JP2714906B2 - 動力舵取装置の操舵力制御装置 - Google Patents

動力舵取装置の操舵力制御装置

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JP2714906B2
JP2714906B2 JP4032995A JP3299592A JP2714906B2 JP 2714906 B2 JP2714906 B2 JP 2714906B2 JP 4032995 A JP4032995 A JP 4032995A JP 3299592 A JP3299592 A JP 3299592A JP 2714906 B2 JP2714906 B2 JP 2714906B2
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chamber
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靖芳 江森
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    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D6/00Arrangements for automatically controlling steering depending on driving conditions sensed and responded to, e.g. control circuits
    • B62D6/02Arrangements for automatically controlling steering depending on driving conditions sensed and responded to, e.g. control circuits responsive only to vehicle speed

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  • Power Steering Mechanism (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動力舵取装置において
油圧反力機構を車輌の走行速度、操舵角度等といった各
種走行条件に応じて制御し所要の操舵力を得るための操
舵力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のハンドル操作力(操舵力)を軽
減するための動力舵取装置において、車輌の走行速度や
操舵角度等といった各種走行条件に応じた操舵力制御
を、油圧反力機構を利用して行なう操舵力制御装置が、
従来から種々提案されている。たとえば車輌停車時や低
速走行時には反力油圧を最小限とし軽快な操舵操作を可
能とし、高速走行時には反力油圧を増大させてハンドル
に剛性感をもたせ、直進時の安定性を確保し得るように
するという操舵力制御を、動力舵取装置における入、出
力軸間を、反力油圧の大きさに応じて選択的に拘束する
反力プランジャによって、相対的に回動させたり拘束し
たりすることで行なうものであった。
【0003】この種の油圧反力機構としては、反力油圧
をポンプから流路切換弁を介してパワーシリンダに至る
主油圧通路の一部から分流して用い、これをスプールバ
ルブ等による反力油圧制御弁で制御し、反力プランジャ
を動かすための油圧反力室に導く構成によるものが、た
とえば特開昭61−105273号公報、特開昭61−132466号公
報、実開昭62-25265号公報、特開昭63-68467号公報等を
始めとして、従来から種々提案されている。
【0004】これら従来装置では、上述した反力油圧制
御弁を、車速センサ、さらに舵角センサやトルクセンサ
などからの検出信号によりコントローラからの出力電流
で所要の作動力を発生させ得るソレノイドコイルやステ
ッピングモータ等の電気的なアクチュエータを用いるこ
とが一般に行なわれており、このような電子制御により
油圧反力機構を適切かつ確実に作動させ、車速や操舵状
況に応じた操舵力制御を行なえるものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うな油圧反力機構にて操舵力制御を行なう従来装置によ
れば、油圧反力室での密封性能の面で問題を生じ、さら
にこれに油圧回路上に存在する絞り部等による問題も加
わって、操舵時において油圧反力室内での反力油圧特性
と油圧反力制御弁からの供給圧特性とが一時的に異なる
ことがあり、その結果として操舵中において操舵トルク
が滑らかに増加しないといった、いわゆる「息衝き現
象」というような違和感を生じ、所要の操舵力制御が行
なえないという問題を生じる虞れがあった。
【0006】すなわち、油圧反力を利用してなる操舵力
制御装置において、たとえば実開平1−70681号公報等に
示されているものでは、油圧反力室が、ハウジング内で
出力軸の周囲に形成され、その一端側にリング状の反力
ピストンが軸線方向に摺動動作可能に設けられ、このピ
ストン内、外周に付設したシールリングにて油圧反力室
の一端側が閉塞され、これに隣接して油圧反力機構を構
成するボールと反力受け部等が配置されている低圧室と
の間が画成されている。また、この油圧反力室の他端側
は、リング状の仕切り部材が、出力軸上に嵌合固定され
るとともに、その外周側でハウジングとの間に介在され
たシールリングによって、その外方端側の低圧室との間
が画成され、これによって油圧反力室が密封状態となる
ような構成とされている。
【0007】そして、上述した油圧反力室は、油圧反力
制御弁の出力ポートに接続される一方、この油圧反力室
の両端側に隣接して形成される低圧室は、パワーステア
リング本体部内に形成され適宜の位置に絞り部等を有す
る排出通路を経てタンク側に接続されていた。
【0008】また、上述した操舵力制御装置において、
油圧反力制御弁は、ポンプからの圧油を可変絞りによっ
て油圧反力室とタンク側の低圧室とに分流して流すこと
により、所要の反力油圧を得るようになっており、この
油圧反力制御弁での低圧室は、前述した油圧反力室に隣
接する低圧室からの排出通路とは、パワーステアリング
本体部内で独立した経路(たとえば後述する図1におい
て破線で示した経路)にてタンク側に接続されるように
なっていた。
【0009】しかしながら、上述した従来装置によれ
ば、油圧反力室内での圧力Prとこれに隣接する低圧室
内での圧力P1 ,P2 とが、それぞれの油圧通路やその
途中の絞り部によって、Pr<P1 ,P2 の関係になる
ことがあり、この状態から舵取操作に伴って反力油圧P
rが上昇し、Pr>P1 ,P2 の状態となるものであっ
た。
【0010】このような圧力変化を生じると、油圧反力
室とこれに隣接する両端側の低圧室との間をシールする
シールリングへの油圧の作用する方向が、操舵途中で変
わるために、これらシールリングによる油圧反力室での
密封性能が損なわれるという問題を招いてしまうもので
あった。特に、上述した漏れによる油圧反力室内での反
力油圧変動問題は、反力ピストンを介して隣接している
低圧室との間の関係において問題であり、これら両室間
での圧力差を所要の関係とすることが、油圧反力による
操舵力制御を適切に行なううえで必要とされる。
【0011】そして、上述した密封性能の低下は、Pr
とP1 ,P2 との圧力が反転した際に生じ易く、これに
よって生じる反力油圧Prの漏れとその背圧側、つまり
両端側の低圧室側での圧力上昇による圧力差の減少によ
って、油圧反力室での所要の油圧反力上昇特性を得られ
ない場合があり、図4に示した入力トルク−出力油圧の
特性曲線から明らかなように、入力トルクのわずかな上
昇で出力油圧が増えてしまうという図中破線で示される
ようなこぶ部が生じ、ハンドルが切れ易くなるといった
不具合を招く虞れがあり、これを解決し得る何らかの対
策を講じることが望まれている。
【0012】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、油圧反力室とその両端側に形成される低圧
室との間での圧力関係を、簡単な構成によって改善し、
シール材による油圧反力室での密封性能を確保して、油
圧反力室からの反力油圧の漏れを防ぎ、従来不安定とな
り易かった反力油圧の変動を防ぎ、油圧反力室内での油
圧反力の連続的な制御を可能とし、「息衝き現象」とい
った操舵時の違和感を防止し得る動力舵取装置の操舵力
制御装置を得ることを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような要請に応える
ために本発明に係る動力舵取装置の操舵力制御装置は、
車輌走行条件に応じて制御される油圧反力制御弁機構か
らの反力油圧が導入される油圧反力機構を構成する油圧
反力室に対し、シール部材を摺動面に有し動力舵取装置
の入、出力軸間での相対的な回動変位を選択的に拘束す
る反力ピストン、仕切り部材を介して隣接する第1およ
び第2の低圧室を、それぞれ絞り部を介してタンク側に
連通させるとともに、油圧反力制御弁機構における低圧
室を、第1の低圧室、タンクとの接続通路途中で絞り部
よりも上流側に接続するようにしたものである。
【0014】
【作用】本発明によれば、油圧反力室に反力油圧を送る
油圧反力制御弁機構における低圧室のタンク側への接続
通路を、油圧反力室に反力ピストンを介して隣接してい
る第1の低圧室からのタンク側への接続通路途中で絞り
部よりも上流側に接続させているため、油圧反力室内で
の圧力を、第1の低圧室と略等しいかあるいはその内圧
よりも常に高くなるように設定することが可能で、これ
により反力ピストンに設けられるシール部材に対しての
作用圧力を常に一定の方向に統一し、結果として油圧反
力室での密封性能を確保し、従来のような操舵時におけ
る違和感をなくし、所要の油圧反力を得て反力ピストン
による操舵力制御を、安定して行なえる。
【0015】
【実施例】図1ないし図4は本発明に係る動力舵取装置
の操舵力制御装置の一実施例を示すもので、これらの図
において、まず、図2および図3を用いて全体を符号1
0で示す動力舵取装置におけるパワーステアリング本体
部と符号11で示す操舵力制御装置の概略構成を、以下
に説明する。
【0016】すなわち、符号12は図示しない舵取ハン
ドル側に連結される入力軸(スタブシャフト)、13は
この入力軸12の左端側にトーションバー14を介して
連結されるとともに図示しない舵取リンク機構を構成す
るラック15と噛合するピニオンを有する出力軸(ピニ
オン軸)で、これら両軸12,13はその操舵方向に適
宜回転操作される。ここで、これら両軸12,13間に
は、周知の通り所定角度以上回動されて当接することで
両軸間を連結するフェールセーフ機構が設けられてい
る。
【0017】また、パワーステアリング本体部を構成す
るハウジングH内で上述した両軸12,13には、回転
式流路切換弁16を構成するロータ17およびスリーブ
18がそれぞれ一体的に設けられ、その相対的な回転変
位でオイルポンプP、オイルタンクTとパワーシリンダ
PSの左、右シリンダ室(C1 ,C2 )との間の流路切
換えを行なうように構成されている。なお、このような
回転式流路切換弁16の構成およびその動作は従来から
周知の通りで、その詳細な説明は省略する。
【0018】20は流路切換弁16を構成するロータ1
7およびスリーブ18と一体的な入、出力軸12,13
間に設けられた操舵力制御装置11の一部を構成する油
圧反力機構である。
【0019】すなわち、この油圧反力機構20は、出力
軸13に設けられたフランジ部に軸線方向に貫通して形
成された複数のガイド孔21と、このガイド孔21内で
軸線方向にのみ摺動自在に保持された複数個のボール2
2と、これらボール22が係合する回転方向両側が傾斜
面とされているボール22と同数の係合凹部23を有し
入力軸12に前記フランジ部の一側面と対向して設けら
れた反力受部24と、前記フランジ部の他側面側に形成
された油圧反力室25と、この油圧反力室25内に前記
入、出力軸12,13と同軸上で摺動自在に保持され前
記ボール22を反力受部24の係合凹部23内に押圧し
反力油圧に応じた拘束力を入、出力軸12,13間に作
用せしめるリング状の反力ピストン26とによって構成
されている。
【0020】なお、この反力ピストン26は、その内、
外周部にOリングと樹脂製リングとによるシールリング
26a,26bを有し、ハウジングHと出力軸13との
間の環状空間内で軸線方向に摺動自在に設けられてい
る。また、27は油圧反力室25他端側をシールした状
態で仕切るために出力軸13外周にわずかな油密クリア
ランスをもって嵌装されたリング状の仕切り部材で、こ
の仕切り部材27は、出力軸13上に嵌合して設けられ
るとともに、外周部に上述したと同様のシールリング2
7aが介在され、油圧反力室25からの液漏れを防止し
得るようになっている。
【0021】このような構成において、たとえば車速等
の各種走行条件に応じて油圧反力室25内に適宜供給さ
れる反力油圧によって、反力ピストン26は軸線方向右
側に移動され、その右端部で出力軸13側のガイド孔2
1内に保持されているボール22を押圧することで、こ
のボール22を入力軸12側の反力受部24の係合凹部
23内に係入するように軸線方向に押圧し得るものであ
る。そして、その結果として、油圧反力による所要の拘
束力が得られ、入、出力軸12,13間での相対的な回
転状態を適宜拘束し、必要とされる操舵反力を得て適切
な操舵力制御を行なえる。
【0022】すなわち、操舵時において入力軸12側が
回転されると、ボール22は係合凹部23のいずれか一
方の傾斜面に乗上げ、この傾斜量だけ軸線方向に移動
し、このときに反力ピストン26を押圧することによる
反力が操舵反力として入力軸12側に伝達される。
【0023】なお、このような油圧反力機構20として
は、本実施例構造に限定されず、従来から周知の油圧反
力機構を用いてよいものである。
【0024】一方、前述した操舵力制御装置11を構成
する油圧反力制御弁機構30は、次のような構成とされ
ている。すなわち、この油圧反力制御機構30は、ハウ
ジングH内の孔部30a内に嵌合して設けられたスリー
ブ31と、このスリーブ31の軸孔内に摺動自在に設け
たスプール32と、このスプール32に連結されてこれ
を進退動作させるソレノイド33とを備えている。この
ソレノイド33は、図示しない車速センサや操舵角セン
サ等からの検出信号が入力されるコントローラによって
通電電流が制御され、スプール32の軸線方向での位置
を制御するようになっている。
【0025】ここで、このスプール32の外周部には、
環状溝とその左側のランド部とから構成した分配通路3
4が形成され、そのランド部両側はテーパ面とされてい
る。そして、ポンプPの吐出口に連通する供給通路3
5,35aは前記スリーブ31とスプール32との摺動
面に開口しており、その開口を介して前記分配通路34
の左側に連通している。
【0026】また、前記油圧反力室25に連通する反力
通路36は、前記供給通路35aの左側で前記摺動面に
開口し、その開口を介して前記分配通路34の右側に連
通しており、これにより図1において反力油圧制御弁機
構30における第1の可変絞り41が構成されている。
さらに、スプール32には、前記分配通路34の左側位
置に排出通路37の一部を構成する環状溝38が形成さ
れており、反力通路36は、分配通路34のランド部の
左側部分を介してその環状溝38に連通され、これによ
り反力油圧制御弁機構30における第2の可変絞り42
が構成されている。
【0027】そして、この排出通路37は、スプール3
2に形成した内部通路を介してその左端部の低圧室39
に連通し、さらにハウジングHに形成した後述する低圧
側通路40等を介して前記流路切換弁16の低圧側と連
通し、タンクT側に接続されている。なお、スプール3
2の右端部にも低圧室が形成されるが、この低圧室もス
プール32の内部通路等を経て上述したタンクTに連通
している。
【0028】このような構成において、ソレノイド33
が非通電状態、たとえばエンジン停止時には、スプール
32は、ソレノイド33内のばね(図示せず)によって
左端位置に位置され、この状態では、反力通路36と供
給通路35aとの間(第1の可変絞り41)の流路面積
が最大となるとともに、反力通路36と排出通路37と
の間(第2の可変絞り42)の流路面積は最小となって
いる。
【0029】そして、エンジンが始動された車輌の停止
時または低速走行時には、スプール32はソレノイド3
3によって右端位置まで大きく移動され、このとき油圧
反力室25への供給側流路面積が最小となるとともに、
排出側流路面積が最大となり、油圧反力室25内の圧力
が実質的に零となり、油圧反力機構20からの操舵反力
が最小となって軽快なハンドル操作を行なえる。また、
車輌速度が増大すると、ソレノイド33によってスプー
ル32が徐々に左行し、その移動量に応じて油圧反力室
25への供給側流路面積が増大し、排出側流路面積が減
少するために、高速走行時にはハンドル側への操舵反力
が増大し、剛性感のある安定したハンドル操作を行なえ
る。
【0030】さて、本発明によれば、上述した構成によ
る操舵力制御装置11において、図1、さらには図2お
よび図3からも明らかなように、車輌走行条件に応じて
制御される油圧反力制御弁機構30からの反力油圧が導
入される油圧反力機構20を構成する油圧反力室25に
対し、シールリング26a,26bを摺動面に有し動力
舵取装置の入、出力軸12,13間での相対的な回動変
位を選択的に拘束する反力ピストン26、仕切り部材2
7を介して隣接する第1および第2の低圧室50,51
を、それぞれ絞り部52,53を有する排出側通路5
4,55を介してタンクT側に連通させるとともに、油
圧反力制御弁機構30において第2の可変絞り42下流
側の低圧室39を、低圧側通路40によって、第1の低
圧室50、タンクTとの接続通路54途中で絞り部52
よりも上流側に接続したところに特徴を有している。
【0031】ここで、図1において上述した図2および
図3で説明した部分に相当する部分には、同一番号を付
してその説明は省略する。なお、図1において符号60
は前記供給通路35から分岐されたポンプPからの圧油
供給通路で、その一部に固定絞り61が形成され、前記
ロータ17およびスリーブ18からなる回転式流路切換
弁16に導入されるように構成されている。また、62
はこの切換弁16のタンクTへの戻り側に設けられてい
る固定絞り、63はこの固定絞り62を介して戻り側の
圧油が導入されるタンクTへの戻り側通路を構成する入
力軸12内に形成された低圧側通路、64,65はこの
低圧側通路63からタンクTに至る排出通路66途中に
設けられた固定絞り部である。
【0032】そして、以上の構成において、本発明は、
油圧反力室25とその両端側の低圧室50,51での油
圧通路の絞り作用を見直し、油圧反力制御弁機構30に
おける第2の可変絞り42下流側の低圧室39を、低圧
側通路40により、前記第1の低圧室50(油圧反力室
25に反力ピストン26を介して隣接する室)からタン
クTへの排出側通路54の途中で絞り部52よりも上流
側に接続し、これにより油圧反力室25に至る油圧反力
機構20と、第1および第2の低圧室50,51とを、
タンクT側への接続通路系において同一の条件とし、結
果として油圧反力室25での圧力Prの逆転現象をなく
し、常にその両端側の低圧室50,51での圧力P1 ,
P2 以上(Pr≧P1 ,P2 )となるように構成してい
る。
【0033】ここで、上述した油圧反力制御弁機構30
からタンクT側に至る戻り側である低圧側通路40は、
従来は図1中破線X−Yで示した経路にて構成されてい
たが、本発明では、図1中太い実線X−Zで示した経路
にて構成しており、結果として従来のようなPr<P1
,P2 となる圧力関係をなくし、常にPr≧P1 ,P2
となるようにし得るものである。そして、その結果、
油圧反力室25を形成する反力ピストン26や仕切り部
材27でのシールリング26a,26b;27aに作用
する油圧の方向を一方向に統一し、これらのシールリン
グ26a,26b;27aの動きを抑制してその密封条
件を整え、所要の油圧反力を油圧反力室25に与えて反
力ピストン26の作動を安定化させ得るものである。
【0034】また、本実施例によれば、上述した第1お
よび第2の低圧室50,51からの排出側通路54,5
5での絞り部52,53の絞り開口量を、前述した実開
昭1−70681号公報に示したものよりも、大径に形成し、
これらの絞り部52,53での圧力低下が殆ど「0」と
なるように構成している。
【0035】以上の構成によれば、油圧反力室25とこ
れに隣接する低圧室50,51間での密封性能を、シー
ルリング26a,26b;27aのフリクションを増加
させることなしに行なえる。すなわち、通常、上述した
ような密封性能を確保するには、シールリング26a,
26b;27aを構成するOリングのつぶし代等で行な
うことが考えられるが、この場合にはフリクションの増
加を招き、反力ピストン26の動きを妨げるもので、油
圧反力を大きくする等といった対策を要し、実用上で問
題となる。
【0036】また、本発明によれば、余分な追加部品を
用いることなく、性能を改善し得るものである。
【0037】ここで、上述した油圧反力機構20での油
圧回路における圧力関係を簡単に説明すると、従来構造
では、油圧反力室25での油圧反力圧Prは、油圧反力
制御弁機構30での第2の可変絞り42下流側での圧力
ΔP30と、排出通路66での固定絞り部65によるΔP
65との和によって設定されており、一方第1、第2の低
圧室50,51での圧力P1 ,P2 は、接続通路54,
55の絞り部52,53での圧力ΔP52,ΔP53に、そ
れぞれ排出側通路66での固定絞り部64,65での圧
力ΔP64,ΔP65を加えた値とされる。そして、ΔP30
が、(ΔP52+ΔP64)、(ΔP53+ΔP64)よりも小
さい状態から大きい状態に変化する場合があり、前述し
たようにPr<P1 ,P2 の状態が生じる場合があっ
た。
【0038】これに対し、本発明によれば、油圧反力室
25での反力圧Prは、油圧反力制御弁機構30での第
2の可変絞り42下流側での圧力ΔP30と、低圧側通路
40を経て接続されている接続通路54での絞り部52
での圧力ΔP52に、排出側通路66での固定絞り部6
4,65での圧力ΔP64,ΔP65を加えた値とされる。
したがって、前述したと同様のP1 ,P2 と比較する
と、PrはP1 よりもΔP30分だけ大きく、これが0で
あっても、前述したPr≧P1 が成り立つものである。
一方、P2 は、ΔP53で0であるために、この場合も前
述したPr≧P2 が成り立つことは、容易に理解されよ
う。
【0039】そして、以上の構成による操舵力制御装置
11によれば、油圧反力制御弁機構30での第1および
第2の可変絞り部41,42間の中間圧が導入されるこ
とで得られる油圧反力機構20における油圧反力室25
内の圧力Ptを、この油圧反力室25に反力ピストン2
6、仕切り部材27を介して隣接する低圧側室での圧力
P1 ,P2 に対し、相対的に大きくなるように設定でき
(Pt≧P1 ,P2 )、これによりハンドルを舵取操作
した際において、従来のようにPt<P1 ,P2 状態か
らPt>P1 ,P2 状態に移行する際に生じる、いわゆ
る「息衝き現象による操舵者が感じる違和感」を招くこ
とを防止し得るものである。
【0040】この利点は、図4において破線で示したよ
うに、入力トルクのわずかな上昇で出力油圧が急激に増
えてしまう現象、つまりパワーシリンダPSによる操舵
補助力が過度に増え、反力油圧Ptの上昇に伴った特性
を得られないという現象を生じる虞れがなくなり、同図
中で実線で示したように、適切な油圧反力を得て、操舵
力制御を、車輌の走行条件に応じて変化させ得るもので
ある。
【0041】なお、本発明は上述した実施例構造には限
定されず、動力舵取装置(パワーステアリング本体部1
0)や油圧反力機構20、油圧反力制御弁機構30によ
る操舵力制御装置11等を始めとする各部の形状、構造
等を適宜変形、変更し得ることは言うまでもない。
【0042】たとえば上述した実施例においては、油圧
反力機構20や油圧反力制御機構30による操舵力制御
装置11として概略構成を例示したが、本発明はこれに
限定されず、従来から周知の構造であってもよく、種々
の変形例が考えられるものであり、さらに動力舵取装置
としても種々の形式のものを用いてもよい。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る動力舵
取装置の操舵力制御装置によれば、油圧反力制御弁機構
からの反力油圧が導入される油圧反力室に対し、シール
部材を摺動面に有し動力舵取装置の入、出力軸間での相
対的な回動変位を選択的に拘束する反力ピストン、仕切
り部材を介して隣接する第1および第2の低圧室を、そ
れぞれ絞り部を介してタンク側に連通させるとともに、
油圧反力制御弁機構における低圧室を、第1の低圧室、
タンクとの接続通路途中で絞り部よりも上流側に接続す
るようにしたので、追加部品を必要としていない簡単な
構成にもかかわらず、油圧反力室内での圧力を、この油
圧反力室での油圧反力を、常に反力ピストンおよび仕切
り部材を介して隣接する二つの低圧室内での圧力以上に
設定することが可能で、これによりハンドルを舵取操作
した際に、油圧反力の一時的な不足から、入力トルクに
対して出力油圧が大きくなるといった、いわゆる「息衝
き現象による操舵者が感じる違和感」を招くことを防止
し得るという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る動力舵取装置の操舵力制御装置の
一実施例を示す油圧回路を含めた全体の概略構成図であ
る。
【図2】本発明を適用して好適な操舵力制御装置を有す
る動力舵取装置全体の概略構成を示す概略断面図であ
る。
【図3】図2における要部を拡大して示す概略断面図で
ある。
【図4】本発明に係る操舵力制御装置を備えた動力舵取
装置における入力トルクと出力油圧との関係を示す特性
図である。
【符号の説明】
10 動力舵取装置におけるパワーステアリング本体
部 11 操舵力制御装置 12 入力軸 13 出力軸 14 トーションバー 15 ラック 16 回転式流路切換弁 17 ロータ 18 スリーブ 20 油圧反力機構 22 ボール 24 反力受部 25 油圧反力室 26 リング状反力ピストン 26a シールリング 26b シールリング 27 リング状仕切り部材 27a シールリング 30 油圧反力制御弁機構 31 スリーブ 32 スプール 33 ソレノイド 34 分配通路 35 供給通路 35a 供給通路 36 反力通路 37 排出通路 38 環状溝 39 低圧室 40 低圧側通路 41 第1の可変絞り 42 第2の可変絞り 50 第1の低圧室 51 第2の低圧室 52 絞り部 53 絞り部 54 接続通路 55 接続通路 63 低圧側通路 64 固定絞り部 65 固定絞り部 66 排出側通路 P ポンプ T タンク PS パワーシリンダ C1 左シリンダ室 C2 右シリンダ室 H ハウジング

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輌の走行条件に応じて反力油圧を制御
    する油圧反力制御弁機構と、動力舵取装置の入、出力軸
    間での相対的な回動変位を選択的に拘束する反力ピスト
    ンとこの反力ピストンに前記油圧反力制御弁機構から導
    入される反力油圧を作用させる油圧反力室とを有する油
    圧反力機構を備え、前記油圧反力室を、その一端側が摺
    動面にシール部材を有する反力ピストンによって第1の
    低圧室側から、他端側が仕切り部材によって第2の低圧
    室側から画成されて構成されている動力舵取装置の操舵
    力制御装置において、 前記油圧反力室に対し反力ピストン、仕切り部材を介し
    て隣接する第1および第2の低圧室を、それぞれ絞り部
    を介してタンク側に連通させるとともに、 前記油圧反力制御弁機構における低圧室を、前記第1の
    低圧室、タンクとの接続通路途中で前記絞り部よりも上
    流側に接続したことを特徴とする動力舵取装置の操舵力
    制御装置。
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