JP2706130B2 - 遊星歯車装置の油路構造 - Google Patents

遊星歯車装置の油路構造

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JP2706130B2
JP2706130B2 JP1071217A JP7121789A JP2706130B2 JP 2706130 B2 JP2706130 B2 JP 2706130B2 JP 1071217 A JP1071217 A JP 1071217A JP 7121789 A JP7121789 A JP 7121789A JP 2706130 B2 JP2706130 B2 JP 2706130B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、二組の遊星歯車機構のギヤ比を異ならせて
一方を増速回転伝達用のギヤ比に設定した遊星歯車装置
における両プラネタリギヤの各ピニオン軸保持用のキャ
リアと軸部材との油路構造に関するものである。
[従来の技術] 四輪駆動車等のデフ装置用として、回転入力側のケー
ス部材と該ケース部材内に配置される回転出力側の軸部
材との間に二組の遊星歯車機構を設け、該二組の遊星歯
車機構の各リングギヤを前記ケース部材の内周に設け、
前記二組の遊星歯車機構の各プラネタリギヤをピニオン
軸を介して保持するキャリアを前記軸部材に連結し、前
記二組の遊星歯車機構の各サンギヤに回転固定用のクラ
ッチを夫々設け、前記二組の遊星歯車機構のギヤ比を異
ならせて一方を増速回転伝達用のギヤ比に設定した遊星
歯車装置を構成する試みがある(本出願人の提案による
特願平1−4228号参照)。
[発明が解決しようとする課題] 以上の遊星歯車装置において、冷却も兼ねて軸部材内
からキャリア内を通し各ピニオン軸へ潤滑油を供給しよ
うとする場合、軸部材とキャリアとの結合時における潤
滑油路の各部での位相合わせが必要となる。
そこで本発明の目的は、以上のような遊星歯車装置に
おいて、二組の遊星歯車機構の各プラネタリギヤのピニ
オン軸を保持するキャリアと軸部材との結合を容易にす
るとともに、各ピニオン軸へ軸部材内からキャリア内を
通して潤滑油を供給するための油路の接続が正確に行え
るようにした油路構造を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 以上の課題を達成すべく本発明は、回転入力側のケー
ス部材と該ケース部材内に配置される回転出力側の軸部
材との間に二組の遊星歯車機構を設け、該二組の遊星歯
車機構の各リングギヤを前記ケース部材の内周に設け、
前記二組の遊星歯車機構の各プラネタリギヤをピニオン
軸を介して保持するキャリアを前記軸部材に連結し、前
記二組の遊星歯車機構の各サンギヤに回転固定用のクラ
ッチを夫々設け、前記二組の遊星歯車機構のギヤ比を異
ならせて一方を増速回転伝達用のギヤ比に設定した遊星
歯車装置において、前記キャリアと前記軸部材とを前記
ピニオン軸の本数の整数倍の歯数によるスプラインにて
結合するとともに、前記キャリアの前記スプラインの山
または谷の一方に前記ピニオン軸の本数と同数の潤滑油
路を開口し、且つ該油路と対応して前記軸部材の前記ス
プラインの山または谷の他方に前記ピニオン軸の本数と
同数の潤滑油路を開口したことを特徴とする。
[作用] 前記遊星歯車装置は、入力側ケース部材と出力側軸部
材との間に設けた二組の遊星歯車機構の一方が増速回転
伝達用のギヤ比に設定されており、両サンギヤに夫々設
けた回転固定用クラッチのON/OFF制御で増速機能を持た
せられる。またケース部材内に二組の遊星歯車機構がコ
ンパクトに構成されており、軽量なものとなっている。
以上において、二組の遊星歯車機構の両プラネタリギ
ヤの各ピニオン軸を保持するキャリアと軸部材とをピニ
オン軸の本数の整数倍の歯数によるスプラインにて結合
するので、キャリアと軸部材との結合が容易に行えるこ
とに加え、ピニオン軸の本数と同数であって、キャリア
のスプラインの山または谷の一方に開口した潤滑油路と
該油路に対応して軸部材のスプラインの山または谷の他
方に開口した潤滑油路との接続が同時に行える。
[実施例] 以下に添付図面を基に実施例を説明する。
第1図及び第2図は本発明を適用した遊星歯車装置を
有するデフ装置の内部構造を示しており、第3図にこの
デフ装置を備える四輪駆動車の駆動系を示している。
第3図において、1はエンジン、2はトランスミッシ
ョン、4はフロントデフ装置、5L,5Rは左右の前輪、7
は推進軸、9L,9Rは左右の後輪、10はリヤデフ装置であ
る。図示のようにエンジン1からトランスミッション
2、歯車列3及びフロントデフ装置4を介して左右の前
輪5L,5Rに回転駆動力が伝達される。またフロントデフ
装置4から歯車列6及び推進軸7を経てリヤデフ装置10
に回転駆動力が伝達され、更にリヤデフ装置10から駆動
軸8L,8Rを介して左右の後輪9L,9Rに回転駆動力が伝達さ
れる。
次にリヤデフ装置10を示す第1図において、11はデフ
ハウジング本体、12L,12Rは左右の各クラッチハウジン
グ、13は入力軸、15はデフケース、17はそのサイドカバ
ーである。前記推進軸7に連結される入力軸13から傘歯
車14,16を介してデフケース15に回転が伝達され、この
デフケース15内には二組の遊星歯車機構21L,21Rが設け
られている。
即ち第2図に拡大して示すように、この二組の遊星歯
車機構21L,21Rは、デフケース15内周のリングギヤ22L,2
2Rと、複数(例えば実施例では三個または四個づつ)の
プラネタリギヤ23L…,23R…と、サンギヤ24L,24Rから成
る。そして左右の両プラネタリギヤ23L,23Rを夫々のロ
ーラーベアリング25L,25R…を介装して軸承する共通
(三本または四本)のピニオン軸26は一体ケース状のキ
ャリア31に支持されている。
キャリア31はドラム部32の左右に前記プラネタリギヤ
23L…,23R…を夫々臨ませる窓部33L…,33R…を有すると
ともに、ドラム部32左右の内方壁部34L,34Rに前記ピニ
オン軸26の軸孔35L…,35R…を有しており、更にドラム
部32の中央には内方フランジ36を一体に備えている。こ
の内方フランジ36の内径は前記壁部34L,34Rの内径より
小となっており、その内周面にスプライン37が形成され
るとともに、内方フランジ36には前記ピニオン軸26用の
軸孔38が形成されている。ここで、スプライン軸37の
溝、つまり谷の本数はピニオン軸26の本数(実施例では
三本または四本)の整数倍に設定されている。
またデフケース15内方に配置される主軸41は中央に外
方フランジ42を一体に備えており、この外方フランジ42
の外周面にスプライン43が形成されている。このスプラ
イン43は前記内方フランジ36のスプライン37と合致する
ものである。
前記二組の遊星歯車機構21L,21Rの組み付けに際して
は、キャリア31の各窓部33L…,33R…内にプラネタリギ
ヤ23L…,23R…を夫々臨ませ、且つ各プラネタリギヤ23L
…,23R…の端面にスラストプレート27L…,27R…を夫々
当てる。そしてピニオン軸26を軸孔35L,38,35Rに嵌合す
るとともに、プラネタリギヤ23L,23R内にローラーベア
リング25L,25R…を介装して嵌合し、中央のノックピン3
9にてキャリア31にピニオン軸26を固定する。またピニ
オン軸26の両端面にスラストプレート28L,28Rを夫々当
てる。
一方、主軸41の左右には各サンギヤ24L,24Rと一体の
筒部材29L,29Rをローラーベアリング44L…,44R…を介装
して嵌合するとともに、各サンギヤ24L,24Rと外方フラ
ンジ42との間にスラストベアリング45L,45Rを介装し、
サンギヤ24L,24Rの外側面にスラストプレート46L,46R
当てる。
そしてキャリア31の内方フランジ36と主軸41の外方フ
ランジ42とを両スプライン37,43により嵌合して結合
し、デフケース15内に組み込んで二組の遊星歯車機構21
L,21Rの各ギヤを相噛合させ、各筒部材29L,29Rをローラ
ーベアリング47L,47Rにて支持するデフケース15とサイ
ドカバー17を傘歯車16とともにボルト48…にて結合す
る。
以上において、前記左右の遊星歯車機構21L,21Rのギ
ヤ比を異ならせることにより、左側の遊星歯車機構21L
は増速用(Hi)、右側の遊星歯車機構21Rは直結用(Lo
w)となっている。
そして左右の筒部材29L,29Rの外端部上にはフランジ
部材49L,49Rがセレーション嵌合され、両フランジ部材4
9L,49Rに略図的に示すワンウェイクラッチ51L,51Rが設
けられている。更にワンウェイクラッチ51L、フランジ
部材49L及び筒部材29Lを介して左側のサンギヤ24Lを固
定可能とする回転固定用クラッチ52Lが設けられてお
り、またフランジ部材49R及び筒部材29Rを介して左側の
サンギヤ24Rを固定可能とする回転固定用クラッチ52R
設けられている。
左側の回転固定用クラッチ52Lはワンウェイクラッチ5
1L外周側に設けた筒部材53Lとデフハウジング本体11及
びクラッチハウジング12L間に介装固定したクラッチケ
ース18との間に構成され、また右側の回転固定用クラッ
チ52Rはフランジ部材49Rとデフハウジング本体11との間
に構成される。
即ち筒部材53Lにセレーション嵌合したインナープレ
ート54L…とクラッチケース18のクラッチアウター部55L
にセレーション嵌合したアウタープレート56L…とから
成る摩擦板を有し、クラッチケース18のシリンダー57L
にピストン58Lを設けて左側の回転固定用クラッチ52L
構成されている。またフランジ部材49Rにセレーション
嵌合したインナープレート54Rとデフハウジング本体11
のクラッチアウター部55Rにセレーション嵌合したアウ
タープレート56R…とから成る摩擦板を有し、デフハウ
ジング本体11のシリンダー57Rにピストン58Rを設けて右
側の回転固定用クラッチ52Rが構成されている。
尚、クラッチケース18にデフケース15のサイドカバー
17がボールベアリング19Lを介装して支持される。そし
て右側のワンウェイクラッチ51R外周側の筒部材53Rがデ
フハウジング本体11にセレーション嵌合されており、筒
部材53Rにデフケース15がボールベアリング19Rを介装し
て支持される。
更に前記主軸41の左右端部上にフランジ部材59L,59R
がセレーション嵌合されており、両フランジ部材59L,59
Rと前記各クラッチハウジング12L,12R内に設けた出力軸
71L,71Rとの間にはトルク伝達容量可変型クラッチ61L,6
1Rが設けられている。両トルク伝達容量可変型クラッチ
61L,61Rは同様の構造である。
つまり各フランジ部材59L,59Rのクラッチアウター部6
2L,62Rにセレーション嵌合したアウタープレート63L…,
63R…と両出力軸71L,71Rにセレーション嵌合される各フ
ランジ部材64L,64Rのクラッチインナー部65L,65Rにセレ
ーション嵌合したインナープレート66L…,66R…とから
成る摩擦板を有し、且つ両クラッチハウジング12L,12R
の各シリンダー67L,67Rにピストン68L,68Rを設けて左右
のトルク伝達容量可変型クラッチ61L,61Rが構成されて
いる。また各ピストン68L,68Rと摩擦板間に押圧部材6
9L,69Rが介設されている。
尚、両出力軸71L,71Rは左右の各クラッチハウジング1
2L,12Rにボールベアリング72L,72Rを介装して夫々支持
され、各出力軸71L,71Rは前記左右の後輪駆動軸8L,8R
夫々連結される。
次に各部への潤滑構造について説明する。
第1図のように前記入力軸13は前記デフハウジング本
体11の前方ボス部111にテーパーローラーベアリング112
f,112rを介装して支持され、ボス部111前面にポンプガ
イドプレート113を介設してポンプハウジング114がボル
ト115…で結合されている。そしてポンプハウジング114
内にオイルポンプ116が内蔵され、そのインナーハブ117
が入力軸13にセレーション嵌合されている。
このオイルポンプ116からの潤滑油はボス部111の油路
73を通って、デフハウジング本体11の後部右側の油路7
4、前記筒部材53Rの油路75,76より前記ワンウェイクラ
ッチ51R及び前記各フランジ部材49R,59Rの油路77,78に
流れ、そして前記主軸41右側の径方向油路79から軸方向
油路81に流入する。更に軸方向油路81からは多数の径方
向油路82…より各ベアリング部分に潤滑油が供給される
とともに、主軸41中央の前記外方フランジ42の各径方向
油路83…から前記スプライン37,43による結合部を介し
前記キャリア31中央の前記内方フランジ36の各径方向油
路84…に潤滑油が流れる。また各径方向油路84…からは
前記各ピニオン軸26…中央の径方向油路85…を経て軸方
向油路86…に潤滑油が夫々流入し、両端のスラストプレ
ートとともに他の径方向油路87…より各ベアリング部分
に潤滑油が供給される。
尚、主軸41の軸方向油路81の両端は夫々のスリーブ状
パイプ91L,91Rを介して前記各出力軸71L,71Rの軸方向油
路92L,92Rに夫々接続されており、更に径方向油路93L,9
3Rから前記各フランジ部材64L,64Rの径方向油路94L,94R
より各ベアリング部分に潤滑油が供給される。
以上の潤滑構造において、特に主軸41中央の径方向油
路83はピニオン軸26の本数に対応して外方フランジ42に
放射状に設けられ、しかもスプライン43の谷に開口して
いる。そしてキャリア31中央の径方向油路84も同様にピ
ニオン軸26の本数に対応して内方フランジ36に放射状に
設けられ、しかもスプライン37の山に開口している。
尚、逆に油路83をスプライン43の山に開口し、油路84
をスプライン37の谷に開口しても良い。
以上のリヤデフ装置10を装備した第3図に示す四輪駆
動車によれば、直進走行時においては、右側の回転固定
用クラッチ52RはOFF(フリー)にする。且つ左側の回転
固定用クラッチ52LもOFF(フリー)にする。
よって直進走行時は、ワンウェイクラッチ51Rにより
前輪側の回転数>後輪側の回転数のとき直結用(Low)
の遊星歯車機構21Rのサンギヤ24Rを固定状態に保持し、
後輪側へ駆動力の伝達を行う。
また前輪側の回転数<後輪側の回転数のときはワンウ
ェイクラッチ51Rによりサンギヤ24Rをフリー状態に保持
し、後輪側への駆動力の伝達をカットする。
具体的には、制動時に前輪側へ過渡制動力が働いた場
合、その過渡制動力が後輪側へ伝わり後輪側がロックす
るのを防止するものである。以上によりエンジンブレー
キ、バック時に後輪はフリーとなる。
そしてエンジンブレーキにより後輪に制動力をかけた
い場合やバック時に後輪に駆動力を伝えたい場合は、右
側の回転固定用クラッチ52RをON(固定)にして、即ち
シリンダー57R内に油を供給してピストン58Rを前進さ
せ、摩擦板54R,56Rを締結してフランジ部材49R及び筒部
材29Rを介し、ワンウェイクラッチ51Rに関係なく直結用
(Low)遊星歯車機構21Rのサンギヤ24Rを固定状態に保
持し、制動力及び駆動力を後輪側へ伝える。
この時、左右の両トルク伝達容量可変型クラッチ61L,
61Rの各シリンダー67L,67R内には等しい油圧をかけて夫
々のピストン68L,68Rの前進による各摩擦板63L,66L、63
R,66Rの締結力を均等に保持し、左右の駆動力を等配分
にしておく。
従って前記推進軸7から入力軸13及び傘歯車14,16を
介してデフケース15に入力された回転は、リングギヤ22
Rよりサンギヤ24Rを固定とした右側の直結用(Low)遊
星歯車機構21Rのプラネタリギヤ23R…の公転としてキャ
リア31と一体の主軸41に伝達される。この主軸41の左右
から夫々のフランジ部材59L,59R、トルク伝達容量可変
型クラッチ61L,61R及びフランジ部材64L,64Rを介して両
出力軸71L,71Rに駆動力が等分配され、駆動軸8L,8Rを介
して左右の後輪9L,9Rが等速回転を行う。これにより直
進走行の安定、特に高速安定性が高められる。
また旋回走行時においては、左側の回転固定用クラッ
チ52LをON(固定)にして、即ちシリンダー57L内に油を
供給してピストン58Lを前進させ、摩擦板54L,56Lを締結
してワンウェイクラッチ51L、フランジ部材49L及び筒部
材29Lを介し増速用(Hi)遊星歯車機構21Lのサンギヤ24
Lを固定状態に保持し、且つ右側の回転固定用クラッチ5
2RをOFF(フリー)にする。この時、例えば左旋回状態
の場合なら、内輪側となる左側トルク伝達容量可変型ク
ラッチ61Lよりも外輪側となる右側トルク伝達容量可変
型クラッチ61Rの方に高い油圧をかけて、駆動力を右後
輪9Rの方に大きく配分しておく。
従ってデフケース15からの回転は、リングギヤ22L
りサンギヤ24Lが固定の左側の増速用(Hi)遊星歯車機
構21Lのプラネタリギヤ23L…の公転としてキャリア31よ
り主軸41に伝達される。そして主軸41からは左右の前記
トルク伝達容量可変型クラッチ61L,61Rによる異なる駆
動力配分によって右側の出力軸71Rの方に増速回転が伝
達され、左側の出力軸71Lにはこれより少ない回転が伝
達されるので、右後輪9Rの方が左後輪9Lよりも増速回転
を行う。これにより旋回性能が高められる。
また高速旋回時には内輪側を増速するとともに駆動力
配分を大きくして安定性を向上させる制御も可能であ
る。
以上のようにして車両の運動性能の向上に寄与でき
る。
以上のリヤデフ装置10においては、特にデフケース15
内に二組の遊星歯車機構21L,21Rがコンパクトに構成さ
れており、軽量なものとなっている。
そして二組の遊星歯車機構21L,21Rの両プラネタリギ
ヤ23L…,23R…に共通のピニオン軸26…を保持する一体
成形のケース状キャリア31としており、このキャリア31
の中央に内方フランジ36を設け、この内方フランジ36を
主軸41中央の外方フランジ42にスプライン37,43により
結合している。
このようにキャリア31と主軸41との結合がセンター位
置決めと同時に容易に行えるとともに、主軸41には位置
決め用軸孔及びボルト孔を加工する必要がなく、キャリ
ア31に位置決め用軸孔35L,35R,38のみを加工するだけで
足りるため、加工性を良くしながら、プラネタリギヤ23
L…,23R…の位置決めを正確に行うことができる。
またキャリア31内へのプラネタリギヤ23L…,23R…の
スラスト方向位置決めは両サイドのスラストプレート27
L…,27R…により行われ、更にデフケース15内へのキャ
リア31のスラスト方向位置決めも両サイドのスラストプ
レート28L,28Rにより行われる。
そして特にキャリア31と主軸41との結合においては、
ピニオン軸26の本数の整数倍の歯数によるスプライン3
7,43にて結合しており、しかもピニオン軸26の本数と同
数であって、実施例では主軸41のスプライン43の谷に径
方向油路83…を開口する一方、キャリア31のスプライン
37の山に径方向油路84…を開口したため、一箇所での油
路83,84の位相を合わせてスプライン結合するだけで、
他の二箇所または三箇所での各油路83…,84…の位相も
合うこととなり、従ってスプライン結合と同時に全ての
各油路83…,84…の接続を行うことができる。
以上のスプライン結合に先立ち、キャリア31中央の径
方向油路84にピニオン軸26中央の径方向油路85を合致さ
せた状態でノックピン39により両者を固定しておく。
尚、実施例のデフ装置は、リヤデフの他にフロントデ
フやセンターデフとして用いることも可能である。また
実施例の前輪駆動ベースの四輪駆動車の他に後輪駆動ベ
ースの四輪駆動車やセンターデフを介して前後輪に夫々
駆動力を伝達するようにした四輪駆動車にも用いられ
る。
[発明の効果] 以上のように本発明によれば、ケース部材と軸部材と
の間に設けた二組の遊星歯車機構の一方が増速回転伝達
用のギヤ比に設定され、両サンギヤに夫々設けた回転固
定用クラッチのON/OFF制御による増速機能を具備し、ま
たケース部材内に二組の遊星歯車機構がコンパクトに構
成されて軽量な遊星歯車装置において、二組の遊星歯車
機構の両プラネタリギヤの各ピニオン軸を保持するキャ
リアと軸部材とをピニオン軸の本数の整数倍の歯数によ
るスプラインにて結合する構造のため、キャリアと軸部
材との結合が容易に行えるとともに、ピニオン軸の本数
と同数の潤滑油路が、キャリアのスプラインの山または
谷の一方に開口して、軸部材のスプラインの山または谷
の他方に開口する構造のため、キャリアと軸部材との間
の潤滑油路の接続が同時に行えるものとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を適用したリヤデフ装置の内部構造を示
す横断平面図、第2図は本発明構造を示す遊星歯車装置
部分の拡大図、第3図はリヤデフ装置を備える一例とし
ての四輪駆動車の駆動系の構成図である。 尚、図面中、15は入力側ケース部材、21L,21Rは遊星歯
車機構、22L,22Rはリングギヤ、23L,23Rはプラネタリギ
ヤ、24L,24Rはサンギヤ、26はピニオン軸、31はキャリ
ア、37はスプライン、41は出力側軸部材、43はスプライ
ン、52L,52Rは回転固定用クラッチ、83,84はスプライン
結合部の潤滑油路である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−186152(JP,A) 特開 平1−210646(JP,A) 特開 平1−203759(JP,A) 特開 平2−186152(JP,A) 実開 平2−424(JP,U) 実開 昭61−67457(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転入力側のケース部材と該ケース部材内
    に配置される回転出力側の軸部材との間に二組の遊星歯
    車機構を設け、該二組の遊星歯車機構の各リングギヤを
    前記ケース部材の内周に設け、前記二組の遊星歯車機構
    の各プラネタリギヤをピニオン軸を介して保持するキャ
    リアを前記軸部材に連結し、前記二組の遊星歯車機構の
    各サンギヤに回転固定用のクラッチを夫々設け、前記二
    組の遊星歯車機構のギヤ比を異ならせて一方を増速回転
    伝達用のギヤ比に設定した遊星歯車装置において、 前記キャリアと前記軸部材とを前記ピニオン軸の本数の
    整数倍の歯数によるスプラインにて結合するとともに、 前記キャリアの前記スプラインの山または谷の一方に前
    記ピニオン軸の本数と同数の潤滑油路を開口し、且つ該
    油路と対応して前記軸部材の前記スプラインの山または
    谷の他方に前記ピニオン軸の本数と同数の潤滑油路を開
    口したことを特徴とする遊星歯車装置の油路構造。
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