段階は、アミノ酸(aa)227−462をエンコード
しているDNA挿入物を得るための手段を提供し、そして
プライマー#1033及び#1034(表3を参照のこと。)を
使用する。他のプライマーを使用することによる以下に
述べる手順を修飾することにより、他の可溶性TMアナロ
グを得ることができるということが、理解されよう。
#1033及び#1034プライマーの配列は、所望のドメイ
ンの5'及び3'末端に対応するが、それらは、それらがBa
mH I部位を含むように修飾されている。終止コドンを、
塩基1586の後に導入した。ポリメラーゼ連鎖反応を、Sa
iki,et al.,(1988)Science 320:1350−1354により記
載されている条件下で走らせた。但し、アニーリングの
最初の温度は37℃であった。10サイクル後、アニーリン
グ温度を残りの30サイクルのために45℃まで上げた。反
応生成物のアリコットを、5%アガロース・ゲル上で分
離し、そして臭化エチジウム染色により可視化した。予
言サイズのバンド(700bp)は、はっきりと見ることが
できた。あるいは、ある者は、その同一性を確認するた
めに、このバンドを配列決定し又は内部プローブとそれ
をハイブリダイズさせることができる。
2. トロンボモジュリンの他の領域をエンコードしてい
る遺伝子の単離 本明細書中に記載するようなポリメラーゼ連鎖反応
を、表4中に列記する領域に対応するトロンボモジュリ
ンの追加の断片を単離するために、それと同一なやり方
で使用した。特に、これらの領域は、1以上のEGF−様
ドメイン及びO−結合糖添加ドメインを包含する。所望
の領域を作るために選ばれたプライマーの配列を表3中
に示す。
3. トロンボモジュリン・アナログ遺伝子を含むプラス
ミドのクローニング 先の(i)に記載したポリメラーゼ連鎖反応混合物の
残りを、BamH Iにより制限酵素処理し、5%ポリアクリ
ルアミド・ゲル上で分離し、そして700塩基対のバンド
を切除し、そして溶出させた。それを、BamH Iにより制
限酵素処理されたpUC19に連結し、そして新たなプラス
ミドを、大腸菌(E.coli)DH5−α株内に形質転換させ
た。組換え体コロニーを、アンピシリン及び5−ブロモ
−4−クロロ−3−インドールイル−β−D−ガラクト
シドを含む培地上で選択した。白色のコロニーを、格子
上に拾い上げ、そしてランダム・プライミングによる32
Pによる標識(Boehringer Mannheim)による標識付けの
前にEcoR I及びHind IIIによりクローニング・プラスミ
ド(pTM2.1)から切り出されたトロンボモジュリンのaa
283−352に対応する合成により得られた遺伝子と、Gru
nstein−Hogness技術により、ハイブリダイズされた。
X−線フィルムにそのフィルターを露出させた後に、
pTM2.1プローブとハイブリダイズした1つのコロニー
を、選択し、そして培養物を増殖させた。DNAを、抽出
し、そして正しい制限マップにより挿入の存在を確認す
るために、BamH I又はBgl IIのいずれかにより制限酵素
処理するおとにより分析した。また、切除された挿入物
を、ニトロセルロースに転移させ、そして標識されたpT
M2.1とのハイブリダイゼーションにより分析した。両方
の方法は、この700塩基対の挿入物がトロンボモジュリ
ンの第6EGF−様ドメインのためのコーディング配列を含
むことを、確かなものとした。この挿入物を、突然変異
がPCR手順の間にうっかりと導入されていないことを確
認するために、配列決定した。所望の遺伝子断片を含む
プラスミドを、pUC19pcrTM7と名付けた。
B. TMの発現 1. AcNPV伝達ベクターの構築 以下に記載する伝達ベクターは、米国逐次番号第07/3
45,372号の継続である同時係属出願米国逐次番号07/81
2,892号中にも記載されている。この伝達ベクターは、
ヒポダーマ・リネアタム(Hypoderma lineatum)からの
ヒポダーミンA(Hypodermin A)のシグナル配列を含
む。
i. pHY1及びpSC716 ヒポダーミンAシグナル配列、翻訳開始コドン、Bgl
IIクローニング部位、BamH I 5'オーバーハング及びKpn
l 3'オーバーハング、COD#1198及びCOD#1199(表2を
参照のこと。)を含むオリゴマーを、アニールし、そし
てpSC654、すなわちpUC19誘導体内にクローン化合物
し、pHY1を作った。プラスミドpHY1を、BamH I及びEcoR
Iにより制限酵素処理し、ヒポダーミンAシグナル配列
を解放した。この配列を、次にpSC714と連結し、ベクタ
ーpSC716を作った。プラスミドpSC714は、Summers,et a
l.,から得られたpVL1393の誘導体である。この2つの間
の差異は、pSC714内でBal II部位の中の1つが破壊され
ているということだけである。
ii. pHY101の構築 pUC19pcrTM7(上記A iiiを参照のこと。)からのBamH
I断片を。pHY1のBal II部位内にクローン化し、そして
その方向を、ヒポダーミンAシグナル配列がアミノ酸22
7に隣接するように選んだ。このプラスミドが、pHY101
である。
iii. AcNPV伝達ベクターpTMHY101の構築 プラスミドHY101を、TMアナログ・コーディング配列
に連結されたヒポダーミンAシグナル配列を解放するBa
mH I/EcoR Iにより処理した。シャトル・ベクターpVL13
93は、部分的に欠失したAcNPV多角体遺伝子及びユニー
クBamH I及びEcoR Iクローニング部位を含む。pHY101か
らのBamH I/EcoR I断片を、この多角体プロモーターの
下流に挿入し、これによりプラスミドpTMHY101を作っ
た。ここでは、ハイブリッド遺伝子が多角体プロモータ
ーの制御下にあった。
iv. 他のACNPV伝達ベクターの構築 他のTMアナログ遺伝子配列を含む伝達ベクターを、先
に概説したものと類似の戦略を使用して構築した。先に
記載したクローニング・プラスミドからの断片を、その
TMアナログ遺伝子配列がヒポダーミンAシグナル配列と
融合さてるように、フレーム内でpSC716内にクローン化
した。このTM遺伝子配列を、表4中に列記する。
V. 純粋なファージ株の製造 細胞トランスフェクションを、Summers and Smithに
従って昆虫細胞のために変更されたリン酸カルシウム沈
降を使用して行った。簡単に言えば、T25フラスコを、2
x106Sf9細胞により接種し、そしてその細胞を、室温に
おいて1時間、付着に供した。2μgの伝達ベクター、
例えば、pTHR28、及び1μgのAcNPV DNAを、リン酸カ
ルシウム中で共沈させ、そしてその細胞と共に4時間イ
ンキュベートした。この細胞を、増殖培地で濯ぎ、そし
て再飼養し、次に、28℃のインキュベーター内に3−4
日間置いた。このインキュベーションの間に、その細胞
は、その増殖培地中に蓄積する、組換え体及び非組換え
体ウイルスの両方を生産する。混合ウイルス株を含むこ
の培地を、プロテインC補因子活性の存在について検定
した。
組換え体ウイルスを、プラーク検定により検出した。
トランスフェクション株を、希釈し(10-4、10-5、及び
10-6)、そしてトランスフェクション4−7日後にプレ
ーティングした。閉塞陰性(組換え体)プラークを、プ
レーティング7日後に拾い上げ、そして再プレーティン
グした(10-1、10-2、及び10-3希釈)。さらに7日後、
このプレートは、100%の純粋な閉塞陰性組換え体プラ
ークを示した。それぞれからの単一pfuを、製造のため
に選んだ。高い力価のウイルス株を、4−5日間増殖さ
せた単一pfuにより5mlのSf9細胞(Excell 400培地(JR
Scientific)中1x106/ml)を感染させることにより、増
殖させた。次に、この株の一部を、タンパク質株を作る
ために対数期中間まで増殖したSf9細胞中に1:50〜1:100
に希釈した。
2. 哺乳類細胞におけるヒトTMアナログの製造 i. TMアナログのための哺乳類発現ベクター 本実施例は、実施例1、Aのアナログ遺伝子を含んで
成る哺乳類発現ベクターを提供する。遺伝子を、ヒト組
織プラスミノーゲン活性物質のシグナル配列に作用可能
な状態で結合することができる(表2を参照のこ
と。)。発現プラスミド、pPA124は、クローン化遺伝子
の発現のためのHarvey Sarcomaウイルス由来のロング・
ターミナル・リピートの3つのコピー内に含まれるプロ
モーターを含む。このプラスミドは、その両方が1988年
9月29日に出願された同時係属中の米国逐次番号第251,
159号(これを、引用により本明細書中に取り込む。)
中に詳細に記載されている、pPA119、及びpSC672から得
られた。SV40ポリアデニレーション領域を含むBal II−
Bcl I断片を、pSC672から単離した。この断片を、Bgl I
I及びBcl Iにより消化されたpPA119内にクローン化し
た。得られたプラスミド、pPA124内では、Bgl II及びBc
l I部位の両方が無傷で残った。プラスミドpPA124は、
適当な制限部位に隣接したt−PAシグナル配列を含み、
そしてこのシグナル配列は、また、ヒトt−PA遺伝子の
第二イントロンを含む。
可溶性TMアナログをエンコードしている遺伝子を、Ba
mH Iによる処理によりpUC19pcrTM7から除去し、そおし
てBgl IIにより処理されたpPA124に連結した。形質転換
細胞を、正しい方向における挿入物の存在についてスク
リーニングした。すなわち、そこでは、t−PAシグナル
配列がオープン・リーディング・フレームをエンコード
しているトロンボモジュリン挿入物の5'末端に結合して
いる。このプラスミド、pTM101を、次に、Cla Iにより
消化し、そしてSV40プロモーターの制御下のdhfr遺伝子
を含むCla I断片に連結した。このCla I断片は、WO88/0
2411のページ26中に記載されている。形質転換細胞を、
このdhfrカセットの存在についてスクリーニングし、そ
して次に、そのプラスミドに関しての方向を、制限マッ
プ作成により決定した(pTM103)。
トロンボモジュリン配列に対し基準外方向にあるdhfr
配列を含むプラスミドpTM103を、Bcl Iにより処理し
た。BamH I断片上にハイグロマイシン耐性を提供する遺
伝子をエンコードしているDNA断片を、このプラスミド
に連結した。クローンを、大腸菌(E.coli)株DH5α内
に形質転換させた後、アンピシリン及びハイグロマイシ
ンBの両方を含むプレート上での増殖のそれらの能力に
より、選択した。そのプラスミドに関してのハイグロマ
イシンB遺伝子の方向を、制限マップ作成により決定し
た。ハイグロマイシンB遺伝子がTM遺伝子と反対の方向
にある1つのプラスミドpTM108を、培養において増殖さ
せた。このプラスミドは、3つのLTRプロモーターの制
御下のTMアナログをエンコードしている配列をもち、ハ
イグロマイシンB耐性を与える遺伝子とそのプラスミド
上に存在するdhfrをエンコードしている遺伝子との両方
をもつ。類似の発現プラスミド、pTHR13も、また、サイ
トメガロウイルス・プロモーターの制御下の第6EGF−様
ドメインをエンコードしている配列に作用可能な状態で
結合されたt−PAシグナル配列を含む。それらのプラス
ミドは、それを、以下に記載する部位指定のインビトロ
における突然変異誘発に有用であるようにする、M13の
複製起点を含む。このトロンボモジュリン配列は、組織
プラスミノーゲン活性物質シグナル配列に結合し、その
分泌を確かなものにする。両方のこれらのプラスミド、
4t/227−462により作られたTMアナログは、t−PAシグ
ナル・ペプチドのプロセシングの結果であるN−末端上
の追加の4アミノ酸をもつトロンボモジュリンの第6EGF
−様ドメインから構成される。
ii. 安定な哺乳類クローンのトランスフェクション、
選択及び増幅 トランスフェクションのために、10μgのpTM108を、
リポフェクション試薬(Bethesda Research Laboratori
es)と混合し、そして6ウェル内の105CHL−1宿主細胞
の単層に添加した。トランスフェクションの48時間後
に、既知数の細胞を、選択培地上にプレートした。ハイ
グロマイシンBに対する耐性を、選択マーカーとして使
用した。バクテリアのハイグロマイシンBによりトラン
スフェクトされたCHL−1細胞は、0.3mg/mlのハイグロ
マイシンB中で生存増殖することができる。
トランスフェクション又は選択頻度は、2/103であ
り、そしてプレートされた細胞の全数により割った選択
後に生じたコロニーの数として測定した。この培養上澄
液は、細胞との接触において24時間後に1.5U/ml TM活性
を含むことが示された。
第一選択条件に対し耐性の細胞の集団を、次に、第二
ラウンドの選択圧に供した。100nM又は500nMのいずれか
のメトトレキサート(MTX)を、dhfr遺伝子を発現した
トランスフェクト体を選択するためにその増殖培地に添
加した。このdhfr遺伝子を増幅したコロニーだけが、こ
の高いレベルのMTX中で増殖することができるであろ
う。遺伝子増幅の工程において、他のプラスミド配列
は、dhfr遺伝子と同時増幅され、そしてそれ故、同様な
非選択性遺伝子の増加した遺伝子発現を導くであろう。
耐性コロニーは、5〜6週間後に明らかであった。MTX
のこれらのレベルに耐性な個々のコロニーを、単離し、
そして検定した。100nM MTX中の選択後の培養物は、プ
ロテインC活性化活性1ml当たり4.9〜14.7Uを作り出す
ことが示された(以下を参照のこと。)。プールした集
団を、MTXの10倍高い濃度中にプレートした(1μM又
は5μM)。クローンをこの選択から再び回収し、そし
て検定した。それぞれの段階において、クローンは、TM
アナログを生産し、そしてその培養基中にそれを分泌す
ることが示された。
C. 部位指定突然変異誘発 生来のトロンボモジュリンの第6EGF−様ドメイン領域
は、2つのメチオニン残基、すなわち、291位における
1及び388位における1をもつ(表1を参照のこ
と。)。部位指定のインビトロにおける突然変異誘発
を、これらのメチオニンのいずれか又は両方を他のアミ
ノ酸に変換するために使用した。部位指定突然変異誘発
は、一本鎖テンプレートDNAのヌクレオチド配列を特異
的に変更するために、所望のヌクレオチドの置換、挿
入、又は欠失を含む合成DNA配列を、使用する。この合
成DNAのテンプレートへのハイブリダイゼーション及び
その後のプライマー伸長は、所望の突然変異を産生する
ための細胞形質転換を可能にする異種2本鎖DNAを作り
出す。この工程を表すダイアグラムは、米国特許出願逐
次番号第07/568,456号の図1中に示されている。
類似の方法を、可能性のあるプロテアーゼ感受性領域
を除去し、糖添加部位を修飾し、そして所望のTMアナロ
グのアミノ酸カルボキシ末端を修飾するために、使用す
ることができる。
一本鎖DNAコピー、pTHR14を作るためのプラスミド
を、Ase I−Sca I断片上に含まれるF1の複製起点を昆虫
細胞伝達ベクター、pTMHY101であって先にNde I及びSca
Iにより消化されているものと連結させることにより、
構築した。プラスミドpTMHY101は、トロンボモジュリン
の第6EGF−様ドメイン、すなわち、アミノ酸227−462に
対応するペプチドを作り出す遺伝子配列を含み、そして
先に記載されている。pTMHY101は、同時係属出願米国逐
次番号第345,372号並びに先のB(1)(iii)中に記載
されている。レクチン・ドメイン、6EGF、及びO−結合
ドメインを含む類似のベクターを、1つの好ましい態様
をエンコードしているpTHR525を突然変異させ、そして
これを構築するために使用した。
特異的な突然変異性オリゴヌクレオチド・プライマー
を、合成し、そしてMUTATOR TM−DNA Polymerase III S
ite−directed Mutagenesis Kit(Catalogue #200500,
Stratagene,La Jolla,CA)と共に使用した。但し、とく
にことわらないかぎり、第二鎖合成をプライムし、そし
て非酸化性アミノ酸に変更されたメチオニンの1又は両
方のいずれかをもつトロンボモジュリン・アナログ遺伝
子を作り出した。好ましいアミノ酸、ロイシン、グルタ
ミン又はアラニンへのプライマー指定変換を、表5中に
示す。これらのプライマー内には、成功した突然変異誘
発についての診断として有用なユニーク制限酵素部位を
添加するが必ずしも対応するアミノ酸配列を変更しない
ヌクレオチド配列内の置換が、含まれる。このヌクレオ
チド置換を、表5中に示すプライマーにおいて下線を引
いた。例えば、プラスミドpTHR28内では、生来のトロン
ボモジュリン・タンパク質内の388位におけるメチオニ
ンがロイシンにより置換され、そしてその工程におい
て、ユニークPvu II部位が導入された。他の置換非酸化
性アミノ酸が本発明の本態様において等しく有用であろ
うことが理解されよう。
精製された一本鎖DNAテンプレートを、Bio−Rad(Mut
a−Gene Phagemid in vitro Mutagenesis,Instruction
Manual,Cat.no.170−3576,page 33−34)により記載さ
れている手順を使用して調製した。但し、本分野におい
て知られた他の手順が等しく好適であろう。
それぞれの突然変異原性プライマーの5'末端を、アニ
ーリング・バッファー(20mM Tris−HCl pH7.5,8mM MgC
l2,及び40mM NaCl)中に、2mM rATP、0.4U/μlポリヌ
クレオチドを含む溶液中で、0.5ng/μlのプライマー
を、37℃において30分間、インキュベートすることによ
り、リン酸化した。この反応を、65℃において15分間そ
の混合物をインキュベートすることにより、熱不活性化
した。リン酸化は、首尾良い突然変異の割合を増加させ
る。このリン酸化プライマーを、25μlのアニーリング
・バッファー中で100ngのテンプレート及び2.5ngのプラ
イマーを65℃まで5分間加熱し、次にその混合物を室温
において10分間冷却及びアニールさせることにより、一
本鎖テンプレートに、アニールした。2本鎖DNAを、Tsu
rushit,N.,et al.,(1988)Gene 62:135−139及びO'Don
nell,M.E.,et al.,(1985)J.Biol.Chem.260:12875−12
883により本質的に記載されているようにプライマー伸
長により行った。簡単に言えば、テンプレート/プライ
マー混合物を、10%アニーリング・バッファー加え80μ
g/mlウシ血清アルブミン、2.5mMジチオトレイトール、
0.25mM混合dNTPs、2mM rATP及び1%グリセロール加え
1μgの一本鎖DNA結合タンパク質により希釈(1:1)し
た。この反応物を、その結合タンパク質が一本鎖DNAテ
ンプレートをコートすることができるように室温におい
て5分間インキュベートした。DNAポリメラーゼIIIホロ
酵素(大腸菌(E.coli)、1.7μlの50U溶液)を添加
し、そしてその反応物を、30℃において10分間インキュ
ベートした。T4 DNAリガーゼを添加し(0.5μl、2 wei
ss units)、そしてその反応物を、さらに30℃において
5分間インキュベートした。この混合物を、大腸菌を形
質転換するために使用し、そして適当に突然変異したク
ローンを制限消化パターンにより選択した。
これと同一の方法を、例えば、一本鎖DNAテンプレー
トを作るためのM13複製起点をもつpTR13(先に記載し
た)を使用して哺乳類細胞内で発現されることができる
突然変異体を作るために、使用することができる。
D. 組換え体タンパク質の製造及び精製 T25フラスコを、5ml TMN−FH培地加え10%EBS又はExc
ell 400中のSf9細胞を2x106の密度において接種し、次
に先のパートB又はCからの単離組換え体プラークによ
り感染させた。ウイルス株を、3日後に回収した、フラ
スコ(30−100ml振とうフラスコ又は100−300ml回転フ
ラスコ)を、細胞(1−1.8x106/ml)により接種し、そ
して最終容量の1/50〜1/100に等しいウイルス株のアリ
コットにより感染させた。この感染細胞培養物を、組換
え体酸化耐性TMアナログ・タンパク質を含むならし培地
を収穫する前に4日間増殖させた。
TMアナログを、細胞死骸の除去、その後の5つのクロ
マトグラフィー段階:1)Q Sepharose、2)トロンビン
・アフィニティー、3)ゲル濾過、4)アニオン交換、
及び5)第二ゲル濾過段階により、ならし培地から精製
した。このゲル濾過段階は、バッファーの交換を行う。
すべてのクロマトグラフィーを4℃において行った。
1. 材料 クロマトグラフィー樹脂の幾つかを、商業源から購入
した。Q Sepharose及びSephadex G25を、Sigma(St.Lou
is,MO)から、Mono Q 5/5 をPharmacia LKB(Piscataw
ay,NJ)から購入した。
DFP−トロンビン・アガロースを、だいたい以下のよ
うに調製した:100mlの20mMリン酸Na、pH7.5中の360mgの
ウシ・トロンビンを100mlの50%Affigel 10樹脂スラリ
ーに添加し、そして4℃において一夜混合した。このAf
figel 10を、製造者により記載されたようなに使用のた
めに調製し、そして充填バッファーにより平衡化した。
残りの活性エステルを、100mlの0.1Mグリシン・メチル
エステル(pH5.6)の添加により、1時間、4℃におい
てブロックした。次に、このゲルを、30mM Tris−HCl、
2M NaCl、pH7.5により平衡化し、そして20μlのDFPを
添加し、約1mM DFPの最終濃度を与えた。4℃において1
6時間混合した後、さらに6μlのDFPを添加し、そして
さらに4時間混合を続けた。この樹脂を次に20mM Tris
−HCl、2M NaCl pH7.5により洗浄し、4℃において保管
した。
トロンビン活性は、Kabi S−2238基質を使用して測定
され、そして〉86%のトロンビンがその溶液から除去さ
れ、そしておそらくその樹脂に結合し、樹脂1ml当たり
約6mgのトロンビンの最終濃度を与えることを示した。
このDFP処理樹脂の酵素活性は、出発活性の〈1%であ
った。
2. 純粋なTMEアナログ・ペプチドの製造 ならし培地を収穫し、そして1400xgにおいて10分間遠
心分離により清澄化した。このpHを氷酢酸により約6.0
から約5.2まで調整した。次にこの調整培地を、Q Sepha
rose樹脂のカラム上に供給した。このカラムは、前もっ
て洗浄バッファー1(117mM酢酸Na、0.02%NaN3pH5.0)
の約4カラム容量により平衡化してあった。供給後、こ
のカラムを、洗浄バッファー1その後洗浄バッファー2
(25mM酢酸Na、0.1M NaCl pH5.0)により洗浄し、次に
酸化耐性TMアナログを、0.3M NaClを含む洗浄バッファ
ー2、pH5.0により溶出させた。
プロテインC活性化検定(上記参照)において測定さ
れるような活性を含むカラム画分をプールし、次に0.3M
NaCl、20mM Tris−HCl、0.5mM CaCl2、0.02%NaN3、pH
7.5により希釈した。この希釈物のpHを測定し、そしてN
aOHにより約7.5に調整した。このプールのイオン強度
は、ほとんど0.3M NaClの溶液のイオン強度であった。
この調整プールを、ならし培地を希釈するために使用し
たものと同一のバッファーにより前平衡化されたトロン
ビン・アガロース・カラム上に重力により一夜供給し
た。このカラムを希釈バッファーにより洗浄し、そして
TMアナログを2.0M NaCl、20mM Tris−HCl、1mM NaEDT
A、0.02%NaN3、pH7.5によりそのマトリックスから除去
した。
実質的に純粋なTMアナログを、Sephadex G25カラムに
適用し、そして0.2%N−エチルモルフォリン・アセテ
ート(NEM)pH7.0中に回収した。この段階をNaClを除去
する。
Sephadex G25カラムから回収されたTMアナログを、0.
2%N−エチルモルフォリン(NEM)pH7.0により前平衡
化されたMono Qカラム(Pharmacia、10ミクロン粒子、
第四アミン)に適用した。このバッファーにより洗浄し
た後、様々な形態を0〜0.4M NaClのグラジエントを使
用して分離した。それぞれの画分のサンプルを、非還元
条件下SDS−PAGE上で評価した。SDS Polyacrylamide Ge
l Electrophoresisを、スタッキング・ゲル内における
3.3%アクリルアミド及びランニング・ゲル内における1
2.5%アクリルアミドを使用してLaemmliの方法により行
った。非還元サンプルを、Laemmliサンプル可溶化バッ
ファー(50mM Tris−HCl、pH6.8、25%グリセロール、
2%SDS、及び0.01%ブロモフェノール・ブルー)中で
希釈した。PharmaciaLMW Calibration Kitタンパク質標
準を、MWマーカーとして使用し、そしてそのゲルを銀染
色した。幾つかの画分において、たった1つの主要なバ
ンドが銀染色により可視化される。
類似の易動度をもつペプチドを含む画分をプールし、
そして次に全タンパク質含量について及び以下に記載す
るようなプロテインC活性化検定における活性について
検定した。
E. トロンボモジュリン・アナログについての検定 1. 材料 ウサギ・トロンボモジュリン、ヒルジン及びヒト・プ
ロテインCを、Integrated Genentics又はAmerican Dia
gnosticaから得た。ヒト・トロンビンは、様々な非商業
的及び商業的な源から入手可能である。アフィニティー
・クロマトグラフィーのためのウシ・トロンビンを、Mi
les Labs,Dallas,Texasから購入した。D−バリール−
L−ロイシン−L−アルギニン−p−ニトロアニリド
(S−2266)及びD−Phe−Pip−Arg−p−ニトロアニ
リド(S−2238)をKabi Vitrumから購入した。
ウシ血清アルブミン(画分V)、クエン酸化ヒト血
漿、及びAPTT試薬を、Sigma Chemicalsから購入した。
マイクロタイター・プレートは、Dynatech(#25861−9
6)により供給された。他の試薬のすべては、入手可能
な最も高いグレードを有していた。
2. 方法及び結果 i. プロテインC活性化検定(発色) 本検定を、マイクロタイター・プレート内で20μl以
下のそれぞれのタンパク質を混合することにより行っ
た:トロンボモジュリン・サンプル(未知又は標準)、
トロンビン(3nM)、及びプロテインC(1.5μM)。そ
れぞれのタンパク質についての検定希釈物は、20mM Tri
s−HCl、0.1M NaCl、2.5mM CaCl2、5mg/ml BSA、pH7.4
であった。このウェルを37℃において2時間までインキ
ュベートし、その後、プロテインC活性化を、検定希釈
物中の20μlのヒルジン(0.16ユニット/μl、570n
M)の添加及びさらなる10分間のインキュベーションに
より、終了させた。
形成された活性化プロテインCの量を、100μlの1.0
mM S−2266(検定希釈物中)の添加、及び37℃における
プレートのインキュベート継続により検出した。それぞ
れのウェル内の405nmにおける吸光度をMolecular Devic
esプレート・リーダーを使用して15分間にわたり10秒間
毎に読んだ。吸光度データを保存し、そしてそれぞれの
ウェルにおける1分間当たりの吸光度における変化(傾
き)を計算した。1分間当たりの吸光度における変化
は、活性化プロテインCのpモル/mlに正比例する。
この比を、全体として活性化されたプロテインCの変
化した濃度を経験的に使用して、測定した。十分に活性
化されたプロテインCを含むサンプルを0〜1.5μMに
おいてプロテインCを60nMウサギTM及び30nMトロンビン
と混合し、0〜4時間インキュベートし、ヒルジンを添
加し、そして上記の如くS2266活性を測定することによ
り、作った。プロテインCが十分に活性化されていると
ころの条件を、S2266活性(A405/分)がプラトーに達す
るところの時間として定義した。
活性のユニットは、先に定義した試薬条件下でml/分
当たりに生じる1モルの活性化プロテインCとして定義
される。あるいは、活性値は、生来の洗剤可溶化ウサギ
・トロンボモジュリン又は他のトロンボモジュリン標準
と比較して報告される。
ii. オキシダントへ晒した後のプロテインC補因子活
性 クロラミン−T(N−クロロ−p−トルエンスルホン
アミド・ナトリウム塩、Sigma)を、オキシダントに対
する突然変異TMアナログ・ペプチドの耐性を特異的にテ
ストするために使用した。突然変異体TM遺伝子配列又は
pTMHY101(野性型、aa 227−462)によりエンコードさ
れているペプチドを含むトランスフェクション培養上澄
液(1ml)を、NAP−10カラム(LKB/Pharmacia)上の1.5
mlの0.2%N−エチルモルフォリン(NEM)、pH7.0、0.0
08%Tween 80中で脱塩し、そして次に凍結乾燥し、そし
て100μlの上記バッファー中で再懸濁させた。このサ
ンプルを、等しく分割し、そして5μlの水(対照)又
は5μlの0.1Mクロラミン−T(最終濃度=9.1mM)の
いずれかを添加した。このサンプルを、室温において20
分間インキュベートし、次に、オキシダントのいずれを
も除去するためにNAP−5カラム上を通過させた。使用
した脱塩バッファーは、プロテインC検定希釈剤であっ
た。突然変異体ペプチドは、クロラミン−Tに晒された
後その活性の全てを保持し、一方、野性型ペプチドは、
実質的に不活性化された。
iii. 活性化部分的トロンボプラスチン時間(APTT)の
阻害 クエン酸化血漿からの血塊の形成は、エラグ酸中の脳
ケファリン("ATPP試薬”)、及びカルシウム・イオン
の添加により、引き金を引かれる。血塊が形成するのに
必要な時間は、再現性があり。そしてトロンボモジュリ
ンの添加により正比例して増加する。このAPTTのための
試薬を、混合前37℃においてインキュベートする。但
し、クエン酸化血漿を4℃において維持する。
反応を以下のように行った:100μlのSigma Citrated
Plasmaを、プラスチック・キュベット(Sarstedt #6
7.742)に添加し、37℃において1分間インキュベート
し;100μlのSigma APTT試薬を添加し、そしてその混合
物を37℃において2分間インキュベートし;100μlのテ
スト・サンプル(又は対照バッファー)及び100μlの2
5mM CaCl2を添加し、そしてそのキュベットを、読みの
間37℃においてそのキュベットを維持するためにHaake
KT2循環水浴を備えたHewlett−Packard 8451A分光光度
計内に直ちに置いた。320nmにおける光散乱による吸光
度をCaCl2の添加から計測した15から120秒間まで、0.5
秒間毎に測定した。吸光度対時間のプロットは、その傾
きが最も急になる時間として定義した血塊化時間がその
曲線の変曲点と一致しながらシグモイド曲線を作り出し
た。
生体外(ex vivo)にけるAPTT検定を先に記載したよ
うなやり方で行った。但し、インビボにおける実験にお
いて使用した動物からのクエン酸化血漿を、商業的に得
られるクエン酸化血漿の代わりに使用した。
あるいは、APC又はTCTを記載するように行うことがで
きる。
iv. トロンビン血塊化時間(TCT)及びプロトロンビン
反応(PT)の阻害 PCT及びTCTの両方を、Hewlett−Packard 8452Aダイオ
ード−アレイ(diode−array)分光光度又はAPTTのため
に使用された等価物を使用して測定する。PT反応のため
に、90μlの、TMアナログ6h/227−462又はPBSのいずれ
かをキュベット内の20μlのトロンボプラスチン及び90
μlの25mM CaCl2に添加した。この混合物を、37℃にお
いて1分間インキュベートし、次に100μlのクエン酸
化血漿を添加した。キュベットを分光光度計内に装填し
た後、320nmにおける光散乱による吸光度を、血漿の添
加から計測した15から120秒間まで、0.5秒間毎に測定し
た。吸光度対時間のプロットは、その傾きが最も急にな
る時間として定義した血塊化時間がその曲線の変曲点と
一致しながらシグモイド曲線を作り出した。TCTを、上
記と同じやり方で評価した。最初の反応混合物は、100
μlのクエン酸化血漿、25μlの100mM CaCl2及び162.5
μlのPBS及びTMアナログのいずれかを含む。1分後、1
2.5μlのトロンビンを添加する。この血塊化時間を先
に記載したように測定する。
v. 直接的抗血液凝固活性−フィブリノーゲンからフィ
ブリンへのトロンビン触媒変換の阻害 トロンビン及び変化量のTMアナログ6h/227−462を、
マイクロタイター・プレート・ウェル内で37℃において
2分間インキュベートした。開始反応容量の全体は、50
μl PBS加えて7.5mM CaCl2、及び90nMトロンビンであっ
た。最初のインキュベーションの後、100μlの3.75mg/
mlのヒト・フィブリノーゲンをウェル毎に添加し、そし
てフィブリンのトロンビン誘導形成を、Molecular Devi
ces Vmax分光光度計(Molecular Devices,Menlo Park,C
A)内で405nmでの吸光度における変化を測定することに
より追跡した。この検定の終点は、最終的な吸光度の50
%が達成されるところの時間であった。残りのトロンビ
ン活性を、トロンビン濃度の逆数と血塊化時間とを線型
に関係付けるトロンビンの標準曲線を参照することによ
り測定した。洗剤可溶化生来ウサギ・トロンボモジュリ
ン及びプロテインC補因子活性により測定されるような
等しい活性を示すTMアナログ6h/227−462の量を、直接
的抗血液凝固活性検定において比較するとき、TMアナロ
グは、フィブリノーゲンのフィブリンへのトロンビン−
仲介変換を阻害するかなり減少された能力(約1/10)を
示す。
vi. 血小板活性化及び凝集の阻害 血小板のトロンビン活性化の対するTMアナログ6h/227
−462の効果を、Esmon,et al.,(1983)J.Biol.Chem.25
8:12238−12242の方法によりテストした。この検定を使
用して評価するとき、TMアナログ6h/227−462は、血小
板のトロンビン−仲介の活性化及び凝集を有意に阻害し
なかった。
viii. TM抗血栓活性の追加の測定 1)トロンビンにより因子Vの活性化のTMアナログ阻害
を、Esmon,et al.,J.Biol.Chem.,(1982),257:7944−7
947により記載されている方法により測定する。
2)アンチトロンビンIII及びヘパリン補因子IIによるT
Mアナログ・トロンビン複合体の阻害を、Jakubowski et
al.(1986),前記により記載されるように測定する。
3)トロンビンによるプロテインSの不活性化のTMアナ
ログ阻害を、Thompson & Salem,J.Clin.Invest.(198
6)78(1):13−17により記載されている方法により測
定する。
4)因子XIIIのトロンビン−仲介活性化の阻害を、Polg
ar,et al.,(1987)Thromb.Haemostas.58:140の方法に
より測定する。
実施例2:深部静脈血栓のげっ歯類モデルにおけるTMアナ
ログのインビボにおける活性 血栓の形成を排除するTMアナログの能力を、ラットに
おける修飾した血行停止/内皮損傷−誘導静脈血栓モデ
ルにおいて評価した(Maggi,A.et al.,(1987)Haemost
asis 17:329−335又はPescador,R.et al.,(1989)Thro
mbosis Reseach 53:197−201を参照のこと。)。麻酔し
た雄のSprague Dawleyラット(450グラム)の大静脈(v
ena cava)を外科手術により単離し、次にその動物を、
トロンボモジュリン・アナログ(生来のトロンボモジュ
リンの第6EGF−様ドメインを含む6h/227−462)、標準
的なヘパリン又は対照としての正常な生理食塩水(0.1m
l/ラット)をその大腿動脈中にボーラス注射することに
より処理した。ヘパリンの投与量は、45ユニット/ラッ
トであった。トロンボモジュリン・アナログの投与量
は、100、10、1、0.1又は0.01μg/ラットであった。注
射2分後に、下大静脈を、左の腎静脈において連結し、
血行停止を誘導し、そして血管内皮を、ピンセットによ
り優しくはさむことにより損傷を与えた。10分後、大静
脈を切除し、そして血栓の存在について検査し、存在す
る場合には、取り出し、そして計量した。すべての場合
において、100、10、又は1μg/ラットにおいてヘパリ
ン又はトロンボモジュリン・アナログ(6h/227−462)
により処理された動物は、血栓形成の証拠を全くしめさ
なかったが、一方、生理食塩水処理された動物及び最も
低い投与量のトロンボモジュリン・アナログ(0.01μ
g)を受けたものは、14.9mg/血栓の平均重量をもつ血
栓をもっていた。0.1μgのトロンボモジュリン・アナ
ログにより処理されたラットは、取り出し且つ計量され
る程十分に多くない微量の血栓を示した。
本研究において使用した投与量レンジは、1μg/mlの
トロンボモジュリン・アナログがAPTTを延長する程十分
ではないが10μg/mlの添加がかなりの延長をもたらすよ
うなインビトロにおけるAPTT検定に基づいて選ばれた。
処理されたラットのそれぞれから取り出された血漿サン
プルに対して行われたAPTT検定の結果は、TMアナログ処
理及び対照のラットにおける延長(100μg TMアナログ
=45秒間、他のすべての投与量のTMアナログ及び生理食
塩水対照=30−35秒間)を、全く示さなかった。しかし
ながら、ヘパリン処理ラットにおけるAPTTは、かなり延
長された(100秒間)。
この実験系は、血管損傷及び減少された血流を特徴と
するヒトにおける深部静脈血栓のための直接的に比較可
能なモデルである。先に記載した結果は、プロテインC
のトロンビン−仲介活性化の補因子として作用すること
ができるTMアナログの非常に低い投与量が、未だ、血栓
形成の防止において有効なフィブリンへのフィブリノー
ゲンのトロンビン−仲介変換を阻害するための実質的に
減少れた能力をもつということを、証明している。その
うえ、生体外において測定されたAPTTにおける延長の非
存在は、このTMアナログが血液凝固パラメーターに対す
る全身的な効果を全くもっておらず、そしてそれ故に、
不安全な出血副作用を促進しないであろうということを
示している。
実施例3:静脈及び動脈の両方の血栓の霊長類モデルにお
けるTMアナログのインビボにおける活性 トロンボモジュリン・アナログの抗血栓の性質を、Ha
nson S.R.and Harker,L.A.(1987)Thrombosis and Hae
mostasis 58:801−805中に記載されているような、Cadr
oy,Y.et al.,(1989)Journal of Laboratory and Clin
ical Medicine 113:436−448の方法の僅かな修正を使用
してヒヒにおける動脈と静脈とのシャント(arterioven
ous shunt)モデルにおいて評価した。このモデルは、
ヒヒとヒトとの間の止血の類似性のため及び動脈と静脈
とのシャントが動脈型と静脈型血栓との両方についての
モデルとして役立つために、選ばれた。
ダクロン・チュービング(直径3.2mm)の片その後テ
フロン・チャンバー(直径9.3mm)により修飾されたシ
ラスチック・チュービング・シャントを、血液がそのシ
ャントを通って動脈から流れ出し、そして大腿静脈を介
してヒヒに戻るように、ヒヒの大腿静脈中に、挿入した
(米国特許出願逐次番号第07/568,456号の図2を参照の
こと。)。ダクロン・チュービングは、天然の血液凝固
過程、及び特に移植片表面上の血小板の沈着を刺激する
血栓形成表面を提供し、そして動脈の、すなわち、血小
板の豊富な、フィブリンにより一緒に取り込まれた血栓
の生成についてのモデルとして役立つ。上記チャンバー
は、血液の流の速度が減少される場合に、静脈内に見ら
れるものと類似の血行停止状態を作り出し、そして特
に、静脈弁の周りの領域を真似て、それ故、深部静脈血
栓をもたらすものと類似の流れ条件のモデルを作ってい
る。このチャンバー内で形成された血栓は、静脈型で、
フィブリン豊富な血栓である。また、静脈型血栓は、血
小板を含むが、動脈型血栓よりも少ない。ダルコン移植
片又はチャンバーのいずれかの内の血栓形成は、血小板
沈着及びフィブリン付着成長(accretion)の両方を測
定することにより評価される。血小板沈着を、ヒヒから
血小板を取り出し、Cadroy,Y.,et al.,(1989)Journal
of Clinical and Laboratory Medicine 113(4):436
−448の方法を使用してその血小板を111インジウム−オ
キシンにより放射標識し、そして次にそれらをその動物
に戻すことにより、測定する。シンチレーション・カメ
ラ、例えば、Picker DC 4/11 Dynaシンチレーション・
カメラ(Picker Corp.,Northford,Conn.)を、Cadroy,
Y.,et al.,前記中に記載されているような血栓の一部と
して沈着している血小板からの放射能の量を直接に測定
するためにその移植片の上に置いた。血栓形成の第二の
測定として、5μCi投与量の125I−標識されたヒヒ・フ
ィブリノーゲンを、上記シャントの挿入に先立って静脈
内に与える。この実験の終わりに、そのシャントを取り
外し、洗浄し、そして111インジウム放射能(半減期、
2.8日間)を壊変させるために30日間保管する。111イン
ジウムは125インジウムよりもかなり速く壊変するた
め、そのシャント内に残る検出可能な放射能は、血栓の
一部として沈着したフィブリンの量を表している。全フ
ィブリン沈着を、TCT検定により測定されるようなヒヒ
血液中に存在する血塊化可能なフィブリノーゲンの量に
より、沈着した1分間当たりの上記カウントを割ること
により、計算する。このシリーズ内の第一シャントは、
第二シャントの対照として役立つ。
シリーズ内の2つのシャントを、ヒヒに挿入し、そし
てTMアナログ(6h/227−462、表4を参照のこと。)
を、1時間にわたり7又は8mg/時間の速度においてその
2つのシャントの間の点において注入した。米国特許出
願逐次番号第07/568,456号の図3中に見られることがで
きるように、血小板は、対照シャント内の上記チャンバ
ーとダルコン移植片との両方の内に沈着したが、血小板
の沈着は、TMアナログの第二シャント中への注入の後に
かなり減少された。
これらの実験は、トロンビン−仲介のプロテインC活
性化のための補因子として作用する能力をもち、そして
フィブリノーゲンのフィブリンへのトロンビン−仲介変
換並びに血小板のトロンビン−仲介活性化及び凝集を阻
害するかなり減少された能力をもつTMアナログが、イン
ビボ・モデルにおける動脈型又は静脈型のいずれかの血
栓の形成を、防止することができるということを、証明
している。このようなTMアナログは、それ故、動脈に又
は静脈に局在するかにかかわらず、いかなる血栓疾患の
医薬治療に有用であろう。
実施例4:インビボにおける循環半減期 幾つかのTMアナログの循環半減期を、Bakhit,C.,et a
l.,(1988)Fibrinolysis 2:31−36の手順の修正を使用
して評価した。トロンボモジュリン・アナログを、Spen
cer,S.A.,et al.,(1988)J.Biol.Chem.263:7862−7867
のラクトペルオキシダーゼ法に従って125ヨウ素により
放射標識した。約100,000cpm量の標識アナログを、麻酔
したマウスの大腿静脈中に注射し、そして少量のサンプ
ルを、選ばれた時間間隔において回収した。循環中に存
在する放射標識されたトロンボモジュリン・アナログの
量に対応して、それぞれのサンプル中に存在する放射能
のレベルを、ガンマ・カウンター(Backman)内での計
数により測定し、そしてその循環中の放射能の量をその
元の値の1/2まで減少させるのに必要な時間を測定し
た。また、これらは、APC検定及びELISA測定に基くこと
ができる。
3つのトロンボモジュリン・アナログを、上記の方法
を使用して評価した:6h/227−462(上記を参照のこ
と。)、6h/227−462であって炭水化物の幾つか又は全
部を除去するためにフッ化水素酸(HF)により前処理さ
れたもの、及び4t/227−462(表4及び実施例1.B.2を参
照のこと。)。この処理を、Mort,A.J.and Lamport,T.
A.(1977)Analytical Biochemistry 82:289−309の方
法に従って行った。簡単に言えば、0.8mgのTMアナログ
(6h/227−462)を、1mlアニソール+10ml HF(濃)中
で、0℃において1時間、真空下でインキュベートし
た。この時間の後、揮発性液体を蒸発させ、そしてその
タンパク質残渣を、2回の、0.1M酢酸の3ml洗浄その後
の2回の50%酢酸の3ml洗浄によりその反応チャンバー
から濯いだ。この合わせた洗浄液を、残ったアニソール
のいずれをも除去するために2mlのエチルエーテルによ
り抽出した。水相を含むペプチドを、PD10カラム上で脱
塩し、タンパク質の92%を、その出発物質から回収し
た。
表6中の結果から見られるように、糖添加を修飾する
ためにTMアナログを処理することは、その循環半減期を
かなり変更することができる。これは、炭水化物を除去
するか又は異なる細胞型内での発現によりその組成を変
更させるかのいずれかにより、行われることができる。
実施例5:CHO細胞内での組換え体トロンボモジュリン遺
伝子の発現 細胞系CHODXB11を、Columbia UniversityのLarry Cha
sinから得た。細胞を、9%ウシ胎児血清(FBS)及びゲ
ンタマイシンを補ったHAM's F−12完全培地(GIBCO)中
で増殖させた。
A. トランスフェクション 細胞、1x105を、トランスフェクションの1日前に100
mmペトリ皿内にプレートした。可溶性TMアナログをエン
コードしているプラスミドpTHR525を、以下の実施例9
中に記載するように調製した。この遺伝子を、以下の修
飾をもつトロンボモジュリンのアナログをエンコードす
るために構築した:δ3(天然のアミノ末端から3アミ
ノ酸を切り詰められたもの)、Met388Leu(ロイシンに
よる位置番号388におけるメチオニンの置換)、Arg456G
ly(グリシンによる位置456におけるアルギニンの置
換)、His457Gln(グルタミンによる位置457におけるヒ
スチジンの置換)、Ser474Ala(アラニンによる位置474
におけるセリンの置換)、及びδ7(497における可溶
性TMのカルボキシ末端からの7アミノ酸を切り詰められ
たもの、すねわち、このアナログは、アミノ酸490にお
いて終わる。)。それぞれの皿について、トランスフェ
クトされるべきpTHR525 DNA(メルカプトエタノール
(1:1000希釈)による補われた100μlのOpti−MEM(BR
L)中で溶解された20μg)を、リポフェクチン(CalBi
ochem,100μlのOpti−MEM中の60μg)の溶液と共に混
合した。この混合物を、室温において15分間放置した。
DNA混合物の添加に先立ち、細胞を、Opti−NEMにより2
回洗浄し、そして3mlのOpti−NEMをそれぞれの皿内にプ
レートした。このDNA及びリポフェクチン混合物を、そ
のプレートされた細胞に添加し、そして一夜インキュベ
ートした。次にこの培地を、HAM's F−12選択培地(w/o
グリシン、ヒポキサンチン、及びチミジン)に変更し、
そしてその細胞を、一夜回収に供した。次に、この培地
を、ハイグロマイシンを含むHAM's F−12完全培地(150
μg/ml,CalBiochem)に変更し、そしてその細胞を、こ
の培地中で3日間維持した。この時の終わりに、9%透
析FBS及びゲンタマイシンを補ったHAM's F−12選択培地
(グリシン、ヒポキサンチン、及びチミジンを含まない
もの)に変更した。クローンを、生じさせ(約7〜10日
間)、そしてその混合集団を、APC及びELISA検定により
検定した。この細胞集団を、製造目的のために培養フラ
スコ(225cm2)内で増加させた。
B. 製造:(1L回転培養x2) 培養を、3g Cytodex 3微小担体ビーズ(Pharmaci
a)、5%FBSを補った500ml HAM's F−12完全培地、及
び8.4x107全細胞により開始した。後日、培地をその容
量を1Lにもっていくまで添加した。上澄を約6週間にわ
たり1日おきに収穫した。450mlを最初の2回、そして1
500mlをその後の全ての機会に収穫した。全収穫物は、1
1.35Lであり、そして4.14x106Uを含んでいた。
実施例6:培養上澄液からのTMアナログの精製 A. TMLEO(CHO)の精製 CHO細胞発現され、そして分泌されたコンドロイチン
を含み又は硫酸塩を含まないTMLEO(CHO)アナログを含
む培地を、0.01%Tween 80まで調製し、濾過し(1.2μM
Serum Capsule #12168及び0.2μM Culture Capsule
#12140,Gelman Sciences,Ann Arbor,MI)、100ml Q−S
epharoseカラム上に供給し、50mM Tris−HCl pH7.8,0.2
M NaCl,0.1mM EDTA,0.01%Tween 80により洗浄し、そし
て同一バッファー中のNaClグラジエント(0.2〜2M)に
より溶出させた。ピークA(硫酸コンドロイチンを含ま
ないTM)及びピークB(硫酸コンドロイチンを含む)
を、0.3M NaCl,20mM Tris−HCl,0.5mM CaCl2 EDTA,0.02
%NaN3,pH7.5まで希釈した。トロンビン・アフィニティ
ー・クロマトグラフィー段階を、本質的に先に記載した
ように行い、そしてそのサンプルを脱塩する。活性画分
をプールした。
B. TME(Sf9)の精製 これらの生成物を、先に記載したように又は以下のよ
うに単離することができる: すべての手順を4℃において行った。濾過した昆虫細
胞収穫物を、水により1:1に希釈し、酢酸によりpH5.2ま
で滴定し、そしてQ−Sepharose高速樹脂(25mM酢酸N
a、pH5、0.1M NaCl、0.02%NaN3)上に供給した。活性
画分を、同一バッファー中の0.3M NaClにより溶出さ
せ、プールし、0.3M NaCl,20mM Tris−HCl,0.5mM CaC
l2,0.02%NaN3まで希釈し、pH7.5に調整し(NaOH)、12
0ml DFP−不活性化トロンビンAffigel−10樹脂(上記)
上に供給し、そして2M NaCl,20mM Tris−HCl,1mM Na2 E
DTA,0.02%NaN3,pH7.5により溶出させた。活性画分をプ
ールし、脱塩し、そしてSephadex G−25カラム上で0.2
%NEM−Ac,pH7にバッファー交換し、Mono−Q HR10/10カ
ラム(Pharmacia)上に供給し、そして同一バッファー
中の0と1Mとの間のNaClでグラジエント溶出させた。高
い比活性画分(APC検定)をプールし、Sephadex G−25
上でPBS又は0.2%NEM−Ac,pH7中に脱塩し、そして冷凍
又は凍結乾燥保存した。
C. CHL1細胞内での可溶性TMLEO発現 野性型並びにTM、アミノ酸1〜497、及び完全長TM、
アミノ酸1〜557のM388L突然変異体形態の両方をコーデ
ィングしているDNAを、Invitrogen,San Diego,Californ
iaから得られた哺乳類発現ベクターpRc/CMVを使用してC
os 7及びCHL1内で発現させた。過渡的発現のために、完
全長TMを発現しているCos 7細胞を、トランスフェクシ
ョンの48〜72時間後に収穫した。CHL1細胞は、ヒト・メ
ラノーマ細胞系であり、ATCCから入手可能である。
D. TMLEO(CHL1)の精製 CHL1細胞により発現及び分泌された硫酸コンドロイチ
ンを含むTMLEO(CHL1)アナログを含む培地を、Tween 8
0において0.01%とし、濾過し(1.2μM Serum Capsule
#12168及び0.2μM Culture Capsule #12140,Gelman S
ciences,Ann Arbor,MI)、100ml Q−Sepharoseカラム上
に供給し、50mM Tris−HCl pH7.8,0.2M NaCl,0.1mM EDT
A,0.01%Tween 80により洗浄し、そして同一バッファー
中のNaClグラジエント(0.2〜2M)により溶出させた(A
PC検定により1M付近のNaClを溶出する)。この溶出液
を、H2Oにより3倍に希釈し、第二5ml Q−Sepharoseカ
ラム上に供給し、0.001%Tween 80及び0.7M NaClを含む
ことを除き上記と同一なバッファーにより洗浄し、そし
て第二の浅いグラジエント(30カラム容量;0.7〜1.6M N
aCl)により溶出させた。少量(〈500μg)を、PBS中
のSuperrose6(Pharmacia)上の分子排除クロマトグラ
フィーにより、さらに精製した。
E. アニオン交換クロマトグラフィー 先に記載したように、1以上のTMEアナログを、非還
元条件下でSDS−PAGEゲル上で走らせたSf9細胞からのト
ロンビン−アフィニティー精製材料中で検出する。方法
を、これらの変異体を分割するために開発した。TME(S
f9)アナログ6h/227−462、すなわち、先に記載したよ
うなSephadex G25カラムから回収したTME(Sf9)を、0.
2%N−エチルモルフォリン(NEM)pH7.0により前平衡
化したMono Qカラム(Pharmacia,10ミクロン粒子、第四
アミン)に適用した。このバッファーにより洗浄した
後、様々な形態を、0〜0.4M NaClのグラジエントを使
用して分離した。溶出及び活性プロフィールを、図1中
に示す。それぞれの画分からのサンプルを、非還元条件
下でSDS−PAGEゲル上で評価した。僅かに異なる易動性
をもつ3つの別個のバンドを、その染色ゲル上に見るこ
とができた。類似の易動性をもつペプチドを含む画分を
プールし(A=画分32−35、B=画分40−44、C=画分
70−71)、そして次に全タンパク質含量について及びプ
ロテインC活性化検定における活性について検定した。
比活性を、以下の表中に列記する。不活性ペプチドは、
その画分のいずれにおいても全く検出されなかった。 テスト材料 比活性(U/mg) Mono Q供給物 166,000±12,000 画分32−35(A) 416,000±19,000 画分40−44(B) 262,000±4,000 画分70−71(C) 67,600±5,000 B. SDS−PAGE分析 Mono−Qカラム上で精製したTME(Sf9)のそれぞれの
画分又は他のそれぞれの画分を、以下のようにSDS−PAG
Eにより分析した:4.5μlの画分を、還元剤を含まない4
x濃縮SDS−PAGEサンプル・バッファーと共に混合し、約
10〜15分間、約90℃において加熱し、そして提供された
櫛及びプロトコールを使用してPharmaciaからの8−25
%アクロルアミドPhastゲル上に供給した。このゲル
を、製造者により提案されたプロトコールを使用してPh
astゲル系上で走らせた。このゲルは、ピークと肩であ
って、それぞれPoolとBと作るためにプールされたもの
を横切る画分を示している(図2)。略号は、以下の如
きである: 番号−画分番号は、図1中に記載され、そして上記表に
比活性を列記する。
A−パネルA上のロードにおいて場合により見られる人
工産物バンド、画分28及び画分39;これは、実験制作物
上のフィンガープリントからのタンパク質由来のもので
あるようである。
D−Pool C中に溶出するTMEジスルフィド結合ダイマ
ー。
MU−上のモノマー、これは、一本鎖TMEであるようであ
る。
ML−下のモノマー、MUと同じN−末端(AlaValValPr
o...)をもつが、そのC−末端付近でタンパク質分解が
予想されるような、より速い電気泳動易動性をもつも
の。
L−D、MU及びMLを含むMono−Qカラム上に供給された
材料。
上記の表中に示した画分をプールすることにより、MU
又はMLを、必要なときに、かなり濃縮することができ
る。
実施例7:2本鎖TMの存在の証明 A. CHL1及びCHO細胞からの解裂形態の分離 以下のサンプルを、Gel Novexからの8%Tris−Glyci
neゲル上で分析し、すべてのサンプルを、還元条件下で
走らせた。図3は、以下のサンプルについての結果を示
している: レーン 1 Novex Wide Range Marker 2 TMLEO(CHO)#82891 LJ 3 TMLEO(CHO)PkB+コンドロイチナーゼABC(シュー
ドモナス・ブルガリス(P.vulgaris)) 4 TMLEO(CHO)PkB+コンドロイチナーゼAC(フラボ
バクテリウム・ヘパリウム(Flavobacterium hepariu
m)) 5 TMLEO(CHL1)PkB+コンドロイチナーゼAC(フラボ
バクテリウム・ヘパリウム(Flavobacterium hepariu
m)) 6 TMLEO(CHO)PkB+コンドロイチナーゼAC(アント
ロバクター・アウレッセンス(Anthrobackter aurescen
s)) 7 TMLEO(CHL1)PkB+コンドロイチナーゼAC(フラボ
バクテリウム・ヘパリウム(Flavobacterium hepariu
m)) 8 TMLEO(CHL1)PkB+コンドロイチナーゼABC(シュ
ードモナス・ブルガリス(P.vulgaris)) 9 TMLEO(CHL1)PkB #Q617 10 Novex Wide Range Marker このゲルを、様々な源からの商業的コンドロイチナー
ゼをテストするために元々走らせた。CHO細胞及びCHL1
細胞からのサンプルは、両方共、完全長可溶性TMアナロ
グの切り詰められた形態であるようである80kDaバンド
を含んでいる。66kDaにおけるバンドは、安定にするた
めに商業的コンドロイチナーゼ調製物に添加されている
BSAである。レーン9は、十分に供給されていない(und
erloaded)。
B. ウェスタン・ブロット 精製されたTM及びTMアナログのサンプルを、8%Tris
−Glycineゲル上で分析し、これを、125ボルトにおいて
2時間走らせた。このタンパク質を、120mAにおいて3
時間ニトロセルロースにエレクトロブロット転移させ
た。次に、このニトロセルロースを、4℃において3%
BSAと共に一夜インキュベートした、次に、このブロッ
トを、減少され且つ変成されたTMの6EGF領域に対して作
られた第一マウス・ポリクローナル抗体調製物に、1:50
0希釈において30分間晒した。次に第二抗体、すなわ
ち、商業的なビオチン化ヤギを、30分間添加した。得ら
れたによろセルロース・ブロットを、次に、商業的供給
者からのアビジン−HRP結合体及び4−クロロ−T−ナ
フトールにより顕色させた。
図4は、ウェスタン・ブロット・ゲルを示し、ここ
で: レーン 1 10μl BRLビオチン化マーカー 2 TMLEO(CHL1)PkB #QG17(〜1250APCユニット) 3 TMLEO(CHO)PkB+#82891 LJ(〜130APCユニッ
ト) 4 TMLEO(CHO)PkA+#82891 LJ(〜125APCユニッ
ト) 5 TMLEO(CHL1)PkB+コンドロイチナーゼABC #QG21
(〜106APCユニット) 6 TMLEO(CHO)PkB+コンドロイチナーゼABC #QG39
(〜34APCユニット) 8 5μl"Rainbow"マーカー,Amersham このウェスタン・ブロット検定は、CHO細胞内で発現
されたTMLEOのすべてのサンプルがTMの切り詰められた
形態であるようである80kDaにおいて免疫反応性のバン
ドをもち、そしてCHL1細胞内で発現されたTMLEOの幾つ
かのサンプルが8ーkDaバンド(レーン2)をもつこと
を示している。”レクチン−6EGF"アナログ、TMLEを含
むレーン7は、十分に供給されていない。
C. Kd測定 Kdを、組換え体トロンボモジュリンの単離調製物につ
いて測定した。TMLEO(CHO)を、先に記載したように調
製した。測定を、検定希釈剤(20mM Tris−HCl、pH7.
5、0.1M NaCl、0.1%NaN3、0.5%BSAであって0.25又は
2.5mM CaCl2のいずれかを含むもの)中で96ウェル・プ
レート内で行った。このKd測定のために、トロンビン
(1nM)を、TMアナログ(0.5〜250nM)に添加し;反応
を、プロテインC添加(3μM)により開始させた。列
記したすべての濃度は、最終濃度である。混合物を、10
−60分間インキュベートし(75μl、20℃)、そしてヒ
ルジン(570nM)によりクエンチした。変更された検定
希釈剤中の100μl/ウェルのS−2266基質(Kabi Vitru
m)を、次に添加した(2mM)。
図5中の2軸逆数プロットから見ることができるが、
高いTM濃度に対応する、実際の第一点は、より低いTM濃
度における測定値から得られた線型投影から配置され
る。これは、かなり高いKdをもつ他のTM成分がテスト・
サンプル中に存在するということを示している。サンプ
ル中に2つのクラスのトロンビン結合種が在り、それら
の両方が、活性複合体の形成を導く。低いアフィニティ
ー形態は、解裂した又は切り詰められた形態、例えば、
非開裂TMと同等にしっかりとトロンビンに結合しないTM
アナログに、対応するようである。
実施例8:2つの異なるアミノ末端を示す配列データ A. N−末端配列分析 精製されたタンパク質を乾燥させ、そして配列決定し
た(Applied Biosystems,900Aデータ・モジュール装備M
odel #477又はチャート・レコーダー装備Model #470
A)。PTH−アミノ酸を、RP−HPLC(Brownlee PTH−C18
カートリッジ、2.1x222mm)により120A Applied Biosys
tems PTHアナライザー上で同定した。
B. N−末端分析 TMアナログの様々な調製物を、上記のように分析し
た。表7中に見ることができるように、TMLEO(CHO)ピ
ークAからのサンプルは、異質なN−末端を含んでい
る。例えば、CHO細胞内で発現された非修飾配列を含む
プラスミドにより作られたTMの表7中に示す3サンプル
のN−末端分析は、存在するタンパク質の5〜19%(11
±4%)にも達する強い解裂部位配列を示した。
これに反して、DXB−11、すなわち、示された位置
(δ3,M388L,R456G,H457Q,S474A,δ7)におけるTM突然
変異を含むpTHR525プラスミドにより形質転換されたCHO
細胞から単離されたTM調製物、の少なくとも100ピコモ
ルのN−末端分析は、このポリペプチドが本質的にN−
末端の異質性を全く含まない(最大第二配列は0.6±1.3
50≒0%)ということを、確かなものとした。特に、:H
IGTの天然の配列に対応する第二アミノ末端は全く見ら
れず、これ故に、その、又は他のいずれかの、部位にお
ける検出可能なプロテアーゼ解裂の非存在を示してい
る。
実施例9:プロテアーゼ−耐性TMアナログの製造のための
突然変異誘発及びオリゴヌクレオチド選択の方法 プロテアーゼ−耐性TMの好ましい態様をコーディング
しているプラスミドpTHR525を、TM遺伝子の突然変異誘
発により構築した(米国特許逐次番号第07/345,372号、
GenBank 、又は表8中に示すpTHR324の配列を参照のこ
と;pTHR324は、pRC/CMVベクター内にTM遺伝子を含んで
いる)。発現の間、アミノ酸3−490に対応するポリペ
プチドを発現する遺伝子構築物を、標準的な突然変異誘
発技術をにより調製した。
A. プロテアーゼ解裂部位の修飾 Arg456/His457−−−〉Gly456/Gln457突然変異を、プ
ライマーとしてオリゴマーCOD−2218を使用して実施例
1(C)中に開示するように構築した。
B. O−結合硫酸コンドロイチン結合部位の修飾 Ser474−〉Ala474突然変異を、プライマーとしてオリ
ゴマーCOD−1886を使用して実施例1(C)中に開示す
るように構築した。
C. N−末端の修飾 異質シグナル配列解裂部位をもつ生来TMの最初の3ア
ミノ酸のN−末端欠失を、プライマーとしてオリゴマー
COD−2321を使用して実施例1(C)中に開示するよう
に構築した。この構築物は、そのシグナル配列のプロセ
シング後、N−末端配列を提供することに加え、そのシ
グナル配列の第4グリシン(すなわち、アミノ酸−3)
内にGlyからValへの変更をもつ。この構築物を、von He
ijne,G.,Nucleic Acids Res.14 4683(1986)中に記載
されているアルゴリズムを使用してシグナル解裂効果の
予言に基づき、調製した。
COS1細胞内でのDNFLの発現のためのpRcCMVのHIND3−N
OT1部位へのDNFL TM遺伝子を含むpTHR322からのHIND3−
NOT1断片 D. C−末端の修飾 エクソプロテアーゼ−耐性Pro−Pro配列C−末端を作
るために(生来のヒト・タンパク質に関する)TMのアミ
ノ酸490において終止するポリペプチドを作るためのTM
LEOポリペプチドの末端の7アミノ酸のC−末端欠失
を、プライマーとしてオリゴマーCOD−2320を使用して
実施例1(C)中に開示したように構築した。このC−
末端に対する修飾の概要を、表9中に示す。
E. pTHR525の構築の要約 以下の構築のための出発プラスミド、pCDM8を、Invit
rogen,San Diego,Californiaから得た。それは、サイト
メガロウイルスの即時型初期プロモーターを担持してい
る。pTHR219を、切断し、そしてMlu I−Not I断片を単
離した。この断片を、pTHR211内に挿入し、pTHR253を得
た。pTHR253を、COD2218により突然変異誘発し、R456G
及びH457Qを変換し、pTH491を得た。pTHR491を切断し、
Kpn−Not I断片を単離した。この断片を、S474A突然変
異を担持しているpTHR470のKpn−Not I部位内に挿入
し、pTHR496を得た。このプラスミドは、突然変異S474
A、R456G、及びH457Qを含む。pTHR496を切断し、そして
Mlu I−Not I断片を単離した。この断片を、pTHR235のM
lu I−Not I部位内に挿入し、pTHR511を得た。このプラ
スミドは、突然変異S474A、R456G、及びH457Q及びNot I
部位からの上流TM配列を含む。pTHR511をCOD2320により
突然変異誘発し、7つのC−末端アミノ酸を除去し、pT
HR514を得た。pTHR514を切断し、そおしてMlu I−Not I
断片を単離した。この断片をpTHR518内に挿入し、pTHR5
24を得た。pTHR518をpTHR515からのCla I−Sma I断片を
pTHR512内に挿入することにより構築した。pTHR524を切
断し、そしてXba I−Not I断片を単離した。この断片を
Xba I−Not I部位においてpTHR495内に挿入し、pTHR525
を得た。pTHR525をN−末端δ3,R456G,H457Q,S474A,及
びC−末端δ7をもつ好ましいトロンボモジュリン・ア
ナログの中の1つを作るために発現させる。
表10は、様々な中間のプラスミド構築物からの配列で
ある。
*R456G、H457Q、及びS474突然変異をもつDNFLを発現す
る哺乳類の発現プラスミドを作るための、pTHR470のKPN
1−NOT1内へのO結合ドメインを含むpTHR491からのKPN1
−NOT1断片。
*COD2218を、ベクターpTHR235内のインビトロにおける
突然変異誘発によりArg456Gly及びHis457Glnを変換する
ために使用した。これは、MSC1部位を創出した。これ
は、CHO細胞内で解裂されるはずであるO−結合ドメイ
ンを創出した。また、COD1886を、Ser474をAlaに変換
し、O−結合ドメイン内の可能性のあるGAG部位を除去
するために使用した。これは、NAR1部位を創出した。ま
た、COD1689を、AMP感受性をAMP耐性に変換するために
使用した。
*pTHR219と反対の方向にあるFloriを含むpTHR211のMLU
1−NOT1部位への6EGFs−O結合を含むpTHR219からのMLU
1−NOT1断片。この新たなプラスミドは、O結合及び6FG
Fs領域のインビトロにおける突然変異誘発のためのもの
である。
*MPSVプロモーター+CMVエンハンサーを使用してDNFL
を発現し、そしてSV40後期プローターからの発現された
DHFR遺伝子をもつ哺乳類発現プラスミドを作るためにpB
BS37のXBA1−SAL1部位へのDNFL遺伝子を含むpTHR483か
らのXBA1−SAL1断片。このプラスミドは、また、ハイグ
ロマイシンB遺伝子を含む。
*pTHR512のCLA1−SMA1(部分的)へのDNFLのN末端の3
aa欠失を含むpTHR515からのCLA1−SMA1断片。
*COD2321を、レクチン・ドメインの最初の3コドンを
欠失させ、そしてpTHR356内のインビトロにおける突然
変異誘発によりそのシュグナルの第4グリシンをバリン
に変換するために使用した。また、COD1690を、AMP感受
性をAMP耐性に変換するために使用した。これは、PST1
部位を創出した。
*pSELECT1のHIND3−SMA1へのトロンボモジュリンのシ
グナル配列を含むpTHR322のHIND3−SMA1断片。このプラ
スミドは、TMシグナル解裂部位の突然変異誘発のために
使用されるであろう。
*インビトロにおける突然変異誘発のために使用される
ことができる大腸菌(E.coli)発現ベクターを作るため
にpTHR161のMLU1−NOT1部位への6EGFs内のMet388−−〉
Leu突然変異を含むpTHR127からのMLU1−NOT1断片。
*pGEM9Zf−のNOT1−XBA1部位内へのDNFL遺伝子を含むp
THR498からのNOT1−XBA1断片。このプラスミドは、特許
のTM生産プラスミドの構築のための戦略において"A"と
名付けられる。
*pTHR161のSCA1−SCA1部位内へのf1複製起点を含むpGE
M3zf−からのSCA1−SCA1断片。これは、pTHR161と反対
のストランドを使用する新たな突然変異誘発ベクターで
ある。
*COD2321を、レクチン・ドメインの最初の3コドンを
欠失させ、そしてpTHR356内のインビトロにおける突然
変異誘発によりそのシュグナルの第4グリシンをバリン
に変換するために使用した。これは、STU1を創出した。
また、COD1690を、AMP感受性をAMP耐性に変換するため
に使用した。これは、PST1部位を創出した。
*SV40初期プローターからのDNFL遺伝子及びSV40後期プ
ロモーターからのDHFR遺伝子を発現する発現プラスミド
を作るためのpTHR359のHIND3部位内へのSV40プロモータ
ーを含むpTHR359からのHIND3。注意:SV40後期プロモー
ターは、幾つかの位置から転写を開始させる。主要な転
写開始領域は、このプラスミド内に含まれていない。さ
らに注意:この後期プロモーターとDHFRのATGとの間に
3つのATGが在り、これがDHFRの発現を妨害することが
できる。そのような発現は、非常に弱くDHFR遺伝子を発
現することができない。
*pTHR498のXBA1−NOT1部位内への、DNFLの、N−末端
加え第4aa Gly−Valの3aa欠失、C−末端の7aa欠失、S4
74A突然変異、及びR456G、H457Q突然変異を、含むpTHR5
24からのXBA1−NOT1断片。
*pTHR518のMLU1−NOT1部位内への、DNFLのO−結合領
域の末端における7aa欠失、S474A、R456G及びH457Q突然
変異を、含むpTHR514からのMLU−NOT1断片。
*COD2320を、pTHR511のインビトロにおける突然変異誘
発によりTMのO−結合ドメインのC−末端からの7アミ
ノ酸を欠失するために使用した。これは、ACC1部位を創
出した。また、COD1689を、AMP感受性をAMP耐性に変換
するために使用した、これは、PST1部位を創出した。
*pTHR235のMLU1−NOT1部位内への、DNFL遺伝子S474A、
R456G及びH457Q突然変異を、含むpTHR496からのMLU1−N
OT1断片。
pTHR525配列 pTHR525配列A 表11は、プラスミドを突然変異させるために使用した様
々なプライマーの配列を示す。
実施例10:アフィニティー・クロマトグラフィーによる
無傷TMLEO(CHO)M388Lからの切り取りの分離及び精製 A. 材料及び方法 切り取られた(clipped)可溶性ヒトTM出発材料は、C
HO細胞、ロット#102491A内で作られたTMLEOピークAで
あった。N−末端配列分析に基づき、このロットは、10
%の2本鎖形態及び90%の一本鎖形態を含む。固定化さ
れた脱水素トリプシン・カラム(Pierce,Rockford,IL)
を、非切り取りTMLEOから切り取り物を分離するために
使用した。脱水素トリプシン(anhydrotrypsin)は、そ
の活性部位セリン残基195が脱水素アラニン残基に変換
されているトリプシンの触媒として不活性の誘導体であ
る。弱い酸性条件下で、このカラムは、C−末端のAr
g、Lys又はS−アミノエチル−Cys残基をもつペプチド
に結合する。Kumazaki,T.,et al.(1988)J.Biochem.10
3−297を参照のこと。
無傷のTMLEO(CHO)M388Lは、C−末端Serを含む。Ar
g456におけるタンパク質分解解裂は、Arg内で終止する
第二のC−末端を生成する。このジペプチドは、ジスル
フィド結合により一緒に共有結合している。このカラム
は、出発材料中に存在する2本鎖の切り取られたTMLEO
(CHO)M388Lに結合し、一本鎖の無傷のTMLEO(CHO)M
388Lが流出するのを可能にする。
約1.29mlの、0.87mg/ml(459,000U/ml;588,000U全体;
100%)の出発材料は、脱水素トリプシン結合バッファ
ー(0.05M酢酸ナトリウム、pH5.0であって20mM塩化カル
シウム及び0.05%アジ化ナトリウムを含むもの)を使用
して15mlに希釈され、そしてシリンジ・ポンプを使用し
て0.3ml/分においてそのカラム上に供給された。供給の
間、流出液は回収され、そして無傷のTMLEO(CHO)M388
Lを含み、一方、切り取られたTMLEO(CHO)M388Lは、そ
のカラムに結合した。次に、このカラムを、20容量の結
合バッファーにより洗浄し、そして切り取られたTMLEO
(CHO)M388Lを、脱水素トリプシン溶出バッファー(0.
1M蟻酸、pH2.5)を使用して溶出させた。21画分(1分
間、約300μl)を回収し、そしてAPC検定のために1/10
00に希釈した。活性のピークは、5−11画分内にあっ
た。プールされた画分は、2.1mlを含んで成り、そして4
5,771U/ml(96,000U全体、16%)を含んでいた。出発材
料、流出物及びプールした溶出物のアリコットを、分析
のために0.2%NEM、pH7.5内に脱塩した。
ヒト・トロンボモジュリンへの可溶性TM結合について
のKdを、マイクロタイター・プレート内で測定した。可
溶性TMサンプルを希釈し(全ての希釈物は、APC検定希
釈物中のものである)、約3nMの実行溶液とし;ヒト・
トロンボモジュリンを、ストック溶液から600、300、15
0、75、37.5、18.8、9.4、4.7、2.3、1.2、0.6及び0nM
の実行溶液に希釈した。実行溶液の追加の試薬は:ヒト
・プロテインC,1.5μM;ヒルジン,160U/ml;及びS−2266
基質1mMであった。それぞれのトロンビン希釈物の4連
の25μlサンプルを、マイクロタイター・プレートの1/
2カラムに添加し;25μlアリコットの可溶性TMを、4テ
スト列の3つに添加し、そして25μlAPC検定希釈物を、
1テスト列においてTMと置換した。このプレートを穏や
かに叩くことにより混合し、プレート・シーラーにより
シールし、そして室温において5分間インキュベートし
た。25μlのプロテインCを、それぞれのウェルに添加
し、そのプレートを叩き混合し、シールし、そして室温
において15分間インキュベートし;次に25μlのヒルジ
ンを、それぞれのウェルに添加し、そしてそのプレート
を叩き混合した。100μlのS−2266をそれぞれのウェ
ルに添加し、そのプレートを叩いて混合し、そしてSoft
Max分析及び制御ソフトウェアー・プログラムを使用し
てMolecular Devices Plate Reader(Menlo Park,CA)
内で15分間、動力学的に読んだ。S−2266加水分解の線
型速度を、適当な背景速度を差し引いた後に形成される
活性化プロテインCの尺度として使用し。このデータ
は、IBM PC上でプログラムEnzofitter,Robin Leatherba
rrow,Elsevier−BioSoft,Cambridge,UKを使用してKd
与えるのにふさわしいものであった。
B. 結果 以下の分析を、上記出発材料、流出物及びプール上
で、行った:1)還元条件下でのSDS−PAGE(図6及び
7)、2)APC検定(3連における2希釈物)、3)2
連におけるアミノ酸分析、4)N−末端アミノ酸分析、
及び5)ヒトα−トロンビンについてのKdの測定(結果
を表12及び13中に示す。)。
これらの結果は、TMLEO(CHO)M388Lがアフィニティ
ー・クロマトグラフィー精製段階によりR456の後に切り
取られた形態及び無傷形態に、きれいに分離されること
ができるとうことを、示している。切り取られたTMLEO
(CHO)M388Lは、無傷のTMLEO(CHO)M388Lの比活性の6
3±15%をもつことが示された。この2つの形態は、プ
ロテインCの活性化がヒト・トロンビンの増加する濃度
において測定されるような検定において比較され、そし
て切り取られたTMLEO(CHO)M388Lが無傷のTMLEO(CH
O)M388Lよりも2倍程弱く結合するということが、測定
された。
先の実施例は、先の実施例において使用されたものの
代わりに本発明の一般的に又は特別に記載された反応体
及び/又は操作条件に置き換えることにより、同様に首
尾よく繰り返されることができる。
これまでの記載から、当業者は、本発明の本質的な特
徴を突き止めることができ、そしてその核心及び範囲か
ら外れることなく、本発明の様々な変更及び修正を行
い、それを他の用途及び条件に適合させることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI //(C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:91) A61K 37/02 (72)発明者 ライト,デビッド リチャード アメリカ合衆国,カリフォルニア 94402,サンマテオ,サウス フリーモ ントストリート 614 (72)発明者 アンドリュース,ウィリアム エイチ. アメリカ合衆国,カリフォルニア 94404,サンマテオ,ファトム ドライ ブ 798 (72)発明者 クラーク,ジェフリー ホーマー アメリカ合衆国,カリフォルニア 94044,パシフィカ,サンタ ローサ アベニュ 65,#2 (72)発明者 ウィドロ,ロバート マイケル アメリカ合衆国,カリフォルニア 94404,フォスター シティ,フライン グ フィッシュ ストリート 1110 (72)発明者 ヤング,パトリシア アン アメリカ合衆国,カリフォルニア 94901,サンラファエロ,ロス ストリ ート24 (56)参考文献 特表 平3−503757(JP,A) 国際公開90/010081(WO,A1) The Journal of Bi ological Chemistr y,Vol.268,No.4(1993), p.2888−2892 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/09 C07K 14/575 C12P 21/02 BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(STN)

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トロンボモジュリン・タンパク質アナログ
    であって、プロテアーゼ解裂部位のアミノ酸配列が修飾
    され、それにより、当該アナログが当該部位におけるプ
    ロテアーゼ解裂に耐性であり、かつ、非修飾プロテアー
    ゼ解裂部位のアミノ酸配列が天然トロンボモジュリンの
    Arg456とHis457の間にあるか、又はプロテアーゼ解裂部
    位のアミノ酸配列がGly456−Gln457に修飾されており、
    それにより、当該アナログが当該部位におけるプロテア
    ーゼ解裂に耐性である、前記アナログ。
  2. 【請求項2】N−末端のアミノ酸配列が修飾され、それ
    により、そのアナログが単一のN−末端をもつ、請求項
    1に記載のトロンボモジュリン・タンパク質アナログ。
  3. 【請求項3】N−末端アミノ酸が、天然トロンボモジュ
    リンのGlu4である、請求項2に記載のトロンボモジュリ
    ン・タンパク質アナログ。
  4. 【請求項4】C−末端のアミノ酸配列が修飾され、それ
    により、そのアナログが単一のC−末端をもつ、請求項
    1に記載のトロンボモジュリン・タンパク質アナログ。
  5. 【請求項5】C−末端アミノ酸が、天然トロンボモジュ
    リンの−Pro489−Pro490である、請求項4に記載のトロ
    ンボモジュリン・タンパク質アナログ。
  6. 【請求項6】請求項1に記載のトロンボモジュリン・タ
    ンパク質アナログをコードするDNA。
  7. 【請求項7】請求項2に記載のトロンボモジュリン・タ
    ンパク質アナログをコードするDNA。
  8. 【請求項8】請求項4に記載のトロンボモジュリン・タ
    ンパク質アナログをコードするDNA。
  9. 【請求項9】好適な宿主内で発現されることができるプ
    ロモーター配列に作用可能な状態で結合されている、請
    求項6に記載のDNA配列を含むベクター。
  10. 【請求項10】好適な宿主内で発現されることができる
    プロモーター配列に作用可能な状態で結合されている、
    請求項7に記載のDNA配列を含むベクター。
  11. 【請求項11】好適な宿主内で発現されることができる
    プロモーター配列に作用可能な状態で結合されている、
    請求項8に記載のDNA配列を含むベクター。
  12. 【請求項12】CHO細胞内で発現されることができる、
    請求項9に記載のベクター。
  13. 【請求項13】CHO細胞内で発現されることができる、
    請求項10に記載のベクター。
  14. 【請求項14】CHO細胞内で発現されることができる、
    請求項11に記載のベクター。
  15. 【請求項15】有効量の請求項1に記載のトロンボモジ
    ュリン・タンパク質アナログの及び医薬として許容され
    る賦形剤を含む、抗血栓療法用医薬組成物。
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