JP2712636B2 - 車両のドア構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は車両のドア構造、とりわけ、ドアサッシュを
ドアアウタパネル，ドアインナパネルと一体にプレス成
形したアウタサッシュとインナサッシュとで構成した所
謂プレスドアのドア構造に関する。

従来の技術 第3,4図は従来のプレスドアのドア構造を示すもの
で、サッシュ本体１はドアアウタパネル４と一体にプレ
ス成形されたアウタサッシュ２と、ドアインナパネル５
と一体にプレス成形されたインナサッシュ３とで構成さ
れ、アウタサッシュ２とインナサッシュ３は、サッシュ
外周縁において巻締め結合されている。インナサッシュ
３の外周部には棚部７が形成され、この棚部７に車体開
口縁部８に密接するドアウエザーストリップ９をリテー
ナ10を介して装着してある。

このインナサッシュ３の内周縁部は、前記棚部７に続
いて断面コ字形に曲折してサッシュ幅を決定する内側の
サッシュ側面3aを形成し、その端末にフランジ11を折曲
成形してある。一方、アウタサッシュ２の内周縁部は、
サッシュ側面2aから内側に湾曲成形してその端末に前記
フランジ11と同一突出長さでフランジ12を形成してあ
る。

13はサッシュ本体１内周縁部を補強するチャンネル材
で、その一端はアウタサッシュ２の端末フランジ12に接
合してあり、他端はインナサッシュ３のサッシュ側面3a
の内側に接合してある。

そして、前記端末フランジ11,12間にドアガラス６に
密接するアウタリップ15,インナリップ16を有する断面
チャンネル形のグラスラン14を嵌着，固定してある。17
はルーフドリップ18に装着されてサッシュ本体１外縁部
の内側面に密接するドリップシールを示す。この類似構
造は、例えば実開昭58−22314号公報に示されている。

発明が解決しようとする課題 チャンネル材13は、その一端はアウタサッシュ２の端
末フランジ12にスポット溶接により容易に接合すること
ができるが、他端はインナサッシュ３のコ字形断面の奥
底部に配置されるためスポット溶接が不可能であり、こ
のため、接着剤により接合するか、もしくは非接合のま
まとせざるを得ず、サッシュ剛性上好ましいとは云えな
い。

また、フラッシュサーフエイス化をより積極的にする
ため、アウタサッシュ２の端末フランジ12をサッシュ側
面2aの延長上寄りに形成して、端末フランジ11,12間の
開口幅を拡大し、ドアガラス６をこのアウタサッシュ２
のサッシュ側面2aに近接した位置でグラスラン14により
保持させることが要望されている。

しかし、アウタサッシュ２の端末フランジ12をサッシ
ュ側面2aの延長上寄りに形成しただけでは、インナサッ
シュ３の端末フランジ11がサッシュ本体１の幅内の中央
部分に位置していることと、アウタサッシュ２の端末フ
ランジ12が該インナサッシュ３の端末フランジ11と同一
の突出長さで形成されていることから、第４図の矢線ａ
で示す乗員の側方斜め上方の視界が遮られ、視認性の向
上は望めない。

そこで、第１図に示すように、アウタサッシュ２の端
末フランジ12をサッシュ側面2aの延長上寄りに形成する
一方、インナサッシュ３の端末フランジ11もサッシュ側
面3aの延長上寄りに形成し、かつ、アウタサッシュ２の
端末フランジ12をインナサッシュ３の端末フランジ11よ
りも上方にオフセットして形成し、そして、これら端末
フランジ11,12に跨ってチャンネル材12を接合すること
が考えられる。

このドア構造によれば、チャンネル材13を端末フラン
ジ11,12にスポット溶接により接合することが可能とな
って、サッシュ剛性を高められることは勿論、端末フラ
ンジ11,12のオフセット形成により、側方斜め上方の視
界の拡大が図れ、ドアガラス６のサッシュ側面2a寄り配
置による積極的なフラッシュサーフエイス化の実現を可
能とすることができるが、端末フランジ11,12間の開口
幅が極端に拡大されるため、グラスランの保持性能が著
しく悪化してしまう。

そこで、本発明は、グラスランの保持を確実に行え
て、サッシュ剛性上および側方視界上有利な第１図に示
したドア構造の採用を可能として、フラッシュサーフエ
イス化を積極的に行うことができる車両のドア構造を提
供するものである。

課題を解決するための手段 本発明は、前記従来の車両のドア構造の実情に鑑みて
案出されたもので、サッシュ本体をアウタサッシュ及び
インナサッシュと、これらアウタサッシュとインナサッ
シュとの間に跨設されたチャンネル材とによって構成す
る車両のドア構造であって、 前記アウタサッシュとインナサッシュの内周縁部に、
段差状に折曲された有段部を介して端末フランジを設
け、 前記両サッシュ上辺部に位置するアウタサッシュ側の
端末フランジを、対応するインナサッシュ側の端末フラ
ンジよりも上方にオフセットして形成し、 前記チャンネル材に、前記オフセットして形成された
両端末フランジの基端側の間を跨ぐ傾斜部と、前記両端
末フランジに接合固定される両端部とを形成し、 前記両端末フランジに跨がって嵌着されるグラスラン
は、 前記アウタサッシュの端末フランジ側に偏寄して設け
られ、前記チャンネル材の傾斜部の傾斜角度に沿って形
成された案内壁と、 ドアガラスの車外側上端部に対向する側壁を有するガ
ラス収容溝と、 前記アウタサッシュの端末フランジの車外面に当接
し、前記有段部の深さに対応した深さのモール部と、 前記インナサッシュの端末フランジの車内面に当接す
るウエルト部と、 前記ガラス収容溝の内縁部に形成されたインナリップ
と、 前記側壁とモール部との間に形成され、前記アウタサ
ッシュの端末フランジが嵌入されるフランジ嵌着溝と、 によって構成され、 前記両端末フランジに、前記チャンネル材の傾斜部内
面とグラスランの案内壁外面との間に隙間をもたせて前
記グラスランを跨着した、 ことを特徴としている。

作用 ドアガラス上昇の際に、該ドアガラスの上縁部が車室
側に振れても、該ドアガラス上縁部がグラスランの案内
壁に当接すると、この案内壁の傾斜に沿ってガラス収容
溝の車外側の正規の位置に整然と収容される。

実施例 以下、本発明の実施例を図面と共に前記従来の構成と
同一部分に同一符号を付して詳述する。

第1,2図において、サッシュ本体１はアウタサッシュ
２とインナサッシュ３とを有し、これらアウタサッシュ
2,インナサッシュ３はサッシュ外周縁において巻締め結
合してあり、かつ、インナサッシュ３の外周部には棚部
７を形成して、この棚部７に車体開口縁部８に密接する
ドアウエザーストリップ９をリテーナ10を介して装着し
てある。

アウタサッシュ２の内周縁に有する端末フランジ12及
びインナサッシュ３の内周縁に有する端末フランジ11
は、それぞれ段差状に折曲された有段部11a,12aを介し
て各々のサッシュ2,3の側面2a,3aと平行面となるように
形成され、何れもサッシュ側面2a,3aの延長寄りに形成
してフランジ11,12間の開口部を幅広に形成してある。
そして、この両端末フランジ11,12の間にチャンネル材1
3を跨設すると共に、チャンネル材13の車内外側両端部1
3c,13dを両端末フランジ11,12に例えばスポット溶接に
よって接合固定し、これによってサッシュ内周部を補強
してある。

ここで、特にサッシュ上辺部1Aにあっては、前記アウ
タサッシュ２の端末フランジ12をインナサッシュ３の端
末フランジ11よりも上方にオフセットして形成してあ
る。また、このサッシュ上辺部1Aにあっては、前記チャ
ンネル材13は、前記両フランジ11,12を跨ぐように配設
された傾斜部13eが端末フランジ11,12のオフセット角度
に沿って傾斜状に配置してある。このチャンネル材13の
端末フランジ11,12との接合基部には、後述するグラス
ランの係着用の突縁部13a,13bをロール成形してある。

20は前記端末フランジ11,12に嵌着固定されるグラス
ランを示し、このグラスラン20は、硬質弾性材、例えば
リソッドゴムからなるベース部材21と、ベース部材21の
内周側外表面に一体成形された軟質弾性材、例えばスポ
ンジゴムからなる表皮部材22とで構成されている。

ベース部材21は、その内，外周縁に前記アウタサッシ
ュ２と端末フランジ12との間の前記有段部12aの高さ幅
とほぼ同幅のモール部30と、インナサッシュ３の端末フ
ランジ11の車内面に当接するウエルト部31とを有してい
ると共に、該モール部30と後述する側壁25bとの間にア
ウタサッシュ２の端末フランジ12が嵌入するフランジ嵌
着溝23が形成され、ウエルト部31の内側にインナサッシ
ュ３の端末フランジ11が嵌入するフランジ嵌着溝24が形
成されている。また、ベース部材21は内周の外縁側に偏
寄した位置にガラス収容溝25を有している。

前記フランジ嵌着溝23,24の各内縁部には、前記突縁
部13a,13bに係着する顎部26,27を突設してあり、このベ
ース部材21は、これらフランジ嵌着溝23,24を介して前
記各端末フランジ11,12とチャンネル材13との接合部に
嵌着，係合される。

また、前記表皮部材22は、本実施例ではグラスラン20
の内，外側面から内周外表面に亘って、および前記ガラ
ス収容溝25に亘って一体に形成してある。また、このガ
ラス収容溝25の溝縁には、ドアガラス６の内，外面に密
接するアウタリップ28とインナリップ29とを、前記表皮
部材22と一体に形成してある。アウタリップ28は短く、
インナリップ29は長く形成されて、それらの先端衝合部
がガラス収容溝25内の外縁寄りとなるようにして、ドア
ガラス６をこれらアウタリップ28,インナリップ29によ
り、ガラス収容溝25の外縁寄りで保持して、より一層フ
ラッシュサーフエイス化に寄与できるようにしてある。

前記ガラス収容溝25は、上記の案内壁25aが端末フラ
ンジ11,12のオフセット量，及びチャンネル材13の傾斜
部13eの傾斜角度に沿って傾斜状に形成されており、ま
た、車外側側部の前記側壁25bは、ドアガラス６の上端
部車外面6aを適宜当接支持するようになっている。さら
に、前記案内壁25aの車外側内面25cは適宜の曲率をもつ
傾斜状に形成されて、後述するドアガラス６上縁6bの摺
動ガイドをスムーズに行えるようにしてある。

さらに、前記チャンネル材13の傾斜部13e内面13fと前
記案内壁25aの外面との間には、均一巾の間隙32が形成
されている。

以上の実施例構造によれば、アウタサッシュ２の端末
フランジ12およびインナサッシュ３の端末フランジ11
は、何れもサッシュ側面2a,3aの延長状寄りに形成して
あって、これら各端末フランジ11,12にチャンネル材13
をスポット溶接できるためサッシュ剛性を著しく高めら
れる。

また、サッシュ上辺部にあっては、アウタサッシュ２
の端末フランジ12がインナサッシュ３の端末フランジ11
よりも上方にオフセットしていて、該上辺部ではグラス
ラン20の内周も傾斜成形されているため、乗員の側方斜
め上方の視界を拡大することができる。

一方、このグラスラン20は、ソリッドゴムからなるベ
ース部材21がフランジ嵌着溝24,25を介して前記各端末
フランジ11,12とチャンネル材13との接合部にしっかり
と係着，固定されるから、幅広の端末フランジ11,12間
にあっても些かも取り付け保持性を損なうことがない。

また、このベース部材21の内周の外縁寄りにガラス収
容溝25を設けてあって、その溝縁にスポンジゴムからな
る表皮部材22と一体にアウタリップ28,インナリップ29
を形成して、ドアガラス６をサッシュ外側寄りに保持で
きるようにしてあるため、フラッシュサーフエイス化を
より積極的に行わせることができる。

更に、ガラス収容溝25の案内壁25aの内周は前述のよ
うに傾斜成形してあるため、側方視界の拡大はもとよ
り、ドアガラス上昇時にその上縁を傾斜面に沿って摺動
ガイドして、ガラス収容溝25にスムーズに収容させるこ
とができる。

発明の効果 以上のように本発明によれば、アウタサッシュ，イン
ナサッシュの各端末フランジをサッシュ側面の延長上寄
りに形成してあるため、チャンネル材をこれら端末フラ
ンジにスポット接合できてサッシュ剛性を高めることが
できる。

また、サッシュ上辺部にあっては、アウタサッシュの
端末フランジをインナサッシュの端末フランジよりも上
方にオフセットして形成してあり、グラスランの内周も
このオフセット角度に沿って内縁側から外縁側に向けて
斜め上方に傾斜成形してあるため、側方視界を拡大する
ことができる。

さらに、グラスランのガラス収容溝の案内壁を、チャ
ンネル材の傾斜角度に沿って車外側を上方へ傾斜状に形
成したため、ドアガラスをサッシュ外側寄りに保持で
き、フラッシュサーフェイス化を積極的に行わせること
ができる。

さらにまた、インナサッシュの端末フランジは、グラ
スランのウエルト部によって覆われるため、車内側から
はサッシュ金属面が隠れるので見栄えも良好になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す第３図Ｉ−Ｉ線に沿う
断面図、第２図は同要部の断面図、第３図は本発明の対
象とするプレスドアを備えた自動車の斜視図、第４図は
従来の構造を示す第１図と同様の断面図である。 １……サッシュ本体、1A……サッシュ上辺部、２……ア
ウタサッシュ、３……インナサッシュ、６……ドアガラ
ス、11,12……端末フランジ、11a,12a……有段部、13…
…チャンネル材、13e……傾斜部、20……グラスラン、2
3,24……フランジ嵌着溝、25……ガラス収容溝、25a…
…案内壁、25b……側壁、29……インナリップ、30……
モール部、31……ウエルト部、32……隙間。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】サッシュ本体をアウタサッシュ及びインナ
   サッシュと、これらアウタサッシュとインナサッシュと
   の間に跨設されたチャンネル材とによって構成する車両
   のドア構造であって、 前記アウタサッシュとインナサッシュの内周縁部に、段
   差状に折曲された有段部を介して端末フランジを設け、 前記両サッシュ上辺部に位置するアウタサッシュ側の端
   末フランジを、対応するインナサッシュ側の端末フラン
   ジよりも上方にオフセットして形成し、 前記チャンネル材に、前記オフセットして形成された両
   端末フランジの基端側の間を跨ぐ傾斜部と、前記両端末
   フランジに接合固定される両端部とを形成し、 前記両端末フランジに跨がって嵌着されるグラスラン
   は、 前記アウタサッシュの端末フランジ部に偏寄して設けら
   れ、前記チャンネル材の傾斜部の傾斜角度に沿って形成
   された案内壁と、 ドアガラスの車外側上端部に対向する側壁を有するガラ
   ス収容溝と、 前記アウタサッシュの端末フランジの車外面に当接し、
   前記有段部の深さに対応した深さのモール部と、 前記インナサッシュの端末フランジの車内面に当接する
   ウエルト部と、 前記ガラス収容溝の内縁部に形成されたインナリップ
   と、 前記側壁とモール部との間に形成され、前記アウタサッ
   シュの端末フランジが嵌入されるフランジ嵌着溝と、 によって構成され、 前記両端末フランジに、前記チャンネル材の傾斜部内面
   とグラスランの案内壁外面との間に隙間をもたせて前記
   グラスランを跨着した、 ことを特徴とする車両のドア構造。