JP2708324B2 - 陰極線管装置 - Google Patents

陰極線管装置

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  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は陰極線管(以下CRT
と称す)に関し、特にその偏向ヨークから放射される交
番電界の低減を図ったものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は従来のCRTの構成図である。図
において、ファンネル部1はネック部1a,コーン部1
b、高圧アノードボタン1dを有するファンネル本体部
1cより構成され、フェースパネル部2にフリット封止
されている。1eはネック部1aとコーン部1bとのつ
なぎ目であり、ネックシールラインと呼ばれる部分であ
り、ガラス肉厚がやや薄く強度が他の部位に比べ弱い部
分である。以上のようにしてガラスバルブ20が構成さ
れている。
【0003】また上記ネック部1aには電子銃3が封止
される。上記フェースパネル部2の側面には防爆特性を
保証するための防爆バンド4が巻きつけられ、4隅には
ガラスバルブ20を図示しない筺体に懸架するための掛
止部4aが一体的に設けられている。さらに上記ファン
ネル本体部1cに設けられた高圧アノードボタン1dの
周囲には絶縁のためのシリコン樹脂膜5が形成されてい
る。またファンネル本体部1cの外表面には、CRTに
静電容量を付加するための導電膜6が形成される。この
導電膜6は通常、黒鉛を塗布等によって形成されてお
り、微視的には必ずしも連続的でない場合もある。なお
28はネック1aに平行な直線でありCRTの管軸を示
す。
【0004】そして以上のようにして構成されたCRT
には図5に示すように、電子ビームを偏向するための偏
向ヨーク7がコーン部1bとネック部1aの間の位置に
取りつけられている。そしてこの偏向ヨーク7は図6に
示すように、水平偏向コイル7a,垂直偏向コイル7
b,偏向ヨーク本体部7cの部材によって構成されてい
る。偏向ヨーク7のファンネル部1への取り付けは、偏
向ヨーク7の、ネック部1a側に設けられた取付けバン
ド10を用いて固定することにより行われるが、予め偏
向ヨーク7とファンネル部1との間にはセルフコンバー
ジェンスシステムと呼ばれるコンバージェンス特性調整
のための隙間が設けられており、この時、取付けバンド
10を中心として偏向ヨーク7を首振りさせて上記隙間
が調整される(以下この動作を首振りコンバージェンス
調整と呼ぶ)。
【0005】次に動作について説明する。ネック部1a
に封止された電子銃3から電子ビームが出射されると、
該出射された電子ビームは偏向ヨーク7の水平偏向コイ
ル7a,垂直偏向コイル7bにより、水平,垂直方向に
所定量偏向されてフェースパネル部2の内面に形成され
た蛍光面膜上を走査して所望の画像を映出する。このと
きの偏向の振れ幅は上記アノードボタン1dに印加する
電圧の平方根に反比例する。
【0006】ところで近年、電磁波が人体に悪影響を及
ぼすことが問題視されており、ディスプレイモニタに関
しても主として偏向ヨークから発せられる交番電界、す
なわち偏向ヨークを中心に放射状に発生する電界による
人体の影響が懸念されている。こうした観点から199
1年にスウェーデン国立計量,試験評議会(MPR)や
スウェーデン中央労働評議会(TCO)等ではディスプ
レイモニタから発せられる電磁波に関する規格を提案し
ている。これらの規格は表1に示すとおりである。
【0007】
【表1】
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の陰極線管は以上
のように構成されており、偏向ヨークを中心に放射状に
発生する交番電界をシールドする措置が取られておら
ず、特に〔VLF帯域〕の交番電界は、本件発明者が独
自に測定したところ、表2に示すような結果が得られ
た。
【0009】
【表2】
【0010】すなわち〔VLF帯域〕の交番電界は水平
周波数に依存しており、高解像度の要求から水平周波数
が上がれば、交番電界〔VLF帯域〕も増すことが認め
られ、上記表1に示した規格値を越える交番電界がCR
Tのファンネル部及びフェースパネル部を抜け出て、観
視者に悪影響を与えることとなるといった問題点があっ
た。
【0011】このような交番電界に対する対策として、
例えば特願平3−116902号に示されるように、フ
ァンネル部の所定領域表面に接地された導電膜を設け、
該導電膜表面を覆う絶縁体を介して偏向ヨークを装着す
るようにしたものがある。
【0012】しかしながら上記構成において、陰極線管
のコーン部及び絶縁体の製造上の寸法誤差が生じた場合
には上記コーン部の導電膜と絶縁体との間に隙間が生
じ、該隙間に経時的に塵,埃等が堆積し、絶縁性の劣化
を招く恐れがある。
【0013】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたものであり、交番電界を低減することが
できるとともに、長期的駆動(使用)における塵,埃等
による絶縁性能の劣化が生じない陰極線管装置を得るこ
とを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる陰極線
管装置は、偏向ヨークの下部領域を含むファンネル部の
所定領域表面に形成され接地された電界シールド用導電
膜と、該導電膜と偏向ヨークとの間に設けられ、該偏向
ヨークと上記電界シールド用導電膜との電気的絶縁を行
シート状絶縁体と、該シート状絶縁体と上記電界シー
ルド用導電膜との間に充填して設けられた半固体状の絶
縁物質とからなる交番電界低減手段を備えたものであ
る。
【0015】
【作用】この発明においては、交番電界低減のために
向ヨークの下部領域を含むファンネル部の所定領域表面
に形成された電界シールド用導電膜と、該導電膜表面の
シート状絶縁体との間に、絶縁性シリコングリース等の
半固体状の絶縁物質を充填して設けたので、長期的駆動
においても導電膜と絶縁シートとの間に塵,埃等が堆積
することがない。
【0016】
【実施例】以下、この発明の一実施例による陰極線管装
置を図1に基づいて説明する。図1において、図4ない
し図6と同一符号は同一または相当部分を示し、8は電
界シールド面を形成するために、導電膜6と電気的に接
続するようにコーン部1bからネック部1aにかけて黒
鉛を塗布する等して設けられた電界シールド用導電膜で
あり、偏向ヨークの開口部面を覆うような形に形成さ
れる。また導電膜6はアース線29によって防爆バンド
4を介して接地されている。また9は上記導電膜8と偏
向ヨーク7のコイル部とを電気的に絶縁するために設け
られた絶縁シートである。これは図2に示すような漏斗
状の形状のものであり、ファンネル部1bとネック部1
aとに取りつけられている。そして上記導電膜8と絶縁
シート9との隙間には、半固体状の絶縁物質として、例
えばシリコンコンパウンドからなる硬化しない絶縁性シ
リコングリース30が充填されている。そして図3に示
すように、以上のように構成されたガラスバルブ20の
絶縁シート9の上から偏向ヨーク7が嵌装されている。
【0017】次に動作について説明する。このようにし
て構成された陰極線管において、防爆バンド4をアース
することによって導電膜6,導電膜8は0Vの等導電位
面となり、偏向ヨーク7の前面領域とフェースパネル部
2の表面に電界シールド効果を持つ面が形成される。こ
のため偏向ヨーク7から発する交番電界はファンネル部
1に形成された電界シールド面によって減衰される。
【0018】また偏向ヨーク7の水平偏向コイル7aと
導電膜8との間には絶縁シート9を介在させているの
で、水平偏向コイル7aと導電膜8とは電気的に絶縁さ
れた状態となっており、放電等の問題は生じない構造と
なっている。
【0019】そして上記コーン部1b及び絶縁シート9
に、製造上における寸法誤差が生じても、上記導電膜8
と絶縁シート9との隙間には絶縁性シリコングリース3
0が充填されているため、これら部材の隙間に経時的に
塵,埃等が堆積することがなく、従って導電膜8と絶縁
シート9との絶縁性能が劣化することはない。
【0020】また上記絶縁性シリコングリース30は、
硬化しないものであり、偏向ヨーク7をファンネル部1
に嵌装する際のセルフコンバージェンスシステムにおい
て、取付けバンド10にて偏向ヨーク7を固定する際の
首振りコンバージェンス調整においても、ネック部1a
に充填された絶縁性シリコングリース30は、流動的な
ものでありこの首振り調整時の障害になることがなく、
製造時の作業性が低下することがない。
【0021】このように本実施例によれば、偏向ヨーク
7の下部領域を含むフィンネル部1の所定領域に形成さ
れた電界シールド用導電膜8と、この導電膜8と偏向ヨ
ーク7との絶縁を行うための絶縁シート9との間に絶縁
性シリコングリース30を充填するようにしたから、交
番電界を低減することができるとともに、コーン部1b
及び絶縁シート9に製造上の寸法誤差が生じてもその間
に介在する絶縁性シリコングリース30で吸収すること
ができ、塵や埃による絶縁性能劣化を生じることがな
く、経年使用に対しても信頼性の高い陰極線管を提供す
ることができる。また絶縁性シリコングリース30は流
動性を有しているため、偏向ヨーク7の首振りコンバー
ジェンス調整時の障害となることもない。
【0022】
【発明の効果】以上のように、この発明に係る陰極線管
装置によれば、偏向ヨーク7の下部領域を含むファンネ
ル部の所定領域に形成された交番電界低減のための電界
シールド用導電膜と、該導電膜表面のシート状絶縁体と
の間に、半固体状の絶縁物質を充填して設けたので、陰
極線管のフェース・プレートから漏洩し、人体に放射さ
れる交番電界はファンネル部に形成された電界シールド
により十分にシールドされるとともに、導電膜と絶縁シ
ートとの間に塵,埃等が堆積することがなく、導電膜と
偏向ヨークとの絶縁性能においても長期的に十分に維持
でき、かつセルフコンバージェンスシステムにおける首
振りコンバージェンス調整の障害とはならず、信頼性が
高く、かつ量産に適した陰極線管を提供することができ
るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例による陰極線管装置の交番
電界低減手段の構成を説明するための図。
【図2】上記交番電界低減手段を構成する絶縁シートの
構成図。
【図3】上記交番電界低減手段を備えたガラスバルブに
偏向ヨークを嵌装した状態を示す図。
【図4】従来の陰極線管装置のガラスバルブの構成を説
明するための図。
【図5】上記ガラスバルブに偏向ヨークを嵌装した陰極
線管装置の構成を示す図。
【図6】陰極線管装置に用いられる偏向ヨークの構成
図。
【符号の説明】
1 ファンネル部 1a ネック部 1b コーン部 1c ファンネル本体部 1d アノードボタン 1e ネックシールライン 2 フェースパネル部 3 電子銃 4 防爆バンド 5 シリコン樹脂 6 導電膜 7 偏向ヨーク 7a 水平偏向コイル 7b 垂直偏向コイル 7c 偏向ヨークの本体 8 電界シールド用導電膜 9 絶縁シート 10 取付けバンド 20 ガラスバルブ 28 管軸 29 アース線 30 絶縁性シリコングリース

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に電子銃が封止されたネック部,そ
    の外表面の一部に静電容量付加のための接地された導電
    膜が設けられたファンネル本体部,及び上記ネック部と
    ファンネル本体部をつなぐコーン部から構成されるファ
    ンネル部と、内面に蛍光面膜を有し上記ファンネル本体
    部の上記コーン部とつながる側とは反対側の一端に配置
    されるフェースパネルと、上記ファンネル部の上記コー
    ン部からネック部にかけて嵌装され上記電子銃から出射
    された電子ビームを偏向する偏向ヨークとを有する陰極
    線管装置において、 上記ファンネル部を透過してフェースパネル前面より放
    射される偏向ヨークの交番電界を低減する交番電界低減
    手段を、上記偏向ヨークの下部領域を含む 上記ファンネル部の所
    定領域表面に形成され接地された電界シールド用導電膜
    と、 該導電膜の表面に設けられ、上記偏向ヨークとの電気的
    絶縁を行うためのシート状絶縁体と、 該絶縁体と上記電界シールド用導電膜との間に充填して
    設けられた半固体状の絶縁物質とから構成したことを特
    徴とする陰極線管装置。
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