JPH08287848A - 陰極線管装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 バルブ内を二つの塗布領域に区分して内部導
電膜を塗布し、偏向ヨークからの漏洩電界を低減したカ
ラー陰極線管装置を提供する。 【構成】 コーン部２ｃとネック部２ｄの境界近傍に内
部導電膜の離隔部を設け、ファンネル本体部２ｂおよび
コーン部２ｃからなる塗布領域Ａと、ネック部２ｄから
なる塗布領域Ｂの二つの塗布領域を形成して、黒鉛から
なる内部導電膜３を塗布領域Ａに、内部導電膜３ａを塗
布領域Ｂに塗布する。この内部導電膜３ａは接地されて
おり、塗布領域Ａと塗布領域Ｂの間の離隔部の幅ｔは、
絶縁のために５〜１０ｍｍ程度の適宜な距離がある。さ
らに、耐電圧改善のために電子銃と対向するネック部の
塗布領域Ｂの内部導電膜３ａ上に絶縁膜を被着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、陰極線管装置に関し、
特に電子銃が配設されるネック部に内部導電膜を塗布形
成して偏向ヨークが発生源である漏洩電界を低減するカ
ラー陰極線管装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、カラー陰極線管装置はバルブの
前面部を構成するフェースパネルの内面側より順次、蛍
光面、メタルバック膜、シャドウマスクが配設され、ま
たネック部に配設された電子銃から放出される電子ビー
ムを偏向ヨークによる磁界で偏向させ、シャドウマスク
を介して蛍光面を走査することにより、蛍光面上に画像
を表示するように構成されている。

【０００３】図３は、従来の、偏向ヨークを装着したカ
ラー陰極線管装置の要部断面概略図を示す。図に示すよ
うに、一般にカラー陰極線管装置１１は、バルブ１２の
フェースパネル１２ａに接合したファンネル本体部１２
ｂからコーン部１２ｃを介してネック部１２ｄにかけて
黒鉛からなる内部導電膜１３を塗布している。そして、
この内部導電膜１３は、ブラックマトリクス膜と一体的
に形成された蛍光面やメタルバック膜およびシャドウマ
スクとはバルブ１２の内部で電気的に接続（図示しな
い）されており、さらにはアノード電極１５と接続（図
示しない）されている。

【０００４】従って、内部導電膜１３はアノード電圧と
同電位にあり、一方電子銃１４より放射される電子ビー
ムによって帯電した蛍光面の電荷をメタルバック膜を通
してアノード電極１５へ逃がすなど帯電防止の役目があ
る。また、ファンネル部本体１２ｂに黒鉛からなる外部
導電膜を塗布（図示しない）してあり、バルブ１２に装
着された偏向ヨーク１６からの漏洩電界を回路的に接地
して、漏洩電界を抑制するようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、欧州で
は漏洩電界規制をさらに厳しくする方向であるが、上述
したようなカラー陰極線管装置の構造では、漏洩電界規
制に対応することが困難である。漏洩電界を低減する時
に懸念される問題として、電子銃１４と内部導電膜１３
間の耐圧問題があるが、この耐圧問題を解決しながら、
かつ欧州の漏洩電界規制の動向もあって、漏洩電界を低
減する改善が不可欠となった。

【０００６】そこで、本発明は上記問題点に鑑みて提案
されたもので、その目的とするところは、ネック部に配
設する電子銃と内部導電膜との対向距離が小さくても、
黒鉛からなる内部導電膜の塗布領域を所定寸法離隔した
二つの塗布領域を設け、さらには、ネック部の接地され
る内部導電膜上に絶縁物を形成する手段をとることによ
り、耐圧問題を解決して漏洩電界を低減することを可能
にした陰極線管装置を提供するところにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、内部に電子銃
が封止されたネック部と外表面に導電膜が設けられたフ
ァンネル部本体、及びネック部とファンネル部本体を接
続するコーン部を有するファンネル部と、内面に蛍光面
を有し、かつ電子銃と対向する位置に配置されたフェー
スパネル部と、コーン部からネット部にかけて嵌挿され
た偏向ヨークと、ファンネル本体部からネック部にかけ
て塗布形成された内部導電膜とを有する陰極線管装置で
あって、前記内部導電膜が所定寸法離隔した二つの塗布
領域からなる陰極線管装置を提供する。

【０００８】また、前記内部導電膜の離隔部をコーン部
とネック部の境界付近で形成し、二つの塗布領域がファ
ンネル本体部およびコーン部にかけてなる塗布領域と、
ネック部にかけてなる接地された塗布領域である陰極線
管装置を提供する。また、内部導電膜が黒鉛膜である陰
極線管装置を提供する。さらに、電子銃と対向するネッ
ク部の内部導電膜上に絶縁膜を被着し、この絶縁膜がシ
リコン樹脂から形成したの陰極線管装置を提供する。

【０００９】

【作用】上記構成によれば、内部導電膜がファンネル本
体部およびコーン部にかけてなる塗布領域と、ネック部
にかけてなる塗布領域との二つの塗布領域を所定寸法離
隔して、それぞれ内部導電膜を形成したことにより、こ
の内部導電膜を形成した二つの塗布領域は互いに絶縁さ
れている。また、電子銃と対向するネック部の接地され
た黒鉛からなる導電膜上に絶縁膜を被着して、さらに電
子銃と内部導電膜との耐電圧を改善している。２つの内
部導電膜の離隔部はコーン部とネック部の境界近傍で形
成され、内部導電膜が二つの塗布領域、すなわち、ファ
ンネル本体部およびコーン部にかけてなる塗布領域と、
ネック部にかけてなる接地された塗布領域によって形成
される。この離隔部の幅が、二つの塗布領域間の距離間
隔となる。アノード電圧と同電位である内部導電膜と電
子銃との耐電圧を維持するために、この離隔部の幅は、
適宜な距離間隔を保っている。従って、内部導電膜と電
子銃間での耐電圧不良問題は起きない。

【００１０】しかし、陰極線管装置の種類によって、ア
ノード電極および電子銃に印加される高電圧も変わり、
一般的には陰極線管装置のサイズが大きくなるとアノー
ド電極および電子銃の高電圧もさらに高くなる。このよ
うな場合は、前記二つの塗布領域間の距離間隔を大きく
する必要があるが、電子銃と対向するネック部の内部導
電膜上に絶縁膜をさらに被着することによって、耐電圧
を改善しつつ漏洩電界を低減する目的を達成できる。内
部導電膜を塗布した二つの塗布領域と、さらには電子銃
と対向するネック部の黒鉛膜上に絶縁膜を被着すること
で、耐電圧の問題を回避して、偏向ヨークからの漏洩電
界が低減されることになる。

【００１１】

【実施例】一般に、カラー陰極線管装置はバルブの前面
部を構成するフェースパネルの内面側より順次、蛍光
面、メタルバック膜、シャドウマスクが配設され、また
ネック部に配設された電子銃から放出される電子ビーム
を偏向ヨークによる磁界で偏向させ、シャドウマスクを
介して蛍光面を走査することにより、蛍光面上に画像を
表示するように構成されている。本発明の実施例につい
て、図面を参照しながら説明する。図１は、偏向ヨーク
を装着した本発明による第１実施例のカラー陰極線管装
置の要部断面概略図を示す。図において、１はカラー陰
極線管装置であって、２はバルブで、２ａはフェースパ
ネル、３および３ａが内部導電膜で、４は電子銃であ
り、５はアノード電極で、７は装着した偏向ヨークであ
る。

【００１２】図１に示すように、カラー陰極線管装置１
は、内部導電膜を、ファンネル本体部２ｂおよびコーン
部２ｃにかけてなる塗布領域Ａと、それより所定寸法
（ｔ）離隔してネック部２ｄにかけてなる塗布領域Ｂの
二つの塗布領域を設け、それぞれに内部導電膜３および
３ａを塗布する。すなわち、黒鉛からなる内部導電膜３
を塗布領域Ａに、内部導電膜３ａを塗布領域Ｂに塗布す
る。なお塗布領域Ｂの黒鉛からなる内部導電膜３ａはソ
ケットを通して外部で接地される（図示しない）。ま
た、塗布領域Ａと塗布領域Ｂの間に設けた離隔部の位置
は、コーン部２ｃとネック部２ｄの境界近傍に設けてい
る。

【００１３】この塗布領域Ａと塗布領域Ｂ間、すなわち
離隔部の幅ｔは、この塗布領域間の絶縁をとるために適
宜な距離間隔、例えば５〜１０ｍｍの間隔を設けてい
る。詳細すると、塗布領域Ａの内部導電膜３は、アノー
ド電極５と接続されており、ブラックマトリクス膜と一
体的に形成された蛍光面に帯電した電荷をメタルバック
膜（図示しない）を通してアノード電極５へ逃がして帯
電防止の役目があると同時に、一方ではアノード電圧の
高電圧がかかっていることから、耐電圧の問題があっ
て、絶縁が非常に重要な要素となる。従って漏洩電界を
低減するために設けた塗布領域Ｂの内部導電膜３ａと
は、耐電圧問題を解決しつつ離隔部の幅ｔを決めてい
る。また、ファンネル部本体２ｂからコーン部２ｃにか
けて黒鉛からなる外部導電膜を塗布（図示しない）して
あり、この外部導電膜は回路的に接地されていることか
ら、バルブ２に装着された偏向ヨーク７からの漏洩電界
を低減する役目がある。前述したように、内部導電膜３
ａがソケットを通して外部で設置されていることから偏
向ヨーク７後方からの漏洩電界をさらに低減することに
なる。

【００１４】

【実施例２】図２に示すが、基本構造は実施例１と同じ
であるので相違点のみを記述する。カラー陰極線管装置
１Ａは、種類によって、アノード電極５や電子銃４に印
加される高電圧も変わり、一般的にはカラー陰極線管装
置１Ａのサイズが大きくなるとアノード電極５や電子銃
４の高電圧もさらに高くなる。このような場合には、漏
洩電界を低減するために設けた塗布領域Ｂの内部導電膜
３ａと電子銃４との距離間隔を大きくして耐電圧の対応
すべきであるが、形状等に制約されて、この距離間隔を
大きくすることは不可能である。従って、電子銃４と対
向するネック部２ｄの黒鉛からなる内部導電膜３ａ上に
シリコン樹脂からなる絶縁膜６を被着して耐電圧の問題
を回避し、かつ実施例１と同様にネック部の黒鉛からな
る内部導電膜３ａが、ソケットを通して外部に接地（図
示しない）されることから、さらに漏洩電界を低減す
る。

【００１５】

【発明の効果】上述したように、本発明の陰極線管装置
によれば、内部導電膜を塗布する二つの領域を設け、か
つ二つの領域間を適宜な距離を設けたことによって絶縁
される。また電子銃に印加される高電圧がさらに高い場
合には、ネック部の内部導電膜の上に絶縁膜を被着する
ことによって、電子銃と内部導電膜との間の耐電圧問題
も解決でき、同時に偏向ヨーク後方からの漏洩電界は、
ネック部に形成した接地された内部導電膜によって漏洩
電界を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による実施例１のカラー陰極線管装置
の要部断面概略図

【図２】 本発明による実施例２のカラー陰極線管装置
のネック部の要部断面拡大図

【図３】 従来のカラー陰極線管装置の要部断面概略図

【符号の説明】

２ バルブ ２ａ フェースパネル部 ２ｂ ファンネル部本体 ２ｃ コーン部 ２ｄ ネック部 ３，３ａ 内部導電膜 ４ 電子銃 ５ アノード電極 ６ 絶縁膜 ７ 偏向ヨーク Ａ，Ｂ 塗布領域 ｔ 離隔部の幅

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に電子銃が封止されたネック部と外表
   面に導電膜が設けられたファンネル部本体及びネック部
   とファンネル部本体を接続するコーン部を有するファン
   ネル部と、内面に蛍光面を有し、かつ電子銃と対向する
   位置に配置されたフェースパネル部と、コーン部からネ
   ック部にかけて嵌挿された傾向ヨークと、前記ファンネ
   ル本体部から前記ネック部にかけて塗布形成された内部
   導電膜とを有する陰極線管装置であって、前記内部導電
   膜が所定寸法離隔した二つの塗布領域からなることを特
   徴とする陰極線管装置。
2. 【請求項２】前記内部導電膜の離隔部を前記コーン部と
   前記ネック部の境界付近で形成し、前記二つの塗布領域
   が前記ファンネル本体部および前記コーン部にかけてな
   る塗布領域と、前記ネック部にかけてなる接地された塗
   布領域であることを特徴とする請求項１記載の陰極線管
   装置。
3. 【請求項３】前記電子銃の位置する前記ネック部にかけ
   ての塗布領域の内部導電膜上に絶縁膜を被着したことを
   特徴とする請求項２記載の陰極線管装置。
4. 【請求項４】前記絶縁膜がシリコン樹脂からなることを
   特徴とする請求項３記載の陰極線管装置。