JP2704694B2 - 洗浄装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばエンジン部品で
あるシリンダブロック、シリンダヘッド等の被洗浄物に
加工工程において付着した切粉、油脂等を除去するため
の洗浄装置に関するものである。

【０００２】

【従来技術】この種の洗浄装置としては、例えば、実公
昭６３−７３４４号公報（実願昭５９−１６６５３４
号）に記載された発明がある。この洗浄装置は、洗浄装
置本体が洗浄室と乾燥室とを備え、この洗浄室と乾燥室
とに回転駆動モータに連結した回転駆動軸を水平に差渡
して設けると共に洗浄室と乾燥室内におけるこの回転駆
動軸に、外周部に放射状に複数のクランプ機構を装着し
た回転板を固着し、さらに、クランプ機構の周囲近傍位
置の洗浄室及び乾燥室に、洗浄及び乾燥等、個々に目的
を持たせた洗浄ノズル及び乾燥ノズルを多数配設したも
のである。そして、これら洗浄ノズルからは洗浄液が、
乾燥ノズルからはエアーが吹出すようになっている。

【０００３】そして、搬送装置にて間歇送りで送られて
きた被洗浄物をクランプ機構にて把持して前記洗浄ノズ
ル及び乾燥ノズルの位置に間歇にて送り、各洗浄液及び
エアーを吹きつけることによって所望する洗浄及び乾燥
を行うようにしたものである。また、このような洗浄装
置の洗浄後の汚液を回収する手段としては、一般的に、
洗浄室と乾燥室との下方に洗浄後の汚液を回収するシュ
ートを設け、洗浄後、シュートにて回収し汚液を濾過装
置へ送り、この濾過装置にて濾過した洗浄液を洗浄液槽
へ戻し、再び洗浄ポンプにて洗浄液を洗浄ノズルへ供給
し、被洗浄物の洗浄を行うようにしたものが知られてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】以上説明した従来技術
においては、洗浄装置本体が洗浄室と乾燥室とを備え、
洗浄液の噴出による洗浄と、エアーの噴出による乾燥と
を別々に行っていたので、洗浄装置本体が大型化し、広
い設置面積が必要になると共に製作費が高くなる問題が
あった。

【０００５】また、このような洗浄室と乾燥室のクラン
プ機構の近傍には、個々の目的を持たせた洗浄ノズル及
び乾燥ノズルが多数、例えば、被洗浄物により約1000〜
2000個、配設されて洗浄液及びエアーを噴出させていた
ので、ノズルの目詰まり等によりメンテナンス作業が相
当困難になり製作費も高くなる問題があった。

【０００６】さらに、従来の洗浄の場合、個々に目的を
持たせて洗浄ノズルが配設されているだけであったの
で、凹部内等隠れた部分の洗浄がしにくく、また、種類
の異なった被洗浄物は容易に洗浄できなかった。

【０００７】また、従来の洗浄液は、洗浄性をよくする
ためにアルカリ性溶剤等の洗浄剤を含んでいたので、洗
浄後、切粉、油脂等を濾過しても洗浄液をそのまま排水
することができなかった。排水すれば、公害問題を引き
起こす虞があった。したがって、洗浄後はアルカリ性溶
剤等を含んだ洗浄液を一か所に集めて処理する必要があ
りその作業が煩雑であった。

【０００８】本発明は、上記従来の課題を解決するため
になされたもので、洗浄装置本体を小型化して設置面積
を小さくし、製作費を低減させて、メンテナンスを容易
にさせると共に洗浄の難しい形状のものでも簡単に洗浄
できるようにし、かつ、洗浄液の排出作業を容易にする
と共に洗浄効果を向上させた洗浄装置を提供することを
目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するための手段として、洗浄装置本体に設けた洗浄室
の内部に回転駆動軸を水平に配設し、該回転駆動軸に該
回転駆動軸を円中心として同一円周上になるように被洗
浄物を把持する複数のクランプ装置を放射状に公転かつ
自転可能に装着し、前記洗浄室の側部に被洗浄物を受取
り、かつ、洗浄後の被洗浄物を搬出する搬入搬出ステー
ションを設け、前記クランプ装置が旋回、通過する前記
洗浄室の下部に、洗浄液を貯溜する洗浄槽と、該洗浄槽
の洗浄液中に配置されると共に、該洗浄液中に浸漬され
位置決めされて回転している前記被洗浄物に向けて、高
圧洗浄液を噴出させる高圧洗浄ノズルとを備えた高圧洗
浄ステーションを配設し、前記洗浄室の上部に洗浄後の
被洗浄物に向けてエアーを噴出するエアーブローノズル
を備えた水切りステーションを設け、前記高圧洗浄ノズ
ルに連結する高圧洗浄ポンプを設けると共に、前記洗浄
槽の底部近傍に設けた排水口に連結するスラッジポンプ
を設け、前記高圧洗浄ポンプの高圧洗浄液の供給量と前
記スラッジポンプの吐出量とが等しくなるように設定し
たことを特徴とするものである。

【００１０】本発明は、以上説明したように構成したの
で、搬入搬出ステーションにおいて、一つのクランプ装
置が被洗浄物を受取ったら、回転駆動軸を回転させ、ク
ランプ装置を旋回（公転）させて、被洗浄物を洗浄室の
下部に設けた高圧洗浄ステーションの、洗浄液を貯溜し
た洗浄槽内に搬送して洗浄液内に浸漬する。そして、高
圧洗浄ステーションにおいて、クランプ装置を洗浄液中
にて位置決めして回転（自転）させると共に、被洗浄物
を回転させ、この回転している被洗浄物に向けて、洗浄
槽内に設けた高圧洗浄ノズルにより、高圧洗浄ポンプか
らの高圧洗浄液を噴出して被洗浄物の全面や隠れた部分
の凹部等に高圧洗浄液が均等に当たるようにする。そし
て、高圧洗浄液の噴出中には、スラッジポンプにより洗
浄後の汚液を排出させながら、被洗浄物の洗浄を行う。
洗浄後、被洗浄物を洗浄室の上部に設けた水切りステー
ションへ搬送し、この水切りステーションにおいて、ク
ランプ装置と共に、被洗浄物を回転させ、エアーブロー
ノズルによりエアーを被洗浄物に向けて噴出して、被洗
浄物の水切りを行い、水切り後、被洗浄物を搬入搬出ス
テーションへ搬送し、搬入搬出ステーションから被洗浄
物を搬出する。前記洗浄槽の底部近傍の排水口に連結す
るスラッジポンプにより、洗浄槽の底部に沈殿した切粉
等の固体異物及び汚れた洗浄液を除去する。さらに、高
圧洗浄ポンプの高圧洗浄液の供給量と、スラッジポンプ
の吐出量とが等しくなるように設定して、常時新鮮な水
を貯えるようにする。

【００１１】

【実施例】次に、本発明の一実施例を図１乃至図６に基
づいて説明する。１は洗浄装置本体である。この洗浄装
置本体１の前部には被洗浄物Ｗを洗浄装置本体１内へ送
込む搬入ステーションT1、送込まれた被洗浄物Ｗを洗浄
室15内へ引渡し、洗浄後の被洗浄物Ｗを受取る搬入搬出
ステーションT2、洗浄後の被洗浄物Ｗの水切りをするユ
ニットエアーブローステーションT3及び被洗浄物Ｗを搬
出する搬出ステーションT4とにより構成された搬送部Ｔ
が設けられている。

【００１２】２は搬入ステーションT1に架台４上に設け
た入口ローラコンベアであり、入口ローラコンベア２は
駆動モータ３により駆動される。５は被洗浄物受け６、
６′、７を装着したトランスファバーであり、トランス
ファバー５は図示しないリンク機構を介して油圧シリン
ダと連結し、上昇、前進、下降、後退し、被洗浄物Ｗを
間歇送りする。

【００１３】８は搬入搬出ステーションT2に設けたマニ
プレータで（図４参照）、マニプレータ８は被洗浄物Ｗ
を洗浄室15内へ搬入し、かつ、搬出する。９は洗浄装置
本体１に固着したシリンダで、このシリンダ９のスライ
ダ９′はＥＥ′方向に移動する。10はスライダ９′に固
着した支持ブラケットであり、11は支持ブラケット10に
固着したガイドレールである。ガイドレール11にはベア
リング12がＤＤ′方向に移動自在に嵌合している。

【００１４】13はベアリング12に固着した被洗浄物受け
で、14は支持ブラケット10に固着したリフタシリンダで
ある。このリフタシリンダ14のピストンロッド14′は被
洗浄物受け13と連結している。したがって、被洗浄物受
け13はＤＤ′方向及びＥＥ′方向に移動することにな
る。なお、本実施例ではマニプレータ８を上記のように
構成したが、これに限定されるものではなく、被洗浄物
Ｗを洗浄室15内へ搬入し、かつ、搬出するものであれば
よい。

【００１５】１５は洗浄装置本体１に設けた洗浄室で、
洗浄室１５には中腹部前部に被洗浄物Ｗをマニプレータ
８から受取り、洗浄後、マニプレータ８へ被洗浄物Ｗを
引渡しする搬入搬出ステーションＳ１、下部に搬入され
た被洗浄物Ｗを高圧洗浄液で洗浄する高圧洗浄ステーシ
ョンＳ２、中腹部後部に洗浄後の被洗浄物Ｗをリンスす
るリンス洗浄ステーションＳ３及び上部に洗浄後の被洗
浄物Ｗの水切りをする水切りステーションＳ４が設けら
れている。

【００１６】16は洗浄室15のほぼ中央部に水平に配設し
た回転駆動軸で、回転駆動軸16は洗浄室15の外部で洗浄
装置本体１に固着したベアリング17，18により回転自在
に支持されている。19は洗浄室15内で回転駆動軸16に固
着した回転板で、回転板19には等間隔で４か所に支持ブ
ラケット20が固着している。21は回転駆動軸16を円中心
として同一円周上になるように支持ブラケット20に回転
自在に支持されたクランプ装置である。21′はクランプ
装置21の回転軸である。

【００１７】２２は高圧洗浄ステーションＳ２に配設さ
れ、洗浄室１５の下部に設けた洗浄槽、すなわち、洗浄
液を貯溜し、かつ、高圧洗浄液を噴出する複数の高圧洗
浄ノズル２４を備えた高圧洗浄槽である。２３は高圧洗
浄ノズル２４を装着した一対の高圧ノズルチャンバー
で、この高圧ノズルチャンバー２３は高圧洗浄液の流れ
る高圧洗浄配管２５と連結している（図２をも参照）。

【００１８】２６，２７は洗浄液を高圧で吐出する高圧
洗浄ポンプであり、高圧洗浄ポンプ２６，２７の吸込側
は高圧洗浄配管３０、３１を介してサクションタンク２
８，２９に連結しており、サクションタンク２８，２９
には後述する洗浄液槽４９内に配管された高圧洗浄配管
３２，３３が連結している。高圧洗浄配管３２，３３の
先端部には吸込口３４、３５が装着されている。

【００１９】また、高圧洗浄ポンプ26，27の吐出側には
高圧洗浄配管36、37が配管されており、この高圧洗浄配
管36、37は各々高圧洗浄配管25と連結している。また、
高圧洗浄配管36、37には各々逆止弁38、39が介装されて
いる。

【００２０】４０は高圧洗浄配管２５にバルブ４１を介
して設けた圧力計であり、４２はリンス洗浄ステーショ
ンＳ３に配設され、洗浄室１５の中腹部後部に設けた複
数のリンス洗浄ノズル４３を装着した一対のノズルチャ
ンバーである。一対のノズルチャンバー４２は低圧洗浄
液を流す低圧洗浄配管４４を介して低圧洗浄ポンプ４５
の吐出側に連結しており、低圧洗浄ポンプ４５の吸込側
は洗浄液槽４９内に配管された低圧洗浄配管４６に連結
している。

【００２１】また、低圧洗浄配管46の先端部には吸込口
47が装着され、中間部にはバルブ48が介装されている。
49は洗浄液槽であり、この洗浄液槽49には濾過装置50が
一体的に取付けられている。

【００２２】51は水切りステーションS4に配設され、洗
浄室15の上部に設けたエアーブローノズルであり、エア
ーブローノズル51は図示しないエアー供給源に接続して
いる。52，53，54は洗浄室15の外部に設けた回転駆動モ
ータ（図２参照）で、この回転駆動モータ52，53，54の
駆動軸は被洗浄物Ｗが高圧洗浄ステーションS2、リンス
洗浄ステーションS3及び水切りステーションS4に送られ
てきたとき、クランプ装置21の回転軸21′とそれぞれ係
合してクランプ装置21を適当な速度で回転させる。

【００２３】なお、本実施例では、クランプ装置21を回
転させる手段として、回転駆動モータ52，53，54を洗浄
室15の外部に設け、この回転駆動モータ52，53，54の駆
動軸とクランプ装置21の回転軸21′とをそれぞれ係合し
てクランプ装置21を回転させるようにしたが、これに限
定されるものではなく、他に色々な手段が考えられる。

【００２４】例えば、回転板19に回転駆動モータを装着
し、この回転駆動モータの駆動軸にスプロケットを装着
し、クランプ装置21の回転軸21′にスプロケットを装着
し、これをチェーン等で連結してクランプ装置21を回転
させるようにしてもよい。

【００２５】また、図３において、55は洗浄装置本体１
に固着した架台56に取付けた駆動モータで、駆動モータ
55の駆動軸は回転駆動軸16と連結している。57は回転駆
動軸16に固着した割出し板で、割出し板57の外周には切
欠き57′が等間隔で４か所形成されている。

【００２６】58は架台56に固着したロック装置で、ロッ
ク装置58はロックシリンダ59のピストンロッド59′が伸
縮することによりロック装置58のロックロッドが出没
し、割出し板57の切欠き57′と係合又は離脱して、割出
し板57をロック又は解除する。

【００２７】61はスラッジポンプ室60に収納されたスラ
ッジポンプ（図３及び図４参照）で、スラッジポンプ61
の吸込側はスラッジ配管62により高圧洗浄槽22の下部に
設けた排水口22′と連結している。また、スラッジポン
プ61の吐出側はスラッジ配管63（図３及び図４参照）と
連結しており、スラッジ配管63は洗浄液槽49と一体的に
設けた濾過装置50の取入口50′へ配管されている。

【００２８】なお、スラッジポンプ61の吐出量は高圧洗
浄ポンプ26，27（図４参照）の吐出量、即ち、高圧洗浄
ポンプ26，27の供給量と等しくなるように設定されてい
る。64はスラッジ配管62に介装したバルブであり、65は
スラッジ配管63に介装したバルブである。

【００２９】６６は、高圧洗浄槽２２の上部適所に設け
たオーバーフロー配管（図２乃至図４参照）で、オーバ
ーフロー配管６６はスラッジ配管６２，６３と同様に濾
過装置５０の取入れ口５０′へ配管されている。

【００３０】６７は搬出ステーションＴ４に架台６８上
に設けた出口ローラコンベアで、該出口ローラコンベア
６７は駆動モータ６９により駆動される。７０は図示し
ないエアーシリンダにより開閉する入口ドアであり、７
１は図示しないエアーシリンダにより開閉する出口ドア
である。

【００３１】次に、本実施例の作用を説明する。図１乃
至図４に示すように洗浄装置本体１の全ての装置は元位
置にある。そこで、搬入ステーションT1に設けた入口ロ
ーラコンベア２上に被洗浄物Ｗを載置すると、駆動モー
タ３が作動し、被洗浄物Ｗを所定位置まで搬送する。被
洗浄物が所定位置まで搬送されると、被洗浄物Ｗは図示
しないストッパに当接し、その位置で停止し位置決めさ
れる。

【００３２】被洗浄物Ｗが所定位置で停止し、位置決め
されると、図示しない油圧シリンダが作動し、トランス
ファーバー５が上昇し、被洗浄物Ｗを被洗浄物受け６で
持上げ、持ち上げた状態で前進し下降する。トランスフ
ァーバー５が下降すると、被洗浄物Ｗはマニプレータ８
の被洗浄物受け13に載置される。被洗浄物Ｗが被洗浄物
受け13に載置されるとトランスファーバー５は後退し元
位置に復帰する。

【００３３】被洗浄物Ｗがマニプレータ８の被洗浄物受
け13に載置されると、リフタシリンダ14が作動し、その
ピストンロッド14′が短縮して、被洗浄物ＷをＤ′方向
へ上昇させる。被洗浄物Ｗが上昇すると、シリンダ９が
作動し、スライダ９′をＥ′方向へ移動し、被洗浄物Ｗ
を洗浄室15側へと前進させる。被洗浄物Ｗが前進する
と、リフタシリンダ14が作動し、ピストンロッド14′が
伸長し、被洗浄物ＷをＤ方向へ下降させる。

【００３４】この時、洗浄室15の搬入搬出ステーション
S1にクランプ装置21が待機しているので、被洗浄物Ｗは
クランプ装置21に載置され、クランプ装置21により堅固
に把持される。被洗浄物Ｗがクランプ装置21に載置され
把持されると、シリンダ９が作動し、スライダ９′をＥ
方向へ移動し、マニプレータ８の被洗浄物受け13を元位
置に復帰させる。

【００３５】被洗浄物Ｗがクランプ装置21に把持される
と、駆動モータ55（図３参照）が作動し、回転駆動軸16
をＢ方向に回転させる。すると被洗浄物Ｗは洗浄槽22の
洗浄液に次第に浸漬していき、高圧洗浄ステーションS2
に到達する。

【００３６】被洗浄物Ｗが高圧洗浄ステーションS2に到
達すると、図示しないリミットスイッチがこれを検知
し、駆動モータ55の作動を停止させ回転駆動軸16の回転
を停止する。

【００３７】回転駆動軸16の回転が停止すると、ロック
装置58（図４参照）のロックシリンダ59が作動して、そ
のピストンロッド59′が伸長し、ロック装置58のロック
ロッドが前進し、割出し板57の切欠き57′と係合して割
出し板57をロックする。即ち、割出し板57がロックされ
ると、被洗浄物Ｗは高圧洗浄ステーションS2に位置決め
される。

【００３８】被洗浄物Ｗが高圧洗浄ステーションS2に位
置決めされると、高圧洗浄ポンプ26，27（図４参照）が
作動し、洗浄液槽49から洗浄液を汲上げる。即ち、高圧
洗浄ポンプ26，27が作動すると、洗浄液槽49内の洗浄液
は高圧洗浄配管32，33の吸込口34、35から汲上げられ、
サクションタンク28、29、高圧配管30、31を通って高圧
洗浄ポンプ26、27の吸込み側へ供給される。

【００３９】そして、高圧洗浄ポンプ２６、２７の吸込
側へ供給された洗浄液は高圧洗浄配管３６、３７、高圧
洗浄配管２５を通って一対の高圧ノズルチャンバー２３
に供給され、高圧洗浄ノズル２４から被洗浄物Ｗに向け
て噴出される。即ち、高圧洗浄液が高圧洗浄ノズル２４
から被洗浄物Ｗに向けて噴出される。（図７参照）

【００４０】高圧洗浄液が高圧洗浄ノズル24から被洗浄
物Ｗに向けて噴出されると、高圧洗浄液は洗浄槽22内に
溜まっている洗浄液をも巻き込んで強力に被洗浄物Ｗに
当たる。この時、被洗浄物Ｗの周辺に溜まっている洗浄
液は攪拌され、洗浄液の圧力と相俟って被洗浄物Ｗの表
面の洗浄を行う。

【００４１】また、図５に示すように、被洗浄物Ｗに貫
通孔Ｗ１が穿孔されている場合は、被洗浄物Ｗに強力に
当った洗浄液はその一部が被洗浄物Ｗの表面を高速で流
れ、その洗浄液の圧力により貫通孔W1を通って流れ、確
実に貫通孔W1内を洗浄する。

【００４２】さらに、図６に示すように、被洗浄物Ｗに
キリ孔、タップ孔等の穿孔Ｗ２が穿設されている場合
は、被洗浄物Ｗに強力に当った洗浄液はその一部が被洗
浄物Ｗの表面を高速で流れ、穿孔Ｗ２を通過する際に、
キャビテーションが生じ、穿孔Ｗ２内に溜まっている洗
浄液に流れを発生させ、確実に穿孔Ｗ２内を洗浄する。

【００４３】一方、被洗浄物Ｗが高圧洗浄ステーション
S2に位置決めされると、被洗浄物Ｗを把持しているクラ
ンプ装置21の回転軸21′が回転駆動モータ52の駆動軸と
係合するので、回転駆動モータ52を作動させて、クラン
プ装置21をＣ方向に回転させて被洗浄物Ｗを回転する。

【００４４】したがって、被洗浄物Ｗは回転しながら高
圧洗浄ノズル24から被洗浄物Ｗに向けて噴出される高圧
洗浄液により洗浄されるので、加工工程において被洗浄
物Ｗに付着した切粉、油脂、等は確実に除去されきれい
に洗浄される。

【００４５】他方、被洗浄物Ｗが高圧洗浄ステーション
S2に位置決めされると、スラッジポンプ61（図３及び図
４参照）が作動し、洗浄槽22内に溜まった洗浄後の汚液
を排出する。即ち、高圧洗浄ノズル24から被洗浄物Ｗに
向けて噴出され、被洗浄物Ｗを洗浄し、洗浄後の切粉、
油脂等を含んだ汚液は洗浄槽22の排水口22′からスラッ
ジ管62を経てスラッジポンプ61へと流れ、スラッジポン
プ61によりスラッジ配管63を通って濾過装置50の取入口
50′へ送られ、濾過装置50により濾過されて洗浄液槽49
へ還流される。

【００４６】上記したようにして、高圧洗浄槽22内にて
被洗浄物Ｗの洗浄が完了すると、ロックシリンダ59が作
動し、そのピストンロッド59′が短縮し、ロック装置58
のロックロッドが後退し、割出し板57のロックを解除す
る。割出し板57のロックが解除されると、駆動モータ55
が再び作動し、前記と同様の手段で、被洗浄物Ｗは今度
はリンス洗浄ステーションS3へ送られ位置決めされる。

【００４７】被洗浄物Ｗがリンス洗浄ステーションS3に
位置決めされると、低圧洗浄ポンプ45が作動し、洗浄液
槽49から洗浄液を汲上げる。即ち、低圧洗浄ポンプ45が
作動すると、洗浄液槽49内の洗浄液は低圧洗浄配管46の
吸込口47から低圧洗浄配管46、低圧洗浄ポンプ45、低圧
洗浄配管44を通って一対のノズルチャンバー42へ供給さ
れ、リンス洗浄ノズル43から被洗浄物Ｗに向けて噴出さ
れ、前記と同様の手段により被洗浄物Ｗを回転させなが
ら被洗浄物Ｗのリンス洗浄が行われる。

【００４８】なお、本実施例では一対のノズルチャンバ
ー42へ洗浄液を供給し、リンス洗浄ノズル43から被洗浄
物Ｗに向けて洗浄液を噴出し、リンス洗浄を行うように
したが、被洗浄物Ｗの種類及び目的により、リンス洗浄
に代わって他の手段を設けてもよい、又は排除してもよ
い。

【００４９】なお、高圧洗浄及びリンス洗浄中に高圧洗
浄槽22から溢れた洗浄後の汚液は、オーバーフロー配管
66から濾過装置50の取入口50′へ送られ、濾過装置50に
より濾過されて洗浄液槽49へ還流される。

【００５０】被洗浄物Ｗのリンス洗浄が終了すると、同
様にして、洗浄後の被洗浄物Ｗは水切りステーションS4
へ送られ位置決めされる。洗浄後の被洗浄物Ｗが水切り
ステーションS4に位置決めされると、図示しないエアー
供給源からエアーが供給され、前記したと同様の手段に
より、洗浄後の被洗浄物Ｗを回転させながら、エアーブ
ローノズル51からエアーを洗浄後の被洗浄物Ｗに向けて
噴出させ、洗浄後の被洗浄物Ｗの水切りを行う。

【００５１】洗浄後の被洗浄物Ｗの水切りが終了する
と、同様にして、洗浄後の被洗浄物Ｗは搬入搬出ステー
ションS1へ送られ位置決めされ、クランプ装置21による
把持が解除される。

【００５２】洗浄後の被洗浄物Ｗのクランプ装置21によ
る把持が解除されると、マニプレータ８のシリンダ９が
作動し、そのスライダ９′をＥ′方向へ移動し、被洗浄
物受け13を洗浄室15側に前進させる。被洗浄物受け13が
前進すると、リフタシリンダ14が作動し、ピストンロッ
ド14′が短縮し被洗浄物受け13をＤ′方向に上昇させ、
洗浄後の被洗浄物Ｗを持上げ、クランプ装置21から洗浄
後の被洗浄物Ｗを受取る。

【００５３】洗浄後の被洗浄物Ｗが持上げられると、シ
リンダ９が作動し、スライダ９′をＥ方向へ移動させ、
被洗浄物受け13を後退させて洗浄後の被洗浄物Ｗを後退
させる。

【００５４】洗浄後の被洗浄物Ｗが後退すると、リフタ
シリンダ14が作動し、ピストンロッド14′を伸長させ
て、被洗浄物受け13をＤ方向に下降させ、洗浄後の被洗
浄物Ｗを下降させる。

【００５５】この時、トランスファバー５は被洗浄物受
け６により搬入ステーションT1で次に洗浄する被洗浄物
Ｗを持上げ、上昇した状態にあるので、被洗浄物受け13
が下降すると、洗浄後の被洗浄物Ｗはトランスファバー
５の被洗浄物受け６′上に載置される。

【００５６】洗浄後の被洗浄物Ｗがトランスファバー５
の被洗浄物受け６′上に載置されると、トランスファバ
ー５は前進して下降するので、次に洗浄する被洗浄物Ｗ
は搬出搬入ステーションT2へ送られ、マニプレータ８の
被洗浄物受け13上に載置され、洗浄後の被洗浄物Ｗはユ
ニットエアーブローステーションT3へ送られ、図示しな
い受台上に載置される。

【００５７】マニプレータ８の被洗浄物受け13上に載置
された被洗浄物Ｗは前述した手段と同様に、洗浄室15の
搬出搬入ステーションS1に待機しているクランプ装置21
に引渡される。ユニットエアーブローステーションT3へ
送られた洗浄後の被洗浄物Ｗはユニットエアーブロース
テーションT3に設けた図示しない固定エアーブローノズ
ルによりエアーを噴出して更に水切りが行われる。

【００５８】ユニットエアーブローステーションT3にお
いて洗浄後の被洗浄物Ｗの水切りが完了すると、洗浄後
の被洗浄物Ｗはトランスファバー５の被洗浄物受け７に
より持上げられ、トランスファバー５が仮想線で示す
５′の位置に前進し、これに伴い洗浄後の被洗浄物Ｗを
保持している被洗浄物受け７も仮想線で示す７′の位置
に移動し、洗浄後の被洗浄物Ｗは搬出ステーションT4の
出口コンベア67（図１参照）上へ載置され、駆動モータ
69を作動し、出口コンベア67により次工程へ搬送され
る。

【００５９】なお、洗浄装置本体１の入口と出口に設け
た入口ドア70及び出口ドア71はトランスファバー５によ
り被洗浄物Ｗを搬入又は搬出するときに開き、洗浄中は
閉じており、洗浄装置本体１からの洗浄ミスト等の飛散
を防止すると共に騒音の防止をする効果がある。上記の
ようにして被洗浄物Ｗの一洗浄サイクルは終了する。

【００６０】以上、一つの被洗浄物に付いて説明した
が、言うまでもなく、被洗浄物Ｗは逐次自動供給され、
連続的に上記した洗浄サイクルが行われる。

【００６１】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように、１つの
洗浄室で被洗浄物の洗浄及び水切りを行うように構成し
たので、洗浄装置本体が小型化され、洗浄装置の設置面
積が減少されると共に製作費が低減する。また、従来の
もののように洗浄及び水切りノズルを多数使用しないの
で、洗浄室内が極めて簡素なものとなり、メンテナンス
作業等を容易に行うことができる。

【００６２】被洗浄物を洗浄液に浸漬し、この被洗浄物
を回転させながら高圧洗浄液を噴出し、それによる攪
拌、水圧、キャビテーション等の作用を総合して洗浄す
るようにしたので、洗浄液として水のみを使用すること
ができ、従来のように洗浄後のアルカリ性溶剤等の洗浄
剤を含んだ汚れた洗浄液を一か所に集めて処理する必要
が無くなり、そのまま濾過して排水しても無公害であ
り、環境問題の点からも有利なものとすることができ
る。

【００６３】被洗浄物を洗浄液に浸漬して位置決めし、
この位置決めした被洗浄物を回転させながら高圧洗浄液
を噴出し、それによる攪拌、水圧、キャビテーション等
の作用を総合して洗浄するようにしたので、従来のノズ
ル洗浄では洗浄が困難であった凹部等、隠れた部分の洗
浄も極めて容易に行うことができると共に、被洗浄物の
形状に関係なく洗浄することができ、種類の異なった被
洗浄物をも容易に洗浄することができる。

【００６４】被洗浄物を洗浄液に浸漬し、被洗浄物に高
圧洗浄液を噴出して洗浄すると同時に、洗浄槽の底部近
傍の排水口に連結したスラッジポンプにより汚れた洗浄
液や底部に沈殿した切粉等の固体異物を排出するように
したので、洗浄槽内は常に川のごとく洗浄水を流すこと
ができる。そして、高圧洗浄ポンプの高圧洗浄液の供給
量とスラッジポンプの吐出量とを等しく設定したので、
常に新鮮な水が貯えられていることになる。これらによ
り洗浄効果をさらに向上させることができる。

【００６５】被洗浄物を洗浄槽の洗浄液に浸漬し、洗浄
液中にて高圧洗浄液を噴出して洗浄するようにしたの
で、洗浄中に発生する騒音が低くなり、作業環境の改善
を計ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す正面図である。

【図２】図１のものの側面図である。

【図３】図１のものの平面図である。

【図４】図１のもののＡ−Ａ断面図及び図１のものに接
続される洗浄回路図である。

【図５】被洗浄物に貫通孔が穿設されている場合の洗浄
説明図である。

【図６】被洗浄物にキリ孔、タップ孔等が穿設されてい
る場合の洗浄説明図である。

【図７】高圧洗浄部の拡大説明図である。

【符号の説明】

１ 洗浄装置本体 15 洗浄室 16 回転駆動軸 21 クランプ装置 22 洗浄槽 22′排水口 24 高圧洗浄ノズル 26 高圧洗浄ポンプ 27 高圧洗浄ポンプ 51 エアーブローノズル 61 スラッジポンプ Ｗ 被洗浄物 S1 搬入搬出ステーション S2 高圧洗浄ステーション S4 水切りステーション

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 敬一 愛知県豊田市細谷町５丁目16番地 鬼頭 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭48−27876（ＪＰ，Ａ) 特開 昭52−43577（ＪＰ，Ａ) 特開 昭49−10674（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−371417（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−220776（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−64385（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−51739（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭50−43557（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭50−64167（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−65691（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−193587（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭35−16835（ＪＰ，Ｂ１) 特公 平３−26114（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭51−45907（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭59−9437（ＪＰ，Ｂ２) 特公 平４−32672（ＪＰ，Ｂ２) 実公 昭50−38570（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭49−45436（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭62−16225（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭61−3857（ＪＰ，Ｙ２) 実公 昭52−52459（ＪＰ，Ｙ２) 実公 平６−28234（ＪＰ，Ｙ２) 実公 昭63−7344（ＪＰ，Ｙ２) 実公 昭62−9278（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗浄装置本体に設けた洗浄室の内部に回
   転駆動軸を水平に配設し、該回転駆動軸に該回転駆動軸
   を円中心として同一円周上になるように被洗浄物を把持
   する複数のクランプ装置を放射状に公転かつ自転可能に
   装着し、前記洗浄室の側部に被洗浄物を受取り、かつ、
   洗浄後の被洗浄物を搬出する搬入搬出ステーションを設
   け、前記クランプ装置が旋回、通過する 前記洗浄室の下部
   に、洗浄液を貯溜する洗浄槽と、該洗浄槽の洗浄液中に
   配置されると共に、該洗浄液中に浸漬され位置決めされ
   て回転している前記被洗浄物に向けて、高圧洗浄液を噴
   出させる高圧洗浄ノズルとを備えた高圧洗浄ステーショ
   ンを配設し、 前記洗浄室の上部に洗浄後の被洗浄物に向けてエアーを
   噴出するエアーブローノズルを備えた水切りステーショ
   ンを設け、 前記高圧洗浄ノズルに連結する高圧洗浄ポンプを設ける
   と共に、前記洗浄槽の底部近傍に設けた排水口に連結す
   るスラッジポンプを設け、前記高圧洗浄ポンプの高圧洗
   浄液の供給量と前記スラッジポンプの吐出量とが等しく
   なるように設定したことを特徴とする洗浄装置。