JPH026149Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は水洗便器、特に洗浄水が便鉢洗浄用の
リム射水孔と、汚物排出用のトラツプ溜水面下に
開口する噴水孔とに分配して供給される形式の水
洗便器の改良に関する。

従来、リム射水孔とトラツプ溜水面下に位置す
る噴水孔とを有するものには、サイホン式、サイ
ホンジエツト式、ブローアウト式と称されるもの
がある。第４図と第５図に壁側に排水する構造の
サイホン式便器が示されており、給水源に連絡す
る給水室３０とリム連絡孔３１により連通するよ
うに便鉢３２上端に環状のリム通水路３３が形成
してあり、同通水路には便鉢３２方向に射水して
洗浄できるようにリム射水孔３４が穿設してあ
る。またトラツプ部３５の溜水面下に開口する噴
水孔３６が上記給水室３０に連絡して設けられ
て、同噴水孔から排水路３７へ向けて吐水し汚物
を押し流して排出するようにしている。またこの
噴水孔３６からの噴流により、特にサイホン式お
よびサイホンジエツト式の便器においてはサイホ
ン現象を助長させることができるようにしてい
る。

上記構成の便器においては、リム射水孔３４か
らの吐水量と噴水孔３６からのそれとの比を、便
鉢３２の最適洗浄と排水路３７からの汚物の押出
し排出を効率的に行うためにある一定の値となる
ようにする必要がある。この吐水量比を決定する
ものは、給水室３０とリム通水路３３とを連絡す
るリム連絡孔３１、及び噴水孔３６の開口面積の
大小であり、開口面積が大のほうには多量の吐水
が、又、開口面積が小のほうには少量の吐水がな
されて二吐水量に一定の比を持たせることができ
る。

また二方向からの吐水量の比は便器の形式や洗
浄水流路細部の構造などにより異なるが、一般に
は噴水孔３６からの吐水量のほうがリム射水孔３
４からのそれよりも多くなるようにしている。従
つて前述の開口面積の関係から、リム射水孔３４
からの吐水を小となすためにリム連絡孔３１を小
さくして開口面積が狭くなるように構成してい
る。

以上のような構造においては、洗浄用タンクや
フラツシユバルブ等から供給される洗浄水は、給
水室３０からリム連絡孔３１を通つてリム通水路
３３内に入る。この時、給水室３０内で水の中に
混入し圧縮された気泡が開口面積の小さいリム連
絡孔３１を経てリム通水路３３内に流入した時点
で膨張して騒音を発生するという欠点がある。

本考案は以上のような問題を解消しようとする
もので、洗浄水吐水初期において、リム連絡孔を
洗浄水が通過する際に生ずる騒音を低減させるこ
とを目的とするものである。

本考案は、リム通水路及びトラツプ部の噴水部
への流路を持つ水洗便器において、前記リム連絡
孔へ入り込む水を流入直前で迂回させる流路抵抗
体を前記給水室に設け、前記リム連絡孔の開口面
積を、前記流路抵抗体による流路抵抗分の流量減
少を補償する大きさとし、前記給水室からリム通
水路及び噴水孔までの流路を、前記リム通水路側
へ向かう流量が噴水孔へ向かう流量よりも小さく
設定可能な構成としたものである。

給水室からリム通水路へ向かう水は流路抵抗体
による流路抵抗を受けるが、これによるリム通水
路側への流量の減少を補償できる開口面積をリム
連絡孔に持たせることによつて、リム通水路側へ
の流量低下がなくなると同時に、リム通水路への
流入流速を低下させて気泡の急激膨張を抑え、騒
音の発生を防止する。また、噴水孔側への流量よ
りもリム通水路側への流量が小さくなるような流
路構造とすることにより、噴水孔側とリム通水路
側への流量比も洗浄に好適な値に設定できる。

以下、添付図面に示す実施例に基いて説明す
る。第１図、第２図、及び第３図に本考案に係る
水洗便器が示されており、これは前述の従来型と
同様の壁排水型であり、構造も要部を除いて同じ
である。

図中１は便器本体、２は給水源側に連絡する給
水室で、同給水室は従来型より開口面積の大きい
リム連絡孔３により便鉢４の上端外周に設けられ
る中空環状のリム通水路５に連通し、同リム通水
路５の下部壁にはリム射水孔６が便鉢４方向に所
要ピツチにて穿設してある。７は給水室２に中空
の側路１２により連絡し便鉢４下部のトラツプ部
８に開口する噴水孔で、同噴水孔からの噴流はト
ラツプ部８以降の排水路９に至り、排出口１０よ
り排便管（図示せず。）へ流出する。

リム連絡孔３の開口域の前方であつて給水室２
内の上壁２ａから所要量下方に伸延する流路抵抗
体をなす障壁１１が形成してある。本実施例では
リム連絡孔３は第２図で示すように便器本体軸線
より偏心して設けてあり、このために、障壁１１
はリム通水路５側の隔壁２ｂと軸線方向の一側壁
２ｃとを連絡するような〓状断面に形成してい
る。

上記構成により給水源から給水室２へ供給され
た洗浄水は、第１図、第２図の矢印Ａ，Ｂで示す
ようにリム連絡孔３、及び側路１２を経て噴水孔
７の二方向へ分流する。この時、第１図で示すよ
うにリム連絡孔３へ向う水の流線は障壁１１によ
り屈曲させられ同障壁１１が流路抵抗を増大する
ように作用し、従つてリム連絡孔３に達する水の
流速は低下する。故にリム連絡孔３からリム通水
路５内に流入する流速が小となるためと、同リム
連絡孔３の開口面積が大きいために、同リム連絡
孔通過後にリム通水路５内に流入する時の流路拡
開度が小さくでき圧縮気泡の膨張を抑制できるの
で騒音の発生を低減させることができる。

前述したようにリム射水孔６からと噴水孔７か
らの吐水量はある一定の比を満足することが必要
であるが、このためにリム連絡孔３の開口面積及
び同連絡孔を通過する水の流速に影響を与える障
壁１１の流路抵抗を予め算定して、リム連絡孔３
及び障壁１１の寸法形状を決定する。

即ち、障壁１１を設けて流路抵抗を増して流速
を減じた分リム連絡孔３の開口面積を水が流入し
やすいように大きくしてやれば良く、これは「流
体の連続の式」を用いれば大概の算定ができる。

このことを実際の寸法値で示すと、従来型で述
べた水洗便器のリム連絡孔３１の開口は15×30mm
でありリム射水孔３４からの吐水量と噴水孔３６
からの吐水量の比は略６：４であつた。一方、本
考案の便器において障壁１１を設けて、リム連絡
孔３の開口を17×40mmとすれば上記の吐水量比は
同じく６：４とすることができた。

第６図と第７図に本考案に係る水洗便器と従来
型のものとを使用した場合の洗浄時騒音の測定デ
ータが示されており、両データは横軸に時間を、
縦軸に騒音値（単位；dB）がとつてある。

両データにおいて時間帯域Ｔが、洗浄開始直後
において洗浄水が給水室２，３０からリム連絡孔
３，３１を経てリム通水路５，３３に流入する時
点である。両データを比較すると、本考案による
ものは従来型のものに比べピーク時で約4dB、時
間帯域Ｔの平均で約5dB程度低くなつており、騒
音値の低減がこれにより確認された。

尚、噴水孔７からも気泡を含んだ水が吐出され
るが、溜水面下であるため騒音が伝播するのは極
めて少ない。

以上のように本考案によれば、リム射水孔から
と、噴水孔からの吐水量の割合を最適状態に保つ
たままで、洗浄初期騒音を低減できるという効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る水洗便器の側断面図、第
２図は同第１図の−線で切欠した１部切欠平
面図、第３図は第１図の−線で切欠した一部
切欠正面図、第４図は従来型の水洗便器の側断面
図、第５図は同第４図の−線で切欠した一部
切欠平面図、第６図、第７図は各々本考案に係る
水洗便器及び従来型水洗便器の洗浄時騒音を示す
測定データである。 １……便器本体、２……給水室、３……リム連
絡孔、４……便鉢、５……リム通水路、６……リ
ム射水孔、７……噴水孔、８……トラツプ部、１
１……障壁（流路抵抗体）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 便器本体の便鉢上端縁の全外周に亘つて、給水
   室にその一端を開口してリム連絡孔となる中空環
   状のリム通水路を形成し、同リム通水路に便鉢方
   向に開口するリム射水孔を所要ピツチにて穿設
   し、かつ上記給水室に連絡しトラツプ部の溜水面
   下に開口する噴水孔を有する構成の水洗便器であ
   つて、 前記リム連絡孔へ入り込む水を流入直前で迂回
   させる流路抵抗体を前記給水室に設け、 前記リム連絡孔の開口面積を、前記流路抵抗体
   による流路抵抗分の流量減少を補償する大きさと
   し、 前記給水室からリム通水路及び噴水孔までの流
   路を、前記リム通水路側へ向かう流量が噴水孔へ
   向かう流量よりも小さく設定可能な構成としたこ
   とを特徴とする水洗便器。