JP2710791B2 - 水洗式便器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、腰掛式の便器に係り、特にブロー作用によ
って洗浄水と汚物を排出するタイプの水洗式便器に関す
る。

〔従来の技術〕

腰掛式の水洗便器は、汚物及び洗浄水の排出形態によ
って、たとえばサイフォン式，サイフォンジェット式，
サイフォンボルテックス式、ウォッシュダウン式，ブロ
ーアウト式等に分類される。そして、その構造の典型
は、ボール部の上面周りにリム通水路を形成し、これを
通して洗浄水をボール部内に送り込み、トラップ流路を
経て汚物と共に排出するという点にある。

第７図はブローアウト式の水洗便器の従来構造を示す
断面図であり、これは実公昭56−17586号公報に記載さ
れているものである。

図において、便器本体１の後端側には、洗浄水タンク
又はフラッシュバルブ等からの洗浄水が流入する給水室
２を設けている。また、この給水室２の側部には導水路
３を縦方向に形成し、ボール部４の上端周囲には複数の
射水孔5aを開けたリム通水路５を形成し、更にトラップ
流路６をこのボール部４から排出口6aまでの間に設けて
いる。リム通水路５へは、導水路３の隔壁3aに開けた連
絡孔７を経てサブチャンバ８を通過する流路によって洗
浄水が供給される。一方、トラップ流路６の下には導水
路３に連通する連絡路９を形成すると共に、この連絡路
９とトラップ流路６との間の壁には２個の噴出孔10を開
けている。

このような構造において、給水室２に洗浄水が供給さ
れて導水路３に流入すると、連絡孔７からリム通水路５
に向かう流れと連絡路９に向かう流れとに別れる。そし
て、リム通水路５に送り込まれた洗浄水は射水孔5aから
ボール部４に排出される一方で、連絡路９を流れる洗浄
水は噴出孔10からトラップ流路６内に供給される。この
噴出孔10から洗浄水を勢いよく噴き出すことによって、
トラップ流路６内でのブロー作用を促進させ、洗浄水を
汚物と共に一気に排出することができる。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで、給水室２内には、通常の場合トラップ流路
６の形状によって決定される封水レベルＬまで水が溜ま
っている。そして、その上方は、リム通水路５を含めて
全体が空気によって占められている。この状態で洗浄水
を給水室２に送り込むと、給水室2,導水路３及びリム通
水路５内の空気は洗浄水により押し出される。すなわ
ち、給水室２及び導水路３内の空気は連絡孔７からリム
通水路５側及び連絡路９から噴出孔10側に押し出される
のである。

このような空気の押出しに際しては、空気が速やかに
排出されることが重要であり、これが図れないと洗浄水
との混合によって騒音が大きくなるほか、初期洗浄時の
連絡路９を流れる洗浄水の流速の低下によって噴出孔10
からの水の勢いが減衰し、ブロー効果が得られなくな
る。

しかし、図示の従来構造では、導水路３の隔壁3aはほ
ぼ鉛直の姿勢でありこれに連絡孔７を開けているので、
空気の流れに淀み点を生じやすい。この原因としては、
隔壁3aが鉛直姿勢なので空気の流路はほぼ直角に曲がる
ものとなり、流路抵抗が大きくなってしまうことがその
一つとして挙げられる。そして、このような空気の円滑
な排出ができないことによって、前記のように洗浄水を
供給したときの騒音が大きくなる。

また、隔壁3aと反対側の隔壁3b側部分は、連絡孔７か
ら離れているので、空気が排出される前に洗浄水の中に
巻き込まれる度合が大きい。このため、連絡路９へ向か
う洗浄水は空気を含んだものとなり、噴出孔10からの水
勢が減衰してブロー作用に支障をきたす結果となる。

そこで、本発明は、空気の排出を速やかに行わせるこ
とによって騒音を抑えると共に噴出孔によるブロー作用
も十分に確保可能とすることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の水洗式便器は、リム通水路と、このリム通水
路に洗浄水を導入するチャンバー部と、ボール部の底部
でこのボール部と連通するトラップ流路と、このトラッ
プ流路の下流側に向かって洗浄水を噴出する噴出孔と、
この噴出孔に洗浄水を導入する導水路を備えてなり、前
記導水路は、洗浄水の給水口から前記噴出孔側に向かっ
て傾斜した傾斜流路とし、更に、前記チャンバー部に対
する前記傾斜流路の流路壁に封水レベルより高い位置に
前記リム通水路に連通する連絡孔を設けたことを特徴と
する。

〔実施例〕

以下、図面に示す実施例により本発明の特徴を具体的
に説明する。

第１図は本発明の一実施例を示す水洗式便器の縦断面
図、第２図は一部切欠平面図、第３図は第２図のＩ−Ｉ
線矢視による断面図、第４図は第２図のII−II線（左上
がりのハッチング）及びIII−III線（右上がりのハッチ
ング）位置での断面を示すものである。なお、第７図の
従来例で示したものと同じ部材に付いては共通の符番で
指示し、その詳細な説明は省略する。

第４図に示すように、便器本体１の中央に給水室２が
設けられ、導水路３はトラップ流路６を迂回するように
右側に偏って形成されている。そして、流入口11によっ
て給水室２に連通すると共に下端に流出口12を設けて連
絡路９に流路を接続している。

導水路３は、第３図のように奥行き方向に間隔をおい
て形成した隔壁3a,3bを傾斜したものとして形成してい
る。すなわち、流路の下端側が便器本体１の前側に向か
うように傾斜し、一方の隔壁3aにサブチャンバ８に連通
する連絡孔７を開けている。また、サブチャンバ８に流
出孔8aを設け、これから洗浄水をリム通水路５に送り込
む。

なお、リム通水路５の内部には部分的に底壁を上げ底
状の段部14を形成してこれに射水孔14aを設けているの
で、洗浄水の供給時間を引き伸ばすことができ、封水レ
ベルの一時的低下を防止できる。

噴出孔10に向かう連絡路９は、ボール部３の最も深い
部分まで伸び、トラップ流路６側の壁に段部10aを設け
て噴出孔10をトラップ流路６内の流れ方向を向く姿勢と
している。そして、連絡路９の下側の壁は、第１段目の
噴出孔10の段部10aに対応するように隆起部13を設けて
いる。この隆起部13は、連絡路９の流路を絞り、通過す
る洗浄水の流速を上げる機能を持つ。なお、第５図は第
１図のIV−IV線による要部の断面図である。

以上の構成において、導水路３の隆起3a,3bは傾斜し
ているので、連絡孔７からの空気の排除が円滑に行われ
る。これは、上端の流入口11から流れ込む初期の洗浄水
は、第６図（ａ）のように隔壁3b側にまず流れ落ち、そ
の後同図（ｂ）に示すように連絡孔７側の隔壁3aに迫る
ようになることが一つの原因である。つまり、導水路３
内に滞留していた空気は、送り込まれる洗浄水によって
圧迫されるように連絡孔７側に封じ込まれ、洗浄水の満
水によって全てが連絡孔７からリム通水路５側に排出さ
れ、最終的に射水孔5aから排気される。

このように、導水路３を傾斜させ、その流路の上側に
相当する隔壁3aに連絡孔７を設けたことにより、滞留し
ている空気を速やかに排除できる。このため、洗浄水中
への混入がなく、洗浄音を小さくすることができる。ま
た、空気が洗浄水に巻き込まれる度合も小さくなり、連
絡路９を経て噴出孔10からトラップ流路６内に噴射され
る洗浄水の水勢も哀えることがなく、確実なサイホン効
果によって汚物の排出が適正に行われる。

〔発明の効果〕

以上に説明したように、本発明の水洗式便器において
は、リム通水路及びブローのための流路に洗浄水を送り
込む導水路を傾斜させ、リム通水路側に連通する連絡孔
側に空気を洗浄水によって封じ込めて排気するようにし
てある。このため、洗浄水中に空気が巻き込まれること
なく速やかに排出でき、洗浄音を低くできる。また、噴
出孔へ向かう洗浄水内に空気が混入しないので、トラッ
プ流路への洗浄水噴射も勢いよく行われ、ブロー作用の
促進も十分に達成でき、無駄に洗浄水を消費することも
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す水洗式便器の縦断面
図、第２図は一部切欠平面図、第３図は第２図のＩ−Ｉ
線矢視による要部断面図、第４図は第２図のII−II線及
びIII−III線位置における断面を同時に示し、第５図は
第１図のIV−IV線矢視による断面図である。また、第６
図は導水路からの空気排出を説明する概略図、第７図は
従来例を示すものである。 1:便器本体、2:給水室 2a:隔壁、3:導水路 3a,3b:隔壁、4:ボール部 5:リム通水路、5a:射水孔 6:トラップ流路、6a:排出口 7:連絡孔、8:サブチャンバ 9:連絡路、10:噴出孔 11:流入口、12:流出口 13:隆起部、14:段部 14a:射水孔

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】リム通水路と、このリム通水路に洗浄水を
   導入するチャンバー部と、ボール部の底部でこのボール
   部と連通するトラップ流路と、このトラップ流路の下流
   側に向かって洗浄水を噴出する噴出孔と、この噴出孔に
   洗浄水を導入する導水路を備えてなり、 前記導水路は、洗浄水の給水口から前記噴出孔側に向か
   って傾斜した傾斜流路とし、 更に、前記チャンバー部に対する前記傾斜流路の流路壁
   に封水レベルより高い位置に前記リム通水路に連通する
   連絡孔を設けたことを特徴とする水洗式便器。