JP2708948B2 - 焼却施設における飛灰処理方法および同装置 - Google Patents

焼却施設における飛灰処理方法および同装置

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は流動床焼却炉を備えた焼却施設において、焼
却炉からの排ガス中から捕集された飛灰に含まれるダイ
オキシン類を除去処理する飛灰処理方法および同装置に
関するものである。
〔従来の技術〕
焼却施設の概要を第4図によって説明する。
流動床焼却炉1から出る排ガスは、排ガス処理設備2
に導入され、ガス冷却装置3による冷却工程を経て、除
去装置4により塩化水素や硫黄酸化物、煤塵等の有害物
質を除去された後、煙突5から大気に放出される。
一方、排ガス処理設備2で捕集された灰分、すなわち
飛灰には、主として焼却炉1での都市ごみ等の燃焼によ
って生成されたダイオキシン類が含有されている。近
年、このダイオキシン類が催奇性や発ガン性を有し、社
会環境に重大な影響を与えるものとして注目され、近い
将来規制されると考えられる。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、現在のところ、このダイオキシン類に関す
る現実的な処理方法としては未だ確立されておらず、種
々の実験が行なわれているにとどまる。
そのうちの有力な一つの方法として、ダイオキシン類
が還元雰囲気内で高温(500℃以上)で加熱することに
よって熱分解しやすいことに着目し、飛灰を密閉装置内
に入れて、外部からバーナや電気ヒータで加熱する方法
が提案されている。
しかし、このような加熱器を熱源とする方法では、密
閉装置を含めて設備が大がかりとなり、設備費が高くつ
くとともに、電気代や燃料代によってランニングコスト
も高くなる。
一方、熱源として、焼却炉から出る排ガスを利用する
ことが考えられるが、この排ガス中には塩化水素や硫黄
酸化物等の腐蝕性ガスが含まれているため、密閉装置の
腐蝕が激しく、その寿命が短くなるという問題がある。
そこで本発明は、このようなコストおよび装置の腐蝕
の問題を解決し、しかもダイオキシン類を確実に処理す
ることができる焼却施設における飛灰の処理方法および
同装置を提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
請求項1の発明(飛灰処理方法)は、流動床焼却炉か
らの排ガス中から捕集された飛灰を、上記流動床焼却炉
の不燃物抜出し経路内に導入し、この不燃物抜出し経路
を通って炉外に抜出される流動媒体および不燃物を熱源
として加熱することにより、飛灰に含まれたダイオキシ
ン類を熱分解処理した後、この処理済み飛灰を不燃物抜
出し経路外に取出すものであるものである。
また、請求項2の発明(飛灰処理装置)は、流動床焼
却炉と、この焼却炉から排出される排ガス中から飛灰を
捕集する排ガス処理装置とを備えた焼却施設において、
上記排ガス処理装置によって捕集された飛灰を上記流動
床焼却炉の不燃物抜出し経路における抜出し管内に供給
する飛灰供給手段と、上記不燃物抜出し管内での流動媒
体および不燃物により加熱されてダイオキシン類の熱分
解処理を施された処理済み飛灰を流動媒体および不燃物
から分離して不燃物抜出し経路外に排出する飛灰分離手
段とを具備してなるものである。
さらに、請求項3の発明(飛灰処理装置)は、流動床
焼却炉と、この焼却炉から排出される排ガス中から飛灰
を捕集する排ガス処理装置とを備えた焼却施設におい
て、上記排ガス処理装置によって捕集された飛灰が通さ
れる飛灰通し管が、上記流動床焼却炉の不燃物抜出し経
路における抜出し管に、この抜出し管内を移動する流動
媒体および不燃物によって加熱される状態で付設されて
なるものである。
〔作用〕
炉外に抜出される不燃物および流動媒体は、600℃以
上の高温状態で不燃物抜出し経路を移動し、かつ、経路
外に出るまで30分〜60分を要する。
従って、この抜出し経路内の流動媒体および不燃物で
飛灰を加熱する本発明方法および装置によると、飛灰
を、ダイオキシン類が熱分解しやすい還元雰囲気中で、
十分高い温度と長い時間をかけて加熱しうるため、ダイ
オキシン類を確実に熱分解処理することができる。
しかも、バーナや電気ヒータ等の外部加熱器が不要で
あり、そのための電気代や燃料代も不要となる。このた
め、設備費およびランニングコストが非常に安くてす
む。
また、不燃物抜出し経路内には炉内の燃焼ガスが含ま
れないため、この燃焼ガスに含まれる塩化水素や硫黄酸
化物等の腐蝕性ガスによる設備の腐蝕の問題がない。
〔実施例〕
本発明の実施例を第1図乃至第3図によって説明す
る。
第1実施例(第1図参照) 6は流動床焼却炉の炉本体で、この炉本体6内の炉床
(分散板)7上に流動媒体(通常は砂)からなる流動層
8が設けられ、一次空気がこの流動層8に供給されるこ
とにより、流動層8上に投入された都市ごみ等の被焼却
物が流動層とともに流動しながら一次燃焼してガス化す
る。
この燃焼ガスは、炉本体6内の上部に設けられた二次
燃焼室(図示せず)で二次空気と混合されて二次燃焼し
た後、排ガスとして排出され、前記したように第4図の
排ガス処理設備2によって処理される。
また、炉床7の中心部には不燃物抜出し口9が設けら
れ、がれきや金物等の不燃物が、流動媒体とともにこの
抜出し口9から、抜出し管10、排出機11、振動ふるい機
12からなる不燃物抜出し経路を通って炉外に取出され
る。
一方、抜出し管10の上端部側面に飛灰供給機13が設け
られ、第4図の排ガス処理設備2により排ガス中から捕
集されて飛灰貯槽14に移された飛灰がこの飛灰供給機13
を介して抜出し管10内に投入される。
なお、排ガス処理設備2と飛灰貯槽14とは図示しない
移送管路によって接続し、飛灰を両者間で自動移送する
ようにしてもよいし、排ガス処理設備2から一旦別の容
器に受けて移送し、飛灰貯槽14に移し替えるようにして
もよい。
抜出し管10内に投入された飛灰は、流動媒体および不
燃物とともに抜出し管10→排出機11→振動ふるい機12の
経路で移動し、この移動中に、流動媒体および不燃物の
熱によって加熱される。
この不燃物抜出し経路内を移動する流動媒体および不
燃物は、抜出し管10内で650℃〜750℃、排出機11内で60
0℃〜700℃の高温状態にあり、かつ、抜出し口9を通っ
て抜出し経路外に出るまで30分〜60分を要する。
従って、投入された飛灰は、抜出し経路内の還元雰囲
気中の高温下(ダイオキシン類の熱分解に必要とされる
500℃以上)で、十分な滞留時間をもって加熱されるた
め、飛灰に含まれたダイオキシン類が確実に熱分解する
ことになる。
振動ふるい機12では、排出物をその粒径によって処理
済み飛灰(0.5mm程度)と流動媒体(0.7〜1.5mm)と不
燃物(3.0mm以上)とにふるい分ける。
このうち、流動媒体は図示しない回収経路を通って炉
内流動層8に戻され、不燃物および処理済み飛灰は廃棄
処分される。
第2実施例(第2図参照)および第3実施例(第3図参
照) 第1実施例では、飛灰を抜出し管10内に投入して、流
動媒体および不燃物によって直接加熱し、処理後に振動
ふるい機12でふるい分ける構成をとったのに対し、第2
実施例では抜出し管10の外周に、第3実施例では抜出し
管10内にそれぞれ飛灰通し管15,16を設け、飛灰貯槽14
内の飛灰を飛灰供給機13によつてこの飛灰通し管15,16
に供給し、同管内を移動させながら、抜出し管10内の流
動媒体および不燃物によって間接的に加熱するようにし
ている。
なお、第2実施例において、飛灰通し管15の内面に保
温材17を設けている。一方、第3実施例の場合、飛灰通
し管16は流動媒体およひ不燃物の移動の邪魔にならない
ように抜出し管10内の管壁近くに設け、上下両端部を飛
灰入口および出口として抜出し管10外に導出している。
また、両実施例において、18は飛灰出口側に設けた飛灰
排出機である。
この第2および第3両実施例によっても、基本的には
第1実施例と同じ作用効果を得ることができる。また、
処理済み飛灰を流動媒体および不燃物からふるい分ける
必要がないため、振動ふるい機12として、流動媒体と不
燃物のみをふるい分ける既存機をそのまま使用すること
ができる。
〔発明の効果〕
上記のように本発明方法および装置によるときは、流
動床焼却炉からの排ガス中から捕集された飛灰を、上記
流動床焼却炉の不燃物抜出し経路内に導入し、この抜出
し経路を通って炉外に抜出される流動媒体および不燃物
を熱源として加熱することにより、飛灰に含まれたダイ
オキシン類を熱分解処理した後、この処理済み飛灰を不
燃物抜出し経路外に取出すようにしたから、バーナや電
気ヒータ等の外部加熱器が不要となり、そのための電気
代や燃料代も不要となる。このため、設備費およびラン
ニングコストが非常に安くてすむ。
また、不燃物抜出し経路内には炉内の燃焼ガスが含ま
れないため、この燃焼ガスに含まれる塩化水素や硫黄酸
化物等の腐蝕性ガスによる設備の腐蝕の問題がない。
しかも、ダイオキシン類が熱分解しやすい還元雰囲気
中で、かつ、ダイオキシン類の熱分解に十分な温度と時
間をもって加熱するため、ダイオキシン類を確実に熱分
解処理することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例を示す概略断面図、第2図
は本発明の第2実施例、第3図は同第3実施例をそれぞ
れ示す概略断面図、第4図は焼却施設の概要を説明する
ためのブロック構成図である。 6……流動床焼却炉の本体、7……炉床、8……流動
層、9……不燃物抜出し経路を構成する不燃物抜出し
口、9……同抜出し管、11……同排出機、12……同振動
ふるい機(飛灰分離手段)、13……飛灰供給手段として
の飛灰供給機、14……同飛灰貯槽、15,16……飛灰通し
管、18……飛灰排出機。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流動床焼却炉からの排ガス中から捕集され
    た飛灰を、上記流動床焼却炉の不燃物抜出し経路内に導
    入し、この不燃物抜出し経路を通って炉外に抜出される
    流動媒体および不燃物を熱源として加熱することによ
    り、飛灰に含まれたダイオキシン類を熱分解処理した
    後、この処理済み飛灰を不燃物抜出し経路外に取出すこ
    とを特徴とする焼却施設における飛灰処理方法。
  2. 【請求項2】流動床焼却炉と、この焼却炉から排出され
    る排ガス中から飛灰を捕集する排ガス処理装置とを備え
    た焼却施設において、上記排ガス処理装置によって捕集
    された飛灰を上記流動床焼却炉の不燃物抜出し経路にお
    ける抜出し管内に供給する飛灰供給手段と、上記不燃物
    抜出し管内で流動媒体および不燃物により加熱されてダ
    イオキシン類の熱分解処理を施された処理済み飛灰を流
    動媒体および不燃物から分離して不燃物抜出し経路外に
    排出する飛灰分離手段とを具備してなることを特徴とす
    る焼却施設における飛灰処理装置。
  3. 【請求項3】流動床焼却炉と、この焼却炉から排出され
    る排ガス中から飛灰を捕集する排ガス処理装置とを備え
    た焼却施設において、上記排ガス処理装置によって捕集
    された飛灰が通される飛灰通し管が、上記流動床焼却炉
    の不燃物抜出し経路における抜出し管に、この抜出し管
    内を移動する流動媒体および不燃物によって加熱される
    状態で付設されてなることを特徴とする焼却施設におけ
    る飛灰処理装置。
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