JPH0860730A - 水洗便器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボウル内に溜める溜水の水位を任意高さに調
整し、利便性を向上させる。 【構成】 ボウル１と排出口１１とを連通させる汚物等
の排水管路９，１２に、この排水管路９，１２のボウル
１側から立ち上がり、屈曲した後に下方へと向かい、排
出口１１側に接続されるオーバーフロー排水管１４が設
けられ、このオーバーフロー排水管１４にはその内面に
検知部を臨ませて水位センサー１５が設けられるととも
に、水位センサー１５の水位検知に基づいてボウル１へ
の給水を停止する制御部７が設けられて、ボウル１内の
溜水１３の水位を任意高さに調整可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、水洗便器に関するも
のである。さらに詳しくは、この発明は、ボウル内の溜
水の水位を任意高さに調整することのできる、利便性に
優れた水洗便器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、住宅等のトイレには、様々な
構成と構造とを有する各種の水洗便器が使用されてきて
おり、たとえば図２の断面図に示したような洗い落とし
式の水洗便器が知られている。この図２に例示した洗い
落とし式の水洗便器では、ボウル（ア）に供給する水の
勢いによって、汚物等をボウル（ア）底部の排水口
（イ）から排水管路（ウ）を通じて外部に排出するよう
にしている。

【０００３】この他にもサイフォン式、サイフォンジェ
ット式等の水洗便器が知られてもおり、サイフォンジェ
ット式の水洗便器についてはたとえば図３の断面図に示
すことができる。この図３に例示したサイフォンジェッ
ト式の水洗便器の場合には、サイフォン作用を利用して
ボウル（ア）内部の汚物を排出する。

【０００４】すなわち、ボウル（ア）の底部に設けられ
た排水口（イ）に、導水路（エ）を流れる水がその底部
ジェット孔（オ）から噴出することによって強制的な排
水流が起こる。この排水流は、排水管路（ウ）内部を満
水状態とするとともに、一部の水が一気に流れることか
らその満水部分に吸引圧が生じ、その時の吸引力によっ
てボウル（ア）内の汚物等が排出されるのである。

【０００５】これらの図２及び図３に例示したような水
洗便器においては、いずれの場合も、ボウル（ア）内に
は溜水（カ）を形成し、排水管路（ウ）を通じて流れ込
む悪臭を防止するなどしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、たとえ
ばこれらの図２及び図３に例示したような水洗便器にお
いては、ボウル（ア）内の溜水（カ）の水位は、排水管
路（ウ）に形成したトラップ部（キ）の高さにより決め
られ、水位を変更することはできなかった。このため、
たとえば図２に示した洗い落とし式の水洗便器の場合に
は、溜水（カ）の水位は、図３に示したサイフォンジェ
ット式の水洗便器に比べて低く、排水管路（ウ）から悪
臭が上がってきやすいという問題があり、また、この場
合には、溜水（カ）の量が十分でないために、ボウル
（ア）の内面に便が付着しやすいという問題もあった。

【０００７】一方、図３に示したサイフォンジェット式
の水洗便器の場合には、溜水（カ）の水位は、図２の洗
い落とし式の水洗便器よりも高くなっているが、そのた
めに、常に通水量が多くなり、不経済であるとともに、
排便時に水が跳ね上がるという問題もあった。この発明
は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従
来の水洗便器の欠点を解消し、ボウル内の溜水の水位を
任意高さに調整することのできる、利便性に優れた水洗
便器を提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、ボウルと排出口とを連通させる
汚物等の排水管路に、この排水管路のボウル側から立ち
上がり、屈曲した後に下方へと向かい、排出口側に接続
されるオーバーフロー排水管が設けられ、このオーバー
フロー排水管にはその内面に検知部を臨ませて水位セン
サーが設けられるとともに、水位センサーの水位検知に
基づいてボウルへの給水を停止する制御部が設けられ
て、ボウル内の溜水の水位を任意高さに調整可能とした
ことを特徴とする水洗便器を提供する。

【０００９】

【作 用】この発明の水洗便器においては、ボウルと排
出口とを連通させる汚物等の排水管路に、この排水管路
のボウル側から立ち上がり、屈曲した後に下方へと向か
い、排出口側に接続されるオーバーフロー排水管が設け
られ、このオーバーフロー排水管にはその内面に検知部
を臨ませて水位センサーが設けられるとともに、水位セ
ンサーの水位検知に基づいてボウルへの給水を停止する
制御部が設けられる。

【００１０】ボウル内に溜められる溜水の水位は、水位
センサーの検知信号に基づいて決められるため、従来の
水洗便器のように、排水管路のトラップ部によって溜水
の水位が決められることはない。その水位は任意の高さ
とすることができ、利用者の好みなどに応じて適宜な水
位が実現される。ボウルから溢れることのない範囲で任
意の高さまで溜水を溜めることができる。

【００１１】

【実施例】以下、図面に沿って実施例を示し、この発明
の水洗便器についてさらに詳しく説明する。図１は、こ
の発明の水洗便器の一実施例を示した断面図である。た
とえばこの図１の例においては、ボウル（１）の上端縁
に沿ってその全周にリム（２）が設けられており、その
内部に洗浄水の通水路（３）が形成されている。また、
リム（２）の底部には、複数の射水孔（４）が形成され
ている。この射水孔（４）は、通水路（３）と連通して
いる。リム（２）には、便器後方に延びる給水管（５）
を介して水道管が直結されている。その管路には、管路
開閉用の電磁弁（６）が設けられている。電磁弁（６）
の動作制御は、制御部（７）によって行われるようにし
ており、これらの電磁弁（６）及び制御部（７）は電気
的に接続されている。また、電磁弁（６）及び制御部
（７）は、便器後方の上部に内蔵されている。

【００１２】またこの図１の例においては、ボウル
（１）の底部に排水口（８）が形成され、この排水口
（８）から便器後方に水平な排水管（９）が接続されて
いる。排水管（９）の終端開口部には、その上端部を中
心として回動する洗浄弁（１０）が設けられている。こ
の洗浄弁（１０）の回動により、排水管（９）の終端開
口部は開閉される。また、排水管（９）の終端部には、
底部終端に排出口（１１）を有する排出管（１２）が連
結されている。これらの排水管（９）及び排出管（１
２）によって、水洗便器の排水管路を形成している。

【００１３】たとえば以上の構成を有する水洗便器で
は、水道管より供給される洗浄水は、電磁弁（６）及び
給水管（５）を介してリム（２）に送られた後、射水孔
（４）より流出してボウル（１）内に溜められ、溜水
（１３）が形成される。排便後に汚物等を排出する場合
には、洗浄弁（１０）を回動させて排水管（９）の終端
開口部を開放する。すると、ボウル（１）内の溜水（１
３）は、それ自身の水頭圧により排水口（８）から流出
する。このため、汚物等は、排水管（９）及び排出管
（１２）を通って排出口（１１）より便器外部に排出さ
れる。これと連動して、リム（２）に洗浄水が供給さ
れ、射水孔（４）から噴出するこの洗浄水によってボウ
ル（１）内面の洗浄が行われる。汚物等の排出後には、
洗浄弁（１０）は初期状態に復帰し、排水管（９）の終
端開口部を閉鎖し、ボウル（１）内にはリム（２）の射
水孔（４）から流れ出る洗浄水によって溜水（１３）が
再び溜められる。

【００１４】洗浄弁（１０）の駆動機構については特に
制限はなく、電動又は手動の各種の機構を任意に採用す
ることができる。さらにこの例においては、排水管
（９）と排出管（１２）とをオーバーフロー排水管（１
４）によって接続し、排水管（９）及び排出管（１２）
により形成される排水管路とは別の排水管路を形成して
いる。このオーバーフロー排水管（１４）を通じて余剰
の排水を排出することができ、たとえばボウル（１）か
ら水が溢れるなどの問題を解消することができる。オー
バーフロー管（１４）は、排水管（９）の終端部から立
ち上がり、屈曲した後に下方へと向かい、排出管（１
２）の排出口（１１）側に接続されている。このような
オーバーフロー排水管（１４）の経路については特にこ
の例に限定されることはなく、上方に立ち上がった後に
屈曲して下降することを基本として適宜な形態とするこ
とができる。

【００１５】また、オーバーフロー排水管（１４）に
は、その内面に検知部を臨ませて水位センサー（１５）
が設けられている。水位センサー（１５）は、制御部
（６）と電気的に接続されている。ボウル（１）内に洗
浄水が供給されると、オーバーフロー排水管（１４）に
も洗浄水は入り込む。この時のオーバーフロー排水管
（１４）の水位は、ボウル（１）の溜水（１３）の水位
と同一となる。水位センサー（１５）の検知部が水位を
検知すると、その水位検知信号を受けて制御部（７）が
給水停止を指示し、電磁弁（６）を閉鎖させる。つま
り、ボウル（１）内には、オーバーフロー排水管（１
４）に設置した水位センサー（１５）の高さ（ｌ）まで
溜水（１３）を溜めることができる。

【００１６】このように、水位センサー（１５）が水位
を検知するまで洗浄水をボウル（１）に供給することが
できるため、常に、一定量の溜水（１３）を溜めること
ができる。溜水（１３）の水位が、たとえば水道圧や排
水管路の構成などによって変動することはない。また、
水位センサー（１５）をオーバーフロー排水管（１４）
に設けるため、水位センサー（１５）が外部に露出する
ことはなく、動作の安全性が確保される。しかもその設
置に特別な構造を必要としない。水位センサー（１５）
は、簡便に設置することができる。

【００１７】さらに、ボウル（１）内に溜められる溜水
（１３）の水位は、水位センサー（１５）の検知信号に
基づいて決められるため、その水位は任意の高さとする
ことができる。つまり、水位センサー（１５）の設置高
さ（ｌ）や、制御部（７）による動作制御方式を適宜な
ものとすることによって、たとえば利用者の好みなどに
応じて適宜な水位が実現される。ボウル（１）から溢れ
ることのない範囲で任意の高さまで溜水（１３）を溜め
ることができる。水洗便器使用の利便性が向上する。

【００１８】この溜水（１３）の水位は、変更すること
も可能である。たとえば、この図１の例に示したよう
に、水位センサー（１５）を一つだけオーバーフロー排
水管（１４）に設ける場合には、水位センサー（１５）
は、溜水（１３）の基準水位に合わせて設置することが
できる。そして、水位センサー（１５）による水位検知
から給水停止までの給水停止時間を変更することによ
り、ボウル（１）内の溜水（１０）の水位を所望の高さ
に変更することができる。すなわち、制御部（７）にタ
イマーを設け、このタイマーに水位検知から給水停止ま
での給水停止時間を設定しておき、これを変更可能とす
る。給水停止時間の変更は、操作スイッチ（１６）を設
けた水位調整部（１７）によって行わせる。この水位調
整部（１７）は、制御部（７）に電気的に接続し、利用
者が操作しやすいように便器後方の上部に内蔵すること
ができる。たとえば操作スイッチ（１６）を操作し、水
位センサー（１５）の水位検知から給水停止までの給水
停止時間を長くすることによって、ボウル（１）内に溜
める溜水（１３）の水位を上昇させることができ、たと
えば図１図中の高さ（ｈ）まで溜めることができる。

【００１９】この他、複数の水位センサー（１５）をオ
ーバーフロー排水管（１４）に高さを変えて設置し、水
位調整部（１７）の操作スイッチ（１６）によって水位
検知を行う水位センサー（１５）を選択し、切り換える
ようにすることもできる。このような溜水（１３）の水
位の変更によって、水洗便器使用の利便性がさらに向上
する。

【００２０】なお、水洗便器の汚物等の排出機構につい
ては、図１の例に示した洗浄弁（１０）を用いたものに
限定されることはなく、洗い落とし式、サイフォン式、
サイフォンジェット式等の従来公知のものを採用するこ
ともできる。

【００２１】

【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、ボウル内に溜める溜水の水位を任意の高さに調節
することができ、水洗便器使用の利便性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の水洗便器の一実施例を示した断面図
である。

【図２】従来の水洗便器を示した断面図である。

【図３】従来の水洗便器を示した断面図である。

【符号の説明】

１ ボウル ２ リム ３ 通水路 ４ 射水孔 ５ 給水管 ６ 電磁弁 ７ 制御部 ８ 排水口 ９ 排水管 １０ 洗浄弁 １１ 排出口 １２ 排出管 １３ 溜水 １４ オーバーフロー排水管 １５ 水位センサー １６ 操作スイッチ １７ 水位調整部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松下 芳朗 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボウルと排出口とを連通させる汚物等の
   排水管路に、この排水管路のボウル側から立ち上がり、
   屈曲した後に下方へと向かい、排出口側に接続されるオ
   ーバーフロー排水管が設けられ、このオーバーフロー排
   水管にはその内面に検知部を臨ませて水位センサーが設
   けられるとともに、水位センサーの水位検知に基づいて
   ボウルへの給水を停止する制御部が設けられて、ボウル
   内の溜水の水位を任意高さに調整可能としたことを特徴
   とする水洗便器。
2. 【請求項２】 オーバーフロー排水管の内部には複数の
   水位センサーがそれぞれ異なる高さに設置され、制御部
   には、それらの水位センサーの内の一つを任意に選択
   し、ボウル内の溜水の水位を変更させる水位調整部が接
   続された請求項１記載の水洗便器。
3. 【請求項３】 オーバーフロー排水管の内部には一つの
   水位センサーが設けられるとともに、制御部にはタイマ
   ーが備えられ、このタイマーには水位センサーの水位検
   知からボウルへの給水を停止するまでの給水停止時間が
   設定されており、さらに制御部には、タイマーに設定さ
   れた給水停止時間を変更させ、ボウル内の溜水の水位を
   変更させる水位調整部が接続された請求項１記載の水洗
   便器。