JPH0223661Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はトラツプ排水路の上方に流入口を有し
流入口からの洗浄水がリム通水路、連通路を経
て、トラツプの溜水内に開穿された射出孔より流
出する水洗便器の改良に関するものであり、目的
とするところは、該射出孔へ通じる連通路内の空
気を迅速に便器外へ排出すると共に便器内を洗浄
する機能を兼ね備えた射水孔を開穿し、消音機能
および洗浄機能を向上するにある。

従来、第１図に示す如く、射出孔Ａからの射出
水により排水路Ｂ内を満水状態にし、サイホン作
用を起させ汚物を排出するサイホン式水洗便器Ｃ
はトラツプＤ内の溜水と同水位の溜水面Ｌを有す
る連通路Ｅ内上方の上部室Ｆの空気が、流入口
Ｇ、リム通水路Ｈより流入した流入水により、前
記連通路Ｅの上部側左右に集合するが流入口Ｇ、
リム通水路Ｈから引き続き流入する水によつて、
逃げ場のなくなつた空気は前記流入水により、射
出孔Ａ方向へ押し流され、該射出孔Ａよりトラツ
プＤ溜水内を気泡として上昇し鉢部Ｉ内へ流出す
るか、あるいは前記射出孔Ａより排水路Ｂ内へ流
出するため、前者の場合は気泡の上昇音が発生
し、洗浄音を増大させる主因となつたり、後者の
場合は排水路Ｂ内を満水状態にする時間が長くな
るため、サイホン作用が起動する時期が遅れ、洗
浄機能を低下させる原因となつたりしていた。

また、洗浄機能を低下させることにより汚物を
排出するのに余分な洗浄水が必要となり、節水の
点で問題があつた。

このため、第２図に示す如く、実公昭58−
20707号公報に記載のような排気孔Ｊを開穿した
ものがあるが排気孔Ｊより流出する水の飛散を防
止するために製造上遮蔽板Ｋを鉢部Ｉ壁面に形成
する手間を要すると共に遮蔽板Ｋによつて該遮蔽
板Ｋ附近が汚れやすい欠点があつた。

また、排気孔Ｊが空気の逃げやすい場所に開穿
されていないから洗浄時に例えばサイホン作用を
起すための流水が給水口Ｍより連通路Ｅ内に流入
した際上部室Ｆ内の空気はすみやかに排気孔Ｊよ
り排出されないおそれがあつた。

本考案は上記の如き状況に鑑み、従来の欠点を
除くためになされたもので、以下に図面を参照し
ながら説明する。

第３図ないし第６図は本考案の実施例を示すも
のであつて、第３図は縦断面図、第４図は−
断面図、第５図は−断面図、第６図は要部斜
視図であり、流入口７からの洗浄水が複数のリム
流水口１１を有するリム通水路１０、連通路５を
経て、トラツプ４の溜水内に開穿された射出孔１
より流出する従来公知のサイホン式水洗便器３に
おいて、リム通水路１０の下方に位置する鉢部８
壁面に設けられた連通路５の上方に位置する上部
室６左右に、便器後方に向けて洗浄できると共に
空気抜き機能を兼ね備えた射水孔９を略水平に開
穿せしめたものである。

尚、上部室６は連通路５の横断面積よりも広く
なる如く拡開されており、第４図に示す矢印の如
く水がリム通水路より流出する場合射水孔９の方
が射水孔９′よりも大径となる様に設けられてい
るものである。

本考案は以上のように構成されているため、洗
浄時に例えばサイホン作用を起すための流水が流
入口７、リム通水路１０より連通路５内に流入し
た際上部室６内の空気は、空気が逃げやすい様に
拡開された上部室６の上方場所に開穿された２ケ
の射水孔９からすみやかに排出され、流入水は空
気を混入することなく射出孔１を経て排水路２を
満水状態とし、サイホン作用を起動させ溜水内の
汚物を排出されるものである。

また、上部室６内の空気が射水孔９からすみや
かに排出された後は、左右の射水孔９から、流入
水が便器後方に向けて矢印Ｐの如く射水され、便
器鉢部８が洗浄されることとなるものである。

このとき射水孔９が射水孔９′より径大となさ
れているので流水方向に対し空気及び水の流出抵
抗を小さくでき、前記両射水孔より迅速かつ均一
に空気及び水を流出させることができる。

以上説明したように、本考案による便器は従来
の便器の連通路上方に射水孔９を開穿するのみ
で、鉢部内に上昇する気泡の上昇音を全くなくす
ことができ、洗浄音が大幅に低減されるとともに
排水路内への気泡流出もなくなるため速やかに排
水路内を満水状態にでき、サイホン作用を早く起
させすみやかに汚物排水及び洗浄をするため、洗
浄水を有効に利用できるものとなる。また、従来
の便器に射水孔９を開穿するのみであるから、製
作が容易で安価に製造できるものとなり、実用的
価値の極めて高いものとすることができる。

尚、本考案は上記実施例に限定されるものでは
なく、たとえば連通路の上方に設けられる上部室
は連通路よりも拡開されたものでなくて、連通路
と同面積のものとしてもよいし、射水孔２ケに限
らず、左右に２ケづつ設けたり、大きさも左右同
じものとしたり、又、形状も楕円孔や横長孔や縦
長孔状とすることもできる等、種々なる点に於て
要旨を逸脱しない範囲で変形して実施し得るもの
である。

本考案は以上述べた如く、少ない水量で効率良
く汚物を排出でき洗浄音が静かで汚れやすい便器
前部をきれいに洗浄できる水洗便器を製造コスト
を高めることなく提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであり、第
１図及び第２図は従来の構造図、第３図は本考案
の構造縦断面図、第４図は同−断面図、第５
図は同−断面図、第６図は同要部一部切欠き
斜視図である。 図中、１……射出孔、２……排水路、３……水
洗便器、４……トラツプ、５……連通路、６……
上部室、７……流入口、８……鉢部、９……射水
孔、１０……リム通水路、１１……リム流水口を
示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 流入口７からの洗浄水がリム通水路１０、連
   通路５を経て、トラツプ４の溜水内に開穿され
   た射出孔１より流出する水洗便器３において、
   リム通水路１０の下方に位置する鉢部８壁面に
   設けられた連通路５の上方左右に、便器後方に
   向けて洗浄できると共に空気抜き機能を兼ね備
   えた射水孔９を、略水平に穿設したことを特徴
   とする水洗便器。 ２ 連通路５の上方は該連通路よりも広く拡開さ
   れており、射水孔９は前記拡開された部分の左
   右にそれぞれ径の異なる射水孔が穿設されたこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   に記載の水洗便器。